JP4363966B2 - 生野菜の除菌方法 - Google Patents
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Description
さらに、本発明の目的は、生野菜が本来有している食感、味、風味などを良好に保持しながら、除菌が十分になされていて、安全性、衛生性、鮮度保持性、保存性などに優れる、カットされた生野菜の調製方法を提供することである。
さらに、温水と、次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水による上記2段の処理を施した生野菜を細片状にカットして得られる上記したカット野菜を、従来用いられていたよりも低濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水で再度処理した後に、更に有機酸水溶液で処理することが、安全性、衛生性、カット野菜の食感、味、風味などの保持などの点から一層好ましいことを本発明者ら見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
(1) 生野菜を、ホール状で50〜70℃の温水によって1〜15分間処理した後、ホール状のままで有効塩素濃度が30〜300ppmで且つ温度が25℃以下の次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水を用いて処理することを特徴とする生野菜の除菌方法である。
(2) 次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水による処理の後に、生野菜をホール状でさらに有機酸含有水溶液で処理する前記(1)の除菌方法;および、
(3) 前記した次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水による処理時間が3〜20分間の範囲内である前記(1)または(2)の除菌方法;
である。
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかの除菌方法によって除菌処理したホール状の生野菜を細片状にカットしてカット野菜とし、該カット野菜を更に有効塩素濃度が30〜300ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水で再度処理して、除菌された生のカット野菜を調製する方法である。
(5) 前記(1)〜(3)のいずれかの除菌方法によって除菌処理したホール状の生野菜を細片状にカットしてカット野菜とし、該カット野菜を、更に有効塩素濃度が30〜300ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水で再度処理した後、有機酸含有水溶液で処理して、除菌された生のカット野菜を調製する方法である。
本発明で用い得る生野菜としては、生の果菜類、根菜類、葉菜類などを挙げることができる。
前記した野菜のうち、果菜類は、果実を食用とする野菜であって、生の状態で一般に流通、販売される果菜類であればいずれでもよく、具体例としては、キュウリ、ゴーヤ(ニガウリ)、トウガン、マクワウリなどのウリ類、トマト、ナス、カボチャ、シシトウ、オクラなどを挙げることができる。そのうちでも、本発明は、生のままで食されることの多い果菜類や、カットされて生の状態で流通、販売される果菜類に対して適している。特に、生のままで食されることの多いキュウリは、その凹凸のある表面構造上、他の果菜類に比べて表面に雑菌が多く付着し易く、しかも近年カットした状態で流通、販売されることも多くなっているので、本発明はキュウリの除菌方法およびカットキュウリの調製方法として適している。
さらに、本発明で用い得る葉菜類としては、例えば、レタス、白菜、キャベツなどを挙げることができる。
ここで、本明細書でいう「ホール状」とは、生野菜から食用に適さない部分、例えば、食用に適さないヘタ、ガク、皮、外葉、根、ヒゲ根、茎などを除いてあって且つ細片状にカットされていない状態をいう。生野菜が果菜類である場合は、「ホール状の果菜類」とは、果菜類の種類に応じて、ヘタ、ガク、ツルなどの食用に適さない部分を除いた、皮付き又は皮を剥いた、細片状にカットしていない塊状をなす果菜類をいう。また、生野菜が根菜類の場合は、「ホール状の根菜類」とは、例えば、茎、葉、ヒゲ根、先端部分などを除いた、皮付きまたは皮を剥いた、細片状にカットしていない塊状をなす根菜類をいう。生野菜がキャベツ、レタス、白菜、などの葉菜類の場合は、「ホール状の葉菜類」とは、例えば、食用に適さない根、外葉などを除いた、細片状にカットしていない塊状をなす葉菜類をいう。
上記したいずれの方法による場合も、温度が50〜70℃の温水を用いることが必要であり、50〜65℃の温水を用いることが好ましい。温水の温度が50℃よりも低いと、生野菜に付着している菌などの微生物を十分に除去することが困難になり、一方温水の温度が70℃よりも高いと生の野菜が本来有している食感、味、風味が損なわれる。
温水をシャワー状に噴射して処理を行う場合は、生野菜の全表面が温水シャワーに均一またはほぼ均一に接触するようにするために、処理中に生野菜に傷がつかないようにしながら転動させて処理を行ったり、生野菜の周囲から温水シャワーを噴射する設備を備えた装置を用いて処理を行うことが好ましい。
噴射処理に用いた温水は、回収し、滅菌設備で滅菌処理した後に再度この温水シャワー処理に用いてもよい。
また、温水中への浸漬処理と温水をシャワー状で噴射する処理を併用する場合は、上記を参考にしてそれぞれの適当な処理時間を決めるとよい。
本発明で用いる次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、周知のように従来から殺菌剤、漂白剤、酸化剤などとして汎用されている次亜塩素酸ナトリウムを水に溶解した溶液である。
また、次亜塩素酸水としては、希薄な塩化ナトリウム水溶液(一般に0.2%以下の塩化ナトリウム水溶液)を有隔膜電解槽内で電解して、陽極側から得られる強酸性次亜塩素酸水[一般に有効塩素濃度:20〜60ppm(20〜60mg/kg))]と、希薄な塩酸水溶液(一般に2〜6%の塩酸)を無隔膜電解槽内で電解して得られる微酸性次亜塩素酸水[一般に有効塩素濃度:10〜30ppm(10〜30mg/kg))]が食品への使用が認められている。本発明では、これらの次亜塩素酸水のうち、有効塩素濃度が30ppm以上のものが用いられ、一般には、有効塩素濃度が30ppm以上の強次亜塩素酸水が好ましく用いられる。
このホール状での次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水による処理に用いるこれらの水溶液の有効塩素濃度は、50〜200ppmであることが好ましい。
なお、本明細書における次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水の有効塩素濃度は、除菌(殺菌)などに有効に働く塩素の濃度を意味し、高濃度有効塩素計(発色試薬による吸光光度法)により測定される。
また、本発明では、上記処理を、次亜塩素酸ナトリウム水溶液および次亜塩素酸水のいずれか一方のみを用いて行ってもよいし、或いは次亜塩素酸ナトリウム水溶液および次亜塩素酸水のいずれか一方を用いて処理した後、更にもう一方を用いて処理してもよい。
また、生野菜に次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水をシャワー状に噴射して処理する場合は、生野菜100質量部に対して前記した濃度および温度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水の噴射量が1,000〜100,000質量部になるようにして処理を行うことが、除菌効果および生の野菜本来の食感、味、風味の保持などの点から好ましい。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水をシャワー状に噴射して処理を行う場合は、生野菜の全表面が次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水に均一またはほぼ均一に接触するようにするために、処理中に生野菜に傷がつかないようにしながら転動させて処理を行ったり、生野菜の周囲から次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水のシャワーを噴射する設備を備えた装置を用いて処理を行うことが好ましい。
また、次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水中への浸漬処理と次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水の噴射処理を併用する場合は、上記を参考にしてそれぞれの適当な処理時間を決めるとよい。
上記した温水処理、および次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水による処理を順次施して得られるホール状の生野菜は、除菌が十分になされていて保存、流通、販売時などに細菌などの微生物の増殖が抑制されるため、衛生性、安全性、保存性に優れ、しかも生の野菜が本来有する良好な食感、味、風味などを保持している。
そのうちでも、カット後に次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水で再度処理する工程を含む上記(iii)および(iv)の方法が除菌効果の高い生のカット野菜を確実に得ることができる点から好ましい。特に、カット後に次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水で再度処理してから有機酸含有水溶液で処理する上記(iv)の方法が、除菌効果が高く、しかも次亜塩素酸やその分解物などに起因する臭気や異味のない、食味や風味により優れる生のカット野菜が確実に得られる点からより好ましく採用される。
生のカット野菜の次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水による処理は、カット野菜を次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水中に浸漬する方法、カット野菜に次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水をシャワー状で噴射する方法、浸漬と噴射を併用する方法などにより行うことができる。カット野菜の次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水による処理時間は、野菜の種類、カットサイズやカット形状などに応じて調整することができるが、一般的には3〜20分程度、特に5〜15分程度であることが、除菌効果、カット野菜の鮮度保持、食感、味、風味などの低下防止などの点から好ましい。
以下の例において、生野菜に付着している一般生菌数および大腸菌群数の測定、並びに生野菜の食感、味および風味の評価は、次のようにして行った。
検体(生野菜)25gを秤量し、滅菌したリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)225gを加え、60秒間ストマッカー処理(細菌検査用ホモジナイザで60秒間均質化処理)をしたものを試料原液として用いて、さらに10倍段階希釈液を調製した。この希釈液を滅菌シャーレに1ml分注し、さらに滅菌した標準寒天培地(栄研化学株式会社製「デソキシコーレイト寒天培地」)を適量分注して混和した。それを35℃で48時間培養して、48時間培養後の集落(コロニー)の数を数えて、一般生菌数数(CFU/g)とした。
検体(生野菜)25gを秤量し、滅菌したリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)225gを加え、60秒間ストマッカー処理をしたものを試料原液として用いて、さらに10倍段階希釈液を調製した。この希釈液を滅菌シャーレに1ml分注し、更に前記(1)で使用したのと同じ滅菌したデソキシコーレイト寒天を適量分注して混和した。培地が凝固した後、重層し、35℃で24時間培養して、24時間培養後に暗赤色の集落(コロニー)の数を数えて、大腸菌群数(CFU/g)とした。
以下の表1に示す評価基準にしたがって10名のパネラーに点数評価してもらい、その平均値を採った。
(1) キュウリ32本(約3kg)を常温(25℃)の水道水で1分間流し洗いし、濃度0.1質量%の中性洗剤(サラヤ株式会社製「ヤシノミ洗剤」)水溶液(温度25℃)30リットル中に5分間浸漬し、浸漬途中にキュウリを水溶液中で2回撹拌して洗浄した。この後、常温の水道水で1分間流し洗いし、十分すすいだ。このすすぎ後に、キュウリに付着している一般生菌数および大腸菌群数を上記した方法で測定したところ、それぞれ5.4×105CFU/gおよび3.6×103CFU/gであった。
なお、除菌・消毒後にまな板および包丁に付着していた一般生菌数および大腸菌群数は、次のようにして測定した。
滅菌水1mlに綿棒を浸し、測定対象面100cm2(まな板は10m角、包丁は2cm×25cm×両面)を拭き取り、綿棒を滅菌水にもう一度浸し、試料原液とした。この試料原液中の一般生菌数および大腸菌群数を上記した方法で測定した。
(1) キュウリ32本(約3kg)を常温(25℃)の水道水で1分間流し洗いし、濃度0.1質量%の中性洗剤(サラヤ株式会社製「ヤシノミ洗剤」)水溶液(温度25℃)30リットル中に5分間浸漬し、浸漬途中にキュウリを水溶液中で2回撹拌して洗浄した。この後、常温の水道水で1分間流し洗いし、十分すすいだ。このすすぎ後に、キュウリに付着している一般生菌数および大腸菌群数を上記した方法で測定したところ、それぞれ1.5×105CFU/gおよび6.0×102CFU/gであった。
なお、除菌・消毒後にまな板および包丁に付着していた一般生菌数および大腸菌群数は、実施例1と同様にして測定した。このようにして除菌・消毒したまな板および包丁を使用し、更に無菌手袋をはめて、上記(2)において温水から取り出した30本のキュウリを厚さ約1mmにスライスした。スライスキュウリに付着している一般生菌数および大腸菌群数を上記した方法で測定したところ、それぞれ6.1×102CFU/gおよび検出限界未満(10CFU/g未満)であった。また、このスライスキュウリを無菌のポリエチレン袋に入れて、5℃の冷蔵庫に3日間保存し、3日後に冷蔵庫から取り出し、冷蔵庫から取り出したスライスキュウリに付着している一般生菌数および大腸菌群数を上記した方法で測定したところ、それぞれ6.6×103CFU/gおよび10CFU/gであった。また、スライスキュウリを10名のパネラーに食してもらい、その外観、食感、味および風味を上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価してもらいその平均値を採ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
Claims (5)
- 生野菜を、ホール状で50〜70℃の温水によって1〜15分間処理した後、ホール状のままで有効塩素濃度が30〜300ppmで且つ温度が25℃以下の次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水を用いて処理することを特徴とする生野菜の除菌方法。
- 次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水による処理の後に、生野菜をホール状でさらに有機酸含有水溶液で処理する請求項1に記載の除菌方法。
- 前記した次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水による処理時間が3〜20分間の範囲内である請求項1または2に記載の除菌方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の除菌方法によって除菌処理したホール状の生野菜を細片状にカットしてカット野菜とし、該カット野菜を更に有効塩素濃度が30〜300ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水で再度処理して、除菌された生のカット野菜を調製する方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の除菌方法によって除菌処理したホール状の生野菜を細片状にカットしてカット野菜とし、該カット野菜を、更に有効塩素濃度が30〜300ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液または次亜塩素酸水で再度処理した後、有機酸含有水溶液で処理して、除菌された生のカット野菜を調製する方法。
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