JP4363744B2 - シール剤入りタイヤチューブにおけるシール剤充填方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤチューブの内部に空気が充填される空気室とシール剤が充填されるシール剤室とを備えたシール剤入りタイヤチューブに関し、特にそのシール剤室へのシール剤の充填方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤチューブの内部にシール剤を充填しておき、釘等によるタイヤチューブの刺傷を前記シール剤で自封して空気の漏出を遅らせるようにしたシール剤入りタイヤチューブが、特開昭58−74342号公報、特開平9−300481号公報により公知である。
【0003】
前記特開昭58−74342号公報に記載されたものは、シール剤入りのカプセルを加硫成形前のタイヤチューブの内部に挿入しておき、加硫成形後に前記カプセルを外力で破壊してタイヤチューブ内にシール剤を分散させるようになっている。また前記特開平9−300481号公報に記載されたものは、タイヤチューブの空気室に空気を充填してシール剤室から空気を押し出した状態で、タイヤチューブに形成したシール剤充填孔からシール剤室にシール剤を充填するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記前者のシール剤充填方法は、カプセルを破壊すべく外力を加えた際にタイヤチューブが損傷する可能性があるだけでなく、シール剤がタイヤチューブに設けた空気弁を詰まらせる可能性があった。また上記後者のシール剤充填方法は、空気室に空気を充填したままの状態でシール剤室にシール剤を充填するので、シール剤を充分に加圧しないと空気室の圧力に抗してシール剤を充填できないという問題があった。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、タイヤチューブのシール剤室にシール剤を充填する作業を空気の混入を回避しながら短時間で簡単に完了させるとともに、充填後のシール剤がシール剤充填孔から漏れるのを確実に防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明によれば、タイヤチューブの内部に空気が充填される空気室とシール剤が充填されるシール剤室とを備えたシール剤入りタイヤチューブにおいて、タイヤチューブの外周壁にシール剤室に連通するシール剤充填孔を形成する第1工程と、シール剤充填孔からシール剤室にシール剤注入ホースを挿入し、タイヤチューブに設けた空気弁から空気室内に空気を供給する第2工程と、空気室内の空気を空気弁から排出しながらシール剤注入ホースを介してシール剤室にシール剤を充填する第3工程と、シール剤充填孔の周辺をクランプした状態で該周辺をバフ磨きする第4工程と、シール剤充填孔の周辺をクランプした状態で該シール剤充填孔を熱可塑性樹脂あるいはホットメルト樹脂により閉塞する第5工程とを備えたことを特徴とするシール剤入りタイヤチューブにおけるシール剤充填方法が提案される。
【0007】
上記構成によれば、空気弁から空気室に空気を供給してシール剤室から空気を押し出した後にシール剤室にシール剤を充填するので、シール剤に空気を混入させることなく短時間でシール剤を充填することができる。特に、シール剤室にシール剤を充填するときに空気室の空気を排出するので、強い圧力を加えることなくシール剤を容易に供給することができる。また周辺をクランプした状態でシール剤充填孔を熱可塑性樹脂あるいはホットメルト樹脂により閉塞するので、シール剤充填孔からシール剤室に再度空気が侵入するのを防止しながら、極めて短時間でシール剤充填孔を閉塞することができる。しかもシール剤充填孔の周辺をクランプした状態でバフ磨きするので、バフ磨きの荷重によりタイヤチューブが損傷するのを防止することができるだけでなく、油や汚れを除去して熱可塑性樹脂あるいはホットメルト樹脂による閉塞強度を高めることができる。
【0008】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記第5工程は、熱可塑性樹脂をシール剤充填孔の周辺に付着させた後に、該熱可塑性樹脂を加熱・加圧してシール剤充填孔を閉塞することを特徴とするシール剤入りタイヤチューブにおけるシール剤充填方法が提案される。
【0009】
上記構成によれば、熱可塑性樹脂をシール剤充填孔の周辺に付着させた後に加熱・加圧してシール剤充填孔を閉塞するので、熱可塑性樹脂がタイヤチューブと滑らかに一体化されて外観が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図4は本発明の一実施例を示すもので、図1はチューブ入りタイヤを装着した車輪の横断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3はシール剤の充填工程を説明する第1分図、図4はシール剤の充填工程を説明する第2分図である。
【0012】
図1および図2に示すように、自動二輪車の車輪のリムRには、タイヤ本体1と、その内部に収納されたタイヤチューブ2とからなるチューブ入りタイヤTが装着される。タイヤチューブ2は、タイヤTの半径方向内側に位置する空気室周壁3iと、半径方向外側に位置するシール剤室周壁3oとを備えて横断面が環状に形成された周壁3を備える。周壁3の空気室周壁3iとシール剤室周壁3oとの接続部間は、それと一体に形成された隔壁4によって相互に接続される。空気室周壁3iと隔壁4との間に画成された断面略円形の空気室5には空気が充填され、シール剤室周壁3oと隔壁4との間に画成された断面略円弧状のシール剤室6にはゲル状のシール剤7が充填される。
【0013】
リムRはタイヤTの円周方向に延びる環状のリム本体部11と、リム本体部11の幅方向両端から半径方向外側に延びてタイヤ本体1の内周を保持する一対のフランジ部12,12とを備える。タイヤチューブ2の内部に形成された空気室5に空気を充填する空気弁13は、リム本体部11の円周方向1個所に形成した空気弁取付部14を貫通して支持される。
【0014】
而して、タイヤチューブ2のシール剤室6は空気室5の空気圧によりトレッド15の内側に沿った形状に保持されるため、タイヤチューブ2が釘等により半径方向あるいは側方から刺傷を受けても、シール剤7がその刺傷を直ちに埋めて補修し、空気室5からの空気の漏出を遅らせる。また、シール剤7はシール剤室6に保持されていて、空気室5側へ流出することがないから、空気弁13やそれに当てがわれる圧力ゲージ等を詰まらせることもない。
【0015】
次に、タイヤチューブ2のシール剤室6にシール剤7を充填する工程を、図3および図4に基づいて説明する。
【0016】
先ず、シール剤7を充填する前のタイヤチューブ2の内周面(空気室周壁3i)を水平に配置した支持板21の上面に支持し、電気ヒータにより約400℃に加熱されたホットネイル22を上方から支持板21に向けて下降させ、タイヤチューブ2の外周面(シール剤室周壁3o)にシール剤充填孔2aを形成する。このように加熱されたホットネイル22を用いることにより、ゴム製のタイヤチューブ2にシール剤充填孔2aを簡単かつ確実に形成することができる(図3(A)参照)。
【0017】
ホットネイル22を上方に退避させた後にシール剤充填孔2aからシール剤室6の底部に向けてシール剤注入ホース23を挿入し、これと同時に空気弁13にコンプレッサ等の圧力源に連なる空気ノズル24を接続してタイヤチューブ2の空気室5に空気を供給する(図3(B)参照)。すると空気室5が膨張し、空気室5に隔壁4を介して隣接するシール剤室6内の空気がシール剤充填孔2aから外部に排出される(図3(C)参照)。
【0018】
続いて、空気弁13および空気ノズル24を介して空気室5内の空気を排出しながら、シール剤注入ホース23を介してシール剤室6の底部にシール剤7を充填する。このように、空気室5内の空気を排出しながらシール剤7を充填することにより、シール剤充填孔2aからシール剤室6に再度空気が流入するのを防止しながら、特別に強い圧力を加えることなくシール剤7を容易に充填することができる。
【0019】
続いて、空気ノズル24を空気弁13から退避させた後にクランプ部材25を下降させ、支持板21との協働によりシール剤充填孔2aの周辺をクランプしてシール剤室6に空気が侵入しないようにする。そして回転するバフ26で研磨することにより、シール剤充填孔2aの周辺に付着した油や汚れを除去する(図3(E)参照)。このとき、回転するバフ26によってシール剤充填孔2aの周辺に荷重が加わるが、その部分がクランプ部材25で移動不能にクランプされているため、バフ26から受ける摩擦力でタイヤチューブ2が変形して損傷するのを確実に防止することができる。
【0020】
続いて、バフ26による研磨を終えたシール剤充填孔2aの周辺に、シーラ供給ノズル27からシーラとしてのアクリル系、あるいはウレタン系の熱可塑性樹脂28を供給する(図4(F)参照)。そしてシーラ供給ノズル27を上方に退避させた後に、略180℃に加熱した成形型29で前記熱可塑性樹脂28を15秒〜30秒間加熱して所定の形状に成形する(図4(G)参照)。而して、熱可塑性樹脂28が冷却して硬化するとシール剤充填孔2aが閉塞され、タイヤチューブ2が完成する(図4(H)参照)。このシール剤充填孔2aの閉塞工程の間、クランプ部材25はシール剤充填孔2aの周辺を囲むようにクランプしている。
【0021】
以上のように、上記第2実施例によれば、シール剤充填孔2aの周辺をクランプ部材25でクランプした状態で該シール剤充填孔2aを熱可塑性樹脂28で閉塞するので、一度空気を排出したシール剤室6にシール剤充填孔2aから再度空気が侵入するのを防止することができ、しかも生ゴムシートの接着に比べて短時間でシール剤充填孔2aを閉塞することができる。またシール剤充填孔2aの周辺を予めバフ磨きすることにより、熱可塑性樹脂28による閉塞強度を高めることができる。更に、成形型29で熱可塑性樹脂28を加熱・加圧するので、熱可塑性樹脂28がタイヤチューブ2と滑らかに一体化されて外観が向上する。
【0022】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0023】
例えば、シール剤充填孔2aのを熱可塑性樹脂28で閉塞する代わりに、シール剤充填孔2aの周辺に成形型を当接させ、その内部を通して溶融したホットメルト樹脂を射出することにより閉塞を行うことも可能である。またタイヤチューブ2に設けた空気弁13から空気室5内に空気を供給する工程と、シール剤充填孔2aからシール剤室6にシール剤注入ホース23を挿入する工程とは、同時に並行して行っても良いし、シール剤注入ホース23を挿入した後に空気室5内に空気を供給しても良い。
【0024】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、空気弁から空気室に空気を供給してシール剤室から空気を押し出した後にシール剤室にシール剤を充填するので、シール剤に空気を混入させることなく短時間でシール剤を充填することができる。特に、シール剤室にシール剤を充填するときに空気室の空気を排出するので、強い圧力を加えることなくシール剤を容易に供給することができる。また周辺をクランプした状態でシール剤充填孔を熱可塑性樹脂あるいはホットメルト樹脂により閉塞するので、シール剤充填孔からシール剤室に再度空気が侵入するのを防止しながら、極めて短時間でシール剤充填孔を閉塞することができる。しかもシール剤充填孔の周辺をクランプした状態でバフ磨きするので、バフ磨きの荷重によりタイヤチューブが損傷するのを防止することができるだけでなく、油や汚れを除去して熱可塑性樹脂あるいはホットメルト樹脂による閉塞強度を高めることができる。
【0025】
また請求項2に記載された発明によれば、熱可塑性樹脂をシール剤充填孔の周辺に付着させた後に加熱・加圧してシール剤充填孔を閉塞するので、熱可塑性樹脂がタイヤチューブと滑らかに一体化されて外観が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 チューブ入りタイヤを装着した車輪の横断面図
【図2】 図1の2−2線断面図
【図3】 シール剤の充填工程を説明する第1分図
【図4】 シール剤の充填工程を説明する第2分図
【符号の説明】
2 タイヤチューブ
2a シール剤充填孔
5 空気室
6 シール剤室
7 シール剤
13 空気弁
22 ホットネイル
23 シール剤供給ホース
28 熱可塑性樹脂
Claims (2)
- タイヤチューブ(2)の内部に空気が充填される空気室(5)とシール剤(7)が充填されるシール剤室(6)とを備えたシール剤入りタイヤチューブにおいて、
タイヤチューブ(2)の外周壁にシール剤室(6)に連通するシール剤充填孔(2a)を形成する第1工程と、
シール剤充填孔(2a)からシール剤室(6)にシール剤注入ホース(23)を挿入し、タイヤチューブ(2)に設けた空気弁(13)から空気室(5)内に空気を供給する第2工程と、
空気室(5)内の空気を空気弁(13)から排出しながらシール剤注入ホース(23)を介してシール剤室(6)にシール剤(7)を充填する第3工程と、
シール剤充填孔(2a)の周辺をクランプした状態で該周辺をバフ磨きする第4工程と、
シール剤充填孔(2a)の周辺をクランプした状態で該シール剤充填孔(2a)を熱可塑性樹脂(28)あるいはホットメルト樹脂により閉塞する第5工程と、
を備えたことを特徴とするシール剤入りタイヤチューブにおけるシール剤充填方法。 - 前記第5工程は、
熱可塑性樹脂(28)をシール剤充填孔(2a)の周辺に付着させた後に、該熱可塑性樹脂(28)を加熱・加圧してシール剤充填孔(2a)を閉塞することを特徴とする、請求項1に記載のシール剤入りタイヤチューブにおけるシール剤充填方法。
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