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JP4363382B2 - 印刷用画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents
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JP4363382B2 - 印刷用画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像データを印刷用情報に変換する印刷用画像処理装置に関する。特に、複数色の液体インクの微粒子(ドット)を印刷用紙(記録材)上に吐出出力して所定の文字や画像を描画するインクジェットプリンタに関する。
インクジェットプリンタは、一般に、安価でかつ高品質のカラー印刷物が容易に得られることから、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの普及に伴い、オフィスのみならず一般ユーザにも広く普及してきている。
このようなインクジェットプリンタは、一般に、インクカートリッジと印字ヘッドとが一体的に備えられたキャリッジと称される移動体を有する。キャリッジが印刷媒体(用紙)上をその紙送り方向の左右に往復しながらその印字ヘッドのノズルから液体インクの粒子をドット状に吐出(噴射)出力することで、印刷用紙上に所定の文字や画像を描画して所望の印刷物が作成される。キャリッジに黒色(ブラック)を含めた4色(イエロー、マゼンタ、シアン)のインクカートリッジと各色毎の印字ヘッドを備えることで、モノクロ印刷のみならず、各色を組み合わせたフルカラー印刷も容易に行えるようになっている。更に、より高画質化のため、これらの各色に、ライトシアンやライトマゼンタなどを加えた6色や7色、或いは8色のものも実用化されている。
このようにキャリッジ上の印字ヘッドを紙送り方向の左右(印刷用紙の幅方向)に往復させながら印刷を実行するようにしたタイプのインクジェットプリンタを、一般に「マルチパス型プリンタ」という。マルチパス型プリンタでは、1頁全体をきれいに印刷するために印字ヘッドを数十回から100回以上も往復動させる必要がある。そのため、他の方式の印刷装置、例えば複写機などのような電子写真技術を用いたレーザプリンタなどに比べて大幅に印刷時間がかかると行った欠点がある。
これに対し、印刷用紙の幅と同じ寸法の長尺の印字ヘッドを配置してキャリッジを使用しないタイプの「ラインヘッド型プリンタ」と呼ばれるインクジェットプリンタがある。ラインヘッド型プリンタは、印字ヘッドを印刷用紙の幅方向に移動させる必要がなく、所謂1パスでの印刷が可能である。したがって、前記レーザプリンタと同様な高速な印刷が可能となる。
ところで、このようなインクジェットプリンタに不可欠な印字ヘッドは、直径が10〜70μm程度の微細なノズルを一定の間隔で直列、または印刷方向に多段に配設してなるものである。製造誤差によって一部のノズルのインクの吐出方向が傾いてしまったり、ノズルの位置が理想位置と外れた位置に配置された場合、そのノズルで形成されるドットが目標点よりもずれてしまうといった、所謂「飛行曲がり現象」が発生してしまうことがある。
この結果、その不良ノズル部分に相当する印刷部分に印刷不良が発生して、印刷品質を著しく低下させてしまうことがある。すなわち、「飛行曲がり現象」が発生すると隣接ドット間の距離が不均一となり、隣接ドット間の距離が長い部分には「白スジ(印刷用紙が白紙の場合)」が発生し、隣接ドット間の距離が短い部分には「濃いスジ」が発生する。このように「スジ」が見えることを「バンディング現象」という。
マルチパス型プリンタでは、印字ヘッドを何回も往復させることを利用してバンディング現象を目立たなくする技術がある。しかし、ラインヘッド型プリンタにおいてはこの技術を用いることができないため、バンディング現象はより深刻な問題である。
バンディング現象を抑制するための技術としては、印字ヘッド、キャリッジ等のハードウェアを改良する技術と、画像処理等のソフトウェアを改良する技術がある。ソフトウェア的な手法を用いた例としては、例えば、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1は、ドットを千鳥状に配置することによりバンディングを目立たなくする技術を開示している。すなわち、特許文献1によれば、例えば印刷解像度720dpiであれば、本来、1/720inchの全ての格子上に印字すべきドットは、当該1/720inchの格子上に千鳥状に印字される。つまり、特許文献1によれば、印刷解像度は、印刷可能最大解像度の1/√2となる。
特開2003−94620号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載された印刷用画像処理技術では、画像データの階調度をドット径相当の濃度に変換する、所謂2値化処理の回数を印刷可能最大解像度の1/√2まで低減することができるが、同時に印刷解像度が印刷可能最大解像度の1/√2となってしまうという問題がある。画像処理装置においては、高速化と同時に高画質化が要求されるが、特許文献1に記載の技術では高画質化を達成することができないという問題がある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、2値化処理の数(回数)を低減し、かつ、バンディング現象の低減を含む高画質化を可能とする印刷用画像処理装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、マトリックス状に配置された画素の階調度を示す画像データを、少なくとも印字走査方向と直交する方向の解像度が印刷可能最大解像度より低い解像度で配置される単位ドットのドット径を示す2値データに変換する2値化処理手段と、前記2値化処理手段により得られた2値データから、前記単位ドットに対応する位置に形成される基準ドットのドット径と、前記基準ドットと異なる位置に形成される拡張ドットのドット径とを示すデータを含む印刷制御データを生成する拡張ドット作成手段と、前記拡張ドット作成手段により生成された印刷制御データを、インクを吐出する複数のノズルを有する画像形成手段に出力する出力手段とを有し、前記基準ドットおよび前記拡張ドットの単位面積あたりの濃度が、前記単位ドットの単位面積あたりの濃度に等しいことを特徴とする印刷用画像処理装置を提供する。
この印刷用画像処理装置によれば、2値化処理の数(回数)を、印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度数まで低減することができると共に、基準ドット及びそれと位置の異なる拡張ドットにより粒状感を抑えて画質を確保し、かつ拡張ドットの位置を基準ドットの位置から印字走査方向と交差する方向にずらすことによりバンディング現象を低減することが可能となる。また、基準ドット及び拡張ドットを印字するノズルを個別のものとすることができるので、それらのインク出力特性を個別のものとすることが可能となり、複数のノズルを搭載する基準ドット用のノズルヘッドと拡張ドット用のノズルヘッドとを個別にし、夫々の階調度を個別に設定することにより、ノズルヘッドの機械的精度を、一方は高精度、一方は低精度とすることが可能となるので、低精度側のノズルヘッドを簡素化、低廉化することも可能となる。
好ましい態様において、この印刷用画像処理装置は、前記拡張ドットが、前記基準ドットに隣接してドット形成可能な位置に作成されてもよい。
この印刷用画像処理装置によれば、基準ドットと拡張ドットとで本来の濃度を分割することにより、単位面積あたりの濃度変化がなく、画質を確保することができる。
好ましい態様において、この印刷用画像処理装置は、前記拡張ドットが、前記複数のノズルのうち前記基準ドットを出力するノズルの隣のノズルにより形成され、前記拡張ドットが、印字走査方向に対して前記基準ドットの次のラインに作成されてもよい。
この印刷用画像処理装置によれば、基準ドットと基準ドットの中間に拡張ドットを形成することができるので、バンディング現象を低減することができる。
上記いずれかの態様の印刷用画像処理装置において、前記基準ドットのドット径が、対応する拡張ドットのドット径以上であってもよい。
この印刷用画像処理装置によれば、ドット径の大きいドットとドット径の小さいドットが隣接して配設されることになるので、主要な画質はドット径の大きいドットで認識され、ドット径の大きいドット間で発生し易いバンディング現象はドット径の小さいドットにより効果的に低減される。
上記いずれかの態様の印刷用画像処理装置において、前記基準ドットおよび前記拡張ドットの単位面積あたりの濃度が、前記複数のノズルで印字可能な最小径のドットの単位面積あたりの濃度の整数倍であってもよい。
この印刷用画像処理装置によれば、拡張ドットを最小ドット径とすることにより、基準ドットは、本来の濃度に相当するドット径から最小ドット径を減じたものとなり、演算負荷が軽減される。
上記いずれかの態様の印刷用画像処理装置において、前記拡張ドット作成手段が、前記基準ドット及び拡張ドットの配列を、印字走査方向あるいはそれと直交する方向において所定ライン数毎に変更してもよい。
この印刷用画像処理装置によれば、印字走査方向、つまりバンディング現象の発生方向に、ミクロ的な同一濃度が連続しなくなるので、バンディング現象を効果的に低減することができる。
別の好ましい態様において、この印刷用画像処理装置は、前記複数のノズルの各々により形成されるドットの単位面積あたりの濃度の理想濃度からのずれ量を記憶した濃度ずれ量記憶手段をさらに有し、前記拡張ドット作成手段が、前記拡張ドットのドット径を、その近傍の基準ドットを出力するノズルの濃度ずれ量に基づいて決定してもよい。
この態様の印刷用画像処理装置は、ノズルの濃度ずれ量と、前記単位ドットのドット径と、前記拡張ドットのドット径とを対応付けた拡張ドット径テーブルを記憶した拡張ドット記憶手段をさらに有し、前記拡張ドット作成手段が、前記拡張ドット記憶手段を参照して前記拡張ドットのドット径を決定してもよい。あるいは、前記拡張ドット作成手段が、形成可能な拡張ドットのドット径のうち、前記2値化処理手段で求めた濃度に最も近いドット径を選択してもよい。
この態様の印刷用画像処理装置は、前記複数のノズルの各々により形成されるドットの単位面積あたりの濃度が、理想濃度よりも薄い場合、前記拡張ドット作成手段が、拡張ドットのドット径を大きく設定してもよい。あるいは、前記複数のノズルの各々により形成されるドットの単位面積あたりの濃度が、理想濃度よりも濃い場合、前記拡張ドット作成手段が、拡張ドットのドット径を小さく設定してもよい。
以上の態様の印刷用画像処理装置において、前記濃度ずれ量が、前記複数のノズルの各々の理想位置からの位置ずれ量に基づいて算出されてもよい。あるいは、前記濃度ずれ量が、前記複数のノズルの各々により形成されるドットのサイズの、理想サイズからのサイズずれ量に基づいて算出されてもよい。さらにあるいは、前記濃度ずれ量が、(A)前記複数のノズルの各々の理想位置からの位置ずれ量、および(B)前記複数のノズルの各々により形成されるドットのサイズの、理想サイズからのサイズずれ量、の双方に基づいて算出されてもよい。
これらの印刷用画像処理装置によれば、拡張ドットのドット径を適切に選択することにより、所定の範囲の濃度を2値化処理手段で求めた濃度に適切に保つことができる。
また、本発明は、マトリックス状に配置された画素の階調度を示す画像データを、少なくとも印字走査方向と直交する方向の解像度が印刷可能最大解像度より低い解像度で配置される単位ドットのドット径を示す2値データに変換する2値化処理ステップと、前記2値データから、前記単位ドットに対応する位置に形成される基準ドットのドット径と、前記基準ドットと異なる位置に形成される拡張ドットのドット径とを示すデータを含む印刷制御データを生成する拡張ドット作成ステップと、前記印刷制御データを、インクを吐出する複数のノズルを有する画像形成手段に出力する出力ステップとを有し、前記基準ドットおよび前記拡張ドットの単位面積あたりの濃度が、前記単位ドットの単位面積あたりの濃度に等しいことを特徴とする画像処理方法を提供する。
さらに、本発明は、コンピュータ装置に、上述の画像処理方法を実行させるプログラムを提供する。
<1.第1実施形態>
次に、本発明の第1実施形態に係る印刷用画像処理装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のインクジェットプリンタ2とそれを駆動するためのパーソナルコンピュータ1を表している。パーソナルコンピュータ1内には、インクジェットプリンタ2を駆動するためのデバイスドライバ3が構築されている。パーソナルコンピュータ1は、デバイスドライバ3をアプリケーションソフトウエア4によって駆動することにより、インクジェットプリンタ2を駆動する、つまり印刷を行う。本実施形態のインクジェットプリンタ2は、前述したラインヘッド型プリンタである。インクジェットプリンタ2の印刷可能最大解像度は720dpi(dot per inch)である。このラインヘッド型プリンタは、例えば後述する図12のように、ヘッドAおよびヘッドBから構成される。ヘッドAにおいては、複数のノズルが、印字走査方向と垂直な方向に360dpiのピッチ(=1/360inch)で配置されている。ヘッドBの構造は基本的にヘッドAと同一である。ノズルの数は、印刷媒体の幅に相当する数である。ヘッドAおよびヘッドBは、互いに印字走査方向と垂直な方向に1/720inch(720dpi相当)ずらして配設されている。ヘッドAおよびヘッドBを合わせて720dpi相当のラインヘッドが形成される。インクジェットプリンタ2は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色毎にラインヘッドを備えるカラープリンタである。これら4色のラインヘッドは、印字走査方向に正確に並べられ、ヘッドユニットを構成する。ヘッドユニットは、デバイスドライバ3からの指令信号に従って、各ノズルから液体インクを吐出する。インクジェットプリンタ2は、ヘッドユニットを印刷媒体に対して印字走査方向に移動しながらインクを吐出することで、1パスで画像を印刷することができる。
図2は、パーソナルコンピュータ1のハードウェア構成を示すブロック図である。デバイスドライバ3は、ソフトウエアによって構成される。CPU(Central Processing Unit)60は、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置である。RAM(Random Access Memory)62は、主記憶装置である。ROM(Read Only Memory)64は、読み出し専用の記憶装置である。入出力インターフェース(I/F)66は、以上の構成要素と、以下で説明する構成要素との間でデータや指令信号の送受信を行うインターフェースである。内外バス68は、例えばPCIバスやISAバスなどにより構成され、以上で説明した各構成要素を接続する。外部記憶装置70は、HDD(Hard Disk Drive)等から構成される。出力装置72は、インクジェットプリンタ1やCRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)モニタ等の装置である。入力装置74は、操作パネル、マウス、キーボード、スキャナ等から構成される。ネットワークLは、印刷指示装置(図示略)等の外部装置と通信するためのネットワークである。
パーソナルコンピュータ1の電源を投入すると、ROM64等に記憶されたBIOS(Basic Input/Output System)等のシステムプログラムが、ROM64に予め記憶された各種専用のコンピュータプログラム、或いはCD−ROMやDVD−ROM、フレキシブルディスク(FD)等の記憶媒体を介して、またはインターネット等の通信ネットワークを介して記憶装置70にインストールされた各種専用のコンピュータプログラムを同じくRAM62にロードする。RAM62にロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPU60が各種リソースを駆使して所定の制御及び演算処理を行うことにより、パーソナルコンピュータ1は、後述する各機能をソフトウエア上で実現する。なお、デバイスドライバ3は、インクジェットプリンタ内に設けられているプリンタ制御部内に設けられていてもよいし、全く別個のコンピュータシステム内に設けられていてもよい。同様に、デバイスドライバ3を駆動するためのアプリケーションソフトウエアも、インクジェットプリンタ内に設けられているプリンタ制御部内で実行されてもよいし、全く別個のコンピュータシステム内で実行されてもよい。また、デバイスドライバ、アプリケーションソフトウエアと同等の機能をハードウエアによって構成してもよい。
まず、図1を参照してデバイスドライバ3の演算処理の手順について説明する。デバイスドライバ3を実行するCPU60は、まずステップS1でアプリケーションソフトウエア4から入力された例えばRGB画像データに対し、解像度の変換を行う。アプリケーションソフトウエア4によって入力されるRGB画像データが、例えば1画素あたりの各色(R、G、B)毎の階調(輝度値)が8ビット(0〜255)で表現される多値の画像データである場合、その画像データは、これから印刷しようとする画像データの解像度に変換される。本実施形態のインクジェットプリンタ2の印刷可能最大解像度は720dpiであるが、この解像度変換ステップでは、画像データはその半分、つまり360dpiの解像度に変換される。次のステップS2では、CPU60は、ステップS1で解像度変換されたRGB画像データの色空間をCMYK系に変換してCMYK画像データを得る。
ステップS3において、CPU60は、CMYK画像データを構成する各画素の2値化(量子化)処理を行う。インクジェットプリンタ2のノズルは、あらかじめ決められた径(本実施形態においては、図4に示されるように5通りの径)のドットしか出力することができない。2値化処理とは、例えば画像データを構成する任意の1画素(注目画素)の画素値を、多値の階調値から、ある径のドットを出力するか出力しないか、つまりノズルから液体インクを吐出するかしないかを示すデータに変換するものである。本実施形態においては、誤差拡散法による2値化処理が行われる。誤差拡散処理とは、多値のデータを或る閾値を基準に2値化処理する際に、注目画素の階調値と閾値との差を、これから処理する複数の画素に拡散させるものである。例えば、8ビット(256階調)画像データにおいて、注目画素の階調が「101」、閾値が「127」であった場合、単純な2値化処理では、注目画素の階調は閾値に満たないため、「0」すなわちドットを形成しない画素として処理され、階調と閾値との差「101」は、誤差として捨てられてしまう。これに対し、誤差拡散処理の場合は、階調と閾値との差「101」は、所定の誤差拡散マトリックスに従ってその周囲の未処理の画素に対して拡散される。周囲の画素においては、自らの階調と拡散された誤差との和が新たな画素値となる。例えば、注目画素の右隣の画素が単純な2値化処理では閾値に満たないことから「ドットを形成しない」として処理される場合でも、注目画素の誤差が加算されることによってその画素値が閾値を超えて「ドットを形成する」画素として処理される。このように誤差拡散処理によれば、多値画像データに近い2値化データを得ることが可能となる。2値化処理の結果、その注目画素の位置にドット(単位ドット)が形成されるか否か、形成される場合はそのドット径を示すデータが生成され、誤差は周囲の画素に拡散される。本実施形態において、ステップS3行われる2値化処理の数(回数)は、インクジェットプリンタ2の印刷可能最大解像度の半分、つまり360dpiに相当する回数行われる。なお、誤差拡散法に代わりディザマトリックス法により2値化処理を行ってもよい。
ここで、「ドット」とは、ノズルから吐出出力する液体インクの微粒子、あるいは、この液体インクの微粒子により用紙(記録材)上に形成された画像を意味する。また、「ドット径」とは、その微粒子の直径(または半径)を意味する。つまり、微粒子である印字ドットの直径(または半径)が大きくなると、複数のドットで構成される或る範囲の濃度は濃く(数値では大きく)なり、印字ドットの直径(または半径)が小さくなると濃度は薄く(数値では小さく)なる。2値化処理の詳細については、後段に詳述するが、画像データの階調度を濃度に変換し、その濃度に対応するドット径を設定することを意味する。
ここで、濃度とは、ある径のドットが印刷用紙に着弾して形成された画像(ドット)の単位面積あたりの印字領域の面積である。単位面積をLとすると、最小ドット径Rminのドットの濃度は、πRmin /L(π:円周率)となる。従って、濃度を2倍(2πRmin /L)にするには、ドット径Rを、R=Rmin・√2とすればよい。
ステップS4において、CPU60は、後段に詳述する図3の演算処理を行うことにより、拡張ドット及び基準ドットを作成する。基準ドット及び拡張ドットは、ステップS3の2値化処理の結果に基づいて作成される。すなわち、2値化処理で得られたドット径の単位ドットと等しい濃度の出力が得られるように、本来、形成されるべき単位ドット(360dpi相当の要求濃度値)を、基準ドット及び拡張ドットの2つに分割するものである。具体的には、本実施形態では、図12に示されるラインヘッドのうちヘッドAで基準ドットが形成され、ヘッドBで拡張ドットが形成される。夫々の基準ドット及び拡張ドットは次のように作成される。つまり、本実施形態では、基準ドットに隣接してドット形成可能な位置に拡張ドットが形成される。また、基準ドットを出力するノズルの隣のノズルで、印字走査方向において基準ドットの次のラインに拡張ドットが形成される。さらに、基準ドットのドット径が拡張ドットのドット径以上となるように、すなわち、大きなドット径のドットと小さなドット径のドットとの組合せになるように基準ドット及び拡張ドットが形成される。加えて、基準ドット及び拡張ドットは、ノズルで印字可能な最小ドット径の濃度(正確には単位面積あたりの濃度)の自然数倍の濃度になるように形成される。本実施形態において、単位ドットの解像度は印刷可能最大解像度の1/2であるので、基準ドットおよび拡張ドットにより形成される画像の解像度はインクジェットプリンタ2の印刷可能最大解像度の1/√2倍になる。そして、ステップS5において、CPU60は、ステップS4で作成した基準ドット及び拡張ドット情報をラスタライズによってインクジェットプリンタ2に適合する機械コードに変換する。CPU60は、その機械コードをインクジェットプリンタ2の制御部に出力する。
図4は、単位ドットのドット径と濃度の関係を説明する図である。図3に示される拡張ドット(及び基準ドット)作成のための演算処理の説明の前に、ドット径と要求濃度値との関係について図4を用いて説明する。本実施形態において、CMYK印刷用画像データの各画素は、0%、20%、40%、60%、80%、100%の6階調度で印字される。すなわち、インクジェットプリンタ2の各ノズルは、6通りの径のドットを吐出可能である。濃度が0%のとき、ドットは形成されない。出力濃度が20%のとき、形成されるドットの大きさは、ノズルで形成可能な最小ドット径に相当する。図2のステップS3で行われる2値化処理後、画像データの解像度は、インクジェットプリンタの印刷可能最大解像度の半分、つまり360dpiである。図4において、正方形の格子は解像度360dpiに相当する単位ドットの位置を規定する格子を示している。単位ドットは、理想的には正方形の格子の中央に形成される。要求濃度が100%のとき、形成されるドットの大きさは、一辺の長さP(P=1/360inch)の正方形の格子を完全に覆う大きさである。格子の単位面積はPであるから、濃度100%のドットの半径R10はP/√2である。出力濃度X%のドット面積はP×X/100であるから、濃度X%のドットの半径RX/10=P×√(X/100/π)となる。つまり、濃度80%のドット径R80は0.505P、濃度60%のドット径R60は0.437P、濃度40%のドット径R40は0.357P、濃度20%のドット径R20は0.252Pとなる。以下、「ドット径がX%」と記載した場合は、要求濃度がX%である単位ドットのドット径を意味する。
図5は、基準ドットおよび拡張ドットの生成方法を説明する図である。図5においても、図4と同様に正方形の格子は解像度360dpiに相当する単位ドットの位置を規定する格子を示している。図5に示される例では、基準ドットは正方形の中心に、拡張ドットは正方形の角に形成される。濃度が20%のときは、図4で説明した濃度20%に相当するドット径の基準ドットが形成される。このとき拡張ドットは形成されない。要求濃度が40%のときは、いずれも濃度20%に相当するドット径の基準ドットおよび拡張ドットが形成される。要求濃度が60%のときは、濃度40%に相当するドット径の基準ドットおよび濃度20%に相当するドット径の拡張ドットが形成される。要求濃度が80%のときは、濃度60%に相当するドット径の基準ドットおよび濃度20%に相当するドット径の拡張ドットが形成される。要求濃度が100%のときは、濃度80%に相当するドット径の基準ドットおよび拡張ドットが形成される。このように、基準ドットと拡張ドットは以下の条件を満たすように形成される。(1)基準ドットと拡張ドットは、異なるライン上に形成される。(2)拡張ドットは、基準ドットを出力するノズルの隣のノズル(厳密には印刷可能最大解像度における隣のノズル)により形成される。(3)基準ドットのドット径は、拡張ドットのドット径よりも小さくならない(基準ドットのドット径は、拡張ドットのドット径以上である)。(4)基準ドットと拡張ドットの双方による単位面積あたりの濃度は、単位ドットによる濃度(要求濃度値)に等しい。
本実施形態において、パーソナルコンピュータ1は、上述のように単位ドットを基準ドットおよび拡張ドットに分割するためのドット分割テーブルをあらかじめ記憶装置70あるいはROM62に記憶している。ドット分割テーブルは、単位ドットのドット径(要求濃度値)と、対応する基準ドットおよび拡張ドットのドット径とを対応付けて記録したものである。なお、パーソナルコンピュータ1は、ドット分割テーブルに代わり、単位ドットのドット径(要求濃度値)から基準ドットのドット径および拡張ドットのドット径を出力する関数を記憶していてもよい。
すなわち、図5において、要求濃度値:濃度80%のパターンに示されるように、基準ドットと拡張ドットとは、印刷可能最大解像度に相当する格子上に千鳥状に配列される。すなわち、基準ドットおよび拡張ドットは、それぞれ、印刷可能最大解像度に相当する格子上において1つ置きに配置されている。本実施形態において、基準ドットと拡張ドットとの距離は√2/720inch、すなわち解像度は720/√2dpiとなる。
続いて、図3を参照して拡張ドット作成の演算処理について説明する。以下の説明において、符号xおよびyは、インクジェットプリンタの印刷可能最大解像度に対応する格子(マトリックス)の座標を示す。例えば、図6に示されるように、左上を原点として、右方向にx軸を、下方向にy軸が設定される。例えば図6(a)において、x座標およびy座標が共に偶数であるドットは、基準ドットを示す。x座標およびy座標が共に奇数であるドットは、拡張ドットを示す。
CPU60は、まずステップS11において、記憶されているx座標及びy座標を共に0に初期化する。次にCPU60は、ステップS12において、図2の演算処理のステップS3で求めた座標[x,y]における濃度(要求濃度値)P[x,y]に応じて次の処理を決定する。具体的には、CPU60は、要求濃度値が80%、60%、40%である場合には処理をステップS13に移行し、要求濃度値が100%である場合には処理をステップS14に移行し、要求濃度値が20%、0%である場合には処理をステップS15に移行する。
ステップS13において、CPU60は、標準ドットおよび拡張ドットのドット径を次のように決定する。CPU60は、要求濃度値P[x,y]から20%を減じた値を座標[x,y]における新たな要求濃度値P[x,y]、すなわち基準ドットのドット径(濃度)とする。CPU60は、さらに、座標[x+1,y+1]における要求濃度値P[x+1,y+1]、すなわち拡張ドットのドット径(濃度)を20%とする。ステップS13の処理が完了すると、CPU60は、処理をステップS15に移行する。
ステップS14において、CPU60は、標準ドットおよび拡張ドットのドット径を次のように決定する。CPU60は、座標[x,y]における要求濃度値P[x,y]、すなわち基準ドットのドット径(濃度)を80%とする。CPU60は、さらに、座標[x+1,y+1]における要求濃度値P[x+1,y+1]、すなわち拡張ドットのドット径(濃度)を80%とする。ステップS14の処理が完了すると、CPU60は、処理をステップS15に移行する。
ステップS15において、CPU60は、x座標を更新する。すなわち、CPU60は、x座標を2増加する。次に、ステップS16において、CPU60は、1ライン分処理が完了したか、すなわち、x座標が印刷幅Wより小さいか否かを判定する。x座標が印刷幅Wより小さい場合、CPU60は、ステップS12〜S15の処理を繰り返し実行する。x座標が印刷幅Wを超えた場合、CPU60は、処理をステップS17に移行する。ステップS17において、CPU60は、処理を次のラインに移行するためx座標およびy座標を更新する。すなわち、CPU60は、x座標を0に初期化すると共に、y座標を2増加させる。次に、ステップS18において、CPU60は、すべてのラインについて処理が完了したか、すなわち、y座標が印刷長さHより小さいか否かを判定する。y座標が印刷長さHより小さい場合、CPU60は、ステップS12〜S17の処理を繰り返し実行する。y座標が印刷長さHを超えた場合、CPU60は、演算処理を終了する。
図6は、基準ドットおよび拡張ドットのドット径を算出する処理を説明する図である。図6(a)は、基準ドットおよび拡張ドットを生成する前の要求濃度値を示す図であり、図6(b)は、基準ドットおよび拡張ドットを生成した後の濃度値を示す図である。例えば、2値化処理により得られた要求濃度値P[0,0]は100%であるので(図6(a))、座標[0,0]に作成される基準ドットのドット径は80%と算出される。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[1,1]に作成される拡張ドットのドット径は20%と算出される(図6(b))。同様に、要求濃度値P[2,0]は80%であるので(図6(a))、座標[2,0]に作成される基準ドットのドット径は60%と算出される。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[3,1]に作成される拡張ドットのドット径は20%と算出される(図6(b))。また、要求濃度値P[4,0]は20%であるので(図6(a))、座標[4,0]に作成される基準ドットのドット径は20%と算出される。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[5,1]に作成される拡張ドットのドット径は0%と算出される(図6(b))。この場合ドット径が0%なので、実際には拡張ドットは形成されない。また、要求濃度値P[0,2]が60%である場合(図6(a))、座標[0,2]に作成される基準ドットのドット径は40%となり、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[3,1]に作成される拡張ドットのドット径は20%となる(図6(b))。また、要求濃度値P[2,2]が40%である場合(図6(a))、座標[2,2]に作成される基準ドットのドット径は20%となり、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[3,3]に作成される拡張ドットのドット径は20%となる(図6(b))。また、要求濃度値P[4,2]が0%である場合には、座標[4,2]に作成される基準ドットのドット径は0%となり、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[5,3]に作成される拡張ドットのドット径も0%となる(図6(b))。この場合ドット径が0%なので、実際には基準ドットも拡張ドットも形成されない。なお、本実施形態において、拡張ドットのドット径は最小ドット径に等しい。
図6(c)は、図6(b)に従って形成された基準ドットおよび拡張ドットを示す図である。この演算処理によって形成される基準ドット及び拡張ドットは、インクジェットプリンタ2の印刷可能最大解像度の格子上に千鳥状に配置される。したがって、インクジェットプリンタ2により形成される画像の見かけ上の解像度は、印刷可能最大解像度の1/√2倍になる。一方、2値化処理の数(回数)は前述のように印刷可能最大解像度の半分(1/2)である。このように、インクジェットプリンタ2によれば、見かけ上の解像度の減少以上に2値化処理の数(回数)を低減することが可能となる。
図7は、本実施形態に係る演算処理によって形成された基準ドット及び拡張ドットを例示する図である。図中の大きい径のドットが基準ドット、小さい径のドットが拡張ドットである。図7は、要求濃度値が全面において80%であるパターンを示している。この場合、図5に示されるように、基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は20%である。図7において、点線は理想的な格子の位置(ドット形成の目標位置)を、実線は実際に形成されたドットの中心を示している。図中の矢印は、理想的な格子と実際に形成されたドットのずれを示している。このずれは、前述した「飛行曲がり現象」などによって生じるものである。例えば、位置ずれ量がドットピッチに対して25%であった場合、ドットピッチが35.3μm(解像度720dpi)であるのに対し位置ずれ量は9μmとなる。これは決して小さい値ではないが、図7を見る限り、前述した「白スジ」や「濃いスジ」、すなわち「バンディング現象」は見受けられない。これは、拡張ドットを設けたことによるものである。
ここで、「バンディング現象」とは、「飛行曲がり現象」などによって印刷結果に「インクの薄いスジ(白スジ)」や「インクの濃いスジ」が発生する現象をいう。「飛行曲がり現象」とは、インクは吐出するものの、その一部のノズルの吐出方向が傾くなどしてドットが目標位置(理想的位置)よりずれて形成されてしまう現象をいう。「飛行曲がり現象」は、単なる一部のノズルの不吐出現象とは異なる。「白スジ」とは、「飛行曲がり現象」などによって隣接ドット間の距離が所定の距離よりも広くなる現象が連続的に発生して印刷媒体の下地の色がスジ状に目立ってしまう部分(領域)をいう。「濃いスジ」とは、同じく「飛行曲がり現象」などによって隣接ドット間の距離が所定の距離よりも狭くなる現象が連続的に発生して印刷媒体の下地の色が見えなくなったり、或いはドット間の距離が短くなることによって相対的に濃く見えたり、更にはずれて形成されたドットの一部が正常なドットと重なり合ってその重なり合った部分が濃いスジ状に目立ってしまう部分(領域)をいう。
図8は、従来技術により形成されたドットを例示する図である。図8は、図7のパターンと同じ位置ずれ量で、印刷可能最大解像度(720dpi)で要求濃度値80%のパターンを形成したものである。図8のパターンは図7のパターンと比較してドット径が小さいので粒状感が抑えられ、「粒状性」という観点からは所謂高画質を期待することができる。しかしながら、図8から明らかなように、「白スジ」も「濃いスジ」も各所に散見され、「バンディング現象」が著しいことが分かる。
図9は、従来技術により形成されたドットを例示する図である。図9は、図7〜8と同じ位置ずれ量で、印刷可能最大解像度の半分(360dpi)で要求濃度値80%のパターンを形成したものである。この場合、一見すると、全てのドット径が大きいので「白スジ」が目立ちにくいようにも見える。しかし、実際のドット間の隙間は同じであり、図8同様に、「バンディング現象」が著しいことが分かる。また、元来、ドット径が大きくかつドット間の隙間が大きいので、粒状感が高く、「粒状性」という観点からも高画質とはいえない。
図10は、360dpiのドットを、千鳥状に配置したパターンを示す図である。図10のパターンは、図9のパターンを1ライン毎に1ノズル分、つまり720dpi相当(1/720inch)ずらして形成したものである。図10から明らかなように、このドット形成方法によれば「白スジ」も「濃いスジ」も目立たず、「バンディング現象」が低減されている。しかしながら、ドット径の大きさやドット間の隙間そのものは、図9と同等であるから、粒状感が高く、「粒状性」という観点からは高画質とはいえない。
図11は、従来技術(特開2003−94620号公報)により形成されたドットを例示する図である。この画像処理技術によれば、印刷可能最大解像度、つまり720dpiの格子(マトリックス)上に千鳥状にドットが形成される。ドット間の実質的なピッチは√2/720inch、解像度は720/√2dpiである。これらは何れも本実施形態と同一である。図から明らかなように、「白スジ」も「濃いスジ」も目立たず、「バンディング現象」は効果的に低減されている。しかしながら、2値化処理の数(回数)は、実質的な解像度と同じ(1/√2)であり、本実施形態(1/2)よりも多い。すなわちこの従来技術では、高速化と高画質化を同時に達成することができない。
以上で説明したように本実施形態の印刷用画像処理装置によれば、少なくとも印字走査方向と直交する方向に、印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度、本実施形態の場合印刷可能最大解像度の半分の解像度で、画像データの階調度をドット径相当の濃度に変換(2値化処理)し、その2値化処理で求めた濃度が保たれるように、印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度、本実施形態の場合、印刷可能最大解像度の半分の解像度に対応する位置の基準ドット及びそれと異なる位置の拡張ドットを作成する構成としたため、2値化処理の数(回数)を印刷可能最大解像度の半分まで低減することができると共に、基準ドット及びそれと位置の異なる拡張ドットにより粒状感を抑えて画質を確保し、かつ拡張ドットの位置を基準ドットの位置から印字走査方向と交差する方向にずらすことによりバンディング現象を低減することが可能となる。
また、基準ドットに隣接してドット形成可能な位置に前記拡張ドットを作成する構成としたため、基準ドットと拡張ドットとで本来の濃度を分割することにより、単位面積あたりの濃度変化がなく、画質を確保することができる。
また、基準ドットを出力するノズルの隣のノズル(厳密には印刷可能最大解像度に相当する隣のノズル)で、当該基準ドットの次のラインに拡張ドットを作成する構成としたため、基準ドットと基準ドットの中間に拡張ドットを形成することができるので、バンディング現象を低減することができる。
また、大きなドット径のドットと小さなドット径のドットとの組合せになるように基準ドット及び拡張ドットを作成する構成としたため、ドット径の大きいドットとドット径の小さいドットが隣接して配設されることになるので、主要な画質はドット径の大きいドットで認識され、ドット径の大きいドット間で発生し易いバンディング現象はドット径の小さいドットにより効果的に低減される。
また、ノズルで印字可能な最小ドット径濃度の整数倍の濃度になるように基準ドット及び拡張ドットを作成する構成としたため、拡張ドットを最小ドット径とすることにより、基準ドットは、本来の濃度に相当するドット径から最小ドット径を減じたものとなり、演算負荷が軽減される。
また、前記図5の拡張ドット作成原理から明らかなように、図12に示すヘッドAでは基準ドットに相当する80%、60%、40%、20%のドット径のみ、ヘッドBでは拡張ドットに相当する80%、20%のドット径のみを出力すればよい。つまり、基準ドット及び拡張ドットを印字するノズルを個別のものとすることができるので、それらのインク出力特性を個別のものとすることが可能となり、複数のノズルを搭載する基準ドット用のノズルヘッドと拡張ドット用のノズルヘッドとを個別にし、夫々の階調度を個別に設定することにより、ノズルヘッドの機械的精度を、一方は高精度、一方は低精度とすることが可能となるので、低精度側のノズルヘッドを簡素化、低廉化することも可能となる。
<2.第2実施形態>
次に、本発明の印刷用画像処理装置の第2実施形態について説明する。本実施形態の印刷システム並びにパーソナルコンピュータの構成は、第1実施形態の図1、図2に示されるものと同様である。また、インクジェットプリンタを駆動するためのデバイスドライバの機能も、図1に示されるものと同様である。以下の説明において、第1実施形態と共通する要素については同一の参照番号を用い、その説明を省略する。第2実施形態が第1実施形態と異なっている点は、デバイスドライバ3の機能のステップS4で行われる拡張ドット(及び基準ドット)作成のための演算処理が、図3のものから図13のものに変更されている点である。図13に示される拡張ドット作成の演算処理における基準ドット及び拡張ドットの作成原理は、第1実施形態の図4、図5に示されたものと同様である。本実施形態では、基準ドットを印字走査方向にあらかじめ決められた数(図13の例では3つ)作成する毎に、基準ドットの位置と拡張ドットの位置とを入れ替える。
図13において、「line」は基準ドットと拡張ドットを入れ替えるタイミングを規定するためのカウンタである。また、「pos」は基準ドットの作成位置を設定するためのフラグである。pos=0のとき、基準ドットはx座標の偶数列に形成され、pos=1のとき、基準ドットはx座標の奇数列に作成される。また、「N」は、基準ドットの位置と拡張ドットの位置とを入れ替えるライン数(既定値)である。本実施形態ではN=3である。
まずステップS21において、CPU60は、記憶されているx座標及びy座標を共に0に初期化すると共に、カウンタlineを0にリセットし、フラグposを0に設定する。次にステップS22において、CPU60は、処理が1周期分完了したか、すなわち、現在記憶されているカウンタlineが既定値Nの2倍であるか否かを判定する。カウンタlineが既定値Nの2倍である場合、CPU60は、処理をステップS23に移行する。カウンタlineがNの2倍でない場合、CPU60は、処理をステップS24に移行する。ステップS23において、CPU60は、カウンタlineを0にリセットすると共に、排他的論理和を用いて現在記憶されているフラグposを反転する。ステップS24において、CPU60は、濃度(要求濃度値)P[x,y]に応じて次の処理を決定する。具体的には、CPU60は、要求濃度値が80%、60%、40%である場合には処理をステップS25に移行し、要求濃度値が100%である場合には処理をステップS26に移行し、要求濃度値が20%、0%である場合には処理をステップS27に移行する。
ステップS25において、CPU60は、標準ドットおよび拡張ドットのドット径を次のように決定する。CPU60は、要求濃度値P[x,y]から20%を減じた値を座標[x+pos,y+pos]における要求濃度値P[x+pos,y+pos]、すなわち基準ドットのドット径(濃度)とする。pos=0の場合、座標[x,y]のドットが基準ドットとなる。pos=1の場合、座標[x+1,y+1]のドットが拡張ドットとなる。さらに、CPU60は、座標[x+1−pos,y+1−pos]における要求濃度値P[x+1−pos,y+1−pos]、すなわち拡張ドットのドット径(濃度)を20%とする。ステップS25の処理が完了すると、CPU60は、処理をステップS27に移行する。ステップS26において、CPU60は、座標[x+pos,y+pos]における要求濃度値P[x+pos,y+pos]、すなわち基準ドットのドット径(濃度)を80%とする。さらに、CPU60は、座標[x+1−pos,y+1−pos]における要求濃度値P[x+1−pos,y+1−pos]、すなわち拡張ドットのドット径(濃度)を80%とする。ステップS26の処理が完了すると、CPU60は、処理をステップS27に移行する。
ステップS27において、CPU60は、x座標を2増加してx座標を更新する。ステップS28において、CPU60は、1ライン分処理が完了したか、すなわち、そのx座標が印刷幅Wより小さいか否かを判定する。x座標が印刷幅Wより小さい場合(ステップS28:YES)、CPU60は、ステップS22〜S27の処理を繰り返し実行する。x座標が印刷幅W以上の場合(ステップS28:NO)、CPU60は、処理をステップS29に移行する。ステップS29において、CPU60は、x座標を0に初期化すると共に、y座標を2増加し、かつカウンタlineを2増加する。次に、ステップS30において、CPU60は、すべてのラインについて処理が完了したか、すなわち、y座標が印刷長さHより小さいか否かを判定する。y座標が印刷長さHより小さい場合(ステップS30:YES)、CPU60は、ステップS22〜S29の処理を繰り返し実行する。に移行し、y座標が印刷長さH以上の場合(ステップS30:NO)、CPU60は、演算処理を終了する。
図14は、基準ドットおよび拡張ドットのドット径を算出する処理を説明する図である。図14(a)は、基準ドットおよび拡張ドットを生成する前の要求濃度値を示す図であり、図14(b)は、基準ドットおよび拡張ドットを生成した後の濃度値を示す図である。図14において、k=2nNである(n:自然数)。例えば、y=k−2のときのフラグposが0である場合、基準ドットはy=k−2のラインに形成され、拡張ドットはy=k−1のラインに形成される。要求濃度値P[0,k−2]が100%である(図14(a))ので、座標[0,k−2]にはドット径80%の基準ドットが作成される(図14(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[1,k−1]にはドット径20%の拡張ドットが作成される。同様に、要求濃度値P[2,k−2]が80%である(図14(a))ので、座標[2,k−2]にはドット径60%の基準ドットが作成される(図14(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[3,k−1]にはドット径20%の拡張ドットが作成される。また、要求濃度値P[4,k−2]は20%である(図14(a))ので、座標[4,k−2]にはドット径20%の基準ドットが作成される(図14(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[5,k−1]にはドット径0%の拡張ドットが作成される。ドット径が0%なので実際には拡張ドットは形成されない。
y=kのときのフラグposが1である場合、基準ドットはy=k+1のラインに形成され、拡張ドットはy=kのラインに形成される。要求濃度値P[0,k]が60%である(図14(a))ので、座標[0,k]にはドット径20%の拡張ドットが作成される(図14(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[1,k+1]にはドット径40%の基準ドットが作成される。また、要求濃度値P[2,k]が40%である(図14(a))ので、座標[2,k]にはドット径20%の拡張ドットが作成される(図14(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[3,k+1]にはドット径20%の基準ドットが作成される。また、要求濃度値P[4,k]は0%である(図14(a))ので、座標[4,k]にはドット径0%の拡張ドットが作成される(図14(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[5,k+1]にはドット径0%の拡張ドットが作成される。濃度0%の場合、実際には拡張ドットも基準ドットも形成されない。
図14(c)は、図14(b)に従って形成された基準ドットおよび拡張ドットを示す図である。この演算処理によって形成される基準ドット及び拡張ドットは、インクジェットプリンタ2の印刷可能最大解像度の格子上に千鳥状に配置される。すなわち、見かけ上の解像度は印刷可能最大解像度の1/√2倍になる。その一方で、2値化処理の数(回数)は前述のように印刷可能最大解像度の半分(1/2)である。見かけ上の解像度の減少分よりも、2値化処理の数(回数)の低減分のほうが上回っている。また、本実施形態では、基準ドット及び拡張ドットの配列が、所定ライン数(=3ライン)毎に変更される。これにより、印字走査方向、つまりバンディング現象の発生方向に、ミクロ的な同一濃度が連続しなくなる。したがって、バンディング現象を効果的に低減することができる。
図15は、本実施形態に係る演算処理によって形成された基準ドット及び拡張ドットを例示する図である。図15において、大きい径のドットが基準ドット、小さい径のドットが拡張ドットである。図15は、全面に渡って濃度要求値が80%であるパターンを示している。図15において印字走査方向は下方向である。この場合図5に示されるように、基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は20%である。また、図15において、点線、実線、矢印の意味するものは図7と同一である。位置ずれは第1実施形態で説明したとおり「飛行曲がり現象」などによって発生する。図15では、位置ずれ量がドットピッチに対して25%であるパターンを示している。図15からも明らかなように、本実施形態の印刷用画像処理装置では、基準ドットの位置及び拡張ドットの位置が3ライン毎に変更されているので、「バンディング現象」が効果的に低減されている。
<3.第3実施形態>
次に、本発明の印刷用画像処理装置の第3実施形態について説明する。本実施形態の印刷システム並びにパーソナルコンピュータ1の構成は、第1実施形態の図1、図2に示されるのものと同様である。また、インクジェットプリンタ2を駆動するためのデバイスドライバ3の機能も、図1のものとほぼ同様であるが、異なる点がいくつかある。第1に、本実施形態では、ステップS1の解像度変換処理において、印字走査方向、すなわち第1及び第2実施形態で説明した座標系のy軸方向について印刷可能最大解像度で解像度変換を行う。ノズルの配設方向(印字走査方向と直交する方向)、すなわちx座標の方向については、第1および第2実施形態で説明したのと同様に印刷可能最大解像度の半分の解像度で解像度変換を行う。第2に、本実施形態では、デバイスドライバ3の機能のステップS4で行われる拡張ドット(及び基準ドット)作成のための演算処理が、図3に示されるものから図16に示されるものに変更されている。図16の拡張ドット作成の演算処理における基準ドット及び拡張ドットの作成原理は、第1実施形態の図4、図5に示されるものと基本的に同様である。本実施形態では、基準ドットと拡張ドットとが、ノズルの配設方向(印字走査方向と直交する方向)、すなわちx座標上に並ぶように作成される。さらに、印字走査方向において1ライン毎に基準ドットの位置と拡張ドットの位置が入れ替えられる。なお、図中のフラグposの定義は第2実施形態と同様である。その他、第1および第2実施形態と共通する要素については共通の参照番号を用いて説明する。
以下、図16を参照して本実施形態に係る拡張ドット作成の演算処理について説明する。ステップS31において、CPU60は、記憶されているx座標及びy座標を共に0に初期化すると共に、フラグposを0に設定する。次にステップS32において、CPU60は、図1の演算処理のステップS2で求めた座標[x,y]の濃度(要求濃度値)P[x,y]に応じて次の処理を決定する。具体的には、要求濃度値が80%、60%、40%である場合、CPU60は、処理をステップS33に移行する。要求濃度値が100%である場合、CPU60は、処理をステップS34に移行する。要求濃度値が20%、0%である場合、CPU60は、処理をステップS35に移行する。
ステップS33において、CPU60は、次のように基準ドットおよび拡張ドットのドット径を算出する。CPU60は、要求濃度値P[x,y]から20%を減じた値を座標[x+pos,y]における要求濃度値P[x+pos,y]、すなわち基準ドットのドット径(濃度)とする。さらに、CPU60は、座標[x+1−pos,y]における要求濃度値P[x+1−pos,y]、すなわち拡張ドットのドット径(濃度)を20%とする。ステップS33の処理が完了すると、CPU60は、処理をステップS35に移行する。
ステップS34において、CPU60は、要求濃度値P[x+pos,y]、すなわち基準ドットまたは拡張ドットのドット径(濃度)を80%とする。さらに、座標[x+1−pos,y]における要求濃度値P[x+1−pos,y]、すなわち拡張ドットのドット径(濃度)を80%とする。ステップS34の処理が完了すると、CPU60は、処理をステップS35に移行する。
ステップS35において、CPU60は、x座標を2増加して更新する。次に、ステップS36において、CPU60は、1ライン分処理が完了したか、すなわち、x座標が印刷幅Wより小さいか否かを判定する。x座標が印刷幅Wより小さい場合(ステップS36:YES)、CPU60は、ステップS32〜S35の処理を繰り返し実行する。x座標が印刷幅W以上の場合(ステップS36:NO)、CPU60は、処理をステップS37に移行する。ステップS37において、CPU60は、x座標を0に初期化すると共に、y座標を2増加し、かつ排他的論理和を用いて現在記憶されているフラグposを反転する。次にステップS38において、CPU60は、すべてのラインについて処理が完了したか、すなわち、y座標が印刷長さHより小さいか否かを判定する。y座標が印刷長さHより小さい場合(ステップS38:YES)、CPU60は、ステップS32〜S37の処理を繰り返し実行する。y座標が印刷長さH以上である場合(ステップS38:NO)、CPU60は、演算処理を終了する。
図17は、基準ドットおよび拡張ドットのドット径を算出する処理を説明する図である。図17(a)は、基準ドットおよび拡張ドットを生成する前の要求濃度値を示す図であり、図17(b)は、基準ドットおよび拡張ドットを生成した後の濃度値を示す図である。図17においてy=0のときのフラグposは0であるとする。要求濃度値P[0,0]は100%である(図17(a))ので、座標[0,0]にはドット径80%の基準ドットが作成される(図17(b))。さらに、その右隣のx座標、つまり座標[1,0]にはドット径20%の拡張ドットが作成される。同様に、要求濃度値P[2,0]は80%であるので(図17(a))、座標[2,0]にはドット径60%の基準ドットが作成される(図17(b))。さらに、その右隣のx座標、つまり座標[3,0]にはドット径20%の拡張ドットが作成される。また、要求濃度値P[4,0]は20%である(図17(a))ので、座標[4,0]にはドット径20%の基準ドットが作成される(図17(b))。さらに、その右隣のx座標、つまり座標[5,0]にはドット径0%の拡張ドットが作成される。この場合ドット径0%なので、実際には拡張ドットは形成されない。
本実施形態では1ラインごとにフラグposが反転するので、y=1のラインではフラグposが1となる。すなわち、y=0のラインと比較すると、基準ドットの位置と拡張ドットの位置が変更される。要求濃度値P[0,1]は60%である(図17(a))ので、座標[0,1]にはドット径20%の拡張ドットが作成される(図17(b))。さらに、その右隣のx座標、つまり座標[1,1]にはドット径40%の基準ドットが作成される。また、要求濃度値P[2,1]は40%である(図17(a))ので、座標[2,1]にはドット径20%の拡張ドットが作成される(図17(b))。さらに、その右隣のx座標、つまり座標[3,1]にはドット径20%の基準ドットが作成される。また、要求濃度値P[4,1]は0%である(図17(a))ので、座標[4,1]にはドット径0%の拡張ドットが作成される(図17(b))。さらに、その右隣のx座標、つまり座標[5,1]にはドット径0%の拡張ドットが作成される。この場合ドット径が0%なので、実際には拡張ドットも基準ドットも形成されない。
次のy=2のラインでは、フラグposが再び0となり、基準ドットの位置と拡張ドットの位置が変更される。要求濃度値P[0,2]は100%である(図17(a))ので、座標[0,2]にはドット径80%の基準ドットが作成される(図17(b))。さらに、その右隣のx座標、つまり座標[1,2]にはドット径80%の拡張ドットが作成される。また、要求濃度値P[2,2]は80%である(図17(a))ので、座標[2,2]にはドット径60%の基準ドットが作成される(図17(b))。さらに、その右隣のx座標、つまり座標[3,2]にはドット径20%の拡張ドットが作成される。また、要求濃度値P[4,2]は20%である(図17(a))ので、座標[4,2]にはドット径20%の基準ドットが作成される(図17(b))。さらに、その右隣のx座標、つまり座標[5,2]にはドット径0%の拡張ドットが作成される。この場合ドット径が0%なので実際には拡張ドットは形成されない。
次のy=3のラインでは、フラグposが再び1となって、基準ドットの位置と拡張ドットの位置が変更される。要求濃度値P[0,3]は60%である(図17(a))ので、座標[0,3]にはドット径20%の拡張ドットが作成される(図17(b))。さらに、その右隣のx座標、つまり座標[1,3]にはドット径40%の基準ドットが作成される。また、要求濃度値P[2,3]は40%である(図17(a))ので、座標[2,3]にはドット径20%の拡張ドットが作成される(図17(b))。さらに、その右隣のx座標、つまり座標[3,3]にはドット径20%の基準ドットが作成される。また、要求濃度値P[4,3]は0%である(図17(a))ので、座標[4,3]にはドット径0%の拡張ドットが作成される(図17(b))。さらに、その右隣のx座標、つまり座標[5,3]にはドット径0%の拡張ドットが作成される。この場合ドット径が0%なので実際には拡張ドットも基準ドットも形成されない。
図17(c)は、図17(b)に従って形成された基準ドットおよび拡張ドットを示す図である。この演算処理によって形成される基準ドット及び拡張ドットは、インクジェットプリンタの印刷可能最大解像度の格子上全てに配設される。すなわち、見かけ上の解像度は印刷可能最大解像度となる。一方で、2値化処理の数(回数)は前述のようにy座標方向には印刷可能最大解像度の半分である。したがって、見かけ上の解像度は印刷可能最大解像度のまま、2値化処理の数(回数)を3/4程度に低減することが可能となる。また、本実施形態では、基準ドット及び拡張ドットの配列が、所定ライン数(=1ライン)毎に変更される。したがって、印字走査方向、つまりバンディング現象の発生方向に、ミクロ的な同一濃度が連続しなくなるので、バンディング現象を効果的に低減することができる。
図18は、本実施形態の演算処理によって形成された基準ドット及び拡張ドットを例示する図である。図中の大きい径のドットが基準ドット、小さい径のドットが拡張ドットである。図18は、全体に渡り濃度要求値が80%で一定であるパターンを示している。図5に示されるようにこの場合、基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は20%である。また、図18において、点線、実線、矢印の意味するものは図7および図15と同一である。位置ずれは、前述の「飛行曲がり現象」により発生するものである。その位置ずれ量は、ドットピッチ(最大解像度:720dpi)に対して25%である。図18からも明らかなように、本実施形態の印刷用画像処理装置では、見かけ上の解像度が印刷可能最大解像度である720dpiと等しいことから、粒状感が抑えられて高画質化が期待できる。さらに、基準ドットの位置及び拡張ドットの位置が1ライン毎に変更されているので、「バンディング現象」が効果的に低減されている。
<4.第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する要素については共通の参照番号を用いてその説明を省略する。本実施形態において、図12に示されるヘッドAは基準ドットに相当する80%、60%、40%、20%のドット径のみ、ヘッドBは拡張ドットに相当する80%、40%、20%のドット径のみを出力する。
第1実施形態において図5で説明した基準ドットおよび拡張ドットのドット径は、ヘッドのノズルが理想的な位置に配置されている、すなわち基準ドットが図5に示される格子の中心に形成されるという前提のもとに算出されている。しかしながら、実際のノズルから出力されるインクドットは、前述した飛行曲がり現象の他、ノズルの製造誤差や個体差によって、必ずしも所定の位置に出力されるわけではない。
図19は、ドットの位置ずれの例を説明する図である。図19(a)は、解像度360dpi(基準ドットピッチ1/360inch)に対し、左側(の列)の基準ドットが左側に、中央(の列)の基準ドットが右側に、右側(の列)の基準ドットが左側に、夫々、10%の位置ずれ量で位置ずれしている状態を示している。2値化処理によって設定された要求濃度値は100%である。図19(b)は、図19(a)のパターンに対し、ドット分割により形成された基準ドットおよび拡張ドットを示す図である。図5で説明した基準ドット及び拡張ドット作成原理よれば、基準ドットおよび拡張ドットのドット径はともに80%となる。この場合、図19(b)に示されるように、ドット分割によれば、解像度360dpiのドット格子、つまり所定範囲の濃度を100%または約100%とすることができる。
図20は、ドットの位置ずれの別の例を説明する図である。図20(a)は、図19(a)と同様に、解像度360dpi(基準ドットピッチ1/360inch)に対し、左側(の列)の基準ドットが左側に、中央(の列)の基準ドットが右側に、右側(の列)の基準ドットが左側に、夫々、10%の位置ずれ量で位置ずれしている状態を示している。2値化処理によって設定された要求濃度値が80%である。この場合、第1実施形態によれば、図5で説明したように60%の基準ドット及び20%の拡張ドットが作成される。しかし、この場合、元々、基準ドットの間隔が広い左側(の列)の基準ドットと中央(の列)の基準ドット及びその間の拡張ドットによるドット格子(解像度360dpi)の濃度は80%より小さくなる。逆に、基準ドットの間隔が狭い中央(の列)の基準ドットと右側(の列)の基準ドット及びその間の拡張ドットによるドット格子(解像度360dpi)の濃度は80%より大きくなってしまうという問題がある。そこで、本実施形態においては、基準ドットの位置ずれに応じて拡張ドットのドット径を決定する。図20(b)は、図20(a)のパターンに対し、本実施形態に係るドット分割により形成された基準ドットおよび拡張ドットを示す図である。図20(b)においては、基準ドットの間隔が広い場合、基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は40%とされる。基準ドットの間隔が狭い場合には、基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は0%、つまり出力しないとする。
図21は、ドットの位置ずれのさらに別の例を説明する図である。図21(a)は、図19(a)と同様に、解像度360dpi(基準ドットピッチ1/360inch)に対し、左側(の列)の基準ドットが左側に、中央(の列)の基準ドットが右側に、右側(の列)の基準ドットが左側に、夫々、10%の位置ずれ量で位置ずれしている状態を示している。2値化処理によって設定された要求濃度値は60%である。第1実施形態によれば、図5で説明したように40%の基準ドット及び20%の拡張ドットが作成される。しかし、この場合、元々、基準ドットの間隔が広い左側(の列)の基準ドットと中央(の列)の基準ドット及びその間の拡張ドットによる解像度360dpiのドット格子の濃度は60%より小さくなる。逆に、基準ドットの間隔が狭い中央(の列)の基準ドットと右側(の列)の基準ドット及びその間の拡張ドットによる解像度360dpiのドット格子の濃度は60%より大きくなってしまう。そこで、本実施形態においては、図21(b)に示されるように、基準ドットの間隔が広い場合には、基準ドット及び拡張ドットのドット径はともに40%とされる。基準ドットの間隔が狭い場合には、基準ドットのドット径は40%、拡張ドットのドット径0%、つまり出力しない、とされる。
図22は、ドットの位置ずれのさらに別の例を説明する図である。図22(a)は、図19(a)と同様に、解像度360dpi(基準ドットピッチ1/360inch)に対し、左側(の列)の基準ドットが左側に、中央(の列)の基準ドットが右側に、右側(の列)の基準ドットが左側に、夫々、10%の位置ずれ量で位置ずれしている状態を示している。2値化処理によって設定された要求濃度値は40%である。第1実施形態によれば、図5で説明したように20%の基準ドット及び20%の拡張ドットが作成される。しかし、この場合、元々、基準ドットの間隔が広い左側(の列)の基準ドットと中央(の列)の基準ドット及びその間の拡張ドットによる解像度360dpiのドット格子の濃度は40%より小さくなる。逆に、基準ドットの間隔が狭い中央(の列)の基準ドットと右側(の列)の基準ドット及びその間の拡張ドットによる解像度360dpiのドット格子の濃度は40%より大きくなってしまう。そこで、本実施形態においては、図22(b)に示されるように、基準ドットの間隔が広い場合には、基準ドット及び拡張ドットのドット径を20%とする。基準ドットの間隔が狭い場合には、基準ドットのドット径を20%とし、拡張ドットのドット径は0%、つまり出力しないとする。
図23は、ドットの位置ずれのさらに別の例を説明する図である。これに対し、図23(a)は、図19(a)と同様に、解像度360dpi(基準ドットピッチ1/360inch)に対し、左側(の列)の基準ドットが左側に、中央(の列)の基準ドットが右側に、右側(の列)の基準ドットが左側に、夫々、10%の位置ずれ量で位置ずれしている状態を示している。2値化処理によって設定された要求濃度値は20%である。本実施形態ではドット径が20%より小さなドットを出力することはできないので、図23bに示すように、要求濃度値が20%である場合には、基準ドットのドット径は20%とされ、拡張ドットのドット径は0%、つまり出力しないとする。
図24は、ドットピッチテーブルを例示する図である。ラインヘッド型インクジェットプリンタのノズルのインク出力特性は、各プリンタに固有のものである。本実施形態において、インクジェットプリンタ2は、自機に固有のインク出力特性の位置情報を示すドットピッチテーブルをあらかじめ記憶している。ドットピッチテーブルは、ノズルを特定する識別子と、ノズル間の間隔を示す情報とを対応付けて記録したものである。例えば、図24に示される例では、ノズルの位置を示すx座標が、ノズル列の左から右方向に0、1、2…と設定されている。また、ノズル間の間隔を示す情報として、ノズル間隔が基準内に収まってる場合は「0」が、ノズル間隔が設定値(基準値)に比べて広い場合には「1」が、ノズル間隔が設定値(基準値)に比べて狭い場合は「2」が記録されている。図24においては、x座標0とx座標2のノズルにより出力される基準ドット間の間隔、すなわちドットピッチが設定値(基準値)に比べて広いので、x座標0とx座標1のノズル間に位置するノズルを示すx座標1に1と記憶する。同様に、x座標2とx座標4のノズルにより出力される基準ドット間のドットピッチは設定値(基準値)に比べて狭いので、これらのノズル間に位置するノズルを示すx座標3に2と記憶し、x座標4とx座標6のノズルにより出力される基準ドット間のドットピッチが設定値(基準値)相当、つまり基準内であるので、これらのノズル間に位置するノズルを示すx座標5に0と記憶する。
図25は拡張ドットテーブルを、図26は基準ドット径テーブルを例示する図である。拡張ドット径テーブルは、要求濃度値と、基準ドット間のドットピッチ情報と、これらに対応する拡張ドットのドット径(濃度)とを記録したものである。基準ドット径テーブルは、要求濃度値と、第1実施形態において図5を参照して説明した原理に基づいて決定された基準ドット径(濃度)とを対応付けて記録したものである。インクジェットプリンタ2は、あらかじめ拡張ドット径テーブルおよび基準ドット径テーブルを記憶している。
図27は、本実施形態に係る拡張ドット作成の演算処理を示すフローチャートである。この演算処理では、まずステップS41において、CPU60は、記憶されているx座標及びy座標を共に0に初期化する。次にステップS42において、CPU60は、x座標(x+1)のドットピッチ情報DPを図24に示されるドットピッチテーブルから読込む。次にステップS43において、CPU60は、ステップS42で読込まれたドットピッチ情報DPに応じて次に行う処理を決定する。具体的には、CPU60は、ドットピッチ情報DPが0である場合には処理をステップS44に移行し、ドットピッチ情報DPが1である場合には処理をステップS45に移行し、ドットピッチ情報DPが2である場合には処理をステップS46に移行する。
ステップS44において、CPU60は、2値化処理により得られた濃度(要求濃度値)P[x,y]に対して、ドットピッチが基準内である場合の拡張ドット径(DP=0に対応する拡張ドット径)を図25の拡張ドット径テーブルから選択する。COU60は、選択した拡張ドット径を拡張ドットD[x+1,y+1]のドット径として設定する。ステップS44の処理が完了すると、CPU60は、処理をステップS47に移行する。ステップS45において、COU60は、要求濃度値P[x,y]に対して、ドットピッチが広い場合の拡張ドット径(DP=1に対応する拡張ドット径)を図25の拡張ドット径テーブルから選択する。CPU60は、選択した拡張ドット径を拡張ドットD[x+1,y+1]のドット径として設定してする。ステップS45の処理が完了すると、CPU60は、処理をステップS47に移行する。ステップS46において、要求濃度値P[x,y]に対して、CPU60は、ドットピッチが狭い場合の拡張ドット径(DP=2に対応する拡張ドット径)を図25の拡張ドット径テーブルから選択する。CPU60は、選択した拡張ドット径を拡張ドットD[x+1,y+1]のドット径として設定する。ステップS46の処理が完了すると、CPU60は、処理をステップS47に移行する。
ステップS47において、CPU60は、2値化処理で得られた要求濃度値P[x,y]に対する基準ドット径を図26の基準ドット径テーブルから選択する。CPU60は、選択した基準ドット径を基準ドットD[x,y]のドット径として設定する。次にステップS48において、CPU60は、x座標を2増加して更新する。次に、ステップS49において、CPU60は、処理が1ライン分完了したか、すなわち、x座標が印刷幅Wより小さいか否かを判定する。x座標が印刷幅Wより小さい場合(ステップS49:YES)、CPU60は、ステップS42〜S48の処理を繰り返し実行する。x座標が印刷幅W以上の場合(ステップS49:NO)、CPU60は、処理をステップS50に移行する。ステップS50において、CPU60は、x座標を0に初期化すると共に、y座標を2増加する。次に、ステップS51において、CPU60は、すべてのラインについて処理が完了したか、すなわち、y座標が印刷長さHより小さいか否かを判定する。y座標が印刷長さHより小さい場合(ステップS51:YES)、CPU60は、処理をステップS42に移行する。y座標が印刷長さH以上の場合(ステップS51:NO)、CPU60は、演算処理を終了する。
図28は、基準ドットおよび拡張ドットのドット径を算出する処理を説明する図である。図28(a)は、基準ドットおよび拡張ドットを生成する前の要求濃度値を示す図であり、図28(b)は、基準ドットおよび拡張ドットを生成した後の濃度値を示す図である。図28(c)は、図28(b)に従って形成された基準ドットおよび拡張ドットを示す図である。この例では、図28(c)に示されるように、x座標2に出力される基準ドットが右側に位置ずれしている。すなわち、x座標0の基準ドットとx座標2の基準ドットのドットピッチは、設定値(基準値)よりも広くなっている。したがって、図24のドットピッチテーブルのx座標1には「広い」を意味する1が記憶されている。また、x座標2の基準ドットとx座標4の基準ドットのドットピッチは設定値(基準値)よりも狭くなっている。したがって、図24のドットピッチテーブルのx座標3には「狭い」を意味する2が記憶されている。
2値化処理により得られた要求濃度値P[0,0]は100%である(図28(a))ので、図24のドットピッチテーブル、図25の拡張ドット径テーブル、図26の基準ドット径テーブルにもとづいて、座標[0,0]に作成される基準ドットD[0,0]のドット径は80%と算出される(図28(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[1,1]に作成される拡張ドットD[1,1]のドット径は80%と算出される。同様に、要求濃度値P[2,0]は80%である(図28(a))ので、座標[2,0]に作成される基準ドットD[2,0]のドット径は60%と算出される(図28(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[3,1]に作成される拡張ドットD[3,1]のドット径は0%となる。この場合ドット径が0%なので実際には拡張ドットは形成されない。また、要求濃度値P[4,0]は20%(図28(a))であるので、座標[4,0]に作成される基準ドットD[4,0]のドット径は20%と算出される(図28(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[5,1]に作成される拡張ドットD[5,1]のドット径は0%と算出される。この場合ドット径が0%なので実際には拡張ドットは形成されない。
また、要求濃度値P[0,2]は60%である(図28(a))ので、座標[0,2]に作成される基準ドットD[0,2]のドット径は40%と算出される(図28(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[3,1]に作成される拡張ドットD[3,1]のドット径は40%と算出される。また、要求濃度値P[2,2]は40%である(図28(a))ので、座標[2,2]に作成される基準ドットD[2,2]のドット径は20%と算出される(図28(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[3,3]に作成される拡張ドットD[3,3]のドット径は0%と算出される。この場合ドット径が0%なので実際には拡張ドットは形成されない。また、要求濃度値P[4,2]は0%である(図28(a))ので、座標[4,2]に作成される基準ドットD[4,2]のドット径は0%と算出される(図28(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[5,3]に作成される拡張ドットD[5,3]のドット径も0%となる。この場合ドット径が0%なので実際には基準ドットも拡張ドットも形成されない。
本実施形態に係る演算処理によって形成される基準ドット及び拡張ドットは、図28(c)に示されるように、インクジェットプリンタの印刷可能最大解像度の格子上に千鳥状に配設される。見かけ上の解像度は印刷可能最大解像度の1/√2倍である。これに対し、2値化処理の数(回数)は前述のように印刷可能最大解像度の半分である。したがって、見かけ上の解像度の減少以上に2値化処理の数(回数)を低減することが可能となる。また、基準ドットの位置ずれ量に基づいて基準ドット径及び拡張ドット径を設定することにより、2値化処理で求めた濃度を適切に保つことが可能となる。
図29は、本実施形態に係る演算処理によって形成された基準ドット及び拡張ドットを例示する図である。図29において、大きい径のドットが基準ドット、小さい径のドットが拡張ドットである。図29は、全体に渡って濃度要求値が80%で一定であるパターンを示している。図25および図26に示されるように、(1)ドットピッチが基準内にあるときの基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は20%、(2)ドットピッチが広いときの基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は40%、(3)ドットピッチが狭いときの基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は0%、つまり拡張ドットは形成されない。図29において、点線および実線の意味するところは図7と同一である。また、図29には、基準ドット間隔が狭いあるいは広いといった情報も示されている。基準ドットの位置ずれは、前述した「飛行曲がり現象」あるいはノズルの製造誤差に起因するものである。図29の例では、位置ずれ量は、ドットピッチに対して25%である。解像度720dpi(印刷可能最大解像度)のドットピッチが35.3μmであるから、これに対する位置ずれ量は9μmであり、決して小さくはない。しかしながら、図29を見る限り、前述した「白スジ」や「濃いスジ」、すなわち「バンディング現象」は見受けられない。
図8〜図11は、第1実施形態において説明したように従来技術に係る画像処理方法により形成されたドットを例示する図である。第1実施形態において説明したように、これらの技術はいずれも、処理の高速化(2値化処理の回数の低減)と高画質化(粒状性改善およびバンディング低減)を同時に達成することはできない。
図30は、第1実施形態により形成されたドットを例示する図である。第1実施形態においては、拡張ドットのドット径は、基準ドット間のドットピッチ、すなわち基準ドットの位置ずれによらず決定される。すなわち、基準ドットのドット径は60%であり、拡張ドットのドット径は20%である。第1実施形態によれば、「バンディング現象」は効果的に低減されているものの、本実施形態と比較すると、僅かではあるが濃度ムラがある。
このように本実施形態の印刷用画像処理装置によれば、少なくとも印字走査方向と交差する方向に、印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度で、画像データの階調度をドット径相当の濃度に変換する2値化処理手段と、前記2値化処理手段で求めた濃度が保たれるように、前記印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度に対応する位置の基準ドット及びそれと異なる位置の拡張ドットを作成する拡張ドット作成手段とを備え、前記拡張ドット作成手段は、近傍の基準ドット位置情報に基づいて前記拡張ドットのドット径を設定する構成としたため、2値化処理の数(回数)を、印刷可能最大解像度より小さい所定の解像度数まで低減することができると共に、基準ドット及びそれと位置の異なる拡張ドットにより粒状感を抑えて画質を確保し、かつ拡張ドットの位置を基準ドットの位置から印字走査方向と交差する方向にずらしかつ近傍の基準ドット位置情報に基づいて前記拡張ドットのドット径を設定することにより、2値化処理手段で求めた効果を可及的に保ちながら、バンディング現象を効果的に低減することが可能となる。
また、近傍の基準ドットの位置ずれ情報に基づいて、基準ドット間の濃度が2値化処理手段で求めた濃度になるように拡張ドットのドット径を設定することにより、所定の範囲の濃度を2値化処理手段で求めた濃度に可及的に保ちかつバンディングを効果的に低減することができる。
また、形成可能な拡張ドットのドット径のうち、2値化処理手段で求めた濃度に最も近いドット径を選択することにより、所定の範囲の濃度を2値化処理手段で求めた濃度に可及的に保つことができる。
また、前記拡張ドット作成原理から明らかなように、図3に示すヘッドAでは基準ドットに相当する80%、60%、40%、20%のドット径のみ、ヘッドBでは拡張ドットに相当する80%、40%、20%のドット径のみを出力すればよい。つまり、基準ドット及び拡張ドットを印字するノズルを個別のものとすることができるので、それらのインク出力特性を個別のものとすることが可能となり、複数のノズルを搭載する基準ドット用のノズルヘッドと拡張ドット用のノズルヘッドとを個別にし、夫々の階調度を個別に設定することにより、ノズルヘッドの機械的精度を、一方は高精度、一方は低精度とすることが可能となるので、低精度側のノズルヘッドを簡素化、低廉化することも可能となる。
<5.第5実施形態>
次に、本発明の印刷用画像処理装置の第5実施形態について説明する。以下の説明において、第1〜第4実施形態と共通する要素には共通の参照符号を用い、その説明を省略する。本実施形態において、図1のステップS3で行われる2値化処理で得られる要求濃度値は、100%、80%、60%、40%、0%の5階調度である(第1実施形態と比べると要求濃度値20%がない)。デバイスドライバ3の機能のステップS4で行われる拡張ドット(及び基準ドット)作成のための演算処理そのものは、第4実施形態の図27のものと同様である。しかし、第4実施形態の図25に示される拡張ドット径テーブルに代わり、図31に示されるものが用いられる。また、第4実施形態の図26に示される基準ドット径テーブルに代わり、図32に示されるものが用いられる。拡張ドット作成の演算処理における基準ドット及び拡張ドットの作成原理は、第1実施形態において図4および図5を参照して説明したものと同様である。本実施形態では、さらに、要求濃度値をより一層保つために、ヘッドA及びヘッドBで形成可能なドット径が最適化される。
図33は、ドットの位置ずれの例を説明する図である。図33(a)は、解像度360dpi(基準ドットピッチ1/360inch)に対し、左側(の列)の基準ドットが左側に、中央(の列)の基準ドットが右側に、右側(の列)の基準ドットが左側に、夫々、10%の位置ずれ量で位置ずれしている状態を示している。2値化処理によって設定された要求濃度値は100%である。図5を参照して説明した基準ドット及び拡張ドット作成原理によれば、基準ドットおよび拡張ドットのドット径はともに80%に設定される。図33(b)は、図33(a)に基づいて形成された基準ドットおよび拡張ドットを示す図である。このように、解像度360dpiのドット格子、つまり所定範囲の濃度を100%または約100%とすることができる。
図34は、ドットの位置ずれの別の例を説明する図である。図34(a)は、図33(a)と同様に、解像度360dpi(基準ドットピッチ1/360inch)に対し、左側(の列)の基準ドットが左側に、中央(の列)の基準ドットが右側に、右側(の列)の基準ドットが左側に、夫々、10%の位置ずれ量で位置ずれしている状態を示している。2値化処理によって設定された要求濃度値は80%である。この場合、図5に示される作成原理によれば、基準ドットのドット径は60%に、拡張ドットのドット径は20%に設定される。しかしこれでは、元々、基準ドットの間隔が広い左側(の列)の基準ドットと中央(の列)の基準ドット及びその間の拡張ドットによる解像度360dpiのドット格子の濃度は80%より小さくなってしまう。逆に、基準ドットの間隔が狭い中央(の列)の基準ドットと右側(の列)の基準ドット及びその間の拡張ドットによる解像度360dpiのドット格子の濃度は80%より大きくなってしまう。そこで、本実施形態においては、要求濃度値80%が適切に保たれるように拡張ドット径が最適化される。具体的には、図34(b)に示されるように、基準ドットの間隔が広い場合には、基準ドットのドット径を60%、拡張ドットのドット径を37%とする。基準ドットの間隔が狭い場合には、基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は4%とされる。これにより、ドット格子の濃度は約80%となる。
図35は、ドットの位置ずれのさらに別の例を説明する図である。図35(a)は、図33(a)と同様に、解像度360dpi(基準ドットピッチ1/360inch)に対し、左側(の列)の基準ドットが左側に、中央(の列)の基準ドットが右側に、右側(の列)の基準ドットが左側に、夫々、10%の位置ずれ量で位置ずれしている状態を示している。2値化処理によって設定された要求濃度値は60%である。図5に示される作成原理によれば、基準ドットのドット径は40%となり、拡張ドットのドット径は20%となる。しかしこれでは、元々、基準ドットの間隔が広い左側(の列)の基準ドットと中央(の列)の基準ドット及びその間の拡張ドットによる解像度360dpiのドット格子の濃度は60%より小さくなってしまう。逆に、基準ドットの間隔が狭い中央(の列)の基準ドットと右側(の列)の基準ドット及びその間の拡張ドットによる解像度360dpiのドット格子の濃度は60%より大きくなってしまう。そこで、本実施形態においては、要求濃度値60%が適切に保たれるように拡張ドット径が最適化される。具体的には、図35(b)に示されるように、基準ドットの間隔が広い場合には、基準ドットのドット径を40%、拡張ドットのドット径は34%とされる。基準ドットの間隔が狭い場合には、基準ドットのドット径は40%、拡張ドットのドット径は7%とされる。これにより、ドット格子の濃度は約60%となる。
図36は、ドットの位置ずれのさらに別の例を説明する図である。図36(a)は、図33(a)と同様に、解像度360dpi(基準ドットピッチ1/360inch)に対し、左側(の列)の基準ドットが左側に、中央(の列)の基準ドットが右側に、右側(の列)の基準ドットが左側に、夫々、10%の位置ずれ量で位置ずれしている状態を示している。2値化処理によって設定された要求濃度値は40%である。図5に示される作成原理によれば、基準ドットのドット径は20%、拡張ドットのドット径20%となる。しかしこれでは、元々、基準ドットの間隔が広い左側(の列)の基準ドットと中央(の列)の基準ドット及びその間の拡張ドットによる解像度360dpiのドット格子の濃度は40%より小さくなってしまう。逆に、基準ドットの間隔が狭い中央(の列)の基準ドットと右側(の列)の基準ドット及びその間の拡張ドットによる解像度360dpiのドット格子の濃度は40%より大きくなってしまう。そこで、本実施形態においては、要求濃度値40%が適切に保たれるように拡張ドット径が最適化される。具体的には、図36(b)に示されるように、基準ドットの間隔が広い場合には、基準ドットのドット径は20%、拡張ドットのドット径は30%とされる。基準ドットの間隔が狭い場合には、基準ドットのドット径は20%、拡張ドットのドット径は10%とされる。これにより、ドット格子の濃度は約40%となる。
図37は、ヘッドAおよびヘッドBが出力可能なドット径を例示する図である。本実施形態では、基準ドットを出力するヘッドAは、濃度80%、60%、40%、20%のドットを出力可能である。拡張ドットを出力するヘッドBは、濃度80%、37%、34%、30%、20%、10%、7%、4%のドットを出力可能である。本実施形態において用いられる拡張ドット径テーブルは図31に、基準ドット径テーブルは図32に示されるものである。すなわち、要求濃度値が100%であるときの拡張ドット径は80%、基準ドット径は20%である。また、要求濃度値が80%でありかつ基準ドット間のドットピッチが基準内であるときの拡張ドット径は20%、基準ドット間のドットピッチが広いときの拡張ドット径は37%、基準ドット間のドットピッチが狭いときの拡張ドット径は4%であり。このとき、基準ドット径はいずれも60%である。また、要求濃度値が60%でありかつ基準ドット間のドットピッチが基準内であるときの拡張ドット径は20%、基準ドット間のドットピッチが広いときの拡張ドット径は34%、基準ドット間のドットピッチが狭いときの拡張ドット径は7%である。このとき、基準ドット径はいずれも40%である。また、要求濃度値が40%でありかつ基準ドット間のドットピッチが基準内であるときの拡張ドット径は20%、基準ドット間のドットピッチが広いときの拡張ドット径は30%、基準ドット間のドットピッチが狭いときの拡張ドット径は10%である。このとき、基準ドット径はいずれも20%である。また、要求濃度値が0%であるときには、基準ドット及び拡張ドットは形成されない。
図38は、基準ドットおよび拡張ドットのドット径を算出する処理を説明する図である。図38(a)は、基準ドットおよび拡張ドットを生成する前の要求濃度値を示す図であり、図38(b)は、基準ドットおよび拡張ドットを生成した後の濃度値を示す図である。図38(c)は、図38(b)に従って形成された基準ドットおよび拡張ドットを示す図である。この例では、図38(c)に示されるようにx座標2に出力される基準ドットが右側に位置ずれしている。この場合、x座標0の基準ドットとx座標2の基準ドットのドットピッチは設定値(基準値)よりも広いので、図24のドットピッチテーブルのx座標1には「広い」を意味する1が記憶されている。x座標2の基準ドットとx座標4の基準ドットのドットピッチは設定値(基準値)よりも狭いので、図24のドットピッチテーブルのx座標3には「狭い」を意味する2が記憶されている。
2値化処理により得られた要求濃度値P[0,0]は100%である(図38(a))ので、図24のドットピッチテーブル、図31の拡張ドット径テーブル、図32の基準ドット径テーブルに基づいて、座標[0,0]に作成される基準ドットD[0,0]のドット径は80%と算出される(図38(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[1,1]に作成される拡張ドットD[1,1]のドット径は80%となる。同様に、要求濃度値P[2,0]は80%である(図38(a))ので、座標[2,0]に作成される基準ドットD[2,0]のドット径は60%と算出される(図38(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[3,1]に作成される拡張ドットD[3,1]のドット径は4%となる。また、要求濃度値P[4,0]は60%である(図38(a))ので、座標[4,0]に作成される基準ドットD[4,0]のドット径は40%と算出される(図38(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[5,1]に作成される拡張ドットD[5,1]のドット径は20%となる。
また、要求濃度値P[0,2]は60%である(図38(a))ので、座標[0,2]に作成される基準ドットD[0,2]のドット径は40%と算出される(図38(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[3,1]に作成される拡張ドットD[3,1]のドット径は34%と算出される。また、要求濃度値P[2,2]は40%である(図38(a))ので、座標[2,2]に作成される基準ドットD[2,2]のドット径は20%と算出される(図38(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[3,3]に作成される拡張ドットD[3,3]のドット径は10%と算出される。また、要求濃度値P[4,2]は0%である(図38(a))ので、座標[4,2]に作成される基準ドットD[4,2]のドット径は0%と算出される(図38(b))。さらに、その右隣のx座標でかつその下隣のy座標、つまり座標[5,3]に作成される拡張ドットD[5,3]のドット径は0%となる。この場合ドット径が0%なので実際には基準ドットも拡張ドットも形成されない。
本実施形態に係る演算処理によって形成される基準ドット及び拡張ドットは、図38cに示されるように、インクジェットプリンタの印刷可能最大解像度の格子上に千鳥状に配設される。このとき見かけ上の解像度は印刷可能最大解像度の1/√2倍になる。これに対し、2値化処理の数(回数)は前述のように印刷可能最大解像度の半分(1/2)である。したがって、見かけ上の解像度の減少以上に2値化処理の数(回数)を低減することが可能となる。また、基準ドットの位置ずれ量に基づいて基準ドット径及び拡張ドット径を設定することにより、2値化処理で求めた濃度を可及的に保つことが可能となる。
図39は、本実施形態に係る演算処理によって形成された基準ドット及び拡張ドットを示す図である。図中の大きい径のドットが基準ドット、小さい径のドット径が拡張ドットである。図39は、濃度要求値が全体に渡って80%で一定であるパターンを示している。図31および図32で説明したように、(1)ドットピッチが基準内にあるときの基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は20%、(2)ドットピッチが広いときの基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は37%、(3)ドットピッチが狭いときの基準ドットのドット径は60%、拡張ドットのドット径は4%である。図39において、点線、実線、矢印の意味するところは図29と同一である。位置ずれは、前述した「飛行曲がり現象」などによってドット形成位置が目標位置からずれていることに起因する。図39において、この位置ずれ量は、ドットピッチに対して25%である。解像度720dpi(印刷可能最大解像度)のドットピッチが35.3μmであるから、実際の位置ずれ量は9μmであり、決して小さくはない。しかしながら、図39を見る限り、前述した「白スジ」や「濃いスジ」、すなわち「バンディング現象」は見受けられない。また、拡張ドット径を最適化した結果、濃度ムラが殆どない。
<6.第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。以下の説明において、第1〜第5実施形態と共通する要素には共通の参照符号を用い、その説明を省略する。第4実施形態においては、ドットの形成位置(着弾位置)のずれ(バラツキ)に起因する、ドット格子の濃度のずれに応じて拡張ドットのドット径を選択する態様について説明した。ドット格子の濃度のずれは、ドット形成位置のずれ(バラツキ)だけでなく、ドットの大きさ(ドットサイズ)のバラツキによっても起こる可能性がある。本実施形態においては、ドットサイズのバラツキに起因する、ドット格子の濃度のずれに応じて拡張ドットのドット径を選択する態様について説明する。本実施形態においては、図24に示されるドットピッチテーブルに代わり、以下で説明するドット間濃度テーブルが用いられる。
図41は、ドットサイズのバラツキを説明する図である。図42は、ドットサイズのヒストグラムを示す図である。図41に示されるように、各ノズルから出力可能なドットサイズが1種類だけである場合でも、例えば製造誤差などにより、実際に出力されるドットサイズにはバラツキが生じる。図41の例では、左側2つのノズルにより形成されるドットは、理想とするドットサイズに対して面積比で10%程度大きく、右側2つのノズルにより形成されるドットは、理想とするドットサイズに対して面積比で10%程度小さい。図42は、実際に形成されるドットのドットサイズの分布を示す。図42において、理想とするドットサイズに対して面積比があらかじめ決められたしきい値(例えば、±10%)を超えるインクドットが濃度ムラの原因となる。
図43は、本実施形態に係るドット間濃度テーブルを例示する図である。ラインヘッド型インクジェットプリンタのノズルのインク出力特性は、各プリンタに固有のものである。本実施形態において、インクジェットプリンタ2は、自機に固有のインク出力特性の位置情報を示すドット間濃度テーブルをあらかじめ記憶している。ドット間濃度テーブルは、ノズルを特定する識別子と、ドット格子の濃度を示す情報とを対応付けて記録したものである。例えば、図43に示される例では、ノズルの位置を示すx座標が、ノズル列の左から右方向に0、1、2…と設定されている。また、ドット格子の濃度を示す情報として、ドット格子の濃度が基準内に収まってる場合は「0」が、ドット格子の濃度が設定値(基準値)に比べて薄い場合には「1」が、ドット格子の濃度が設定値(基準値)に比べて濃い場合は「2」が記録されている。ドット格子の濃度が薄い場合とは、例えば、隣接する2つのドットのうち、一方のドットのサイズが基準値に等しく、他方のドットのサイズが基準値よりも小さい場合をいう。あるいは、隣接する2つのドットのサイズがともに基準値よりも小さい場合も、ドット格子の濃度は薄くなる。ドット格子の濃度が濃い場合とは、例えば、隣接する2つのドットのうち、一方のドットのサイズが基準値に等しく、他方のドットのサイズが基準値よりも大きい場合をいう。あるいは、隣接する2つのドットのサイズがともに基準値よりも大きい場合も、ドット格子の濃度は薄くなる。
なお、ドット間濃度テーブルの作成は、例えば次のように行われる。パーソナルコンピュータ1は、記憶装置70にあらかじめ記憶していたテストパターンを印刷する。テストパターンは、すべてのノズルからあるドットサイズのドットを形成させるパターンである。用紙上に印刷されたテストパターンに対して、顕微鏡での測定や、ドット解析ツールなどを用いて、ドットサイズ(あるいはドット格子濃度)の基準値からのずれの測定が行われる。
図43の例では、x座標0とx座標2のノズルにより出力される基準ドット間の濃度が設定値(基準値)に比べて薄いので、x座標0とx座標1のノズル間に位置するノズルを示すx座標1に1が記憶される。同様に、x座標2とx座標4のノズルにより出力される基準ドット間の濃度は設定値(基準値)に比べて濃いので、これらのノズル間に位置するノズルを示すx座標3に2が記憶される。さらに、x座標4とx座標6のノズルにより出力される基準ドット間の濃度は設定値(基準値)相当、つまり基準内であるので、これらのノズル間に位置するノズルを示すx座標5に0が記憶される。
図44は本実施形態に係る拡張ドットテーブルを例示する図である。拡張ドット径テーブルは、要求濃度値と、基準ドット間の濃度情報と、これらに対応する拡張ドットのドット径(濃度)とを記録したものである。本実施形態において用いられる基準ドット径テーブルは、第4実施形態(図26)で説明したものと同一である。インクジェットプリンタ2は、あらかじめ拡張ドット径テーブルおよび基準ドット径テーブルを記憶している。
基準ドットおよび拡張ドットを形成する処理の詳細は、第4実施形態において説明したものと同一であるので説明を省略する。なお、第4実施形態においては、ドット形成位置のバラツキに起因してドット格子のずれが発生する場合について、また、本実施形態においては、ドットサイズのバラツキに起因してドット格子の濃度のずれが発生する場合について説明したが、ドット形成位置のずれとドットサイズのバラツキが同時に発生する場合も、本実施形態と同様の処理を行えばよい。図43に示されるドット間濃度テーブルは、ドット間濃度のバラツキを示している。したがって、濃度のバラツキの原因が位置ずれによるものであろうと、ドットサイズのバラツキによるものであろうと、それらの複合的なものであろうと、本実施形態で説明した方法を適用することができる。
<7.他の実施形態>
なお、上述の各実施形態では、濃度を元にドット径を求めているが、逆にドット径から濃度を求めるようにしてもよい。例えば、ドット径(直径)が、L:70μm、M:60μm、S:40μmである場合、夫々の濃度は約80%、約60%、約30%となるから、ドット径SとSの組合せでは濃度約60%、SとMの組合せでは濃度約90%、SとLの組合せでは濃度約100%となる。従って、2値化処理の階調度を4段階、すなわち100%、90%、60%、0%として、前記と同様にして基準ドット及び拡張ドットを作成すればよい。
また、拡張ドット用のノズル(ノズルヘッド)では、基準ドット用のノズル(ノズルヘッド)と異なるインクを用いてもよく、例えば拡張ドット用のノズルでは同系色の淡いインクを用いる。これにより、拡張ドットでは、濃度の小さいドットを比較的大きいドット径で形成することができるので、ノズルヘッドの構成が簡素になり、コストを低廉化することもできる。
また、上述の各実施形態では、ラインヘッド型プリンタを対象として本発明の印刷用画像処理装置を適用した例についてのみ詳述したが、本発明の印刷用画像処理装置は、例えばマルチパス型プリンタを始めとして、あらゆるタイプのインクジェットプリンタを対象として適用可能である。
また、上述の各実施形態では、2値化処理を行う解像度を印刷可能最大解像度の半分としたが、この2値化処理解像度は、印刷可能最大解像度より小さければ幾つでも構わない。例えば、2値化処理解像度を、印刷可能最大解像度の1/4とし、一つの基準ドットに対して拡張ドットを3つ作成するようにしても、見かけ上の解像度は大きくなる。
また、このような中間階調表現手法のその他の手法には、ディザマトリックス法なども挙げられる。
なお、上述の各実施形態では、基準ドットの右下に拡張ドットを形成することとしたが、拡張ドットの形成位置はこれに限定されない。例えば、図40(a)〜(c)に示すように、基準ドットを各ライン毎に形成し、かつその右隣に拡張ドットを形成するようにしてもよい。このようにしても、2値化処理の数(回数)は、印刷可能最大解像度の半分になる。
また、上述の各実施形態では、基準ドットの位置ズレ量が解像度360dpiのドットピッチに対して10%である場合についてのみ説明したが、位置ズレ量の設定、つまりドットピッチが広いか、狭いか、または基準内であるかは、実際のノズルからの基準ドットの位置ズレ量に応じて設定すればよい。また、ドットピッチの広さ、或いは狭さを加味して「とても広い」とか、「とても狭い」というレンジを設けてもよい。
また、上述の各実施形態では、濃度を元にドット径を求めているが、逆にドット径から濃度を求めるようにしてもよい。例えば、ドット径(直径)が、L:70μm、M:60μm、S:40μmである場合、夫々の濃度は約80%、約60%、約30%となるから、ドット径SとSの組合せでは濃度約60%、SとMの組合せでは濃度約90%、SとLの組合せでは濃度約100%となる。従って、2値化処理の階調度を4段階、すなわち100%、90%、60%、0%として、前記と同様にして基準ドット及び拡張ドットを作成すればよい。
また、拡張ドット用のノズル(ノズルヘッド)では、基準ドット用のノズル(ノズルヘッド)と異なるインクを用いてもよく、例えば拡張ドット用のノズルでは同系色の淡いインクを用いる。これにより、拡張ドットでは、濃度の小さいドットを比較的大きいドット径で形成することができるので、ノズルヘッドの構成が簡素になり、コストを低廉化することもできる。
また、上述の各実施形態では、ラインヘッド型プリンタを対象として本発明の印刷用画像処理装置を適用した例についてのみ詳述したが、本発明の印刷用画像処理装置は、例えばマルチパス型プリンタを始めとして、あらゆるタイプのインクジェットプリンタを対象として適用可能である。
また、上述の各実施形態では、2値化処理を行う解像度を印刷可能最大解像度の半分としたが、この2値化処理解像度は、印刷可能最大解像度より小さければ幾つでも構わない。例えば、2値化処理解像度を、印刷可能最大解像度の1/4とし、一つの基準ドットに対して拡張ドットを3つ作成するようにしても、見かけ上の解像度は大きくなる。
また、上述の各実施形態においては、パーソナルコンピュータ1が図1のS1〜S5の処理を実行する態様について説明したが、これらの処理の一部または全部をインクジェットプリンタ2が実行する構成としてもよい。
本発明の第1実施形態に係る画像形成システムを示す図である。 パーソナルコンピュータ1のハードウェア構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る拡張ドット作成処理を示すフローチャートである。 単位ドットのドット径と濃度の関係を説明する図である。 基準ドット/拡張ドットの生成方法を説明する図である。 基準ドット/拡張ドットのドット径を算出する処理を説明する図である。 第1実施形態に係る基準ドット/拡張ドットを例示する図である。 従来技術により形成されたドットを例示する図である。 従来技術により形成されたドットを例示する図である。 360dpiのドットを千鳥状に配置したパターンを示す図である。 従来技術により形成されたドットを例示する図である。 インクジェットプリンタ2のヘッドの構造を示す図である。 第2実施形態に係る拡張ドット作成処理を示すフローチャートである。 基準ドット/拡張ドットのドット径を算出する処理を説明する図である。 第2実施形態に係る基準ドット/拡張ドットを例示する図である。 第3実施形態に係る拡張ドット作成処理を示すフローチャートである。 基準ドット/拡張ドットのドット径を算出する処理を説明する図である。 第3実施形態に係る基準ドット/拡張ドットを例示する図である。 ドットの位置ずれの例を説明する図である。 ドットの位置ずれの別の例を説明する図である。 ドットの位置ずれのさらに別の例を説明する図である。 ドットの位置ずれのさらに別の例を説明する図である。 ドットの位置ずれのさらに別の例を説明する図である。 第4実施形態に係るドットピッチテーブルを例示する図である。 第4実施形態に係る拡張ドット径テーブルを例示する図である。 第4実施形態に係る基準ドット径テーブルを例示する図である。 第4実施形態に係る拡張ドット作成処理を示すフローチャートである。 基準ドット/拡張ドットのドット径を算出する処理を説明する図である。 第4実施形態に係る基準ドット/拡張ドットを例示する図である。 第1実施形態により形成されたドットを例示する図である。 第5実施形態に係る拡張ドット径テーブルを例示する図である。 第5実施形態に係る基準ドット径テーブルを例示する図である。 ドットの位置ずれの例を説明する図である。 ドットの位置ずれの別の例を説明する図である。 ドットの位置ずれのさらに別の例を説明する図である。 ドットの位置ずれのさらに別の例を説明する図である。 ヘッドAおよびヘッドBが出力可能なドット径を例示する図である。 基準ドット/拡張ドットのドット径を算出する処理を説明する図である。 第5実施形態に係る基準ドット/拡張ドットを示す図である。 他の実施形態に係る基準ドット/拡張ドットのドット径を算出する処理を説明する図である。 ドットサイズのバラツキを説明する図である。 ドットサイズのヒストグラムを示す図である。 第6実施形態に係るドット間濃度テーブルを例示する図である。 第6実施形態に係る拡張ドット径テーブルを例示する図である。
符号の説明
1…パーソナルコンピュータ、2…インクジェットプリンタ、3…デバイスドライバ、4…アプリケーションソフトウエア、60…CPU、62…RAM、64…ROM、68…内外バス、70…外部記憶装置、72…出力装置、74…入力装置

Claims (15)

  1. マトリックス状に配置された第1の画素の階調度を示す画像データを、少なくとも印字走査方向と直交する方向の解像度が印刷可能最大解像度より低い解像度でマトリックス状に配置された第2の画素の濃度を示す濃度データに変換する変換手段と、
    前記変換手段により得られた濃度データから、前記第2の画素の領域内に形成されるドットである基準ドットのドット径と、前記第2の画素の領域内または境界線上において前記基準ドットと異なる所定の位置に形成されるドットであり、前記基準ドットと一対一に対応する拡張ドットのドット径とを示すデータを含む印刷制御データを生成する拡張ドット生成手段と、
    前記拡張ドット生成手段により生成された印刷制御データを、インクを吐出する複数のノズルを有する画像形成手段に出力する出力手段と
    を有し、
    前記基準ドットと前記拡張ドットの双方による前記第2の画素の濃度が、前記濃度データにより示される濃度に等しい
    ことを特徴とする印刷用画像処理装置。
  2. 前記拡張ドットが、前記複数のノズルのうち前記基準ドットを出力するノズルの隣のノズルにより形成され、
    前記拡張ドットが、印字走査方向に対して垂直な方向のラインにおいて、前記基準ドットの次のラインに生成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の印刷用画像処理装置。
  3. 前記拡張ドットが、前記複数のノズルのうち前記基準ドットを出力するノズルの隣のノズルにより形成され、
    前記拡張ドットが、印字走査方向に対して垂直な方向のラインにおいて、前記基準ドットの同一のラインに作成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の印刷用画像処理装置。
  4. 前記基準ドットのドット径が、対応する拡張ドットのドット径以上である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の印刷用画像処理装置。
  5. 前記基準ドットおよび前記拡張ドットの面積が、前記複数のノズルで印字可能な最小径のドットの面積の整数倍である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の印刷用画像処理装置。
  6. 前記拡張ドット生成手段が、前記基準ドット及び前記拡張ドットの配列を、印字走査方向あるいはそれと直交する方向において所定ライン数毎に変更する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の印刷用画像処理装置。
  7. 前記複数のノズルの各々により形成されるドットの単位面積あたりの濃度の理想濃度からの濃度ずれ量を記憶した濃度ずれ量記憶手段をさらに有し、
    前記拡張ドット生成手段が、前記拡張ドットのドット径を、その近傍の基準ドットを出力するノズルの濃度ずれ量に基づいて決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の印刷用画像処理装置。
  8. ノズルの濃度ずれ量と、前記第2の画素の濃度と、前記拡張ドットのドット径とを対応付けた拡張ドット径テーブルを記憶した拡張ドット記憶手段をさらに有し、
    前記拡張ドット生成手段が、前記拡張ドット径テーブルを参照して前記拡張ドットのドット径を決定する
    ことを特徴とする請求項7に記載の印刷用画像処理装置。
  9. 前記拡張ドット生成手段が、形成可能な拡張ドットのドット径のうち、前記変換手段により得られた濃度データにより示される濃度に最も近いドット径を選択する
    ことを特徴とする請求項8に記載の印刷用画像処理装置。
  10. 前記複数のノズルの各々により形成されるドットの単位面積あたりの濃度が、理想濃度よりも薄い場合、前記拡張ドット生成手段が、拡張ドットのドット径を大きく設定する
    ことを特徴とする請求項7〜9のいずれかの項に記載の印刷用画像処理装置。
  11. 前記複数のノズルの各々により形成されるドットの単位面積あたりの濃度が、理想濃度よりも濃い場合、前記拡張ドット生成手段が、拡張ドットのドット径を小さく設定する
    ことを特徴とする請求項7〜9のいずれかの項に記載の印刷用画像処理装置。
  12. 前記濃度ずれ量が、前記複数のノズルの各々の理想位置からの位置ずれ量に基づいて算出される
    ことを特徴とする請求項7〜11のいずれかの項に記載の印刷用画像処理装置。
  13. 前記濃度ずれ量が、前記複数のノズルの各々により形成されるドットのサイズの、理想サイズからのサイズずれ量に基づいて算出される
    ことを特徴とする請求項7〜11のいずれかの項に記載の印刷用画像処理装置。
  14. 前記濃度ずれ量が、(A)前記複数のノズルの各々の理想位置からの位置ずれ量、および(B)前記複数のノズルの各々により形成されるドットのサイズの、理想サイズからのサイズずれ量、の双方に基づいて算出される
    ことを特徴とする請求項7〜11のいずれかの項に記載の印刷用画像処理装置。
  15. マトリックス状に配置された第1の画素の階調度を示す画像データを、少なくとも印字走査方向と直交する方向の解像度が印刷可能最大解像度より低い解像度でマトリックス状に配置された第2の画素の濃度を示す濃度データに変換するステップと、
    記濃度データから、前記第2の画素の領域内に形成されるドットである基準ドットのドット径と、前記第2の画素の領域内または境界線上において前記基準ドットと異なる所定の位置に形成されるドットであり、前記基準ドットと一対一に対応する拡張ドットのドット径とを示すデータを含む印刷制御データを生成するステップと、
    記印刷制御データを、インクを吐出する複数のノズルを有する画像形成手段に出力するステップと
    を有し、
    前記基準ドットと前記拡張ドットの双方による前記第2の画素の濃度が、前記濃度データにより示される濃度に等しい
    ことを特徴とする画像処理方法。
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