1.発明の分野
本発明は、前立腺特異抗原(PSA)のアゴニストエピトープを含んでなる単離されたペプチドに関する。ある態様では、本発明は、PSA−3 CTL(細胞傷害性Tリンパ球)エピトープのアゴニストエピトープを含んでなるペプチドに関する。本発明はまた、PSA−3アゴニストエピトープを含むペプチドをコードする核酸(例えば、組換えウイルスベクター)、ならびにこれらの核酸を含んでなる宿主細胞、およびこれらのペプチドと結合する抗体に関する。また、本発明による核酸およびペプチドを含んでなる医薬組成物、ならびにこのような組成物を用いる前立腺癌の治療方法、例えばペプチドを介する、およびベクターを介する免疫療法に関する。
2.背景の説明
現行の前立腺癌の治療には、外科術、放射線照射、化学療法、および/またはホルモン療法が含まれる。これらの治療法にもかかわらず、アメリカだけでも毎年40,000人を超える人が前立腺癌で亡くなっている(C.C. Boring et al., 1994, CA Cancer J. Clin. 44:7-26)。前立腺癌の治療のための有望な治療法の一つとして、ワクチン療法がある。前立腺癌において発現する抗原である前立腺特異抗原(PSA)は、ワクチン療法の重要な標的である(K.W. Watt et al., 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83:3166-3170)。PSAは正常な前立腺上皮上で発現するが、その他の正常な成人組織では、感知できるレベルでは発現しない。しかし、PSAは免疫寛容を生じさせる「自己抗原」である。
PSA遺伝子を発現する組換えワクシニアウイルス(rV−PSA)を免疫原として用いる2種類のワクチンの臨床試験が実施されている。これらの研究により、ワクチン接種した患者において抗PSA抗体応答(M.G. Sanda et al., 1999, Urology 53:260-266)およびPSA特異的T細胞応答(J.P. Eder et al., 2000, Clin. Cancer Res. 6:1632-1638)の双方が誘発され得ることが証明されている。一方の試験では、rV−PSAのワクチン接種後に、7名の前立腺癌患者のうちの5名において10−mer PSAペプチドに対するT細胞応答が誘発された。これらの結果は、患者のPBMCを、ペプチドパルスしたAPC(抗原提示細胞)とともに一晩インキュベートするELISPOTアッセイを用いて得られたものである。T細胞のin vitroペプチド刺激サイクルが延びたことによる人為的影響を避けるため、短いインキュベート期間が用いられた(J.P. Eder et al., 2000, Clin. Cancer Res. 6:1632-1638)。特に、rV−PSAを接種する前にPBMCを用いた場合には、PSA特異的T細胞応答は認められなかった。
rV−PSAを接種した患者における免疫応答のモニタリングに用いたペプチドは、HLA−A2結合10−merペプチドであり、PSA−3と呼ばれる(VISNDVCAQV;配列番号1;P. Correale et al., 1997, J. Natl. Cancer Inst. 19:293-300; P. Correale et al., 1998, J. Immunol. 161:3186-3194)。このHLA−A2結合ペプチドを用いてHLA−A2対立遺伝子について陽性の患者をモニタリングした。HLA−A2対立遺伝子が北アメリカの人々の中で最も一般的なHLA対立遺伝子であり、白色人種集団の約50%で発現することから、これを有する患者をモニタリング用に選択した(J. Lee, 1990, "The HLA system: a new approach" Proceedings Of The First Red Cross International Histocompatibility Workshop SpringerVerlag, New York, p. 154)。
また、これまでの研究により、PSA−3エピトープが腫瘍細胞によって自然にプロセッシングされ、前立腺癌細胞表面にあるMHC−クラスI A2分子と結合することも証明されている。この結合によって、前立腺の細胞はMHCを制限した方法での特定のT細胞による溶解の影響を受けやすくなった(P. Correale et al., 1998, J. Immunol. 161:3186-3194)。さらに、先の研究では、コンピュータ・アルゴリズムおよびHLA−A2陽性T2A2細胞系に対するペプチド結合実験の双方を用いて、PSA分子のアミノ酸配列が分析されている(K.S. Anderson et al., 1993, J. Immunol. 151:3407-3419)。また、複数の研究により、種々のPSAペプチドがin vitroでCTL系を生成し得ることも分析された。この分析により、PSA−3ペプチドがこれらの特性に最適であることが証明された。
次に、PSA−3ペプチドをELISPOTアッセイに用いて、ワクチン接種患者における免疫応答がモニタリングされた(J.P. Eder et al., 2000, Clin. Cancer Res. 6:1632-1638; P. Arlen et al., 2000, Cancer Immuno. Immunother. 49:517-529)。これらの研究結果により、rV−PSAを接種した結果としてELISPOTアッセイで観察された前駆体頻度の増加がそれほど大きくない(すなわち、2倍〜4倍)ことが示された(J.P. Eder et al., 2000, Clin. Cancer Res. 6:1632-1638)。よって、当技術分野ではPSAの免疫原性を高めるための組成物および方法が必要とされている。
従って、本発明は、PSA免疫原性を向上させるための組成物および方法、ならびにこれらの組成物および方法を用いる治療を開示するものである。本発明によれば、HLA分子と相互作用するアミノ酸残基を修飾することにより、PSAペプチドの免疫原性が向上する。従来の研究では、ペプチドのアンカー残基内のアミノ酸修飾の結果としてMHCとの結合の増強およびT細胞活性化の増強が起こり得ることが示されているが、一方で、その他のアミノ酸修飾はT細胞の活性化に効果を示さないか、または拮抗する働きをすると考えられる(H.M. Grey et al., 1995, Cancer Surv. 22:37-49; M.T. De Magistris et al., 1992, Cell 68:625-632; S.C. Jameson et al., 1995, Immunity 2:1-11; S. Zaremba et al., 1997, Cancer Res. 57:4570-4577)。HLA−アンカー残基の修飾によるT細胞活性化の増強は、いくつかのヒト黒色腫関連抗原について実証されている(D. Valmori et al., 1998, J. Immunol. 160:1750-1758, 1998; Y. Kawakami, Y., Eliyahu et al., 1995, J. Immunol. 154:3961-3968)が、大部分の固形腫瘍、白血病、またはリンパ腫に関連した抗原については実証されていない。
本明細書において後述する本発明にかかる実験では、PSA−3Aと呼ばれる、PSA−3 CTLエピトープのアゴニストのデザインおよび分析について説明する。これらの実験によれば、天然型PSA−3エピトープと比較して、PSA−3AエピトープがMHC−クラスI A2対立遺伝子との結合の増強を示し、結果としてペプチドMHC複合体の安定性を向上させることが示されている。本明細書に示されるように、PSA−3またはPSA−3Aペプチドのいずれかを用いて生成したT細胞系は、PSA−3ペプチドでパルスした標的よりもPSA−3Aペプチドでパルスした標的を高レベルで溶解する。これは、ペプチドおよびエフェクター双方の標的細胞に対する濃度比率を滴定したときに観察された。
さらに、本発明にかかる実験によれば、PSA−3Aペプチドでパルスした樹状細胞(DC)で刺激したT細胞が、PSA−3ペプチドでパルスしたDCよりも高レベルのIFN−γを産生したことが示されている。しかし、PSA−3で刺激したものと比較して、PSA−3Aアゴニストで刺激したT細胞におけるアポトーシスは15のままで、その増加は認められなかった。特に、PSA−3Aアゴニストを用いて生成したヒトT細胞系は、MHC−A2を制限した様式で天然型PSAを発現するヒト前立腺癌細胞を溶解する能力を有していた。
本発明によれば、PSA−3Aエピトープを構成する単一のアミノ酸変化を有するか、またはこれを有さない完全PSA導入遺伝子を含む組換えワクシニアウイルスが構築されている。完全PSA遺伝子内のアゴニストアミノ酸変化を含む組換えベクターに感染したDC(rV−PSA−3Aと呼ぶ)は、rV−PSAベクターよりも、T細胞によるIFN−γ産生の増強に有効であった。さらに、PSA−3Aアゴニストは、HLA−A2.1/Kbトランスジェニックマウス(A. Vitiello et al., 1991, J. Exp. Med. 173:1007-1015; V.H. Engelhard et al., 1991, J. Immunol. 6:1226-1232により報告された系統)を用いるin vivoモデルにおいて、PSA−3ペプチドと比較して、高レベルのT細胞活性化を誘導することが示された。従って、本発明によるPSA−3Aアゴニストエピトープは、ペプチドを介する前立腺癌の免疫療法プロトコール、およびベクターを介する前立腺癌の免疫療法プロトコールの双方において有用である。
発明の概要
本発明によれば、単離されたPSA−3アゴニストペプチド(例えば、配列番号3〜配列番号5)、ならびにこれらのペプチドの1以上を含んでなるポリペプチド(例えば、PSAポリペプチド)、およびその断片および変異体が提供される。また、これらのペプチドおよびポリペプチドの製造方法も提供される。
また、本発明によれば、PSA−3アゴニストペプチド、ポリペプチド(例えば、PSAポリペプチド)、またはその断片もしくは変異体をコードする単離された核酸(例えば、配列番号20〜配列番号22)が提供される。また、本発明によれば、これらのヌクレオチド配列を含んでなるプローブ、プライマーおよびベクター、ならびにこれらのベクターを含んでなる宿主細胞が提供される。また、これらの核酸の製造方法、ならびに本発明によるプローブ、プライマー、ベクターおよび宿主細胞の製造方法も提供される。
また、本発明によれば、PSA−3アゴニストペプチド(例えば、配列番号3〜配列番号5)、これらのペプチドを含んでなるポリペプチド(例えば、PSAポリペプチド)、またはその変異体もしくは断片と結合する抗体および抗体フラグメントが提供される。特に、本発明によれば、本明細書に開示されるPSA−3アゴニストペプチドおよびポリペプチドと結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体ならびに抗体フラグメントが提供される。また、本発明によれば、これらの抗体および抗体フラグメントの製造方法も提供される。
また、本発明によれば、PSA−3アゴニストペプチドに対する免疫反応性をさらに増強する薬剤として使用可能な試験薬剤を同定する方法が提供される。このような薬剤は、PSA−3アゴニストペプチドのミメティクスとして作用するものであっても、あるいはペプチド−HLA複合体の形成または安定性を増強するものであってもよい。
また、本発明によれば、PSA−3アゴニストペプチド、ポリペプチド、またはその断片もしくは変異体と結合する抗体または抗体フラグメントを含んでなる診断用試薬が提供される。さらに、PSA−3アゴニストポリヌクレオチドを含んでなる診断用試薬も提供される。また、これらの試薬を用いて、ベクターに基づく、細胞に基づく、および/またはペプチドに基づく本発明による免疫療法をモニタリングする方法も提供される。
また、本発明によれば、1以上のPSA−3アゴニストペプチド、PSA−3アゴニスト改変ベクター、またはPSA−3アゴニスト改変宿主細胞を含んでなる医薬組成物が提供される。さらに、本発明によれば、前立腺癌の治療のためのこれらの医薬組成物の投与方法が提供される。このような治療としては、ベクターを介した、細胞を介した、およびペプチドを介した免疫療法、ならびにこれらの組合せが挙げられる。本発明による治療は、単独で用いても、また従来の癌治療、例えば、外科術、放射線療法、および/または化学療法と組み合わせてもよい。
本発明のさらなる目的および利点は、本明細書において後述する詳細な説明および実施例から明らかとなる。
好ましい実施形態の詳細な説明
「配列番号3〜配列番号5」などの用語の使用は、便宜上、各々個別の配列番号を個別に示すものであって、配列を集合体として示すものではない。本発明は、それぞれの配列を個々に包含し、さらには、そのいずれかの組合せをも包含する。
本明細書において「核酸」または「ポリヌクレオチド」とは、ポリリボヌクレオチドもしくはポリデオキシリボヌクレオチドまたは混合ポリリボ−ポリデオキシリボヌクレオチドのいずれかの、任意の長さのプリンおよびピリミジン含有ポリマーをいう。このようなものとしては、一本鎖および二本鎖分子、すなわち、DNA−DNA、DNA−RNAおよびRNA−RNAハイブリッド、ならびに塩基とアミノ酸主鎖との結合によって形成された「タンパク質核酸」(PNA)が挙げられる。これにはまた、修飾された塩基を含む核酸も含まれる。ポリヌクレオチド、例えば、オリゴヌクレオチドとしては、天然に存在する種、または天然に存在するサブユニットもしくはその近縁ホモログから形成された合成種が挙げられる。この用語はまた、ポリヌクレオチドと同様に機能する部分も指すが、天然に存在しない部分も含む。よって、ポリヌクレオチドは、改変された糖部分または改変された糖間の結合を有するものであってもよい。これらの例としては、当技術分野で公知のホスホロチオエートおよびその他の硫黄含有種がある。
「コード配列」または「タンパク質コード配列」とは、mRNAへ転写され得る、および/またはポリペプチドへ翻訳され得るポリヌクレオチド配列である。コード配列の境界は、一般に、5’末端の翻訳開始コドンと3’末端の翻訳停止コドンによって決まる。
本明細書において核酸配列の「相補物」または「相補配列」とは、オリジナル配列とのワトソン−クリック塩基対形成に関与するアンチセンス配列をいう。
「プローブ」または「プライマー」とは、そのプローブまたはプライマー中の少なくとも一つの配列と標的領域中のある配列との相補性により、標的領域中の配列とハイブリッド構造を形成する核酸またはオリゴヌクレオチドをいう。
本明細書において「ベクター」とは、それに連結された別の核酸を複製することのできる核酸分子をいう。ベクターは、例えば、プラスミド、組換えウイルスまたはトランスポゾンであってよい。
「宿主」には、原核生物および真核生物が含まれる。この用語には、複製可能なベクターのレシピエントである生物体または細胞が含まれる。
本明細書において「単離された」とは、天然においてそれが会合している他の成分から少なくとも60%遊離している、好ましくは75%遊離している、そして最も好ましくは90%遊離している核酸またはアミノ酸配列をいう。
本明細書において、「タンパク質」と「ポリペプチド」とは同義である。「ペプチド」とは、ポリペプチドの断片または部分と定義づけられ、好ましくは完全なポリペプチド配列としての少なくとも一つの機能活性(例えば、結合活性または抗原活性)を有する断片または部分をいう。「アミノ酸配列」は、ペプチドまたはポリペプチドに相当するものであってよい。
「抗原性」とは、検出し得る抗原−抗体複合体を形成する上で十分に高い親和性でその特異的抗体または抗体フラグメントに結合する分子(例えば、ポリペプチドまたはペプチド)の能力をいう。
本明細書において「サンプル」とは、例えば個体から単離した組織または液体(限定されるものではないが、血漿、血清、脳脊髄液、リンパ液、涙、唾液、乳汁、膿汁、ならびに組織滲出物および分泌物を含む)などの生物学的サンプル、またはin vitro細胞培養構成物から単離した組織または液体、ならびに、例えば、実験室での操作によって得られたサンプルをいう。
上述の用語その他の概要は当技術分野で公知である。例えば、Roitt et al., 1989, Immunology, 2nd Edition, C.V. Mosby Company, New York; Male et al.,1991, Advanced Immunology, 2nd Edition, Grower Medical Publishing, New Yorkを参照されたい。
核酸
本発明は、1以上のPSA−3アゴニストペプチド、これらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチド、またはその断片もしくは変異体をコードするヌクレオチド配列(例えば、配列番号20〜配列番号22)を含んでなる単離された核酸に関する。このような核酸は一本鎖であっても二本鎖であってもよく、15、18、21、24、30またはそれ以上の連続するヌクレオチド、またはその相補配列を含んでなるDNA分子またはRNA分子(例えば、DNA、DNA/DNA、RNA、またはRNA/DNA)を含んでもよい。近縁の核酸変異体も本発明の一部に含まれ、さらには、後に詳述するように、1以上の置換、欠失、または付加を含むPSA−3アゴニストペプチドをコードする組換え核酸も本発明の一部に含まれる。変異型配列を含んでなる核酸は所望の機能(例えば、発現など)を維持していることが好ましい。好ましい実施形態では、本発明は、PSA−3アゴニストペプチドをコードする核酸配列の少なくとも24の連続ヌクレオチドに関するものとされる。
本発明によれば、ポリヌクレオチドのバリエーションは、少なくとも一つのヌクレオチドの欠失、転位(transition)および転換(transversion)などの置換、挿入、または改変(例えば、RNAまたはDNA類似体による)からなる群から選択される。バリエーションは、対照ヌクレオチド配列の5’または3’末端位置に生じていてもよいし、あるいは、対照配列中のヌクレオチドの中に個々に点在するか、または対照配列内の1以上の連続する群として点在する、それら末端位置の間のいかなる位置に生じていてもよい。PSA−3アゴニストペプチドをコードするポリヌクレオチド配列のバリエーションは、コード配列中に、ナンセンス、ミスセンス、またはフレームシフト変異を作り出し、それによりコードされるペプチドを変更し得る。しかし、バリエーションはコード配列中にサイレント変異を作りだし、コードされるペプチドを変化させずにおくこともできる。
コード配列中のサイレント変異は遺伝コードの縮重(すなわち、重複性)に起因するものであり、これにより、1以上のコドンが同じアミノ酸残基をコードし得る。特に、アゴニストペプチドVLSNDVCAQV(配列番号3)、YISNDVCAQV(配列番号4)、およびYLSNDVCAQV(配列番号5)に関しては、バリンはGTT、GTC、GTA、またはGTGによってコード可能であり、ロイシンはCTT、CTC、CTA、CTG、TTA、またはTTGによってコード可能であり、セリンはTCT、TCC、TCA、TCG、AGT、またはAGCによってコード可能であり、アスパラギンはAATまたはAACによってコード可能であり、アスパラギン酸はGATまたはGACによってコード可能であり、システインはTGTまたはTGCによってコード可能であり、アラニンはGCT、GCC、GCA、またはGCGによってコード可能であり、グルタミンはCAAまたはCAGによってコード可能であり、チロシンはTATまたはTACによってコード可能であり、イソロイシンはATT、ATCまたはATAによってコード可能である。標準の遺伝コードを示した表は種々の情報源に見出すことができる(例えば、L. Stryer, 1988, Biochemistry, 3rd Edition, W.H. 5 Freeman and Co., NY)。
DNAまたはRNAなどの変異核酸は、例えば非相補配列を有する核酸がハイブリダイズしないように選択される高ストリンジェンシー条件下または中ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションによって検出および単離することができる。ハイブリダイゼーションに関する「ストリンジェンシー条件」とは、特定の核酸の別の核酸とのハイブリダイゼーションを可能にする温度およびバッファー濃度の条件を指す技術用語であり、ここで、第一の核酸は第二の核酸と完全に相補的であってもよく、あるいは、第一および第二の核酸は、完全よりは劣るものの、ある程度の相補性を共有するものであってもよい。
例えば、特定の高ストリンジェンシー条件を用いて、完全に相補的な核酸と相補性の低いものとを区別することができる。核酸ハイブリダイゼーションの高、中、および低ストリンジェンシー条件は、引用することによりその開示内容を本明細書の一部とするF.M. Ausubel et al. (eds), 1995, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons,Inc., New York, NYに説明されている。特に、2.10.1〜2.10.16頁(特に2.10.8〜2.10.11頁)および6.3.1〜6.3.6頁を参照されたい。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する厳密な条件は、イオン強度、温度およびホルムアミドなどの脱安定化剤の濃度だけでなく、核酸配列の長さ、塩基組成、ハイブリダイズする配列間のミスマッチ率、および他の非同一配列内にあるその配列サブセットの出現頻度などの要因によって異なる。このように、高または中ストリンジェンシー条件は経験的に決定できる。
高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、一般的には、65〜68℃で0.1×SSCおよび0.1%SDSにて実施される。高ストリンジェンシー条件は、約95〜100%の配列同一性を有する核酸分子のハイブリダイゼーションを可能にする。中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、一般的には、50〜65℃で1×SSCおよび0.1%SDSにて実施される。中ストリンジェンシー条件は、少なくとも80〜95%のヌクレオチド配列同一性を有する配列のハイブリダイゼーションを可能にする。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、一般的には、40〜50℃で6×SSCおよび0.1%SDSにて実施される。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、少なくとも50〜80%のヌクレオチド配列同一性を有する核酸分子の特異的ハイブリダイゼーションの検出を可能にする。高、中、および低ストリンジェンシー条件の例は、Sambrook et al., 1989に見出すことができる。条件の例は、M.H. Krause and S.A. Aaronson, 1991, Methods in Enzymology, 200:546556; Ausubel et al., 1995にも記載されている。低、中、および高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション/洗浄条件は、当業者に周知であり、当業者が通常用いる種々の成分、バッファー、および温度を用いて変更し得ると考えられる。
本発明による核酸配列は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、合成RNA、またはその組合せをはじめとする種々の起源に由来するものであってよい。配列は、いくつかの方法のうちのいずれによって取得してもよい。例えば、鋳型としてRNA(例えば、mRNAまたは合成RNA)またはDNA(例えば、ゲノムDNAまたは合成DNA)のいずれかを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて本発明による核酸を作出することができる。PCRに用いられるプライマーは、本明細書に提供される配列情報を用いて合成することができ、さらに、所望により、組換え発現のための所定のベクターへの組み込みを容易にするために、適当な新たな制限部位を導入するようにデザインすることもできる。
本明細書に記載の核酸は、細胞、組織、または生物体への導入(例えば、形質転換、トランスフェクション、または組み込み)を通じてタンパク質またはペプチドを産生するための本発明による方法において使用することができる。ある実施形態では、PSA−3アゴニストペプチドのコード配列の全てもしくは一部を含むDNAまたはその断片が、好適な宿主細胞内でコードされたポリペプチドまたはペプチドを発現させるためのベクターへ組み込まれる。コードされたポリペプチドまたはペプチドは、抗原活性または結合活性などの正常な活性を有することが好ましい。
また、本発明による核酸については、例えば、PSA−3Aベクターを含む宿主細胞の分析、またはPSA−3AベクターもしくはPSA−3Aで改変された宿主細胞で治療を受けている患者のモニタリングのためのプライマーおよびプローブとしての用途も見出される。例として、プローブは核酸ハイブリダイゼーション実験に用いることができ、一方で、プライマーはPCRに基づく実験に用いることができる。本発明によるプローブはDNAであってもRNAであってもよい。本発明によるプローブおよびプライマーは、PSA−3アゴニスト核酸(例えば、配列番号20〜配列番号22)のヌクレオチド配列の全てもしくは一部またはその相補配列を含むものとすることができ、プロモーター、エンハンサーエレメント、およびさらなるPSAコード配列を含んでいてもよい。
ウイルスおよび非ウイルスベクター
種々の実施形態において、1以上のPSA−3アゴニストペプチド(例えば、配列番号3〜配列番号5)、またはこれらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチド(例えば、配列番号25〜配列番号30)は、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターによってコードされてよい。ポリオーマ、すなわちSV40(Madzak et al.,1992, J. Gen. Virol, 73:15331536)、アデノウイルス(Berkner, 1992, Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158:39-6; Berkner et al., 1988, Bio Techniques, 6:616-629; Gorziglia et al., 1992, J. Virol., 66:4407-4412; Quantin et al., 1992, Proc. Nad. Acad. Sci. USA, 89:2581-2584; Rosenfeld et al., 1992, Cell, 68:143-155; Wilkinson et al., 1992, Nucl. Acids Res., 20:2233-2239; Stratford-Perricaudet et al., 1990, Hum. Gene Ther., 1:241-256)、ワクシニアウイルス(Mackett et al., 1992, Biotechnology, 24:495-499)、アデノ随伴ウイルス(Muzyczka, 1992, Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158:91-123; ON et al., 1990, Gene, 89:279-282)、HSVおよびEBVなどのヘルペスウイルス(Margolskee, 1992, Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158:67-90; Johnson et al., 1992, J. Virol., 66:29522965; Fink et al., 1992, Hum. Gene Ther. 3:11-19; Breakfield et al., 1987, Mol. Neurobiol., 1:337-371; Fresse et al., 1990, Biochem. Pharmacol., 40:2189-2199)、シンドビスウイルス(H. Herweijer et al., 1995, Human Gene Therapy 6:1161-1167;米国特許第5,091,309号明細書および同第5,2217,879号明細書)、アルファウイルス(S. Schlesinger, 1993, Trends Biotechnol. 11:18-22; I. Frolov et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:11371-11377)、ならびに鳥類レトロウイルス(Brandyopadhyay et al., 1984, Mol. Cell Biol., 4:749-754; Petropouplous et al., 1992, J. Virol., 66:3391-3397)、マウスレトロウイルス(Miller, 1992, Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158:1-24: Miller et al., 1985, Mol. Cell Biol., 5:431-437; Sorge et al., 1984, Mol. Cell Biol., 4:1730-1737; Mann et al.,1985, J. Virol., 54:401-407)およびヒト起源のレトロウイルス(Page et al., 1990, J. Virol., 64:5370-5276; Buchschalcher et al., 1992, J. Virol., 66:2731-2739)をはじめとする多数のウイルスベクターが構築されている。バキュロウイルス(オートグラファ・カリフォルカ核多角体病ウイルス,AcMNPV)ベクターも当技術分野で公知であり、販売業者(例えば、PharMingen, San Diego, CA; Protein Sciences Corp., Meriden, CT; Stratagene, La Jolla, CA)から入手できる。多くのヒト遺伝子治療プロトコールは、機能不全型マウスレトロウイルスに基づいたものである。
さらに、リン酸カルシウム共沈法(Grahamet al., 1973, Virology, 52:456-467; Pellicer et al., 1980, Science, 209:1414-1422)などの化学的技法、機械的技術、例えばマイクロインジェクション法(Anderson et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:5399-5403; Gordon et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:7380-7384; Brinster et al., 1981, Cell 27:223-231; Constantini et al., 1981, Nature, 294-92-94)、リポソームを介する膜融合媒介導入法(Leeらに対する米国特許第5,908,777号; Felgner et al., 1987, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 84:7413-7417;Wang et al., 1989, Biochemistry, 28:9508-9514; Kaneda et al., 1989, J. Biol. Chem., 264:12126-12129; Stewart et al., 1992, Hum. Gene Ther., 3:267-275; Nabel et al., 1990, Science, 249:1285-1288; Lim et al., 1992, Circulation, 83:2007-2011)、ならびにDNAの直接取り込みおよび受容体を介するDNA導入(Wolff et al., 1990, Science, 247:14651468; Wu et al., 1991, BioTechniques, 11:474-485; Zenke et al., 1990,Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 87:3655-3659; Wu et al., 1989,J. Biol. Chem., 264:16985-16987; Wolff et al., 1991, BioTechniques, 11:474-485; Wagner et al., 1991, Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 88:4255-4259; Cotten et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:4033-4037; Curiel et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8850-8854; Curiel et al., 1991, Hum. Gene Ther. 3:147154)をはじめとする十分に確立された方法で非ウイルスベクターを宿主または宿主細胞へ導入することができる。
PSA−3アゴニストペプチドまたはこのペプチドを含んでなるPSAポリペプチドをコードする異種DNA配列を含む組み換えDNAウイルスの作製のための基本技術は当業者に公知である。このような技術としては、例えば、ドナープラスミド中の前記DNA配列に隣接するウイルスDNA配列と親ウイルス中に存在する同種配列との間の相同組換え(Mackett et al., 1982, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:7415-7419)が挙げられる。特に、ポックスウイルスベクターなどの組換えウイルスベクターが遺伝子送達に使用できる。このベクターは、例えば当技術分野で公知の工程、例えば、引用することによりその開示内容を本明細書の一部とする、米国特許第5,093,258号明細書に記載の鶏痘ウイルスの合成組換えの作出方法と同様の工程によって構築することができる。その他の技術としては、天然に存在する、または人工的に親ウイルスベクターへ挿入した特有の制限エンドヌクレアーゼ部位を使用して、異種DNAを挿入する方法が挙げられる。
本発明の実施に有用なポックスウイルスとしては、オルソポックス、スイポックス、アヴィポックス、およびカプリポックスウイルスが挙げられる。オルソポックスとしては、ワクシニア、エクトロメリア、およびアライグマポックスが挙げられる。好ましいオルソポックスはワクシニアである。アヴィポックスとしては、鶏痘、カナリア痘および鳩痘が挙げられる。好ましいアヴィポックスは鶏痘である。カプリポックスとしては、ヤギ痘およびヒツジ痘が挙げられる。好ましいスイポックスは豚痘である。PSA発現のためのポックスウイルスベクターの例は、例えば、Schlom et al.に対する米国特許第6,165,460号に記載されている。使用可能なその他のウイルスベクターとしては、ヘルペスウイルスおよびアデノウイルスなどのその他のDNAウイルス、ならびにレトロウイルスおよびポリオなどのRNAウイルスが挙げられる。場合によって、ワクシニアウイルスベクターが強い抗体応答を誘発する可能性がある。よって、ワクシニアベクターで何回も追加免疫することが可能であるが、その反復使用はある場合には好ましくない。しかし、この感受性の問題は、異なる属由来のポックスを追加免疫に用いることによって最小限にとどめることができる。第一または初回のポックスウイルスベクターがワクシニアウイルスである場合、第二またはその後のポックスウイルスベクターは、免疫原性上ワクシニアとは異なるスイポックス、アヴィポックス、カプリポックスまたはオルソポックスなどの異なる属由来のポックスから選択されることが好ましい。
一般に、DNAドナーベクターは次の要素を含む:(i)原核生物の複製起点(これにより、ベクターは原核生物宿主で増幅し得る)、(ii)ベクターを含む原核生物宿主細胞の選択を可能にするマーカーをコードする遺伝子(例えば、抗生物質耐性をコードする遺伝子)、(iii)配列の発現を指令することのできる転写プロモーターに隣接して位置する、PSA−3アゴニストペプチドまたはこのペプチドを含んでなるPSAポリペプチドをコードする少なくとも一つのDNA配列、および(iv)要素(iii)の構築物に隣接する、外来遺伝子を挿入する親ウイルスゲノム領域に相同なDNA配列。複数の外来遺伝子をポックスウイルスへ導入するためのドナープラスミドを構築する方法は、引用することによりその技術を本明細書の一部とするWO91/19803に記載されている。
一般に、転写プロモーターを含む断片および外来DNA配列が挿入される親ウイルスゲノムの領域に相同な配列を含む断片をはじめとする、ドナーベクターの構築のためのDNA断片は、ゲノムDNAまたはクローンDNA断片から得ることができる。ドナープラスミドは、一価、二価、または多価であり得る(すなわち、1以上の挿入外来DNA配列を含み得る)。ドナーベクターは、挿入された外来DNAを含む組換えウイルスの同定を可能にするマーカーをコードするさらなる遺伝子を含むことが好ましい。数種類のマーカー遺伝子を用いて組換えウイルスの同定および単離を可能にすることができる。これらは抗生物質耐性または化学薬品耐性をコードする遺伝子(例えば、Spyropoulos et al., 1988, J. Virol. 62:1046; Falkner and Moss, 1988, J. Virol. 62:1849; Franke et al., 1985, Mol. Cell. Biol. 5:1918参照)、ならびに比色アッセイにより組換えウイルスのプラークの同定を可能にする大腸菌(E.coli) lacZ遺伝子などの遺伝子(Panicali et al., 1986, Gene 47:193-199)を含む。
確立された方法によれば、ウイルスに挿入するDNA遺伝子配列を、DNAが挿入されるポックスウイルスの挿入部位のものなど、DNAのあるセクションに相同なDNAが挿入されたドナープラスミド、例えば、大腸菌プラスミド構築物へ配置することができる。挿入されるDNA遺伝子配列は個別にプロモーターと連結される。このプロモーターと遺伝子の連結は、所望の挿入領域であるポックスDNAの領域に隣接するDNA配列と相同なDNAがその両端に隣接するように、プラスミド構築物中に配置する。親ポックスウイルスベクターとともに、ポックスプロモーターが用いられる。次いで、得られたプラスミド構築物を大腸菌内での増殖により増幅させて単離する。次に、挿入するDNA遺伝子配列を含む単離プラスミドを、細胞培養物、例えば、ニワトリ胚繊維芽細胞へ、親ウイルス、例えば、ポックスウイルスとともにトランスフェクトする。プラスミド中の相同なポックスDNAとウイルスゲノムとの間の個々の組換えの結果、ウイルスの生存能に影響しない部位におけるそのゲノム内のプロモーター−遺伝子構築物の存在によって改変された組換えポックスウイルスが得られる。
上述のように、DNA配列を、得られる組換えウイルスのウイルス生存能に影響しないウイルスの領域(挿入領域)へ挿入する。当業者であれば、例えば、組換え体のウイルス生存能に重大な影響を与えずに組換え体形成が可能な領域についてウイルスDNAのセグメントをランダムに試験することによって、容易にウイルス中のこのような領域を同定することができる。容易に使用でき、多くのウイルスに存在する一つの領域として、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子がある。このTK遺伝子は、レポリポックスウイルス(Upton et al., 1986, J. Virology 60:920);ショープ線維腫ウイルス;カプリポックスウイルス (Gershon et al., 1989, J. Gen. Virol.70:525)Kenya sheep−1;オルソポックスウイルス (Weir et al., 1983, J. Virol. 46:530)ワクシニア(Esposito et al., 1984, Virology 135:561);サル痘および天然痘ウイルス(Hruby et al., 1983, PNAS 80:3411)ワクシニア(Kilpatrick et al., 1985, Virology 143:399);ヤバサル腫瘍ウイルス;アヴィポックスウイルス(Binns et al., 1988, J. Gen. Virol. 69:1275);フォウイポックス(fowipox);(Boyle et al., 1987, Virology 156:355);ニワトリ痘(Schnitzlein et al., 1988, J.Virological Methods 20:341);鶏痘、ウズラ痘;昆虫痘(Lytvyn et al., 1992, J. Gen.Virol. 73:3235-3240)をはじめとする、試験された全てのポックスウイルスゲノム中に見つかっている。
ワクシニアでは、TK領域に加え、他の挿入領域として、例えば、HindIII M断片が挙げられる。鶏痘では、TK領域に加え、他の挿入領域として、例えば、BamHI J断片(Jenkins et al., 1991, AIDS Research and Human Retroviruses 7:991-998)、欧州特許出願番号第0308220A1号公報に記載のEcoRI−HindIII断片、EcoRV−HindIII断片、BamHI断片およびHindIII断片が挙げられる(Calvert et al., 1993, J. Virol. 67:3069-3076; Taylor et al., 1988, Vaccine 6:497-503; Spehner et al., 1990; Boursnell et al., 1990, J. Gen. Virol. 71:621-628も参照)。
豚痘では、好ましい挿入部位としては、チミジンキナーゼ遺伝子領域が挙げられる。遺伝子が挿入領域へ挿入される要件に加えて、改変されたポックスウイルスによる挿入遺伝子の発現を成功させるには、所望の遺伝子と作動可能なように連結された、すなわち、挿入遺伝子と適切な関係にあるプロモーターの存在が必要である。プロモーターは、発現させる遺伝子から上流に位置するように配置しなければならない。プロモーターは当技術分野で周知であり、宿主および標的にしようとする細胞種に応じて容易に選択できる。ポックスウイルスでは、ワクシニア7.5K、40Kなどのポックスウイルスプロモーター、またはFPV C1Aなどの鶏痘プロモーターを用いることが好ましい。発現レベルを高めるためにエンハンサーエレメントを併用することもできる。さらに、これも当技術分野で周知である誘導プロモーターの使用も有利な場合がある。
感染細胞におけるドナープラスミドDNAとウイルスDNAとの間の相同組換えの結果として、所望のエレメントを組み込んだ組換えウイルスが形成される。in vivo組換えに適切な宿主細胞は、一般に、ウイルスに感染し、プラスミドベクターによってトランスフェクト可能な真核細胞である。ポックスウイルスとともに使用するのに好適なこのような細胞の例としては、ニワトリ胚繊維芽細胞、HuTK143(ヒト)細胞、ならびにCV−1およびBSC−40(双方ともサル腎臓)細胞がある。ポックスウイルスでの細胞の感染およびプラスミドベクターを用いるこれらの細胞のトランスフェクションは、当技術分野において標準的な手法によって達成される(PanicaliおよびPaoletti、米国特許第4,603,112号明細書、W089/03429)。
in vivo組換えの後、組換えウイルスの子孫を、いくつかの技術のうちの一つによって同定することができる。例えば、DNAドナーベクターが外来遺伝子を親ウイルスのチミジンキナーゼ(TK)遺伝子へ挿入するようデザインされているならば、組み込まれたDNAを含むウイルスはTK−であり、これを基準に選択することができる(Mackett et al., 1982, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:7415)。あるいは、上記のように、マーカーまたは指標遺伝子を目的の外来遺伝子とともにコードする遺伝子の同時組み込みを用いて組換え子孫を同定することもできる。好ましい指標遺伝子の一つとして、大腸菌lacZ遺伝子がある。β−ガラクトシダーゼを発現する組換えウイルスは、酵素に対する発色基質を用いて選択することができる(Panicali et al., 1986, Gene 47:193)。一旦組換えウイルスが同定されれば、種々の周知の方法を用いて挿入DNA断片にコードされるPSA配列(例えば、PSA−3A)の発現をアッセイすることができる。これらの方法としては、ブラックプラークアッセイ(ウイルスプラーク上で実施されるin situ酵素免疫測定法)、ウエスタンブロット分析、放射免疫沈降法(RIPA)、および酵素免疫測定法(EIA)が挙げられる。
ペプチドおよびポリペプチド
本発明のさらなる態様は、単離されたPSA−3アゴニストペプチド(例えば、配列番号3〜配列番号5)、およびこれらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチド(例えば、配列番号25〜配列番号30)に関するものである。本発明によるペプチドおよびポリペプチドは、単離物、合成物、または組換え体とすることができる。本発明は、PSA−3アゴニストペプチドおよびこれらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチド、ならびにその断片および機能的同等物を包含する。「機能的同等物」とは、アミノ酸配列が本発明によるポリペプチドまたはペプチドとは異なるが、このような違いの結果として、ポリペプチドまたはペプチドの少なくとも一つの特徴的な機能(例えば、結合または抗原活性)を果たす修飾されたタンパク質を生じるタンパク質を含むものとする。例えば、ポリペプチドまたはペプチドの機能的同等物は、そのポリペプチドまたはペプチドの機能に直接関与しないアミノ酸残基の置換、付加、欠失、または修飾(例えば、リン酸化、標識など)などのバリエーションを有するものとすることができる。
可溶性の向上、分子の活性、抗原性、または安定性の増強(例えば、ex vivoでの保存期間およびin vivoでのタンパク質加水分解耐性)などの目的のためには、PSA−3アゴニストペプチドまたはこのペプチドを含んでなるPSAポリペプチドの構造を変化させることも可能である。このような変異体は、本明細書で定義したように、ポリペプチドおよびペプチドの機能的同等物とされる。ポリペプチドおよびペプチドは、活性を保持するように修飾されるのが好ましい。活性に必須であることが分かっている残基は、必須アミノ酸を別のもの、好ましくはその存在が機能を増強、低下させるが、これを除去しない、または機能に変化をもたらさないことが分かっている類似のアミノ酸残基で置換する(保存的置換)ことによって変更することができる。さらに、結合活性またはその他の活性に必須でないアミノ酸残基を、その組み込みによって反応性を増強、低下させるか、または変化をもたらさない別のアミノ酸で置換することによって変更することができる。
ポリペプチドおよびペプチド変異体としては、1以上のアミノ酸残基の付加、欠失、または置換によって異なる突然変異体が挙げられる。1以上の残基が修飾された修飾ポリペプチドおよびペプチド、および1以上の修飾残基を含んでなる突然変異体も含まれる。有用な修飾としては、リン酸化、硫酸化、還元/アルキル化(Tarr, 1986, Methods of Protein Microcharacterization, J. E. Silver, Ed., Humana Press, Clifton, NJ, pp. 155-194);アシル化(Tarr,上記);化学結合(Mishell and Shiigi (Eds), 1980, Selected Methods in Cellular Immunology, W H Freeman, San Francisco, CA;米国特許第4,939,239号明細書);および弱いホルマリン処理(Marsh, 1971, Int. Arch. of Allergy and Appl. Immunol. 41:199-215)が挙げられる。さらに、D−アミノ酸、非天然アミノ酸、または非アミノ酸類似体を置換または付加して修飾ポリペプチドを作出することもできる。さらに、本明細書に開示されるポリペプチドを、公知の方法(S. I. Wie et al., 1981, Int. Arch. Allergy Appl. Immunol. 64(1):8499)に従い、ポリエチレングリコール(PEG)を用いて修飾して、PEGと共役したタンパク質を作出することもできる。さらに、PEGをタンパク質の化学合成中に付加することができる。修飾または配列のバリエーションは、対照ポリペプチド配列のアミノまたはカルボキシ末端位置、あるいは対照配列中のアミノ酸の中に個々に散在し、または対照配列の中の1以上の連続した群に散在する、末端位置の間のいずれの位置において生じてもよい。
また、ポリペプチドまたはペプチドは、直接的または間接的に、限定されるものではないが、放射性同位元素標識、蛍光標識および酵素標識などの検出可能なシグナルを提供し得る標識で修飾してもよい。蛍光標識としては、例えば、CyTM3、CyTM5、Alexa、BODIPY、フルオレセイン(例えば、FluorX、DTAF、およびFITC)、ローダミン(例えば、TRITC)、オーラミン、テキサスレッド、AMCAブルー、およびルシファーイエローが挙げられる。好ましい同位元素標識としては、3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131I、および186Reが挙げられる。好ましい酵素標識としては、ペルオキシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ+ペルオキシダーゼ、およびアルカリ性ホスファターゼ(例えば、米国特許第3,654,090号明細書、同第3,850,752号明細書および同第4,016,043号明細書参照)が挙げられる。酵素は、カルボジイミド、ジイソシアネート、グルタルアルデヒドなどの架橋分子との反応によってコンジュゲートさせることができる。酵素標識は、視覚的に検出できるか、あるいは熱量測定、分光光度、蛍光分光光度、電流滴定、またはガス定量技術によって測定できる。アビジン/ビオチン、チラミドシグナル増幅(TSATM)などのその他の標識系も当技術分野で公知であり、市販されている(例えば、ABC kit, Vector Laboratories, Inc., Burlingame, CA;NEN(登録商標) Life Science Products, Inc., Boston, MA)。
本発明によれば、ポリペプチドまたはペプチド配列は、PSA−3アゴニストペプチドまたはこれらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチドと同一であってよく、また、特定の整数までのアミノ酸変異を含むことができる。アミノ酸変異は、少なくとも一つのアミノ酸の欠失、置換(保存的置換および非保存的置換を含む)、または挿入からなる群から選択される。よって、ポリペプチドおよびペプチド変異体は、置換アミノ酸が類似の構造または化学特性を持つような、例えば、ロイシンのイソロイシンでの置換など、保存的変異を有してもよい。まれにではあるが、変異体が非保存的変異、例えば、グリシンのトリプトファンでの置換などを有してもよい場合がある。どのアミノ酸残基が生物活性または免疫学的活性を失わずに置換、挿入、または欠失させることができるかを判定する指針は、当技術分野で周知のコンピュータープログラム、例えば、DNASTARソフトウェア(DNASTAR, Inc., Madison, WI)を用いて決定できる。非限定的な例として、PSA−3アゴニストアミノ酸配列中の保存的置換は次の表に従って行うことができる。
PSA−3アゴニストペプチド(例えば、配列番号3〜配列番号5)は、1番目にVまたはY;2番目にLまたはM:および10番目にVまたはIを含むのが好ましい。好ましい実施形態では、PSA−3アゴニストペプチドは、1番目にD、E、またはP;3番目にDまたはE;4番目にR、K、HまたはA;5番目にP;7番目にR、KまたはH;8番目にD、E、R、KまたはH;9番目にR、KまたはH;または10番目にLを含まない。
機能または免疫原性における実質的変化は、上記の表に示したものよりも保存性の低い置換を選択することによって作出することができる。例えば、改変領域におけるポリペプチドの構造、例えば、α−へリックス構造またはβ−シート構造、標的部位における分子の電荷または疎水性、または側鎖のかさ、に有意に影響する非保存的置換を作出することができる。一般にポリペプチドの特性に最大の変化をもたらすことが予想される置換は、1)親水性残基(例えば、セリルまたはトレオニル)の、疎水性残基(例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、またはアラニル)による置換、またはその逆の置換、2)システインまたはプロリンの、他のいずれかの残基による置換、またはその逆の置換、3)正電荷側鎖を有する残基(例えば、リシル、アルギニル、またはヒスチジル)の、負電荷残基(例えば、グルタミルまたはアスパルチル)による置換、またはその逆の置換、あるいは4)かさの高い側鎖を有する残基(例えば、フェニルアラニン)の、側鎖を持たない残基(例えば、グリシン)による置換、またはその逆の置換である。
配列タグ(例えば、エピトープまたはタンパク質タグ)または1以上のリシンなどのアミノ酸を、本発明によるペプチド配列へ(例えば、N末端またはC末端において)付加することができる。エピトープタグの非限定的な例としては、c−myc、赤血球凝集素(HA)、ポリヒスチジン(6X−HIS)(配列番号16)、GLU−GLU、およびDYKDDDDK(配列番号17;FLAG(登録商標))タグが挙げられる。タンパク質タグの非限定的な例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、およびマルトース結合タンパク質(MBP)が挙げられる。配列タグは、ペプチド精製または局在化に使用できる。リシンは、ペプチドの可溶性を高めるため、またはビオチニル化を可能にするために使用できる。
また、本発明によれば、本発明によるペプチドのアプタマーが提供される。本発明の好ましい実施形態によれば、配列番号3〜配列番号5などのPSA−3アゴニストペプチドのアプタマーが提供される。本アプタマーは、タンパク質またはその他の分子と結合可能なペプチドまたは核酸分子であるか、あるいは本発明によるペプチドの活性部分の三次元構造を模倣するものである。アプタマーは、合成法、組換え法、および精製法をはじめとするいずれの公知の方法によって作製してもよい(Nature 1996 Apr 11;380(6574):548-50)。
ペプチドおよびポリペプチドの生産
分子生物学、タンパク質生化学および免疫学における多くの従来技術を用いて、本発明について用いるためのPSA−3アゴニストペプチド(例えば、配列番号3〜配列番号5)またはこれらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチド(例えば、配列番号25〜配列番号30)を生産および単離することができる。組換えポリペプチドおよびペプチドを得るためには、当技術分野で周知であり(Sambrook et al., 1989)、本明細書で記載する方法により、完全な宿主細胞または細胞フリー翻訳系における発現のために、コード配列を好適ないずれかのベクターへクローニングすればよい。あるいは、市販の自動化された方法により、ペプチドを化学的に合成してもよい。生産の後、本発明によるポリペプチドおよびペプチド(機能的同等物を含む)は、コード配列が導入および発現された野生型もしくは突然変異細胞(例えば、ヒト細胞または細胞系)から、または異種生物体もしくは細胞(例えば、細菌、酵母、昆虫、植物および哺乳類細胞)から、または細胞フリー翻訳系(例えば、小麦胚芽、ミクロソーム膜、または細菌抽出物)から単離することができる。また、これらのポリペプチドおよびペプチドは、合成化学法の後に単離することもできる。
本発明の一つの態様では、PSA−3アゴニストペプチド(例えば、配列番号3〜配列番号5のうちの1以上)もしくはこのペプチドを含んでなるポリペプチドまたはその変異体に関するコード配列の全部または一部を含むDNAが、コードされるアミノ酸配列の好適な宿主細胞における発現のためのベクターへ導入される。これらのコードされるポリペプチド、ペプチドまたはそれらの機能的同等物は、活性(例えば、結合活性または抗原活性)を持ち得ることが好ましい。細菌、酵母および哺乳類ベクターをはじめとする多数のベクターが、種々の宿主細胞または細胞フリー系での複製および/または発現用として文献に記載されており、ベクターに基づく療法ならびに単にクローニングまたはタンパク質発現のために使用できる。
一例として、ベクター(例えば、発現ベクター)は、少なくとも一つの調節配列と作動可能なように連結された、本明細書に記載のようなPSA−3アゴニストペプチドまたはこのペプチドを含んでなるPSAポリペプチドをコードする核酸を含むことができる。調節配列は当技術分野で公知であり、適当な宿主細胞において目的のタンパク質の発現を指令するように選択される。よって、調節配列という用語には、プロモーター、エンハンサー、およびその他の発現制御エレメントが含まれる(例えば、 D.V. Goeddel, 1990, Methods Enzyniol. 185:3-7参照)。エンハンサーおよびその他の発現制御配列は、Enhancers and Eukaryotic Gene Expression, 1983, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NYに記載されている。ベクターの設計は、トランスフェクトする宿主細胞の選択および/または発現させるポリペプチドもしくはペプチドの種類などの要因によって異なるものと理解すべきである。
いくつかの調節エレメント(例えば、プロモーター)が単離され、種々の宿主内で異種タンパク質の転写および翻訳に効果的であることが示されている。このような調節領域、単離方法、操作方法などは当技術分野で公知である。細菌プロモーターの例としては、限定されるものではないが、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)プロモーター、ラクトースプロモーター、トリプトファン(trp)プロモーター、araBAD(アラビノース)オペロンプロモーター、λ由来P1プロモーターおよびN遺伝子リボゾーム結合部位、ならびにtrpおよびlac UV5プロモーターの配列に由来するハイブリッドtacプロモーターが挙げられる。酵母プロモーターの例としては、限定されるものではないが、3ホスホグリセレートキナーゼプロモーター、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、ガラクトキナーゼ(GAL1)プロモーター、ガラクトエピメラーゼプロモーター、およびアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH1)プロモーターが挙げられる。哺乳類細胞に関して好適なプロモーターとしては、限定されるものではないが、シミアンウイルス40(SV40)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、アデノウイルス(ADV)、およびウシパピローマウイルス(BPV)などのウイルスプロモーターが挙げられる。好ましい複製および遺伝系としては、M13、ColE1、SV40、バキュロウイルス、λ、アデノウイルス、CEN AIRS、2μm AIRSなどが挙げられる。ベクターは自立的に複製するものもあるが、当技術分野で周知の方法により宿主細胞のゲノムに挿入することにより複製することもできる。
DNA配列は、所望により、所定の宿主生物または発現系でより効率的に発現されるように最適化することができる。例えば、十分に確立された技術を用いて所定の宿主細胞または細胞フリー翻訳系において好ましいコドン使用を付与するようにコドンを変更することができる。コドン使用データは、例えば、Codon Usage Database(hftp://www. kazusa.or.jp/codon/)などの一般に利用できる情報源から入手することができる。さらに、アミノ酸配列情報をコドン選択に従ってヌクレオチド配列情報へ翻訳するコンピュータープログラム(すなわち、バックトランスレーションプログラム)が広く利用可能である。例えば、Backtranslate program from Genetics Computer Group (GCG), Accelrys, Inc., Madison, WI;およびBacktranslation Applet from Entelechon GmbH, Regensburg, Germanyを参照されたい。このように、当業者ならば、本明細書に開示されるポリペプチドおよびペプチドを用い、選択した翻訳系または宿主細胞において最適な発現レベルが得られるように核酸をデザインすることができる。
真核細胞で発現を得るためには、遺伝子発現を調節するターミネーター配列、ポリアデニル化配列およびエンハンサー配列が必要となる。また、遺伝子の増幅を引き起こす配列も望ましいことがある。これらの配列は当技術分野で周知である。さらに、限定されるものではないが、細菌、酵母および動物細胞をはじめとする細胞から組換え産物の分泌を促進する分泌シグナル配列および/またはプレタンパク質もしくはプロタンパク質配列などの配列を含めてもよい。このような配列は当技術分野で十分に文献に記載されている。
発現ベクターおよびクローニングベクターは、ベクターで形質転換された宿主細胞の生存または増殖に必要なタンパク質をコードする遺伝子である選択マーカーを含んでもよい。この遺伝子が存在すると、挿入配列を発現する宿主細胞のみの増殖が確保される。典型的な選択遺伝子は、1)抗生物質またはその他の有毒物質(例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサートなど)に対する耐性を付与するタンパク質、2)栄養要求性欠損を補足するタンパク質、または3)複合培地からは得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードするもの(例えば、バチルスではD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)である。マーカーは、誘導性遺伝子であっても非誘導性遺伝子であってもよく、また、一般には陽性選択を可能とするものとされる。マーカーの例としては、限定されるものではないが、アンピシリン耐性マーカー(すなわち、βラクタマーゼ)、テトラサイクリン耐性マーカー、ネオマイシン/カナマイシン耐性マーカー(すなわり、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、グルタミンシンセターゼなどが挙げられる。適切な選択マーカーの選択は、当業者が理解しているように、宿主細胞および種々の宿主に適当なマーカーによって異なる。
本発明に関して用いるために好適なベクターとしては、限定されるものではないが、pUC、pBluescript(Stratagene)、pET(Novagen, Inc., Madison,WI)およびpREP(Invitrogen)プラスミドが挙げられる。ベクターは、クローニングまたは発現のための1以上の複製および遺伝系、宿主における選択のための1以上のマーカー(例えば、抗生物質耐性)、および1以上の発現カセットを含むことができる。挿入するコード配列は、標準的な方法により合成できるか、天然源から単離できるか、またはハイブリッドとして調製できる。コード配列の、転写調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーおよび/またはインスレーター)への、および/または他のアミノ酸をコードする配列への連結は、確立された方法を用いて行うことができる。本発明に関して用いるために好適な細胞フリー発現系としては、限定されるものではないが、ウサギ網状赤血球溶解物、小麦胚芽抽出物、イヌ膵臓ミクロソーム膜、大腸菌(E. coli)S30抽出物、および転写/翻訳複合系(Promega Corp. , Madison, WI)が挙げられる。これらの系は、タンパク質コード領域と適当なプロモーターエレメントを含むクローニングベクター、DNA断片またはRNA配列を付加した際に、組換えポリペプチドおよびペプチドの発現を可能とする。
好適な宿主細胞の例としては、限定されるものではないが、細菌、始原細菌、昆虫、真菌(例えば、酵母)、植物、および動物細胞(例えば、哺乳類、特にヒト)が挙げられる。特に注目されるものとしては、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、SF9細胞、C129細胞、293細胞、ならびに不死化した哺乳類骨髄細胞系およびリンパ細胞系がある。哺乳類細胞の培養系での増殖方法は周知である(Jakoby and Pastan (eds), 1979, Cell Culture. Methods in Enzymology, volume 58, Academic Press, Inc., Harcourt Brace Jovanovich, NY参照)。一般に用いられる哺乳類宿主細胞系の例としては、VEROおよびHeLa細胞、CHO細胞、ならびにWI38、BHKおよびCOS細胞系があるが、当業者ならば、例えば目的のグリコシル化パターンまたはその他の特徴のより高い発現を得るために他の細胞系を用い得ることが分かるであろう。
宿主細胞は、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化リチウム、酢酸リチウム/ポリエチレングリコール、リン酸カルシウム、DEAEデキストランリポソームを介したDNA取り込み、スフェロプラスト化、注入、マイクロインジェクション、微粒子衝撃、ファージ感染、ウイルス感染、またはその他の確立された方法をはじめとするいずれの好適な方法によって適宜形質転換、トランスフェクトまたは感染させてもよい。あるいは、本発明による核酸を含むベクターは、in vitroで転写し、得られたRNAを周知の方法により、例えば注入により宿主細胞へ導入することもできる(Kubo et al., 1988, FEBS Letts. 241:119参照)。上記の核酸を導入した細胞は、このような細胞の子孫をも含むものとする。
PSA−3アゴニストペプチド、これらのペプチドを含んでなるポリペプチド、またはその変異体もしくは断片をコードする核酸は、好適な宿主細胞中で複製させることにより大量に生産することができる。目的のペプチドまたはポリペプチドをコードする少なくとも15の連続する塩基を含んでなる合成核酸断片を、原核細胞または真核細胞へ導入してそこで複製することのできる組換え核酸構築物、例えばDNA構築物に組み込んでもよい。最もよく用いられる原核宿主は大腸菌株であるが、枯草菌またはシュードモナスなどの他の原核生物を用いてもよい。哺乳類、または酵母、糸状真菌、植物、昆虫または両生類もしくは鳥類種などのその他の真核宿主細胞も有用であり、本発明による核酸の単離に有用であり得る。本発明による方法によって生産された核酸の精製は、例えば、Sambrook et al., 1989; F.M. Ausubel et al., 1992, Current Protocols in Molecular Biology, J. Wiley and Sons, New York, NYに記載されている。
また、本発明によるペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸は、化学合成法、例えば、Beaucage et al., 1981, Tetra. Letts. 22:1859-1862に記載されているホスホルアミダイト法、またはMatteucci et al., 1981, J. Am. Chem. Soc., 103:3185に従うトリエステル法により生産することもでき、市販の自動オリゴヌクレオチド合成装置を用いて製造することもできる。二本鎖断片は、相補鎖を合成し、適当な条件下で両鎖をアニーリングすることによるか、あるいはDNAポリメラーゼを適当なプライマー配列とともに用いて相補鎖を付加することにより、化学合成した一本鎖産物から得てもよい。
本発明の他の態様では、PSA−3アゴニストペプチドは、限定されるものではないが、排他的固相合成、部分的固相法、断片の縮合、従来の液相合成をはじめとする市販の自動化された方法により化学的に合成することができる。さらに、ペプチド生産の組換え法および合成法を組み合わせて半合性ペプチドを生産することもできる。本発明によるペプチドは、好ましくはMerrifield, 1963, J. Am. Chem. Soc. 85:2149; 1997に記載されているような固相ペプチド合成により製造される。ある実施形態では、αアミノ末端が保護されたアミノ酸を用いて合成を行う。易変側鎖を有する三官能性アミノ酸も、ペプチド構築の際に起こる望ましくない化学反応を避けるために好適な基で保護する。このαアミノ保護基は、アミノ末端で次の反応を起こすように選択的に除去する。αアミノ保護基を除去するための条件は、側鎖保護基を除去しないものとする。
これらのαアミノ保護基は、段階的ペプチド合成の分野で有用であることが知られているものである。これらのものとして、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、アセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、置換ベンジルオキシカルボニルおよび9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc))、脂肪族ウレタン保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)、およびアルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリフェニルメチル)が挙げられる。好ましい保護基はBocである。Tyrの側鎖保護基としては、テトラヒドロピラニル、tert-ブチル、トリチル、ベンジル、Cbz、4−Br−Cbzおよび2,6−ジクロロベンジルが挙げられる。Tyrの好ましい側鎖保護基は2,6−ジクロロベンジルである。Aspの側鎖保護基としては、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、メチル、エチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。Aspの好ましい側鎖保護基はシクロヘキシルである。ThrおよびSerの側鎖保護基としては、アセチル、ベンゾイル、トリチル、テトラヒドロピラニル、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、およびCbzが挙げられる。ThrおよびSerの好ましい保護基はベンジルである。Argの側鎖保護基としては、ニトロ、Tos、Cbz、アダマンチルオキシカルボニル、およびBocが挙げられる。Argの好ましい保護基はTosである。Lysの側鎖アミノ基はCbz、2−Cl−Cbz、Tos、またはBocで保護することができる。2−C1−Cbz基がLysの好ましい保護基である。選択した側鎖保護基は、カップリング中に完全に留まっていなければならず、アミノ末端保護基の脱保護中またはカップリング条件中に除去されてはならない。また、側鎖保護基は、最終的なペプチドを変化させない反応条件を用いて合成の終了時に除去できるものでなければならない。
固相合成は、通常、αアミノ保護した(側鎖保護した)アミノ酸を好適な固相支持体に結合することにより、カルボキシ末端から行う。クロロメチルまたはヒドロキシメチル樹脂に結合させた場合にはエステル結合が形成され、得られるペプチドはC末端にフリーのカルボキシル末端を持つことになる。あるいは、ベンズヒドリルアミンまたはp−メチルベンズヒドリルアミン樹脂を用いる場合には、アミド結合が形成され、得られるペプチドはC末端にカルボキシアミド基を持つことになる。これらの樹脂は市販されており、それらの製造方法は、Stewart et al., 1984, Solid Phase Peptide Synthesis (2nd Edition), Pierce Chemical Co., Rockford, ILに記載されている。
αアミノ基および必要に応じて側鎖を保護したC末端アミノ酸を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピル−カルボジイミドおよびカルボニルジイミダゾールをはじめとする種々の活性化剤を用いてベンズヒドリルアミン樹脂へ結合させる。樹脂支持体へ結合させた後、αアミノ保護基を、0℃〜25℃の間の温度で、ジオキサン中のトリフルオロ酢酸(TFA)またはHClを用いて除去する。メチオニン(Met)を導入して可能性のあるS−アルキル化を抑制した後、このTFAにジメチルスルフィドを加える。αアミノ保護基を除去した後、残りの保護されたアミノ酸を必要な順序で段階的にカップリングさせて目的の配列を得る。
カップリング反応には、DCC、N,N’−ジイソプロピル−カルボジイミド、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサ−フルオロホスフェート(BOP)およびDCC−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)をはじめとする種々の活性化剤を用いることができる。各保護アミノ酸は過剰量(>2.0当量)で用い、カップリングは通常、N−メチルピロリドン(NMP)中、またはDMF、CH2Cl2もしくはその混合物中で行う。カップリング反応の完了度は、各段階において、例えばKaiser et al., 1970, Anal. Biochem. 34:595に記載のニンヒドリン反応によってモニタリングする。完全なカップリングが見られたら、カップリング反応を繰り返す。このようなカップリング反応は、市販の装置を用いて自動で行うことができる。
目的のペプチドが完全に構築された後、そのペプチド樹脂を、液体HFなどの試薬を用いて0℃で1〜2時間切断するが、これによりペプチドが樹脂から切断され、総ての側鎖保護基が除去される。通常、液体HFとともにアニソールなどのスカベンジャーを用い、切断中に生じたカチオンがペプチド内に存在するアミノ酸残基をアルキル化しないようにする。所望により、切断前にこのペプチド−樹脂を5TFA/ジチオエタンで脱保護することができる。
固相支持体上での側鎖と側鎖の環化には、酸性アミノ酸(例えばAsp)と塩基性アミノ酸(例えばLys)の側鎖官能基の選択的切断を可能とする直交保護スキームを使用する必要がある。この目的で、Aspの側鎖のためには9−フルオレニルメチル(Fm)保護基を、そしてLysの側鎖のためには9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)保護基を用いることができる。これらの場合、Boc保護ペプチド−樹脂の側鎖保護基はDMF中のピペリジンで選択的に除去される。固相支持体上での環化は、DCC、DCC/HOBt、またはBOPをはじめとする種々の活性化剤を用いて行う。上記のように、環化したペプチド−樹脂上でHF反応を行う。
ポリペプチドおよびペプチドの精製のための方法は当技術分野で周知であり、限定されるものではないが、分取用ディスクゲル電気泳動、等電点電気泳動、HPLC、逆相HPLC、ゲル濾過、イオン交換および分配クロマトグラフィー、および向流分配が挙げられる。目的によっては、タンパク質が精製を助けるさらなる配列(例えばエピトープまたはタンパク質)タグを含むような組換え系でポリペプチドまたはペプチドを生産することが好ましい(上記参照)。
あるアプローチでは、ポリペプチドまたはペプチドのコード配列を、対象とする配列タグを有する融合物を作り出すベクターへクローニングすることができる。好適なベクターとしては、限定されるものではないが、pRSET(Invitrogen Corp., San Diego, CA)、pGEX(Amersham-Pharmacia Biotech, Inc., Piscataway, NJ)、pEGFP(CLONTECH Laboratories, Inc., Palo Alto, CA)、およびpMALTM(New England BioLabs (NEB), Inc., Beverly, MA)プラスミドが挙げられる。発現後、エピトープまたはタンパク質タグの付いたポリペプチドまたはペプチドを、適当な固相マトリックスでのクロマトグラフィーにより、翻訳系または宿主細胞の粗溶解液から精製することができる。場合によっては、精製後にエピトープまたはタンパク質タグを除去(すなわち、プロテアーゼ切断による)することが好ましい。他のアプローチとしては、タンパク質またはペプチドに対して作製した抗体を精製試薬として用いることができる。また、その他の精製法も利用可能である。
抗体
本発明の他の態様は、PSA−3アゴニストペプチド(例えば、配列番号3〜配列番号5)、このペプチドを含んでなるPSAポリペプチド、またはその断片もしくは変異体に対する抗体に関する。本発明により、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体が提供される。これらの抗体は、疾患に関連する免疫原性成分で免疫化することにより、動物宿主(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたはその他の非ヒト哺乳類)において誘導することができる。また、抗体は、免疫細胞のin vitroにおける免疫化(感作)によっても誘導することができる。抗体の生産を誘導するために用いられる免疫原性成分は、細胞から単離してもよいし、化学的に合成してもよい。また、抗体は、適当な抗体コードDNAを用いてプログラムされた組換え系においても生産することができる。あるいは、精製した重鎖および軽鎖の生化学的再構成によって抗体を構築してもよい。抗体には、ハイブリッド抗体、キメラ抗体、および一価抗体が含まれる。また、Fab1およびFab(ab)2フラグメントをはじめとする抗体のFabフラグメントも含まれる。
単離されたPSA−3アゴニストペプチド、このペプチドを含んでなるPSAポリペプチド、またはその断片もしくは変異体を免疫原として使用し、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体製造の標準的な技術を用いて抗体を作製することができる。全長PSAポリペプチドが使用でき、あるいはまた、本発明により、免疫原として用いるためのこれらポリペプチドの抗原ペプチド部分が提供される。本発明による抗原ペプチドは、そのペプチドに対して生じた抗体がそのペプチドまたはポリペプチドと特異的免疫複合体を形成するようにPSAポリペプチドのエピトープを包含するよう、十分な数の、アミノ酸配列またはその変異体の連続するアミノ酸残基を含む。典型的には、エピトープを規定するには少なくとも5個の連続するアミノ酸で十分である。ある実施形態では、PSA−3アゴニストエピトープは、少なくとも8個の連続するアミノ酸を含むことができる。
適当な免疫原性調製物としては、例えば、1)組換え生産されたPSA−3アゴニストペプチド、またはこれらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチド、2)化学的に合成されたPSA−3アゴニストペプチド、またはこれらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチド、または3)(1)〜(2)の断片もしくは変異体を含むことができる。この調製物は、フロイントの完全または不完全アジュバントなどのアジュバント、または同様の免疫刺激剤をさらに含むことができる。多くのアジュバントが知られており、当業者に用いられている。アジュバントの例としては、限定されるものではないが、フロイントの不完全アジュバント、ならびにリソレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルション、キーホールリンペット・ヘモシアニンおよびジニトロフェノールなどの界面活性物質が挙げられる。さらなるアジュバントの例としては、ステアリルチロシン(A. Nixon-George et al., 1990, J. Immunol. 144:4798-4802; Paoletti, et al., 1997, J. Infect. Diseases 175:1237-9; Moloney et al.に対する米国特許第4,258,029号; Jennings, et al.に対する米国特許第5,683,699号)、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP 11637,nor−MDPと呼ばれる)、およびN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミル−L−アラニン−2−(1’− 2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリル−オキシ)−エチルアミン(CGP 19835A,MTP−PEと呼ばれる)が挙げられる。ある特定のアジュバントは、リン酸緩衝生理食塩水中に5%(wt/vol)スクワレン、2.5%プルロニックL121ポリマーおよび0.2%ポリソルベートを含んでなる(Kwak et al., 1992, New Eng. J. Med. 327:1209-1215)。さらなるアジュバントの例は、本明細書において後述する。アジュバントの有効性は、免疫原性ペプチドに対する抗体の量を測定することにより求めることができる。
免疫原は、所望により、特に小さなペプチドを用いる場合には免疫原性を高めるために担体タンパク質と結合させることができる。ペプチドとの化学的結合に通常用いられる、一般に使用される担体としては、血清アルブミン、例えばウシ、ヒツジ、ヤギまたは魚血清アルブミン、チログロブリンおよびキーホールリンペット・ヘモシアニンが挙げられる。結合させた免疫原担体は、次に、レシピエント動物(例えば、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギまたはウサギ)を免疫化するために使用する。免疫化動物の抗体力価は、固定化したPSA−3アゴニストペプチド、またはこのペプチドを含んでなるPSAポリペプチドを用いた酵素結合免疫吸着検定(ELISA)によるものなど、標準的な技術によって経時的にモニタリングすることができる。所望により、抗体分子を哺乳類から(例えば血液から)単離し、さらにIgG画分を得るためのAタンパク質クロマトグラフィーなどの周知の技術によって精製することができる。
免疫化後の適当な時点、例えば抗体力価が最高になった時に、抗体産生細胞を動物被験体から得、ハイブリドーマ技術(Kohler and Milstein, 1975, Nature 256:495-497; Brown et al., 1981, J. Immunol. 127:539-46; Brown et al., 1980, J. Biol. Chem. 255:4980-83; Yeh et al., 1976, PNAS 76:2927-31;およびYeh et al., 1982, Int. J. Cancer 29:269-75参照)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al., 1983, Immunol. Today 4:72)、EBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al., 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)、またはトリオーマ技術などの標準的な技術により、モノクローナル抗体を作製するために用いることができる。ハイブリドーマを作出する技術は周知である(一般にR.H. Kenneth, 1980, Monoclonal Antibodies: A New Dimension In Biological Analyses, Plenum Publishing Corp., New York, NY; E.A. Lerner, 1981, Yale J. Biol. Med., 54:387-402; M.L. Gefter et al., 1977, Somatic Cell Genet. 3:231-36参照)。一般に不死細胞系(典型的にはミエローマ)を、上記のようにPSA−3アゴニスト免疫原(例えばペプチドまたはポリペプチド)で免疫化した哺乳類由来のリンパ球(典型的には脾細胞)と融合させ、得られたハイブリドーマ細胞の培養上清をスクリーニングして、PSA−3アゴニストペプチド、またはこのペプチドを含んでなるPSAポリペプチドと結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定する。
PSA−3アゴニストペプチドまたはこのペプチドを含んでなるSPAポリペプチドに対するモノクローナル抗体を作製する目的では、リンパ球と不死化細胞系を融合させるのに用いられる多くの公知の方法のうちのいずれを適用してもよい(例えば、G. Gafter et al., 1977, Nature 266:55052; Gefter et al., 1977; Lerner, 1981; Kenneth, 1980)。さらに、当業者ならば、このような方法の多くのバリエーションがあることが分かるであろう。典型的には、この不死細胞系(例えば、ミエローマ細胞系)は、リンパ球と同じ哺乳類種に由来する。例えば、マウスハイブリドーマは、本発明による免疫原性調製物で免疫化したマウス由来のリンパ球を不死化マウス細胞系と融合させることにより作製することができる。好ましい不死細胞系としては、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含有する培養培地(HAT培地)に感受性のあるマウスミエローマ細胞系がある。例えば、P3−NS1/1−Ago−1、P3−x63−Ag8.653、またはSp2/0−Ag1など、多くのミエローマ細胞系のうちのいずれを標準的な技術に従って融合相手として用いてもよい。これらのミエローマ系はATCC(American Type Culture Collection, Manassas, VA)から入手できる。典型的には、HAT感受性マウスミエローマ細胞は、ポリエチレングリコール(PEG)を用いてマウス脾細胞と融合させる。次に、融合から得られたハイブリドーマ細胞を、融合していない、または生産的に融合していないミエローマ細胞を死滅させる(融合していない脾細胞は形質転換されていないので、数日後に死滅する)HAT培地を用いて選択する。本発明によるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、例えば標準的なELISAアッセイを用いて、PSA−3アゴニストペプチドと結合する抗体に関してハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることによって検出する。
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを調製する代わりに、対応するPSA−3アゴニストペプチドを用いて組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレーライブラリー)をスクリーニングし、それによりこれらの分子と結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離することにより、モノクローナル抗体を同定および単離することもできる。ファージディスプレーライブラリーを作製およびスクリーニングするためのキットは市販されている(例えば、the Pharmacia Recombinant Phage Antibody System, Catalog No. 279400-01;およびthe Stratagene SurfZAPTM Phage Display Kit, Catalog No. 240612)。抗体ディスプレーライブラリーを作製およびスクリーニングする際に用いるのに特に適切な方法および試薬の例は、例えば、A. Blume 米国特許第6,010,861号、Ladner et al. 米国特許第5,223,409号; Kang et al. 国際公開番号WO92/18619; Dower et al. 国際公開番号WO91/17271; Winter et al. 国際公開番号WO92/20791; Markland et al. 国際公開番号WO92/15679; Breitling et al. 国際公開番号WO93/01288; McCafferty et al. 国際公開番号WO92/01047; Garrard et al. 国際公開番号WO92/09690; Ladner et al. 国際公開番号WO90/02809; Fuchs et al., 1991, BiolTechnology 9:1370-1372; Hay et al., 1992, Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85; Huse et al., 1989, Science 246:1275-1281; Griffiths et al., 1993, EMBO J 12:725-734; Hawkins et al., 1992, J. Mol. Biol. 226:889-896; Clarkson et al., 1991, Nature 352:624-628; Gram et al., 1992, PNAS 89:3576-3580; Garrad et al., 1991, Bio/Technology 9:1373-1377; Hoogenboom et al., 1991, Nuc. Acid Res. 19:4133-4137; Barbas et al., 1991, PNAS 88:7978-7982;およびMcCafferty et al., 1990, Nature 348:552-55に見出すことができる。
さらに、PSA−3アゴニストペプチドまたはこのペプチドを含んでなるPSAポリペプチドに対する組換え抗体は、標準的な組換えDNA技術を用いて作製することができる。例えば、ヒト部分と非ヒト部分の双方を含んでなるキメラおよびヒト化モノクローナル抗体を作製することができる。キメラおよびヒト化モノクローナル抗体を作製する方法の例は、例えば、Robinson et al. 国際出願番号PCT/US86/02269; Akira, et al. 欧州特許出願184,187; Taniguchi, M., 欧州特許出願171,496; Morrison et al. 欧州特許出願173,494; Neuberger et al. PCT国際公開番号WO86/01533; Cabilly et al. 米国特許第4,816,567号; Cabilly et al. 欧州特許出願125,023; Better et al., 1988, Science 240:1041-1043; Liu et al., 1987, PNAS 84:3439-3443; Liu et al., 1987, J. Immunol. 139:3521-3526; Sun et al., 1987, PNAS 84:214-218; Nishimura et al., 1987, Canc. Res. 47:999-1005; Wood et al., 1985, Nature 314:446-449;およびShaw et al., 1988, J. Natl. Cancer Inst. 80:1553-1559; S.L. Morrison, 1985, Science 229:1202-1207; Oi et al., 1986, BioTechniques 4:214; Winter 米国特許第5,225,539号; Jones et al., 1986, Nature 321:552-525; Verhoeyan et al., 1988, Science 239:1534;およびBcidler et al., 1988, J. Immunol. 141:4053-4060に記載されている。
PSA−3アゴニストペプチドまたはこのペプチドを含んでなるSPAポリペプチドに対する抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、アフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降などの標準的な技術により、対応する分子を単離するために使用できる。例えば、抗体は、組換え生産されたPSAポリペプチドまたはPSA−3アゴニストペプチドの宿主細胞からの精製に役立つ。さらに、PSA−3アゴニストペプチドと結合する抗体は、タンパク質発現のパターンまたはレベルを評価するために、対応するペプチドまたはこのペプチドを含んでなるSPAポリペプチドを(例えば、細胞溶解液または細胞上清において)検出するために使用できる。また、このような抗体は、例えば本明細書で詳細に記載されているような所定の治療計画の有効性を決定するための臨床試験法の一部として、組織内のPSAポリペプチドまたはPSA−3アゴニストペプチドレベルをモニタリングするための診断薬として使用することもできる。
薬物のスクリーニングおよびデザイン
本発明によれば、PSA−3アゴニストペプチド(例えば、配列番号3〜配列番号5)、これらのペプチドを含んでなるポリペプチド(例えば、配列番号25〜配列番号30)、またはその断片もしくは変異体を用いて、当技術分野で周知の方法に従い、競合的結合アッセイにおいて薬物をスクリーニングする方法が提供される。例えば、PSA−3アゴニストペプチドとHLA−A2分子を含んでなる複合体を用い、ペプチド−HLA複合体を妨害、増強、またはその他の様式で変更する試験薬剤をスクリーニングする競合的薬物スクリーニングアッセイを利用することができる。ペプチド−HLA複合体を妨害する薬剤は、PSA−3アゴニストペプチドの機能を模倣する類似体(すなわち、ミメティクス)として働き得る。ペプチド−HLA複合体の形成または安定性を増強する薬剤は、PSA−3アゴニストペプチドの免疫反応性を増強することができる。
試験薬剤は多くの化学種を包含し得るが、典型的には有機分子、例えば小分子である。好ましくは、試験薬剤の分子量は5000ダルトン未満であり、より好ましくは、試験薬剤の分子量は50ダルトンを超え、2,500ダルトン未満である。このような試験薬剤は、タンパク質との構造的相互作用に必要な官能基、特に水素結合を含んでもよく、典型的には少なくとも一つのアミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基、好ましくは少なくとも二つの官能化学基を含む。有用な試験薬剤は、上記の官能基の1以上で置換されている環状炭素もしくは複素環構造および/または芳香族もしくは多芳香族構造を含むことが多い。また、このような試験薬剤は、ペプチド、糖類、脂肪酸類、ステロイド類、プリン類、ピリミジン類、誘導体、構造類似体またはそれらの組合せをはじめとする生体分子をも含むことができる。
試験薬剤としては、例えば、1)Igテールを有する融合ペプチドをはじめとする可溶性ペプチド、ならびにランダムペプチドライブラリー(例えば、Lam et al., 1991, Nature 354:82-84; Houghten et al., 1991, Nature 354:84-86参照)およびD−および/またはL−配置アミノ酸からなるコンビナトリアル化学からの分子5ライブラリーのメンバーなどのペプチド、2)ホスホペプチド(例えば、ランダムおよび部分的縮重、指定ホスホペプチドライブラリーのメンバー、例えば、Songyang et al, 1993, Cell 72:767-778参照)、3)抗体(例えば、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、抗イディオタイプ、キメラ、および一本鎖抗体、ならびに抗体のFab、F(ab’)2、Fab発現ライブラリーフラグメント、およびエピトープ結合フラグメント)、および4)有機および無機小分子が挙げられる。
試験薬剤は、合成化合物または天然化合物のライブラリーをはじめとする多様なソースから得ることができる。合成化合物ライブラリーは、例えば、Maybridge Chemical Co. (Trevillet, Cornwall, UK), Comgenex (Princeton, NJ), Brandon Associates (Merrimack, NH)、およびMicrosource (New Milford, CT)から市販されている。希少な化学ライブラリーがAldrich Chemical Company, Inc.(Milwaukee, WI)から市販されている。 細菌、真菌、植物または動物抽出物を含む天然化合物ライブラリーは、例えば、Pan Laboratories (Bothell, WA)から市販されている。さらに、ランダムオリゴヌクレオチドの発現をはじめ、多様な有機化合物および生体分子のランダムおよび指定合成のために、多くの手段が利用可能である。
あるいは、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態の天然化合物ライブラリーは、容易に作製することができる。分子ライブラリーの合成方法も容易に利用可能である(例えば、DeWitt et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6909; Erb et al., 1994, Proc. Natl.Acad. Sci. USA 91:11422; Zuckermann et al., 1994, J. Med. Chem. 37:2678; Cho et al., 1993, Science 261:1303; Carell et al., 1994, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carell et al., 1994, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061;およびGallop et al., 1994, J. Med.Chem. 37:1233参照)。さらに、天然化合物または合成化合物ライブラリーおよび化合物は、通常の化学的、物理的および生化学的手段によって容易に修飾することができ(例えば、Blondelle et al., 1996, Trends in Biotech. 14:60参照)、コンビナトリアルライブラリーを作製するために用いることができる。他のアプローチでは、従前に同定されている薬理作用剤にアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化などの指定またはランダム化学修飾を施すことができ、これらの類似体を、PSA−3アゴニストペプチドに対する免疫反応性のさらなる増強に関してスクリーニングすることができる。
コンビナトリアルライブラリーを作製するための多くの方法が当技術分野で知られており、例えば、生物学的ライブラリーを含むもの、空間的にアドレス可能なパラレル固相または液相ライブラリー、デコンヴォルーションを要する合成ライブラリー法、「1ビーズ1化合物」ライブラリー法、およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法等が挙げられる。生物学的ライブラリーのアプローチはポリペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチは、化合物のポリペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは小分子ライブラリーに適用可能である(K. S. Lam,1997, Anticancer Drug Des. 12:145)。
小分子、小分子ライブラリー、コンビナトリアルライブラリーの非限定的な例、およびスクリーニング方法は、B. Seligmann, 1995,"Synthesis, Screening, Identification of Positive Compounds and Optimization of Leads from Combinatorial Libraries: Validation of Success" p. 69-70. Symposium: Exploiting Molecular Diversity: Small Molecule Libraries for Drug Discovery, Jolla, CA, Jan. 23-25, 1995 (Wendy Warr & Associates, 6 Berwick Court, Cheshire, UK CW4 7HZから入手できる会議要旨); E. Martin et al., 1995, J. Med. Chem. 38:1431-1436; E. Martin et al., 1995, "Measuring diversity: Experimental design of combinatorial libraries for drug discovery" Abstract, ACS Meeting, Anaheim, CA, COMP 32;およびE. Martin, 1995,"Measuring Chemical Diversity: Random Screening or Rationale Library Design" p.27-30, Symposium: Exploiting Molecular Diversity: Small Molecule Libraries for Drug Discovery, La Jolla, Calif. Jan. 23-25, 1995(Wendy Warr & Associates, 6 Berwick Court, Cheshire, UK CW4 7HZから入手できる会議要旨)に記載されている。
ライブラリーのスクリーニングは、溶液中(例えば、Houghten, 1992, Biotechniques 13:412-421)、またはビーズ上(Lam, 1991, Nature 354:82-84)、チップ上(Fodor, 1993, Nature 364:555-556)、細菌もしくは胞子上(Ladner 米国特許第5,223,409号)、プラスミド上(Cull et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1865-1869)、もしくはファージ上(Scott and Smith, 1990, Science 249:386-390; Devlin, 1990, Science 249:404-406; Cwirla et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:6378-6382; Felici, 1991, J. Mol. Biol. 222:301-310; Ladner,上記)で行うことができる。
スクリーニングアッセイが結合アッセイである場合、PSA−3アゴニストペプチド、このペプチドを含んでなるPSAポリペプチド、またはその変異体もしくは断片をラベルに連結してもよく、ここで、このラベルは直接的または間接的に検出可能なシグナルを提供するものである。種々のラベルとして、放射性同位元素、蛍光剤、化学発光剤、酵素、特異的結合分子、粒子(例えば、磁気粒子)などが挙げられる。特異的結合分子としては、ビオチンとストレプトアビジン、ジゴキシンと抗ジゴキシンなどの対が挙げられる。特異的結合メンバーに関しては、通常、相補的メンバーを、公知の手順に従って、検出可能な分子で標識する。
他の種々の試薬をスクリーニングアッセイに含めてもよい。これらのものとしては、塩、中性タンパク質(例えばアルブミン)、界面活性剤など、最適なタンパク質−タンパク質結合を促進する、かつ/または非特異的もしくはバックグラウンド相互作用を軽減するために用いられる試薬が含まれる。プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗微生物剤などのような、アッセイの効率を向上させる試薬を用いてもよい。これらの成分は、必要な結合をもたらすいずれの順序で加えてもよい。インキュベーションは最適な活性を促進するいずれの温度で行ってもよく、典型的には4〜40℃の間で行われる。インキュベーション時間は最適な活性化が得られるように選択されるが、ラピッド・ハイスループットスクリーニングを促進するために最適化してもよい。通常、0.1〜1時間の間で十分である。一般に、複数のアッセイ混合物を異なる薬剤濃度で並行して実施し、これらの濃度に対する示差的応答を得る。典型的には、これらの濃度のうちの一つを陰性対照とし、すなわち、濃度0とするか、または検出レベル未満とする。
細胞フリーリガンドスクリーニングアッセイを行うためには、PSA−3アゴニストペプチド、このペプチドを含んでなるPSAポリペプチド、またはその断片もしくは変異体を、これらの分子と結合する試験薬剤の同定を助けるとともにアッセイの自動化に適応させるために、表面に固定化するのが望ましい場合がある。例えば、PSA−3アゴニストペプチドとアフィニティータグを含んでなる融合タンパク質を作製することができる。ある実施形態では、PSA−3アゴニストペプチドとFLAGSタグを含んでなる融合タンパク質を、抗FLAG(登録商標)タグを結合させたビーズまたはマイクロタイタープレートに吸着させる。標識(例えば放射性標識)した試験薬剤を、複合体を形成し得る条件下(例えば、塩およびpHに関して生理学的条件下)でコーティングビーズに加える。インキュベーション後、コーティングビーズを洗浄して結合していない試験薬剤を除去し、固定化された放射性標識の量を測定する。あるいは、この複合体を解離させて、上清中に存在する放射性標識を測定する。別のアプローチでは、ビーズをSIDS−PAGEにより分析して、結合した薬剤を同定する。
さらに、本発明によれば、PSA−3アゴニストペプチド、これらのペプチドを含んでなるポリペプチド、これらのペプチドと結合する抗体、またはその一部もしくは機能的同等物を用いた合理的な薬剤デザインの方法が提供される。合理的薬剤デザインの目的は、対象とする生物学的に活性なポリペプチドまたはそれが相互作用する小分子の構造類似体、例えばミメティクス、を作製することである。次に、これらの類似体を用いて、例えばPSA−3アゴニストペプチドのより活性な、またはより安定な形態である薬剤、あるいはin vivoでこのペプチドに対する免疫反応性を増強する薬剤を形作ることができる(例えば、Hodgson, 1991, Bio/Technology 9:19-21参照)。合理的薬剤デザインの例としては、HIVプロテアーゼ阻害剤の開発がある(Erickson et al., 1990, Science, 249:527-533)。
一つのアプローチでは、PSA−3アゴニストペプチドまたはこのペプチドを含んでなるポリペプチドの三次元構造は、X線結晶学、コンピューターモデリングまたはその組合せによって決定される。ペプチドまたはポリペプチドの構造に関する有用な情報は、相同タンパク質の構造に基づくコンピューターモデリングによって得ることもできる。さらに、PSA−3アゴニストペプチド、これらのペプチドを含んでなるポリペプチド、またはその断片は、アラニンスキャンによって分析することができる(Wells, 1991, Methods in Enzymol., 202:390-4.11)。この技術では、ポリペプチドまたはペプチドの各アミノ酸残基がアラニンで置換され、ポリペプチドの活性に対するその作用が決定される。
別のアプローチでは、PSA−3アゴニストペプチドに特異的な抗体を単離し、機能アッセイにより選択し、その後、その結晶構造を解明するために解析することができる。原則として、このアプローチによれば、次に行う薬物デザインの基礎とすることのできるファルマコアを得ることができる。あるいは、機能的、薬理学的に活性な抗体に対する抗イディオタイプ抗体(anti−id)を作製することにより、タンパク質結晶学を完全に迂回することもできる。鏡像の鏡像として、anti−idの結合部位は対応するPSA−3アゴニストペプチドの類似体であると推定される。次に、このanti−idを用いて、化学的または生物学的に作製されたペプチドのバンクからペプチドを同定および単離することができる。選択されたペプチドは、次に、ファルマコアとして用いることができる。
限定されるものではないが、薬物デザインのための方法およびコンピューターツールの例は、R. Cramer et al., 1974, J. Med. Chem. 17:533; H.Kubinyi (ed) 1993, 3D QSAR in Drug Design, Theory, Methods, and Applications, ESCOM, Leiden, Holland; P. Dean (ed) 1995, Molecular Similarity in Drug Design, K. Kim "Comparative molecular field analysis (ComFA)" p. 291-324, Chapman & Hill, London, UK; Y. et al., 1993, J. Comp.-Aid. Mol. Des. 7:83102; G. Lauri and P.A. Bartlett, 1994, J. Comp.-Aid. Mol. Des. 8:51-66; P.J. Gane and P.M. Dean, 2000, Curr. Opin. Struct. Biol. 10(4):401-4; H.O. Kim and M. Kahn, 2000, Comb. Chem. High Throughput Screen. 3(3):167-83; G.K. Farber, 1999, Pharmacol Ther. 84(3):327-32;および H. van de Waterbeemd (Ed.) 1996, Structure-Property Correlations in Drug Research, Academic Press, San Diego, CA.に記載されている。
本発明の他の態様では、PSA3アゴニストペプチド、これらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチド、またはその断片もしくは変異体を有する細胞および動物を、治療化合物としての可能性を有する薬剤に関して研究および試験するためのモデル系として用いることができる。試験薬剤を動物に投与するか、細胞に適用した後に、動物/細胞の表現型を決定することができる。例えば、細胞傷害性T細胞は、細胞傷害性T細胞応答を生み出すPSA−3アゴニストペプチドの能力を増強する化合物をスクリーニングするために使用できる。細胞傷害性T細胞は、例えば、マイクロタイタープレートで選択されたエピトープとともにインキュベートする。次に、試験する薬剤、例えば薬物をウェルに加え、T細胞の増殖を測定する。T細胞の増幅は、その試験薬剤がT細胞応答を増強することを示す。次に、T細胞応答を増強する試験薬剤についてさらなる評価を行う。
これらの方法によれば、例えば、PSAに対する免疫反応性の増強をもたらす薬物をデザインすることができる。PSA−3アゴニストペプチドをコードするヌクレオチド配列を利用できることにより、X線結晶学などの解析研究を行うために十分な量のこれらペプチドまたはこれらのペプチドを含んでなるポリペプチドを作製することができる。さらに、PSA−3アゴニストペプチド配列の知見は、X線結晶学の代わりに、あるいはそれに加えて、コンピューターモデリング技術の使用が可能となる。
抗体に基づく診断
本発明のある実施形態では、PSA−3アゴニストペプチド(例えば、配列番号3〜配列番号5)、このペプチドを含んでなるSPAポリペプチド(例えば、配列番号25〜配列番号30)、またはその変異体もしくは断片と特異的に結合する抗体をアッセイに用いて、本明細書に記載のベクター、細胞またはペプチドに基づく治療薬で処置されている被験体をモニタリングすることができる。この診断目的に有用な抗体は、上述のものと同じように作製することができる。抗体は、全長PSA−3アゴニストペプチドに対して作製しても、またはこのペプチドを含んでなるSPAポリペプチドに対して作製してもよい。あるいは、抗体は、このペプチドまたはポリペプチドの一部または変異体に対して作製してもよい。
PSA−3アゴニストペプチドまたはこれらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチドに関する診断アッセイは、生物学的サンプル(例えばヒト体液、細胞、組織、または細胞もしくは組織の抽出物)においてペプチドまたはポリペプチドを検出するために、抗体および標識を利用する方法を含む。これらの抗体は、修飾しても、修飾しなくてもよく、リポーター分子と共有結合的または非共有結合的に結合させることにより標識してもよい。当技術分野で公知の多様なリポーター分子を使用することができ、そのいくつかを本明細書に記載している。
多くの免疫アッセイ形式が当技術分野で公知であり、用いる特定の形式はアッセイの目的によって決定される。免疫アッセイでは、例えば、単一の疾病関連エピトープに対するモノクローナル抗体、単一の疾病関連抗原成分の異なるエピトープに対するモノクローナル抗体、異なる疾病関連抗原のエピトープに対するモノクローナル抗体、同じ疾病関連抗原に対するポリクローナル抗体、または異なる疾病関連抗原に対するポリクローナル抗体を使用することができる。また、プロトコールは、例えば、固相支持体を使用できるか、あるいは免疫沈降を含み得る。典型的には、免疫アッセイでは、標識抗体と標識抗原成分(すなわち、抗体との結合に関してサンプル中の抗原と競合させるため)のいずれかを用いる。標識の例は上記の節に記載されている。
本発明によれば、「競合」(米国特許第3,654,090号明細書および同第3,850,752号明細書)、「サンドイッチ」(米国特許第4,016,043号明細書)、および「二重抗体」または「DASP」アッセイを用い得る。当技術分野では、サンプル中のPSA−3アゴニストペプチド、またはこのペプチドを含んでなるSPAポリペプチドの量を測定するいくつかの方法(例えば、ELISA、RIA、およびFACS)が知られており、診断の基礎となる。ポリペプチドまたはポリペプチド複合体の陰性対照値は、処置前被験体、好ましくはヒトから採取した生物学的サンプルを会合に好適な条件下でポリペプチドまたはペプチドに対する抗体とともにインキュベートすることによって確立する。抗体−抗原の会合量は種々の方法により定量できるが、光度測定手段が好ましい。処置後サンプル中、および処置前(陰性対照)サンプル中のポリペプチドまたはペプチドのレベルを比較する。処置前と処置後の値の差により、処置プロトコール中のレベルをモニタリングするためのパラメーターが確立される。
抗体に基づく診断用途に好適なキットは、典型的には次の成分の1以上を含む:
(1)抗体:抗体は予め標識されていてもよい。あるいは、抗体を標識せずに、標識用の成分を別の容器でキットに含めてもよく、または二次標識抗体が提供される。抗体はモノクローナルであってもポリクローナルであってもよく、PSA−3アゴニストペプチド、またはこれらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチド、またはその変異体もしくは断片に対するものとすることができる;
(2)反応成分:キットはまた、他の適宜パッケージングされた試薬、および、適用可能であれば、固相マトリックスおよび標品をはじめとする、特定の免疫アッセイプロトコールに必要な材料を含んでもよい。
上述のキットは、試験を実施するための使用説明書を含んでもよい。さらにまた、好ましい実施形態では、診断キットは、ハイスループットおよび/または自動操作に適合可能なものとされる。
核酸に基づく診断薬
本発明の他の実施形態では、PSA−3アゴニスト核酸(例えば、配列番号20〜配列番号22)、またはその変異体もしくは断片は、本明細書に記載のベクターまたは細胞に基づく治療薬で処置される被験体をモニタリングするためのアッセイで用いることができる。よって、本発明によれば、生物学的サンプル(例えば、ヒト体液、細胞、組織、または細胞もしくは組織の抽出物)などのサンプル中のPSA−3アゴニスト核酸のレベルまたは配列を検出する方法が提供される。例えば、PSA−3アゴニストポリヌクレオチド配列の存在は、開示されたポリヌクレオチドまたはそれと相補的な配列の少なくとも一部を含んでなるプローブまたはプライマーを用いた、DNA−DNAもしくはDNA−RNAハイブリダイゼーションまたは増幅により検出することができる。
特定の態様では、PSA−3アゴニストオリゴヌクレオチドまたはオリゴマー、すなわちプライマーは、PSA−3アゴニストDNAまたはRNAを含む細胞またはその他の生物学的サンプルを検出するため、核酸増幅に基づくアッセイ(例えば、PCRアッセイ)において用いることができる。あるいは、PSAオリゴマー(すなわち、プローブ)は、PSA−3アゴニストDNAまたはRNAを含む細胞またはその他の生物学的サンプルを検出するため、核酸ハイブリダイゼーションに基づくアッセイ(例えば、サザンブロット、ドットブロットまたはスロットブロット)において用いることができる。好ましくは、診断法におけるプローブまたはプライマーとして有用な核酸としては、PSA−3アゴニスト核酸と特異的にハイブリダイズする少なくとも15の連続するヌクレオチド長、好ましくは少なくとも18、21、24、または30の連続するヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドが挙げられる。
PSA−3アゴニストポリヌクレオチドに対して特異的なプローブを作製するためには、いくつかの方法が使用できる。例えば、オリゴ標識、ニックトランスレーション、末端標識、または標識ヌクレオチドを用いたPCR増幅により、標識プローブを作製することができる。あるいは、PSA−3アゴニストポリヌクレオチド配列、またはその一部もしくは断片を、mRNAプローブの生産のためのベクターへクローニングしてもよい。このようなベクターは当技術分野で公知であり、市販されており、T7、T3、またはSP(6)などの適当なRNAポリメラーゼと標識ヌクレオチドとを加えることにより、in vitroでRNAプローブを合成するために使用することができる。これらの手順は、種々の市販のキット(例えば、Amersham-Pharmacia; Promega Corp.;および U.S. Biochemical Corp., Cleveland, OH製)を用いて行うことができる。使用可能な好適なレポーター分子または標識としては、放射性ヌクレオチド(例えば、32P、3H、および35S)、酵素、蛍光剤(例えば、ローダミン、フルオレセイン、およびCyTM3、CyTM5)、化学発光剤、または発色剤、ならびに基質、補因子、阻害剤、磁気粒子などのようなその他の標識(例えば、DNP、ジゴキシゲニンおよびビオチン)が挙げられる。
例えば組織サンプル(例えば、毛髪または頬内)または体液サンプル(例えば、血液、唾液または尿)などの分析サンプルは、核酸プローブと直接接触させればよい。あるいは、サンプルを処理してそこに含まれる核酸を抽出してもよい。DNAを抽出するのに用いる特定の方法は、生物学的サンプルの性質によって異なるとことが分かるであろう。サンプルから得られた核酸にゲル濾過またはその他のサイズ分画技術を適用してもよく、あるいは、核酸サンプルを、サイズ分画せずに、適当な固相マトリックスに固定化してもよい。
本発明によれば、診断アッセイは、治療処置または治療介入中のPSA−3アゴニストポリヌクレオチドレベルをモニタリングするために用いることができる。例えば、PSA−3アゴニストポリヌクレオチド配列、またはその断片もしくは相補配列は、例えばPSA−3アゴニスト発現レベルの状態を検出するために、患者生検由来の体液または組織を用いるサザンまたはノーザン解析、ドットブロットまたはその他の膜に基づく技術;PCR技術;またはディップスティック、ピン、ELISAまたはバイオチップアッセイにおいて使用できる。このような定性・定量法は当技術分野で周知である(G.H. Keller and M.M. Manak, 1993, DNA pROBES, 2nd Ed, Macmillan Publishers Ltd., England; D.W. Dieffenbach and G.S. Dveksler, 1995, PCR Primer. A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Plainview, NY; B.D. Hames and S.J. Higgins, 1985, Gene Probes 1, 2, IRL Press at Oxford University Press, Oxford, England)。
PSA−3アゴニスト核酸の発現を定量するのに好適な方法には、ヌクレオチドの放射性標識化またはビオチニル化、対照核酸の同時増幅、および実験結果を推定する標準曲線が含まれる(P.C. Melby et al., 1993, J. Immunol. Methods 159:235-244;およびC. Duplaa et al., 1993, Anal. Biochem. 212(1):229-36)。複数のサンプルを定量する速さは、ELISA形式(対象オリゴマーを種々の希釈率で提供し、分光光度測定または比色定量的応答により迅速な定量が得られる)でのアッセイを行うことにより加速化することができる。確立されている方法によれば、マイクロアレイ形式(すなわち、DNAチップまたはバイオチップ)を用いることができる(例えば、D.A. Rew DA, 2001, Eur. J. Surg. Oncol. 27(5):5048; P.J. Planet et al., 2001, Genome Res. 11(7):1149-55; J. Quackenbush, 2001, Nat. Rev. Genet. 2(6):418-27; O.P. Kallioniemi et al., 2001, Hum. Mol. Genet. 10(7):657-62;P. Lal et al.に対する米国特許第6,015,702号明細書; M. Schena (Ed.), 2000, Microarray Biochip Technology, Eaton Publishing参照)。
核酸に基づく診断用途に好適なキットは、典型的には次の成分を含む:
(1)プローブDNA:プローブDNAは予め標識されていてもよい。あるいは、プローブDNAを標識せずに、標識用の成分を別の容器でキットに含めてもよい。プローブは、PSA−3アゴニスト核酸、またはPSA−3アゴニスト核酸を含んでなるより長いPSA核酸とハイブリダイズし得るものである;
(2)ハイブリダイゼーション試薬:キットはまた、他の適宜パッケージングされた試薬、ならびに、適用可能であれば固相マトリックス、および標品をはじめとする、特定のハイブリダイゼーションプロトコールに必要な材料を含んでもよい。
ベクターおよび細胞に基づく治療法
本発明のある実施形態では、1以上のPSA−3アゴニストペプチド(例えば、配列番号3〜配列番号5)、またはこれらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチド(例えば、配列番号25〜配列番号30)、またはその断片もしくは変異体を、ベクター(例えば、プラスミドまたはウイルスベクター)を介して宿主に投与する。好ましい宿主はヒトである。PSAに対する特異的免疫応答は、上記のように構築された組換えポックスウイルス約105〜109pfuの間、より好ましくは107pfuを宿主に投与することにより生起することができる。その後の少なくとも一期間で、好ましくは1〜3ヶ月後に、宿主に追加の抗原投与を行うことにより免疫応答をブーストする。より好ましくは、少なくとも2回目の「ブースト」を、好ましくは最初のブーストの1〜3ヶ月後に行う。
所望により1以上のサイトカイン(例えば、IL−2、IL−6、IL−12、RANTES、GM−CSF、TNF−α、またはIFN−γ)、増殖因子(例えば、GM−CSFまたはG−CSF)、または同時刺激分子(例えば、ICAM−1、LFA−3、CD72、B7−1、B7−2、またはその他のB7関連分子);またはOX−40Lもしくは41BBL;またはそれらの組合せを生物学的アジュバントとして使用してもよく(例えば、M.L. Salgaller et al., 1998, J. Surg. Oncol. 68(2):122-38; M.T. Lotze et al., 2000, Cancer J. Sci. Am. 6(Suppl 1): S61-6; L. Cao et al., 1998, Stem Cells 16(Suppl 1): 251-60; M. Kuiper et al., 2000, Adv. Exp. Med. Biol. 465:381-90参照)、宿主に全身投与してもよいし、あるいはベクター、例えば組換えポックスベクター中へこれらの分子をコードする遺伝子を挿入することにより同時に投与してもよい(例えば、Schlom et al.に対する米国特許第6,045,802号参照)。種々の実施形態では、これらの遺伝子はPSA−3アゴニストコード配列と同じベクターへクローニングしてもよく、あるいは同時投与用の1以上の個別のベクターへクローニングしてもよい。さらに、カルメット−ゲラン結核菌(BacillusCalmette-Guerin (BCG))およびレバミソールなどの非特異的免疫調節因子を同時投与することもできる。
場合によっては、被験体内で免疫応答をさらに増強するために、アジュバントを投与することが望ましいことがある。いくつかのアジュバントが公知であり、当業者に用いられている。ヒトへの使用に好適なアジュバントの例としては、限定されるものではないが、ミョウバン、アルミニウム塩、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、モンタニド(Montanide)(例えば、ISA50、ISA51、ISA80、ISA206、ISA720、ISA740)、およびリン酸カルシウム(例えば、ナノ粒子;BioSante Phannaceuticals, Inc., Lincolnshire, IL)が挙げられる。好ましいアジュバントは、RIBIアジュバント(例えば、Detox(登録商標), Corixa Corp., Seattle WA)である。Detox(登録商標)は、2%スクアラン/Tween80エマルション中に、細菌から抽出された3種類の成分、モノホスホリル脂質A、トレハロースジミコレートおよび細胞壁骨格(TDM+CWS+MPL(登録商標); Corixa Corp.)を含有する。他の好ましいアジュバントとしては、BCG、ISCOM(登録商標)およびISCOMATRIX(登録商標)(CSL Limited, Parkville, Australia)および水酸化アルミニウムアジュバント(Superphos, Biosector)が挙げられる。
組換えベクターは、例えば乱刺法および注射、例えば、皮内、皮下、筋肉内、静脈内または腹腔内投与をはじめとするいずれかの許容される経路を用いて投与することができる。非経口投与のためには、組換えベクターを、典型的には、生理食塩水などの医薬上許容される担体とともに、無菌の水性または非水性溶液、懸濁液またはエマルションにて注射する。
本発明の他の実施形態では、PSA−3アゴニストペプチドを宿主細胞(例えば、CTL)を介して宿主に投与する。あるいは、本発明によるPSA−3アゴニストペプチドまたは組成物を、樹状細胞またはB細胞などの抗原提示細胞とともに同時投与することができる。PSA−3アゴニストペプチドに特異的な細胞傷害性T細胞は、上述のように免疫化した宿主から得られた末梢血単核細胞(PBMC)から確立することができる。細胞傷害性T細胞は、培養してその数を増幅することができ、次に種々の手段によって宿主へ注射して戻すことができる。一般に、点滴5回当たり1×105〜2×1011個の間の細胞傷害性T細胞を、例えば30〜60分かけて各200〜250mlずつ3回点滴して投与する。点滴が完了した後、患者を用量720,000IU/体重キログラムの組換えインターロイキン−2を8時間毎に静脈内投与して処置すればよく、一部用量は患者の薬物許容量に応じて省くことができる。さらに、点滴後、T細胞誘発エピトープを含むさらなる抗原または断片を患者に投与して、T細胞の数をさらに拡大してもよい。抗原またはエピトープは、アジュバントとともに調剤してもよく、かつ/またはリボソーム製剤としてもよい。また、細胞傷害性T細胞は、1以上のPSA−3アゴニストペプチド、これらのペプチドを含んでなるポリペプチド、および/またはTNF−αをコードするDNAを含むウイルスベクターを導入することにより改変することができる。これらの改変細胞は、細胞の抗腫瘍活性を高めるために宿主に再導入することができる。本明細書に詳細に記載されるように、その他のサイトカインまたはモジュレーターを使用することもできる。
ペプチドに基づく治療法
本発明は、1以上のPSA−3アゴニストペプチド(例えば、配列番号3〜配列番号5)、またはこれらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチド(例えば、配列番号25〜配列番号30)、またはその断片もしくは変異体と、生理学上許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含んでなる組成物に関する。さらに、本発明は、本発明による治療方法を実施する上で有用な医薬組成物に関する。好ましくは、医薬組成物は、医薬上許容される賦形剤(担体)と、有効成分として本明細書に記載のような1以上のPSA−3アゴニストペプチド、これらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチド、または断片もしくは変異体とを混合して含む。
有効成分としてポリペプチドまたはペプチドを含む医薬組成物の製造方法は、当技術分野で十分に理解されている。典型的には、このような組成物は、溶液または懸濁液のいずれかの注射可能なものとして調製されるが、注射前に液体中の溶液または懸濁液とするのに好適な固形物を調製してもよい。また、この製剤は乳化させることもできる。有効治療成分は、多くの場合、医薬上許容され、かつ、有効成分に適合する賦形剤と混合される。好適な賦形剤としては、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどが挙げられ、さらにはそれらの組合せが挙げられる。さらに、所望により、有効成分の有効性を高める湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤など、微量の補助物質を含んでもよい。
PSA−3アゴニストペプチドまたはこれらのペプチドを含んでなるPSAポリペプチドは、中和された生理学上許容される塩の形態として医薬組成物に配合することができる。好適な塩としては酸付加塩(すなわち、ポリペプチドまたは抗体分子の遊離アミノ基により形成される)があり、これらは、例えば、塩酸またはリン酸などの無機酸、あるいは酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸とともに形成される。また、遊離カルボキシル基から形成される塩も、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムまたは水酸化鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トルメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することができる。
医薬組成物は、中性または塩の形態として製造され得る。塩は、限定されるものではないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸およびコハク酸をはじめとする多くの酸とともに形成し得る。組成物は、液剤、懸濁剤、坐剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性剤または散剤の形態をとり得る。このような製剤は、有効成分10%〜95%(w/w)、好ましくは25%〜70%(w/w)を含み得る。また、医薬製剤および組成物は、1以上の生理学上許容される担体、賦形剤、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、可塑剤、増量剤、着色剤、投与ビヒクル、吸収促進剤、安定剤、または殺菌剤を含み得る。このような組成物および製剤の製造および調剤は当技術分野で公知であり、実用化されている方法によって行う。
医薬組成物を調製した後は、それらを適当な容器に入れ、適応症の処置に関するラベルを付ければよい。このようなラベルは、量、頻度、および投与方法を含み得る。製剤は、経口または非経口経路により全身投与することができる。限定されるものではないが、非経口投与経路としては、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、経皮、吸入、鼻腔内、動脈内、腸内、舌下または直腸が挙げられる。静脈内投与は、例えば、単位用量を注射することによって実施できる。「単位用量」とは、本発明による医薬組成物に関して用いる場合、ヒトへの単回投与として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の治療作用を得るために計算された所定量の有効物質を、必要とされる希釈剤、すなわち担体またはビヒクルとともに含有する。
医薬組成物は、その投与製剤に適合する様式および治療上有効な量で投与する。投与量は、処置する被験体、被験体の免疫系の有効成分利用能、および所望の免疫刺激度によって異なる。投与する必要がある有効成分の厳密な量は、医師の判断に委ねられ、各個体に対して特異的なものである。しかし、好適な用量は、投与経路にもよるが、1日あたり、個体の体重1kgあたり、有効成分約0.1mg〜20mg、好ましくは約0.5mg〜約10mg、より好ましくは1mg〜数mgの範囲であり得る。初回投与に好適な用量計画と追加投与も異なるが、典型的には、初回投与の後、次の注射またはその他の投与まで1時間以上おいて反復投与する。あるいは、10nM〜10μMの血中濃度を維持するのに十分な静脈内点滴も考えられる。
医薬製剤の例としては、PSA−3アゴニストペプチド(5.0mg/ml);重亜硫酸ナトリウムUSP(3.2mg/ml);エデト酸二ナトリウムUSP(0.1mg/ml);および注射用水q.s.a.d.(1.0ml)を含んでなる。医薬製剤を調製するさらなる指針は、例えば、Gilman et al. (eds), 1990, Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th ed., Pergamon Press;およびRemingtoh's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., 1990, Mack Publishing Co., Easton, PA; Avis et al.(eds), 1993, Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, Dekker, New York; Lieberman et al. (eds), 1990, Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems, Dekker, New Yorkに見出すことができる。
場合によっては、被験体内で免疫応答をさらに増強するために、アジュバントを投与することが望ましいことがある。いくつかのアジュバントが公知であり、当業者に用いられている。ヒトへの使用に好適なアジュバントの例としては、限定されるものではないが、ミョウバン、アルミニウム塩、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、モンタニドISA720、およびリン酸カルシウム(例えば、ナノ粒子;BioSante Phannaceuticals, Inc., Lincolnshire, IL)が挙げられる。好ましいアジュバントは、2%スクアラン/Tween80エマルション中に、細菌から抽出された3種類の成分、モノホスホリル脂質A、トレハロースジミコレートおよび細胞壁骨格(TDM+CWS+MPL(登録商標); Corixa Corp.)を含有するRIBIアジュバント(例えば、Detox(登録商標), Corixa Corp., Seattle WA)である。他の好ましいアジュバントとしては、BCG、ISCOM(登録商標)およびISCOMATRIX(登録商標)(CSL Limited, Parkville, Australia)および水酸化アルミニウムアジュバント(Superphos, Biosector)が挙げられる。
種々の実施形態では、1以上のサイトカイン(例えば、IL−2、IL−6、IL−12、RANTES、GM−CSF、TNF−α、またはIFN−γ)、増殖因子(例えば、GM−CSFまたはG−CSF)、または同時刺激分子(例えば、ICAM−1、LFA−3、CD72、B7−1、1372、またはその他のB7関連分子);またはOX−40Lもしくは41BBL;またはそれらの組合せを生物学的アジュバントとして使用してもよく(例えば、M.L. Salgaller et al., 1998, J. Surg. Oncol. 68(2):122-38; M.T. Lotze et al., 2000, Cancer J. Sci. Am. 6(Suppl 1): S61-6; L. Cao et al., 1998, Stem Cells 16(Suppl 1): 251-60; M. Kuiper et al., 2000, Adv. Exp. Med. Biol. 465:381-90参照)、宿主に全身投与してもよいし、あるいはベクター、例えば組換えポックスベクター中へこれらの分子をコードする遺伝子を挿入することにより同時に投与してもよい(Schlom et al.に対する米国特許第6,045,802号参照)。
1以上のPSA−3ペプチドまたはこれらのペプチドを含んでなるポリペプチドを含有する医薬組成物の治療上有効量は、前立腺癌を軽減、緩和または除去するのに十分な量である。有効量は、治療する個体に1回の投与で導入することもできるし、あるいは繰り返し投与で導入することもできる。治療的投与に続き、疾病の治療後に予防的投与を行うこともできる。予防上有効な量は疾病の予防に有効な量であり、具体的な疾病および被験体によって異なる。治療上有効な用量は、まず、例えば細胞培養アッセイと動物モデル(通常はマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタまたは非ヒト霊長類)のいずれかを用いて評価し得る。また、動物モデルを用いて最大許容用量および適当な投与経路を決定し得る。次に、このような情報を用いて、ヒトにおいて有用な用量および投与経路を決定することができる。
特に、本発明によるペプチドに基づく、ベクターに基づく、および細胞に基づく治療法は、個々に使用することもできるし、いずれかの組合せで使用することもできる。さらに、これらの処置を、限定されるものではないが、ホルモン療法、化学療法、外科術(例えば、根治的前立腺切除)、凍結外科術、放射線療法(例えば、体外ビームまたはシードインプラント)、間質放射線治療、および免疫療法(例えば、抗HER2抗体;Herceptin(登録商標))をはじめとする前立腺癌のその他の治療法と併用することができる。
本明細書に記載の実施例は、本発明をさらに説明するものであって、本発明を何ら制限するものではない。
実施例1
細胞培養物:ヒト前立腺癌細胞系統LNCaP(M.G. Sanda et al., 1995, J. Natl. Cancer Inst. 87:280-285) (HLA−A2陽性およびPSA陽性)およびSK−MEL−24(T.E. Carey et al., 1976, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 73:3278-3282)、ヒト黒色腫細胞系統(HLA−A2陽性およびPSA陰性)をAmerican Type Culture Collection(Manassas, VA)より入手した。培養物はマイコプラズマを含まず、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、100単位/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシン(Life Technologies,Inc.)を補充した完全培地(RPMI1640; Life Technologies, Inc., Grand Island, NY)で維持した。
C1R細胞系統は、内因性HLA−AまたはB抗原を発現しないヒト血漿白血病細胞系統である(K.S. Anderson et al., 1993, J. Immunol. 151:3407-3419)。C1R−A2細胞は、トランスフェクトされたHLA−A2.1のゲノムクローンを発現するC1R細胞である(W.J. Storkus et al., 1987, J. Immunol., 138:16571659)。これらの細胞はWilliam E. Biddison博士(National Institute of Neurological Disorders and Stroke, NIH, Bethesda, MD)より入手した。174CEM−T2細胞系統(T2)輸送欠失突然変異体(K.T. Hogan et al., 1988, J. Exp. Med. 168:725-736)はPeter Cresswell博士(Yale University School of Medicine, New Haven, CT)からの提供を受けた。C1R−A2細胞およびT2細胞はマイコプラズマを含まず、それぞれRPMI1640完全培地およびイスコフの改変ダルベッコ完全培地(Life Technologies)で維持した。
癌胎児性抗原(CEA)CAP−1エピトープに対する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)系統であるV8T細胞系統は、免疫原としてrV−CEAを用いて、第1相試験に登録されている転移性結腸癌の患者から確立した(K.Y. Tsang et al., 1997, Clin. Cancer Res. 3:2439-2449)。V8T細胞を、10%ヒトAB血清およびIL−2(National Cancer Institute, Surgery Branchが供給、20単位/ml)を含むRPMI1640完全培地で培養した。
V8T細胞を、エフェクター:APCの比1:3にて、先の再刺激から16日後にCAP−1ペプチド(25μg/ml)で再び刺激した。照射した(23,000ラッド)自己EBV形質転換B細胞をAPCとして用いた。
実施例2
ペプチド:PSAペプチドPSA−3のP1、P2およびP10の位置に単一または二重アミノ酸置換を有する類似体パネル(P. Correale et al. , 1997, J.Nat. CancerLeast. 19: 293-300)(図1)、およびCEAペプチドCAP1−6D(S. Zaremba et al. , 1997, Cancer Res. 57: 45704577)は、96%を超える純度であった。ペプチドはMultiple Peptide Systems(San Diego, CA)により作製された。
単色フローサイトメトリー分析:単色フローサイトメトリー分析法はこれまでに記載されている(F. Guadagni et al., 1990, Cancer Res. 50:6248-6255)。要するに、細胞をCa2+およびMg2+を含まない冷DPBSで3回洗浄した後、mAbを用いて1時間、106細胞あたり10μgの1×実行希釈を用いてHLA−A2(A2, 69, One Lambda, Inc., Canoga Park, CA)に対して染色した。鉱油形質細胞腫−104E(Cappel/Organon Teknika Corp., West Chester, PA)をイソ型対照として用いた。この細胞を3回洗浄し、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識したヤギ抗マウス免疫グロブリン(IgG)(Kirkegaard and Perry Laboratories, Gaithersburg, MD)の1:100希釈液とともにインキュベートした。細胞を、直ちに、ブルーレーザーを備えたBecton Dickinson FACScanにて、488nm、励起15nWで分析した。10,000の生細胞からデータを採取し、保存し、これを用いて結果を得た。
実施例3
二色フローサイトメトリー分析:二色フローサイトメトリー分析の手順は、以下の点を除いて単色フローサイトメトリー分析の手順と同様であった。使用した抗体は、抗CD4 FITC/抗CD8 PE、抗CD45R0−FITC/抗−CD49d PE、抗CD28 FITC/抗CD56 PE、抗CD86 FITC/抗CD80 PE、抗CD58 FITC/抗CD54 PE、抗MHCクラスI FITC/抗MHCクラスII PE、および抗IgGl FITC/抗IgG2a PE(イソ型対照)であった。CD4、CD8、CD28、CD45R0、CD56、CD49d、CD54、CD80、CD86、およびCD58に対する抗体はBecton Dickinsonより購入した。MHCクラスIおよびMHCクラスIIに対する抗体はSerotec, UKより購入した。CD14およびCD54に対する抗体は、Becton Dickinsonより購入した。染色は同時に1時間行い、その後細胞を3回洗浄し、上記のように再懸濁し、直ちに、ブルーレーザーを備えたBecton Dickinson FACScanを用い、CELLQuestプログラム(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて488nm、励起15nWで分析した。
実施例4
HLA−A2とのペプチド結合:PSA−3類似体とHLA−A2分子との結合を、フローサイトメトリーで示されるようなT2A2細胞との結合で評価した(H.W. Nijman et al., 1993, Eur. J. Immunol. 23:1215-1219)。要するに、血清を含まないイスコフの改変ダルベッコ完全培地中の1×106の細胞を、5%C02中37℃、24ウェル培養プレート中で、濃度50μg/mlのペプチドとともにインキュベートした。ペプチド結合のフローサイトメトリーを、T2細胞および単色分析を用いて実施した。細胞をDPBS中で3回洗浄した後、上記のように、106細胞あたり10μgの1×実行希釈を用いてHLA−A2特異的MAb(One Lambda,Inc.)とともに1時間インキュベートした。UPC−10(Cappel/Organon Teknika)をイソ型対照として用いた。この細胞を3回洗浄し、FITC標識した抗マウスIgG(Becton Dickinson)の1:100希釈液とともにインキュベートした。上記のように、FACScanで分析を実施した。細胞調製および染色中は総て、細胞は氷上で維持した。
実施例5
PBMC由来のDCの培養:HLA−A2正常ドナーPBMC(末梢血単核細胞)をヘパリン添加血液から得た。PBMCを、文献に記載のようにリンパ球分離培地勾配(Organon Teknika, Durham, NC)を用いて分離した(A. Boyum et al., 1968, Scand. J. Clin. Lab. Invest. Suppl. 97:51-76)。Sallustoらが記載した手順(F. Sallusto et al., 1994, J. Exp. Med. 179:1109-1118)の改変法を用いて樹状細胞(DC)を調製した。PBMC(1.5×108)を、2mMグルタミン、50Ng/mlストレプトマイシンおよび10μg/mlゲンタマイシンを含むAIM−V培地(Life Technologies,Inc.)中に再懸濁し、T−150フラスコ(Corning Costar Corp., Cambridge, MA)に付着させておいた。37℃で2時間後、付着しなかった細胞を穏やかにすすいで取り除いた。付着細胞を、100ng/mlの組換えヒトGM−CSF(rhGM−CSF)および20ng/mlの組換えヒトIL−4(rhIL−4)および20ng/mlのTNF−αを含むAIM−V培地で6〜7日間培養した。培地は3日毎に補充した。
実施例6
組換えウイルスおよびPSA(rV−PSA)またはPSA−3A(rV−PSA−3A)を含むワクシニアウイルスでのDCの感染:PSAcDNAを、ワクシニア40Kプロモーター(L. Gritz et al., 1990, J. Virol. 64:5948-5957)の制御下、ワクシニアウイルスのWyeth株のHindIII Mゲノム領域へ挿入した。大腸菌lacZ遺伝子を、鶏痘C1プロモーター(S. Jenkins et al., 1991, AIDS Res. Hum. Retroviruses 7:991-998)の制御下、組換えウイルスの比色マーカーとして含めた。文献に記載されているように(D. Panicali et al., 1986, Gene 47:193-199)、lacZ遺伝子産物についての発色アッセイを用いて組換えウイルスを同定した。rV−PSA−3Aの構築のため、in vitro突然変異誘発によってPSA配列中のコドン155をATT(イソロイシン)からCTG(ロイシン)へ変更した(G. Mazzara et al., 1993, Methods Enzymol. 217:557-581, K. Smith et al., 1993, Vaccine 11:43-53)。
得られたPSA配列をPSA−3Aと称し、文献に記載されているように(G. Mazzara et al., 1993, Meth. Enzymol. 217:557-581; K. Smith et al., 1993, Vaccine 11:43-53,1993)、これをワクシニア40Kプロモーターの制御下、宿主域選択系を用いてワクシニアウイルスのWyeth株の誘導体のHindIII Mゲノム領域へ挿入した。DC(1×106)を、1mlのOpti−MEM培地(Life Technologies, Inc.)中、37℃でrV−PSA、rV−PSA−3Aまたは対照ワクシニアウイルスベクターとともにインキュベートした。滴定実験は、1時間での感染多重度(MOI)10と同等に相当する1×107プラーク形成単位/mlが一貫してPSAの産生を誘導することができたことを示した。感染したDCを、24時間培養した100ng/mlのrhGM−CSF、20ng/mlのrhIL−4、および20ng/mlのTNF−αを含む10mlの新鮮な、温かいRPMI−1640完全培地中に懸濁し、その後、APCとして用いた。
実施例7
T細胞系統の作製:Tsangらが記載しているプロトコール(K. Y. Tsang et al. , 1997, Clin.Cancer Res. 3: 2439-2449)の改変法を用いてPSA特異的CTLを作製した。DCをAPCとして用い、PBMCから単離した非付着細胞をエフェクター細胞の供給源として用いた。PSA−3またはPSA−3Aペプチドを最終濃度25μg/mlでDCに加えた。次いで、自己非付着細胞をAPC:エフェクター比1:10でAPCに加えた。培養物を、5%C02を含む加湿雰囲気下、37℃で3日間インキュベートした。ペプチドを含む培地を取り出した後、次いで培養物に濃度20単位/mlの組換えヒトIL−2を7日間添加した。IL−2を含む培地は3日ごとに補充した。3日間のペプチドによるインキュベーションおよび7日間のIL−2補充を1サイクルのin vitro刺激(IVS)とした。一次培養物を、11日目にPSAペプチド(25μg/ml)で再び刺激して次のIVSサイクルを開始した。照射した自己DCを3サイクルのIVSにAPCとして用いた。照射した(23,000ラッド)自己EBV形質転換B細胞を、3回目のIVSサイクルの後にAPCとして用いた。
実施例8
細胞傷害性アッセイ:標的細胞(C1R−A2または腫瘍細胞)を、室温で15分間、50μCiの111インジウム標識したオキシキノリン(Medi-Physics Inc., Arlington, IL)で標識した。100μlのRPMI−1640完全培地中の標的細胞(0.3×104)を、平底のアッセイプレート(Corning Costar Corp.)中の96ウェルの各々に加えた。標識したC1R−A2標的細胞を、5%C02中で60分間、37℃で示した濃度のペプチドとともにインキュベートした後、エフェクター細胞を加えた。癌細胞系統を標的として用いる場合には、ペプチドは用いなかった。エフェクター細胞を、10%ヒトABプール血清を添加した100μlのRPMI−1640完全培地中に懸濁し、標的細胞に加えた。次いで、細胞を、4または16時間、5%C02中37℃でインキュベートした。γ計数のため、回収フレーム(Skatron, Inc., Sterling, VA)を使用して上清を回収した。測定は3回行い、標準偏差を計算した。次式を用いて特異的溶解を算出した(全ての値はcpm)。
溶解(%)=(観察された放出量−自発放出量)/(総放出量−自発放出量)×100
自発放出量は、100μlのRPMI−1640完全培地を加えたウェルから測定した。標的を2.5%のTriton x−100で処理した後、総放出可能放射能を得た。
実施例9
アポトーシスアッセイ:T細胞を、上記IVS手順に記載したようにペプチドを加えた自系B細胞の存在下で48時間インキュベートし、96ウェルプレートへ24時間再びプレーティングした。ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを介するニック末端ラベリング(TUNEL)アッセイを用いてアポトーシスを分析した(Y. Gavrieli et al., 1992, J. Cell Biol. 119:493-501)。
実施例10
トランスジェニックマウス:HLA−A2.1/KbトランスジェニックマウスはL. Sherman博士(Scripps Laboratories, San Diego, CA)から提供された。トランスジェニックマウスは、重鎖のα−3ドメインがマウスH−2/Kbドメインによって置換されているが、HLA−A2.1 α−lおよびα−2ドメインは変更されていないHLA−A2.1/Kbキメラ遺伝子の産物を発現する(A. Vitiello et al., 1991, J. Exp. Med. 173:1007-1015; V. H. Engelhard et al., 1991, J. Immunol. 46:1226-1232)。
実施例11
in vivo免疫化およびマウスT細胞培養物:3群のHLA−A2.1/Kbトランスジェニックマウス(1群につきマウス3個体)を、PSA−3ペプチドを加えたHLA−A2.1/KbDC、PSA−3Aペプチドを加えたHLA−A2.1/Kトランスジェニックマウス由来のDC、またはDCのみを用いて、基本的に尾の皮下注射によって感作させた。ペプチドは濃度50μg/mlで用い、DCは1×106細胞/マウス/注入で用いた。合計3回の注射を、2週間離して各動物に行った。DCのみを注射されたマウスを対照として用いた。最後の注射後7日にマウスを屠殺し、照射した同系の脾細胞を用いて25μg/mlのPSA−3またはPSA3Aペプチドで脾臓細胞を6日間in vitroで再び刺激した。これらの大量の培養物のサイトカイン産生量を試験した。ペプチドでパルスしたJurkat A2(JA2Kb)細胞を刺激細胞として用いた。Jurkat 0201Kb細胞はヒトT細胞白血病系統Jurkatの安定したトランスフェクタントであり、HLA−A0201Kbキメラ遺伝子の産物を発現する(L.A. Sherman et al., 1992, Science 258:815-818)。
実施例12
サイトカインの検出:IL−2フリー培地で種々の応答物:刺激剤比にて24時間、ペプチドパルスした非感染DC、rV−PSA感染DC、またはrV−PSA−3A感染DCに曝したT細胞の上清を、ELISAキット(R & D Systems, Minneapolis, MN)を用いてIFN−γの分泌に関してスクリーニングした。結果はpg/mlとして算出した。また、Cytometric Bead Array(CBA)システム(BD PharMingen, San Diego, CA)も用い、特定のT細胞系統によって複数のサイトカインが分泌されることを判定した。CBA系は粒子に基づく免疫アッセイで可溶性アナライトを測定するためにフローサイトメトリーによる蛍光検出を用いる。BDヒトTh1/Th2サイトカインCBAキットを用いて単一サンプル中のIL−2、IL−4、IL−5、IL−10、TNF−α、およびIFN−γタンパク質レベルを測定した。サイトカイン補足ビーズをPE結合検出抗体と混合した後、組換えサイトカイン標品または試験サンプルとともにインキュベートしてサンドイッチ複合体を形成させた。サンプルの結果はBD CBA分析ソフトウエアを用いてグラフおよび表形式で示した。結果はpg/mlとして算出した。
統計分析:平均値間の差の統計分析は両側t検定(two-tailed paired t test)を用いて行った(Stat View statistical software, Abacus Concepts, Berkeley, CA)。
結果
10−mer PSA−3ペプチドのアミノ酸1、2、および10番の第一および第二のLA−A2アンカー残基の分析から、いくつかの修飾がHLA−A2に対する結合を増強し得ることが明らかとなった。従って、PSA−3の4つの異なる類似体を合成した(表1)。
表1:PSA類似体。親ノナマーPSA−3ペプチド(PSAのアミノ酸154〜163番)および類似体ノナマー。アミノ酸は一文字コードで示している。置換アミノ酸はボールド体で示している。
対応するヌクレオチド配列を下の表に示す。置換コドンはボールド体で示している。
次にこれら4つの類似体を実施例の節に記載したように、HLA−A2陽性T2A2細胞との結合に関して試験した。NCAペプチドはHLA−A2とは結合しないことが従前に示されており、陰性5対照として用いた。ペプチドをT2A2細胞に0〜50μg/mlの濃度で加えた。図1Aは4つのうち3つの類似体がHLA−A2と結合したことを示している。2つの類似体(L−155とY154)は種々のペプチド濃度でPSA−3よりも高いレベルでHLA−A2と結合した。ペプチド類似体1−163はHLA−A2との結合は全く示さなかった(図1A)。
さらに低いペプチド濃度でHLA−A2と結合するペプチドを分析したところ、類似体1−155は明らかにPSA−3よりも高いレベルのHLA−A2と結合したことが明らかになった(図1B)。このデータは、第一のアンカー位置2(PSA分子の155番目)に修飾を有する1−155ペプチドがペプチドPSA−3の可能性のあるアゴニストであることを示し、これをPSA−3Aと呼んだ。従って、このPSA−3Aペプチドを天然PSA−3ペプチドとのさらなる競合研究のために選択した。155番目に(PSA3Aで見られたものと)同一の変異ならびに二次アンカー残基(154番目)に付加的変異を含むペプチドは、実際に天然PSA−3ペプチドよりも低いレベルでHLA−A2と結合することに着目すべきである(図1A〜1B)。
次に、ペプチドPSA−3およびPSA−3Aに関するペプチドMHC複合体の安定性を検討するために研究を行った。ペプチドをT2A2細胞とともに一晩インキュベートし、遊離の非結合ペプチドを洗い流し、細胞表面への新たなクラスI分子の送達を遮断するためにベレフェルジン−Aとともにインキュベートした。種々の時点で、細胞をペプチド−HLA−A2複合体の存在に関して分析した。図2はPSA−3A−HLA−A2複合体が8時間の観察時間にわたってPSA−3複合体よりも安定であったことを示している。従って、ペプチドのMHCとの結合能(図1A〜1B)および安定性(図2)、すなわちペプチド−MHC複合体の親和性は、天然PSA−3ペプチドよりもPSA−3Aペプチドのほうが高い。
次に、PSA−3ペプチドおよびPSA−3AペプチドでパルスしたAPCを用いて、ヒトT細胞系統を確立し、これらを比較するために研究を行った。明らかに健康なドナーからのDCをAPCとしていずれかのペプチドでパルスし、自己PBMCをエフェクター細胞の供給源として用いた。実施例の節で記載したように、IL−2の存在下において各ペプチドでパルスすることにより培養細胞を確立した。IVSサイクル3(IVS−3)において、ペプチドパルスされた標的を溶解するT細胞の能力を分析した。ペプチドPSA−3Aを用いて確立された、T−PSA−3Aと呼ばれる系統は、PSA−3ペプチドでパルスされた細胞よりも高い程度で、ペプチドPSA−3AでパルスされたC1R−A2細胞を溶解することが示された(図3A)。しかし、PSA−3ペプチドを用いて確立した細胞も、PSA−3Aペプチドでパルスされたものよりも高い程度で、PSA−3Aペプチドでパルスされた標的細胞を溶解した(図3B)。このことは2つの異なるエフェクター/標的細胞比において見られた。
この現象をさらに分析するため、次にC1 R−A2細胞を種々の濃度の天然およびアゴニストペプチドでパルスし、2つのT細胞系統の標的として用いた。PSA−3Aペプチドを用いて形成したT細胞は、各ペプチド濃度でPSA−3ペプチドでパルスされた細胞よりもPSA−3Aペプチドでパルスされた標的細胞の高い溶解%を示し、溶解にはPSA−3ペプチドより約8倍少ないPSA−3Aペプチドしか必要としなかった(図4A)。さらに、天然PSA−3ペプチドで確立されたT細胞を用いた場合にもこの現象が見られた。このように、これらのT細胞は各ペプチド濃度で、PSA−3ペプチドでパルスされた標的細胞よりも高いレベルまで、PSA−3AペプチドでパルスされたC1R−A2標的細胞を溶解し、同レベルの溶解を達成するのに約8倍少ないPSA−3Aペプチドしか必要としなかった。これらの研究から、PSA−3Aペプチド由来の細胞系統が天然PSA−3ペプチドMHC複合体を認識し、このような複合体を提示するこのような細胞を溶解し得るという第一の示唆が提供される。
ペプチドPSA−3を用いて確立されたT細胞系統(T−PSA−3と呼ばれる)およびペプチドPSA−3Aを用いて確立されたT細胞系統(T−PSA−3Aと呼ばれる)は双方とも、>95%がCD49d陽性であり、>67%がCD8+陽性であり、<3.0%がCD56+陽性であり、>88%がCD45R0+陽性の細胞であることが示された。いずれかのペプチドでパルスされた自己B細胞で刺激された細胞は、IVS−5において、TUNELアッセイによりDNAフラグメンテーションについて分析した。図5は、ペプチドの不在下では2.9%のアポトーシスCD8+細胞が見られ(図5A)、PSA−3ペプチドで刺激された細胞では4.9%のアポトーシスCD8+細胞が見られ(図5B)、細胞がPSA−3ペプチドで刺激された場合には4.5%のアポトーシスCD8+細胞が見られた(図5C)ことを示す。従って、アゴニストペプチドで刺激されたCD8+T細胞と天然ペプチドで刺激されたCD8+T細胞とを比較すると、アポトーシスに差は見られなかった。
次に、PSA−3またはPSA−3AペプチドのいずれかでパルスされたAPCで刺激されたT細胞のサイトカインプロフィールを分析した。これらの試験には、PSA−3ペプチドを用いて誘導した細胞系統を使用し、用いたAPCは自己B細胞であった。刺激後24時間で得られた上清を用いる分析には、Cytometric Bead Array(CBA)アッセイを用いた(実施例の節参照)。図6A〜6Cは、このアッセイで得られた結果の較正に用いた10の内部標準のうちの4つを示す。図6D〜6Fは、それぞれペプチドでパルスされていないAPC、PSA−3AペプチドでパルスされたAPC、およびPSA−3ペプチドでパルスされたAPCで刺激されたT細胞が産生した6種のサイトカインの各々のレベルを示している。これらの結果は、PSA−3ペプチドよりもPSA−3Aペプチドで刺激されたT細胞によるI型サイトカインIL−2およびIFN−γの産生がより大きいことを示している。いずれのペプチドを用いても、2型サイトカインIL−4およびIL−10のレベルは低いか、または検出できないレベルであった。24時間の時点では、上清においてTNF−αは検出できなかった。IL−5に関して得られた結果は以下で考察する(結論の節)。
PSA−3およびPSA−3AペプチドでパルスしたDCで刺激した場合の、もともとPSA−3Aペプチドを用いて形成されたT細胞によるINF−γ産生のレベルを求めるための研究も行った。以下の表2は、PSA−3AペプチドでパルスされたDCで刺激されたT細胞が、PSA−3ペプチドでパルスされたDCで刺激されたものよりも多くのIFN−γを産生することを示している。ペプチド、DCまたはT細胞を含まない培養物により、IFN−γ産生の特異性(表2)と非特異的抗同種異系反応性が存在しないことが示された。
表2:PSA−3またはアゴニストPSA−3Aペプチドで刺激されたT細胞系統によるIFN−γの産生。PSA特異的T細胞系統T−PSA−3AをIVS−3にてエフェクター細胞として用いた。T−PSA−3A細胞を、濃度25μg/mlおよびエフェクター/APC比10:1でPSA−3またはPSA−3Aペプチドのいずれかでパルスした照射HLA−A2陽性同種異系DCで刺激した。24時間培養した後、上清を回収し、IFN−γの分泌に関してスクリーニングした。APC=抗原産生細胞。
ペプチドパルスしたDCによるT細胞の活性化はDCによるIL−12産生のレベルと関連していることが従前に示されている。よって、T細胞の存在下、PSA−3およびPSA−3AペプチドでパルスされたDCによるIL−12産生のレベルを求めるため試験を行った。下記の表3は、ペプチドの不在下のDC、T細胞単独、およびDCの不在下のペプチドパルスしたT細胞の総てが、検出可能なレベルのIL−12を産生できなかったことを示している。PSA−3ペプチドでパルスしたDCをT−PSA−3かT−PSA−3A T細胞系統のいずれかとともにインキュベートした場合、DCはIL−12を産生することが示され、T−PSA−3A系統とともに培養されたペプチドパルスDCにより、より多くのIL−12が産生された(表3)。PSA3AペプチドでパルスしたDCを両T細胞系統とともにインキュベートした場合、T−PSA−3A系統とともにインキュベートされたDCはここでも、T細胞系統T−PSA−3とともにインキュベートされたペプチドパルスDCよりも高いレベルのIL−12を産生した(表3)。
表3:ペプチドPSA−3またはPSA−3AアゴニストでパルスされたDCのIL−12産生能。PSA特異的T細胞系統T−PSA−3A(PSA−3AペプチドでPBMCをパルスすることにより誘導)およびT−PSA−3(PSA−3ペプチドでPBMCをパルスすることにより誘導)をIVS−4にてエフェクター細胞として用いた。T細胞15を濃度25μg/mlおよびエフェクター/APC比10:1でPSA−3またはPSA−3AペプチドのいずれかでパルスしたHLA−A2陽性同種異系DCで刺激した。24時間培養した後、上清を回収し、IL−12の分泌に関してスクリーニングした。IL−12産生はpg/ml/5×10
5DCとして表した。
次に、PSA−3Aペプチドを用いて形成したT細胞が天然PSAを内在発現する腫瘍細胞を溶解することができるかどうかを調べるために、試験を行った。下記の表4は、T−PSA−3A系統が天然PSAを発現するLNCaPヒト前立腺癌細胞系統を溶解し得ること、およびHLA−A2陽性であったことを示している。PSAを発現しないHLA−A2陽性SK−melヒト黒色腫系統は溶解しないことが示された。T−PSA−3系統(天然PSA−3Aペプチドを用いて形成)もLNCaP系統を溶解したが、各エフェクター/標的細胞比においてT−PSA−3A系統で見られたものよりも低いレベルであった(表4)。この溶解がMHCにより制限されるかどうかを調べるため、抗体遮断実験を行った。表4は、T−PSA−3A系統によるLNCaP枝の溶解が抗HLA−A2抗体により遮断されたが、イソ型の一致する対照抗体UPC−10によっては遮断されなかったことを示す。
表4:アゴニストペプチド(PSA−3A)を用いて形成されたT細胞の、天然PSAを発現する前立腺癌細胞を溶解する能力。18時間
111In放出アッセイを行った。LNCaP(ヒト前立腺癌)細胞はPSA陽性かつHLA−A2陽性である。SK−mel(黒色腫)細胞はPSA陰性でHLA−A2陽性である。実験1および2をそれぞれIVS3および4で行った。実験2のE:T比は25:1であった。括弧の中の数字は標準偏差である。実験2では、LNCaP細胞(1×10
6)を
111Inで標識し、抗体、対照抗体UPC−10(10μg/ml)、または抗HLAA2,28抗体(1:100希釈)を含有する培地の存在下で1時間インキュベートした。この細胞を18時間細胞傷害アッセイで標的として用いた。
*統計学的に有意(P<0.01,両側t検定)。
HLA−A2/Kbトランスジェニックマウスはこれまでに、ヒトに対するHLA−A2ペプチドの免疫原性の決定の助けとなることが報告されている。よってこのin vitro系を用いてさらに分析を行い、PSA−3Aペプチドの免疫原性を天然PSA−3ペプチドと比べた。HLA−A2/Kbトランスジェニックマウス由来のDCをPSA−3またはPSA−3Aペプチドのいずれかでパルスし、これを用いてHLA−A2/Kbマウスにワクチン接種した。DC単独(ペプチドなし)も対照ワクチンとして用いた。2週間間隔で3回のワクチン接種後、最後のワクチン接種から2週間後に得られた脾細胞からT細胞を単離した。次にこのT細胞をPSA−3ペプチド、PSA−3Aペプチド、またはペプチドなしでパルスしたJurkat A2/Kb細胞とともにインキュベートし、24時間後の上清からINF−γの産生を測定した。
下記の表5は、ペプチドを伴わないDC単独を免疫原として用いてもT細胞によりINF−γは産生されないことを示している。これに対し、PSA−3ペプチドでパルスしたDCをワクチン接種したマウスから得られたT細胞は、APCをペプチドPSA−3またはPSA3Aのいずれかでパルスした場合、INF−γを産生した(表5)。しかし、天然またはアゴニストPSAペプチドのいずれかでパルスしたJurkatA2/Kb細胞で刺激した場合、PSA−3AペプチドでパルスしたDCをワクチン接種したマウスのT細胞からはずっと高いレベルのINF−γが得られた(表5)。これらの研究から、PSA−3AエピトープがHLA−A2対立遺伝子に関してPSA−3エピトープよりも免疫原性が高いというさらなる証拠が得られる。
表5:HLA−A2/K
bトランスジェニックマウスにおけるPSA−3対PSA−3Aペプチドの免疫原性。DC単独、PSA−3でパルスしたDCまたはPSA−3AでパルスしたDCで免疫化したマウスからT細胞を得た。各群3個体のマウスを用いた。各動物に2週間間隔で3回注射(1×10
6DC/マウス/注射)を行った。ペプチドは50μg/mlの濃度で用いた。INF−γ産生アッセイにおいては、HLA−A2/K
bトランスジェニックマウスから得られた細胞をPSA−3またはPSA−3Aペプチド(25μg/ml)でパルスしたJurkatA2/K
b細胞で刺激した。24時間目の培養上清を回収し、INF−γの分泌に関してスクリーニングした。
本発明の実験は、ペプチドに基づくワクチンまたはペプチドでパルスしたDCワクチンのいずれにおいてもPSA−3Aエピトープの使用の利点を示す。また、PSAの全遺伝子を含むが、PSA−3Aエピトープの変異型アミノ酸配列を有するベクターを構築するための実験も行った。このように、155番目においてイソロイシンからロイシンへのアミノ酸変異を持たない、またはこれを持つ全PSA導入遺伝子で組換えワクシニアウイルスを構築した。これらの組換えワクシニアウイルスは、それぞれrV−PSAおよびrV−PSA−3Aと称する。初期の研究により、両組換えワクシニアウイルスのヒトDCに対する至適感染多重度は10pfu/細胞であることが示された。いずれかの組換えベクターに感染したヒトDCは、上清の免疫アッセイによって求めた場合に約63ng/mlでPSAタンパク質産生を示した。なお、ヒトDCのrV−PSA、rV−PSA−3A、および野生型ワクシニアウイルスによる感染は、DCの表面表現型マーカーCD80、CD86、CD54、CD58、クラスIおよびクラスIIを変化させなかった。
V−PSAまたはrV−PSA−3Aのいずれかに感染させたDCを用いて、もともとAPCを天然PSA−3ペプチドでパルスすることによって誘導したT細胞を刺激した。下記の表6は、rV−PSA−3A組換え体に感染させたDCは、インターフェロン産生によって測定した場合、rV−PSAに感染させたDCを用いた場合よりもPSA特異的T細胞を活性化する上で効果が高かったことを示している。比較のため、25μgのPSA−3Aペプチドでパルスした非感染DCも用いてT−PSA−3T細胞を活性化した。特異性対照として、CEA特異的T細胞系統(V8T)の活性化はPSA組換えベクターによっては見られなかった。さらなる対照として、野生型ワクシニアベクターに感染させたDCを用いた。これらの研究から、変異型PSAエピトープもヒトDCによりプロセシング可能であり、特異的T細胞の活性化に対して提示され得ることが示される。
表6:ワクシニアPSA組換え体に感染させたDCの、PSA−3AアゴニストエピトープをプロセシングしてPSA特異的T細胞を活性化させる能力。PSA特異的T−PSA−3細胞およびCEA特異的V8T細胞を、感染させていないか、またはrV−PSA、rV−PSA(PSA−3A)、またはV−WT(野生型)に感染させた照射同種異系DCで刺激した。比較のため、非感染DCまたはV−WTに感染させたDCをPSA−3AペプチドまたはCAP1−6Dペプチドでパルスした。ペプチドは25μg/mlの濃度で用いた。ワクシニアウイルスベクター感染は、1時間、MOI10とした。次に、感染細胞を37℃、完全培地中で一晩インキュベートし、これをAPCとして用いた。48時間目の培養上清を回収し、IFN−γの分泌に関してスクリーニングした。CAP1−6DペプチドはCEAペプチドCAP−1のTCRアゴニストである。
本明細書に示される結果は、アゴニストペプチドPSA−3Aエピトープが、MHCとの結合親和性、ペプチドMHC複合体の親和性(アビディティー)、およびin vitroでCTLを活性化する能力の点で、天然PSA−3エピトープより優れていることを示す。このアゴニストエピトープはまた、in vivoHLA−A2.11Kbトランスジェニックマウスモデル(P. Correale et al., 1998, J. Immunol. 161:3186-3194)におけるT細胞の活性化において天然エピトープより有効であった。PSA−3Aペプチドにより活性化されたT細胞は、天然ペプチドでパルスしたAPCと天然PSAを発現するヒト前立腺癌細胞の双方をMHCに制限される様式で溶解する能力を示した。ワクシニア組換え体を用いたこれらの研究から、アゴニストエピトープが、PSA分子全体に関して、T細胞の活性化に関してAPCによりプロセシングされ提示され得ることも示した。なお、アゴニストペプチドによって刺激されたT細胞は、天然ペプチドと比較した場合、高レベルのI型サイトカインを産生するが、高いアポトーシスを受けないことが示された。
10−mer HLA−A2.1リガンドの分析により、良好なHLA−A2.1結合に強く関連する残基は、2番目の第一のアンカーについてはLとMであり、10番目ではV、LおよびIであることが示唆されている(J. Ruppert et al., 1993, Cell 74:929-93)。PSA−3ペプチドの2番目(155番目のアミノ酸)においてIがLに置換されると、該ペプチドのHLA−A2.1分子との結合効率が向上した。この現象は、2番目の残基IがHLA−A2.1とのペプチド結合親和性ならびに残りのペプチド−MHC複合体の安定性を低下させ得るということにより説明することができる(J. Ruppert et al., 1993, Cell 74:929-937; M. Bouvier and D.C. Wiley, 1994, Science 265:398-402)。gp100 154−162のN末端アンカー位置2においてTをLまたはIに置換すると、HLA−A2分子との結合が著しく高まった。しかし、LまたはIへの置換の間で、ペプチド結合親和性または抗原性に差はなかった(A.B.H. Bakker et al., 1997, Int. J. Cancer 70:302-309)。他方、ノナペプチドMelan−A 27−35の2番目においてAをLに置換した場合には、ペプチドのHLA−A2との結合は増強されたが、抗原活性に50倍を超える低下があった(D. Valmori et al., 1998,J. Immunol. 160:1750-1758)。
10番目のVをLで置換すると、PSA−3ペプチドのHLA−A2.1分子への結合が低下した。これは、一つには、9番目でのVに代わるLがペプチド−HLA−A2.1の親和性ならびにその複合体の安定性を低下させるということにより説明し得る(J. Ruppert et al., 1993, Cell 74:929-937; D.R. Madden, 1995, Ann. Rev. Immunol. 13:387-622)。Flu AマトリックスHLA−A2.1結合ペプチド58−66(GILGFVFTL;配列番号6)および58−68(GILGFVTLVL;配列番号7)の場合、Lの代わりにVという置換がC末端であった場合には、HLA−A2との結合に低下は検出されなかったことが示されている(H.W. Nijman et al., 1993, Eur. J. Immunol. 23:1215-1219)。このことは、C末端にVを含む10merペプチドのNY−ESO−157−166(SLLMWITQCV;配列番号8)が、野生型ペプチド(SLLMWITQCF;配列番号9)およびC末端にLを含むNY−ESO−157−166ペプチド(SLLMWITQAL;配列番号10)よりも効率的にHLA−A2を認識したというChenらの報告(J.L. Chen et al., 2000, J. Immunol. 165:948-955)に一致している。他方、C末端においてVin Flu Aカトリックスペプチド2−11(SLLTEVETYV;配列番号11)および2−12(SLLTEVETYVL;配列番号12)においてVの代わりにLがある場合には、HLA−A2との結合の増強が見られた(H.W. Nijman et al., Eur. J. Immunol. 23:1215-1219)。
発明者らの研究では、1番目におけるYへの置換は、PSA−3ペプチドのHLA−A2.1への結合を増強した。このことは、1番の位置での芳香族残基の置換は10−merのHLA−A2.1への結合を好むという知見(J. Ruppert et al., 1993, Cell 74:929-937)と一致する。Melan−Aペプチド26−35(EAAGIGILTV;配列番号13)に関して同じ結果がValmoriら(D. Valmori et al., 1998, J. Immunol. 160:1750-1758)によって報告されており、そこでは1番におけるEからYへの置換(YAAGIGILTV;配列番号14)がペプチドの結合親和性を増強した。他方、1番にYを含むgp100ペプチド280−288(YLEPGPVTA;配列番号15)はHLA−A2分子と十分結合しなかった(Y. Kawakami et al., 1995, J. Immunol.154:3961-3968)。第二のアンカー位置におけるHLA−A2.1結合が弱いことと強い関連のある残基は、1番目ではD、E、P;3番目ではD,E;4番目ではR、K、H、A;5番目ではP;7番目ではR、K、H;8番目ではD、E、R、K、H;また、9番目ではR、K、Hである(H.G. Rammensee et al., 1995, Immunogenetics 41:178-228)。PSA−3ペプチドでは、第二のアンカー位置におけるHLA−A2.1結合が弱いことと関連のある残基は存在しない。
興味深いことに、2番目(155番目のアミノ酸)におけるL、および1番目(154番目のアミノ酸)におけるYへのアミノ酸置換によって作出された類似体ペプチドは、T2A2細胞への結合によってアッセイした場合、HLA−A2.1分子への結合において天然PSA−3ペプチドほど有効でなかった。これは、コンホメーション変異、立体障害、または反発性の静電気作用のような負の作用によるものであり得る。gap100ペプチド280−288(YLEPGPVTA;配列番号15)は、1番における推定モチーフ残基Y、2番におけるL、および9番におけるAを含むことが示されている。これらの残基はHLA−A2.1分子との良好な結合を助けるものと推定されるが、このペプチドの実際の結合親和性は高くなかった。ペプチドの親和性の低下は、3番における負に帯電したEなど、ペプチドの他の位置における残基によるものであり得る(Y. Kawakami et al., 1995, J. Immunol. 154:3961-3968; A.L. Cox et al., 1994, Science 264:716-719)。
ワクチン療法におけるアゴニストペプチドの使用は、最近の2つの臨床試験で実証されている。一つの臨床試験では、変異型アンカー残基を有する黒色腫gp100ペプチドをIL−2と併用した場合、天然gp100ペプチドをIL−2と併用した場合よりも黒色腫患者でより高い臨床応答をもたらした(S.A. Rosenberg et al., 1999, J. Immunol. 163:1690-1695)。もう一つの臨床試験では、T細胞受容体(TCR)と相互作用するCEAペプチドCAP1のアミノ酸の一つを改変してCAP1−6D TCRエンハンサーアゴニストエピトープ(S. Zaremba et al., 1997, Cancer Res. 57:4570-4577)を作製した。このCAP1−6DアゴニストでパルスしたDCを進行型のCEA発現癌腫を有する患者においてワクチンとして用いた(L.H. Fong et al., Amer. Assoc. for Cancer Res. Ann. Mtg. April 1-5, 2000 Proceedings #1387, 41:217)。ワクチン接種した最初の6名の患者の同齢集団では、患者の部分集団で血清CEAの安定化が見られ、肺転移の退縮が見られた。アゴニストエピトープを用いた場合には、患者においてCEA特異的T細胞応答も生じた(L.H. Fong et al., Amer. Assoc. for Cancer Res. Ann. Mtg. April 1-5, 2000 Proceedings #1387, 41:217)。
重要なことに、本明細書に記載されるアゴニストPSA−3Aペプチドは、HLA−A2対立遺伝子陽性の前立腺癌患者のためのワクチン療法におけるアジュバント中の、またはペプチドパルスされたDCを介してのペプチドワクチンとして有用である。Flt−3L(E. Maraskovsky et al., 1996, J. Exp. Med. 184:1953-1962; S.D. Lyman, 1995, Int. J. Hematol. 62:63-73)またはTRICOMベクター、すなわち3つの同時刺激分子を含むベクター(J.W. Hodge et al., 2000, J. Natl. Cancer Inst. 92:1228-1239)などの分子を用いた場合に高いペプチドパルスCD活性を示すという最近の研究により、研究者はDCワクチンプロトコールを首尾よく行うことができる。
本明細書に示されている結果によれば、天然PSA−3エピトープまたはPSA−3Aアゴニストのいずれかを用いて形成されたPSA特異的T細胞が、PSA−3ペプチドよりもPSA−3Aに応答してより多くのIFN−γを産生することが実証されている。IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、TNF−α、およびIFN−γの産生は、実施例の節に記載されたように、CBAアッセイによって測定した。これらのデータは、PSA−3ペプチドと比較した場合におけるPSA−3Aで刺激したT細胞由来のIL−2、IL−5、およびIFN−γの産生の増強を示したが、IL−4およびIL−10の増強は示さない。活性化されたT細胞によりIL−5の産生が増強されると、次に好酸球、好塩基球、B細胞および胸腺細胞を活性化し得る。IL−5は好酸球の走化性および活性化因子である。IL−5はまた、刺激細胞およびIL−2の存在下で落花生凝集素結合胸腺に対するキラー−ヘルパー因子活性を示すことが示されている。胸腺集団間からのCTLの補充におけるこの結果は、標的胸腺細胞に対してIL−2受容体をアップレギュレートするIL−5の能力によるものである(K. Takatsu et al., 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:4234-4238; S.C. Bischoff et al., 1990, J. Exp. Med., 172:1577-1582)。これは、PSA−3Aペプチドがまた、PSAワクチン臨床試験に関与する患者の免疫応答をモニタリングするためのより感受性の高い免疫アッセイにおいて用い得ることを示唆している。
PSAに基づくワクチンを用いたいくつかの臨床試験が完了しており、あるいはまた、前立腺癌患者において進行中である。進行型の前立腺癌を有する患者における最近の試験では、rVPSAワクチンがワクチン接種された7名のHLA−A2.1患者のうちの5名において、PSA−3ペプチドに対する特異的T細胞応答を誘導したことが示された(J.P. Eder et al., 2000, Clin. Cancer Res. 6:1632-1638)。rV−PSAワクチンは安全であることが示され、ある患者では、少なくとも21ヶ月の間、臨床的進行の所見がないままであった(J.P. Eder et al., 2000, Clin. Cancer Res. 6:1632-1638)。進行中の臨床試験では、初回ワクチン接種としてrV−PSAが用いられ、その後、組換え型鶏痘PSAワクチンで複数回追加ワクチン接種が行われる。この多角的な初回および追加ワクチン戦略は、組換えCEAベクターワクチンを用いた動物モデルでも(J.W. Hodge et al., 1997, Vaccine 15:759-768, 1997)、臨床試験でも(J.L. Marshall et al., 2000, J. Clin. Oracol. 18:3964-3973)有利であることが示されている。
本明細書で報告された実験から、PSA分子における単一のアミノ酸変異もまた、組換えPSAワクシニアもしくは鶏痘ベクター、またはいずれかのDNAベクター中における使用により、天然PSA遺伝子を含む同ベクターの使用よりも有効にT細胞を活性化させることができることが実証される。このアゴニストエピトープはHLA−A2対立遺伝子を有する患者にのみ利益があり得るが、これはまだ白色人種のおよそ半分であり、同様にその他の集団でもさらに低い程度である。さらに、本発明における実験は、PSAのような比較的弱い免疫原性自己抗原のCTLエピトープの組成における単一のアミノ酸変異を用いて、天然遺伝子産物を発現する腫瘍を溶解し得る特異的T細胞集団をより有効に活性化することができるというコンセプトを支持するものである。
実施例13
細胞傷害性T細胞の作製:文献に記載されているように(Boyum et al., 1968, Scand. J. Clin. Lab. Invest. 21:77-80)、Lymphocyte Separation Medium gradient (Organon Teknika, Durham, NC)を用いてPBMCを分離することができる。洗浄したPBMCを、10%プールヒトAB血清(Pel-Freeze Clinical System, Brown Dear, Wis.)、2mMグルタミン、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシン(GIBCO)を添加した完全培地、例えばRPMI1640(GIBCO)に再懸濁させる。完全培地中、約2×105細胞の濃度のPBMCを、例えば100μlの容量で96ウェル平底アッセイプレート(Costar, Cambridge, Mass., USA)の各ウェルに加える。これらの培養物中に抗原またはペプチドを最終濃度約50μg/mlで加え、5%CO2を含む加湿雰囲気下、37℃で5日間インキュベートする。5日後、ペプチドを含む培地を取り出した後に培養物に新鮮ヒトIL−2(10U/ml)を供給し、3日毎にIL−2を含む培地を補給する。16日目に一次培養物を同ペプチド(50μg/ml)で再刺激する。この後、5×105の照射(4,000rad)自己PBMCを、抗原提示細胞(APC)として、約50μl完全培地の容量で加える。約5日後、文献に記載のように、培養物にヒトIL−2含有培地を供給する。細胞を16日間おいて5日間再刺激する。
本明細書に挙げた総ての特許出願、特許、テキスト、および参照文献は、本発明が属する技術分野をより十分に説明するため、引用することにより本明細書の開示の一部とする。
上述のような本発明の範囲および精神から逸脱することなく上記の方法および組成物において種々の変更ができることから、上記の記述に含まれ、付属の図面に示され、あるいは上記の実施形態に示される総ての主題は例示として示されるものであって、制限を意味するものではないと考えられる。
PSAペプチドとHLA−A2との結合。実施例の節で記載したように、ペプチドをT2A2細胞系との結合について分析した。ペプチドを、0〜50μg/ml(図1A)およびそれより低い濃度(図1B)で用いた。PSA−3は親PSAペプチドである(白三角)。PSA−3(L−155;PSA−3Aとも呼ばれる)(黒四角)、PSA−3(Y154)(黒丸)、PSA−3(Y154/L155)(黒三角)、およびPSA−3(L163)(白四角)は、PSA−3アゴニストペプチドである。NCAペプチド(白丸)は陰性対照である。結果は相対蛍光値(MFI)で表す。
PSA−3またはPSA−3AペプチドとHLA−A2との複合体の安定性の比較。T2A2細胞をPSA−3(白四角)またはPSA−3A(黒四角)ペプチドとともに50μg/mlの濃度で一晩インキュベートした後、結合しなかったペプチドを洗い流し、ブレフェルジンAとともにインキュベートして新たなクラスI分子の細胞表面への送達を遮断した。示された時間に、表面ペプチド−HLA−A2複合体の存在に関して細胞を染色した。結果は、0時を100%結合として比較した相対結合%で表す。
PBMCをPSA−3Aペプチドでパルスすることによって誘導したT−PSA−3A T細胞系の細胞傷害性(図3A)、およびPBMCをPSA−3ペプチドでパルスすることによって誘導したT−PSA−3 T細胞系の細胞傷害性(図3B)。標的細胞は、種々のE:T(エフェクター:標的)比でのin vitro刺激(IVS−3)のために、濃度25μg/mlでPSA−3A(黒四角)またはPSA−3(黒丸)ペプチドのいずれかでパルスしたC1 R−A2細胞とした。ペプチドを含まないC1 R−A2細胞(白四角)も試験した。細胞傷害性Tリンパ球(CTL)活性は、18時間111In放出アッセイで測定した。
IVS−3でPSA−3A(黒四角)、またはPSA−3(白丸)ペプチドの濃度を増加させながらパルスしたC1 R−A2細胞に対する、T−PSA−3A T細胞系の細胞傷害性(図4A)、およびT−PSA−3 T細胞系の細胞傷害性(図4B)。E:T比=25:1。CTL活性は18時間111In放出アッセイで測定した。
TUNELアッセイを用いたペプチド刺激T細胞におけるDNA断片化。PSAペプチドでパルスされた自己B細胞によって活性化したCD8+細胞のアポトーシス。図5A:ペプチドを含まないB細胞で刺激したT−PSA−3細胞;図5B:PSA−3ペプチドでパルスしたB細胞で刺激したT−PSA−3細胞;図5C:PSA−3AペプチドでパルスしたB細胞で刺激したT−PSA−3細胞。実施例の節に記載のように、各ヒストグラムの中の数字はアポトーシス細胞(ラインより上の細胞)の百分率を示す。
ペプチド刺激されたT細胞によるサイトカインの産生についてのサイトメトリックビーズアレイ(Cytometric Bead Array)アッセイ。IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、TNF−α、およびIFN−γ(各図の上から下へ)の産生を分析した。0pg/ml(図6A)、312pg/ml(図6B)、および5000pg/ml(図6C)の各サイトカイン濃度の標品を用いて、サンプル中のこれら6種のサイトカインの濃度を測定した。ペプチドを含まないT−PSA−3細胞+APC(自己B細胞)から得た上清(図6D)。T−PSA−3+APC+PSA3Aから得た上清(図6E)。T−PSA−3+APC+PSA−3から得た上清(図6F)。
PSAポリペプチド。図7A−7B:前駆体(配列番号23)および成熟型(配列番号24)のPSA配列。図7C−7D:PSA−3(1−155)ペプチドを含んでなる前駆体(配列番号25)および成熟型(配列番号26)のPSA配列。図7E−7F:PSA−3(Y154)ペプチドを含んでなる前駆体(配列番号27)および成熟型(配列番号28)のPSA配列。図7G−7H:PSA−3(L155/Y154)ペプチドを含んでなる前駆体(配列番号29)および成熟型(配列番号30)のPSA配列。PSA−3およびPSA−3アゴニストペプチド配列に下線が施してある。アミノ酸変化は斜体で示す。
配列表