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JP4367169B2 - 油焼入装置 - Google Patents
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この発明は鋼材などの金属製の処理品を加熱後、焼入油に浸漬して冷却する油焼入装置に関する。
一般に鋼材製の機械部品や金型などの処理品を焼入硬化させる真空油焼入方法においては、処理品を加熱室において減圧状態で所定の温度に加熱後、加熱室に隣接配置した焼入室の油槽内の焼入油に浸漬して冷却する。そしてこの油冷(油中浸漬による冷却)後の処理品は、焼入室内へ引揚後、そのまま焼入室外へ抽出するか、必要に応じて焼入室内でさらにガス冷却した後に焼入室外へ抽出する。(たとえば、特許文献1参照。)。
特開平8−67909号公報(第2−3頁、図1)
ところが上記の焼入処理方法のうちでは、油冷後の処理品を油中から焼入室内へ引揚後にそのまま焼入室外へ抽出するケースが多く、また通常一度に多数個の処理品をバスケットなどに収容した状態で加熱および冷却をおこなうので、焼入室から抽出された処理品や上記バスケットなどに付着した多量の焼入油が、焼入室の出入口の外側の床面や処理品の受取・搬送装置上などに滴下して床面等を汚損する。このため従来は作業者が人手により床面等を清掃していたので手間がかかり、作業者の衛生上も好ましくなく、また焼入に続く後工程での作業者や装置への油の付着を防ぐためには、処理品やバスケットに付着した状態の油も清掃する必要があるので、この清掃にも手間がかかるものであった。
この発明は上記従来の問題点を解決しようとするもので、油焼入後の処理品や処理品を収容するバスケット等に付着して焼入室の外部へ抽出される焼入油の量を低減化できる油焼入装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の油焼入装置は、焼入油を貯留する油槽を下部にそなえた焼入室を、仕切扉を介して加熱室に連設して成り、前記加熱室で加熱した処理品を前記油槽内の前記焼入油に浸漬して油冷する油焼入装置において、不活性ガス供給装置と、この不活性ガス供給装置に接続され、前記油冷後に前記焼入室から抽出される前記加熱及び前記焼入油への浸漬後の前記処理品に不活性ガスを吹付けるように噴出口を向けて前記焼入室の出入口扉の内側位置に複数個配設されたガス吹付ノズルとを、具備し、前記複数個のガス吹付ノズルは、抽出方向に移動する前記処理品の移動経路の底部および両側部を包囲する略コ字状のノズルパイプの内側に取付けられており、かつ前記ガス吹付ノズルの噴出口が前記処理品の抽出方向と反対側に傾斜していることを特徴とする。
請求項1記載の手段によれば、油冷後に焼入室から抽出される加熱及び焼入油への浸漬後の処理品に、ガス吹付ノズルの噴出口から不活性ガスを吹付けることにより、処理品や処理品を収容するバスケット等(処理品支持用のハンガーを含む。以下、処理品等と総称する。)に付着している焼入油が分離除去されて焼入室内に回収され、これら処理品等に付着して焼入油が焼入室の外部へ抽出されるのが抑制される。
この発明において複数個のガス吹付ノズルは、焼入室の出入口扉の内側位置に、任意の配列で設置することができるが、請求項2記載の発明のように、前記複数個のガス吹付ノズルが、前記処理品の抽出時の移動方向に直交する垂直面上に配列されている構成とすれば、ガス吹付ノズル配列部を通過する処理品等の垂直面上にある上下各部に同時に不活性ガスが吹付けられるので、焼入油が除去された処理品等の下部に、処理品等の上部から分離除去された焼入油が滴下して再付着するのが防止され、処理品等の各部からムラなく焼入油を分離除去できる。
またこの発明において不活性ガスの噴出開始および噴出停止は、焼入室から抽出方向に移動中の処理品に不活性ガスが吹付けられるのであれば、任意のタイミングでおこなうことができるが、請求項3記載の発明のように、前記ガス吹付ノズルの噴出口からの不活性ガスの噴出を、前記油冷後の前記処理品の抽出方向への移動開始時に開始し、前記処理品が前記噴出口対向位置を通過後、前記移動を終了するまでの間に停止させる噴出制御装置を具備した構成とすれば、処理品等に実際に吹付けられている時間以外での不活性ガス噴出時間が短縮化され不活性ガスの不必要な浪費が防止される。
またこの発明において処理品には常温の不活性ガスを吹付けてもよいが、請求項4記載の発明のように、前記不活性ガス供給装置が、ガス加熱用のヒータをそなえ、このヒータにより加熱された不活性ガスを前記噴出口から前記処理品に吹付けるようにした構成とすれば、ガス加熱装置により加熱し昇温した不活性ガスを吹付けることにより、処理品等に付着した焼入油を低粘度の状態で確実容易に分離除去することができる。
この発明によれば、油焼入後の処理品や処理品を収容するバスケット等(以下、処理品等という)に付着して焼入室の外部へ抽出される焼入油の量を低減化でき、抽出後の焼入油の清掃作業が軽減化されるとともに、油槽内の焼入油の減量も抑制される。
また上記の効果に加えて、請求項2記載の発明によれば、処理品等の各部からムラなく焼入油を分離除去することができる。
また上記の効果に加えて、請求項3記載の発明によれば、不活性ガスの不必要な浪費が防止される。
また上記の効果に加えて、請求項4記載の発明によれば、処理品等に付着した焼入油を低粘度の状態で確実容易に分離除去することができる。
以下、図1〜図3に示す一例により、この発明の実施の形態を説明する。図1は真空油焼入装置1の全体を示し、2は加熱室、3は仕切扉4を介して加熱室2に連設した焼入室、5はこの焼入室の下側に設けた油槽であり、焼入油6が貯留されている。7は焼入室の出入口扉である。
加熱室2は、図示しない真空ポンプが接続された耐圧容器である炉殻11内に、断熱壁12により包囲されて形成され、加熱用のヒータ13をそなえている。14は炉殻11内に固設された溝形鋼製のガイドレールで、処理品Wの加熱室2内への受入・送出時に、処理品W支持用のハンガー20(後述)をガイドするためのものである。また15は処理品Wを支持する昇降テーブルで、シリンダ16により昇降駆動される。17は仕切扉4の開閉駆動用のシリンダである。
また図1および図2において、20は処理品W支持用のハンガーで、処理品Wが載置されるフォーク部21を固設した上部フレーム22に、複数対のローラ23をそなえている。25はハンガー20の昇降駆動装置で、ハンガー20のローラ23をガイド・支承する一対の溝形鋼製のガイドレール26を固設した昇降フレーム27を、昇降シリンダ28のピストンロッドに接続して成る。
一方焼入室3の出入口扉7の外側には、焼入処理前および処理後の処理品Wを支持する昇降台31、および処理品Wの焼入装置への装入・抽出時にハンガー20をガイドする揺動式の溝形鋼製のガイドレール32が設けてある。そしてこの例では、焼入室3の出入口開閉用に片開き式の出入口扉7を用いているので、この出入口扉7の開閉動時に、シリンダ33によりガイドレール32を支軸34のまわりに上方へ回動させ、出入口扉7との干渉を防ぐようにしてある。
40は、ガイドレール32,26,14に沿ってハンガー20を前後駆動する前後駆動装置で、ハンガー20の上部フレーム22に固設した前後方向に延びるチェーン41(図2参照)に係合するように、各部に設けた4個の駆動スプロケット42(図1参照)を、モータ43により回転駆動する構成となっている。すなわち、焼入室3の頂部の2個の駆動スプロケット42はモータ43によりチェーン駆動され、これらの駆動スプロケット42の回転は連動用チェーン44,45を介して加熱室2の頂部および焼入室外側(ガイドレール32部)の駆動スプロケット42に、それぞれ伝達され、これによって各駆動スプロケット42は、同一方向に同周速で回転駆動されるのである。
50はハンガー20の位置検出装置で、モータ43によりチェーン駆動されるループチェーン51に取付けたドグ52の位置を検出することにより、ハンガー20が焼入室3外,焼入室3内,および加熱室2内の各停止位置に到達したことを検出するセンサ53,54,55および、後述の不活性ガス吹付終了制御用に、焼入室3から抽出される処理品Wが後述のガス吹付ノズル60部通過時にドグ52により作動して信号を発するセンサ56とをそなえている。
これらのセンサ53〜56の検出信号は制御装置57に入力され、これに応じて制御装置57は、モータ43の制御によるハンガー20の前後駆動および出力信号Sによる後述の不活性ガス吹付制御をおこなう。またこの他に制御装置57は、昇降シリンダ28やシリンダ16,17,33等の駆動、加熱室2の温度や真空度、焼入油6の油温等、真空油焼入の工程に応じて各部のプログラム制御をおこなうものである。
一方、60は焼入室3の出入口扉7の内側位置に設けたガス吹付ノズルで、処理品Wの焼入室3からの抽出時の移動方向Xに直交する垂直面61に沿って設けられた、処理品Wおよびハンガー20の移動経路の底部および両側部を包囲する略コ字状のノズルパイプ62の内側(処理品W通過側)に、上記垂直面61上に多数個配列された形で取付けられている。63はノズルパイプ62を焼入室3の炉壁に固定保持するブラケットである。なおこの例では、各ガス吹付ノズル60は、図3に示すようにその噴出口64の中心軸線64aを、垂直面61に対して処理品Wの抽出方向Xと反対側、すなわち焼入室3の内側に向って、所定の角度θだけ傾けた状態で、ノズルパイプ62に固定取付けされている。
そしてノズルパイプ62のガス送給口65は、配管66を介して不活性ガス供給装置(この例ではNガスタンク)67に接続されている。68は配管66の途中に設けた開閉弁、69は同じくガス加熱用ヒータである。
上記構成の装置により処理品Wを真空油焼入れするには、焼入室外側のガイドレール32に支持したハンガー20に、上昇状態とした昇降台31上の未処理の処理品Wを移載し、次いで前後駆動装置40によりハンガー20を前進駆動して焼入室3を経て加熱室2内に搬送した処理品Wを、昇降テーブル15上に移載し、ハンガー20を焼入室3内へ後退させ、仕切扉4を閉じて加熱室2内を所定の真空度に減圧後、所定の温度で処理品Wを真空加熱する。
真空加熱後の処理品Wは、加熱室2内を復圧後、仕切扉4を開いて昇降テーブル15上からハンガー20のフォーク部21上に移載し、図1に実線で示すように焼入室3内に停止させたのち、昇降シリンダ28により昇降フレーム27と共にハンガー20を下降駆動して処理品Wを焼入油6に浸漬させる。
所定時間の焼入油6への浸漬後、ハンガー20を上昇駆動して処理品Wを焼入室3内に引揚げ、次いで前後駆動装置40によりハンガー20を矢印Xで示す抽出方向に後退駆動して、処理品Wを焼入室3から外部へ抽出する。このとき、ハンガー20の上記抽出方向への移動開始時に制御装置57の出力信号Sにより開閉弁68を開いて、不活性ガス供給装置67のNガスをガス加熱用ヒータ69により加熱後ノズルパイプ62に送給し、各ガス吹付ノズル60の噴出口64から噴出させる。
この噴出されたNガスは、ハンガー20と共に上記抽出方向に移動する処理品Wに吹付けられ、これによって、処理品Wおよび処理品Wを収容するバスケット(図示せず)やハンガー20等(以下、処理品等と総称する。)に付着している焼入油6が、その付着部から分離除去されて下方へ滴下し、焼入室3の外部へ抽出される焼入油6の量が低減化される。
そして各ガス吹付ノズル60は抽出方向Xと直交する垂直面61上に配列されているので、この配列部を通過する上記処理品等の垂直面上にある上下各部に同時にNガスが吹付けられ、焼入油6が除去された処理品等の下部に、処理品等の上部から分離除去された焼入油が滴下して再付着するということが防止され、処理品等の各部からムラなく良好に焼入油6が分離除去されるのである。さらにこの例では、ガス吹付ノズル60の噴出口64は、図3に示すように抽出方向Xと反対側に傾斜しているので、処理品等から分離した焼入油6は焼入室3の内側方向に駆動されて油槽5内に確実に回収することができる。
またNガスはガス加熱用ヒータ69により加熱され昇温した状態で処理品等の焼入油付着部に吹付けられるので、焼入油6は低粘度の状態で確実容易に処理品等から分離除去される。
上記のハンガー20の後退駆動により、処理品Wがガス吹付ノズル60部(この例では垂直面61部)を通過したら、センサ56によりこの通過を検出して制御装置57は、上記通過直後乃至該通過時点から所定の短時間後に、出力信号Sとして開閉弁68の閉弁信号を出力し、開閉弁68は閉じてガス吹付ノズル60からのNガス吹付は終了し、Nガスの不必要な浪費は防止される。その後ハンガー20を焼入室3の外側の所定停止位置に停止させ、処理品Wを昇降台31上に移載して、1回の真空焼入れを完了するので、以下、順次未処理の処理品Wに対して上記工程を繰返せばよい。
焼入室3から抽出された処理品等は、上記のNガス吹付による焼入油6の付着部からの分離除去の結果、残留付着している焼入油6は少量に過ぎず、昇降台31やその周囲の床面等への焼入油6の滴下も少量であって、これら滴下焼入油や処理品等の残留付着焼入油の清掃は、布片による拭取りなどによって簡単におこなうことができ、手間がかからない。
この発明は上記の例に限定されるものではなく、たとえば、加熱室2や焼入室3の具体的構成、処理品Wの搬送・支持機構などは、上記以外のものとしてもよい。またガス吹付ノズルの配列やその噴出口の向き、不活性ガス噴出の開始および停止のタイミング、不活性ガスの種類等も、上記以外のものとしてもよく、さらに焼入油の性状や焼入後の処理品の温度等によっては、ガス加熱用ヒータ69は省略してもよい。また上記の例は、この発明を真空油焼入装置に適用した場合について説明したが、この発明は常圧で油焼入をおこなう油焼入装置にも適用できるものである。
この発明の実施の形態の一例を示す真空油焼入装置の縦断面図である。 図1のA−A線断面図である。 図2のB−B線断面図である。
符号の説明
1…真空油焼入装置、2…加熱室、3…焼入室、5…油槽、6…焼入油、20…ハンガー、50…位置検出装置、57…制御装置、60…ガス吹付ノズル、61…垂直面、64…噴出口、67…不活性ガス供給装置、68…開閉弁、69…ガス加熱用ヒータ、W…処理品。

Claims (4)

  1. 焼入油を貯留する油槽を下部にそなえた焼入室を、仕切扉を介して加熱室に連設して成り、前記加熱室で加熱した処理品を前記油槽内の前記焼入油に浸漬して油冷する油焼入装置において、
    不活性ガス供給装置と、
    この不活性ガス供給装置に接続され、前記油冷後に前記焼入室から抽出される前記加熱及び前記焼入油への浸漬後の前記処理品に不活性ガスを吹付けるように噴出口を向けて前記焼入室の出入口扉の内側位置に複数個配設されたガス吹付ノズルとを、具備し
    前記複数個のガス吹付ノズルは、抽出方向に移動する前記処理品の移動経路の底部および両側部を包囲する略コ字状のノズルパイプの内側に取付けられており、かつ前記ガス吹付ノズルの噴出口が前記処理品の抽出方向と反対側に傾斜していることを特徴とする油焼入装置。
  2. 前記複数個のガス吹付ノズルが、前記処理品の抽出時の移動方向に直交する垂直面上に配列されている請求項1記載の油焼入装置。
  3. 前記ガス吹付ノズルの噴出口からの不活性ガスの噴出を、前記油冷後の前記処理品の抽出方向への移動開始時に開始し、前記処理品が前記噴出口対向位置を通過後、前記移動を終了するまでの間に停止させる噴出制御装置を具備した請求項1または2記載の油焼入装置。
  4. 前記不活性ガス供給装置が、ガス加熱用のヒータをそなえ、このヒータにより加熱された不活性ガスを前記噴出口から前記処理品に吹付けるようにした請求項1または2または3記載の油焼入装置。
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