JP4357752B2 - 広域と局所的帯電を中和させる電子照射手段及び集束イオンビーム装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査型イオン顕微鏡で試料観察をする際に、イオン照射による電荷蓄積を中和するチャージニュートライザの技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6に集束イオンビーム装置の基本構成を示す。1は液体金属イオン源、3は集束イオンビーム2をつくるイオン光学系であり、4は該集束イオンビーム2を偏向走査するデフレクタ、試料ステージ7に載置された試料9にイオンビームが照射されるとその部分より電子若しくはイオンといった二次荷電粒子が叩き出される。5はこの二次荷電粒子を捕捉して検出する二次荷電粒子検出器であり、その検出信号はコンピュータ10に入力され、ビーム走査位置との対応が取られてディスプレイ11上に走査イオン顕微鏡画像として表示することができる。集束イオンビーム装置はこのように走査イオン顕微鏡として機能するだけでなく、試料9に集束イオンビーム2を照射することにより、マスクレスエッチング機能とマスクレスデポジション機能とを有している。すなわち、イオンビームを照射することでスパッタエッチングを実行するだけでなく、ガス銃6からハロゲン等のアシストガスを噴射させてイオンビームを照射することでガスアシストエッチングができ、ガス銃6から原料ガスを噴射させながらイオンビームを照射することで試料表面に成膜を施すデポジションを行うことができる。
【0003】
ところで試料表面にイオンのような荷電粒子のビームを照射すると、荷電粒子の電荷が試料に注入されるとともに二次荷電粒子を放出しその差引電荷が帯電する。一般にこの現象をチャージアップと称し、試料表面のチャージアップの状況によってビーム照射に起因する二次荷電粒子の放出量が変化する。例えば、今荷電粒子のビームが正電荷をもつ集束イオンビームであったとし、該イオンビームを試料面に照射することによって該試料面が正電荷でチャージアップされたとする。するとそのことによって試料表面の電位が上がりそこから放出される負電荷の二次電子を拘束するように作用し、正電荷の二次イオンの場合には反対に反発して放出しやすくなるように作用する。そのため、二次電子や二次イオンを検出して表面画像を得る走査顕微鏡の分野ではこのチャージアップ現象というのは、二次荷電粒子の放出量が試料表面の材質や形状とは無関係の表面のチャージアップによる物理状況の影響を受けてしまい、好ましからざるものとされている。また、試料若しくは電子照射する領域近傍が電気抵抗的に非対称となっているような場合には電荷の分布が特に不均一になり易く、照射されるビームの軌道に影響を与え、ビームドリフトの原因となるという問題もある。
【0004】
図6の集束イオンビーム装置において8で示したものはチャージニュートライザであって、これから正電荷に帯電した試料9に対し電子の照射を行うことで電荷を中和させることができるものである。ところが試料表面上の帯電状態には異なる態様があって、このチャージニュートライザ8を用いてその帯電を中和させようとしても必ずしも容易ではない。いま、異なる帯電形態を図1に示す。Aのように試料表面に一様に帯電している場合には電子のシャワーとして広域に照射してやればよいのであるが、Bのように絶縁試料上に形成された電気抵抗の異なる材質でできた孤立パターンが局所的に帯電しているような場合には電子シャワーの形態で照射しても中和させることはできない。電子を絞ってビーム状にして局部に照射するのが効果的である。最近のデバイスは細密化が進んでおり、その欠陥部を顕微鏡で観察しようとする場合には、局部的な帯電中和が求められることになる。試料における帯電形態が一つであればそれなりの対応をとることができるが、広域帯電の現象と局部帯電の現象が重畳しているような場合にはチャージニュートライザを調整して広域照射対応にしたりスポット照射対応にしたりと切替調整を行う必要がある。しかし、この切換えは操作が厄介なばかりでなく、切換え応答性が遅く、すなわち切換え時点から新しい照射形態の安定状態に至るまでの時間がかかり現象に対応しきれないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的課題は、帯電を中和させる機能を有するチャージニュートライザを備えた集束イオンビーム装置において、試料中に混在する広域帯電と局部帯電の形態に対して迅速的確に中和動作が達成できるチャージニュートライザを備えた集束イオンビーム装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、帯電を中和させる機能を有するチャージニュートライザを広域帯電用と局部帯電用を別個に備えるか、チャージニュートライザに走査機能をもたせデフレクタによってビームを走査したり所定領域に停止させたりするか、チャージニュートライザに中央とその周りに複数の開口をもった絞りを光学系に介在させるなりして、試料中に混在する広域帯電と局部帯電の形態に対して迅速的確に中和動作が達成できるようにした。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、走査イオン顕微鏡で試料の観察画像を得ようとするときイオンビームの照射に起因して試料表面に電荷が徐々に蓄積チャージされ、それによってイオンビームの軌道がドリフトを起こしたり、二次荷電粒子の検出の影響が出て映像が不鮮明になったりする不都合を解消することに出発する。図1に示すように試料表面の広い範囲に一様に帯電しているような場合には従来のチャージニュートライザによって300μmから5mm径の領域に電子シャワーを照射してチャージを中和させることができる。これによってイオンビームのドリフトや全体的なパターンの映像を鮮明にすることができるのであるが、図2に示すような絶縁層上の微小孤立パターンの欠陥などに修正を加えるためにイオンビーム加工を施しながら観察しようとすると、図1のBに示すようにこの逃げ場のない孤立パターン表面に多量の電荷が帯電して欠陥部分からの二次荷電粒子を検出出来ないことがある。このような局部的で強いチャージを中和して微小パターン中の更に微小な欠陥を観察するには10μmから500μm径のビームに絞って電子照射を行う必要があると考え、チャージニュートライザからの電子をビーム状に絞って微小パターンに照射することを試みたが、今度は広域チャージに対応出来ないためイオンビームのドリフトの問題が解消できず、位置情報の精度が悪くなって超微細な欠陥画像は不鮮明となるし、大きなパターンの画像ボケも解消出来ない。そこで、チャージニュートライザに広域照射とスポット照射の機能を持たせ、動作切替で広域帯電と局所帯電に対応させることにしたのであるが、チャージニュートライザの動作を切換えると安定動作に至るまでの時間がかかりすぎ初期の目的を達成出来なかった経緯がある。
【0008】
本発明は、チャージニュートライザに広域照射とスポット照射の機能を持たせるに際し、広域帯電と局所帯電の現象に即応出来るように▲1▼二つのチャージニュートライザを備える形態、▲2▼電子ビームを走査して広域対応、停止して局所対応とする形態、▲3▼特殊な絞りを用いて中央にビーム状の、周辺にシャワー状の電子照射がなされる形態を構成したものである。
▲1▼の形態の場合顕微鏡画像を観察しながらチャージアップ現象で映像が不鮮明になってきたらその帯電形態に合わせて適宜二つのチャージニュートライザを選択使用して対応がとれる、そしてチャージニュートライザは専用であるから同時に使用して対応することが可能で、その応答性では優れた形態である。ただし、集束イオンビーム装置の試料ステージ近傍はこの他二次荷電粒子検出器やガス銃などの機器を配置する必要がありチャージニュートライザを複数設けるということは、これらの配置等が煩雑になるという難点もある。
▲2▼の形態は従来の切替動作によって電子光学系による電子ビームの集束形態を変えるものではなく、同じ電子ビームをデフレクタによって走査するか停止するか駆動を制御することによって広域対応と局所対応を切り替えるものである。したがって、このチャージニュートライザには電子ビームを偏向制御するデフレクタを備えることが必要であるが、広域対応と局所対応を切り替えに際し、従来のような安定状態に時間がかかるようなことはなく応答性に優れたものである。
▲3▼の形態は、図2に示すような電子ビームを通過させる中央の開口とその周辺に複数の開口が配置された絞りを使用する。電子銃から照射される電子流は一般に二次元的に正規分布の形態をとっており、中央部での電子密度は高く周辺にいくほど電子密度は低くなる。したがって上記のような絞りを電子光学系に配置すると、中央の開口を通過した密度の高い電子ビームは前記の光学系によってビーム状に絞られるが、周辺の複数の開口を通過した密度の低い電子流は光学系によって散乱されて照射される。この形態は一つのチャージニュートライザでありながら広域対応と局所対応を切り替えるのではなく、領域区分で同時に照射する点に特徴がある。
【0009】
【実施例】
本発明の広域と局所的帯電を中和させる電子照射手段を備えた集束イオンビーム装置によって試料を観察した実例を以下に示す。図3はチャージアップのためにイオンビームがドリフトしているときに、観察領域を遥かに越える広域に対して電子照射を実施してイメージのドリフトを解消したことを示すラインパターンの画像であって、Aが電子照射を行う前の像であり、Bが電子照射を行ってそのチャージアップを解消した画像である。この画像は10μm×10μmのラインパターンのサンプルであり、電流値は2nAである。なお、画像における縦軸横軸の数値はドット数を表している。
【0010】
図4は局部的なチャージアップのために独立パターンの境界がボケているときに、観察領域を少し越える程度の狭域に対し電子密度の高い電子照射を実施して局部的なチャージアップを解消したことを示す浮島パターンの画像であって、Aが電子照射を行う前の像であり、Bが電子照射を行ってそのチャージアップを解消した画像である。この画像も10μm×10μmであり、電流値は2nAである。このように本発明では電子照射を広域に対しても狭域に対しても実施できるので、異なる形態のチャージアップに対して効果的に対応することができることが確認できた。
【0011】
【発明の効果】
本発明は、イオン照射に起因する試料の電荷蓄積を中和させる集束イオンビーム装置における電子照射手段であって、広範囲の領域に電子を照射する機能と、局所的な領域に電子を照射する機能とを兼備した集束イオンビーム装置における電子照射手段を提供するものであるから、昨今の半導体デバイスの精細密化に伴いパターンの微小化が進んでいる中で絶縁体中に存在する孤立導電パターンの傷を観察しようとする場合など、広域電子照射機能によって広範囲の帯電中和がなされる中で、なお不鮮明個所として残る前記微小パターン内領域に対し適切な局所電子照射対応が取れるため極めて有効な帯電中和がとれ、鮮明な画像を得ることが出来る。
【0012】
その広域電子照射機能と局所電子照射機能とを兼備させるものとして電子ビームを通過させる中央の開口とその周辺に複数の開口が配置された絞りを介在させる構成を採用したものは、中央の開口を通過するビーム状の電子で局所的な領域を照射する機能と周辺に配置された複数の開口を通過して散乱電子となって広範囲の領域を照射する機能を果たすものであるから、場所を取らない一つのチャージニュートライザ形態でありながら広域帯電と局所帯電に即応できるものである。
ビーム偏向手段によって電子ビームを走査したり停止したりの制御を行い広域の電子照射と局所領域の電子照射とを切替える集束イオンビーム装置における電子照射手段を採用した場合には、一つのチャージニュートライザ形態となるから、場所を取らないだけでなく、その切替えも電子ビームの形態を変えるものではないので応答性は速く、迅速適格な対応が取れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】集束イオンビームを用いた観察における試料面での帯電形態とその中和を説明する図であり、Aは広域にわたる帯電状態を、Bは局部的な帯電がなされた状態を示す。
【図2】絶縁基板上の孤立した微小パターンを観察する例を示す図である。
【図3】本発明の1形態に用いられる絞りの構造を示す図である。
【図4】本発明によって広域帯電による画像ドリフトを改善した例を示す図である。
【図5】本発明によって狭域帯電による画像のボケを改善した例を示す図である。
【図6】集束イオンビーム装置の基本構成を示す図である。
【符号の説明】
1 イオン源 B 基板
2 イオンビーム P 微小パターン
5 二次荷電粒子検出器 M 欠陥
8 チャージニュートライザ
81 絞り
Claims (4)
- イオン照射に起因する試料の電荷蓄積を中和させる集束イオンビーム装置における電子照射手段であって、
電子ビームを通過させる中央の開口と前記中央の開口の周辺に複数の開口が配置された絞りを介在させ、前記中央の開口を通過させビーム状の電子で局所的な領域を照射する機能と前記中央の開口の周辺に配置された前記複数の開口を通過させ散乱電子で広範囲の領域を照射する機能を兼備させた集束イオンビーム装置における電子照射手段。 - イオン照射に起因する試料の電荷蓄積を中和させる集束イオンビーム装置における電子照射手段であって、
広範囲の領域に電子を照射する電子銃と、局所的な領域に電子を照射する電子銃とを別個に備えている集束イオンビーム装置における電子照射手段。 - イオン照射に起因する試料の電荷蓄積を中和させる電子照射手段を備えた集束イオンビーム装置であって、
電子ビームを通過させる中央の開口と前記中央の開口の周辺に複数の開口が配置された絞りを介在させ、前記中央の開口を通過させビーム状の電子で局所的な領域を照射する機能と前記中央の開口の周辺に配置された前記複数の開口を通過させ散乱電子で広範囲の領域を照射する機能を備えていることを特徴とする集束イオンビーム装置。 - イオン照射に起因する試料の電荷蓄積を中和させる電子照射手段を備えた集束イオンビーム装置であって、
広範囲の領域に電子を照射する電子銃と、局所的な領域に電子を照射する電子銃とを別個に備えていることを特徴とする集束イオンビーム装置。
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