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JP4363718B2 - ポリウレタンポリウレア含有交編織物 - Google Patents
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JP4363718B2 - ポリウレタンポリウレア含有交編織物 - Google Patents

ポリウレタンポリウレア含有交編織物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱セット性が優れかつ官能的にも均一な色彩が得られる編織物に関わる。
【0002】
【従来の技術】
ポリアルキレンエーテルグリコールと過剰の有機ジイソシアネートで合成されたイソシアナート末端のプレポリマーに、ジアミンで鎖伸長させて得られるポリウレタンポリウレア弾性繊維は公知であり、相手素材としてポリアミド繊維を主としてポリエステル繊維や綿やレーヨンといったセルロース系繊維と交編織されファンデーション、ソックス、パンティストッキング、水着、スポーツウエア、レオタード等、多分野の衣料に伸縮機能素材として使用されている。
【0003】
ポリウレタンポリウレアウレア弾性繊維は、ウレア基からなるハードセグメントが強固な水素結合性の物理架橋を形成し優れた弾性機能を発揮する。ところが、製品布帛に型止まり性が特に要求される分野、例えばゾッキパンスト、タイツ等のレッグ向け丸編分野、ブラジャー、ガードル、水着等のインナー・スポーツ向け経編分野、ボトム等のアウター向け織物分野において加工する際、ポリウレタンポリウレア弾性繊維は熱セット性に乏しく、型通りに大きく仕上がらず着用に困難を伴ったり、布帛の縁がカール(クルクルと丸く反り返る現象)して縫製し辛い問題を含んでいた。また、所望の幅出しをするために何回もセットしたり、より高い温度でセットしたりして、生産効率や熱効率が悪化するといった問題もあった。
【0004】
一方、ポリウレタン弾性繊維(ウレタン結合のみから成る弾性繊維)やポリエーテルエステル弾性繊維(ポリアルキレンエーテルグリゴール成分を共重合したポリエステル)といったウレア基を持たない弾性繊維も、ポリウレタンポリウレア弾性繊維と同様に公知である。これらのウレア基を含まない弾性繊維は、熱セット性に優れ、製品布帛の型止まり性が良好である一方、ウレア基からなるハードセグメントを持たないため、ポリウレタンポリウレア弾性繊維よりも加工後の強力低下が大きくなるといった欠点をもっている。すなわち実用衣料において、耐久性に問題点を含んでいるのである。
【0005】
また、従来の弾性繊維は、相手糸として混用されるナイロン6、ナイロン66に代表されるポリアミド繊維やウールと染色した場合、染料の染着性が低いために染色レシピによってはポリアミド繊維やウールとの同色性を欠いたり、あるいは染まらなかったりする。このために弾性繊維が交編織物の外側に露出するいわゆる目剥きという問題があり、目剥きによって生地の外側にちらちらとポリアミド繊維とは異色の弾性繊維が顔をのぞかせたり、あるいは弾性繊維特有のぎらぎらとした光沢のいわゆるぎらつきという現象が起こり、著しく生地の品位が低下してしまうのが現状である。特に弾性繊維が熱セット性に優れ、製品布帛の型止まり性が良好になればなるほど目剥きによる弾性繊維の露出が大きくなり、製品品位低下が大きくなることが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、前記した従来技術の問題点を解決して、型止まり性が良好で、目剥きが少なくかつ耐久性に優れたポリウレタンポリウレア弾性繊維含有交編織物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
型止まり性が良好で、目剥きが少なくかつ耐久性に優れたポリウレタンポリウレア弾性繊維とポリアミド繊維またはウール交編織物を提供するために、鋭意研究を進めた結果、特定のウレア化合物をポリウレタンポリウレア重合体に添加することにより、熱セット性、染色性および耐熱強力保持率が兼ね備わったえたポリウレタンポリウレア弾性繊維を得ることができ、この改良されたポリウレタンポリウレア弾性繊維と混用される相手素材としてのポリアミド繊維またはウールとをある特定の混率で交編織することにより、課題を解決するに至った。
【0008】
本発明は、セット率40%以上75%以下、ブルーL値20以上35以下であることを同時に満足し、かつ耐熱強力保持率45%以上のポリウレタンポリウレア弾性繊維が重量で0.5%以上35%以下の割合で混用されて含有されるポリウレタンポリウレア弾性繊維含有交編織物である。
本発明のポリウレタンポリウレア弾性繊維含有交編織物に含まれるポリウレタンポリウレア弾性繊維は、両末端にヒドロキシル基を有し、数平均分子量600〜5000であるポリマーグリコール、有機ジイソシアネート、及びジアミン化合物の鎖伸長剤、モノアミン化合物の端封鎖剤を原料として合成されるポリウレタンポリウレア重合体を弾性繊維形成重合体とし、これに後に詳述する特定のウレア化合物を1〜15重量%添加して既知の紡糸方法を用いて紡糸することによって調製される。
【0009】
本発明に用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維のセット率は40%以上75%以下である。40%未満であると十分な生地のセット性が得られず、所望する生地の大きさにセットする場合に高温でのセットや長時間のセット時間を必要とする。逆にセット率が大きすぎて75%より大きくなるとセットが効きすぎるために生地のはり、腰が無くなったり、ポリウレタンポリウレア弾性繊維交編織物の特徴であるストレッチ性、伸長率、パワーが損失し、生地としての特性を失ってしまう。
【0010】
本発明に用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維のブルーL値は20以上35以下である。詳細には後述するが、ブルーL値とは特定の青色染料で染色した場合のポリウレタンポリウレア弾性繊維筒編み地の明度であり、L値が高い程色が薄く、高いほど色が濃いことを表す。ブルーL値が35より大きいとポリウレタンポリウレアの色は薄く、生地の目剥きが発生しやすく、20未満では濃く発色しすぎるために、相手素材のポリアミド繊維やウール繊維の色よりも濃く見えて、生地の表面でポリウレタンポリウレア弾性繊維の色が勝ってしまい、生地全体の色のバランスを壊してしまうことがある。
【0011】
本発明に用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維の耐熱強力保持性は45%以上である。耐熱強力保持率が45%未満である場合、所望する生地のセットサイズにできても着用時のポリウレタンポリウレア弾性繊維の摩耗、繰り返し伸長による疲労などにより着用時の耐久性が低くなる。
本発明の交編織物におけるポリウレタンポリウレア弾性繊維の混率は0.5%以上35%以下である。混率が0.5%未満の場合はポリウレタンポリウレア弾性繊維の伸縮特性が生地として現れにくく、混率が35%より大きい場合は染色時に染料分配率が崩れ相手素材の発色を妨げ、生地品位を低下させたり、生地としてのパワーが高すぎたりといった問題を引き起こす。混率は生地の組織によって適正範囲は異なるが、織物の場合0.5%以上5%以下、丸編み製品の場合5%以上25%以下、ラッセル生地の場合15%以上35%以下、パンティーストッキングの場合0.5%以上25%以下が適切である。ここで混率とは、縫製前の仕上げ生地に含有する請求項1記載のポリウレタンポリウレア弾性繊維の含有率を意味するが、パンティーストッキングのように編成直後に製品の形態をとるものについてはパンティー部、レッグ部全てを含めた重量中に占めるポリウレタンポリウレア弾性繊維の含有率とする。
【0012】
本発明の交編織物を構成するポリウレタンポリウレア弾性繊維以外の混用相手素材はN6やN66等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、カチオン可染ポリエステル繊維等のポリエステル繊維類、アクリル繊維、ウール、綿、絹等の天然繊維、銅アンモニア再レーヨン、ビスコースレーヨン、アセテートレーヨン等の1種以上と交編織されたり、又はこれらの繊維で被覆、交絡、合撚等をした加工糸が交編織されて、布帛とすることができる。本発明の交編織物に用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維は発色性特に酸性染料、含金染料における発色性に優れるために、相手素材が酸性染料や含金染料で実質的に染色されない場合は相手素材の染色を相手素材に適した染料で染色し、別にポリウレタン弾性繊維のみを酸性染料または含金染料で同色性良く染色するいわゆるシェーディングによる目剥き紡止も可能である。染色効率やコストの面からは、一般的に酸性染料、含金染料で染めることができるポリアミド繊維またはウール、あるいはポリアミド繊維とウールであることが好ましく、さらに好ましくはポリアミド繊維またはウール、あるいはポリアミド繊維とウールの合計の混率が交編織物の8%以上である。8%未満では酸性染料あるいは含金染料で染色する際に染色浴内の染料濃度が薄くなるために、均繊性が得られなかったり、ポリアミド繊維、ウールとポリウレタンポリウレア弾性繊維の染料配分のバランスが悪くなり、ポリウレタンポリウレア弾性繊維が発色するという効果が低くなってしまう。ここで、各素材についての混率はその素材の良溶媒でありながら他素材を溶かさない溶媒で溶解し、その重量から求めることができ、例えば、ポリウレタンポリウレア繊維ははジメチルアセトアミド、ナイロンは塩酸の水溶液、ポリエステル系繊維は苛性ソーダ水溶液、アクリル系繊維は硝酸水溶液、セルロース系繊維は銅アンモニア、ウールは適切な溶媒が無いために最後まで残すといった方法である。
【0013】
本発明の交編織物で用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維の糸条形態は交編織する際にポリウレタンポリウレア弾性繊維そのものを挿入するいわゆるベアの状態でも被覆弾性糸やコアスパン糸、スパンツイスト糸といった実質的にはポリウレタンポリウレア弾性繊維が芯となり相手糸が撚糸され鞘となる被覆糸条の状態でも良く、その方法は例えばカバリング、精紡交撚、合撚などが上げられ実施例に限定しない。いずれの場合でも効果があるが、交編織物の使用される目的や用途によりその効果を使い分けることができる。パンティーストッキング、織物の主流は被覆弾性糸やコアスパン糸、スパンツイスト糸の状態で使用されており、特に被覆する非弾性繊維が透明糸であったり撚り数が少なかったりする場合はポリウレタンポリウレア弾性繊維の色の影響が強く出る為に交編織した場合に本発明で用いるポリウレタン弾性繊維の発色効果が顕著に現れる。インナー肌着やダイレクトニットインパンストではベア天竺といったベア状態で使用することもしばしばあり、近年では織物でもベア使用するものも出始めており、この状態で使用した場合は被覆状態で使用するとき以上に生地表面にポリウレタンポリウレア弾性繊維の出る確率が高くなるために、被覆状態で用いるとき以上に本発明で用いるポリウレタン弾性繊維の発色効果が顕著に現れる。
【0014】
以下、本発明で用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維に添加されるウレア化合物および本発明で用いられるポリウレタンポリウレア弾性繊維及びそのの調製方法について詳述する。
本発明において、ポリウレタンポリウレア弾性繊維に添加されているウレア化合物は、下記する(a)、(b)及び(c)の化合物を反応生成物である。
【0015】
(a)第1級アミン及び第2級アミンの内の少なくとも一種からなる2官能性アミンと、第3級窒素及び複素環状窒素の内の少なくとも一種とを含む窒素含有化合物
(b)有機ジイソシアナート、(c)モノ又はジアルキルモノアミン、アルキルモノアルコール、有機モノイソシアナートの群から選ばれる1種
この反応は得られるウレア化合物に活性末端が残らないように、上記の(a)、(b)、(c)の化合物のモル当量比を調整して行う必要がある。
【0016】
かくして得られるウレア化合物は、下記(1)式で表される第3級窒素骨格と下記(2)および()式で表されるウレア結合とを含む。但し、アルキルモノアルコールが反応に関与するウレア化合物である場合には、下記()式で表されるウレタン結合も含まれている。

N− (1)

−N−C−N− (2)
| ‖ |
H O H

N−C−N− (3)
/ ‖ |
O H
−O−C−N− (4)
‖ |
O H
ポリウレタンポリウレア弾性繊維に添加されるウレア化合物は、(c)の化合物の選択内容に応じて、(1)〜(4)式で表される構造を含む下記する2つの構造式(構造中のnは1以上の重合繰り返し数を表す)で表される式(5)、(6)のウレア化合物に分類される。
【0017】
▲1▼(c)の化合物がモノ又はジアルキルモノアミン又はアルキルモノアルコールの場合
(c)−[(b)−(a)]n−(b)−(c) (5)
▲2▼(c)が有機モノイソシアナートの場合
(c)−[(a)−(b)]n−(a)−(c) (6)
ウレア化合物の好ましい構造は、(c)が有機イソシアナートである式(6)で表されれる構造である。この2種類の構造を持つウレア化合物は、単独で添加されることが好ましいが、混合して用いることもできる。
【0018】
本発明で用いられるウレア化合物を得るのに使用される(a)の化合物中、第1級アミン及び第2級アミンの内の少なくとも一種からなる2官能性アミンと、第3級窒素及び複素環状窒素の内少なくとも一種とを含む窒素含有化合物としては、N−ブチル−ビス(2−アミノエチル)アミン、N−ブチル−ビス(2−アミノプロピル)アミン、N−ブチル−ビス(2−アミノブチル)アミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−イソブチルアミン、N,N−ビス(2−アミノプロピル)−イソブチルアミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−t−ブチルアミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−1,1−ジメチルプロピルアミン、N,N−ビス(2−アミノプロピル)−1,1−ジメチルプロピルアミン、N,N−ビス(2−アミノブチル)−1,1−ジメチルプロピルアミン、N−(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)−ビス(2−アミノエチル)アミン、N−(N,N−ジブチル−3−アミノプロピル)−ビス(2−アミノプロピル)アミン、ピペラジン、ピペラジン誘導体、例えば2−メチルピペラジン、1−(2−アミノエチル)−4−(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,5−および2,6−ジメチルピペラジン、N,N’−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−アミノ−(2−アミノエチル)−4−メチルピペラジン等、ピペリジン誘導体、例えば4−アミノエチルピペリジン、N−アミノ−4−(2−アミノエチル)ピペリジン、N−ビス(2−アミノエチル)アミン−ピペリジン等、ピロリドン誘導体、例えばN−アミノ−4−(2−アミノエチル)−2−ピロリドン、N−(3−アミノプロピル)−4−(3−アミノプロピル)−2−ピロリドン、N−ビス(2−アミノエチル)アミン−2−ピロリドン等が例示的に挙げられる。好ましい窒素含有化合物は、ピペラジン、ピペラジン誘導体であり、得られるウレア化合物のアミド系溶媒への溶解性が極めて良好である。N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノプロピル)ピペラジンが好適である。これらの化合物は、単独であるいは混合して用いることができる。
【0019】
本発明に用いられるウレア化合物を得るのに使用される(b)の化合物としては、有機ジイソシアナートとしては、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、3−メチルヘキサン−1,6−ジイソシアナート、3,3’−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアナート、1,3−及び1,4−シクロへキシレン−ジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアナート、m−及びp−キシリレンジイソシアナート、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタン−ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナート等が例示的に挙げられる。好ましくは、イソホロンジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアナートのような脂環族ジイソシアナートであり、これらは単独であるいは混合して用いることができる。
【0020】
本発明に用いられるウレア化合物を得るのに使用される(c)の化合物としては、モノ又はジアルキルモノアミンとしては、炭素数1〜10のアルキル基を有するモノアミンであり、例えば、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ジエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−イソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン等が挙げられる。また、アルキル鎖中に第3級窒素原子や酸素原子を含んでいてもよく、例えば、3−ジブチルアミノ−プロピルアミン、3−ジエチルアミノ−プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンが例示的に挙げられる。これらは単独であるいは混合して用いることができる。
【0021】
本発明に用いられるウレア化合物を得るのに使用される(c)の化合物としては、炭素数1〜10のアルキル基を有するアルキルモノアルコール、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ブタノール等が挙げられる。これらは単独あるいは混合して用いることができる。
【0022】
モノ又はジアルキルアミンとアルキルアルコールは、それぞれ単独であるいは混合して用いることができるが、単独での使用が好ましい。
本発明に用いられるウレア化合物を得るのに使用される(c)の化合物中、有機モノイソシアナートとしては、n−ブチルイソシアナート、フェニルイソシアナート、1−ナフチルイソシアナート、p−クロロフェニルイソシアナート、シクロヘキシルイソシアナート、m−トリルイソシアナート、ベンジルイソシアナート、m−ニトロフェニルイソシアナート等が例示的に挙げられる。これらは単独であるいは混合して用いることができるが、前述のモノ又はジアルキルアミン、アルキルアルコール類と混用することはできない。モノ又はジアルキルアミン、アルキルアルコールの活性水素を有機モノイソシアナートが封鎖した化合物を生成し、(7)式又は(8)式の構造をもつウレア化合物の有効量が減少する。この生成化合物は、ポリウレタンポリウレア弾性繊維の加工工程で、繊維からブリードアウトして編機や染色浴槽を汚すスカムの原因となる。
【0023】
本発明で添加改質材として用いられる前記したウレア化合物を得るのに使用される(c)の化合物は、前述の如く3種から選択され、(a)と(b)から得られるウレア化合物の活性末端(アミノ基又はイソシアナート基)を封鎖する機能を有し、この活性末端がポリウレタンポリウレア弾性繊維の紡糸安定性を低下させたり、堅牢度を低下させる。ウレア化合物を調製する反応において、反応モル当量が(a)>(b)の場合にはウレア化合物末端がアミノ基であるため(c)の化合物として有機モノイソシアナートが選択され、(a)<(b)の場合にはウレア化合物末端がイソシアナート基であるため(c)の化合物としてモノ又はジアルキルアミンとアルキルモノアルコールの少なくとも一種が選択される必要がある。好ましくは、先述したように有機モノイソシアナート化合物が選択される。
【0024】
本発明に用いられるウレア化合物は、下記(7)式及び(8)式で示されるウレア結合単位を1分子中に2〜40個が含まれていることが特徴としている。
Figure 0004363718
(c)の化合物がモノ又はジアルキルモノアミン又はアルキルモノアルコールの場合、ウレア化合物の構造は(9)式で示される(構造中のnは1以上の重合繰り返し数を表す)。
【0025】
Figure 0004363718
所望のウレア結合単位数を持つウレア化合物は、(a)、(b)、(c)の各化合物の反応仕込みモル比を調整することで得られる。すなわち、(a):(b):(c)=n:n+1:2となるように調整すれば、1分子中に存在するウレア結合単位数がモノ又はジアルキルモノアミンではn+3、アルキルモノアルコールではn+1となる。
【0026】
(c)の化合物が有機モノイソシアナートの場合、ウレア化合物の構造は(10)式で示される(構造中のnは1以上の重合繰り返し数を表す)。
Figure 0004363718
このとき、(a):(b):(c)=n+1:n:2となるようにモル比を調整すれば、1分子中に存在するウレア結合単位数は、n+3となる。
【0027】
添加改質に用いられるウレア化合物の1分子中に存在するウレア結合単位数が4〜40の範囲であるから、構造中の重合繰り返し数nに換算すれば、モノ又はジアルキルモノアミン、有機モノイソシアナートの場合は1〜37,アルキルモノアルコールでは3〜39である。ウレア結合単位数が4未満や40を超えると、十分な熱セット性が得られない。また、ウレア結合単位数が4未満では、ポリウレタンポリウレア弾性繊維の加工工程において、ブリードアウトして編機や染色浴槽を汚すスカムの原因となる。一方、ウレア結合単位数が40を超えると、ドープ中に所定量添加されたウレア化合物がポリウレタンポリウレア紡糸原液中で析出して、紡糸途上におけるポリウレタンポリウレア弾性糸の糸切れが生じさせたり、ポリウレタンポリウレア弾性繊維の伸度の低下を起こして、弾性機能が損なわれてしまう。好ましいウレア結合単位数はウレア化合物の1分子中に4〜15である。
【0028】
本発明に用いられるウレア化合物の1分子中に存在するウレア結合単位数は、(a)、(b)、(c)の化合物の反応仕込みモル比を選ぶことで調整することができる。ウレア化合物の合成時の反応温度は、20〜60℃が好ましい。この合成反応は、ポリウレタンポリウレア重合体が溶解することができるアミド系極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等で行うことが好ましい。ポリウレタンポリウレア重合体を溶解しない溶媒を用いて合成する場合には、反応後反応物を固形分として取り出してポリウレタンポリウレア重合体が溶解する溶媒に溶解させ、ポリウレタンポリウレア重合体に添加することができる。
【0029】
反応方法の一例としては、、(a)の化合物としてN−(2−メチルアミノ)ピペラジンを2モル、(b)としてイソホロンジイソシアナートを1モル、(c)としてフェニルイソシアナート2モルを50重量%のジメチルアセトアミド溶液となるように50℃で2時間反応させる。反応は、ジメチルアセトアミド中に溶解させたN−(2−メチルアミノ)ピペラジンの中に、イソホロンジイソシアナートとフェニルイソシアナートを滴下して行うが、反応方法はこれに限定されるものではなく、その他公知の方法を用いることができる。このとき得られるウレア化合物の重合繰り返し数nは1となり、1分子当たりに存在するウレア結合単位数は4となる。
【0030】
本発明で用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維の最も一般的な調製方法は、アミド系極性溶媒に溶解したウレア化合物をポリウレタンポリウレア重合体溶液に添加した紡糸原液を乾式紡糸する方法である。ウレア化合物の添加は、ポリウレタンポリウレア重合体の重合終了から紡糸するまでの任意の段階で行うことができる。
【0031】
ポリウレタンポリウレア弾性繊維へのウレア化合物の添加量は、製品布帛に要求されるセット性と染色性が十分満足でき、且つ優れた弾性機能と紡糸安定性を損なわない量であればよく、ポリウレタンポリウレア重合体に対して1〜15重量%であることが好ましい。ウレア化合物の添加量が1重量%未満では熱セット性、染色性の効果が小さい。また、15重量%を超えると、熱セット性効果が飽和して染色堅牢度も悪化するだけでなく、紡糸糸切れ等を起こして紡糸安定性が低下したり、また、強度、伸度、弾性回復性といった弾性機能も損なわれる。より好ましい添加量は、2〜10重量%である。
【0032】
なお、本発明に用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維に添加するウレア化合物をポリウレタン弾性繊維(ウレタン結合のみの弾性繊維)に添加した場合も熱セット効果を有するが、ポリウレタンポリウレア弾性繊維に添加した場合よりも効果の程度は小さいばかりか、繊維の弾性機能や紡糸安定性が損なわれてしまう。
【0033】
本発明のポリウレタンポリルレア繊維の調製にあたっては、公知の熱セット性改良技術も付加的に併用することができる。例えば、特開平7−316922公報に記載された、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリウレタン重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体から選ばれる熱可塑性重合体の少なくとも1種を同時に含有させてもよい。この場合、熱可塑性重合体と本発明のウレア化合物との合計添加量は、15重量%以下として、且つ前記した公知の熱可塑性重合体の添加量が本発明のウレア化合物の添加量を超えない範囲で添加されることが好ましい。
【0034】
本発明て特定されるウレア化合物を含有するポリウレタンポリウレア弾性繊維が、弾性機能、紡糸安定性を少なくとも犠牲にせず優れた熱セット性と染色性を示す理由は、第一には染色性と堅牢度に優れる特定の窒素含有化合物の効果であり、第二には特定のウレア結合単位数を含むウレア化合物の効果であると推察される。すなわち、染色性と堅牢度が優れるのは、第1級アミン及び第2級アミンの内の少なくとも一種からなる2官能性アミンと第3級窒素及び複素環状窒素の内の少なくとも一種とを含む窒素含有化合物が、酸性染料や分散染料を強く吸着保持することによる効果である。また、熱セット性が優れるのは、1分子中に4〜40のウレア結合単位を有するウレア化合物の効果である。
【0035】
ポリウレタンポリウレア弾性繊維は、ウレタン結合とウレア結合を有するセグメント化ポリマーであり、中でもウレア結合同士は極めて強い水素結合性の物理架橋を生じ結晶性ドメインを形成する。そのため、常温下では優れた弾性機能を発現する一方、高温下でもこの水素結合は破壊されにくいため熱セットがされにくいものと考えられる。
【0036】
特定のウレア結合単位数を有する本発明のウレア化合物は、ポリウレタンポリウレア弾性繊維中のウレア結合と強い水素結合を生じポリウレタンポリウレア弾性繊維中の結晶性ドメインと同化するため、常温下では優れた弾性機能を発現するポリウレタンポリウレア弾性繊維となる。しかし、本発明のウレア化合物は結晶性ドメインのガラス転移温度を低下させる作用があり、高温下では水素結合が切断され結晶性ドメインが熱フローし易くなるため、熱セット性の優れるポリウレタンポリウレア弾性繊維となる。本発明のウレア化合物のポリウレタンポリウレア弾性繊維に対する添加量が少な過ぎると、この熱セット効果は不足する。逆に、添加量が多過ぎると熱セット効果は十分満足するものとなるが、結晶性ドメインのガラス転移温度が下がり過ぎ紡糸時の高温で熱フローを生じ紡糸安定性が確保出来なるばかりでなく、弾性機能までも損なってしまうのである。
【0037】
本発明に用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維のポリウレタンポリウレア重合体は、両末端にヒドロキシル基を有し、数平均分子量600〜5000であるポリマーグリコール、有機ジイソシアネート、及びジアミン化合物の鎖伸長剤、モノアミン化合物の端封鎖剤から製造される。
ポリマーグリコールとしては、実質的に線状のホモ又は共重合体からなる各種ジオール、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルアミドジオール、ポリアクリルジオール、ポリチオエステルジオール、ポリチオエーテルジオール、ポリカーボネートジオール又はこれらの混合物又はこれらの共重合物等が挙げられる。好ましくはポリアルキレンエーテルグリコールであり、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシペンタメチレングリコール、テトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基から成る共重合ポリエーテルグリコール、テトラメチレン基と3−メチルテトラメチレン基から成る共重合ポリエーテルグリコール又はこれらの混合物等である。中でも、優れた弾性機能を示す、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、テトラメチレン基と2,2−ジメチルプロピレン基から成る共重合ポリエーテルグリコールが好適である。
【0038】
本発明に用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維のポリウレタンポリウレア重合体で用いる有機ジイソシアネートとしては、例えば、脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアナートの中で、反応条件下でアミド系極性溶媒に溶解又は液状を示すものすべてを適用できる。例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート、m−及びp−キシリレンジイシシアナート、α,α,α’,α’−テトラメチル−キシリレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアナート、4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアナート、1,3−及び1,4−シクロヘキシレンジイソシアナート、3−(α−イソシアナートエチル)フェニルイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチレンジイシシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート又はこれらの混合物又はこれらの共重合物等が挙げられる。好ましくは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0039】
本発明に用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維のポリウレタンポリウレア重合体で用いる鎖伸長剤のジアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ペンタジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ピペラジン、o−,m−及びp−フェニレンジアミン、特開平5−155841号公報に記載のウレア基を有するジアミン又はこれらの混合物等が挙げられる。好ましくは、エチレンジアミン単独、又は1,2−プロピレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ペンタジアミンの群から選ばれる少なくとも1種が5〜40モル%含まれるエチレンジアミン混合物である。
【0040】
本発明に用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維のポリウレタンポリウレア重合体で用いる末端停止剤のモノアミン化合物としては、例えば、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン等のモノアルキルアミン、又はジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−イソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン等のジアルキルアミンが挙げられ、単独で又は混合して用いることができる。また、1,1−ジメチルヒドラジンを該モノアミン化合物に混合して用いることもできる。
【0041】
ポリウレタンポリウレア重合体は、公知のポリウレタンポリウレア化反応技術を用いることができる。例えば、数平均分子量600〜5000のポリアルキレンエーテルグリコールに過剰モルの有機ジイソシアナートをアミド系極性溶媒中で反応させて末端にイソシアナート基を有する中間重合体作成する。次いで、この中間重合体をアミド系極性溶媒に溶解し、鎖伸長剤と末端停止剤を反応させることによってポリウレタンポリウレア重合体が得られる。
【0042】
本発明に用いるポリウレタンポリウレア弾性繊維は、ポリウレタンポリウレア重合体に対して本発明のウレア化合物を1〜15重量%含有させた紡糸原液を乾式紡糸して得られる。
本発明のウレア化合物のポリウレタンポリウレア重合体への含有率と請求項1記載のセット率、ブルーL値、耐熱強力保持率との関係は次の株になる。ウレア化合物含有率が増加に伴って、セット率は増加し、ブルーL値は減少し、耐熱保持率は減少する。すなわち、ウレア化合物の含有率が高くなると、糸は高セット、濃色、強力低下の方向へ動く。本発明に使用するポリウレタンポリウレア弾性繊維が請求項1記載のセット率40%以上75%以下、ブルーL値20以上35以下、耐熱強力保持率45%以上を同時に満足するための該ウレア化合物の含有率は1〜15重量%であり、実用上の製造時の紡糸容易性、できあがった糸の種々の物性を考慮すると2〜6重量%であることがさらに好ましい。
【0043】
紡糸原液には、本発明のウレア化合物以外に、公知のポリウレタンポリウレア弾性繊維、ポリウレタン弾性繊維、ポリウレタン組成物に有用である有機又は無機の配合剤、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐ガス着色防止剤、着色剤、艶消し剤、滑剤等を同時又は逐次添加することができる。
このようにして得られるポリウレタンポリウレア重合体紡糸原液は、公知の乾式紡糸、湿式紡糸等で繊維状に成形し、ポリウレタンポリウレア弾性繊維を製造することができる。優れた弾性機能を発現し生産性に優れる、乾式紡糸が好ましい。
【0044】
また、得られるポリウレタンポリウレア弾性繊維は、単糸当たりのデニールが大きい方が熱セット性の向上には有利である。好ましくは、単糸当たり5〜30デニールである。これは繊維中での結晶部分の配向緩和が大きいことに由来するものと考えられる。5デニール未満では配向が大きいため、また30デニールを越えると配向緩和は小さいが結晶サイズが大きくなり熱セット時の結晶フローが起こりにくくなるためである。このことは、ポリウレタンポリウレア弾性繊維に限ったことではなく、あらゆる種類の弾性繊維に対して適用することができる。
【0045】
本発明のポリウレタンポリウレア弾性繊維に、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性シリコン、ポリエーテル変性シリコン、アミノ変性シリコン、鉱物油、鉱物性微粒子、例えばシリカ、コロイダルアルミナ、タルク等、高級脂肪酸金属塩粉末、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等、高級脂肪族カルボン酸、高級脂肪族アルコール、パラフィン、ポリエチレン等の常温で固形状ワックス等の油剤を単独、又は必要に応じて任意に組み合わせ付与してもよい。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例の評価結果は、比較対照して表1、2、3、及び4にまとめで示す。実施例等における、弾性繊維の評価、交編編織物に係わる測定値は、下記する測定方法により求めたものであある。
〔1〕破断強度、破断伸度の測定
引張試験機(オリエンテック(株)製UTM−III−100型)により20℃、65%RH雰囲気下で、試料長5cmの試験糸を50cm/分の速度で引っ張り、破断強度(g)、破断伸度(%)の測定を行う。
〔2〕熱セット性の評価方法
初期長5cmの試験糸を100%伸長下で120℃の加圧蒸気雰囲気下に15秒置いた後、120℃の乾燥機内で30秒間乾燥させる。その後、50℃の雰囲気下で1時間放縮させる。さらに、20℃、65%RH雰囲気下で16時間放置後、糸長(Lcm)を読みとる。尚、50℃での放置は経日変化を加速するための処理である。熱セット率(%)は下式にて算出する。熱セット率が高い方が、布帛の型止まり性が優れる。
【0047】
熱セット率(%)=(L−5)/5×100
〔3〕ブルーL値測定法
ポリウレタンポリウレア弾性繊維15デニールを針本数370本の直径3.75インチの一口編み機にて編み立て、弾性繊維の筒編み地を得た。さらにナイロン6繊維50デニール/17フィラメント(商標名東レナイロン)を同様に編み立てて、ナイロン6筒編み地を得た。これらを同浴にて下記条件で染色、フィックス処理を行った。
【0048】
Figure 0004363718
染色およびフィックスは一貫して軟化器を通したCaイオン濃度3ppm以下の軟水を使用し、染色機はミニカラー染色機(テクサム技研)を使用した。
【0049】
染色した弾性繊維筒編み地を脱水後室温で12時間風乾後、筒編み3つ折りすなわち生地6枚重ねの状態でマクベス測色機にてハンター色度のL値(明度)を測定した。
〔4〕耐熱強力保持率の測定
初期長5cmの試験糸を100%伸長下で180℃に設定したピンテンターで通過時間60秒で通過させ、さらに、20℃、65%RH雰囲気下で16時間放置後、リラックスさせ、〔1〕の方法で強力S1(g)を測定する。熱セット前の糸の強力S0とすると耐熱強力保持率を下記式で算出する。
【0050】
耐熱強力保持率=S1/S0×100(%)
〔5〕パンティストッキングの作成
ポリアミド弾性繊維(旭化成工業(株)製、レオナ10d/5f)と試験糸をカバリング(ドラフト率2.7、撚り数1600T/m、シングルカバーS撚り,Z撚り各2本)し、編み機(永田Simplex KT−6型、400ゲージ)でレッグ部トータルコース2500のゾッキパンティストッキングを編み立てた。一方パンティー部はナイロンと従来のポリウレタンポリウレア弾性繊維を含め12g/足となるように調整し、全てのパンストに共通とした。編み地を50℃でプレセットした後、95℃で45分間染色する。フィックス処理、柔軟加工剤処理後、ステンレス製の足型に編み地を被せたまま120℃の加圧蒸気で15秒間セットし120℃で30秒間乾燥させた。足型より編み地を引き抜き、20℃、65%RH雰囲気下で3日間放置する。
〔6〕交編織物の熱セット性評価
上記[ 5] で作成したパンティストッキングのレッグ部の長さ(cm)を測定する。長さの長い方が、使用したポリウレタンポリウレア弾性繊維の熱セット性が優れることを示す。反物の織物、編物は仕上がりの幅(cm)を測定する。幅の広い方が使用した使用したポリウレタンポリウレア弾性繊維の熱セット性が優れることを示す。
〔7〕目剥き評価
仕上がった交編織物を目視判定して目剥きの状態を1から5級で判定した。5級はポリウレタンポリウレア弾性繊維が表面に出ていることを全く認識できないレベル。4級はポリウレタンポリウレア弾性繊維が表面に出ていることを確認できないがぎらつき感が若干分かるレベル。3級はポリウレタンポリウレア弾性繊維が表面に出ていることが認識できるレベル。2級ポリウレタン弾性繊維が表面に出ていることが認識でき、さらにその色が相手糸の色と違うことが認識できるレベル。1級は目剥きして明らかにポリウレタンポリウレア繊維が表に出ていることが確認でき、それが染まっていない、または白いと認識できるレベルである。
〔8〕パンティーストッキングの耐久性
女性パネラー10名にパンティーストッキングを8時間/1日着用させ、日常生活を行ってもらい、着用終了毎に点検してもらい、ポリウレタンポリウレア弾性繊維が切れたときの着用回数を記録した。例えば3回着用後に切れを発見した場合そのパンティーストッキングの着用耐久性は3となる。この値10人分を平均して耐久性とした。
〔9〕モールド加工性能評価
直径15cmにくりぬいた厚さ2cmの固定具2枚の間にたるみ無く、リラックス状態で生地を固定し、表面温度180℃に加熱した直径10cmの半球状の熱鉄球を生地の押し込み深さが10cmとなるように押し当て60秒後直ちに熱鉄球を抜き取り、整形されたこぶ状の形のまま20℃×65%RHに12時間放置した後そのこぶの頂点までの高さを測定した。
【0051】
(実施例1)
数平均分子量1,800のポリテトラメチレンエーテルグリコール1,500g(重量部、以下同じ)および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート312gを、窒素ガス気流中60℃において90分間攪拌しつつ反応させて、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを得た。次いで、これを室温まで冷却した後、乾燥ジメチルホルムアミド2,600gを加え、溶解してポリウレタンプレポリマー溶液とした。一方、エチレンジアミン23.4gおよびジエチルアミン3.7gを乾燥ジメチルホルムアミド1,400gに溶解し、これに前記プレポリマー溶液を室温で添加して、粘度3,200ポイズ(30℃)のポリウレタンポリウレア重合体溶液を得た。
【0052】
こうして得られた重合体溶液に、p−クレゾールとジシクロペンタジエンの重付加体のイソブチレン付加物1.5重量%、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−t−ブチルアミン2.5%、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5−ジベンジル−フェニル)−ベンゾトリアゾール0.3%、ステアリン酸マグネシウム0.05重量%、及びN−(2−アミノエチル)ピペラジン、イソホロンジイソシアナート、フェニルイソシアナート(モル比2:1:2)とからなるウレア結合単位数が4のウレア化合物4重量%を添加し、さらに特開平7−316922公報記載のポリウレタン重合体5重量%を加え紡糸原液とした。この紡糸原液を乾式紡糸にて紡糸し、15d/2フィラメント(以下弾性繊維Aとする)、40d/4フィラメント(以下弾性繊維Bとする)のポリウレタンポリウレア弾性繊維を得た。
【0053】
この弾性繊維Aを用いてゾッキパンティーストッキングを作成した。ここで染色はLanasyn Black S−DL(クラリアント製の含金属酸性染料)4%owf、フィックスはハイフィックスSL(大日本製薬)6%owfとし、その他の条件は全て〔3〕ブルーL値測定法記載の生地の重量条件を除いた条件に準じて行った。
【0054】
(実施例2)
アクリル/ナイロン6を重量比75/25で混紡し、紡績糸64メートル番手の混紡糸を得た。この糸と弾性繊維Bを編み込みドラフト2.5でベア天竺を作成した。これを開反し、60℃×20分精練後180℃×45秒でプレセットし、これを従来のカチオン染料で黒に染色し、その際に同浴にLanasyn Black S−DL 1%owf添加してべア天竺生地を染色した。この生地を175℃×45秒でファイナルセットして仕上げた。
【0055】
(実施例3)
実施例2のナイロン6の代わりにウールを用いて同様の加工を行った。
(実施例4)
弾性繊維Bをドラフト3としてアクリル/ナイロン6で撚り数300T/Mのコアスパン糸60メートル番手を作成した。このコアスパン糸のナイロン混率は18%、弾性繊維Bの混率は8%であり、この糸を緯糸として経糸にアクリル紡績糸60メートル番手の平織り織物を作成した。これを実施例1とおなじ方法で精練、プレセット、染色し、その際に同浴にLanasyn Black S−DL0.4%owfを添加し染色した。この生地を175℃×45秒でファイナルセットして仕上げた。
【0056】
(実施例5)
実施例2で得られた仕上げ生地にてモールドを行った。
(比較例1)
実施例1のポリウレタンポリウレア繊維の製造にてウレア結合単位数が4のウレア化合物4重量%を添加せずにそれ以外は同一条件でポリウレタンポリウレア弾性繊維15d(以下弾性繊維X)および40d(以下弾性繊維Y)を紡糸した。また特開平8−32969記載の方法で乾式紡糸にてポリウレタン繊維(以下弾性繊維Z)15dを得た。
【0057】
上記の弾性繊維XおよびZを用いて実施例1の方法でパンティーストッキングを得た。
(比較例2)
実施例2のアクリル/ナイロン6をアクリルのみとし、Lanasyn Black S−DLを無添加とする以外は全く同じ方法で仕上げたベア天竺を得た。
【0058】
(比較例3)
実施例2の弾性繊維Aを弾性繊維Yに代える以外は全く同じ方法で仕上げたベア天竺を得た。
(比較例4)
実施例4においてアクリル/ナイロン6をアクリルのみとし、LanasynBlack S−DLを無添加とする以外は全く同じ方法で仕上げた織物を得た。
【0059】
(比較例5)
比較例3の生地で実施例5と同じモールドを行った。
ここで実施例2、実施例3、比較例2比較例3のベア天竺はプレセット、ファイナルセットの仕掛け幅は各工程で全サンプル同じ条件とし、実施例4と比較例4の織物はプレセット、ファイナルセットの仕掛け幅は各工程で全サンプル同じ条件とした。
【0060】
上記実施例、比較例の評価結果をまとめて表1、2、3、4に示す。
実施例はいずれもセット性が高く、目剥きが無く、同等のセット性のものよりも耐久性にも優れており、モールドについては成型性が良く目剥き防止効果もさらに高かった。また、実施例のベア天竺はカールもなく高品位に仕上がっていた。
【0061】
【表1】
Figure 0004363718
【0062】
【表2】
Figure 0004363718
【0063】
【表3】
Figure 0004363718
【0064】
【表4】
Figure 0004363718
【0065】
【発明の効果】
本発明によるポリウレタンウレア弾性繊維含有交編織布帛は、熱セット性と被混用繊維との同色性に優れたポリウレタンウレア繊維を用いているので、良好な型止り性を示し、目剥きが目立たないパンテイストッキング、タイツ等のポリウレタンウレア弾性繊維含有布帛の衣料を得ることができる。

Claims (7)

  1. (a)第1級アミン及び第2級アミンの内の少なくとも一種からなる2官能性アミンと、第3級窒素及び複素環状窒素の内の少なくとも一種とを含む窒素含有化合物と、(b)有機ジイソシアナート、及び(c)モノ又はジアルキルモノアミン、アルキルモノアルコール、有機モノイソシアナートの群から選ばれる1種、とを反応させて得られるウレア化合物(ただし、第3級窒素含有ジオール残基を含有するものを除く)を、ポリウレタンポリウレア重合体に対して1〜15重量%含有するポリウレタンポリウレア弾性繊維であって、セット率40%以上75%以下、ブルーL値20以上35以下であることを同時に満足し、かつ耐熱強力保持率45%以上のポリウレタンポリウレア弾性繊維を生地中に0.5%以上35%以下含有する交編織物。
  2. ウレア化合物が、下記(1)及び(2)式で示されるウレア結合単位を1分子中に4〜40個を含むことを特徴とする請求項1記載の交編織物。
    −N−C−N− (1)
    | ‖ |
    H O H

    N−C−N− (2)
    / ‖ |
    O H
  3. 請求項1記載のウレア化合物を構成する(a)の窒素含有化合物がピペラジン及び2官能性ピペラジン誘導体の群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の交編織物。
  4. 交編織物を構成する素材でポリアミド繊維またはウール、あるいはポリアミド繊維とウールの合計の混率が全体の8%以上である、請求項1記載の交編織物。
  5. ポリウレタンポリウレア弾性繊維の芯糸に非弾性繊維でカバーリングした被覆弾性糸または短繊維で被覆交撚されたコアスパン糸またはスパンツイスト糸である請求項4の交編織物。
  6. ポリウレタンポリウレア弾性繊維がベア状体で挿入されていることを特徴とする請求項4の交編織物。
  7. モールド加工された請求項4の交編織物。
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