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JP4360037B2 - クライオスタット - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非破壊生体検査システムとして、例えば極低温におけるジョセフソン効果を利用して脳などの生体磁気を計測するSQUID(Superconducting Quantum Interference Device)磁束計測システムに使用される測定センサ等を冷却保持するためのクライオスタットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
は従来のクライオスタットの構成を示す縦断面図である。図において、クライオスタット1は、内槽2と外槽3によりその本体が形成されており、それらは例えばガラス繊維強化プラスチック(Glass Fiber Reinforced Plastics、以下GFRPと記す)を素材として形成されている。
【0003】
そして、内槽2は有底円筒状の本体部2aと、本体部2aの上部に本体部2aよりも径を絞られて形成された円筒状のネック部2bとからなり、本体部2aの底部は人の頭部に適合するように円弧状に形成されている。
【0004】
そして、生体検査用のセンサ(SQUIDセンサアレー)4がネック部2bより内槽2の本体部2a内に挿入されて円弧状の底部に設置され、このセンサ4を冷却する冷媒として例えば液体ヘリウムがネック部2bより本体部2aの内部に充填され、ネック部2bの内部には断熱材5が設けられている。
【0005】
外槽3は、内槽2を囲むように配置され、外槽3の内壁と内槽2の外壁との間には真空層6が形成されている。
また、外槽3の側面には真空層6に連通する真空引口3aが形成され、外槽3の底部は内槽2の円弧状の底部を囲むように形成されて、その外部に脳磁計測部3bが形成されている。
【0006】
そして、ネック部2bの側面には、例えば銅からなるドーナツ状の高温用の第一のサーマルアンカ7a、低温用の第一のサーマルアンカ7bが順次内槽2の下方に接続されて真空層6内に配置されている。
これらのサーマルアンカ7a,7bは、例えば銅などで形成された熱伝導率が高く、かつ熱容量の高い熱溜めである。
【0007】
そして、このサーマルアンカ7a,7bには、それぞれ例えば銅からなるメッシュ状で外部からの輻射熱をシールドするサーマルシールド8a,8bが互いに熱伝導可能に接続され、サーマルシールド8bを内側、サーマルシールド8aを外側として内槽2を順次取り囲むように真空層6内に配置されている。
【0008】
この場合、低温用のサーマルアンカ7bに接続されたサーマルシールド8bは、内槽2の円弧状の底部近傍の真空層6内においては人の頭部に適合する円弧状に形成されている。
【0009】
次に図に示したクライオスタットにおいて外部からの熱の侵入を防止するサーマルシールド効果について説明する。内槽2内の液体ヘリウムは外部からの放射・伝導による侵入熱で少しづつ蒸発し、蒸発したヘリウムはネック部2bと断熱材5の隙間を上昇し、その際にネック部2bが冷却され、ガスが熱を吸収し熱交換が行われる。
【0010】
そして、2段に構成されたサーマルアンカー7a,7bが冷却されることにより、同様に2段に構成されたサーマルシールド8a,8bが冷却され、外槽3の外部から侵入する輻射熱を吸収することで、内槽2に熱が伝わらないようにしており、これをサーマルシールドと呼んでいる。
【0011】
そして、高温用のサーマルシールド8aは例えば100〜180Kと比較的温度が高く、低温用のサーマルシールド8bは20〜50Kと低く設定され、サーマルシールド8a,8bとの間、内槽2、外槽3の壁との間隙は、アルミを蒸着したスーパーインシュレーションと呼ばれるフィルム状の薄膜(図示せず)を互いに接触しないように挟んで多数枚組込み、多重の熱シールドを実現することで輻射による熱侵入を極めて低くするようにしている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなクライオスタットには次のような問題点があった。
脳磁計に代表される生体磁気計測装置では極めて微弱な信号を計測するために脳磁計測部3b近傍の真空層6の幅(内槽2の底部と外槽3の底部との間に形成される真空層6の幅)を数mmと極めて薄くする。
このため、脳磁計測部3b近傍(内槽2の底部と外槽3の底部の近傍)の真空層6内にはサーマルシールド及びスーパーインシュレータを構造的に十分に設けることができない。
例えば、脳磁計測部3b近傍の真空層6内においてはサーマルシールド8aまたはサーマルシールド8bを省略したり(図2においてはサーマルシールド8aを省略している)、スーパーインシュレータの枚数を数分の1程度しか挿入できない。
【0013】
従って、通常この脳磁計測部3bからの熱侵入が極めて大きく、サーマルシールド8bに大きな温度分布が生じ(温度が不均一となる)、ネック部2b周辺は低い温度でも脳磁計測部3b近傍のサーマルシールド8bの温度は上昇してしまうばかりか、クライオスタット1全体の熱侵入も持ち上げてしまい、冷媒の蒸発量が多くなってしまうという欠点がある。
【0014】
また、サーマルシールド8bは銅メッシュでできているが、熱伝達を十分にするために断面積を大きく取ると熱雑音が大きくなりセンサ4での計測に悪影響を及ぼす。
従って、サーマルシールド8bには十分な熱伝達能力を持たせられず、これも冷媒の蒸発量を増加させる原因となっている。
【0015】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、大きな熱侵入源となっている脳磁計測部3b近傍(内槽2の底部及び外槽3の底部の近傍)のサーマルシールドを銅メッシュの断面積を増やすことなく効率的に冷却し、冷媒の蒸発量を低減することができるクライオスタットを実現することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1においては、内部に生体検査用の脳磁計測センサが設置されると共に前記脳磁計測センサを冷却する冷媒が充填される本体部とこの本体部に接続された筒状のネック部とを有する内槽と、前記内槽を囲むように配置され前記内槽の外壁との間に真空層を形成する外槽と、前記ネック部に接続されて前記真空層に配置される第一のサーマルアンカーと、前記第一のサーマルアンカーに接続されて前記真空層に配置されるサーマルシールド、とを有するクライオスタットにおいて、
前記内槽及び前記外槽は有底筒状で前記脳磁計測センサは前記内槽の底部に設置され、前記底部の近傍の前記真空層内に前記サーマルシールドに接続される第二のサーマルアンカーを設け、前記第一のサーマルアンカーと前記第二のサーマルアンカーに接続される熱輸送手段を設けたことを特徴とするクライオスタットである。
【0017】
本発明の請求項2においては、請求項1記載のクライオスタットにおいて、前記熱輸送手段はヒートパイプであることを特徴とするクライオスタットである。
【0018】
本発明の請求項3においては、請求項1記載のクライオスタットにおいて、前記ネック部の内部に設けられ、前記冷媒の蒸発したガスの顕熱を熱交換すると共にネック部を介して前記第一のサーマルアンカとの間で熱交換を行う均熱手段を設けたことを特徴とするクライオスタットである。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
尚、以下の図面において、図2と重複する部分は同一番号を付してその説明は適宜に省略する。
図1は本発明によるクライオスタットの構成を示す縦断面図である。
【0021】
図1において、9はサーマルアンカ7bとサーマルシールド8bに接続された熱輸送手段としてのヒートパイプであり、このヒートパイプ9は金属管の内部に封入された液体(窒素、水素、アルゴン、クリプトン、メタン等)の蒸発によって一端から熱を吸収し、蒸気の凝縮により他端より熱を放出することにより熱輸送を行うものである。
【0022】
そして、10は内槽2及び外槽3の底部近傍(脳磁計測部3bの近傍)の真空層6内において内槽2を取り囲むように設けられ、底部近傍の外部からの輻射熱を一時的に蓄熱し、ヒートパイプ9による熱輸送を効率化するための第二のサーマルアンカであり、ヒートパイプ9と内槽2及び外槽3の底部近傍(脳磁計測部3bの近傍)のサーマルシールド8bとに接続されている。
【0023】
そして、11aはネック部2bの内壁に設けられた均熱手段であり、11bはネック部2bの内部で断熱材5の周囲に設けられた均熱手段である。
また、均熱手段11bには断熱材5の内部に設けられた例えばアルミや銅等の反射率の高い金属製の円盤状の輻射シールド12に接続されている。
【0024】
これらの均熱手段11a,11bは、ネック部2bの内部における熱交換の実効的な面積を増やすと共に外部から流入する熱の吸収能力を高めるために設けられ、例えば高熱伝導率の銅・アルミなどの筒状の金属帯または網状の帯、あるいは針状の金属フィラー等を含浸した高熱伝導性樹脂材などで構成されている。
【0025】
そして、2cはネック部2bの熱伝導路を長くするために内槽2の本体部2aとネック部2bとの間に設けられた迂回部であり、ネック部2bの径よりも大きな径で形成されている。
【0026】
次に、図1に示したクライオスタットの動作について説明する。
内槽2及び外槽3の底部近傍(脳磁計測部3bの近傍)の外部より侵入した熱は、サーマルシールド8bより第二のサーマルアンカ10に伝熱及び畜熱されて温度勾配が形成され、ヒートパイプ9によって第一のサーマルアンカ7bに高速に熱輸送され、サーマルシールド8bは高速に冷却され、内槽2の内部への熱侵入が少なくなることにより冷媒の蒸発量は低減される。
【0027】
また、サーマルシールド8bを、内槽2の側面を取り囲む部分と内槽2の底部(脳磁計測部3bの近傍)を取り囲む部分とに分離させ、ヒートパイプ9を内槽2の底部(脳磁計測部3bの近傍)を取り囲む部分のみに接続し、内槽2の側面を取り囲む部分には接続しないようにしても良く、この場合、より効率的(優先的に)に熱の大きな侵入経路である脳磁計測部3bの近傍のサーマルシールド8bを冷却することができる。
【0028】
そして、均熱帯11a,11bは蒸発したヘリウムガス中の顕熱をネック部2bの内部で熱交換(冷却)すると共に、輻射シールド12を冷却してネック部2bの上部からの輻射熱を吸収し、また、ネック部2bを介してサーマルアンカー7bとの間で熱交換を行う。
また、流出ガスの温度は重力方向に水平を保つ性質があるため、均熱帯11a,11bは実効的なガスの熱交換部の接触面積を増やす効果がある。
【0029】
そして、迂回部2cは、熱伝導路長を長く取ることにより、ネック部2bから熱伝導により内槽2の内部に侵入する熱を迂回させ、侵入熱を減少させる。
この迂回部2cは、クライオスタット1全体の小型化のために特にネック部2bの上部からの距離が稼げない場合に有効である。
また、ネック部2bの内壁に斜め螺旋状に溝を設けて表面積を大きくするようにしても良い。
【0030】
また、図1においては、サーマルアンカ7bとサーマルシールド8bにのみヒートパイプ9を接続しているが、サーマルアンカ7aとサーマルシールド8aにも別のヒートパイプを接続しても良い。
【0031】
尚、ヒートパイプの内部に封入される液体は、接続されるサーマルアンカに設定される温度において液相と気相とが混在した状態となるような液体が適宜に選択される。
【0032】
また、サーマルシールドの円周方向の均熱が効率化するように、複数本のヒートパイプを一つのサーマルシールドに円周状に設けてもよい。
また、ここでは2層のサーマルシールドとしたが、サーマルアンカーをさらに細分化して、3層以上とし、ヒートパイプとサーマルシールドもこれに応じて増やした構造としてもよい。
また、ヒートパイプよりも冷却効果は低下するが、ヒートパイプの代わりに銅などのロッドでフレームを組んでサーマルシールドに接続するようにしても良い。
【0033】
また、サーマルアンカー10に銅メッシュのサーマルシールド8bを接続するようにしたが、サーマルシールド8bの内槽2の底部(脳磁計測部3bの近傍)を取り囲む部分を省略し、その部分に図示しないスーパーインシュレーションを複数枚設けてサーマルアンカ10に接続してもよい。
【0034】
また、熱伝達速度が大きくなることにより真空層6に挿入される図示しないスーパーインシュレーションの枚数を減らすことが可能となり、脳磁計測部3b近傍の真空層6の幅を狭くでき、信号源(頭部)に、よりセンサ4を近づけることでSN比を向上させるようにすることができる。
【0035】
また、熱伝達(冷却)をヒートパイプ9でおこなうため、サーマルシールド8a,8bを構成する銅メッシュの(サーマルアンカー7a,7bから脳磁計測部3bに向かう方向の)縦糸に頼らずに済み、銅メッシュを粗くしたり薄くしたりでき、銅メッシュによる熱雑音を小さくすることができる。
【0036】
また、真空層6の内部熱伝導がヒートパイプ9で高速におこなわれるため、従来、クライオスタット1本体内部の熱の安定化に6〜12時間必要であったものが極端に短くなり、ヘリウム注入時後、しばらく安定化しなかった蒸発量変化が短時間で安定し、液体ヘリウムのバブリング等で発生していたノイズが短時間で減少する。
【0037】
また、ガス排出路となるネック部2bの内部に熱交換の為の均熱帯11a,11bを設けたことにより、サーマルアンカー7bからの熱の伝播抵抗が減り、サーマルシールド8b全体の温度を下げることができる。
また、ネック部2bの実効的な長さを増やす為に迂回部2cを設けたので、均熱帯11a,11bを設けたことによる熱侵入が増えることを阻止することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、脳磁計測部の近傍(内槽の底部及び外槽の底部の近傍)から侵入する熱をヒートパイプにより熱侵入部から離れたサーマルアンカに高速に熱輸送するようにしたので、サーマルシールドは高速に冷却されて温度が均一化され、冷媒の蒸発量を低減させることができる。
【0039】
また、本発明によれば、ヒートパイプによりサーマルシールドを銅メッシュの断面積を増やすことなく効率的に冷却するようにしたので、銅メッシュによる熱雑音を抑制し、安定した計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるクライオスタットの構成を示す縦断面図である。
【図2】従来のクライオスタットの構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 クライオスタット
2 内槽
2a 本体部
2b ネック部
3 外槽
4 センサ
6 真空層
7a,7b サーマルアンカ
8a,8b サーマルシールド
9 ヒートパイプ
10 サーマルアンカ
11a,11b, 均熱手段

Claims (3)

  1. 内部に生体検査用の脳磁計測センサが設置されると共に前記脳磁計測センサを冷却する冷媒が充填される本体部とこの本体部に接続された筒状のネック部とを有する内槽と、前記内槽を囲むように配置され前記内槽の外壁との間に真空層を形成する外槽と、前記ネック部に接続されて前記真空層に配置される第一のサーマルアンカーと、前記第一のサーマルアンカーに接続されて前記真空層に配置されるサーマルシールド、とを有するクライオスタットにおいて、
    前記内槽及び前記外槽は有底筒状で前記脳磁計測センサは前記内槽の底部に設置され、前記底部の近傍の前記真空層内に前記サーマルシールドに接続される第二のサーマルアンカーを設け、前記第一のサーマルアンカーと前記第二のサーマルアンカーに接続される熱輸送手段を設けたことを特徴とするクライオスタット。
  2. 請求項1記載のクライオスタットにおいて、
    前記熱輸送手段はヒートパイプであることを特徴とするクライオスタット。
  3. 請求項1記載のクライオスタットにおいて、
    前記ネック部の内部に設けられ、前記冷媒の蒸発したガスの顕熱を熱交換すると共にネック部を介して前記第一のサーマルアンカとの間で熱交換を行う均熱手段を設けたことを特徴とするクライオスタット。
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