JP4371384B2 - Cylinder block of multi-cylinder engine - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車に好適の複数気筒エンジンのシリンダブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車等に採用されるエンジンにおいて、シリンダブロックをクランクケースと別体に形成したものがあるが、この構造では、シリンダブロックをクランクケースに結合するための部品、及び結合面(合面)のシール性を確保するための機械加工が必要であり、部品点数,加工工数,組立工数が増加する問題がある。そこでシリンダブロックとクランクケースを一体形成することにより、部品点数,組立工数を削減することが考えられる。
【0003】
またこの種のエンジンにおいて、シリンダブロック内にピストン摺動面を形成する構造として、該シリンダブロック内に、ピストン摺動面を有する別体のスリーブを圧入あるいは鋳込みにより配設する、或いはシリンダブロック本体に直接めっき等を施すことが考えられる。
【0004】
ところで4サイクルエンジンの場合、ピストン下降行程においてクランク室内の空気が圧縮されることにより生じるポンピングロスを軽減するために、隣接する気筒のクランク室同士を連通孔によって連通させる構造が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記シリンダ本体部とクランクケースとを一体形成するとともに、例えばスリーブをシリンダ内に配設したシリンダブロックにおいて、上記ポンピングロス軽減のために上記連通孔を形成する場合、その形成方法あるいは形成位置の如何によっては連通孔を所定の位置に精度良く形成するのが困難な問題が発生する。
【0006】
即ち、上記構造のシリンダブロックでは、上記スリーブはピストン摺動面として必要な耐摩耗性等を確保するために高硬度のものが採用され、一方シリンダ本体部及びクランクケース部は鋳造性確保の観点から材質が設定されることからスリーブに比較して低硬度となるのが一般的である。そのため、上記連通孔をドリルを用いて孔明けした場合、そのドリル中心の設定如何によっては、加工が進むにつれて加工中心線が低硬度側にずれてしまう恐れがある。
【0007】
本発明は、簡単な構造によって上記連通孔を所定の位置に精度良く形成することのできる複数気筒エンジンのシリンダブロックを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ピストン摺動面を有するシリンダ本体部を備えた複数気筒エンジンのシリンダブロックにおいて、上記シリンダ本体部とクランク軸を収容するクランクケース部の少なくとも上半部とをアルミ合金により一体形成するとともに、該シリンダ本体部及びクランクケース部より上記ピストン摺動面を高硬度とし、上記各気筒のクランク室同士を連通する横断面円形の連通孔を、上記ピストン摺動面とクランクケース部との両者にまたがるように形成し、かつ該連通孔を形成するためのドリルの中心を上記ピストン摺動面とクランクケース部の境界よりピストン摺動面側に位置させることにより、上記ピストン摺動面の上記連通孔の外周部における上記連通孔の中心よりもクランクケース部側に、クランクケース部側にいくにしたがって孔幅が狭くなり、上記ドリルのクランクケース部側への移動を阻止するオーバーハング部を形成したことを特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1において、シリンダ本体部は、上記ピストン摺動面を有するスリーブを備えており、該スリーブのクランク軸側端部に、シリンダヘッド側部分より大径の逃げ部が形成されており、該逃げ部に上記連通孔の中心が位置していることを特徴としている。
【0009】
【発明の作用効果】
請求項1の発明によれば、シリンダ本体部の高硬度のピストン摺動面と低硬度のクランクケース部との境界部に各気筒用クランク室同士を連通する横断面円形の連通孔をドリルにより形成する場合に、該ドリルの加工中心点を上記ピストン摺動面とクランクケース部との境界よりピストン摺動面側に偏位させたので、ドリルの逃げを回避でき、上記連通孔を所定の位置に容易確実にかつ精度良く形成できる。
【0010】
上記逃げ回避効果は、ドリル中心が高硬度の部材であるピストン摺動面側に位置していることから、該ピストン摺動面側にドリルの低硬度側への移動を防止するオーバーハング部(図7の領域52b部分)が形成されることにより得られるものと考えられる。その結果、上記連通孔を所定の位置に容易確実に精度良く形成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図21は、本発明の一実施形態による自動二輪車用エンジンのシリンダブロックを説明するための図であり、図1は該エンジンが搭載された自動二輪車の左側面図、図2は該エンジンの右側面図、図3は該エンジンのシリンダブロック,シリンダヘッド,ヘッドカバー部分の右側面図、図4は該エンジンの断面背面展開図、図5はシリンダブロックの連通孔部分を示す断面図、図6はシリンダブロックをクランク軸側から見た底面図、図7はシリンダブロックの右端気筒部分の断面側面図、図8はシリンダブロックの右から2番目の気筒部分の断面側面図、図9はシリンダブロックのシリンダヘッド側から見た平面図、図10はヘッドガスケットの平面図、図11はシリンダブロックのヘッド側合面のシール状態を示す拡大図、図12はシリンダブロックのリブ状堰を示す拡大図、図13,14は製造行程を示す図、図15〜18は連通孔の孔明け試験結果を示す図、図19は図17のものをホーニング加工した状態を示す図、図20,図21はめっき処理装置を示す模式図である。なお、本実施形態でいう前後,左右とはシート着座状態で見た場合の前後,左右を意味する。
【0012】
図1において、1は自動二輪車であり、これの車体フレーム2は側面視で略逆L字状をなす左, 右一対のメインフレーム3の後端に車体後方に延びるシートレール4を接続した構造のもので、上記メインフレーム3の上部には燃料タンク5が、シートレール4の上部にはメインシート6,タンデムシート7がそれぞれ搭載されている。
【0013】
上記メインフレーム3の前端にはヘッドパイプ8によりフロントフォーク9が枢支されており、該フロントフォーク9の下端には前輪10が軸支されている。また上記メインフレーム3の後端下部のリヤアームブラケット3aにはリヤアーム11がピボット軸12により上下揺動可能に軸支されており、該リヤアーム11の後端には後輪13が軸支されている。
【0014】
上記リヤアーム11と車体フレーム2との間にはリヤクッション14が介設されている。このリヤクッション14の下端はこれの後側に起立配置されてリヤアーム11に軸支された第1リンク14aの下端に連結され、上端は車体フレームに軸支されている。また上記第1リンク14aの上端はリヤクッション14の後側に起立配置された第2リンク14bを介して車体フレームに連結されており、該第2リンク14b及び第1リンク14aはリヤクッション14とで三角形をなしている。このようにリヤクッション14の下端を上方に起立配置された第1,第2リンク14a,14bにより支持するようにしたので、いわゆるプログレッシブ特性を確保しながらリヤクッション14の下方に大きなスペースが確保されている。
【0015】
上記メインフレーム3の下部にはエンジンユニット15が懸吊されており、該エンジンユニット15の前側にはラジエータ16が配設されている。また上記エンジンユニット15の排気装置は、シリンダヘッド23の前壁に開口する各排気ポートに接続された排気管141,エンジンユニット15と後輪13との間でかつリヤクッション14の下方に配置された第1マフラ142,及び後輪13の右側上部に配置された第2マフラ143から構成されている。
【0016】
上記エンジンユニット15は水冷式4サイクル並列4気筒5バルブエンジンであり、気筒軸線20を前方に傾斜させるとともに、クランク軸21を車幅方向に向けて搭載されている。そして上記エンジンユニット15は、図2に示すように、アルミ合金製シリンダブロック22の上合面にアルミ合金製シリンダヘッド23を積層してヘッドボルトで締結し、該シリンダヘッド23の上合面にアルミ合金製ヘッドカバー24を装着し、また上記シリンダブロック22の下部にアルミ合金製オイルパン28を接続した概略構造を有する。
【0017】
上記シリンダブロック22は、アルミ合金を用いたダイキャスト鋳造により一体形成されたシリンダ本体部22aとユニットケース27とから構成されている。そして該ユニットケース27は、クランク軸21を収容支持するクランクケース部25と、変速機を収容するミッションケース部26とから構成されており、かつ該クランクケース部25及びミッションケース部26は上,下クランクケース部25a,25b、上,下ミッションケース部26a,26bに上,下に二分割されている。
【0018】
上記クランク軸21は上,下クランクケース部25a,25bの分割合面に形成された複数の軸受ボス部29により軸受30を介して軸支されている。また上記ボス部29により各気筒ごとのクランク室19,19・・は独立した室に区画されており、かつ後述する連通孔52によって互いに連通している。
【0019】
上記シリンダブロック22のシリンダ本体部22cのシリンダボア壁22d内には4つのアルミ合金製引き抜きパイプ材からなるスリーブ27が並行にかつ同一間隔を開けて鋳込まれている。該スリーブ27の下端の内面にはホーニング加工時に刃具の逃げとなる逃げ部27aが他の部分より大径に形成されており、外面には該スリーブ27のクランク軸側への抜け止めとなる面取部27bが形成されている。またスリーブ27の上端の内面にはピストン挿入組立時の逃げとなる面取部27cが形成されており、外面には該スリーブ27のシリンダヘッド側への抜け止めとなる係止段部(抜け止め用薄肉部)27dが他の部分より小径に形成されている。この段部27dを設けたことにより、シリンダ本体部22c側のシリンダヘッド合面22f部分は厚肉となっており、その結果後述するガスケット91aのビード部91aの当接スペースを容易に確保できる。
【0020】
そして上記スリーブ27には内表面にめっき皮膜aを形成してなるピストン摺動面22aが形成されている。該ピストン摺動面22aは、上記スリーブ27をシリンダ本体部22c内に鋳込み、該鋳造時の熱歪を除去するためのボーリング加工を施し、該加工面上に後述する方法でエッチング処理を施した後にめっき皮膜aを形成し、該めっき皮膜aにホーニング加工を施すことにより形成されたものである。
【0021】
ここで、図12に示すように、上記エッチング処理はスリーブ27の上端から下端までの領域h1に施され、上記めっき皮膜aは、上記スリーブ27の上端から上記逃げ部27aの途中までの領域h2に渡って形成されている。そして上記ピストン摺動面22a内に摺動自在に挿入配置されたピストン31にはピストンピン31bを介してコンロッド32の小端部が連結されており、該ピストン31はその下端部31eが上記めっき皮膜aの下端部a´と重なる領域h4´で摺動する。なお、上記ホーニング加工はスリーブ27の上端から上記逃げ部27aのコーナ部までの領域h3´に渡って施される。
【0022】
上記コンロッド32の大端部は本体部分とキャップ部材との上,下分割タイプのものであり、上記クランク軸21のクランクピン21aの上側に上記本体部分を、下側に上記キャップ部材をそれぞれ被せてボルト締め固定することによりクランク軸21に連結されている。なお、ピストン31の組付けに当たっては、ピストン31にコンロッド32の上記本体部分を組付け、該本体部分及びピストン31をスリーブ27内にシリンダヘッド側から挿入し、該本体部分を上記キャップ部材により上記クランクピン21aに接続することとなる。
【0023】
上記ピストン31は、ピストンスカート31aのピストンピン31b軸端部分に切り欠き凹部31cを形成してなるいわゆるスリッパ型のものである。該ピストン31がその下死点位置まで下降したとき上記ピストンスカート31aの下端31eは上記スリーブ27の逃げ部27aに隙間cを開けて対面するようになっている。即ち、上記隙間cを設けたことにより、上記めっき皮膜aの下端縁a′にピストン31が接触することはなくなっている。
【0024】
ここで上記シリンダブロック22をクランク軸側から見た状態を示す図6において、右端から3つの気筒のスリーブ27,27,27のクランク軸側開口は、上クランクケース部25aの前側壁25c,クランク室とミッション室とを画成する隔壁25d,及びクランク軸軸受ボス部29により周囲が囲まれており、そのため後述するように、上記めっき皮膜形成工程においてエッチング液等が外部に溢れたり、ミッション室26d側に流入したりするのを防止できる。
【0025】
一方、図6左端気筒のスリーブ27については、クランク軸21とメイン軸72とを連結する減速小歯車82,減速大歯車82の配置スペースを確保する必要上、上記隔壁25dに相当するものを備えていない。従って該左端気筒については上記めっき皮膜形成工程における上記隔壁25dによるエッチング液等のミッション室側への流入防止効果は得られない。
【0026】
そこで本実施形態では、上記左端気筒については、スリーブの鋳込み工程において、スリーブ27の下端部の外面に形成された抜け止め用面取り部27b部分をアルミ合金で覆うとともに他の部分よりもクランク軸側に少し突出するリブ状の堰部25d′を一体形成している。この堰部25d′により、上記めっき処理工程でエッチング液等がミッションケース26d側に溢れ出すのを防止している。
【0027】
上記シリンダヘッド23の各燃焼凹部23aに開口する3つの吸気ポート,2つの排気ポートは吸気バルブ35,排気バルブ36で開閉可能となっている。該各バルブ35,36は上端に装着された有底筒状のバルブリフタ37,37を介して吸気カム軸40,排気カム軸41で開閉駆動される。該各カム軸40,41の軸方向右端部に取り付けられたカムスプロケット40a,41aとクランク軸21の右端部に一体形成されたクランクスプロケット21bとはタイミングチェーン42によって連結されている。
【0028】
このように構成されたカム軸駆動機構のカムスプロケット40a,41a,タイミングチェーン42及びクランクスプロケット21bは、上記シリンダブロック22,シリンダヘッド23の右外端面に一体形成されたチェーン配置室43内に収容されている。また上記クランク軸21のクランクスプロケット21bの内側には外周歯を有するロータ44が装着されており、該ロータ44にはクランク回転角度を検出するピックアップ45が対向している。なお、46はタイミングチェーン42の張力を自動調整するオートテンショナであり、47はチェーンガイドである。
【0029】
上記チェーン配置室43を構成するシリンダブロック22の外側壁22bの上記クランク軸21の軸端に対向する部分には、上記カム軸駆動機構の組付け用開口50が形成されており、該開口50には蓋部材51が着脱可能にボルト締めされている。そして隣接するクランク室19,19同士を連通することにより、ピストン往復運動によるポンピングロスの低減を図るための連通孔52が、クランク軸方向に見たとき上記組付け用開口50内に位置するようにかつクランク軸21と平行の同一軸線をなすように貫通形成されている。
【0030】
ここで上記連通孔52は、上記めっき加工と上記ホーニング加工との間の工程において上記組付け用開口50から長尺のドリルを挿入することにより穿設加工された横断面円形のものである。そして該連通孔52の加工中心点bは、上記スリーブ27のクランク軸側端部27eよりシリンダヘッド側に偏位した位置に設定されている。なお、上記スリーブ27は上クランクケース部25aより高硬度となっている。
【0031】
このように本実施形態では、硬度の異なる上クランクケース部25aとスリーブ27との両方に渡るように円形の孔をドリル加工により形成する場合に、ドリル中心を高硬度のスリーブ27側に偏位させて設定したので、ドリルの逃げを回避でき、加工作業性を向上できる。この逃げ回避効果は、ドリル中心が高硬度の部材側に位置していることから、該高硬度部材側にドリルの移動を阻止するオーバーハング部分(図7の領域52b部分)が存在することにより得られるものと考えられる。ちなみに、低硬度の上クランクケース部25a側に加工中心点bを偏位させた場合にはドリル加工中心が高硬度のスリーブから遠ざかるようにずれていく恐れがある。
【0032】
さらにまた上記連通孔52は、上記ピストン31が下死点に下降した際に上記切欠き部31c及びピストンピン31bと対向するように配置されており、かつ、その上端縁52aから下死点に位置するピストン31の下端のオイルリング31dの下縁までの距離が3mm以上、好ましくは7mm以上となるようにその中心位置b及び孔径が設定されている。
【0033】
上記連通孔52の中心位置を上述のように設定したのは以下の理由による。即ち、上記連通孔52を形成した場合、その周縁はピストン摺動面として許容できない程度のバリや変形が発生する。このバリ等はその後のホーニング加工によって除去するのであるが、上記連通孔52の周縁から約3mmの範囲については、ピストン摺動面として許容できる程度に十分に除去することができない場合があることが判明したからである。
【0034】
図15〜図19は、貫通孔52を形成した際のバリ等の発生状況及びホーニング加工による表面仕上状態を調査するために行った実験結果を示す。なお、各図において、縦方向(シリンダ軸方向)については実際の寸法を示しているのに対し、横方向については1000倍に拡大して示してある。
【0035】
図15〜図18は実験用シリンダブロックの各スリーブにめっき皮膜形成した後に図示矢印方向にドリルを挿入して上記貫通孔を形成した際の第1〜第4気筒におけるバリ等の発生状況を示す。各図において、右側部分はドリルがめっき膜を突き破ってスリーブ内に進入した際の状況を、左側部分はドリルがスリーブ内からめっき膜を突き破ってシリンダ本体内に進入した際の状況を示す。何れの気筒においてもバリ等は5〜30μm 程度であることが判る。
【0036】
図19はホーニング加工後のピストン摺動面の状態を示す。図から明らかなように、ホーニング加工により上記バリ等が除去されており、貫通孔52の上縁52aから3mmの点より上方部分では、ピストン摺動面として許容できる寸法として設定されたαμm(例えば5μm)より小さくなっている。従って、ピストン31が下死点に位置している場合に、一番下側に配設されているオイルリング31dの下縁と上記貫通孔52の上縁52aとの寸法を3mmより大きく設定することにより、上記オイルリング31dとピストン摺動面との隙間を許容範囲内に設定でき、摺動抵抗の増加による出力ロスの発生を防止できる。
【0037】
また上記上クランクケース部25aの各軸受ボス部29には、図5に示すように、クランク軸21の軸受30と上記連通孔52の内周面とを連通する潤滑油通路53が形成されている。この潤滑油通路53には冷却ノズル54が挿着されており、該ノズル54の噴射口54aは下死点に位置するピストン31の切り欠き部31cからピストン裏面に潤滑油を噴出するように指向している。また上記軸受ボス部29の上記連通孔52部分のクランク軸方向厚さは、クランク軸側はW2であるのに対しピストン側はW1と幅狭になっている。そのため上記噴射口54aから噴射された潤滑油は連通孔52の周縁あるいはピストンスカートに邪魔されることなく確実にピストン裏面に供給され、該ピストン31を確実に冷却できる。
【0038】
上記シリンダブロック22にはスリーブ27を囲むように水冷ジャケット90が形成されており、該水冷ジャケット90の内側がシリンダボア壁22dとなっている。該水冷ジャケット90の上記チェン配置室43側を除く部分の深さは、上死点からクランク角度で116°下降した位置にあるピストン31の上端面に一致するように設定されている。一方上記水冷ジャケット90の上記チェン配置室43側部分90aの深さは下死点に位置するピストン31の上端面付近に一致するように設定されており、かつ該水冷ジャケット部分90aの底壁90bのシリンダ軸方向高さは上記組付け用開口50の上縁50aの高さより僅かに低くなるように設定されている。なお、上記水冷ジャケット90はヘッド側合面にて全周に渡って開口しており、かつ後述のガスケット91によって閉塞されている。
【0039】
このように水冷ジャケット90のチェン配置室43側部分90aを他の部分よりも深く形成したので、該チェン配置室43を設けたことによりシリンダブロックの該配置室43部分の冷却性が低下するのを補償できる。即ち、シリンダブロック22のスリーブ27を囲む部分は走行風が直接当たることによっても冷却されるのであるが、シリンダブロック22の図9右端部分は上記チェン配置室43で囲まれていることから走行風が当たりにくく、冷却性が低下する懸念がある。本実施形態では、冷却ジャケット90のチェン配置室側部分90aをより深く形成したので上記走行風が当たらないことによる冷却性の低下を補償できる。
【0040】
また上記シリンダブロック22の水冷ジャケット部分90aの底壁90bのシリンダ軸方向高さを上記組付け用開口50の上縁50aの高さより僅かに低くなるように設定した(図4参照)ので、該部分の鋳造用金型を簡単にすることができる。即ち、上記底壁90bが上記上縁50aより高い場合には、スライド型が必要となるが、本実施形態では開口50の形成のためのクランク軸方向に移動する型により上記底壁90bも形成することができるため、上記スライド型は不要である。
【0041】
上記シリンダブロック22とシリンダヘッド23との合面間にはガスケット91が介在している。このガスケット91は、上記シリンダブロック22の合面形状に合わせて切断した3枚の薄板92,93,94を該薄板と略同じ隙間を開けて重ね合わせるとともに、スーリブ27を囲むように該スリーブ27より大径の同心円のボアビード部91aを形成するとともに、上記合面の周縁に沿う形状の周縁ビード部91b,及び上記チェン配置室43の開口縁に沿う形状のチェン室ビード部91c等をプレス成形等で形成してなるものである。上記各ビード部91a〜91cは、中央の薄板93は平坦のままとし、上,下の薄板92,94を該中央の薄板93に当接するように屈曲させ、ビード部以外の部分をカシメ等で固定して形成されている。なお、図11は上記ビード部及び上記隙間を強調するために模式的に示されている。
【0042】
上記ガスケット91をシリンダブロック22とシリンダヘッド23の合面間に介在させ、両者をヘッドボルトで締めつけると、上記各ビード部91a,91bの屈曲点pが上記合面に圧設し、またこれと同時に上,下の薄板92,94が中央の薄板93に圧接し、これにより上記シリンダブロック22,シリンダヘッド23間がシールされる。また、上記ガスケット91のシリンダ内周側部分91dは上記スリーブ27のシリンダヘッド側合面22fに対面している。
【0043】
図2,図4において、70は主として上記上ミッションケース26a内に配置された変速装置であり、これはクランク軸21の後部上方に入力ギヤ群71が装着されたメイン軸(入力軸)72を、また該メイン軸72の下方に上記入力ギヤ群71に噛合する出力ギヤ群73が装着されたドライブ軸(出力軸)74をそれぞれクランク軸21と平行に配置して構成されている。
【0044】
上記ドライブ軸74は、上記クランク軸21が上,下クランクケース部25a,25bの分割合面間に配置されているのと同様に上,下ミッションケース部26a,26bの分割合面間に形成されたボス部に軸受75を介して支持されている。また上記メイン軸72は、上ミッションケース部26a内に配置されており、該メイン軸72の左端部は上ミッションケース部26aのボス部に軸受76を介して支持されている。また右側部分は軸受77及びフランジ78を介して上ミッションケース部26aの右側壁26gに支持されており、該フランジ78は上記右側壁26gにボルト締め固定されている。
【0045】
上記ドライブ軸74の左端部はミッションケース部26から外方に突出しており、該突出部に装着された駆動スプロケット79がチェーン80を介して上記後輪13の後輪スプロケット13aに連結されている。また上記メイン軸72の右端部にはクラッチ機構81が装着されている。該クラッチ機構81は、クランク軸21の減速小歯車82に噛合し、メイン軸72に軸支された減速大歯車83にダンパを介して結合されたアウタドラム84と、メイン軸72にスプライン結合されたインナドラム85との間に多数のクラッチ板86を介在させた構造のものである。このクラッチ機構81は、インナドラム85に連結されたプッシュレバー87を回動操作することによりエンジン動力を接断する。
【0046】
上記メイン軸72,ドライブ軸74の後側斜め上方にはこれらと平行にシフトドラム90,入力側フォーク軸91,出力側フォーク軸92が配設されており、このシフトドラム90,各フォーク軸91,92の右端部,左端部は上記上ミッションケース部26aに一体形成された右,左ボス部により支持されている。
【0047】
上記入力側フォーク軸91には1つの入力側シフトフォーク93が、また上記出力側フォーク軸92には2つの出力側シフトフォーク94,94が軸方向移動自在に装着されている。上記シフトフォーク93,94の二股状の爪部は入力ギヤ群71,出力ギヤ群73のギヤに形成された摺動溝71b,73bに摺動自在に係合し、また上記シフトフォーク93,94の基部に一体形成された係合ピンは上記シフトドラム90の外周面に形成されたガイド溝に摺動自在に係合している。このシフトドラム90を不図示のチェンジ機構により回動させることにより、上記両シフトフォーク93,94が軸方向に摺動して入力ギヤ群71,出力ギヤ群73のギヤを移動させ、その結果、最低速段〜最高速段の間で切換が行われる。
【0048】
次に上記クランク軸21,メイン軸72,及びドライブ軸74の配置位置関係を主として図2に基づいて説明する。上記メイン軸72は、これの軸芯とクランク軸21の軸芯とを結ぶクランク軸・メイン軸直線Aと気筒軸線20とがシリンダヘッド側かつメイン軸側にてなす第1軸角度θ1が鋭角をなすように、換言すればクランク軸21の軸芯を通り気筒軸線20と直角な直線Cよりシリンダヘッド23側に寄せた位置に配置されている。
【0049】
また上記ドライブ軸74は、これの軸芯と上記メイン軸72の軸芯とを結ぶメイン軸・ドライブ軸直線Bと上記クランク軸・メイン軸直線Aとがドライブ軸側かつクランク軸側にてなす第2軸角度θ2が鋭角となるように配置されている。このようにして上記メイン軸72,ドライブ軸74はシリンダブロック22の背面に背負われるように配置されている。
【0050】
また上記クラッチ機構81の最大外周面(減速大ギヤの外周面)81aは、下死点に位置するピストン31′の頂面を通り気筒軸線20と直角をなす直線Dよりシリンダヘッド23側に位置している。そして上記クラッチ機構81の減速大歯車83の軸方向投影面内に上記メイン軸72,シフトドラム90,各フォーク軸91,92及びドライブ軸74が位置している。
【0051】
主として図2に示すように、本実施形態の冷却水ポンプ100,潤滑油ポンプは両方とも下ミッションケース部26b内に収容配置されており、該両ポンプ共通のポンプ軸102は上記クランク軸21,ドライブ軸74の間の下方にこれらと平行に配置されている。このポンプ軸102の右端に取り付けられた従動スプロケット108がチェーン109を介して上記メイン軸72のフランジ78より外側部分に装着された駆動スプロケット110に連結されている。冷却水ポンプ100から吐出された冷却水は、冷却水通路119,123a,123bを介して上記冷却ジャケット90に供給される。
【0052】
また上記潤滑ポンプは、オイルパン28内の潤滑油をオイルストレーナ120を介して吸引し、該潤滑油を下クランクケース部25bの前壁に取り付けられたオイルフィルタ121からメインギャラリ122を介してクランク軸21,メイン軸72,ドライブ軸74,及びカム軸40,41等の各エンジン潤滑部に供給する。
【0053】
ここで、動弁機構への潤滑油は、図3に示すように、シリンダヘッド23の第1気筒吸気側とチェーン配置室43との間に開口するオイル通路126から吸気側カム軸40に沿って延びるオイル通路127に供給されるとともに、オイル通路128により排気側カム軸41に沿って延びるオイル通路129に供給される。なお各カム軸軸受部を潤滑した潤滑油はシリンダヘッド23の第3,第4気筒の排気側間に形成されたオイル戻り通路を通ってオイルパン28内に回収される。
【0054】
なお、図2において、135は始動用モータであり、これは上記上ミッションケース部26aのシリンダ本体部22c背面部分にクランク軸21と平行に配置されている。上記始動用モータ135の出力は中間ギヤ138,始動ギヤ139,一方向クラッチ140,減速大歯車83を介してクランク軸21に伝達される
。
【0055】
次に本実施形態シリンダブロック22の製造工程を説明する。
本実施形態のシリンダブロック22を構成するシリンダ本体部22c,上クランクケース部25a及び上ミッションケース部26a(以下シリンダブロック母材と記す場合がある)のダイカスト鋳造用アルミニウム合金としては、以下の表1に示すJIS規格のアルミニウム合金が、シリンダヘッド23用アルミニウム合金としては表2に示す合金が、また上記スリーブ27用アルミニウム合金としては表3に示す合金が使用可能である。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
上記表1〜表3に示したように、母材のアルミニウム合金はSiを5〜20%(重量%)含有し、スリーブ27のアルミニウム合金としては、(スリーブ27のSi重量含有率/母材の重量含有率)×100をαとすると、
50<α<150
となるようなSi含有量のアルミニウム合金を用いる。このような構成のアルミニウム合金を用いて母材およびスリーブをそれぞれ形成することにより、母材とスリーブの熱膨張率の差が小さくなり、母材とスリーブ間でのヒートスポットの発生やスリーブ内周面の熱変形が軽減して、スリーブ内周面に施しためっき皮膜aの剥がれが抑制される。
【0059】
なお、表2のAC4Cによりシリンダブロック母材を形成する場合には、母材のSi重量含有率は6.5〜7.5%となるので、表3の合金1あるいは合金2において、Si含有量を例えば3.75〜9.75重量%に変更した合金を使用し、上記スリーブのSi重量含有率/母材のSi重量含有率の条件を満足させるようにする。同様に、ADC10によりシリンダブロック母材60を形成する場合には、母材60のSi重量含有率は7.5〜9.5%となるので、表3の合金1あるいは合金2において、Si含有量を例えば4.75〜15重量%に変更した合金を使用し、上記スリーブのSi重量含有率/母材のSi重量含有率の条件を満足させるようにする。
【0060】
さらに、表3に示すようにスリーブのアルミニウム合金は各々少なくとも0.2以上10以下のCuとMgの両方を含有する。これにより、下記するようにT6処理をして容易に硬度をHB70以上とすることができる。なお、CuとMgの内一方のみ含有する場合でもT6処理をして容易に硬度をHB70以上とすることができる。また、表1及び表2に示すように母材のアルミニウム合金はCuとMgの一方あるいは両方を含有する。これにより、下記するようにスリーブとともに母材にT6処理をして容易に硬度を上げることができ、スリーブのめっき層支持部のめっき保持能力の向上を図りつつ、シリンダブロック全体の剛性を上昇させることができ、エンジンの耐久性を向上させることができる。
【0061】
図13は、上記スリーブ27の鋳込みによるシリンダブロック22の製造工程を説明するためのフローチャートである。このフローにおいて、T6処理(ステップS2、S4、S6)は、スリーブのめっき皮膜支持部となる内周面の表面硬度を高めるために、JIS規格H5202に基づき、スリーブ単体またはスリーブを鋳込んだシリンダブロック全体を所定の温度で溶体化後時効硬化するものであり、ステップS2、S4、S6のいずれか1回行えばよく、或いは省略してもよい。このようなT6処理によりスリーブ表面硬度をHB70以上(70〜150)とすることが望ましい。なお、スリーブの押出し又は引き抜き成形により、内周面の表面硬度をHB70以上とした場合には、その後のT6処理により表面硬化処理を省略することもできる。
【0062】
なお、ステップS2、S4のいずれかのT6処理によれば、スリーブのみ硬度上昇を図ることができる。鋳込み時、溶湯状態の母材側の熱によりスリーブの硬度が若干低下するが、鋳造時間そのものはT6処理に相対して短く、スリーブの内周側の硬度をHB70以上に保つことができる。また、ステップS6のT6処理によれば、スリーブの硬度上昇に加えシリンダブロックの母材の硬度も上昇することができ、シリンダブロック全体の剛性を上昇させることができ、エンジン振動により各部の摺動部のクリアランス等が小さくなって摺動摩耗が増加する等に起因する、エンジンの耐久性の低下を防止することができる。
【0063】
外周ショットブラスト(ステップS3)は、スリーブ外周面に細かい凹凸を形成し、母材との接合性を高めるためのものである。このようにスリーブの鋳込み前にスリーブ外周面に凹凸を形成することにより、運転中の母材とスリーブの熱膨張率の違いにより緊迫力が低下しても、スリーブの抜けを確実に防止できる。このようなスリーブ外周面の凹凸は、ショットブラスト以外にも他の機械加工あるいはスリーブ全体の酸洗い(エッチング)等により形成することができる。なお、このショットブラスト処理(ステップS3)は省略してもよい。また、ショットブラスト等によりスリーブ外周に凹凸を形成して母材との接合性を高める方法に代えて、低融点半田を用いてスリーブと母材とを接合しスリーブの抜け防止を図ってもよい。
【0064】
なお、ここでショットブラストとは、粒径が50〜150μmの鋼球、超硬ビーズ、ステンレス鋼球、亜鉛ビーズ、ガラスビーズや、粒径はもう少し大きい石英を多く含む川砂等を、投射機で、例えば40〜80m/sの投射速度でワークを投射するものを言う。
【0065】
図14は上記めっき処理工程(ステップS8)の詳細なフローチャートであり、図20,図21はこのめっき処理を行うめっき処理装置の構成図である。図14のフローチャートにおいて、スリーブ内面のめっき処理は、基本的には、脱脂処理(ステップS11)、アルカリエッチング処理(ステップS13)、混酸エッチング処理(ステップS15)、アルマイト処理(ステップS17)および複合めっき処理(ステップS19)の5つの工程からなり、各工程の後に水洗処理(ステップS12、14、16、18、20)が施される。
【0066】
上記水洗処理は各工程ごとに別々の2つの水槽(合計10個)を用いて、シリンダブロック全体を順番に2つの水槽内に浸漬し上下に動かして前工程の処理液を除去するものである。水槽内の水は定期的に新しい清浄な水と交換される。各水洗処理終了後に次の工程への移動はできるだけ速やかに行い、表面に水膜がついている状態で次の処理を行うことが望ましい。これにより、処理部への塵埃等の付着や空気中の酸素が直接触れることを防止して酸化膜の形成等を防止し、後の工程での処理の信頼性を高めることができる。これは特にメッキ処理の場合有効である。
【0067】
図20,図21に示すように、スリーブ27を母材に鋳込んだシリンダブロック22は、スリーブ27の内周面に各処理を施すために、シリンダ本体部22cの合面を下側にして、各工程において専用の装置本体100a,100b上にシール用ガスケット101a,101bを介して搭載される。各工程でそれぞれ専用の処理液糟102a,102b内の処理液105a,105bが専用のポンプ106a,106bにより装置本体100a,100bの内部に供給され、スリーブ27の内側を上昇して内筒107a,107bを通って処理液糟102a,102bに戻る。
【0068】
図20はアルカリエッチング,混酸エッチング処理状態を示す。このエッチング処理の範囲は、上記めっき皮膜の形成範囲に対して余裕を持たせる必要があることから、上記スリーブ27の上記逃げ部27aのクランク軸側端部付近までとされる。そしてこの場合の処理範囲の管理は、上記内筒107aの上端面107a´の高さ位置によって処理液105aの液面を管理することによって行われるが、この方法では精度良く行うには限界がある。仮に上記エッチンク処理液105aがミッションケース26側等に溢れ出た場合、図6左端の気筒についてはミッションケース26側の加工済み面を荒らす恐れがある。
【0069】
そこで本実施形態では、上記左端の気筒については、上述のようにミッションケース26側部分にリブ状の堰部25d′を形成したものであり、これによりエッチング処理液がミッションケース側に溢れ出るのを防止できる。
【0070】
上記ガスケット101a,101bは、各処理工程における処理液の漏れを防止するためのシール材であるとともにアルマイト処理工程(ステップS17)および複合めっき工程(ステップS19)においては電解作用の絶縁材として機能する。このアルマイト処理工程と複合めっき工程においては、図21に示すように、それぞれ、例えば交流電源108から整流器109および制御回路110を介してシリンダ本体部22cと内筒107間に直流電圧を印加して電解液中に直流電流を流す。なお、その他の工程においては処理液中に直流電流は流さない。
【0071】
上記複合めっき処理は高速メッキ処理であり、所定のめっき条件で、専用の処理液糟102b内のメッキ液105bをポンプ106bにより装置本体100b内に供給し、内筒107bを通して処理液糟102bに戻すといった経路を高速で循環させながらスリーブ27の内面にめっき皮膜を形成する。この高速めっき工程においては、内筒107bを電源回路の(+)側に、シリンダ本体部22cを(−)側に接続し、直流電流をめっき液中に流す。これにより、後述の組成のめっき液中のNi+ およびP+ がスリーブ内周面に付着し、これに伴って分散剤であるSiC粒子がめっき層中に巻き込まれる。このようにして、スリーブ内周面に、SiCを含み耐摩耗性および潤滑性に優れためっき皮膜aが50〜150μmの厚さに形成される。
【0072】
また上記ステップS19の高速めっき処理ではスリーブ27の上端部にカバー111が装着される。このカバー111は、高速で循環するめっき液105bの飛散噴出を防止するとともに、スリーブ27の内面のめっき範囲を規制する。めっき範囲は、スリーブ27の内周面のうち、シリンダヘッドとの境界部になるガスケット101bからカバー111のOリング112までの範囲に規制される。従って上記Oリング112の位置を上記逃げ部27aの途中に設定することにより上述のようにめっき皮膜aの下端縁a′にピストン31の外周面下端部が接触しないようにできる。
【0073】
上記ステップS19の複合めっき処理の後、再びステップS20の水洗処理が実施されてめっき液が除去され、ステップS21のエアーブローによりシリンダブロック22に付着する水分が除去される。そして以上のめっき処理ステップS8の後、貫通孔52の加工を経た後にホーニングステップS9でスリーブ27内周面のめっき層にホーニング仕上げを施し、めっき皮膜の厚みを望ましくは約50μm、場合によっては20μm〜100μmとするとともに、めっき層の面粗さを1.0μmRz以下にする。これにより、確実にめっき層表面を滑らかにすることができてピストン31およびピストンリング31dの摺動時の摩擦係数を小さくすることができるとともに、エンジンオイルの保持性が向上し潤滑性を向上させることができる。なお、RzとはJIS規格のB0601に定められたものである。
【0074】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態では、シリンダ本体部22cと上クランクケース部25a及び上ミッションケース部26aをアルミ合金のダイカスト鋳造により一体形成したので、部品点数を削減できるとともに各部の薄肉化が可能となり軽量化を図ることができる。
【0075】
また上記シリンダ本体部22c内にアルミ合金の引き抜きパイプ材からなるスリーブ27を鋳込み、これの内表面にめっき皮膜aを形成するようにしたので、該スリーブ27の内表面には、ダイカスト鋳造面にめっき皮膜を直接形成する場合のような巣がないことから、めっきの付着性が良好であり、生産不良率を低減できる。
【0076】
また上記めっき皮膜aの形成に当たって、めっき液をスリーブ27の内面と処理液層との間で高速で循環させようにした高速めっき法を採用したので、静止浴内にワーク全体を浸漬してめっきする方法に比較して生産性を向上できる。
【0077】
また変速装置を収容する上ミッションケース部26aの上縁部26cを上記シリンダ本体部22cのシリンダヘッド側合面より下方に位置させたので、図20,21に示すように、上記めっき処理工程においてシリンダヘッド側合面を下側に向けてめっき処理用装置本体100a,100b上に搭載した場合に、上ミッションケース部26aの上縁部26cが装置本体100a,100bに干渉しにくくなり、それだけめっき処理作業におけるワークの支持が容易でありめっき処理作業性を向上できる。
【0078】
さらにまた図2に示すように、クランク軸21,メイン軸72,及びドライブ軸74を、クランク軸・メイン軸直線Aと気筒軸線20とのなす第1軸角度θ1、及び上記軸直線Aとメイン軸・ドライブ軸直線Bとのなす第2軸角度θ2がそれぞれ鋭角をなすように配置したので、クランク軸21とドライブ軸74との軸間距離を縮小でき、エンジン前後長を短くでき、従ってミッションケース部26のシリンダ本体部22cからのオーバーハング量を小さくでき、この点からもワークの支持が容易でありめっき処理作業性を向上できる。
【0079】
また上記メイン軸72をクランク軸21を通る直角直線Cよりシリンダヘッド23側に寄せて配置したので、メイン軸72はシリンダブロック22の背面に背負うように配置されることとなり、エンジンユニット15の前後長さをさらに縮小できる。さらにクラッチ機構81をこれの最大外周面81aが下死点のピストン頂面を通る直角直線Dよりシリンダヘッド23側に位置するように配置したので、この点からもエンジンユニット15を小型化できる。
【0080】
上記クラッチ機構81の最大径部分の軸方向投影面内にメイン軸72,シフトドラム90,各フォーク軸91,92及びドライブ軸74を配置したので、各軸の配置がコンパクトとなり、ユニットケース25の出っ張りを小さくでき、この点からもエンジンを小型できる。
【0081】
またシリンダ本体部22cのピストン摺動面22aを構成するスリーブ27(シリンダ内壁)の下端でかつミッションケース部26側の部位に反ミッションケース部側に比べてクランク軸21側に突出するリブ状の堰部25d′を設けたので、上述のめっき処理行程において、特にエッチッグ液等の処理液がミッションケース26側に溢れるのを、スリーブ27を必要以上にクランク軸21側に延長することなく回避でき、既に加工済みの面がエッチング液等で荒らされるのを防止できる。
【0082】
また上記堰部25d′を設けるに当たり、クランク軸軸受ボス部29間に出力取出部を有する気筒のミッションケース側の部位にのみ該堰部25d′を設け、他の気筒についてはクランク室とミッション室との間に両者を仕切り、かつ上記ピストン摺動面22a(スリーブ27)の下端よりシリンダ軸21方向高さの高い隔壁25dを設けたので、該隔壁25dを上記堰部25d′に兼用できる。なお、上記隔壁25dの本来の目的はケース剛性を向上させる点にある。
【0083】
さらにまたスリーブ27(シリンダ内壁)のクラン軸側端部にピストン摺動面22aより大径の逃げ部27aを形成し、めっき皮膜aをこの逃げ部27aの途中部位(h2)まで渡るように形成し、ピストン31が下死点位置に下降したとき、該ピストン31の下端部31eと上記めっき皮膜の下端縁a′との間に隙間cが形成されるようにしたので、めっき皮膜aの縁部a′がホーニング処理S9の際の刃具及びピストン31の外周面に接することがなく、該めっき皮膜aの端縁からの剥離,脱落の問題を回避できる。
【0084】
またピストン31が下死点に下降したとき、該ピストン31の下端部31eが上記逃げ部27aに重なるようにしたので、同じピストンストロークを備えながらエンジン高さを低くできる。即ち、上記逃げ部を設けない場合において、ピストン下端部がめっき皮膜の端縁に当接するのを回避するにはスリーブ長さを長くする必要があり、それだけエンジン高さ寸法が大きくなるが、本実施形態ではこの問題を回避できる。
【0085】
例えば、図12において、h2までめっき皮膜を設ける場合は、ホーニング加工領域は刃具がメッキ皮膜の下縁a´に当たらないよう余裕をもってh3に設定する必要があり、そうなるとピストンの摺動領域はホーニング加工領域から余裕を取る必要があることからh4となり、本発明に比べると(h4´−h4)だけエンジン高さが高くなる。
【0086】
シリンダ本体部22cに挿入されたスリーブ27とクランクケース部25との境界部に各気筒用クランク室19同士を連通する横断面円形の連通孔52をドリルにより形成する場合に、該ドリルの加工中心点bを上記スリーブ27とクランクケース部25との境界よりスリーブ27側に偏位させたので、上記連通孔52を所定の位置に容易確実に形成できる。ちなみに低硬度の上ランクケース部25a側に加工中心点bを偏位させた場合にはドリル加工中心がスリーブから遠ざかるようにずれていく恐れがある。
【0087】
また上記連通孔52をスリーブ27のピストン摺動面22aに渡るように貫通形成する場合に、該ピストン摺動面22aの上記連通孔上縁52aから下死点位置にあるピストン31の下端のオイルリング31aまでの寸法を3mm以上に設定したので、ピストン摺動面22aのホーニング加工によりその面粗さ等が許容範囲にある部分のみでピストンリングを摺動させることができ、ピストンリングとピストン摺動面22aとの隙間が許容寸法以下に狭くなってしまうといった問題を解消できる。
【0088】
さらにまた上記連通孔52を、クランク軸方向に見たときシリンダブロック22の外側壁22bに設けられたカム軸駆動機構の組付け用開口50内に位置するように形成したので、該組付け開口50を利用して機械加工することにより連通孔52を穿設することができ、機械加工用の開口を別個に形成する、或いは加工によって開いた孔に埋栓を施す等の余分な加工をする必要がなく、従って該加工用開口の専用蓋部材での閉塞を不要にでき、製造コストを低減できる。
【0089】
また、潤滑油通路53を上ケース26の各ボス部29に連通孔52の内周面に開口するよう形成し、該通路53を通して潤滑油をピストン裏面に噴射するように構成する場合に、上記連通孔52の上部の幅W1を下部の幅W2より狭くしたので、噴射された潤滑油は連通孔52の上縁によって遮断されることなく確実にピストン裏面に供給されることとなり、従来のようにクランク室壁に噴射通路を切り欠き形成する必要がなく、コスト上昇を招くことなくピストン31を効率良く冷却できる。
【0090】
さらにまた本実施形態では、ピストンスカート31aに切り欠き凹部31cを形成してなるスリッパ型ピストン31を採用し、上記潤滑油通路53の噴射口54aを下死点に位置するピストン31の切り欠き凹部31cを通してピストン裏面に指向させたので、ピストンスカート31aにより潤滑油の噴射流が遮断されることがなく、この点からも冷却効率を向上できる。また上記切欠き凹部31cを設けたのでピストンスカート31aにより連通孔52の有効面積が狭められるという問題も回避できる。あるいは、スカートによる面積減少を避けるためにコンロッドを長くするといったことも不要となる。
【0091】
アルミ合金製シリンダブロック本体部22c内にピストン摺動面を構成するスリーブ27を鋳込んでなるシリンダブロック22とアルミ合金製シリンダヘッド23との間にガスケット91を介在させる場合に、上記シリンダブロック本体部22cとシリンダヘッド23とを線膨張係数の略等しい材料で形成するとともに、上記ガスケット91のビード部91aのシリンダブロック側のシール点p,pを上記スリーブ27に渡ることなくシリンダ本体部22a側の合面22fのみに当接させたので、シール性を確保できるとともに、ガスケットの寿命を確保できる。
【0092】
即ち、スリーブ27はピストン摺動面22aを形成する必要があることから、上記シリンダ本体部22cと線膨張係数が異なるものとなる場合が多く、そのため熱間運転状態では、シリンダ部本体22cとスリーブ27の合面間にシリンダ軸方向の段差が生じる可能性がある。仮に上記ビード部91のシリンダブロック側シール点p,pがシリンダ本体部22cとスリーブ27との両方に渡って当接している場合には、上記段差によりガスケット91のビード部91a部分に剪断方向の力が作用し、その寿命が短縮したりあるいはシール性が低下する懸念がある。
【0093】
また本実施形態では、ガスケット91のシリンダ内周側部分91dをスリーブ27のシリンダヘッド側の端面(合面27f)に対面させたので、該部分91dがスリーブ27とシリンダヘッド23と間の空間を埋めることとなり、それだけ圧縮比を高めることができ、また燃焼室表面形状に不要の凹部を生じさせることがなく、燃焼を良好にできる。
【0094】
また、ガスケット91の上記シリンダ内周側部分91dがスリーブ27の合面27fに対面する場合でもビード部91aはシリンダ本体部22cの合面22fのみに当接しているのでシール性,ガスケットと寿命に影響が生じることはない。さらにまた、めっき皮膜形成時にいわゆる花咲がスリーブ端面に形成された場合でもシール性に支障が生じることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるエンジンが搭載された自動二輪車の左側面図である。
【図2】上記エンジンの右側面図である。
【図3】上記エンジンのチェーン配置室回りの構造を示す右側面図である。
【図4】上記エンジンの断面背面展開図である。
【図5】上記エンジンの連通孔部分を示す断面図である。
【図6】上記エンジンのシリンダブロックのクランク軸側から見た底面図である。
【図7】上記シリンダブロックの右端気筒部分の断面側面図である。
【図8】上記シリンダブロックの右端から2番目の気筒部分の断面側面図である。
【図9】上記シリンダブロックの平面図である。
【図10】上記シリンダブロックとシリンダヘッドとの間のガスケットの平面図である。
【図11】上記シリンダブロックのシリンダヘッドとの間のシール構造を示す拡大断面図である。
【図12】上記シリンダブロックのスリーブ下端部を示す拡大断面図である。
【図13】上記シリンダブロックの製造工程を示すフローチャートである。
【図14】上記製造工程におけるめっき処理工程の詳細を示すフローチャートである。
【図15】上記シリンダブロックの連通孔形成実験の結果を示す図である。
【図16】上記シリンダブロックの連通孔形成実験の結果を示す図である。
【図17】上記シリンダブロックの連通孔形成実験の結果を示す図である。
【図18】上記シリンダブロックの連通孔形成実験の結果を示す図である。
【図19】上記シリンダブロックの連通孔形成実験におけるホーニング後状態を示す図である。
【図20】上記めっき処理工程におけるエッチング処理装置を示す模式図である。
【図21】上記めっき処理工程における高速めっき処理装置を示す模式図である。
【符号の説明】
15 エンジン
19 クランク室
21 クランク軸
22 シリンダブロック
22a ピストン摺動面
22c シリンダ本体部
25 クランクケース部
27 スリーブ
52 連通孔
b 連通孔の中心[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a cylinder block of a multi-cylinder engine suitable for a motorcycle.
[0002]
[Prior art]
In some engines used in motorcycles, etc., the cylinder block is formed separately from the crankcase. In this structure, the parts for connecting the cylinder block to the crankcase and the connecting surface (joint surface) Machining is necessary to ensure sealing performance, and there is a problem that the number of parts, processing man-hours, and assembly man-hours increase. Therefore, it is conceivable to reduce the number of parts and the number of assembly steps by integrally forming the cylinder block and the crankcase.
[0003]
Further, in this type of engine, as a structure for forming a piston sliding surface in the cylinder block, a separate sleeve having the piston sliding surface is disposed in the cylinder block by press-fitting or casting, or the cylinder block body. It is conceivable to directly apply plating or the like.
[0004]
In the case of a four-cycle engine, a structure is known in which crank chambers of adjacent cylinders communicate with each other through a communication hole in order to reduce a pumping loss caused by compression of air in the crank chamber during a piston lowering stroke.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, when the communication hole is formed to reduce the pumping loss in the cylinder block in which the cylinder main body and the crankcase are integrally formed, and a sleeve is disposed in the cylinder, for example, In some cases, it is difficult to accurately form the communication hole at a predetermined position.
[0006]
That is, in the cylinder block having the above structure, the sleeve has a high hardness so as to ensure the wear resistance necessary as a piston sliding surface, while the cylinder body and the crankcase are in view of ensuring castability. Since the material is set, the hardness is generally lower than that of the sleeve. For this reason, when the communication hole is drilled using a drill, the machining center line may shift to the low hardness side as the machining progresses depending on the setting of the drill center.
[0007]
An object of the present invention is to provide a cylinder block of a multi-cylinder engine in which the communication hole can be accurately formed at a predetermined position with a simple structure.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
According to a first aspect of the present invention, in a cylinder block of a multiple cylinder engine having a cylinder body portion having a piston sliding surface, the cylinder body portion and at least an upper half portion of a crankcase portion accommodating the crankshaft are made of an aluminum alloy. The piston sliding surface is made harder than the cylinder body portion and the crankcase portion, and a circular communication hole having a circular cross section for communicating the crank chambers of the cylinders is formed in the piston sliding surface and the crankcase. The center of the drill for forming the communication hole is positioned on the piston sliding surface side from the boundary between the piston sliding surface and the crankcase portion,The hole width becomes narrower toward the crankcase part side than the center of the communication hole in the outer peripheral part of the communication hole on the piston sliding surface,An overhang portion that prevents movement of the drill toward the crankcase portion is formed.
According to a second aspect of the present invention, in the first aspect, the cylinder main body portion includes a sleeve having the piston sliding surface, and a relief portion having a larger diameter than the cylinder head side portion is provided at the crankshaft side end portion of the sleeve. Is formed, and the center of the communication hole is located in the escape portion.
[0009]
[Effects of the invention]
According to the first aspect of the present invention, the circular communication hole having a circular cross section for communicating the crank chambers for each cylinder is formed by a drill at the boundary between the high hardness piston sliding surface of the cylinder main body and the low hardness crankcase. In forming the drill, since the machining center point of the drill is displaced to the piston sliding surface side from the boundary between the piston sliding surface and the crankcase portion, the escape of the drill can be avoided, and the communication hole is formed in a predetermined manner. It can be easily and reliably formed at a precise position.
[0010]
The above escape avoidance effect is due to the high hardness of the drill centerThe piston sliding surfaceBecause it is located on the side,Prevents the drill from moving to the low hardness side of the piston sliding surfaceOverhang part (
[0011]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the accompanying drawings.
FIGS. 1 to 21 are views for explaining a cylinder block of a motorcycle engine according to an embodiment of the present invention. FIG. 1 is a left side view of a motorcycle on which the engine is mounted, and FIG. FIG. 3 is a right side view of the cylinder block, cylinder head, and head cover portion of the engine, FIG. 4 is a developed cross-sectional rear view of the engine, and FIG. 5 is a cross-sectional view showing a communication hole portion of the cylinder block. 6 is a bottom view of the cylinder block as viewed from the crankshaft side, FIG. 7 is a sectional side view of the rightmost cylinder portion of the cylinder block, FIG. 8 is a sectional side view of the second cylinder portion from the right of the cylinder block, and FIG. FIG. 10 is a plan view of the cylinder gasket, FIG. 10 is a plan view of the head gasket, and FIG. 11 is an enlarged view showing the sealing state of the head side mating surface of the
[0012]
In FIG. 1,
[0013]
A
[0014]
A
[0015]
An
[0016]
The
[0017]
The
[0018]
The
[0019]
In the cylinder bore
[0020]
The
[0021]
Here, as shown in FIG. 12, the etching process is applied to a region h1 from the upper end to the lower end of the
[0022]
The large end of the connecting
[0023]
The
[0024]
In FIG. 6 showing the
[0025]
On the other hand, the
[0026]
Therefore, in the present embodiment, in the sleeve casting step, the left end cylinder is covered with the aluminum chamfered
[0027]
Three intake ports and two exhaust ports that open to each
[0028]
The
[0029]
An
[0030]
Here, the
[0031]
As described above, in this embodiment, when a circular hole is formed by drilling so as to extend over both the
[0032]
Further, the
[0033]
The reason why the center position of the
[0034]
15 to 19 show the results of experiments conducted to investigate the occurrence of burrs and the like when the through-
[0035]
15 to 18 show the state of occurrence of burrs or the like in the first to fourth cylinders when a through-hole is formed by inserting a drill in the direction of the arrow after forming a plating film on each sleeve of the experimental cylinder block. . In each figure, the right part shows the situation when the drill penetrates the plating film and enters the sleeve, and the left part shows the situation when the drill penetrates the plating film from the sleeve and enters the cylinder body. It can be seen that the burrs and the like are about 5 to 30 μm in any cylinder.
[0036]
FIG. 19 shows the state of the piston sliding surface after the honing process. As is apparent from the figure, the above-described burrs and the like are removed by honing, and α μm (for example, a dimension acceptable as a piston sliding surface is provided above the
[0037]
Further, as shown in FIG. 5, each bearing
[0038]
A
[0039]
Thus, since the
[0040]
Further, the height in the cylinder axial direction of the
[0041]
A
[0042]
When the
[0043]
2 and 4,
[0044]
The
[0045]
The left end portion of the
[0046]
A
[0047]
One input-
[0048]
Next, the positional relationship among the
[0049]
The
[0050]
The maximum outer peripheral surface (the outer peripheral surface of the large reduction gear) 81a of the
[0051]
As shown mainly in FIG. 2, both the cooling
[0052]
The lubrication pump sucks the lubricating oil in the
[0053]
Here, as shown in FIG. 3, the lubricating oil for the valve mechanism moves along the intake side camshaft 40 from the
[0054]
In FIG. 2,
.
[0055]
Next, the manufacturing process of this
Examples of the die casting aluminum alloy for the cylinder
[0056]
[Table 1]
[0057]
[Table 2]
[0058]
[Table 3]
As shown in Tables 1 to 3 above, the aluminum alloy of the base material contains 5 to 20% (wt%) of Si, and the aluminum alloy of the
50 <α <150
An aluminum alloy having a Si content such that By forming the base material and the sleeve using the aluminum alloy having such a configuration, the difference in the coefficient of thermal expansion between the base material and the sleeve is reduced, the generation of heat spots between the base material and the sleeve, and the inner circumference of the sleeve. Thermal deformation of the surface is reduced, and peeling of the plating film a applied to the inner peripheral surface of the sleeve is suppressed.
[0059]
When the cylinder block base material is formed from AC4C in Table 2, the Si weight content of the base material is 6.5 to 7.5%. Therefore, in
[0060]
Furthermore, as shown in Table 3, each aluminum alloy of the sleeve contains at least 0.2 and 10 or less of both Cu and Mg. As a result, the hardness can be easily increased to HB70 or higher by performing T6 treatment as described below. Even when only one of Cu and Mg is contained, the hardness can be easily increased to HB70 or more by T6 treatment. In addition, as shown in Tables 1 and 2, the base aluminum alloy contains one or both of Cu and Mg. This makes it possible to easily increase the hardness by performing T6 treatment on the base material together with the sleeve, as described below, and increase the rigidity of the entire cylinder block while improving the plating holding ability of the plating layer support portion of the sleeve. And the durability of the engine can be improved.
[0061]
FIG. 13 is a flowchart for explaining a manufacturing process of the
[0062]
In addition, according to the T6 process in either step S2 or S4, only the sleeve can increase the hardness. At the time of casting, the hardness of the sleeve slightly decreases due to the heat on the base metal side in the molten state, but the casting time itself is short relative to the T6 treatment, and the hardness on the inner peripheral side of the sleeve can be kept at HB70 or higher. In addition, according to the T6 process of step S6, the hardness of the base material of the cylinder block can be increased in addition to the increase in the hardness of the sleeve, the rigidity of the entire cylinder block can be increased, and the sliding of each part can be caused by engine vibration. It is possible to prevent a decrease in engine durability caused by a decrease in the clearance of the portion and the increase in sliding wear.
[0063]
The outer peripheral shot blasting (step S3) is for forming fine irregularities on the outer peripheral surface of the sleeve and enhancing the bondability with the base material. By forming irregularities on the outer peripheral surface of the sleeve before casting the sleeve in this way, the sleeve can be reliably prevented from coming off even if the tightening force is reduced due to the difference in thermal expansion coefficient between the base material and the sleeve during operation. Such irregularities on the outer peripheral surface of the sleeve can be formed by machining other than shot blasting or pickling (etching) of the entire sleeve. This shot blasting process (step S3) may be omitted. Further, instead of a method of forming irregularities on the outer periphery of the sleeve by shot blasting or the like to improve the bondability with the base material, the sleeve and the base material may be joined using a low melting point solder to prevent the sleeve from coming off. .
[0064]
Here, shot blasting refers to steel balls, cemented carbide beads, stainless steel balls, zinc beads, glass beads with a particle size of 50 to 150 μm, river sand containing a lot of quartz with a slightly larger particle size, etc. with a projector. For example, what projects a workpiece | work with the projection speed of 40-80 m / s is said.
[0065]
FIG. 14 is a detailed flowchart of the plating process (step S8), and FIGS. 20 and 21 are configuration diagrams of a plating apparatus for performing the plating process. In the flowchart of FIG. 14, the inner surface of the sleeve is basically degreased (step S11), alkaline etching (step S13), mixed acid etching (step S15), anodized (step S17), and composite plating. The process consists of five processes (step S19), and a water washing process (steps S12, 14, 16, 18, 20) is performed after each process.
[0066]
The above water washing treatment uses two separate water tanks (10 in total) for each process, so that the entire cylinder block is immersed in the two water tanks in order and moved up and down to remove the processing liquid from the previous process. . The water in the aquarium is regularly replaced with new clean water. It is desirable to move to the next step as soon as possible after completion of each water washing treatment, and to carry out the next treatment with a water film on the surface. As a result, it is possible to prevent adhesion of dust or the like to the processing unit or direct contact with oxygen in the air, thereby preventing formation of an oxide film and the like, and improving the reliability of processing in a later process. This is particularly effective in the case of plating.
[0067]
As shown in FIGS. 20 and 21, the
[0068]
FIG. 20 shows the state of alkali etching and mixed acid etching. The range of this etching process is limited to the vicinity of the crankshaft side end portion of the
[0069]
Therefore, in the present embodiment, the leftmost cylinder is formed with the rib-
[0070]
The
[0071]
The composite plating process is a high-speed plating process. Under predetermined plating conditions, the plating liquid 105b in the dedicated
[0072]
In the high-speed plating process in step S19, the
[0073]
After the composite plating process in step S19, the water washing process in step S20 is performed again to remove the plating solution, and the moisture attached to the
[0074]
Next, the effect of this embodiment is demonstrated.
In the present embodiment, the
[0075]
In addition, since the
[0076]
In forming the plating film a, a high-speed plating method in which the plating solution is circulated at high speed between the inner surface of the
[0077]
Further, since the
[0078]
Further, as shown in FIG. 2, the
[0079]
Further, since the
[0080]
Since the
[0081]
Also, a rib-like shape that protrudes to the
[0082]
Further, in providing the
[0083]
Furthermore, an
[0084]
Further, when the
[0085]
For example, in FIG. 12, when the plating film is provided up to h2, it is necessary to set the honing area to h3 with a margin so that the cutting tool does not hit the lower edge a ′ of the plating film. Since it is necessary to take a margin from the machining area, it becomes h4, and the engine height becomes higher by (h4′−h4) than in the present invention.
[0086]
When a
[0087]
Further, when the
[0088]
Furthermore, the
[0089]
Further, when the lubricating
[0090]
Furthermore, in the present embodiment, a
[0091]
When the
[0092]
That is, since it is necessary to form the
[0093]
Further, in the present embodiment, the cylinder inner
[0094]
Further, even when the cylinder inner
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a left side view of a motorcycle equipped with an engine according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a right side view of the engine.
FIG. 3 is a right side view showing a structure around a chain arrangement chamber of the engine.
FIG. 4 is a developed sectional rear view of the engine.
FIG. 5 is a cross-sectional view showing a communication hole portion of the engine.
FIG. 6 is a bottom view of the cylinder block of the engine as viewed from the crankshaft side.
FIG. 7 is a cross-sectional side view of a right end cylinder portion of the cylinder block.
FIG. 8 is a cross-sectional side view of the second cylinder portion from the right end of the cylinder block.
FIG. 9 is a plan view of the cylinder block.
FIG. 10 is a plan view of a gasket between the cylinder block and the cylinder head.
FIG. 11 is an enlarged cross-sectional view showing a seal structure between the cylinder block and the cylinder head.
FIG. 12 is an enlarged sectional view showing a lower end portion of a sleeve of the cylinder block.
FIG. 13 is a flowchart showing manufacturing steps of the cylinder block.
FIG. 14 is a flowchart showing details of a plating process in the manufacturing process.
FIG. 15 is a view showing a result of a communication hole formation experiment of the cylinder block.
FIG. 16 is a view showing a result of a communication hole formation experiment of the cylinder block.
FIG. 17 is a view showing a result of a communication hole formation experiment of the cylinder block.
FIG. 18 is a view showing a result of a communication hole formation experiment of the cylinder block.
FIG. 19 is a diagram illustrating a state after honing in the communication hole forming experiment of the cylinder block.
FIG. 20 is a schematic view showing an etching apparatus in the plating process.
FIG. 21 is a schematic view showing a high-speed plating apparatus in the plating process.
[Explanation of symbols]
15 engine
19 Crank chamber
21 Crankshaft
22 Cylinder block
22a Piston sliding surface
22c Cylinder body
25 Crankcase section
27 sleeve
52 communication hole
b Center of communication hole
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