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JP4375676B2 - 河床洗掘モニタリング方法 - Google Patents
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本発明は、河床部上に河床部水位計を設置して河床洗掘量を含む相対的な水位を経時的に計測すると共に、固定点に水面計測水位計を設置して絶対的な水位を計測し、それらの水位データを同期させて差を順次求めることにより、河床洗掘状況をモニタリングする方法に関するものである。この技術は、例えば洪水時の激流により生じる河床洗掘状況の経時的なモニタリングに有用である。
河床は洪水時の激流により洗掘作用を受ける。河川管理者にとって、この河床洗掘作用の実態を的確に把握することは、防災対策の上でも極めて重要な事項である。洪水前後に音響測深などによって河床位置を測定することで、洗掘量を求めることはできるが、河床変形の進行状況(時間経過に伴い河床がどのように変形していったか)は把握できない。また、洪水時には洗掘される場合のみならず、流の状況によっては逆に上流から送られてくる土砂によって埋まることもあるが、洪水前後の測深のみでは、最大どの深さまで洗掘されたかを把握することもできない。
そこで、このような問題を解決すべく、河床洗掘モニタリング技術について、従来から多くの研究がなされてきた。例えば、特許文献1には、光ファイバに沿って電熱線を配置し耐熱性絶縁被覆で一体化した流水センサを河床に埋設し、光ファイバに沿った温度分布から洗掘状況を検知する方法が開示されている。しかし、大規模な洪水時には激流により大きな流水圧力が作用するために、流水センサが破断・流失する恐れがあり、測定適用対象には限界がある。
また特許文献2には、小型電波発信器を内蔵したセンサを複数、積み重ねた状態で河床に埋設しておき、河床洗掘に伴って上から順にセンサが外れて流出し電源が入って電波が発信され、それを受信することで洗掘状況をリアルタイムでモニタリングする方法が記載されている。しかし、この方法は、多数のセンサを積み重ねた状態で予め河床深く埋設しておかなければならないので、通常時は水流がほとんどないような枯渇した河床部でなければ設置が困難である。言い換えれば、通常時でも水深数m程度の大規模河川などには適用できない。また、河床洗掘により外れたセンサは水面まで浮かんでこないと通信ができないため、洪水時に激流の渦に巻き込まれて水面まで上昇できずに流されることもあり、測定不能となる恐れもある。外れたセンサが直ぐに浮上するとしても、各センサはある程度の高さがあるため、測定の分解能が低い問題もある。
大規模河川に設置された堰の下流などでは、洪水時に広い範囲にわたって数mもの深掘れが生じる区域もある。このような深掘れ区域では、特に詳細に河床洗掘状況をモニタリングする必要があるが、いずれにしても従来の技術では機器の設置が困難であり、必要な精度の情報を確実に得ることは難しい。
特開平6−74768号公報 特開2004−271243号公報
本発明が解決しようとする課題は、水深の深い大規模河川であっても比較的容易に計測機器を設置でき、必要な精度で経時的に河床洗掘状況をモニタリングできるようにすることである。
本発明は、データロガー機能を備えた水圧計を重錘機能を有する保護容器に内蔵した構造の河床部水位計を、河床部上に設置して河床洗掘量を含む相対的な水位を経時的に計測しデータを蓄積すると共に、固定点に水面計測水位計を設置して絶対的な水位を計測し、前記河床部水位計による水位計測値と前記水面計測水位計による水位計測値を読み出し、それらを同期させて両者の差を順次求めることにより、河床変形の進行状況をモニタリング可能としたことを特徴とする河床洗掘モニタリング方法である。水中に位置する水位計による計測結果は、電波では地上装置に送信することはできない。超音波を利用すれば水中での情報の伝送は不可能ではないが、洪水時の激流中では雑音が大きく実施不可能である。そこで本発明では、リアルタイム処理ではなく、水中に位置する水位計にデータロガー機能を持たせ、洪水中には専ら水位計測値を定期的に計測・蓄積し、洪水が治まった後の適当な時点で水位計を引き上げてデータを回収し一定期間のデータを集め、まとめて一括処理(バッチ処理)するように構成している。
例えば、複数本の固定杭を河床に線状もしくは2次元マトリックス状に分散配置し、複数個の河床部水位計を、それぞれ固定杭に沿って移動可能に各固定杭に係留する。水面計測水位計は1箇所のみの設置でよい。ここで河床部水位計と水面計測水位計に同じ検出形式の水位計を用いるのが好ましい。同じ検出形式の水位計を用いると、差をとることで、洗掘量以外に起因する成分が相殺され、容易に洗掘量のみを求めることができる。
このような河床洗掘モニタリング方法で用いる河床部水位計は、重錘機能を有し1箇所以上の水流通穴が開口している中空球形の保護容器と、該保護容器に内蔵されるダイヤフラム検出方式の水圧計からなり、該水圧計は、データロガー機能を備えており、ダイヤフラム面が前記保護容器の中心に位置するように取り付けられ、前記保護容器には係留部材が固定金具により接続されている構造とする。係留部材は、例えばループ状のワイヤなどからなり、固定杭を通すようにして河床部水位計を設置するのが好ましい。

本発明に係る河床洗掘モニタリング方法は、基本的には洗掘される河床上に河床水位計を設置するだけでよいので容易に実施でき、洗掘量は河床水位計による水位計測値と固定点での水面計測水位計による水位計測値との差から高精度で求めることができるため、経時的に測定データを蓄積することで河床変形の進行状況を的確に把握することができる。
複数個の河床部水位計を河床上でモニタリングの必要な区域に分散配置すると、その区域内の河床洗掘状況を3次元的にしかも経時的に把握することができる。また、河床部水位計と水面計測水位計に同じ検出形式の水位計を用いると、大気圧補正などが不要となるため、システム構成やデータ処理などを簡素化できる。
図1は、本発明に係る河床洗掘モニタリング方法の一例を模式的に示している。図1のAに示すように、本発明は、河床部10上に河床部水位計12を設置すると共に、固定点に水面計測水位計14を設置し、前記河床部水位計12による水位計測値(水位a)と前記水面計測水位計14による水位計測値(水位b)の差を求めることにより、河床変形の進行状況をモニタリングする方法である。スパット台船などを利用して河床部10に固定杭(ロッドあるいは鋼管等)16を打ち込み、河床部水位計12が固定杭16に沿って自由に移動できるように係留部材18で固定杭16に係留する。係留部材18は、ワイヤ、ロープ、チェーンなど任意の材料であってよいが、例えばワイヤを大きなループ状にして固定杭を通して係留するような構造が好ましい。ここでは、河岸近傍にも固定杭20を打ち込み、その上端部に水面計測水位計14を固定している。
河床部水位計12を図1のBに示す。河床部水位計12は、データロガー機能を備えた水圧計22を重錘機能を有する保護容器24に内蔵した構造である。ここで保護容器24は、1個以上の水流通穴26が開口している中空鉄球(例えば直径20cm程度)であり、洪水時の激流中でも浮上することなく、転がっても常に河床上に留まるように、鉄球自体が重錘として機能する。保護容器24は中空構造であるため、水流通穴26を通して水が自由に出入りし、水圧計22による水圧計測が行える。
水圧計22は、ダイヤフラム検出方式でありデータロガー機能を備えている。図1のCに示すように、水圧計22は、ケース内に水圧検出用ダイヤフラム、計測・記録部、入出力インターフェース部、電池が収容されている。ここでケース胴部30は筒状であり、先端側のダイヤフラム面近傍部に水圧検出用穴32が形成されたキャップ34が装着され、後端部は端栓36で塞がれている。水圧はダイヤフラム面の変形となり、それを計測・記録部でタイマ機能を用いて定期的に計測し、計測データ(水圧データと時刻データ)を蓄積する。端栓36を外すことで、電気的なケーブル結合あるいは非接触の光結合などによって蓄積されているデータの回収、及び記録部のクリアなどを行うことができるようになっている。計測中、必要な電力は内蔵されている電池から供給される。
図1のBに立ち戻って、前記のような筒状の水圧計22は、そのダイヤフラム面が球形の保護容器24の中心に位置するように後端部で保持具46によって取り付けられる。このようにダイヤフラム面が球形の保護容器24の中心に位置していると、保護容器24が転がっても、ダイヤフラム面の上下位置は変化せず、そのため姿勢によらずに同じ水位を計測でき、±数cm以上の測定精度が実現できる。また、保護容器24には係留部材18が固定金具48により接続されている。保護容器24に貫通部を形成し、棒状の固定金具48を挿通して両端に係止部50を取り付け、該固定金具48の両端部に係留部材18であるワイヤを取り付けた構造である。前述のように、この係留部材によって、固定杭に沿って河床部水位計が自由に移動できるように係留される。
水面計測水位計14は、任意の方式でよいが、河床部水位計12と同じダイヤフラムによる検出形式の水圧計を用いると、水位計測値の差をとることで水面変動及び大気圧補正などを相殺できるため、好ましい。この水面計測水位計14もデータロガー機能を有し、定期的に計測しデータ(水圧データと時刻データ)を蓄積できる構造とする。
河床部10上に設置した河床部水位計12は、洪水などにより河床が洗掘され深くなるに従って移動(下降)し、また水面位置も上下するので、河床洗掘量と水面変動の両方を含む相対的な水位a(その時点での河床から水面までの水深)を定期的に(例えば数分〜十数分間隔で)計測し、そのデータ(水位及び時刻のデータ)を蓄積する。他方、固定杭20に動かないように取り付けられている水面計測水位計14は、常に一定の場所(固定点)に位置しており、従って、河床洗掘量に依存しない絶対的な水位b(その時点での固定点から水面までの水深)を定期的に(河床部水位計の計測に同期したタイミングで)計測し、そのデータ(水位及び時刻のデータ)を蓄積する。このようなデータは、洪水の間も含めて、水位計が設置されている間、継続的に計測され続け、蓄積され続けることになる。
そして、洪水が治まった後の適当な時点で、図2に示すように、河床部水位計12と水面計測水位計14を回収し、蓄積されているデータを取り出す。大規模河川で水深が数mもあるような場合には、例えばダイバーが潜って河床部水位計12と水面計測水位計14を船52の上に引き上げ、それぞれ水圧計の部分を外し、入出力インターフェース部を介して光接続あるいはケーブル接続でデータをコンピュータに取り込む。その後、水圧計をリセットし、保護容器に組み込み直し、再びダイバーが潜って、所定の位置に水位計を再設置する。
回収した計測データは次のように処理する。河床部水位計による水位計測値(水位a)と水面計測水位計による水位計測値(水位b)を読み出し、それらを同期させて、次式のように両者の差を演算することで、その時の河床洗掘量を求めることができる。
(河床部の洗掘量)=(水位a)−(水位b)
前述のように、水位aには洗掘量の他に水面変動と大気圧変動の影響が含まれており、水位bには水面変動と大気圧変動の影響が含まれているが、差をとることで水面変動と大気圧変動の影響が相殺され、結局、河床洗掘量のみを求めることができるからである。時間経過と共にこの河床洗掘量を順次求めることで、河床変形の進行状況をモニタリングすることができる。
図3は、河床部水位計の設置方法の一例を示す説明図である。大規模河川では、洪水の規模や場所によっては数mもの深さの洗掘が起こる恐れがある。この実施例では、図3のAに示すように、河床部水位計12の係留部材60を大きなループ状にし、その一端を河床部水位計12に取り付けると共に、固定杭(鋼管等)62を通すようにループを上から落とし込み河床部水位計12を係留する。このとき、固定杭62の上端部に係止穴64aを設け、ループ状の部分に取り付けた補助ワイヤ66を取り付ける。係留部材60を、固定杭16よりも大きめのループ状にして固定杭62に通しておけば、河床部10の洗掘に伴って河床部水位計12を固定杭62に沿って円滑に移動させることができる。また、洪水直後などで水が濁っていても、固定杭62を目印に補助ワイヤ66をたぐり寄せることによって、容易に河床部水位計12を引き上げることが可能となる。
図3のAにおいて、洪水時の河床洗掘によって、実線で示した現状河床から点線で示す洗掘時河床まで変化する。洪水前、実線で示す現状河床では、固定杭62の打ち込み深さは少なくとも3〜4m以上は必要である。また固定杭62の河床上の突出長さは、激流を受けても係留部材60が外れないように、また洗掘ではなく逆に埋まることもあるので、1m程度は必要である。しかし、大規模な洪水時には著しく深掘れし、河床洗掘量が数mに及ぶこともある。数回にわたる洪水によって、長期的には十数mも深く掘れることもある。そのような場合を想定すると、固定杭62を、更に深くまで打ち込んでおく必要がある。そのように固定杭62を深く打ち込む場合には、固定杭を継ぎ足して打設し、継ぎ足し部の近傍に係止穴を設けておく。大きな洗掘を受けた後、河床部水位計12を再設置する際には、図3のBに示すように、固定杭の上方部分62aを切り離し固定杭の下方部分62bのみを残し、残った固定杭部分の係止穴64bに補助ワイヤ66を取り付けるようにする。このように、固定杭の不要な上方部分62aを切り離すことによって、水流の抵抗を低減し、洪水時の激流で固定杭62が倒れるのを防止できる。なお、上記の例では上方部分と下方部分を継ぎ足して固定杭を構成しているが、必要に応じて多数の部分を継ぎ足して固定杭を構成するようにしてもよい。その場合、各部分の上端部に係止穴を設け、各部分を順次取り外せるようにするのがよい。
図4は河床部水位計の設置状況の一例を平面的に示している。これは河川に6個の河床部水位計12を設置した例である。河川内で洗掘が発生する場所に6本の固定杭を2次元マトリックス状に打ち込み、それぞれに河床部水位計12を係留する。水面計測水位計14は、河岸近傍に1箇所のみに設置すればよい。なお、この実施例では、6本の固定杭を2次元マトリックス状に打ち込み、それぞれに河床部水位計を係留する設置状況を示しているが、固定杭の本数は任意であり、線状に設置したり、マトリックス状に、あるいはランダムに設置してもよく、洗掘状況に応じて適宜設置場所を設定すればよい。また、必ずしも設置した全ての固定杭それぞれに河床部水位計を係留する必要はなく、場所に応じて適宜選択した固定杭のみに河床部水位計を係留するようにしてもよい。
このようにして、6個の河床部水位計12による水位計測値と1個の水面計測水位計14による水位計測値を順次読み出し、各河床部水位計12について、それらを同期させて差を演算することで、その時の、その位置での河床洗掘量を求める。時間経過と共に順次この河床洗掘量を求めることで、経時的にコンターマップを描くことができ、3次元的な河床変形の進行状況をモニタリングすることができる。
図5は河床部水位計の設置状況の他の例を示している。河床部10に打ち込んだ複数の固定杭16にそれぞれ河床部水位計12を係留すると共に、河岸に設置されているテトラポット(商標名)などの護岸部材72にも河床部水位計12を固定しておく。図示していないが、前記実施例と同様、固定点に水面計測水位計を固定しておく。水面下に没している護岸部材72は、水面上からの目視では、その動きが分からない。護岸部材72にも河床部水位計12を固定しておくことで、水面下に没している護岸部材72の動きもモニタリングすることができる。
本発明に係る河床洗掘モニタリング方法の一例を示す説明図。 水位計の回収状況を示す説明図。 河床部水位計の設置方法の一例を示す説明図。 河床部水位計の設置状況の一例を示す説明図。 河床部水位計の設置状況の他の例を示す説明図。
符号の説明
10 河床部
12 河床部水位計
14 水面計測水位計
16,20 固定杭
18 係留部材
22 水圧計
24 保護容器

Claims (3)

  1. 重錘機能を有し水流通穴が開口している球形の保護容器と、該保護容器に内蔵されるダイヤフラム検出方式の水圧計からなり、該水圧計は、データロガー機能を備えており、ダイヤフラム面が前記保護容器の中心に位置するように保持部材により取り付けられ、前記保護容器には係留部材が固定金具により接続されている河床部水位計を、河床部上に設置して、河床洗掘量を含む相対的な水位を経時的に計測しデータを蓄積すると共に、固定点に水面計測水位計を設置して絶対的な水位を計測し、前記河床部水位計による水位計測値と前記水面計測水位計による水位計測値を読み出し、それらを同期させて両者の差を順次求めることにより、河床変形の進行状況をモニタリング可能としたことを特徴とする河床洗掘モニタリング方法。
  2. 複数本の固定杭を河床に線状もしくは2次元マトリックス状に分散配置し、複数個の河床部水位計を、それぞれ固定杭に沿って移動可能に各固定杭に係留する請求項1記載の河床洗掘モニタリング方法。
  3. 河床部水位計と水面計測水位計に同じ検出形式の水位計を用いる請求項1又は2記載の河床洗掘モニタリング方法。
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