JP4366735B2 - 重合体粒子を含有する研磨剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上記の第1化合物と第2化合物とを重縮合させて得られる重合体粒子を含有する研磨剤、及び重合体粒子を水に分散させた水系分散体からなる研磨剤に関する。この水系分散体からなる研磨剤は、半導体ウェハ、磁気ディスク等の化学機械研磨などに特に有用であり、保管時の増粘或いはゲル化、重合体粒子の分離、沈降などの問題がない。また、研磨速度が大きく、被研磨面の表面欠陥(スクラッチ)も抑えられ、洗浄後に被研磨面に残留する重合体粒子も僅かである。なお、本発明に用いられる重合体粒子は、化粧品、電子材料、磁性材料、半導体材料、コーティング材、塗料、スペーサ、光学材料、触媒、光触媒、充填材、電子材料フィルム易滑剤、診断薬、医薬、導電材料、センサ材料、トナー、樹脂改質剤、インク、吸着剤、耐紫外線材料及び隠蔽材料等、広範な用途においても利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体ウェハ等の化学機械研磨には、砥粒としてシリカ或いはアルミナ等、主に気相法によって合成された純度の高い無機粒子の水系分散体が用いられている。しかし、気相法によって合成された無機粒子は2次凝集が激しいため、水系分散体を調製する場合には、凝集体を水中で破壊し、解砕する必要がある。凝集体の破壊、解砕が不十分な場合は、保管時、水系分散体が経時的に増粘したり、ゲル化したりして流動性を失い、或いは凝集体が分離して沈殿し、研磨剤として使用できなくなるという問題がある。
【0003】
そこで、気相法によって合成された無機粒子の凝集体を分散させるための種々の装置が提案されている。しかし、それらの装置を用いた場合、金属等の不純物が混入するとの問題がある。また、凝集体を十分に破壊し、解砕することができず、粒径が5μm以上の粗大粒子が残留し、増粘してゲル化したり、沈降物が生成したりするという問題もある。更に、これらの粗大粒子により、化学機械研磨等の研磨工程においてウェハ等の被研磨面にスクラッチを生ずることがあり、洗浄後、ウェハ等の表面に無機粒子が残留することもある。
【0004】
一方、溶液中で粒子状のシリカを合成する方法も知られている。JOURNAL OF COLLOID AND INTERFACE SCIENCE 26,62−69(1968)には、テトラエトキシシランを原料とし、アルコール存在下、アルカリ性水溶液中で真球に近い形状で、平均粒径50〜2000nmの高純度のシリカを合成する方法が記載されている。このシリカを化学機械研磨用の砥粒として使用した場合、CMPのサイエンス(株式会社サイエンスフォーラム発行、1997)の142頁に記載されているようにスクラッチが少ないという利点がある。しかし、研磨速度が小さく、洗浄後、砥粒が被研磨面に残留し易いとの問題がある。
【0005】
研磨速度が小さい理由は、粒子が真球に近く、且つ硬すぎるため、被研磨面において砥粒が転がってしまい、研磨剤として十分に機能しないためである。また、特に、被研磨物が柔らかい金属である場合など、洗浄後も被研磨面に多くの砥粒が残留するのは、真球に近い形状であり、しかも硬い粒子が被研磨面に埋め込まれてしまうことが原因である。
【0006】
また、従来より、標準粒子、診断薬用担体粒子、滑剤等の用途においては、ビニル単量体等を共重合して得られる粒径分布の狭い重合体粒子が用いられている。しかし、この重合体粒子は強度及び耐熱性が必ずしも十分ではなく、標準粒子或いは滑剤等として用いる場合に、過大な剪断応力が加わったり、高温に晒されたりすると、粒子が変形若しくは崩壊することがあり、その用途が制限されている。これらの問題点に対応するため、架橋性ビニル単量体等を共重合させて高度に架橋させた共重合体からなる粒子も提案されている。しかし、このような架橋重合体からなる粒子は無機系粒子と比較して硬度が低く耐熱性も不十分なため、広範な用途において使用し得るものではない。
【0007】
また、電子材料、磁性材料、耐熱材料等の用途においては、多数の金属化合物からなる粒子が使用されており、用途の多様化のため種々の複合粒子が提案されている。そのような複合粒子としては、酸化鉄粒子をケイ素化合物によって被覆することにより、熱処理によって針状の磁性体を製造する際に、その形崩れ、磁性体間の焼結等が防止される複合粒子、粉末冶金のための強度の大きい材料として使用される鉄粉を銅によって被覆した複合粒子、及び酸化鉄粒子を酸化アンチモン及び酸化アルミニウムによって被覆し、その耐熱性を向上させた複合粒子等が挙げられる。しかし、これらの複合粒子を含む水系分散体は保存安定性に問題があり、更に、いずれも金属化合物からなるものであるため、硬度が高すぎて用途の多様化に必ずしも十分に対応することができるものではない。そのため、適度な硬度を有する重合体粒子の開発が、特に、電子材料、磁性材料、光学材料等の分野において必要とされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、前記の第1化合物と第2化合物とを重縮合させて得られ、十分な強度及び硬度を有し、耐熱性に優れ、且つ適度に柔軟である重合体粒子を含有し、特に、半導体ウェハ、磁気ディスク等の化学機械研磨などに有用であり、研磨速度が大きく、スクラッチが少なく、被研磨面に残留し難い研磨剤を提供することを目的とする。更に、本発明は、従来、高々50nm程度までしか小さくできなかった重合体粒子を、3nmにまで小さくすることができる重合技術を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1発明の研磨剤に含有される重合体粒子は、前記の一般式(1)によって表される第1化合物、該第1化合物の加水分解物及び該第1化合物の部分縮合物のうちの少なくとも1種(以下、第1化合物、並びにその加水分解物及び部分縮合物を、まとめて「第1化合物類」という。)、並びに前記の一般式(2)によって表される第2化合物、該第2化合物の加水分解物及び該第2化合物の部分縮合物のうちの少なくとも1種(以下、第2化合物、並びにその加水分解物及び部分縮合物を、まとめて「第2化合物類」という。)を重縮合させて得られ、平均粒径が3〜1000nmであることを特徴とする。この重縮合は、第1及び第2化合物並びにそれらの加水分解物及び部分縮合物を溶解し得る有機溶媒と、アルカリ性水溶液とからなる混合媒体中で行うことができる。
【0010】
また、第2発明の重合体粒子は、第1発明における重合体粒子の存在下、第1化合物類のうちの少なくとも1種を重縮合させて得られ、平均粒径が3〜1000nmであることを特徴とする。この重縮合も上記と同様の混合媒体中で行うことができる。
なお、第1及び第2発明の研磨剤に含有される重合体粒子は、適度な弾性を有する重合体からなり、真球に近い形状でありながら、硬すぎず、研磨剤の他、電子材料、磁性材料、光学材料等、各種の用途においても有用である。また、第3発明のように、水に分散させて、水系分散体からなる優れた性能の研磨剤とすることもできる。
【0011】
一般式(1)で表される上記「第1化合物」としては、4官能の有機シリコン化合物、並びに3官能の有機アルミニウム化合物、4官能の有機チタニウム化合物及び4官能の有機ジルコニウム化合物等の他、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Nb、Mo、Sn、Sb、Ta、W、Pb又はCeを含む有機金属化合物のうちの少なくとも1種を使用することができる。また、一般式(2)で表される上記「第2化合物」としては、nが1〜(z−2)の整数である有機シリコン化合物、並びに有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物等の有機金属化合物、のうちの少なくとも1種を用いることができる。これら第1化合物及び第2化合物は、それぞれ1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0012】
一般式(1)におけるR1及び一般式(2)におけるR3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基及びn−ペンチル基等が挙げられる。また、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基及びカプロイル基等を挙げることができる。更に、アリール基としては、フェニル基及びトリル基等が挙げられる。尚、第1化合物のR1並びに第2化合物のR2及びR3は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0013】
更に、一般式(2)において、R2としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基及び2−エチルヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。また、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、アシル基、グリシジル基、アクリルオキシ基、メタアクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基及びイソシアナート基等、各種の有機基の他、これら各種の有機基の置換誘導体などを挙げることができる。
【0014】
この置換誘導体における置換基としては、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、アクリルオキシ基、メタアクリルオキシ基、ウレイド基及びアンモニウム塩基等が挙げられる。但し、これらの置換誘導体からなるR2の炭素数は、置換基を構成する炭素原子を含めて8以下である。
【0015】
以下、第1化合物及び第2化合物のうち、好ましいものとして有機シリコン化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物及び有機ジルコニウム化合物について具体的に説明する。
第1化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン及びテトラ−n−ブトキシシラン等が挙げられる。また、これらの化合物に含まれるシリコン原子がチタニウム原子と置き換わったテトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン及びテトラブトキシチタン等の有機チタニウム化合物を挙げることができる。更に、シリコン原子がジルコニウム原子と置き換わったテトラプロポキシジルコニウム及びテトラブトキシジルコニウム等の有機ジルコニウム化合物、並びにシリコン原子がアルミニウム原子と置き換わったトリエトキシアルミニウム及びトリプロポキシアルミニウム等の有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0016】
第2化合物としては、有機シリコン化合物が多用され、それらのうち、n=1である化合物の具体例としては以下の各種のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、
【0017】
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、
【0018】
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン。
【0019】
また、n=2である化合物としては以下のものを挙げることができる。
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、
【0020】
ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン。
第2化合物としては、この他、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシラン等のオキシシランを使用することもできる。この第2化合物としては、iso−プロピルトリオクタノイルチタネートのようなチタネートカップリング剤、アセチルアセトンジルコニウムブチラート等の有機ジルコニウム化合物、及びアセトアルコキシアルミニウムイソプロピレート等の有機アルミニウム化合物を用いることもできる。
【0021】
これらの第2化合物のうち、n=1の場合は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、n=2の場合は、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。また、第1化合物としてテトラエトキシシランを用いる場合は、これと組み合わせて用いる最も好ましい第2化合物はメチルトリエトキシシランである。このように、4個のR1及び2又は3個のR3が同じであり、且つR1とR3とが同じであれば、重縮合がより容易に進むため好ましい。
【0022】
第1及び第2発明においては、第1化合物を使用することができ、この第1化合物に代えて、第1化合物の「加水分解物」又は「部分縮合物」を用いることもできる。更に、第1化合物、その加水分解物又は部分縮合物のうちの2種以上を使用することもできる。また、第1発明においては、第2化合物を使用することができ、この第2化合物に代えて、第2化合物の「加水分解物」又は「部分縮合物」を用いることもできる。更に、第2化合物、その加水分解物又は部分縮合物のうちの2種以上を使用することもできる。尚、第1又は第2化合物の部分縮合物としては、重縮合可能な官能基を有しているものを使用することができる。
【0023】
また、重縮合の反応媒体の一種として一般に使用される有機溶媒は特に限定されず、第1及び第2化合物類の良溶媒であって、これらの化合物類を反応媒体中に均一に分散させ、混合させることができるものを用いることができる。この有機溶媒としては、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類及びエステル類などが挙げられる。これらは1種のみを使用してもよいし、均一に混合し得る2種以上を併用することもできる。
【0024】
アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール及びn−オクチルアルコール等が挙げられる。また、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を挙げることもできる。
【0025】
更に、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。また、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等を、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピル等を挙げることができる。
【0026】
有機溶媒とともに、通常、反応媒体として使用されるアルカリ性水溶液としては、第1及び第2化合物類を加水分解させ、重縮合させることができるものであれば、特に限定はされない。このアルカリ性水溶液としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びアミン化合物等の水溶液が挙げられ、これらのうちで特に好ましいものはアンモニア水である。
【0027】
第1発明では、第1及び第2化合物類を、有機溶媒とアルカリ性水溶液とからなる混合媒体中で加水分解させ、重縮合させることにより重合体粒子を含む分散体を得ることができる。そして、第2発明では、この分散体に更に第1化合物類を添加し、第1発明における重合体粒子の表面において加水分解させ、重縮合させて、その表面のみがより硬くなった重合体粒子を含む分散体とすることができる。また、これによって、親水性が付与され、水を主たる媒体とする研磨剤として使用した場合に、その性能が向上するだけではなく、水系分散体がより安定なものとなり、取り扱い易くなる。
【0028】
このようにして得られる第1及び第2発明の重合体粒子の粒径を透過型電子顕微鏡写真により測定した。200個以上の重合体粒子の粒径から算出される平均粒径は3〜1000nmであり、特に5〜500nm、更には10〜300nmである。この平均粒径が3nm未満では、粒径が小さすぎて、研磨剤として使用した場合に、研磨速度が小さくなり、また、電子材料、磁性材料、光学材料等、各種の用途において所要の特性が得られないため好ましくない。一方、平均粒径が1000nmを越える場合は、水系分散体の保存安定性が低下し、研磨剤として用いた場合に、被研磨面にスクラッチが発生することがあるため好ましくない。
【0029】
第1及び第2発明においては、第1及び第2化合物類を、上記の混合媒体中、30〜90℃、特に40〜80℃、更には50〜70℃で、30〜300分間、攪拌し、混合することにより、容易に重合体粒子を生成させることができる。これら第1化合物類と第2化合物類との合計量を100重量部とした場合に、第2化合物類の量比は0.1〜60重量部とすることができ、特に1〜40重量部、更には2〜20重量部とすることが好ましい。第2化合物類の量比が0.1重量部未満では、第1及び第2発明における重合体粒子を適度に柔らかくすることができないため、研磨剤として使用した場合に被研磨面にスクラッチが発生することがあり、また、前記の各種の用途において所要の性能が得られないため好ましくない。一方、第2化合物類の量比がが60重量部を越える場合は、重量部粒子の硬さが不足し、研磨性能の低下等を招くため好ましくない。
【0030】
また、第1及び第2発明の研磨剤に含有される重合体粒子は研磨剤として使用され、そして、この重合体粒子を水に分散させることで、第3発明の研磨剤とすることができるが、この研磨剤は、特に、半導体ウェハ、磁気ディスク等の化学機械研磨用の研磨剤として有用である。水系分散体からなる研磨剤として使用する場合は、通常、分散体に含まれるアルコール等の有機溶媒の全量又はその一部を除去し、実質的に水系分散体として使用される。
【0031】
この水系分散体からなる研磨剤は、所定の薬品を配合することにより、種々の被研磨物の研磨において使用することができる。水酸化カリウム及びアンモニア等を配合した場合は、絶縁膜の研磨に使用することができ、酸化剤及び酸などのエッチング剤を配合した場合は、タングステン、アルミニウム、銅などの金属膜の研磨に用いることができる。また、この研磨剤は他の研磨剤と適宜の量比で併用することもできる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明する。
実施例及び比較例においてウェハの研磨速度、スクラッチの有無は下記のようにして評価した。
研磨速度;研磨機としてラップマスターSFT社製の装置(型式「LGP−510」)を用い、この装置の定盤にロデール・ニッタ社製のパッド(品番「IC1000」)を貼り付け、このパッドにウェハを装着して3分間研磨した。研磨条件は、加工圧力350g/cm2、定盤回転数50rpm及び研磨剤供給量200ミリリットル/分とした。研磨速度は、研磨された酸化膜又は金属膜の一部をエッチングした後、残留した膜厚を段差計を用いて測定し、この膜厚(Å)を研磨時間(3分間)によって除して算出した。
スクラッチの有無;ウェハを上記と同様にして研磨した後、このウェハを流水によって十分に洗浄し、更に超音波によって20分間洗浄した後、このウェハをスピン乾燥機で乾燥し、微分干渉顕微鏡を用いてウェハの表面を観察した。
【0033】
(1)水系分散体からなる研磨剤の調製及びウェハの研磨
実施例1
エチルアルコール800重量部と、12重量%のアンモニア水600重量部とを60℃で攪拌し、混合しつつ、テトラエトキシシラン96重量部とメチルトリエトキシシラン4重量部との混合物を投入した。投入初期には透明であったものが3分後には青白色に着色し、3時間後には白色の重合体粒子を媒質とする分散体が得られた。透過型電子顕微鏡によって観察したところ、重合体粒子は真球状であり、その平均粒径は210nmであった。
【0034】
その後、この分散体をロータリーエバポレータによって減圧状態とし、水を添加しつつエチルアルコールとアンモニアを除去することにより、固形分濃度15重量%、pH=9の化学的機械的研磨の作用を有する水系分散体を得た。次いで、この水系分散体に水酸化カリウムを添加し、固形分濃度10重量%、H=11.5の水系分散体からなる研磨剤を得た。この研磨剤を使用して6インチ熱酸化膜付きシリコンウェハを研磨したところ、研磨速度は1500Å/分と大きく、スクラッチも観察されなかった。
【0035】
比較例1
テトラエトキシシラン96重量部とメチルトリエトキシシラン4重量部に代えて、テトラエトキシシラン100重量部を使用した他は、実施例1と同様にして重合体粒子を媒質とする分散体を得た。透過型電子顕微鏡によって観察したところ、重合体粒子は真球状であり、その粒子径は230nmであった。その後、実施例1と同様にして化学機械研磨の作用を有する水系分散体を得た。また、同様にして、この水系分散体からなる研磨剤を得た。この研磨剤を使用して6インチ熱酸化膜付きシリコンウェハを研磨したところ、スクラッチは観察されなかったが、研磨速度は300Å/分と小さかった。
【0036】
比較例2
テトラエトキシシラン96重量部とメチルトリエトキシシラン4重量部に代えて、メチルトリエトキシシラン100重量部を使用した他は、実施例1と同様にして反応させたがゲル状となり重合体粒子を得ることができなかった。
【0037】
実施例2
エチルアルコール800重量部と、12重量%のアンモニア水600重量部とを60℃で攪拌し、混合しつつ、テトラエトキシシラン85重量部とメチルトリエトキシシラン15重量部との混合物を投入した。投入初期には透明であったものが3分後には青白色に着色し、3時間後には重合体粒子を媒質とする白色の分散体が得られた。透過型電子顕微鏡によって観察したところ、重合体粒子は真球状であり、その平均粒径は180nmであった。
【0038】
その後、上記の分散体にテトラエトキシシラン50重量部を10分間かけて連続的に添加し、加水分解させ、重縮合させて、重合体粒子と、その表面に生成したテトラエトキシシランの重縮合物とからなる複合粒子(第2発明に対応する重合体粒子である。)を含む分散体を得た。透過型電子顕微鏡によって観察したところ、複合粒子の平均粒径は206nmであった。また、テトラエトキシシランの重縮合物からなる新たな粒子の生成は認められなかった。
【0039】
次いで、この複合粒子を含む分散体をロータリーエバポレータによって減圧状態とし、水を添加しつつエチルアルコールとアンモニアを除去することにより、固形分濃度20重量%、pH=9の化学機械研磨の作用を有する水系分散体を得た。その後、この水系分散体に、0.5重量%濃度のこはく酸水溶液及び0.5重量%濃度の過酸化水素をそれぞれ所要量配合し、固形分濃度5重量%の水系分散体からなる研磨剤を得た。この研磨剤を使用して6インチ5000Å銅膜付きシリコンウェハを1分間研磨したところ、研磨速度は3000Å/分と大きく、スクラッチも観察されなかった。
【0040】
比較例3
比較例1の水系分散体を用い、この水系分散体に、実施例2における銅膜の化学機械研磨のための薬品を配合した研磨剤を用いた他は実施例2と同様にして6インチ、5000Å銅膜付きシリコンウェハを研磨した。その結果、研磨速度は2500Å/分で特に問題はなかったが、スクラッチが多く、走査型顕微鏡による観察によれば、洗浄後も重合体粒子が銅膜の表面に残留していることが分かった。
【0041】
(2)磁気ディスク基板の研磨
実施例1及び2で得られた水系分散体に含有される重合体粒子若しくは複合粒子の濃度が5重量%となるように水によって希釈し、この希釈液に、研磨促進剤として硝酸アルミニウムを5重量%濃度となるように添加し、研磨剤を得た。また、比較のため、コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名「スノーテックス20」)、ヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名「アエロジル#90」)をそれぞれ5重量%含む他は同一組成の研磨剤を調製した。
【0042】
上記の研磨剤を用い、以下の条件で磁気ディスク基板を研磨し、研磨速度及びスクラッチの有無を評価した。
<研磨条件>
基板:Ni−P無電解めっきを施した3.5インチのアルミディスク(1段研磨済み)
研磨装置:ラップマスターSFT株式会社製、型式「LM−15C」
研磨パッド:Rodel(米国)社製、商品名「ポリテックス DG」
加工圧力:70g/cm2
定盤回転数:50rpm
研磨剤供給量:15ミリリットル/分
研磨時間:10分
【0043】
<評価方法>
研磨速度:研磨によるディスクの重量減から下記の式によって研磨速度を求めた。
研磨速度(nm/分)=[(W/d)/S]×107
W;1分間当たりの研磨による重量減、d;Ni−P無電解めっきの密度、S;被研磨面積
スクラッチ:研磨したディスクを洗浄し、乾燥した後、暗室内でスポットライトを当て、目視でスクラッチの有無を観察した。
【0044】
上記のようにして研磨を行った結果、実施例1、実施例2の水系分散体では、研磨速度はそれぞれ160nm/分及び180nm/分であった。一方、コロイダルシリカ又はヒュームドシリカを用いた場合は、研磨速度はそれぞれ128nm/分及び145nm/分であった。このように、本発明の研磨剤を使用し、磁気ディスクを研磨した場合、研磨速度が大きく、且つスクラッチもまったく発生していなかった。一方、コロイダルシリカ又はヒュームドシリカを用いた場合は、研磨速度はやや低い程度であるものの、被研磨面には多数のスクラッチが観察された。
【0045】
【発明の効果】
第1発明によれば、特定の有機シリコン化合物等からなり、特定の平均粒径を有する重合体粒子を含有する研磨剤を得ることができる。また、第2発明によれば、第1発明の重合体粒子の表面が、より硬い重合体によって覆われ、或いはより硬い重合体が皮膜状に生成し、表面硬度の大きい重合体粒子を含有する研磨剤を得ることができる。また、第3発明の重合体粒子と水とを含む水系分散体からなる研磨剤は、半導体ウェハ、磁気ディスク等の化学機械研磨の用途において特に有用である。
Claims (3)
- 下記の一般式(1)
M(OR1)z (1)
によって表される第1化合物、該第1化合物の加水分解物及び該第1化合物の部分縮合物のうちの少なくとも1種、並びに下記の一般式(2)
(R2)nM(OR3)z−n (2)
によって表される第2化合物、該第2化合物の加水分解物及び該第2化合物の部分縮合物のうちの少なくとも1種を重縮合させて得られ、平均粒径が3〜1000nmである重合体粒子を含有することを特徴とする研磨剤。
[一般式(1)及び一般式(2)において、MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Nb、Mo、Sn、Sb、Ta、W、Pb又はCeであり、zはMの原子価である。一般式(1)におけるR1及び一般式(2)におけるR3は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基又は炭素数6〜9のアリール基である。一般式(2)において、R2は炭素数1〜8の1価の有機基であって、nは1〜(z−2)の整数である。R1、R2及びR3は同一であってもよいし、異なっていてもよい。] - 請求項1記載の重合体粒子の存在下、請求項1記載の一般式(1)によって表される第1化合物、該第1化合物の加水分解物及び該第1化合物の部分縮合物のうちの少なくとも1種を重縮合させて得られ、平均粒径が3〜1000nmである重合体粒子を含有することを特徴とする研磨剤。
- 更に水を含む請求項1又は2に記載の研磨剤。
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