JP4374102B2 - N,n−ジイソプロピルエチルアミンの分離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、N,N−ジイソプロピルエチルアミンの分離方法に関する。詳細には、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液からのN,N−ジイソプロピルエチルアミンの分離方法に関する。N,N−ジイソプロピルエチルアミンは、脱酸剤等として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
N,N−ジイソプロピルエチルアミンは脱酸剤等として有用な化合物であるが、非常に高価であるため、回収により再利用できるようにすることが望まれている。
【0003】
ところで、N,N−ジイソプロピルエチルアミンは、以下の方法により製造することができる。第1の方法としては、N,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下、ジイソプロピルアミンとジエチル硫酸とを反応させる方法が挙げられる(Chem.Ber.,91,380−392(1958))。当該方法においては、反応後の処理を以下のように行なっている。まず、反応後に得られた混合物にエタノールアミンを添加し、蒸留する。次に、得られた留出物に水を添加して分液し、上層のアミン層をKOH存在下で蒸留することにより、目的とするN,N−ジイソプロピルエチルアミンを得ることができる。第2の方法としては、ブタノン中、ジイソプロピルアミンをヨウ化エチルと反応させる方法が挙げられる(米国特許第2,692,285号;J.Org.Chem.,24,1202(1959))。当該方法においては、反応後、得られた反応液から沈殿物をろ去する。得られたろ液に塩化水素酸を含むイソプロパノール溶液を添加し、ここで生成する沈殿物をろ去し、ろ液を乾固し、塩酸塩としての乾固固体を遊離化した後、蒸留により目的とするN,N−ジイソプロピルエチルアミンを得ることができる。第3の方法としては、貴金属触媒の存在下、エチルアミンとアセトンとを接触還元するか、または貴金属触媒の存在下、ジイソプロピルアミンとアセトアルデヒドとを接触還元する方法が挙げられる(特開平2−180845号公報)。当該方法においては、反応後、得られた反応液から触媒をろ去後、ろ液を蒸留することにより、目的とするN,N−ジイソプロピルエチルアミンをその他の成分と分離して得ることができる。上記から明らかなように、上記文献には、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液からのN,N−ジイソプロピルエチルアミンの分離方法については記載されていない。
【0004】
脱酸剤としてN,N−ジイソプロピルエチルアミンを使用した反応において、反応混合物中に含まれる該脱酸剤の除去は、例えば反応混合物に水と有機溶媒(例えば、酢酸エチルなど)を添加し、脱酸剤を含有する水層を除去することにより行なわれている(特開平4−235149号公報)。N,N−ジイソプロピルエチルアミンは、高価であるため、再利用できることが望ましいが、上記処理後は水層に溶解しており、ここから分離することは困難であった。従って、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを再利用するため、水層からN,N−ジイソプロピルエチルアミンを分離する方法の開発が望まれていた。
【0005】
一方、脱酸剤として多用されているピリジンの回収方法が、例えばChemical Abstracts,994215(1995)に、以下のように記載されている。ピリジンを含有する水溶液をpH12〜13.5に調整し、蒸留後、得られた留出液にベンゼンを添加する。これを、共沸により水を除き、精留して99.3%以上の純度を有するピリジンを回収することができる。この方法では、留出液に、第3成分としてのベンゼンを添加し、共沸により水を除く操作が必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、容易に、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液からN,N−ジイソプロピルエチルアミンを分離する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液をpH12以上に調整後、蒸留することにより、さらにN,N−ジイソプロピルエチルアミンを含有する留出液から水層を除去することにより、また、その上、水層除去後の留出液を脱水することにより、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを容易、かつより確実に分離することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、(1)N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液を、pH12以上に調整後、蒸留する工程を含むN,N−ジイソプロピルエチルアミンの分離方法、(2)a)N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液を、pH12以上に調整後、蒸留し、b)N,N−ジイソプロピルエチルアミンを含有する留出液から水層を除去する工程を含むN,N−ジイソプロピルエチルアミンの分離方法、および(3)a)N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液を、pH12以上に調整後、蒸留し、b)N,N−ジイソプロピルエチルアミンを含有する留出液から水層を除去し、c)水層除去後の留出液を脱水する工程を含むN,N−ジイソプロピルエチルアミンの分離方法に関する。
【0009】
本発明者らは、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液のpHを12以上に調整することにより、それまで水に溶解していたN,N−ジイソプロピルエチルアミンが有機層として分離すること、およびpH調整後の液が水層、有機層および中間層からなる場合には、蒸留に付すことにより、水層と有機層からなるN,N−ジイソプロピルエチルアミンを含有する留出液が得られることに着目して発明を完成させた。
【0010】
【発明の実施の形態】
N,N−ジイソプロピルエチルアミンの塩としては、陰イオンとして無機イオン(例えば、臭素イオン、塩素イオン、硫酸イオンなど)、有機イオン(例えば、パラトルエンスルホン酸イオンなど)などを有するN,N−ジイソプロピルエチルアンモニウム塩が挙げられ、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミンの、塩酸塩、臭化水素酸塩、およびパラトルエンスルホン酸塩などが挙げられる。
【0011】
N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液に含まれていてもよいその他の物質としては、特に限定はなく、好ましくはN,N−ジイソプロピルエチルアミンを本発明の方法により分離する際に、何ら障害にならない物質が挙げられ、例えば蒸留操作によりN,N−ジイソプロピルエチルアミンと共沸しない物質、pH12以上において水に溶解する性質を有する物質、蒸留操作によりN,N−ジイソプロピルエチルアミンと共に留出しても本来の使用目的(例えば、脱酸剤、触媒など)を阻害しない物質などが挙げられる。当該「その他の物質」がN,N−ジイソプロピルエチルアミンを本発明の方法により分離する際に、何ら障害にならない物質である場合には、本発明の方法により分離する際に先に分離する必要がないため好ましい。
【0012】
N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液に含まれていてもよいその他の物質として、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを本発明の方法により分離する際に障害になる物質が含まれる場合には、その物質を本発明の方法により分離する前に除去しておけばよい。該「障害になる物質」として他の揮発性の有機物(例えば、メタノールなどの低沸点アルコールなど)を含む場合には、例えば、予め、一旦、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液を、pH2以下に調整後、該揮発性物質を留去して除くことができる。
【0013】
本発明における、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液からN,N−ジイソプロピルエチルアミンを分離する方法としては、第1に、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液を、pH12以上に調整後、蒸留する工程を含む方法が挙げられる。該水溶液をpH12以上に調整することにより、それまで水溶液に溶解していたN,N−ジイソプロピルエチルアミンを、水溶液から有機層(アミン層)として分離することができる。該水溶液は、含まれる他の成分によっては、pH調整後、分離した有機層以外に中間層を形成する場合があり、つまりこの場合には3層からなっているが、これを蒸留することにより、水層と有機層の2層とすることができる。つまり、前記pH調整および蒸留により、N,N−ジイソプロピルエチルアミンは、該水溶液から分離した状態にすることができる。このため、その後の水の分離操作がより容易になる。一方、pH12未満であれば、N,N−ジイソプロピルエチルアミンは水溶液に部分的に溶解した状態のままであるため、これを蒸留に付しても、本発明の方法に比べ、留出するN,N−ジイソプロピルエチルアミンの量が減少する。
【0014】
該水溶液をpH12以上に調整する方法としては、例えばアルカリ性化試剤を適量添加する方法、イオン交換樹脂を用いて陰イオンを吸着する方法などが挙げられる。該アルカリ性化試剤としては、特に限定はなく、安価であり、取り扱いが容易であるという点から、苛性ソーダを用いることが好ましい。また、該イオン交換樹脂としては、例えばアンバーライトIRA−400、ダウエックス1Xなどが挙げられる。蒸留は、常圧下または減圧下のいずれかで行なえばよく、N,N−ジイソプロピルエチルアミンが少量の水と共に留出する。水は常法により、容易に取り除くことができる。例えば、常圧下で蒸留を行なう際には、N,N−ジイソプロピルエチルアミンと少量の水との混合物を含有する留分が留出し始める温度は、約90〜95℃であり、留出の終点は、留出温度が徐々に水の沸点(100℃)に近づくことにより判定することができる。
【0015】
第2に、a)N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液を、pH12以上に調整後、蒸留し、b)N,N−ジイソプロピルエチルアミンを含有する留出液から水層を除去する工程を含む方法が挙げられ、該a)工程については上記と同様である。該a)工程により得られた、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを含有する留出液は、通常少量の水を含んでいるため、水層と有機層からなる。このため、分液などにより水層を除去し、含水率約0.2%程度のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを得ることができる。除去した水層は、次回のN,N−ジイソプロピルエチルアミンの回収に用いることができる。
【0016】
第3に、a)N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液を、pH12以上に調整後、蒸留し、b)N,N−ジイソプロピルエチルアミンを含有する留出液から水層を除去し、c)水層除去後の留出液を脱水する工程を含む方法が挙げられ、該a)およびb)工程については上記と同様である。該b)工程により得られたN,N−ジイソプロピルエチルアミンは、含水率が約0.2%程度である。より含水率を低下させる場合には、さらに脱水操作を行なう必要がある。該b)工程により水層除去後の留出液に、脱水操作として、例えば苛性ソーダのフレークを加え、生成した水層を除去することにより、または再蒸留し、初留として含水部分を除去することにより、含水率がそれぞれ約0.05%程度または0.05%以下のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを得ることができる。
【0017】
【実施例】
次に、実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
脱酸剤として使用したN,N−ジイソプロピルエチルアミン(使用量:67.6g、523.02mmol)を含有するpH5.0の水溶液355.75gに、20%苛性ソーダ水溶液136.40g(682.02mmol)を滴下してpHを調整し、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを有機層として遊離させた。この時の、pHは13.3であった。
次いで、この混合物を常圧にて蒸留した。内温95〜104℃、塔頂温度90〜101℃の留分113.25gを回収した。得られた留分は二層をなし、下層の水層を分液して除去し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン65.48gが得られた。得られたN,N−ジイソプロピルエチルアミンの純度は、GC分析により99.4%;含水率は0.1943%;回収率は96.3%であった。
【0018】
実施例2
実施例1と同様にして回収した含水率0.2002%のN,N−ジイソプロピルエチルアミン72.40gを、200ml容フラスコに仕込み、苛性ソーダのフレーク(0.14g)を添加して攪拌した。苛性ソーダのフレークが溶解したら攪拌を止め、水層を分液して除去し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン70.66gを得た。得られたN,N−ジイソプロピルエチルアミンの純度は、GC分析により99.4%;含水率は0.0468%;回収率は97.6%であった。
【0019】
【発明の効果】
本発明により、容易に、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液からN,N−ジイソプロピルエチルアミンを分離することができる。これにより、例えば脱酸剤として有用な、非常に高価なN,N−ジイソプロピルエチルアミンを繰り返し使用することができる。
Claims (2)
- a)N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液を、pH12以上に調整後、蒸留し、b)N,N−ジイソプロピルエチルアミンを含有する留出液から水層を分液により除去するN,N−ジイソプロピルエチルアミンの分離方法。
- a)N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび/またはその塩を含有する水溶液を、pH12以上に調整後、蒸留し、b)N,N−ジイソプロピルエチルアミンを含有する留出液から水層を分液により除去し、c)水層除去後の留出液を脱水するN,N−ジイソプロピルエチルアミンの分離方法。
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