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JP4376575B2 - めっき被覆部材の製造方法 - Google Patents
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本発明は、無電解めっき被膜を有するめっき被覆部材の製造方法に関する。本発明の製造方法は、装飾品、あるいは車両や情報機器などに用いられる回路基板などの製造に用いることができる。
不導体である樹脂素材に導電性や金属光沢を付与する方法として、無電解めっき処理が知られている。この無電解めっきとは、溶液中の金属イオンを化学的に還元析出させ、素材表面に金属被膜を形成する方法をいい、電力によって電解析出させる電解めっきと異なり樹脂などの絶縁体にも金属被膜を形成することができる。また金属被膜が形成された樹脂素材には電解めっきすることもでき、用途が拡大される。そのため、自動車部品、家電製品などの分野に用いられる樹脂素材に金属光沢を付与したり、導電性を付与したりする方法として、無電解めっき処理は広く用いられている。
ところが、無電解めっき処理によって形成されためっき被膜は、被膜形成までに時間がかかったり、被膜の樹脂素材に対する付着性が十分でないという問題がある。そのため、先ず樹脂素材に対して化学的エッチング処理を行って表面を粗面化し、その後無電解めっき処理する工程が一般に行われている。しかしエッチングによって粗面化する方法では、クロム酸、過マンガン酸、硫酸などの毒劇物を用いる必要があり、廃液処理などに問題が生じる。
そこで例えばWO 03-021005号公報には、半導体粉末を懸濁させた液に不導体製品を浸漬した状態で光を照射することで、不導体製品の表面に極性基を形成させ、極性基が形成された表面に無電解めっきを施す方法が記載されている。この方法によれば、半導体粉末の光電気化学反応によって不導体表面が酸化され、懸濁液中の極性基が不導体製品表面に付与されそこに極性基が形成される。したがって不導体製品の表面との化学結合によって、めっき被膜の付着性が向上する。
しかしながらWO 03-021005号公報に記載の方法では、光の照射時間を長くしないと十分な付着強度が得られないという不具合があり、生産性に問題があった。
WO 03-021005号
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、毒劇物を用いることなく、短時間の処理で無電解めっき被膜の強固な付着性を発現させ、生産性を向上させることを目的とする。
上記課題を解決する本発明のめっき被覆部材の製造方法の特徴は、光触媒を含む光触媒液を、不導体表面を有する基材の不導体表面にスプレーしながら、少なくとも不導体表面に光を照射する光触媒処理工程と、
光触媒処理工程で処理された基材の少なくとも不導体表面に無電解めっきを施す無電解めっき工程と、を含むことにある。
さらに、光触媒処理工程と無電解めっき工程との間に、少なくとも不導体表面に少なくともアルカリ成分を含むアルカリ溶液を接触させるアルカリ処理工程を行うことが望ましい。またアルカリ溶液には、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方をさらに含むことが好ましい。
すなわち本発明のめっき被覆部材の製造方法によれば、短時間の処理で無電解めっき被膜の強固な付着性を発現させることができるので、生産性が大きく向上する。また毒劇物によるエッチング処理が不要となるので、廃液処理の問題が回避され、基材の表面平滑性も向上する。
本発明のめっき被覆部材の製造方法では、先ず光触媒処理工程において、基材の不導体表面と、光触媒を含み少なくとも不導体表面で流動する光触媒液と、を接触させた状態で、少なくとも不導体表面に光を照射している。これによって不導体表面には常に新鮮な光触媒が接触するため、その光電気化学反応によって不導体表面が効果的に活性化され多くの極性基が形成されると考えられる。したがって短時間の処理でも、付着強度に優れた無電解めっき被膜を形成することができ、生産性が大きく向上する。
不導体としては、ポリオレフィン、エポキシ、ABSなどの樹脂、ゴム、セラミック、ガラスなどが例示される。そして基材は、この不導体が少なくとも一部に表出した不導体表面を有するものが用いられ、不導体表面以外の部分の材質は問わない。
光触媒としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化カドミウム、リン化ガリウム、炭化ケイ素、酸化インジウム、酸化バナジウムなどから選択して用いることができる。二酸化チタンが特に好ましい。この光触媒は粉末とされ、液体中に懸濁した光触媒液として用いられる。光触媒液の溶媒は、水を標準的に用いることができるが、アルコール類などの有機溶媒を用いることも可能であり、水と有機溶媒との混合溶媒としてもよい。
光触媒粉末の粒径は、 0.1〜1000μmの範囲が好ましい。粒径が 0.1μmより小さいと取り扱いが困難となり、1000μmより大きくなると光照射時の活性化の程度が小さくなって実用的でない。
また、水中に光触媒粉末を懸濁させる場合には、水1リットルに対して光触媒粉末を0.01g以上懸濁させることが望ましい。0.01g未満では光照射時の光触媒の触媒作用による不導体表面の活性化の促進作用の発現が困難となる。
照射される光としては、可視光を用いることもできるが、光触媒の活性化に有効であり、また樹脂などの不導体を直接活性化することもできる紫外線を用いることが望ましい。この紫外線としては、 310nm以下の波長のものが好ましく、 260nm以下、さらには 150〜 200nm程度のものが望ましい。また紫外線照射量は、50mJ/cm2 以上とすることが望ましい。このような紫外線を照射できる光源としては、低圧水銀ランプ,高圧水銀ランプ,エキシマレーザー,バリア放電ランプ,マイクロ波無電極放電ランプなどを用いることができる。
本発明の最大の特徴は、光触媒液が少なくとも不導体表面で流動している状態で、少なくとも不導体表面に光を照射することにある。これによって、常に新鮮な光触媒が光によって活性化された状態で不導体表面に接触し、不導体表面に多数の極性基が形成されると考えられる。
すなわち実施例に示すように、少なくとも不導体表面に光触媒液をスプレーしながら光を照射する。このようにすれば、光触媒液の厚さが薄くなるため、不導体表面に到達するまでに光が減衰するのが抑制される。したがって光触媒液の流動による作用とともに、光触媒の活性化の程度が大きくなるため、より短時間の処理で無電解めっき被膜の付着性が向上する。
さらに、光触媒液をスプレーしながら、基材を高速で回転させることも好ましい。基材の回転によって光触媒液は基材表面に膜状に拡がり、光触媒液の厚さをさらに薄くすることができる。また光触媒液の流動速度も大きいため、新鮮な光触媒がより速やかに供給される。これらの相乗効果によって、さらに短時間の処理で無電解めっき被膜の付着性が向上する。
無電解めっき工程では、先ず光触媒処理工程で処理された基材の少なくとも不導体表面に触媒が吸着される。この触媒としては、Pd2+など、従来の無電解めっき処理に用いられる触媒を用いることができる。触媒を不導体表面に吸着させるには、触媒イオンが溶解している溶液を少なくとも不導体表面に接触させればよい。また接触時間、温度などの条件も、従来と同様でよい。
その後、従来と同様に無電解めっき処理が行われる。無電解めっき処理の条件、析出させる金属種などもNi、Cu、Au、Agなど特に制限されず、従来の無電解めっき処理と同様に行うことができる。
なお、無電解めっき工程後に、さらに電解めっきを施す電解めっき工程を行うことが望ましい。これにより金属光沢あるいは導電性などの機能を付与することができる。
光触媒処理工程と無電解めっき工程との間に、少なくとも不導体表面に少なくともアルカリ成分を含むアルカリ溶液を接触させるアルカリ処理工程をさらに行うことが望ましい。アルカリ成分は、不導体表面を分子レベルで水に可溶化する機能をもち、表面の脆化層を除去して極性基をより多く表出させるため、無電解めっき被膜の付着性がさらに向上する。このアルカリ成分としては、不導体表面を分子レベルで溶解して脆化層を除去できるものを用いることができ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどを用いることができる。
またアルカリ溶液には、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方をさらに含むことが望ましい。この界面活性剤は、表面に表出する極性基にその疎水基が吸着しやすいと考えられ、極性基の大部分に吸着させることができる。そして無電解めっき工程では、界面活性剤が吸着した表面が触媒と接触されると、触媒が極性基に吸着している界面活性剤の親水基に吸着すると考えられる。そして触媒が十分に吸着している不導体表面に対して無電解めっき処理を施すことにより、界面活性剤が極性基から外れるとともにめっき金属が極性基と結合すると考えられ、より付着性に優れた無電解めっき被膜を形成することができる。
この界面活性剤としては、 C=O及びC-OHからなる少なくとも一方の極性基に対して疎水基が吸着しやすいものが用いられ、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方が用いられる。陽イオン性界面活性剤及び中性界面活性剤では、無電解めっき被膜が形成できなかったり、効果の発現が困難となる。陰イオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸カリウムなどが例示される。また非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどが例示される。
アルカリ溶液の溶媒としては、極性溶媒を用いることが望ましく、水を代表的に用いることができるが、場合によってはアルコール系溶媒あるいは水−アルコール混合溶媒を用いてもよい。またアルカリ溶液を少なくとも不導体表面と接触させるには、基材をアルカリ溶液中に浸漬する方法、少なくとも不導体表面にアルカリ溶液を塗布する方法、少なくとも不導体表面にアルカリ溶液をスプレーする方法などで行うことができる。
アルカリ溶液中の界面活性剤の濃度は、0.01〜10g/Lの範囲とすることが好ましい。界面活性剤の濃度が0.01g/Lより低いと無電解めっき被膜の付着性が低下し、10g/Lより高くなると、不導体表面に界面活性剤が会合状態となって余分な界面活性剤が不純物として残留するため、無電解めっき被膜の付着性が低下するようになる。この場合には、水洗して余分な界面活性剤を除去すればよい。
またアルカリ溶液中のアルカリ成分の濃度は、pH値で12以上が望ましい。pH値が12未満であっても効果は得られるが、表出する極性基が少ないために、所定膜厚だけ無電解めっき被膜を形成するための時間が長大となってしまう。
アルカリ溶液と不導体表面との接触時間は特に制限されないが、室温で1分以上とするのが好ましい。接触時間が短すぎると、極性基に吸着する界面活性剤量が不足して無電解めっき被膜の付着性が低下する場合がある。しかし接触時間が長くなり過ぎると、極性基が表出した層まで溶解して無電解めっきが困難となる場合がある。1〜5分間程度で十分である。また温度は高い方が望ましく、温度が高いほど接触時間を短縮することが可能であるが、室温〜60℃程度で十分である。
アルカリ処理工程では、アルカリ成分のみを含むアルカリ溶液で処理した後に界面活性剤を吸着させてもよいが、界面活性剤を吸着させるまでの間に再び脆化層が形成されてしまう場合があるので、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方とアルカリ成分とが共存する状態で行うことが望ましい。
また光触媒処理工程の後にアルカリ処理工程を行うのが好ましいが、場合によっては光触媒処理工程とアルカリ処理工程を同時に行うことも可能である。この場合には、光触媒粉末とアルカリ成分とを含む混合溶液を調製し、その混合溶液を用いて光触媒処理工程を行う。
なおアルカリ処理工程後、水洗してアルカリ成分を除去する工程を行ってもよい。界面活性剤は極性基に強固に吸着しているので、水洗する程度では除去されず吸着した状態が維持されることがわかっている。したがって、無電解めっき工程までに時間が経過してもその効力が失われることがない。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図1に本実施例で用いた処理装置を示す。この処理装置は、モータ10によって回転駆動されるスピニングステージ1と、スピニングステージ1の上方に配置されたスプレーノズル2と、スピニングステージ1の上方に配置された紫外線ランプ3とから構成されている。
(1)光触媒処理工程
先ず、ABS樹脂から形成された基板4をスピニングステージ1に載置する。そして平均粒径 1.0μmの二酸化チタン粉末(アナターゼ型) 1.0g/dm3 と、硝酸5重量%とを水に懸濁及び溶解した光触媒液5を25℃に調整し、ポンプ50を介してスプレーノズル2から基板4の表面に0.08〜0.2MPaの圧力で噴霧しながら、同時にスピニングステージ1とともに基板4を50〜1000 rpmで回転駆動し、紫外線ランプ3から照射強度 700μW/cm2 の紫外線を照射した。この光触媒処理は、1分、5分及び10分の3水準で行い、それぞれの処理基板を得た。
(2)アルカリ処理工程
次に、NaOH(アルカリ成分)50g/Lと、ラウリル硫酸ナトリウム(陰イオン性界面活性剤)1g/Lと、を溶解した混合水溶液を60℃に加熱し、そこへ乾燥された各処理基板をそれぞれ2分間浸漬した。
(3)触媒吸着工程
これらを水洗・乾燥後、3N塩酸水溶液に塩化パラジウムを 0.1重量%溶解し塩化錫を5重量%溶解して30℃に加熱された触媒溶液中に3分間浸漬し、次いでパラジウムを活性化するために、1.5N塩酸水溶液に3分間浸漬した。これにより触媒が吸着した基板を得た。
(4)無電解めっき工程及び電解めっき工程
その後、40℃に保温されたNi−P化学めっき浴中に触媒が吸着した基板を浸漬し、Ni−Pめっき被膜を1μm析出させた。続いて硫酸銅系Cu電解めっき浴にて、Ni−Pめっき被膜の表面に銅めっき被膜を20μm以上析出させた。
銅めっき被膜の形成後、70℃で2時間乾燥した。その後、得られた銅めっき被膜に基板に達する切り込みを1cm幅で入れ、引張り試験機にてめっき被膜の付着強度をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
ABS樹脂から形成された基板4に代えて、エポキシ樹脂から形成された基板4を用いたこと以外は実施例1と同様にして、光触媒処理、アルカリ処理、触媒吸着、無電解めっき、電解めっきを行った。そして実施例1と同様にしてめっき被膜の付着強度をそれぞれ測定し、結果を表1に示す。
(比較例1)
平均粒径 1.0μmの二酸化チタン粉末(アナターゼ型) 1.0g/dm3 と、硝酸5重量%とを含む水溶液を25℃に調整し、そこへ実施例1と同様のABS樹脂から形成された基板4を浸漬して、水溶液の外部に設けられた紫外線ランプ3から照射強度 700μW/cm2 の紫外線を基板1の表面に照射した。この光触媒処理は、1分、5分及び10分の3水準で行い、それぞれの処理基板を得た。
その後、実施例1と同様にアルカリ処理、触媒吸着、無電解めっき、電解めっきを行った。そして実施例1と同様にしてめっき被膜の付着強度をそれぞれ測定し、結果を表1に示す。
(比較例2)
ABS樹脂から形成された基板4に代えて、エポキシ樹脂から形成された基板4を用いたこと以外は比較例1と同様にして、光触媒処理を行った。その後、実施例1と同様にアルカリ処理、触媒吸着、無電解めっき、電解めっきを行った。そして実施例1と同様にしてめっき被膜の付着強度をそれぞれ測定し、結果を表1に示す。
<評価>
Figure 0004376575
表1より、実施例の方法によれば、10分間の光触媒処理によって1000gf/cm以上の付着強度が得られているのに対し、比較例では付着強度が低く、特にエポキシ樹脂から形成された基板を用いた場合に付着強度が低い。したがって、基板表面で光触媒液を流動させながら光触媒処理を行うことがきわめて有効であることが明らかである。
本発明の一実施例のめっき被覆部材の製造方法に用いた処理装置の説明図である。
符号の説明
1:スピニングステージ 2:スプレーノズル 3:紫外線ランプ
4:基板(基材) 5:光触媒液

Claims (4)

  1. 光触媒を含む光触媒液を、不導体表面を有する基材の該不導体表面にスプレーしながら、少なくとも該不導体表面に光を照射する光触媒処理工程と、
    該光触媒処理工程で処理された該基材の少なくとも該不導体表面に無電解めっきを施す無電解めっき工程と、を含むことを特徴とするめっき被覆部材の製造方法。
  2. 前記光触媒処理工程は前記基材を回転させながら行う請求項1に記載のめっき被覆部材の製造方法。
  3. 前記光触媒処理工程と前記無電解めっき工程との間に、少なくとも前記不導体表面に少なくともアルカリ成分を含むアルカリ溶液を接触させるアルカリ処理工程をさらに行う請求項1又は請求項2に記載のめっき被覆部材の製造方法。
  4. 前記アルカリ溶液には、陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の少なくとも一方をさらに含む請求項3に記載のめっき被覆部材の製造方法。
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