JP4360118B2 - 燃料電池セル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、移動通信装置、家庭用発電システムなどの発電装置として使用される燃料電池セル、特に高分子電解質を用いた燃料電池セルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高分子電解質型燃料電池セルは、図17に示すように、高分子電解質膜71をアノード72とカソード73で両側から挟み込んだ構造をしており、アノード72は、ガス拡散層74と触媒層76からなり、カソード73は、ガス拡散層75と触媒層77からなっている。アノード72側では、ガス拡散層74を通して供給された水素ガスから触媒層76により水素イオン(プロトン)と電子とが生成され、この水素イオンは高分子電解質膜71中をカソード73側に移動する。カソード73側では、ガス拡散層75を通して供給される酸素ガスおよび外部回路を経てカソード73に供給される電子とが反応して水が生成される。このときのアノード72側での反応およびカソード73側での反応は、次の通りである。
アノード72側 H2 → 2H+ + 2e-
カソード73側 (1/2)O2 + 2H+ + 2e- → H2O
【0003】
上記の水素イオン源として、水素ガスを直接供給する方式と、メタノールなどのアルコール類やその他の液体水素化合物を用い、これらと水とを反応させる方式が知られており、メタノールをアノード72に供給する燃料電池は、ダイレクトメタノール燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)と呼ばれ、小型化および密封化が可能であることから、携帯端末などへの用途が期待されている。
【0004】
高分子電解質膜71としては、パーフルオロスルホン酸系ポリマーなどのイオン導電性樹脂からなるもの、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜にイオン導電性樹脂を含浸させたものなどが知られている。高分子電解質膜71の両面に白金などの貴金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層76、77が密着して配置され、触媒層76の外側にガス透過性と導電性を兼ね備えたガス拡散層74、75が密着して配置される。高分子電解質膜71と触媒層76、77とを機械的に一体化したもの、または、高分子電解質膜71と触媒層76、77とガス拡散層74、75を機械的に一体化したものがMEA(Membrane − Electrode Assembly)と呼ばれ、燃料電池の一部品として使用されるようになってきている。
【0005】
従来から提案されている燃料電池セルは、図18の側断面図および図19の外観図に示すように、MEA(高分子電解質膜の両側に触媒層を形成したもの)81の両側にガス拡散層82、83を設け、これらをセパレータ(筐体)84、85で挟み込んだ構造をしている。なお、86は、カソード側ガス流路、87は、アノード側ガス流路、88は、カソードガス(水素 )導入管、89は、アノードガス(酸素または空気)導入管、90は、生成水排出管である。
【0006】
このような、構成の燃料電池セルにおいて、燃料となる水素のようなガスあるいはメタノールのような液体は、導入管の途中に設けられたバブルの開閉により供給および遮断の切り換えが行われている(例えば、特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特開平08−078037号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成の燃料電池セルにおいて、燃料となる水素のようなガスあるいはメタノールのような液体は、導入管の途中に設けられたバルブの開閉により供給および遮断の切り換えが行われている。しかしながら、この方法であると、バルブと高分子電解質膜表面との間の空間の容量が大きく、ここで燃料ガスや液体のロスが発生して効率が低下し、また、燃料電池セルのオン、オフ動作の時間的遅延が発生したりするなどの問題がある。さらに、DMFCは携帯端末の発電機としての用途が期待されているものであるが、バルブと高分子電解質膜表面との間に滞留したメタノールが、高分子電解質膜を拡散し、酸素極(カソード)側に抜けて直接空気中の酸素と反応して異常発熱の原因となることが認められている。さらにまた、携帯端末への用途としては小型化が求められ、バルブを取り付ける空間を確保しにくいとう問題がある。
【0009】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、燃料ガスまたは液体の供給と遮断の切り換え時におけるロスの発生を抑止でき、また、燃料電池のオン、オフ動作の時間的遅延の発生を抑止できる燃料電池セルを提供することにある。さらに、本発明の他の目的とするとことは、メタノールと酸素の反応による異常発熱を防止でき、しかも、小型化が可能な燃料電池セルを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜を挟んで配される触媒層と、前記触媒層の外側に配されるガス拡散層と、前記ガス拡散層の外側に配されるセパレータとを備え、かつ、前記セパレータには、前記高分子電解質膜側に複数の溝からなるガス流路が設けられる燃料電池であって、前記セパレータの前記ガス拡散層側には、前記ガス流路の溝と対になった孔を複数有する面状遮断装置が前記固体高分子電解質膜に略平行となるように設けられており、前記面状遮断装置を前記ガス拡散層に沿う方向に移動することにより、前記ガス拡散層との間を遮断できるようにしたことを特徴とする燃料電池セルを提供する。
【0011】
本発明の燃料電池セルによれば、アノード面またはカソード面に近接して燃料または酸素を含んだガス又は液体の供給を遮断する面状遮断装置が設けられているため、燃料が滞留する空間の容量を極めて小さくすることができ、燃料ロスの発生を抑止でき、また、燃料電池のオン、オフ動作の時間的遅延の発生を抑止できるようになる。そして、カソード側に面状遮断装置を設けた場合は、メタノールが、高分子電解質膜を拡散してカソード側に抜けて直接空気中の酸素と反応することが防止され、異常発熱の要因が除去されるようになる。さらに、バルブを取り付ける空間を必要としなくなるので、燃料電池の小型化をはかることができるようになる。なお、本発明の目的達成のためには、アノード面に近接する位置とカソード面に近接する位置の双方に面状遮断装置を設けることも可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の燃料電池セルの一実施の形態の側断面説明図であり、高分子電解質膜の両側に触媒層を密着させたMEA1の一方面にアノードガス拡散層2が、他方面にカソードガス拡散層3が設けられ、これらガス拡散層2および3は、外側からセパレータ(筺体)4および5で挟み込まれ、ガス流路6から水素ガスが、ガス流路7から酸素ガスが導入される構成となっている。水素ガスを送り込むガス流路6を有するセパレータ4とアノードガス拡散層2との間には、ガス流路11を有するスペーサ10が設けられ、セパレータ4とスペーサ10との間にシャッター(面状遮断装置)8が設けられている。シャッター8には孔9が形成されており、この孔9を介してガス流路6と11が連通するようになっている。図1は、燃料電池セルが動作中の状態を示したものであり、ガス導入管(図示せず)から導入された水素ガスは、ガス流路6、孔9およびガス流路11を通ってMEA1に供給され反応が進行する。なお、図1において、12は気密性を保持するためのガスケットである。
【0013】
燃料電池セルの動作を停止させるときは、シャッター8を図1の矢印方向に移動させると、孔9は、図2に示すように、セパレータ4およびスペーサ10の間に挟まれた状態になり、水素ガスの供給がシャッター8により遮断される。図2から明らかなように、MEA1とシャッター8との間に存在する空間は極めて小さいため、この空間に滞留する水素ガスの量を最小限に抑えることができ、燃料効率を向上でき、また、オン、オフ動作の時間的遅延を小さくすることができる。さらに、本実施の形態においては、アノードガス拡散層2とシャッター8との間にスペーサ10が介在されるため、シャッター8の開閉に伴うアノードガス拡散層2の摩耗を防止することができる。
【0014】
図3は、本発明の燃料電池セルの他の実施の形態を示したものであり、図1の実施の形態と異なる点は、スペーサ10を設けることなく、アノードガス拡散層2とセパレータ4の間にシャッター8を配置したものである。MEA1とシャッター8との間には殆ど空間が存在しなくなり、更に効果的に水素ガスの影響を抑止することができる。
【0015】
図4は、本発明の燃料電池セルのさらに他の実施の形態を示したものであり、カソードガス拡散層3とセパレータ5の間にシャッター8を配置したものである。図示されているのは、燃料電池が動作中の状態であり、酸素ガスは、孔9を通してカソードガス拡散層3に供給されるようになっている。燃料電池セルの動作を停止させるときは、シャッター8を図4の矢印方向に移動させ、孔9をセパレータ5で塞ぐことにより酸素の供給が遮断されるようになる。この場合、シャッター8によってガス流路6等に滞留した水素ガスまたはメタノールがアノード側から外部に抜けるのが遮断されるので、酸素ガスとの反応が抑止され、異常発熱が防止される。
【0016】
図5および図6は、本発明の燃料電池セルの参考例を示したものである。本参考例の形態は、セパレータ4を面状遮断装置として使用して水素ガスの供給を遮断できるようにしたものである。図5は、燃料電池セルが動作中の状態であり、セパレータ4に形成されたガス流路6およびスペーサ10に形成されたガス流路11を介して水素ガスがアノードガス拡散層2側に供給されるようになっている。セパレータ4を図中の矢印方向に移動させて、図6に示すような状態にすると、水素ガスの供給が遮断され、燃料電池セルは停止状態となる。このように、セパレータ4に面状遮断装置としての役目を兼備させることにより、より薄型の燃料電池セルを実現できるようになる。
【0017】
図7および図8は、本発明の燃料電池セルの参考例を示したものであり、図8は、図7のA−A′線での断面図である。本参考例の形態は、平板型集積燃料電池セルの例であり、オープン極側に蓋12が設けられており、この蓋12を閉めることで燃料または酸素を含んだガスの供給が遮断され、燃料電池の運転を停止させることができる。図において、13は燃料電池セルであり、本参考例の形態においては、9個の燃料電池セル13が一平面上に配置されており、これらは、電気的には直列に接続されている。また、1は、MEA、2および3はそれぞれガス拡散層、14は筺体、15は燃料流路、16は燃料タンクである。
【0018】
図9および図10は、本発明の燃料電池セルの参考例を示したものであり、図10は、図9のB−B′線での断面図である。本参考例の形態も図7および図8の参考例と同様に平板型集積燃料電池セルの例であり、集積ガス極側にシャッター17が設けられており、このシャッター17を閉めることで燃料または酸素を含んだガスの供給が遮断され、燃料電池の運転を停止させることができる。図において、13は燃料電池セル、1は、MEA、2および3はそれぞれガス拡散層、18は筺体、15は燃料流路、16は燃料タンクである。
【0019】
図11および図12は、本発明の燃料電池セルの参考例を示したものであり、図12は、図11のC−C′線での断面図である。本参考例の形態は、円筒型燃料電池セルの例であり、セパレータ19の外周にはMEA1、ガス拡散層2および3からなる積層体が円筒形状に巻回され、周囲にワイヤ17が、また、両端にはフランジ18が設けられている。そして、セパレータ19の内周にはシャッター20が設けられており、このシャッター20を回転させることで燃料流路21から燃料または酸素を含んだガスが供給され、また、供給が遮断されるようになっている。セパレータ19は、図13に示すように、複数の縦溝22を有し、この縦溝22に孔23が複数形成されている。シャッター20は、図14に示すように、孔24を複数有しており、孔23と孔24の位置を一致させると、燃料または酸素を含んだガスが供給されて電池は運転状態となり、孔23と孔24の位置をずらすことにより、燃料または酸素を含んだガスの供給が遮断され、電池の運転が停止する。図15は、セパレータの他の参考例形態を示したもので、このセパレータ25は、複数の横溝26を有しており、横溝26に孔27が複数設けられている。
【0020】
図16は、本発明の燃料電池セルのさらに他の参考例を示したものである。本参考形態は、図1ないし図4の実施の形態で説明したような構成の燃料電池セル28を多層に積層し、各燃料電池セル28に設けられたシャッター29を連結板30で連結して構成したものである。このような構成により、燃料電池セル28に対する燃料または酸素を含んだガスの供給を同時に遮断し、電池の運転を停止することができる。図において、31は燃料ガス導入管、32は燃料ガス排出管、33は空気導入管、34は空気排出管である。
【0021】
【発明の効果】
以上説明してきたとおり、本発明の燃料電池セルは、アノード面またはカソード面に近接して燃料または酸素を含んだガスの供給を遮断する面状遮断装置が設けられているため、燃料が滞留する空間の容量を極めて小さくすることができ、燃料ロスの発生を抑止でき、また、燃料電池のオン、オフ動作の時間的遅延の発生を抑止できるようになる。そして、カソード側に面状遮断装置を設けた場合は、メタノールが、高分子電解質膜を拡散してカソード側に抜けて直接空気中の酸素と反応することが防止され、異常発熱の要因が除去されるようになる。さらに、本発明の燃料電池セルはバルブを取り付ける空間を必要としなくなるので、燃料電池セルの小型化をはかることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の燃料電池セルの一実施の形態の説明図(動作中の状態)。
【図2】 本発明の燃料電池セルの一実施の形態の説明図(動作停止の状態)。
【図3】 本発明の燃料電池セルの他の実施の形態の説明図。
【図4】 本発明の燃料電池セルの他の実施の形態の説明図。
【図5】 本発明の燃料電池セルの参考例の説明図(動作中の状態)。
【図6】 本発明の燃料電池セルの参考例の説明図(動作停止の状態)。
【図7】 本発明の燃料電池セルの参考例の説明図(平板型集積燃料電池セルの実施の形態)。
【図8】 図7のA−A′線断面説明図。
【図9】 本発明の燃料電池セルの参考例の説明図(平板型集積燃料電池セルの実施の形態)。
【図10】 図9のB−B′線断面説明図。
【図11】 本発明の燃料電池セルの参考例の説明図(円筒型燃料電池セルの実施の形態)。
【図12】 図11のC−C′線断面説明図。
【図13】 セパレータの一参考例の斜視説明図。
【図14】 シャッターの一参考例の斜視説明図。
【図15】 セパレータの参考例の斜視説明図。
【図16】 燃料電池セルを多層に積層した参考例の説明図。
【図17】 燃料電池セルの原理説明図。
【図18】 従来の燃料電池セルの断面説明図。
【図19】 従来の燃料電池セルの外観説明図。
【符号の説明】
1:MEA
2、3:ガス拡散層
4、5:セパレータ
6、7:ガス流路
8:シャッター
9:孔
10:スペーサ
11:ガス流路
12:ガスケット
Claims (3)
- 固体高分子電解質膜と、
前記固体高分子電解質膜を挟んで配される触媒層と、
前記触媒層の外側に配されるガス拡散層と、
前記ガス拡散層の外側に配されるセパレータとを備え、
かつ、前記セパレータには、前記高分子電解質膜側に複数の溝からなるガス流路が設けられる燃料電池であって、
前記セパレータの前記ガス拡散層側には、前記ガス流路の溝と対になった孔を複数有する面状遮断装置が前記固体高分子電解質膜に略平行となるように設けられており、前記面状遮断装置を前記ガス拡散層に沿う方向に移動することにより、前記ガス拡散層との間を遮断できるようにしたことを特徴とする燃料電池セル。 - 前記ガス拡散層と前記面状遮断装置との間に、前記ガス流路の溝と対になった孔を複数有するスペーサを設けることを特徴とする請求項1記載の燃料電池セル。
- 前記面状遮断装置は、前記複数の孔がそれぞれ対になったガス流路の溝から隣接するガス流路の溝までは移動できないよう前記セパレータに前記面状遮断装置を係止させるストッパーを有することを特徴とする請求項1記載の燃料電池セル。
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