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JP4368739B2 - 静電吸引駆動装置 - Google Patents
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JP4368739B2 - 静電吸引駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、静電力で駆動させられる静電吸引駆動装置に係わり、特により大きな静電力(クーロン力)を得て大きな推進力を発生できるようにした静電吸引駆動装置に関する。
従来の静電吸引駆動装置に関する先行技術文献としては、例えば以下の特許文献1などが存在している。図10は、特許文献1の図1に示されている静電吸引駆動装置の概略構成を示す図、図11は同じく図2として電極に印加される電気信号を示すタイミングチャートである。
この静電吸引駆動装置では、図10に示すように第1の固定子2aと第2の固定子2bとが所定の距離を隔てた状態で互いに対向配置され、その間にスライド移動する可動子3が配置されている。
前記第1の固定子2aには所定方向に順次配列された3系統の電極A,B,C(第1電極)が設けられ、前記第2の固定子2bには一様な1系統の電極Dが設けられている。また前記可動子3は、一方の表面に前記第1の固定子2aの各電極A,B,Cの電極ピッチに対応して設けられた電極部3aと、他方の表面に前記第2の固定子2bに対向して設けられた平坦な電極部3dとを有しており、前記両電極部3aおよび3dは同一電位に維持される1系統の電極E(第3電極)を形成している。
図11に示すように、前記第1の固定子2aに設けられる電極Aに電圧を印加して、電極Aの電位を可動子3に設けられる電極Eの電位よりも高くすると、電極Aと電極Eとの間で作用する静電力(クーロン力)により、可動子3は第1の固定子2a側に吸引される。その際、電極Aと電極部3aがぴったり重なり合う状態がもっとも安定であるため、可動子3は電極Aと電極部3aとが重なり合うように電極Aより作用力を受ける。続いて、電圧を印加する電極を第2の固定子2bに設けられる電極Dに切り換えると、可動子3は第2の固定子2b側に吸引される。さらに、電圧を印加する電極を固定子2aに設けられる電極Bに切り換えると、電極Aに電圧を印加した際と同様なメカニズムにより、可動子3は電極Bと電極部3aが重なり合う用に電極Bより作用力を受ける。このような一連の動作、即ち電圧を電圧源6からスイッチング回路5を介して電極A→電極D→電極B→電極D→電極C→電極D→電極A…と順次繰り返して印加する(第1の固定子2aに設けられる電極A〜Cと第2の固定子2bに設けられる電極Dとに交互に電圧を印加するとともに、第1の固定子2aに設けられる電極を前記所定方向に順次切り換える)ことにより、可動子3は微視的には上下振動をしながら、巨視的には第1の固定子に配列された電極の配列方向(図中の右側)に駆動されるようになっている。
特開2001−346385号公報
上記のような静電吸引駆動装置を、例えばカメラなどに搭載し、オートフォーカスのためのレンズを移動させるための駆動装置として用いる場合には、レンズを移動させるだけの推進力を得ること、およびその際の移動速度や応答速度などを高める必要がある。そして、そのためには大きな静電力(クーロン力)の発生させることにより、大きな推進力を得ることができるような静電吸引駆動装置とする必要がある。
ここで前記静電力は、一般に印加電圧の二乗および電極間の対向面積に比例するとともに、ギャップの隙間寸法の二乗に反比例するという性質を有する。したがって、これら各要素を最適な値に設定することにより大きな静電力を得ることが可能となる。
しかし、前記印加電圧を高めるにはカメラに搭載可能な電池や耐電圧などによる問題からの制約がある。またギャップの隙間寸法を狭めるにも加工精度の問題などからおのずと限界がある。
また上記従来の静電吸引駆動装置は、第1,第2の固定子2a,2b側の各電極と可動子3側の電極とが平面的に対向する構成である。このため、前記電極間の対向面積を広くするには、前記第1の固定子2a、第2の固定子2bおよび可動子3に設けられた各電極の面積を平面的に大きくする必要があるが、それでは静電吸引駆動装置自体が大型化してしまう。しかも、前記可動子3の重量も増加してしまうため、かえって可動子3の移動速度や応答速度を低下させてしまうといった問題がある。
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、小型化することができるとともに、大きな推進力を発生することができるようにした静電吸引駆動装置を提供することを目的としている。
本発明の静電吸引駆動装置は、移動方向へ所定の長さを有する固定子と、前記固定子に対向し前記移動方向へ移動できるように支持された可動子とを有し、
前記固定子の対向面に、前記可動子に向けて垂直に突出して前記移動方向と直交する幅方向に電極面を有する複数の固定子側電極が設けられ、複数の前記固定子側電極は、前記移動方向に間隔を空けて列を成すとともに、隣り合う前記列どうしで、前記幅方向に間隔を空けて対向しており、
前記可動子の対向面に、前記固定子に向けて垂直に突出して前記幅方向に電極面を有する複数の可動子側電極が設けられ、前記可動子側電極は、前記移動方向に間隔を空けて列を成して配置され、前記可動子側電極の列が、隣り合う前記固定子側電極の列の間に入り、前記固定子側電極の電極面と前記可動子側電極の電極面とが前記幅方向に対面可能となっており、
通電された前記固定子側電極と前記可動子側電極との対向部分に発生する静電吸引力で前記可動子前記移動方向へ移動力が与えられ、次に前記固定子側電極よりも前記移動方向の前方に位置する他の固定子側電極が通電されるように、前記移動方向に並ぶ複数の前記固定子側電極異なるタイミングで選択されて通電されることで、前記可動子が前記固定子電極の配列ピッチを越える距離だけ移動させられることを特徴とするものである。
本発明の静電吸引駆動装置では、複数の可動子側電極と複数の固定子側電極とが三次元的に対向配置されているため、電極間に広い対向面積を確保することができ、静電吸引力を高めることができる。このため、大きな推進力を得ることが可能となり、従来に比較してより重量物を搬送することが可能となる。
また前記可動子が、所定の抵抗を介して接地されているものが好ましく、より好ましくは前記可動子と接地電位との間の電気的な接続の状態が、所定のタイミングで切り換えられるものである。
上記手段では可動子側に帯電しやすい電荷を放出することができるため、可動子の動きを俊敏にすることができる。すなわち、可動子の移動速度や応答速度を高めることができる。
本発明では、大きな静電吸引力を得ることにより、大きな推進力を発揮することが可能な静電吸引駆動装置を提供することができる。よって、従来に比較してより重量物を搬送することが可能となる。
また可動子を所定のタイミングで除電することにより、可動子の移動速度や応答速度の低下を防止することができる。
図1は本発明の実施の形態としての静電吸引駆動装置を示す分解斜視図、図2は固定子と可動子とが対向した状態を示しており、図1のII−II線における断面図である。図3は第1の実施の形態としての固定子の構造を部分的に示す平面図、図4は固定子と固定子が取り付けられる基板の一構造を示す断面図である。なお、以下においては図示Y1方向が移動方向、X方向が幅方向、Z方向が高さ方向である。
図1に示すように、本発明の静電吸引駆動装置10は、高さ方向の図示Z2側に設けられた固定子20と、図示Z1側に設けられた可動子30とを有している。
前記固定子20は、移動方向であるY方向に延設された平板状の部材であり、例えばシリコンなどの絶縁性の材料で形成されている。前記固定子20の対向面(固定子側対向面)20a(Z1側)の幅方向(X方向)の両端部には、移動方向(Y方向)に沿って互いに平行に延びる一対のV字形状の案内溝21,21が設けられている。前記案内溝21,21の表面は摩擦抵抗の小さな平滑面で形成されている。
一方、前記可動子30の移動(Y)方向の長さ寸法は、前記固定子20よりも短い寸法で形成されている。前記可動子30は導電材料で形成されている。あるいはシリコンなどの絶縁材料で形成した可動子30の一方の面に導電性の平板など取り付けて対向面(可動子側対向面)30aとしたものであってもよい。
前記可動子30の対向面30a(Z2)側の幅方向(X方向)の両端部には、移動方向(Y方向)に沿って互いに平行に延びる一対の案内凸部31,31が設けられている。前記案内凸部31,31の表面も摩擦抵抗の小さな平滑面で形成されている。
図2に示すように、前記固定子20の対向面20aと可動子30の対向面30aを対向させると、前記案内凸部31,31が前記案内溝21,21に嵌合的に挿入され、前記静電吸引駆動装置10が組み付けられる。この状態において前記可動子30に移動方向の力を与えると、前記可動子30をY方向(移動方向)に直線的に移動させることが可能とされている。すなわち、この実施の形態における前記案内溝21,21と前記案内凸部31,31とは、前記可動子30を移動方向に案内するガイド手段として機能している。
図1に示すように、前記固定子20の前記対向面20a上には平板状の固定子側電極23が複数設けられている。前記固定子側電極23は、例えば銅などの導電性金属をZ方向に垂直にメッキ成長させることにより形成されている。前記固定子側電極23の向きは、幅広の電極面が沿う方向が前記移動(Y)方向に対して平行となるように、すなわち前記電極面が幅方向に対し垂直となるように形成されている。そして、このような複数の固定子側電極23が、前記移動方向および幅方向に沿って前記対向面20a上に等間隔で規則正しく整列されている。
図3に示す実施の形態では、X方向(幅方向)に6列形成された固定子側電極23が、Y方向(移動方向)に所定の間隔を開けてN行形成されている。なお、前記固定子側電極23の並びは、前記のようなN行6列に限られるものではなく、これよりも多い配列でもよいし、少ない配列でもよい。
図3に第1の実施の形態として示すものでは、前記固定子20の対向面20a、即ち前記固定子側電極23の基部に、図示X方向に延びる複数の導電部24がY方向にN行形成されており、各導電部24は一行ごとに6ヶ(6列)の固定子側電極23がすべて同じ電位となるように導通接続された電極群が形成されている。ただし、移動方向(Y)方向に隣り合う前記導電部24の間は切断されており、各電極群どうしは電気的に絶縁された状態にある。そして、前記各導電部24は各電極群ごとに固定子20の外部に引き出されており、各電極群ごとに電圧が印加されるようになっている。
前記各導電部24を外部に引き出す方法としては、例えば図2および図3に示すように、前記固定子20に高さ方向に貫通するスルーホール25をY方向にN行形成し、前記スルーホール25を介して前記各導電部24から延びる引出し導電部24aを前記固定子20の下面(Z2側の面)にそれぞれ引き出すようにすればよい。この場合、前記各導電部24は、一行ごとに前記固定子20の下面に対応して形成された複数の導電パット26a,26b,・・・(図4参照)を介して固定子20の外部に引き出すことが可能である。
さらに、図4に示すように前記固定子20の下部に前記固定子20を固定する多層構造からなる基板40を設けるようにすることが好ましい。この基板40上には、前記導電パット26a,26b,・・・に対応する複数の導電性の接続パット41a,41b,・・・が形成されている。よって、固定子20を基板40に押し付け、導電パット26a,26b,・・・を接続パット41a,41b,・・・にそれぞれ加圧することにより、あるいは前記導電パット26,26,・・・と接続パット41a,41b,・・・との間に導電性接着剤を設けることにより、各導電パット26a,26b,・・・と各接続パット41a,41b,・・・とを電気的に接続することが容易となる。
前記基板40には、板厚(Z)方向に延びる複数のスルーホール42と移動方向に延びる複数の導電層43などが形成されており、各接続パット41a,41b,・・・どうしが前記スルーホール42と導電層43を介して接続できるようになっている。例えば、図4に示す実施の形態では前記接続パット41a,41e,41iがスルーホール42a,42b,42cと導電層43aを介して接続されている。以下同様に、前記接続パット41bと接続パット41fとが接続され、接続パット41cと接続パット41gとが接続され、接続パット41dと接続パット41hとが接続されている。したがって、例えば固定子20では、導電パット26aに接続されている一つの電極群と、導電パット26eに接続されている一つの電極群および導電パット26iに接続されている一つの電極群とを電気的に接続することができ、これらを一つのグループ(例えばA相電極群)として取り扱うことが可能となる。
同様に、導電パット26bに接続されている一つの電極群と導電パット26fに接続されている一つの電極群を例えばB相電極群として、導電パット26cに接続されている一つの電極群と導電パット26gに接続されている一つの電極群例えばC相電極群として、導電パット26dに接続されている一つの電極群と導電パット26hに接続されている一つの電極群を例えばD相電極群とすることができる。
一方、図1に示すように、前記可動子30側の対向面(可動子電極面)30a上にも平板状の可動子側電極33が複数設けられている。前記可動子側電極33は、上記固定子20の場合同様に、銅などの導電性金属をZ方向に垂直にメッキ成長させることにより形成されており、幅広の電極面の沿う方向を移動(Y)方向に平行とした状態で、前記移動方向および幅方向に沿って等間隔で規則正しく整列されている。なお、図1に示す本実施の形態では、可動子側電極33が可動子30の対向面30a上に7行5列で形成されている。
図1に示すように、前記固定子側電極23の幅方向の電極間隔W1は前記可動子側電極33の幅方向の厚さ寸法t2よりも広く、同様に前記可動子側電極33の幅方向の電極間隔W2は前記固定子側電極23の幅方向の厚さ寸法t1よりも広く形成されている。よって、幅方向に隣り合う固定子側電極23と固定子側電極23との間に前記可動子側電極33が挿入されており、前記固定子側電極23の電極面と可動子側電極33の電極面とが互いに対向している。
さらに、図2に示すように前記固定子側電極23および可動子側電極33のZ方向の高さ寸法は、前記固定子20と可動子30とが組み付けられた状態において、前記固定子側電極23および可動子側電極33の先端が、前記対向面20aおよび対向面30aの表面に当接しない程度に設定されている。
図2に示す状態では、前記固定子側電極23の電極面と可動子側電極33の電極面とが互いに平行な状態で対向配置されている。このため、前記固定子側電極23と可動子側電極33との間に電位差を与えると、前記固定子側電極23の電極面と可動子側電極33の電極面とが対向し合うそれぞれの部分にコンデンサが形成される。
そして、本実施の形態に示す静電吸引駆動装置では、複数の固定子側電極23と可動子側電極33とを三次元的に対向させることができるため、コンデンサを形成する固定子側電極23と可動子側電極33との対向面積を従来以上に拡大することができるようになっている。よって、後述するように大きな静電吸引力を発生させることができ、可動子30を大きな推進力で駆動することが可能となっている。
図5は、固定子側電極と可動子側電極との配置を部分的に示す平面図であり、移動方向(Y方向)に2列に並ぶ固定子側電極23,23の間に可動子側電極33の1列分が対向配置されている様子を示している。また図6は図5に示す静電吸引駆動装置に与えられる電気信号の一例を示すタイミングチャート図、図7は静電吸引駆動装置の動作を各STEEPごとに示す図4同様の平面図であり、STEP1はA相電極群及びD相電極群に電圧を印加した状態、STEP2はB相電極群及びD相電極群に電圧を印加した状態、STEP3はB相電極群及びE相電極群に電圧を印加した状態、STEP4はC相電極群及びE相電極群に電圧を印加した状態、STEP5はA相電極群及びC相電極群に電圧を印加した状態をそれぞれ示している。なお、図5および図7では、A相ないしE相の電極群を形成する固定子電極23を符号AないしEで示し、移動方向に付された番号は、第1行目、第2行目などの行番号を示している。また図7のSTEP1ないしSTEP5では、電圧が印加された電極群を形成する固定子側電極23をハッチングで示している。
図5に示すように、移動方向(Y方向)の並びを行、幅方向(X方向)の並びを列とし、Y2側の第1行目、第6行,第11行、・・・・,第(5n−4)行目の固定子電極23をE相電極群、第2行,第7行,第12行・・・・,第(5n−3)行目をA相電極群、第3行,第8行,第13行・・・・,第(5n−2)行目をB相電極群、第4行,第9行,第14行・・・・,第(5n−1)行目をC相電極群、そして、第5行,第10行,第15行・・・・,第5n行目をD相電極群とする。また可動子30は、すべての可動子側電極33が電気的に接続されているが、説明の都合上図示Y2側から可動子側電極33a,可動子側電極33b,可動子側電極33c,可動子側電極33d・・・とする。
また図5に示すように、前記固定子側電極23の長さ寸法をL1a、互いに隣り合う固定子側電極23の移動方向の電極間隔をL1b、前記可動子側電極33の長さ寸法をL2a、互いに隣り合う可動子側電極33の移動方向の電極間隔をL2bとすると、固定子側電極23と可動子側電極33との関係はL1a<L2aであり、移動方向のいずれかの位置において固定子側電極23の電極面と可動子側電極33の電極面とが対向し、前記対向電極間にコンデンサが形成されるようになっている。
なお、前記固定子側電極23の長さ寸法をL1a、固定子側電極23の移動方向の電極間隔をL1b、可動子側電極33の長さ寸法をL2aおよび移動方向の電極間隔をL2bと、前記A相電極群,B相電極群,・・・などの相数(駆動相数)とは、以下の数1の関係が成り立つように形成されている。
Figure 0004368739
前記5つのA相電極群,B相電極群,C相電極群、D相電極群、E相電極群には、図6に示すような所定の電気信号が与えられる。すなわち、STEP1ではA相電極群とD相電極群が印加され、STEP2ではB相電極群とD相電極群が印加され、STEP3ではB相電極群とE相電極群が印加され、STEP4ではC相電極群とE相電極群が印加され、STEP5ではA相電極群とC相電極群が印加される。そして、これらの各STEPは、STEP1→STEP2→STEP3→STEP4→STEP5→STEP1→STEP2→・・・の順番で繰り返される。
前記静電吸引駆動装置10が、例えば図7のSTEP1(図5も同様)に示すような初期状態、すなわち可動子側電極33a、33c、33eがそれぞれE相電極群を構成する固定子側電極23とA相電極群を構成する固定子側電極23との間に部分的にまたがって対向し、かつ可動子側電極33b、33dはC相電極群を構成する固定子側電極23のみに対向している状態にあったとする。
この初期状態から、STEP1に示すようにA相電極群とD相電極群に所定の電圧が同時に印加されると、第2行目に位置するA相電極群を形成する固定子側電極23と前記可動子側電極33aとは部分的に対向しているため、この間に静電吸引力(クーロン力)が作用し、前記可動子側電極33aはA相電極群を形成する固定子側電極23(第2行目)に吸引される。ただし、前記A相電極群を形成する固定子側電極23,23は可動子側電極33aの幅方向の両端に設けられているため、前記静電吸引力のうち幅(X)方向に作用する成分は互いに相殺される。一方、前記静電吸引力のうち移動(Y)方向の成分は残存するため、前記可動子側電極33aはY1方向に移動される。
この際、可動子側電極33aの移動方向の中心がA相電極群を形成する固定子側電極23の移動方向の中心に一致する状態が最も安定する状態であるため、可動子側電極33aは図7のSTEP1に点線で示す位置まで移動させられる。この関係は、可動子側電極33cと第7行目のA相電極群および可動子側電極33eと第12行目のA相電極群についても同様である。よって、可動子30は前記可動子側電極33a,33cおよび33eに作用する静電吸引力の合成された力によってY1方向に移動させられることになる。
なお、STEP1では可動子側電極33bおよび33dに対向し、かつC相電極群を形成する固定子側電極23には電圧は印加されないため、可動子側電極33b,33dと前記C相電極群との間に静電吸引力(クーロン力)は作用しない。
次に、STEP2では前記B相電極群とD相電極群に電圧が同時に印加される。図7のSTEP2に示すように、D相電極群を形成する固定子側電極23,23と可動子側電極33b,33dとが部分的に対向し、B相電極群を形成する固定子側電極23,23にはいずれの可動子側電極も対向しない状態にある。よって、上記STEP1の場合同様に可動子30は、可動子側電極33b,33dが図7のSTEP2の点線で示す位置まで、すなわちD相電極群を形成する固定子側電極23に対向して安定する位置まで移動させられる。
図6に示すように、STEP3では電圧がB相電極群とE相電極群に同時に印加される。図7のSTEP3では、B相電極群を形成する固定子側電極23,23と可動子側電極33a,33c,33eとが部分的に対向し、E相電極群を形成する固定子側電極23にはいずれの可動子側電極も対向しない状態にある。よって、上記同様に可動子30は、可動子側電極33a,33cおよび33eが図7のSTEP3に点線で示す位置まで、すなわちB相電極群を形成する固定子側電極23に対向して安定する位置まで移動させられる。
同様に図7のSTEP4では、C相電極群とE相電極群に同時に電圧が印加されることにより、可動子30の可動子側電極33b,33dが図7のSTEP4において実線の位置から点線の位置まで移動させられ、図7のSTEP5では、A相電極群とC相電極群に電圧が同時に印加されることにより、可動子30の可動子側電極33a,33c,33eが図7のSTEP5の実線の位置から点線で示す位置まで移動させられる。
以上のように、図6のSTEP1からSTEP5に従う電気信号を固定子側電極23の各相の電極群に与えることにより、可動子30を移動方向に並ぶ可動子側電極の一区間に相当する距離(L2a+L2b)だけY1方向に移動させることが可能である。そして、前記STEP1からSTEP5までの一連の動作を順次繰り返すことにより、可動子30を進行方向(Y1方向)に順次移動させることが可能とされている。
また同様の原理から、例えばSTEP5→STEP4→STEP3→STEP2→STEP1→STEP5というように、前記一連の動作を前記とは逆の順番に行うと、可動子30を進行方向(Y1方向)とは逆方向(Y2方向)に順次移動させることが可能である。
上記においては、図6に示すように、各STEPにおいてHレベルの電圧を印加するごとに可動子30側を除電することが好ましい。すなわち、固定子側電極23にHレベルの電圧を与えると、固定子側電極23に正電荷が発生するため、可動子側電極33に負電荷が誘導されることにより、前記固定子側電極23と可動子側電極33との間にコンデンサが形成されるが、固定子側電極23をLレベルとしただけでは、可動子側電極33には前記負電荷が蓄積された帯電状態が維持されてしまう。このため、可動子30側を除電しない場合には、可動子30の動きが鈍くなり、移動速度や応答速度が低下しやすいという弊害が生じうる。
この問題を解決するには、可動子30をグランド電位に接地することにより、帯電する電荷をグランド側(接地電位)に放出されるようにすればよい。ただし、常に可動子30を接地した状態にしておくと、可動子側電極33に必要な負電荷が誘導され難くなり、前記静電吸引力の低下を招くおそれがある。
そこで、図6に示すような除電信号を用いることにより、各STEPにおいては電気信号の電圧がHレベルからLレベルに切り換わったタイミングで可動子30を除電することが好ましい。前記除電の方法としては、トランジスタなどのスイッチング素子を用いて行うことができる。また可動子30に帯電している電荷は所定の大きさの抵抗を介してグランド側(接地電位)に逃がしてやればよい。なお、前記抵抗値は、前記コンデンサの容量と抵抗値の積からなる時定数RCと前記Lレベルの時間との関係から決定されるが、Lレベルの時間内に前記帯電している電荷が十分に放出させることが可能な値とすることが好ましい。
また上記においては、静電吸引駆動装置10の駆動が5相の電気信号を用いて行う場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、3相、7相など2相以上の電気信号を用いて駆動することが可能である。
また上記のように固定子20の対向面20aに導電部24を形成すると、固定子20の導電部24と可動子30側の対向面30aとを対向させることができる。前記対向面30aは導電材料で形成されているため、前記固定子20と可動子30と間にもZ方向の静電吸引力を発生させることができる。よって、前記可動子30が固定子20に接近する方向に吸引され、移動中の可動子30のZ方向のがたつきを防止できる。しかも前記固定子側電極23と可動子側電極33との間の対向面積を一定以上確保することができるため、幅方向の静電吸引力の低下を防止できる。
ここで、前記静電吸引駆動装置10の場合の静電吸引力(クーロン力)について説明する。
前記固定子側電極23の電極面と可動子側電極33の電極面とが幅方向において対向する対向面積をS、電極間の誘電率をε、初期の電極間距離をd、電極間の電位差(印加電圧)をVとする。
今、固定子側電極23と可動子側電極33との間に静電力f(x)が働いて、前記可動子側電極33が変位量xだけ幅方向(X1またはX2方向)に移動して前記固定子側電極23に接近したとする。
このとき、即ち接近後の固定子側電極23と可動子側電極33との静電容量Cは以下の数2で表わされる。
Figure 0004368739
そして、このときのコンデンサの静電エネルギーUは以下の数3となる。
Figure 0004368739
よって、電位差Vが一定のもとで変位量xだけ移動するときに働く静電力f(x)は、以下の数4で表わすことができる。
Figure 0004368739
上記数4に示される静電力f(x)は、固定子側電極23と可動子側電極33との対向部分ごとに作用するが、図1および図2に示すように5列の可動子側電極33と6列の固定子側電極23とからなる本実施の形態の場合には、一行に10箇所の対向部分を有するため、一行ごとの静電力F(x)はその総和となる。よって、対向部分の数をmとすると、静電力F(x)は以下の数5のようになる。
Figure 0004368739
また1行の中には同種の電極群が所定のピッチで配列されている。このため、例えば1つの可動子30に対してA〜Dの順で各相電極群を構成する10行分の電極群が対向していたとする。このとき1行目がA相電極群であるとすると、4行目および8行目もA相電極群である。そして、すべてのA相電極群に電圧を印加すると、同時に前記1、4、8行目のA相電極群を形成する固定子側電極23に静電力F(x)が発生する。同様に、すべてのB相電極群に電圧を印加すると、同時に2、5、9行目のB相電極群を形成する固定子側電極23に静電力F(x)が発生する。よって、1つの可動子30に対向可能な固定子側の同種の電極群の行数をnとすると、上記静電吸引駆動装置10に発生する全静電力ΣF(x)は以下の数6のようになる。
Figure 0004368739
すなわち、上記可動子30は従来よりも大きな推進力を発揮することが可能となるため、これまで以上の重量物を搬送することが可能となる。しかも、可動子および固定子の電極を垂直に向けることにより、電極対向面積を高さ方向で稼ぐことができる。よって、狭いスペースでもより大きな電極対向面積を取得してより大きな推進力を得ることができる。よって、静電吸引駆動装置10を小型化することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施の形態としての静電吸引駆動装置を説明する。図8は他の駆動方法を説明するための図であり、固定子側電極と可動子側電極との配置を部分的に示す図5同様の平面図である。
第2の実施の形態として示す静電吸引駆動装置は、上記第1の実施の形態に示す静電吸引駆動装置とほぼ同じ構成であるが、以下の2点において相違している。
まず第1点は、上記第1の実施の形態では、対向面(固定子対向面)20aに設けられた導電部24に固定子側電極23が幅方向に接続されて一つの電極群を形成していたが、第2の実施の形態では個々の固定子側電極23がそれぞれ絶縁されて独立して形成されている点である。その結果、前記固定子20の背面(Z2側の面)には、個々の固定子側電極23に接続されるスルーホールや配線パターンが形成される(図示せず)。なお、前記各配線パターンの導電パットと基板40側の接続パットとは図4に示す場合同様の手段により接続することが可能であり、個々の固定子側電極23対して個別の電気信号を与えることができるようになっている。
次に第2点は、ガイド手段を構成する前記案内溝21,21が設けられていない点にあり、前記案内凸部31,31が平坦な対向面20a上を移動方向および幅方向に自在に移動できるように支持されている点にある。その結果、固定子側電極23と可動子側電極33のそれぞれがガイド手段として機能している。
なお、この実施の形態では、任意の固定子側電極に所定の電圧を印加するための制御部を有している。
図8に示すように、可動子側電極33が図示Y2側の実線の位置にある場合を初期状態とする。前記制御部は、この状態から符号23aで示す固定子側電極のみに所定の電圧を印加する。これにより、可動子側電極33は、前記固定子側電極23aとの間に発生する静電吸引力により吸引され、図8に点線で示す位置iまで移動させられる。すなわち、前記可動子側電極33は、移動方向(Y方向)に対しては前記可動子側電極33の移動方向に中心が固定子側電極23aの移動方向の中心に一致する位置まで移動させられ、幅方向(X方向)に対しては固定子側電極23aに接触するX1方向に移動させられる。
次に、制御部は符号23bで示す固定子側電極のみに所定の電圧を印加する。これにより、前記同様に可動子側電極33が前記位置iから位置iiに移動させられる。このように、制御部が図8にハッチングで示す固定子側電極23a,23b,23c,23d,・・・に対して電圧を順次印加することにより、可動子側電極33を位置i→位置ii→位置iii→位置ivで示すジグザグ軌跡に沿って移動させることが可能であり、結果として可動子30をY1方向に移動させることができる。また逆に固定子側電極23d,23c,23b,23aの順に電圧を印加することにより、可動子30をY2方向にジグザグの軌跡に沿って移動させることができる。
第2の実施の形態では、上記第1の実施の形態に示すようなガイド手段を有しないため、可動子30のX方向の移動を許容すること、すなわちジグザグ軌跡に沿った移動を許容することができる。ただし、前記可動子30のX方向に移動範囲は、前記固定子側電極23と可動子側電極33とが幅方向に移動することができる僅かな範囲、すなわち前記固定子側電極23と可動子側電極33の間の隙間寸法内である。この結果、実質的には前記固定子側電極23と可動子側電極33とが可動子30を移動方向へ案内するガイド手段として機能させることができる。
上記のような静電吸引駆動装置は、例えば携帯電話機やデジタルカメラなどに搭載され、カメラのレンズをフォーカス方向に移動させて焦点距離を合わせるオートフォーカス用のレンズ駆動手段として用いられる。図9は静電吸引駆動装置の一応用例としてレンズ駆動手段を示す正面図である。
図9では、可動子30の幅方向の縁部を斜めに切断したテーパ部35,35が形成されており、このテーパ部35,35にレンズ55を保持するレンズホルダ50が固定されている。前記レンズホルダ50の幅方向に両端にはフック部51,51が形成されており、レンズホルダ50は、前記フック部51,51を可動子30に向けた状態で図示Z2方向にスナップインすることにより、フック部51,51がテーパ部35,35を係止することにより固定されている。このような構成とすることにより、レンズホルダ50を可動子30に容易に取り付けることができる。
このレンズ駆動手段では、上記のように固定子側電極23と可動子側電極33に所定の電気信号を与えることにより、レンズホルダ50を搭載した可動子30を紙面に直交する移動方向、すなわちフォーカス方向に移動させることが可能となる。
本発明の実施の形態としての静電吸引駆動装置を示す分解斜視図、 固定子と可動子とが対向した状態を示しており、図1のII−II線における断面図、 第1の実施の形態としての固定子の構造を部分的に示す平面図、 固定子と固定子が取り付けられる基板の一構造を示す断面図、 固定子側電極と可動子側電極との配置を部分的に示す平面図、 図5に示す静電吸引駆動装置に与えられる電気信号の一例を示すタイミングチャート図、 静電吸引駆動装置の動作を各STEEPごとに示す図4同様の平面図、 他の駆動方法を説明するための図であり、固定子側電極と可動子側電極との配置を部分的に示す図5同様の平面図、 静電吸引駆動装置の一応用例としてレンズ駆動手段を示す正面図、 特許文献1に図1として示されている静電吸引駆動装置の概略構成を示す図、 特許文献1に図2として示されている電気信号のタイミングチャート、
符号の説明
10 静電吸引駆動装置
20 固定子
20a 対向面(固定子対向面)
21 案内溝(ガイド手段)
23 固定子側電極
24 導電部
26 導電パット
30 可動子
30a 対向面(可動子対向面)
31 案内凸部(ガイド手段)
33 可動子側電極
35 テーパ部
40 基板
50 レンズホルダ
51 フック部

Claims (5)

  1. 移動方向へ所定の長さを有する固定子と、前記固定子に対向し前記移動方向へ移動できるように支持された可動子とを有し、
    前記固定子の対向面に、前記可動子に向けて垂直に突出して前記移動方向と直交する幅方向に電極面を有する複数の固定子側電極が設けられ、複数の前記固定子側電極は、前記移動方向に間隔を空けて列を成すとともに、隣り合う前記列どうしで、前記幅方向に間隔を空けて対向しており、
    前記可動子の対向面に、前記固定子に向けて垂直に突出して前記幅方向に電極面を有する複数の可動子側電極が設けられ、前記可動子側電極は、前記移動方向に間隔を空けて列を成して配置され、前記可動子側電極の列が、隣り合う前記固定子側電極の列の間に入り、前記固定子側電極の電極面と前記可動子側電極の電極面とが前記幅方向に対面可能となっており、
    通電された前記固定子側電極と前記可動子側電極との対向部分に発生する静電吸引力で前記可動子前記移動方向へ移動力が与えられ、次に前記固定子側電極よりも前記移動方向の前方に位置する他の固定子側電極が通電されるように、前記移動方向に並ぶ複数の前記固定子側電極異なるタイミングで選択されて通電されることで、前記可動子が前記固定子電極の配列ピッチを越える距離だけ移動させられることを特徴とする静電吸引駆動装置。
  2. 前記固定子側電極の前記移動方向の配列ピッチと、前記可動子側電極の前記移動方向の配列ピッチとが相違しており、第1の可動子側電極の中心がいずれかの前記固定子側電極の中心に一致するときに、第2の可動子側電極の中心が移動方向に並ぶ2つの前記固定子側電極の間に位置し、
    このとき、前記第1の可動子側電極の移動方向の前方に直近する固定子側電極と、前記第2の可動子側電極の中心よりも移動方向の前方に直近する固定子側電極に同時に通電し、この通電を繰り返す請求項1記載の静電吸引駆動装置。
  3. 前記固定子側電極の前記移動方向の配列ピッチよりも、前記可動子側電極の前記移動方向の配列ピッチが長く、前記固定子側電極の前記移動方向の寸法よりも、前記可動子側電極の前記移動方向の寸法が長く、
    第1の可動子側電極の中心がいずれかの前記固定子側電極の中心に一致するときに、第2の可動子側電極の中心が移動方向に並ぶ2つの前記固定子側電極の間に位置し且つ2つの前記固定子側電極の双方に対向する請求項2記載の静電吸引駆動装置。
  4. いずれかの固定子側電極に通電した後に、前記可動子側電極を除電してから、次の固定子側電極に通電し、これを繰り返す請求項1ないし3のいずれか記載の静電吸引駆動装置。
  5. 前記可動子を接地することで前記除電を行う請求項4記載の静電吸引駆動装置。
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