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JP4363820B2 - ポリシラザン塗膜のシリカ質への転化促進方法 - Google Patents
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JP4363820B2 - ポリシラザン塗膜のシリカ質への転化促進方法 - Google Patents

ポリシラザン塗膜のシリカ質への転化促進方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板などの表面に緻密で耐久性に優れたシリカ質セラミック膜を均一に形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリカ質の膜は、耐熱性、耐摩耗性、耐食性、高絶縁性、親水性など、優れた特性を有しているため、従来、例えばLSI、TFT液晶表示装置などの半導体素子の層間絶縁膜、平坦化膜、パシベーション膜、素子間分離絶縁体、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)などの誘電体膜、絶縁膜、隔壁膜あるいは保護膜、さらには自動車などの車体表面、住宅の内外装、ガラス製品、ミラー、陶磁器、プラスチック製品、金属製品、石材製品、ホーローなどの各種物品の保護被膜、あるいは親水性付与膜などとして種々の分野で用いられている。このようなシリカ質の膜を基材上に形成する方法としては、PVD法(スパッタ法等)、CVD法(化学気相成長法)、ゾルゲル法、およびポリシロキサンあるいはポリシラザンまたはその変成物の塗膜を形成し、この形成された塗膜を焼成などによりシリカ質の膜に転化する方法など種々の方法が知られている。これらの方法のうちPVD法、CVD法は装置が高価であるとともに、良質な塗膜を形成するための制御が煩雑であるという問題がある。またゾル−ゲル法では、必要焼成温度が500℃以上と高いという問題がある。さらに、ポリシロキサンを用いる方法は、形成された被膜の膜厚減少などによるクラックの発生などの問題がある。これに対し、ポリシラザンまたはその変成物の溶液を塗布し、形成された塗膜をシリカ質の膜に転化する方法(例えば、特開平7−45605号公報など)は、低温焼成により優れた特性を有するシリカ質膜を簡便に形成することができるとともに、形成されたシリカ質被膜の膜質も優れていることから、近年特に注目されている。
【0003】
このポリシラザンまたはその変成物の溶液を塗布し、形成された塗膜をシリカ質の膜に転化する方法としては、例えば、基材上に上にポリシラザン溶液を塗布し、加熱して塗膜から溶剤を除去し、次いで、350℃以上の温度で焼成してポリシラザンをシリカ質の膜に転化させる方法が採られる。このような焼成によるポリシラザンのシリカ質への転化は、短時間の加熱ではシリカ質被膜への完全転化が難しく、完全転化を図るには長時間の焼成が必要とされる。また、基材としてある程度高い耐熱温度を有するものを用いることも必要とされるし、例えば加熱により変色するなど外観が変化し、商品価値が落ちるようなものに対しては適用できないものである。
【0004】
このような問題を改善するため、特開2001−335950号公報において、基板上に形成したポリシラザン又はその変成物を主成分とする塗膜形成用組成物を塗布し、硬化処理を行った後、さらに高温水で処理を行うことにより基板上にシリカ質セラミック層を形成する方法が提案されている。この方法においては、高温水で処理を行うことにより、早期にシリカ質セラミック層を形成することができるとともに、低温焼成が可能なポリシラザン又はその変成物を含有する組成物を用いることにより、低温において緻密なシリカ質セラミック層を形成することができることも記載されている。そして、低温焼成可能な組成物として、ポリシラザン又はその変成物とアミン及び/又は酸類からなる組成物およびポリシラザン又はその変成物と金属粒子からなる組成物が挙げられている。
【0005】
他方、本発明者は、自動車、電車、航空機などの車体・ホイール、住宅内外装、トイレ、台所、洗面所、浴槽などの水まわり製品、看板、標識、プラスチック製品、ガラス製品、墓石などの石材、金属などの表面を無機ポリシラザン、希釈溶剤及び触媒を含有するコーティング液により被覆し、常温で乾燥することにより親水性で防汚効果に優れたコーティング膜を形成することができることを見出し、特願2001−131491号(PCT/JP02/04069)として出願した。このコーティング液は、具体的には、一般式(I):
【0006】
【化1】
Figure 0004363820
【0007】
で示される繰り返し単位を含む無機ポリシラザンを、ミネラルスピリット、パラフィン系溶剤などの希釈溶剤に溶かし、これに4,4’−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)などの触媒を無機ポリシラザンに対して0.5〜10重量%配合させることによって形成される。このコーティング液を基材に塗布し、常温乾燥により形成された塗膜では、触媒の作用によって無機ポリシラザンが緻密なシリカ質の膜に転化され、緻密かつ強い親水性を示す被膜が形成される。このシリカ質膜への転化は、無機ポリシラザン、触媒などの種類により異なるが、通常1〜2週間程度の日数がかかる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開2001−335950号公報に記載された方法では、シリカ質膜として、一般に緻密で耐久性の優れたものが得られるものの、ポリシラザン又はその変成物を含有する塗膜が形成される条件あるいは状況によっては、ポリシラザン又はその変成物がシリカ質セラミック膜に十分転化されないで部分的に残るという問題がある。例えば、カーブミラーなどのように曲面基板にシリカ質被膜を形成する場合などでは、高温水で処理した後にも分子レベルで見るとシラザンが未だ酸化ケイ素に転化されていない部分が残り、この変性されていない部分は例えば連続的な湿潤状態に置かれると流出することから、緻密さ及び耐久性の面で必ずしも十分な性能が得られていない。
【0009】
また、シリカ質セラミック膜の外面に光触媒含有層を形成し被覆物を得る際に、シリカ質セラミック膜の膜表面付近にアンモニア等の成分が残存していると、これにより光触媒含有層を形成するための硬化反応が妨げられ、シリカ質セラミック層と光触媒含有層との密着性が不十分となることがある。
【0010】
一方、前記したように、特願2001−131491号において提案したコーティング液を、常温で乾燥することにより触媒の作用によってシリカ質に転化させるには、1〜2週間程度の日数を要してしまう。自動車の車体などでは、コーティングを施した後直ちに消費者に搬入される場合があり、十分な親水性の防汚シリカ質被膜が形成される前に雨水にさらされるなどして汚れが付着してしまい、十分に緻密でかつ均質なシリカ質を得られない場合が生じている。
【0011】
本発明は、このような問題点を有さないシリカ質セラミック膜を形成する方法を提供することを目的とするものである。より具体的には、比較的容易な手段、かつ短時間で、ポリシラザン又はその変成物のシリカ質セラミック膜への十分なる転化を行い、基板などの表面に緻密で耐久性に優れたシリカ質セラミック膜を均一に形成する方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、ポリシラザン又はその変成物を主成分とする塗膜を硬化処理した後、該硬化処理された膜をアンモニウム塩を含有する90℃以上の高温水で処理することにより、ポリシラザン又はその変成物を主成分とする塗布膜のシリカ質への転化を促進する方法を提供するものである。
【0013】
本発明のアンモニウム塩を含有する高温水での処理を行う場合には、アンモニウム塩を添加しない高温水で処理した場合に比べて、より緻密で均一なシリカ質膜を得ることができ、また曲面形状の基板上においても耐久性に優れたシリカ質セラミック層を形成することができる。特に、アンモニウム塩として炭酸アンモニウムを用いた場合には、著しい効果を得ることができる。
【0014】
また、シリカ質セラミック膜の外面に光触媒含有層を被覆するとき、本発明の方法により形成されたシリカ質セラミック膜においては層表面付近に光触媒含有層の硬化反応に悪影響を及ぼすアンモニア等の成分の残存がなくなり、光触媒含有層が形成される際の硬化反応を妨げることがなくなるという効果を得ることができる。
【0015】
また、無機ポリシラザンをミネラルスピリット、パラフィン系溶剤などの希釈溶剤に溶かし、4,4’−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)などの触媒を無機ポリシラザンに対して0.5〜10重量%配合させた、特願2001−131491号(PCT/JP02/04069)のコーティング液については、本発明の方法により、従来1〜2週間要していたシリカ質への転化を、2時間程度で行うことができる。
【0016】
また、本発明の方法により形成されたシリカ質セラミック膜は非常に緻密な被膜であるため、光の透過性を損なわない程の薄膜でも光触媒の酸化分解作用から基材を保護することができ、さらには湿潤状態での膜の耐久性に優れ、しかも基材及び光触媒含有層に対する密着性も良好であるため屋外使用に十分耐え得るものである。また、耐熱性に優れているために光触媒含有層の焼成時においてもクラックが発生せず、且つ耐屈曲性に優れているために、湾曲させてもクラックが発生せず、さらにこの状態で耐久性に優れ、且つ薄膜でも高い塗膜硬度を有しているために、基材は極めて傷つきにくくなる。
【0017】
【発明の具体的態様】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0018】
本発明の方法により、シリカ質セラミック膜を形成するには、まず、ポリシラザン又はその変成物を主成分とする塗膜形成用組成物を、基材の塗布すべき面にスプレーコート、ディップコート、スピンコート、フローコート、ロールコート等の適宜方法で塗布して、ポリシラザン又はその変成物を主成分とする塗膜を形成し、この塗膜を硬化処理した後、アンモニウム塩を含有する高温水で処理してシリカ質セラミック膜に転化すればよい。このとき、前記塗布は1回でもよいし、2回以上塗布してもよい。また塗布膜厚は、形成されたシリカ質セラミック膜の使用目的により異なるが、例えば、中間層に用いられる場合には通常0.05〜0.2μm、表面保護コーティングに用いられる場合には通常0.1〜1.0μmである。
【0019】
また、本発明におけるポリシラザンは、特に限定されるものではないが、分子内に少なくともSi−H結合、あるいはN−H結合を有するものが好ましく、ポリシラザン単独であってもよいし、ポリシラザンと他のポリマーとの共重合体やポリシラザンと他の化合物との混合物でもよく、また、ポリシラザンは鎖状であってもよいし、環状、架橋構造を有するものでもよく、これらが単独でもよいし、混合物で用いられてもよい。また、本発明におけるポリシラザンは、無機あるいは有機のいずれのものであってもよい。これらポリシラザンあるいはポリシラザンの変成物を例示すると、次のようなものが挙げられる。しかしこれらは単に例示のために挙げられたものであり、本発明におけるポリシラザン及びその変成物が下記のものに限定されるわけではない。
【0020】
(1)一般式(I):
【化2】
Figure 0004363820
【0021】
で示される構造単位を有する直鎖状構造を包含するペルヒドロポリシラザン(無機ポリシラザン)。
【0022】
(2)主として一般式:
【化3】
Figure 0004363820
【0023】
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくはこれらの基以外でフルオロアルキル基等のケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。但し、R1、R2およびR3の少なくとも1つは水素原子である。)で表される構造単位からなる骨格を有する数平均分子量が約100〜50,000のポリシラザンまたはその変成物。(特公昭63−16325号公報、D.Seyferthら、Communication ofAm.Cer.Soc.,C−13,January 1983、D.Seyferth等,Polym.Prepr.Am.Chem.Soc.,Div.Polym.Chem.,25,10(1984)、特開昭61−89230号公報など)
【0024】
(3)一般式:
【化4】
Figure 0004363820
【0025】
で表わされる架橋構造を分子内に有するポリオルガノ(ヒドロ)シラザン(D.SeyferthらCommunication of Am.Cer.Soc.C−132,July 1984)。
【0026】
(4)下記の構造を有するポリシラザン(特開昭49−69717号公報)。
【化5】
Figure 0004363820
【0027】
(5)下記構造
【化6】
Figure 0004363820
【0028】
(式中、側鎖の金属原子であるMは架橋をなしていてもよい)のように金属原子を含むポリメタロシラザン、繰り返し単位が〔(SiH2n(NH)m〕および〔(SiH2rO〕(これら式中、n、m、rはそれぞれ1、2または3である)で表されるポリシロキサザン(特開昭62−195024号公報)、ポリシラザンにボロン化合物を反応させて製造する耐熱性に優れたポリボロシラザン(特開平2−84437号公報)、ポリシラザンとメタルアルコキシドとを反応させて製造するポリメタロシラザン(特開昭63−81122号、同63−191832号、特開平2−77427号各公報)、分子量を増加させたり、耐加水分解性を向上させた無機シラザン高重合体や改質ポリシラザン(特開平1−138108号、同1−138107号、同1−203429号、同1−203430号、同4−63833号、同3−320167号公報)、ポリシラザンに有機成分を導入した厚膜化に有利な共重合シラザン(特開平2−175726号、同5−86200号、同5−331293号、同3−31326号公報)、ポリシラザンにセラミックス化を促進するための触媒的化合物を付加または添加したポリシラザン(特開平5−238827号、同6−122852号、同6−299118号、同6−306329号、同6−240208号、同7−196986号公報)、より具体的には、ケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アセチルアセトナト錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)など、特開平9−31333号公報に記載されるような上記のごとき種々のポリシラザンまたは変成物に、アミン類及び/又は酸類を添加してなるポリシラザン組成物、ペルヒドロポリシラザンにメタノールのごときアルコール(特開平5−345826号公報)あるいはヘキサメチルジシラザン(特開平4−63833号公報)を末端N原子に付加して得られた変性ポリシラザン。
【0029】
これらポリシラザン又は変成物の中では、無機ポリシラザンであるペルヒドロポリシラザンが好ましものである。また、塗膜形成用組成物には、必要に応じ、ポリシラザン又はその変成物をシリカに転化する触媒あるいは触媒的化合物を添加、あるいは付加してもよい。これら触媒あるいは触媒的化合物としては、従来知られたものを含めいずれのものでも良く、例えば特開2001−335950号公報などに記載される、アミン、酸、金属粒子、特開平6−299118号公報などに記載される、プロピオン酸パラジウムなどの金属カルボン酸塩、あるいは特願2001−131491号(PCT/JP02/04069)明細書に記載される、1−メチルピペラジン、1−メチルピペリジン、4,4’−トリメチレンジピペリジン、4,4’−トリメチレンビス(1−メチルピペリジン)、ジアザビシクロ−[2,2,2]オクタン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、4−(4−メチルピペリジン)ピリジン、ピリジン、ジピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン、4,4’−トリメチレンジピリジン、2−(メチルアミノ)ピリジン、ピラジン、キノリン、キノクサリン、トリアジン、ピロール、3−ピロリン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、1−メチルピロリジンなどのN−ヘテロ環状化合物;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、フェニルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミンなどのアミン類;更にDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]5−ノネン)、1,5,9−トリアザシクロドデカン、1,4,7−トリアザシクロノナンなどを挙げることができる。これら触媒あるいは触媒的化合物の配合量は適宜の量とされるが、例えば特願2001−131491号(PCT/JP02/04069)明細書に記載される塗膜形成用組成物においては、無機ポリシラザン純分に対して0.5〜10重量%程度が好ましい。
【0030】
また、ポリシラザン又はその変成物、触媒などは溶剤に溶解されて塗膜形成用組成物とされる。溶剤としては、ポリシラザン又はその変成物及び触媒などを溶解することができるものであればいずれのものであってもよい。溶剤としては、ミネラルスピリットなどの石油溶剤、パラフィン系溶剤、芳香族系溶剤、環式脂肪族系溶剤などが挙げられる。
【0031】
ポリシラザン又はその変成物を主成分として含有する塗膜形成用組成物は、基材に塗布され、乾燥されて塗膜が形成される。塗膜の乾燥温度は任意の温度でよく、通常常温乃至それ以上の温度で行われる。乾燥された塗膜は硬化処理が行なわれた後、アンモニウム塩を添加した高温水で処理される。硬化処理温度は、塗膜形成用組成物の組成により異なり、通常その塗膜が硬化、焼成される温度で行われることが好ましい。
【0032】
本発明において用いられる高温水の水としては、純水化処理された水が望ましいが、処理後にシリカ質セラミック膜自体に有害な影響を及ぼさず、また光触媒含有層等、その外面に形成される層との密着性など外面層に悪影響を及ぼさない限りはいずれのものであってもよい。純水化処理されていない水として、例えば水道水等を用いることもできる。また、処理に用いられる高温水の温度は、通常、温度が高く沸騰状態に近い高エネルギーである液体状態のものが好ましく、具体的には、90℃以上が好ましく、より好ましくは96℃以上である。
【0033】
また、高温水に添加、含有されるアンモニウム塩としては、例えば炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、フッ化アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、シュウ酸2アンモニウム等が挙げられ、それらの中でも特に炭酸アンモニウムが好ましい。
【0034】
こうして得られたシリカ質セラミック膜は、緻密で耐久性、耐熱性、耐摩耗性、耐蝕性、絶縁性、親水性等に優れ、また薄膜でも高い塗膜硬度を有しているために、基材を保護、防汚するのに極めて適した被膜である。このため、金属、ガラス、プラスチック、石材、ホーロー質材料、陶磁器など、種々の基材表面を保護する、あるいは防汚するために用いることができるとともに、さらには絶縁膜、誘電体膜などとして用いることもできる。
【0035】
シリカ質セラミック膜の表面(外面)には、必要に応じ、更に他の被膜を設けてもよい。例えば、このような被膜として、二酸化チタン等の光触媒を含有する光触媒含有層が挙げられる。二酸化チタン等の光触媒を含有する光触媒含有層を形成した被覆物を得るには、二酸化チタン等の粉末を溶融させて吹き付ける溶射法、化学反応を介して二酸化チタンを析出させるCVD法(化学気相成長法)、二酸化チタン等をスパッタ蒸発させて沈着させるスパッタ蒸着法、真空蒸着法等の適宜方法によって形成してもよいが、バインダーに二酸化チタン等を分散させて塗膜組成物とし、それをディッピングやスプレー、フローコーター等により塗布すれば、簡便に均一且つ平滑な被膜が形成されるので通常この塗布法が好ましい方法である。
【0036】
かかる方法により光触媒含有層を形成する場合には、バインダーとしてシリコーン系化合物を用いるのが好ましい。シリコーン系化合物を用いて光触媒含有層を形成する場合、例えば一例としてオルガノポリシロキサン又はテトラエトキシシラン等のアルコキシシランの加水分解物とチタニアゾルとの混合物とからなる塗料組成物を塗布し、50℃以上で加熱することにより形成することができる。
【0037】
光触媒としての二酸化チタンは、ルチル型でもよいが、活性の高さからアナターゼ型のものが好ましい。この二酸化チタンに波長領域が300〜400nm付近の紫外線を照射すると、二酸化チタンが活性化され、これによって強い酸化力が発現されて、表面に付着した汚染物質は分解されると共に、活性化によってその表面は水との接触角でほぼ0〜20度程度まで親水化される。かかる親水化によって汚染物質は付着しにくくなり、たとえ付着しても降雨等によって容易に洗い流されないようになる。さらに結露が生じる条件が満たされていても、親水化された表面によって、表面に付着する水分が一様に表面に拡散するために結露しにくくなる。
【0038】
このように、本発明によって得られたシリカ質セラミック膜は基材の表面層、中間層あるいは下地層として用いられて、基材、あるいは各種製品に耐汚染性、防汚染性、防曇性、耐熱性、耐摩耗性、耐食性、高絶縁性などの特性を付与することができる。本発明により得られたシリカ質セラミックが適用される用途の一例を挙げると、高分子や金属、ガラス等からなる各種の建築物、構造物等の資材全般、例えば建材、建築外装材、窓ガラス、看板、交通標識、道路用や鉄道用の透光性遮音板、防音板、ガードレール、照明カバー、橋梁、柵、高欄、視線誘導標やそれらに用いられる反射板、カーブミラー、浴室用ミラー等である。また、その他、自動車の車体、入歯の防汚被覆、各種表示装置、半導体素子などの絶縁膜、誘電体膜、保護膜などとしても適用可能である。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
実施例1
10重量%のペルヒドロポリシラザン及び0.5重量%のプロピオン酸パラジウムを含有するキシレン溶液を4インチシリコンウエハーにスピン塗布(500rpm、20秒)後、22℃、相対湿度50%の雰囲気中で、350℃、1分間の熱処理を行った。この時のシリカ転化率は2.1であった。この基板を10重量%の炭酸アンモニウム水溶液に浸漬し、沸騰状態で1時間処理を行った。処理後、純水で水洗し、乾燥後、0.2μm厚のシリカ質セラミック膜を得た。このシリカ質セラミック膜のシリカ転化率を測定したところ、18.6であった。ここで、シリカ転化率はIRスペクトルにより半定量的評価を行った。1080cm-1のSiOの吸収、及び960cm-1のSiNの吸収を用いて、
シリカ転化率=SiOの吸光度/SiNの吸光度
とした。この値が大きいほどポリシラザンからシリカへの転化が進んでいることがわかる。
【0041】
比較例1
実施例1と同様の手順で塗布基板を用意し、この基板を純水に浸漬し、沸騰状態で1時間処理を行った。処理後、乾燥し、シリカ転化率を測定したところ、4.2であった。
【0042】
比較例2
実施例1と同様の手順で塗布基板を用意し、この基板を10重量%のピリジン水溶液に浸漬し、沸騰状態で1時間処理を行った。処理後、純水で水洗し、乾燥後シリカ転化率を測定したところ、4.8であった。
【0043】
実施例2
クラリアントジャパン(株)の5重量%ポリシラザン溶液(型番;NP−110)を4インチシリコンウエハーにスピン塗布(500rpm、20秒)後、22℃、相対湿度50%の雰囲気中で、350℃、1分間の熱処理を行った。この時のシリカ転化率は2.2であった。この基板を10重量%の硝酸アンモニウム水溶液に浸漬し、沸騰状態で1時間処理を行った。処理後、純水で水洗し、乾燥後、0.1μm厚のシリカ質セラミック膜を得た。このシリカ質セラミック膜のシリカ転化率を測定したところ、10.3であった。
【0044】
【発明の効果】
本発明により、ポリシラザン又はその変成物を主成分として含有する塗膜を必要に応じ硬化処理後、アンモニウム塩を含有する高温水で処理することにより、基材上に高度に緻密でSiN結合が少ない均一なシリカ質セラミック膜を形成することができる。この高度に緻密でSiN結合が少ない均一なシリカ質セラミック膜は、湾曲面などにおいても平坦面と同様に形成され、例えばカーブミラー等湾曲した面にシリカ質セラミック膜を形成する場合にも、優れた特性を示すシリカ質セラミック膜が形成される。また得られたシリカ質セラミック膜は、耐熱性、耐磨耗性、耐食性、絶縁性、親水性、防汚性、絶縁性などが優れた被膜であり、これら特性が要求される広範囲の製品の表面膜、中間膜あるいは下地膜として利用できる。

Claims (2)

  1. ポリシラザン又はその変成物を主成分とする塗膜を硬化処理した後、該硬化処理された膜をアンモニウム塩を含有する90℃以上の高温水で処理することを特徴とするポリシラザン又はその変成物を主成分とする塗膜のシリカ質への転化促進方法。
  2. アンモニウム塩が炭酸アンモニウムであることを特徴とする請求項1に記載のポリシラザン又はその変成物を主成分とする塗膜のシリカ質への転化促進方法。
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