JP4374080B2 - 液封防振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用エンジンマウント等に使用して好適な液封防振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
主液室の内圧変化を吸収するべく弾性変形する弾性膜部を設けた液封防振装置は公知であり、例えば特許第2799953号がある。図8はこのような従来例における仕切部材の一部を拡大した断面で示す図であり、この仕切部材は弾性仕切部材aと、その一面側を覆う抑えプレートb、弾性仕切部材aの周囲部cを嵌合支持する周囲固定部dを備え、弾性仕切部材aの中央部は弾性膜部eをなし、その裏面には略L字状断面をなすストッパ脚部fを突出形成し、周囲固定部の内周壁gへ押し当てて弾性膜部aのバネ定数を非線形的に変化させる。また、抑えプレートbの中央部には弾性膜部eを開放する開口部hを設ける。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来例によれば、図7の曲線Aで示すように弾性膜部eの弾性変形により内圧変動を吸収するため低動バネ化できる。しかし弾性膜部eの膜共振によるピークP1が生じるので、これを可及的に低くすることが望ましい。しかしこれを実現するためには、より簡単な構造で実現可能にすることが要求される。本願発明はこのような要請を実現するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願の液封防振装置に係る発明は、振動源側へ取付けられる第1の取付部材と、車体側へ取付けられる第2の取付部材と、これらの間に設けられる略円錐状の弾性本体部を備え、この弾性本体部を壁の一部とする液室を形成し、この液室内を仕切り部材にて主液室と副液室とに区画するとともに、これら主液室と副液室間を低周波振動を吸収するダンピングオリフィス通路で連通し、かつ仕切り部材の少なくとも一部に主液室の内圧変化を吸収するべく弾性変形する弾性膜部を設け、その副液室側から略L字状断面をなすストッパ脚部を一体に突出形成し、その突出端を仕切部材の周囲固定部へ押し当てた液封防振装置において、前記仕切部材は、弾性膜部を一部に形成した弾性仕切部材と、この上へ被せられる抑えプレートと、弾性仕切部材の外周部となる周囲部を支持する周囲固定部とを備えるとともに、前記抑えプレートの中央部に弾性膜部の上方を開放する開口部を設け、この開口部の外周側に締め付け突起を一体に設け、この締め付け突起と前記周囲固定部とで、前記弾性仕切り部材を挟んで締め付けたことを特徴とする。
【0005】
なお、上記の発明において、周囲固定部による締め付け点を、弾性仕切部材の周囲部と内周側の弾性膜とを連結し周囲部より薄肉の連結部にするとともに、締め付け突起による締め付け点を、周囲固定部による締め付け点よりも外周側に位置させることにより、前記締め付け突起と周囲固定部による各締め付け点を内外周側へ分離配置し、
さらに、前記抑えプレートの中央部に設けた開口部の縁部を前記周囲固定部の前記連結部を支持する上端部の上方に位置させることもできる。
【0006】
【発明の効果】
抑えプレートの開口部より外周側に締め付け突起を形成し、この締め付け突起と周囲固定部とにより弾性仕切り部材を締め付けるため、弾性膜部に初期たわみを与えることができ、膜剛性を低くできる。その結果、弾性膜部の膜共振を調整し、ピーク周波数を下げることができる。しかも、抑えプレートに締め付け突起を追加するだけの簡単な構造で実現できる。
【0007】
また、締め付け突起による締め付け点を、周囲固定部による連結部に対する締め付け点よりも外周側に位置させることにより、締め付け突起と周囲固定部の各締め付け点を内外周側へずらせて配置すれば、弾性膜部に所定の初期たわみを与え、これにより弾性膜部の膜剛性をさらに精密に調整できる。
【0008】
そのうえ、開口部の位置を変化させ、例えば、周囲固定部の締め付け点より締め付け突起側となる位置まで拡大すれば、弾性膜部の内圧吸収力が大きくなるのでそれだけ低動バネ化できる。したがって、開口部を締め付け突起までの範囲で任意に調節すれば低動バネ化の程度を自由に調節できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、自動車用エンジンマウントとして構成された一実施例を説明する。図1は弾性仕切り部材の一部を拡大して示す断面図、図2はこのエンジンマウントの全断面図、図3〜5は図1における構成各部材毎に示す断面図であり、図3は抑えプレート、図4は弾性仕切り部材、図5は周囲固定部をそれぞれ示す。図6は変形例を示す図1と同様図、図7は効果を示す動バネ定数のグラフである。
【0010】
まず図2において、このエンジンマウントはエンジン側へ取付けられる第1の取付部材1と、車体側へ取付けられる第2の取付部材2と、これらを連結して一体的に設けられる弾性本体部3を備える。弾性本体部3は公知のゴム等からなる適宜弾性材料から構成される略円錐状の部材であり、この円錐状部4の頂部を第1の取付部材1が貫通して一体化されている。
【0011】
円錐状部4の内側表面は、後述する液室の内壁面をなす。また、円錐状部4の裾部周囲はフランジ6をなし、このフランジ6から下方部分はさらに下方へ延びて内張部7ををなしている。フランジ6は第2の取付部材2の一部を構成する円筒状の側壁部8のフランジ9状へ一体化され、かつ内張部7は側壁部8の内面を覆っている。
【0012】
弾性本体部3の内側は下方へ開放された空間をなし、この開放部はダイアフラム10で覆われ、これらによって内側に液室を形成する。この液室内は仕切り部材11により弾性本体部3側の主液室12とダイアフラム10側の副液室13に区画され、両液室は仕切り部材11の外周部に形成されたダンピングオリフィス通路14によって連通される。
【0013】
仕切り部材11は上向きに開放された溝15を外周部に有するカップ状部材16と、この溝15内へ周囲部17を嵌合したゴム等の適宜弾性材料からなる弾性仕切部18と、この上へ被せられる抑えプレート20との3部材で構成されている。
【0014】
これら仕切り部材11の構成3部材は上下に重ねて一体化され、周囲を側壁部8の下部8aと基部カバー19とのカシメによる連結時に、ダイアフラム10とともに連結部内側へ固定され、かつこのときのカシメの力で弾性仕切り部材18は抑えプレート20とカップ状部材16により上下から締め付けらている。
【0015】
図1及び図4に明らかなように、弾性仕切部18は裏側(図の下方側)にカップ状部材16の内壁21が嵌合するためのリング状溝22が形成され、これを境にしてその内側は裏側から肉抜きされて薄肉化した弾性膜部23をなす。弾性膜部23は弾性本体部3の弾性変形に使う主液室12の内圧変化を吸収するに十分な弾性変形を可能とする部分である。
【0016】
また、ダンピングオリフィス通路14を形成する周囲部17と、弾性膜部23を連結する連結部24を一体に有する。弾性膜部23の裏面である副液室側には、リング状溝22に沿って断面略L字状のストッパ脚部25が環状に一体形成され、その先端が鋭角状に形成された突出端26になっている。
【0017】
図1及び図3に示すように、抑えプレート20は中央部に開口部27が形成され、この開口部27を囲む外周側で弾性仕切り部材18と重なる面に、環状の締め付け突起28が一体に突出形成されている。なお、開口部27は、弾性膜部23の上方位置に形成され、その上面を開放して主液室12へ直接臨ませるようになっている。
【0018】
図1及び図4に示すように、本願発明における周囲固定部をなすカップ状部材16は、内壁21の上端部30がアール状をなす。この上端部30の高さは外壁31よりも連結部24の肉厚分だけ低くなっている。
【0019】
図1に明らかなように、内壁21はリング溝22内へ嵌合して上端部30が連結部24を下側から支持している。また、抑えプレート20を弾性仕切り部材18の上面へ当接して3部材を一体化してから第2取付部材2で周囲を固定することにより、弾性仕切り部材18は、抑えプレート20とカップ状部材16で上下から締め付けられる。
【0020】
このとき、周囲部17の上面内周側表面は、締め付け突起28により上方から締め付けられ、この点を突起締め付け点32とする。また、これよりも内周側である連結部24は上端部30により下側から締め付けられ、この締め付けられた部分のうち内壁21の延長部分を上端部側締め付け点33とする。
【0021】
上端部側締め付け点33と突起締め付け点32の差は、寸法Sなる支持スパンであり、この支持スパンをを設けることにより、外周側を締め付け突起28により下側へ押し、内周側を上端部側締め付け点33により上側へ押すことにより、弾性膜部23に対して所定の初期たわみを与えている。なお、上端部30及び締め付け突起28の各突出高さ及び支持スパンの寸法Sを設定することにより、弾性膜部23の膜剛性を大きくする等の調節でき、かつその程度は任意に設定できる。
【0022】
内壁21の側面には突出端26が押し当てられて摺動し、かつその押し当て量が弾性膜部23の変化量増大につれて大きくなる。したがって、このストッパ脚部25の存在により、弾性膜部23のバネ定数を、その変位量に対して非線形的に変化させることができる。
【0023】
なお、開口部27の径は任意に調整でき、図1に示すように、上端部側締め付け点33よりも内周側とする小さな径D1及び図6に示すように、上端部側締め付け点33側よりも外周側となる大きな径D2のいずれもが可能であり、径を大きくすればそれだけ主液室12へ臨む面積が増大するので、内圧をより多く吸収して低動バネ化を実現できる。
【0024】
また、図2中の符号34は中高周波デバイスであり、略デイスク状をなして主液室12内へ突出する第1の取付部材1の一端部へ取付けられ、弾性本体部3の内壁面5との間に介在する液体を所定の中高周波域で液柱共振させるようになっている。
【0025】
次に、本実施例の作用を説明する。まず、図1に示すように、上端部側締め付け点33と突起締め付け点32を内外周側へ互いにずらして配置した場合、その締め付けにより弾性膜部23の膜剛性を低くくし、かつ所定の初期たわみを与えるため、その動バネ曲線は図7に曲線Bで示すものとなる。
【0026】
図7は横軸に周波数、縦軸に動バネ定数をとったグラフであり、曲線Bの場合は、膜剛性が低くなるだけ全体の動バネ定数が若干小さくなり、膜共振のピークP2を同P1よりも下げることができ、全体の動バネ定数を十分な低動バネレベルにてより平準化できるので、実用上より好ましいものとなる。しかも締め付け突起28を設けるだけですむので、特別に新たな構造を設ける必要がなく、このような特性を簡単な構造で実現できる。
【0027】
また、図6のように開口部27の内径D2を大きくすると、弾性膜部23における内圧吸収力の増大により全体がさらに低動バネ化するので、図7の動バネ曲線Cとなり、ピークP3のみならずほぼ全体をより低動バネ化できる。すなわち、図7においてEで示す領域は中高周波デバイス34による液柱共振部分であり、この領域より低周波数側では十分に低動バネとなる。
【0028】
なお本願発明は、上記実施例に限定されず、種々に変形や応用が可能であり、上端部側締め付け点33と突起締め付け点32との間における支持スパンSは任意に設定できる。また開口部27の内径の変化は、この支持スパンSの変化と組み合わせることができ、これにより極めて精細なチューニングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る要部の拡大断面図
【図2】実施例のエンジンマウント全体断面図
【図3】図1における一構成部材を単独で示す図
【図4】同上図
【図5】同上図
【図6】変形例を示す図1同様図
【図7】効果を示すグラフ
【図8】従来例を示す図1同様図
【符号の説明】
1:第1の取付部材、2:第2の取付部材、3:弾性本体部、11:仕切り部材、12:主液室、13:副液室、16:カップ状部材、18:弾性仕切部、20:抑えプレート、21:内壁、23:弾性膜部、24:連結部、25:ストッパ脚部、27:開口部、28:締め付け突起、30:上端部、32:突起側締め付け点、33:上端部側締め付け点
Claims (2)
- 振動源側へ取付けられる第1の取付部材と、車体側へ取付けられる第2の取付部材と、これらの間に設けられる略円錐状の弾性本体部を備え、この弾性本体部を壁の一部とする液室を形成し、この液室内を仕切り部材にて主液室と副液室とに区画するとともに、これら主液室と副液室間を低周波振動を吸収するダンピングオリフィス通路で連通し、かつ仕切り部材の少なくとも一部に主液室の内圧変化を吸収するべく弾性変形する弾性膜部を設け、その副液室側から略L字状断面をなすストッパ脚部を一体に突出形成し、その突出端を仕切部材の周囲固定部へ押し当てた液封防振装置において、
前記仕切部材は、弾性膜部を一部に形成した弾性仕切部材と、この上へ被せられる抑えプレートと、弾性仕切部材の外周部となる周囲部を支持する周囲固定部とを備え、
前記抑えプレートの中央部に弾性膜部の上方を開放する開口部を設け、この開口部の外周側に締め付け突起を一体に設け、この締め付け突起と前記周囲固定部とで、前記弾性仕切り部材を挟んで締め付け、
前記周囲固定部による締め付け点を、前記弾性仕切部材の前記周囲部と内周側の弾性膜とを連結し前記周囲部より薄肉の連結部にするとともに、
前記締め付け突起による締め付け点を、前記周囲固定部による締め付け点よりも外周側に位置させることにより、各締め付け点を内外周側へ分離配置し、
さらに、前記抑えプレートの中央部に設けた開口部の縁部を前記周囲固定部の前記連結部を支持する上端部の上方に位置させたことを特徴とする液封防振装置。 - 前記周囲固定部にはダンピングオリフィス通路が設けられ、このダンピングオリフィス通路と前記周囲固定部との間の前記連結部より厚肉の部分を前記締め付け突起で締め付けることを特徴とする請求項1に記載した液封防振装置。
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