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JP4366887B2 - 音響整合部材の製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動源と振動伝搬媒体との音響インピーダンスの整合をとる音響整合部材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
物体の音響インピーダンスは(密度×音速)で求められる。空気中の音響インピーダンスZAIRは約428kg/m2s、超音波を発生する手段である圧電振動子の音響インピーダンスZPZTは約30×106kg/m2sである。圧電振動子から空気中へ超音波を放射する場合、両者の音響インピーダンスの差異による音の反射が発生し、音の放射効率が低下する。これを改善するために用いるものが音響整合部材である。音響整合部材の音響インピーダンスZMは理論計算から、(化1)
【0003】
【化1】
Figure 0004366887
【0004】
を満たす値が、音の反射がない状態になる理想値で、上記したZPZT及びZAIRの値を用いると、この値は約0.11×106kg/m2sとなる。
【0005】
図5は、音響整合部材の音響インピーダンスと圧電振動子から空気中に放射される音のエネルギーの割合の関係を示した特性図である。音響インピーダンス約0.11×106kg/m2sで、透過の割合が1となり反射のないことを示している。
【0006】
この理想的な音響インピーダンスを持つ音響整合部材を得るため音響整合部材を構成する材料は、密度が軽く、かつ、音速が遅いことが必要である。
【0007】
このため、従来の音響整合部材には、樹脂材料にガラスバルーンを混ぜて固めた構成のものがある。ガラスバルーンは中空であるので、非常に軽いという特徴がある。これを樹脂にまぜて固めて得られた構造体は、樹脂だけで固めて得られた構造体に比べ密度が軽くなる。音速はおよそ2300m/sで、密度は1.2g/cm3の樹脂材料に、真密度0.13g/cm3のガラスバルーン(住友スリーエム株式会社「スコッチライトTMグラスバブルズフィラー」)を混ぜて固めると、密度0.56g/cm3、音速2100m/sの構造体が得られる。そしてこれの音響インピーダンスZCOMは1.18×106kg/m2sとなる。
【0008】
また、特開平2−177799号公報はガラスの中空球体だけで音響整合部材を構成することを特徴としており、その製造方法はガラスの中空球体が軟化する温度に加熱して、圧縮することで中空球体のそれぞれの接触点で結合させる方法が述べられている。ガラスの中空球体は住友スリーエム株式会社「スコッチライトTMグラスバブルズフィラー」を用い、得られた音響整合部材は音速900m/s、音響インピーダンスZBGは約0.45×106kg/m2sの特性を持つことが明記されている。音響インピーダンスは音速×密度で表されるので、この音響整合部材は密度が0.5g/cm3となる。ガラスの音速は5000〜6000m/sであるが、中空球体とすることにより音速が900m/sまで下がる。
【0009】
前述した音響整合部材の音響インピーダンスZBGとZCOMとを、図6の特性図上にプロットすると、ZBGは記号△に位置し、ZCOMは記号□に位置し、透過の割合はZBGの場合が0.21、ZCOMの場合が0.05となり、ZCOMの場合に比べ、ZBGの場合は音の透過率が4倍となる。
【0010】
このように音響インピーダンスが異なると音の伝搬特性が大きく変化するので、音の伝搬特性を安定させるため、音響整合部材の音響インピーダンスを所望の値とすると同時に、ばらつきを小さくする必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の音響整合部材の製造方法では、材料の充填状態や混合状態が安定せず、音響整合部材の密度と音響特性にばらつきが発生していた。そのため構成材料の充填・混合状態のばらつきの低減という課題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、骨格を構成する主材料と、前記主材料と異なる大きさで前記主材料を固める補助材料と、空孔形成材とを混合し、加圧した後前記構造体材料を結合し、空孔形成材を除去することによって音響整合部材を形成するものである。
【0013】
上記発明によれば骨格を構成する主材料と、前記主材料と異なる大きさで前記主材料を固める補助材料と空孔形成材とを含有する状態で加圧するので、空孔形成材が必要な圧力に耐えるものを選定すれば高圧をかけることが可能となる。そして高圧で加圧することによって、大きさの大きな粒子の隙間に大きさの小さな粒子が入り込む。このことによって異なる材料の分布が均一となる。また高圧で同一寸法に形成することができるので、音響整合部材の仕上がり密度と音響特性のばらつきを小さくすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に係る音響整合部材の製造方法は、骨格を形成する主材料と、主材料と異なる大きさで主材料を固める補助材料と、空孔形成材とを混合し、加圧した後構造体材料を結合し、空孔形成材を除去し形成する。そして、骨格を構成する主材料と異なる大きさで主材料を固める補助材料と空孔形成材とを含有する状態で加圧するので、空孔形成材が必要な圧力に耐えるものを選定すれば高圧をかけることが可能となる。また高圧で加圧することによって、大きさの大きな粒子の隙間に大きさの小さな粒子が入り込む。このことによって異なる材料の分布が均一となる。また高圧で同一寸法に形成することができるので、音響整合部材の仕上がり密度と音響特性のばらつきを小さくすることができる。
【0015】
本発明の請求項2に係る音響整合部材の製造方法は、空孔形成材と主材料と補助材料との大きさの比率によって音響整合層の密度を調整する。そして主材料の大きさを一定とした場合、空孔形成材の大きさを大きくすると空孔が大きくなるため密度は小さくなるが、音の伝搬強度が低くなる。また補助材料の大きさを大きくすると主材料の間に補助材料が入り込むので、密度は大きくなり強度高くすることができる。このように密度と音の伝搬強度とを自由に調整することができる。
【0016】
本発明の請求項3に係る音響整合部材の製造方法は、焼成前後の収縮率によって密度を調整するものである。そして焼成過程で材料が溶解し体積が変化することによって密度が変化する。そこでこの収縮率を調整することによって所望する密度の音響整合部材を製造することができる。この方法では同じ材料で所望する密度の音響整合部材を製造することができる。
【0017】
本発明の請求項4に係る音響整合部材の製造方法は、収縮率を最高加熱温度により調整するものである。そして、混合材料が融解する割合を最高加熱温度で調整し、所望する密度の音響整合部材を製造する。この方法は温度調節によって密度を調整するので、容易に音響整合部材の密度を調整することができる。
【0018】
本発明の請求項5に係る音響整合部材の製造方法は、収縮率を加熱時間により調整する。そして混合材料が融解する割合を加熱時間で調整し、所望する密度の音響整合部材を製造する。この方法は温度調節によって密度を調整するので、容易に音響整合部材の密度を調整することができる。
【0019】
本発明の請求項6に係る音響整合部材の収縮率は、主材料と補助材料に融点が異なるものを用い、前記主材料と補助材料との相対量で調整するものである。
【0020】
そして主材料と副材料の融点が異なるので、一点の温度で急に全材料の収縮進むことがなく収縮率を容易に調整できる。また融点の異なる主材料と副材料との相対量で収縮率を容易に調整できる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0022】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の完成品の音響整合部材の断面図、図2は同音響整合部材の製造方法の工程図、図3は同音響整合部材の主材料と補助材料の大きさを変えた形態の断面図である。
【0023】
図1において1は音響整合部材を示す。2は骨格を形成する主材料でありここではアルミナを用いる。3は主材料2より小さく主材料2を固める補助材料3でありここではガラスを用いる。4は空孔でありここでは空孔形成材にアクリル球を用い焼成後にあいた空孔を示す。この図は主材料2が骨格を形成し、複数の主材2どうしを補助材料3が接合していることを示す。
【0024】
次に実施例1における音響整合部材1の製造方法について図2の工程図を用いて説明する。
【0025】
まずステップS1の第1の混合処理では、主材料2であるアルミナと補助材料3であるガラスを混合する。次にステップS2の混合処理2で第1の混合処理でできた混合材に空孔形成材4であるアクリル球を混合する。次にステップS3の加圧形成処理では第2の混合処理でできた混合材を音響整合部材1の形状をしたケースに入れ2tで加圧形成する。このときの混合材を薄く切った図を図3に示す。次にステップS4の焼成処理では、空孔形成材5を高温で焼き飛ばし除去すると同時に、補助材料3のガラスを融解させ複数の主材料2どうしに融着させることによって主材料2を結合する。
【0026】
この製造方法によれば、ステップS2の混合処理によってほぼ均一に主材料2と補助材料3が混合され、さらにステップS3の加圧形成処理によって大きさの大きい主材料2の隙間に大きさの小さい補助材料3が滑り込むことによってさらに均一な混合状態とすることができる。これにより音響整合部材1の仕上がり密度のばらつきが小さくなり、同一性能の音響整合部材1を製造できる。
【0027】
また、図3に主材料2の大きさを大きくした場合の音響整合部材の断面図を示す。このように主材料2の大きさを大きくすると、補助材料3がより多く主材料間の隙間に入り込むため、密度を大きくできる。このように主材料の大きさを変えることによって密度を自由に設定することができる。大きさは相対的なものなので、補助材料3、空孔形成材4の大きさを変えても同様の密度調整をすることができる。
【0028】
(実施例2)
次に図4と図5を用いて焼成処理の時の設定と密度変化の関係を説明する。
【0029】
図4は焼成温度を変えた場合の焼成温度の時間変化を示している。主材料は融点が1200℃のアルミナ、補助材料は融点が700℃のガラス、空孔形成材は融点が450℃のアクリル球を使用する。炉の温度は設定温度まで10℃/1時間で上昇し、設定温度に達すると2時間設定温度を保ち、その後20℃/1時間で下降する。音響整合部材1の密度を低く調整する場合は図4の記号Aに示すように設定温度を融点付近に設定する。ここでは750℃としている。音響整合部材1の密度を高くする場合は図4の記号Bに示すように設定温度を融点に対し十分高く設定する。ここでは800℃としている。こうすることにより、補助材料3の融解する度合いが変化し、音響整合部材の収縮率が変化する。このため焼成温度が高い場合は収縮率が大きく密度は高くなる。反対に焼成温度が低い場合は収縮率が小さく密度は低い。
【0030】
この製造方法によれば、焼結する段階で補助材料3の融解割合を温度制御によって調整するので、材料を変更することなく容易に音響整合部材1の密度を調節することができる。
【0031】
図5は焼成時間を変えた場合の焼成温度の時間変化を示す特性図である。炉の温度は設定温度まで10℃/1時間の割合で上昇し、750℃に達すると設定された時間設定温度を保ち、その後20℃/1時間の割合で下降する。音響整合部材1の密度を弱くする場合は、図5の記号Aに示すように設定時間を短く設定する。ここでは2時間としている。音響整合部材1の密度を高くする場合は、図5の記号Bに示すように設定時間を十分長く設定する。ここでは5時間としている。こうすることにより、補助材料3の融解する割合いが変化し、音響整合部材1の収縮率を変えることができる。この製造方法によると音響整合部材1の収縮率、つまり密度を時間設定によって任意に設定することができるという効果がある。また主材料2と補助材料3に融点が異なるものを用いているので、一点の温度で急に全材料の収縮が進むことがなく収縮率を容易に調整できる。また融点の異なる主材料と副材料との相対量で収縮率を容易に調整できる。例えば主材料対副材料の比を5:5の場合と比べ6:4とすることにより収縮率を小さくすることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかのように本発明の音響整合部材の製造方法によれば、骨格を構成する主材料とこの主材料と、異なる大きさでかつ前記主材料を固める補助材料とから成る構造体材料に空孔形成材とを混合し、加圧した後に構造体材料を結合させ、空孔形成材を除去するという製造方法により、大きさの大きな粒子の隙間に大きさの小さな粒子が入り込むようにすることができる。このことによって異なる材料の分布が均一となる。また高圧で同一寸法に形成することができるので、音響整合部材の仕上がり密度と音響特性のばらつきを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の音響整合部材の製造方法における音響整合部材の薄切り断面図
【図2】同音響整合部材の製造工程図
【図3】同音響整合部材の主材料と補助材料の大きさを変えた形態の断面図
【図4】同音響整合部材の焼成温度を変えた場合の焼成温度の時間変化特性図
【図5】同音響整合部材の焼成時間を変えた場合の他の焼成温度の時間変化特性図
【図6】従来の音響整合部材の音響インピーダンスと音のエネルギーの透過の割合を示す特性図
【符号の説明】
1 音響整合部材
2 主材料
3 補助材料
4 空孔形成材

Claims (6)

  1. 骨格を形成する主材料とこの主材料と異なる大きさでかつ前記主材料を固める補助材料とから成る構造体材料に空孔形成材とを混合し、加圧した後に前記構造体材料を結合させ、前記空孔形成材を除去し形成する音響整合部材の製造方法。
  2. 音響整合部材の密度は、空孔形成材と主材料と補助材料の大きさの比率で調整する請求項1記載の音響整合部材の製造方法。
  3. 音響整合部材の密度は、焼成後の収縮率で調整する請求項1記載の音響整合部材の製造方法。
  4. 音響整合部材の収縮率は、最高加熱温度により調整する請求項3記載の音響整合部材の製造方法。
  5. 音響整合部材の収縮率は、加熱時間により調整する請求項4記載の音響整合部材の製造方法。
  6. 音響整合部材の収縮率は、主材料と補助材料に融点が異なるものを用い、前記主材料と補助材料との相対量で調整する請求項3記載の音響整合部材の製造方法。
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