化石燃料に代わるエネルギー源として、太陽光を利用する太陽電池が注目され、種々の研究が行われている。太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換装置の1種であり、太陽光をエネルギー源としているため、地球環境に対する影響が極めて小さく、より一層の普及が期待されている。
太陽電池の原理や材料として、様々なものが検討されている。そのうち、半導体のpn接合を利用する太陽電池は、現在最も普及しており、シリコンを半導体材料とした太陽電池が多数市販されている。これらは、単結晶または多結晶のシリコンを用いた結晶シリコン系太陽電池と、非晶質(アモルファス)のシリコンを用いたアモルファスシリコン系太陽電池とに大別される。
太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する性能を表す光電変換効率は、結晶シリコン系太陽電池の方がアモルファスシリコン系太陽電池に比べて高いので、従来、太陽電池には結晶シリコン系太陽電池が多く用いられてきた。しかし、結晶シリコン系太陽電池は、結晶成長に多くのエネルギーと時間とを要するため、生産性が低く、コスト高になる。
一方、アモルファスシリコン系太陽電池には、結晶シリコン系太陽電池に比べてより広い波長領域の光を吸収して利用することができることや、種々の材質の基板材料を選択することができて大面積化が容易であることなどの特徴がある。また、結晶化が不要であるため、結晶シリコン系太陽電池に比べると、生産性よく低コストで製造できる。しかし、光電変換効率は結晶シリコン系太陽電池よりも低い。
いずれのシリコン系太陽電池でも、高純度の半導体材料を製造する工程やpn接合を形成する工程が必要であるため、製造工程数が多くなるという問題点や、真空下での製造工程が必要であるため、設備コストおよびエネルギーコストが高くなるという問題点がある。
以上のような問題点がなく、より低コストで製造できる太陽電池を実現するために、シリコン系材料に代えて有機材料を用いる太陽電池が長く研究されてきたが、これらの多くは光電変換効率が1%程度と低く、実用化にいたらなかった。
しかしながら、1991年に光誘起電子移動を応用した色素増感型光化学電池(光電変換装置)が提案された(後述の非特許文献1および特許文献1など参照。)。この光電変換装置は、高い光電変換効率を有し、大掛かりな製造装置を必要とせず、安価な材料を用いて、簡易に生産性よく製造できるため、新世代の太陽電池として期待されている。
図10は、従来の一般的な色素増感型光電変換装置100の構造を示す要部断面図である。色素増感型光電変換装置100は、主として、ガラスなどの透明基板1、FTO(フッ素がドープされた酸化スズ(IV)Sn O2 )などの透明導電層からなる透明電極(負極)2、単一種の光増感色素を保持した半導体層103、電解質層5、対向電極(正極)6、対向基板7、および(図示省略した)封止材などで構成されている。
半導体層103としては、酸化チタンTi O2 の微粒子を焼結させた多孔質層が用いられることが多い。この半導体層103を構成する微粒子の表面に単一種の光増感色素が保持されている。電解質層5は半導体層103と対向電極6との間に充填され、I- /I3 - などの酸化還元種(レドックス対)を含む有機電解液などが用いられる。対向電極6は白金層6bなどで構成され、対向基板7の上に形成されている。
図11は、色素増感型光電変換装置100の動作原理を説明するためのエネルギー図である。色素増感型光電変換装置100は、光が入射すると、対向電極6を正極、透明電極2を負極とする電池として動作する。その原理は次の通りである。(なお、図11では、透明電極2の材料としてFTOを用い、光増感色素104として後述するN719を用い、半導体層103の材料として酸化チタンTi O2 を用い、レドックス対としてI- /I3 - の酸化還元種を用いることを想定している。)
透明基板1および透明電極2を透過してきた光子を光増感色素104が吸収すると、光増感色素104中の電子が基底状態(HOMO)から励起状態(LUMO)へ励起される。励起状態の電子は、光増感色素104と半導体層103との間の電気的結合を介して、半導体層103の伝導帯に引き出され、半導体層103を通って透明電極2に到達する。
一方、電子を失った光増感色素104は、電解質層5中の還元剤、例えばI- から下記の反応
2I- → I2 + 2e-
I2 + I- → I3 -
によって電子を受け取り、電解質層5中に酸化剤、例えばI3 - (I2 とI- との結合体)を生成させる。生じた酸化剤は拡散によって対向電極6に到達し、上記の反応の逆反応 I3 - → I2 + I-
I2 + 2e- → 2I-
によって対向電極6から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
透明電極2から外部回路へ送り出された電子は、外部回路で電気的仕事をした後、対向電極6に戻る。このようにして、光増感色素104にも電解質層5にも何の変化も残さず、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。
色素増感型光電変換装置100の光増感色素104としては、通常、可視光領域付近の光を吸収できる物質、例えば、ビピリジン錯体、テルピリジン錯体、メロシアニン色素、ポルフィリン、およびフタロシアニンなどが用いられる。
従来、一般的に高い光電変換効率を実現するには、純度の高い単一種の色素を用いるのがよいとされてきた。これは、複数種の色素を1つの半導体層103の上に混在させた場合、色素同士の間で電子の授受もしくは電子とホールの再結合が起こったり、励起された色素から半導体層103に譲りわたされた電子が別種の色素によって捕獲されたりして、励起された光増感色素104から透明電極2に到達する電子が減少し、吸収された光子から電流が得られる比率、すなわち量子収率が著しく低下すると考えられるからである(例えば、後述の非特許文献2〜4など参照。)。
単独で用いる色素としては、ビピリジン錯体の1種であるシス−ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4 ’−ジカルボン酸) ルテニウム(II)二テトラブチルアンモニウム錯体(通称N719)が、増感色素としての性能に優れており、一般的に用いられている。その他、ビピリジン錯体の1種であるシス−ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4 ’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)(通称:N3)や、テルピリジン錯体の1種であるトリス(イソチオシアナト)(2,2 ’:6’,2”−テルピリジル−4,4 ’,4”−トリカルボン酸)ルテニウム(II)三テトラブチルアンモニウム錯体(通称ブラックダイ)が一般的に用いられる。
特にN3やブラックダイを用いる時には、共吸着剤もよく用いられる。共吸着剤は半導体層103上で色素分子が会合するのを防止するために添加される分子であり、代表的な共吸着剤としてケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸塩、および1−デクリルホスホン酸などが挙げられる。これらの分子の構造的特徴としては、半導体層103を構成する酸化チタンに吸着されやすい官能基として、カルボキシル基やホスホノ基などをもつこと、および、色素分子間に介在して色素分子間の干渉を防止するために、σ結合で形成されていることなどが挙げられる。
特許公報第2664194号(第2及び3頁、図1)
B.O ’Regan ,M.Graetzel,Nature,353 ,p.737-740(1991)
K.Hara, K.Miyamoto, Y.Abe, M.Yanagida ,Journal of PhysicalChemi stry B, 109(50), p.23776-23778(2005),"Electron Transport in Coumarin-Dye-Sensitized Nanocrystalline TiO2 Electrodes "
柳田真利ら,2005年光化学討論会,2P132,「ルテニウムビピリジン錯体とルテニウムビキノリン錯体を共吸着させた色素増感酸化チタンナノ結晶電極における電子輸送過程」
内田,http://kuroppe.tagen.tohoku.ac.jp/- dsc/cell.html 、FAQの「色素増感太陽電池の理論効率について」
本発明の第1の色素増感型光電変換装置において、前記複数種の色素のそれぞれの基底状態(HOMO)から励起状態(LUMO)への最小励起エネルギーが、互いに十分異なっているのがよい。この際、前記複数種の色素の前記最小励起エネルギーが、0.172〜0.209eV以上異なっているのが好ましい。
また、前記複数種の色素が、最大吸収帯が400nm以上の波長領域に存在するものと、最大吸収帯が400nm以下の波長領域に存在するものとからなるのがよい。
また、前記複数種の色素が、可視光域において量子収率の大きな色素と、可視光域において量子収率の小さな色素とからなるのがよい。
また、前記複数種の色素が、モル吸光係数が大きな色素と、モル吸光係数の小さな色素とからなるのがよい。この際、前記モル吸光係数が大きな色素のモル吸光係数が100,000以上であり、前記モル吸光係数が小さな色素のモル吸光係数が100,000以下であるのがよい。
また、前記複数種の色素が、前記半導体層に互いに異なる立体配座で保持されるのがよい。例えば、前記複数種の色素が、MLCT(Metal to Ligand Charge Transfer )を引き起こす性質を有する無機錯体色素と、分子内CT(Charge Transfer )の性質を有する有機分子色素とからなるのがよい。前記MLCTを引き起こす性質を有する無機錯体色素としては、ブラックダイやN719などのポリピリジン錯体を挙げることができ、前記分子内CTの性質を有する有機分子色素としては、電子供与性の基と電子受容性の基とが直線状に配置された、色素Aなどの芳香族多環共役系分子を挙げることができる。
「分子内CTの性質を有する有機分子」とは、同一分子中に電子供与性の基と、電子受容性の基とを併せ持つ分子のことを言う。さらに、この分子が酸化チタンなどの半導体層3の表面に吸着される際に、半導体層3の側に電子受容性の基が配置され、電解質層5の側に電子供与性の基が配置されると、色素から半導体層3への電子の移行に有利に作用するので、このような構造をもつ分子であることが望ましい。これは、前記CTの性質を有する有機分子色素における電荷の移動方法ならびに移動方向が、前記MLCTを引き起こす無機錯体色素における電荷の移動方法ならびに移動方向と異なるということである。
前記MLCTを引き起こす性質を有する無機錯体色素としては、ビピリジン錯体、ビキノリン錯体、テルピリジン錯体などのポリピリジン錯体、例えばブラックダイやN719を挙げることができる。前記CTの性質を有する有機分子色素は、電子受容性の基としてチオフェン、ロダニン、シアノ基、カルバゾールなどの部分構造をもち、電子供与性の基としてナフトキノン、ピリジル基、ピリミジル基などの部分構造をもつ有機分子である。具体的には、テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン(TTF−TCNQ)錯体、非対称型アゾ色素、チアゾールアゾ色素、アズレンなどを挙げることができ、より具体的には色素Aなどを挙げることができる(大河原信,松岡賢,平嶋恒亮,北尾悌二郎,「機能性色素」( 講談社)を参照。)。
また、前記複数種の色素のうち、少なくとも1種の色素が前記半導体層に結合する官能基を同一炭素上に複数個もち、この色素が、この色素とは別種の色素のうちの少なくとも1種の色素の会合を抑制することによって、その別種の色素の光電変換効率を向上させるように構成されているのがよい。この色素は、同一炭素上に有する前記複数個の官能基によって前記半導体層に結合し、単一の官能基のみによって吸着される前記別種の色素とは異なる立体配置を取って、前記半導体層に吸着される。このため、この色素と前記別種の色素とは、前記半導体層表面上で隣接していても、強い相互作用を及ぼし合うことなく共存することができ、互いの光電変換性能を損なうことがない。一方、この色素分子は、同じ前記半導体層表面に保持された前記光増感色素間に効果的に介在し、前記別種の色素のうちの少なくとも1種の色素の会合を抑制して、その別種の色素間の無駄な電子移動を防止する。このため、光を吸収したその別種の色素から、励起された電子が無駄に色素間で移動することなく、効率よく前記半導体層へ取り出されるため、その別種の色素の光電変換効率が向上する。
この際、この色素が同一炭素上に有する前記複数個の官能基が、前記半導体層に強く結合する官能基と、前記半導体層に弱く結合する官能基とからなるのがよい。もし仮に、この色素が同一炭素上に有する前記複数個の官能基が、いずれも前記半導体層に強く結合する官能基であると、前記半導体層に吸着されたこの色素の立体配置は自由度が少なくなり、同一炭素上に前記複数個の官能基が存在する効果が発現しにくくなる。これに対し、この色素が有する前記複数個の官能基は、前記半導体層に強く結合する官能基と弱く結合する官能基とからなるので、弱く結合する官能基が補助的に機能し、しかも、強く結合する官能基の、前記半導体層への結合を妨げることがない。この結果、前記複数個の官能基が同一炭素上に存在する効果が効果的に発現する。また、光を吸収したこの色素の励起電子は、強く結合する官能基から前記半導体層へ取り出されるため、前記半導体層への電荷移動が効率よく行われる。
例えば、前記半導体層に強く結合する官能基が、カルボキシル基−COOH、又はホスホノ基−PO(OH) 2 であり、前記半導体層に弱く結合する官能基が、シアノ基−CN、アミノ基−NH2 、チオール基−SH、又はチオン基−CS−であるのがよい。
本発明の第2の色素増感型光電変換装置において、上記会合抑制分子が同一炭素上に有する前記複数個の官能基が、前記半導体層に強く結合する官能基と、前記半導体層に弱く結合する官能基とからなるのがよい。もし仮に、上記会合抑制分子が同一炭素上に有する前記複数個の官能基が、いずれも前記半導体層に強く結合する官能基であるとすると、前記半導体層に吸着された上記会合抑制分子がとる立体配置は自由度が少なくなり、前記複数個の官能基が存在する効果が発現しにくくなる。これに対し、上記会合抑制分子が有する前記複数個の官能基は、前記半導体層に強く結合する官能基と弱く結合する官能基とからなるので、弱く結合する官能基が補助的に機能し、しかも、強く結合する官能基の、前記半導体層への結合を妨げることがない。この結果、前記複数個の官能基が同一炭素上に存在する効果が効果的に発現する。
例えば、前記半導体層に強く結合する官能基が、カルボキシル基−COOH、又はホスホノ基−PO(OH) 2 であり、前記半導体層に弱く結合する官能基が、シアノ基−CN、アミノ基−NH2 、チオール基−SH、又はチオン基−CS−であるのがよい。
以下、本発明の実施の形態に基づく色素増感型光電変換装置について、詳細を図面参照下に具体的に説明する。
実施の形態1
図1は、主として請求項1に記載した第1の色素増感型光電変換装置に対応し、実施の形態1に基づく色素増感型光電変換装置10の構造を示す要部断面図である。色素増感型光電変換装置10は、主として、ガラスなどの透明基板1、FTO(フッ素がドープされた酸化スズ(IV)Sn O2 )などの透明導電層からなる透明電極(負極)2、複数種の光増感色素を保持した半導体層3、電解質層5、対向電極(正極)6、対向基板7、および図示省略した封止材などで構成されている。
半導体層3としては、酸化チタンTi O2 の微粒子を焼結させた多孔質層が用いられることが多い。この半導体層3を構成する微粒子の表面に、複数種の光増感色素が保持されている。電解質層5は半導体層3と対向電極6との間に充填され、I- /I3 - などの酸化還元種(レドックス対)を含む有機電解液などが用いられる。対向電極6は白金層6bなどで構成され、対向基板7の上に形成されている。
色素増感型光電変換装置10は、光増感色素が、最小励起エネルギーが十分異なる複数種の色素からなるか、または半導体層3に異なる立体配座で保持される複数種の色素からなることを除けば、従来の色素増感型光電変換装置100と違いはない。
図2は、色素増感型光電変換装置10の動作原理を説明するためのエネルギー図である。色素増感型光電変換装置10は、光が入射すると、対向電極6を正極、透明電極2を負極とする電池として動作する。その原理は次の通りである。(なお、図2では、透明電極2の材料としてFTOを用い、光増感色素4としてブラックダイと色素Aとを用い、半導体層3の材料として酸化チタンTi O2 を用い、レドックス対としてI- /I3 - の酸化還元種を用いることを想定している。)
透明基板1、透明電極2および半導体層3を透過してきた光子を光増感色素4が吸収すると、光増感色素4中の電子が基底状態(HOMO)から励起状態(LUMO)へ励起される。この際、色素増感型光電変換装置10では光増感色素4が複数種の色素、例えば2種類の色素4aおよび色素4bからなるため、光増感色素が単一の色素からなる従来の色素増感型光電変換装置100に比べて、より広い波長領域の光をより高い光吸収率で吸収することができる。
励起状態の電子は、光増感色素4と半導体層3との間の電気的結合を介して、半導体層3の伝導帯に引き出され、半導体層3を通って透明電極2に到達する。この際、光増感色素4を構成する複数種の色素、例えばブラックダイと色素Aが、最小励起エネルギーが十分異なる複数種の色素からなるか、または半導体層3に異なる立体配座で保持される色素であるため、これらの色素は互いの量子収率を低下させることがなく、前記複数種の色素による光電変換機能が発現し、電流の発生量が大きく向上する。
一方、電子を失った光増感色素4は、電解質層5中の還元剤、例えばI- から下記の反応
2I- → I2 + 2e-
I2 + I- → I3 -
によって電子を受け取り、電解質層5中に酸化剤、例えばI3 - (I2 とI- との結合体)を生成させる。生じた酸化剤は拡散によって対向電極6に到達し、上記の反応の逆反応 I3 - → I2 + I-
I2 + 2e- → 2I-
によって対向電極6から電子を受け取り、もとの還元剤に還元される。
透明電極2から外部回路へ送り出された電子は、外部回路で電気的仕事をした後、対向電極6に戻る。このようにして、光増感色素4にも電解質層5にも何の変化も残さず、光エネルギーが電気エネルギーに変換される。
光増感色素4を構成する前記複数種の色素の各色素としては、増感作用を示すものであれば特に制限はないが、半導体層3に吸着されるために酸性の官能基が必要であり、カルボキシル基−COOHまたはホスホノ基−PO(OH) 2 を有する色素が好ましく、カルボキシル基を有する色素が特に好ましい。
本発明者は、種々の色素の組み合わせについて研究を重ねた結果、光吸収率及び光電変換効率を向上させ得る色素の組み合わせを発見した。すなわち、ブラックダイやN719や色素Bなどのモル吸光係数は小さいが広い吸収波長領域を有する色素(以下、基本色素と呼ぶ。)と、色素Aなどのモル吸光係数は大きいが吸収波長領域が狭い色素(以下、補助色素と呼ぶ。)とを組み合わせた場合、光電変換率が向上する。
図3は、最も高い性能向上効果が得られたブラックダイと色素Aとの組み合わせについて、各色素の構造式およびIPCE(Incident Photon-to-current Conversion Efficiency)スペクトルを示す説明図である。図3および先に示した図12から、基本色素であるブラックダイの吸光度が不足する短波長領域の光吸収を、補助色素である色素Aが補助する関係にあることがわかる。しかも、ブラックダイの吸収ピーク波長が400nm以上の波長領域に存在し、吸収波長領域の長波長側末端が860nm付近にあるのに対し、色素Aの吸収ピーク波長は400nm以下の波長領域に存在し、吸収波長領域の長波長側末端は480nm付近にある。これは両色素のバンドギャップエネルギーが大きく異なっていることを表している。ブラックダイと色素Aとを半導体層3の上に混在させた場合、従来知られていた例とは異なり光電変換効率が低下しないのは、両色素のバンドギャップエネルギーが大きく異なっているため、色素間での電子移動が起こりにくいためと考えられる。
図2のエネルギー図には、光増感色素がブラックダイと色素Aとからなる系では、色素Aの光電変換効率が向上する機構が示されている。上述したように、各色素がそれぞれ光子を吸収すると色素中の電子が基底状態(HOMO)から励起状態(LUMO)へ励起される。この系では、色素Aの励起状態の電子が半導体層3の伝導帯に引き出される経路が、2種類存在する。すなわち、色素Aの励起状態から直接、半導体層3の伝導帯に引き出される直接経路11と、色素Aの励起状態の電子が、まず、エネルギー準位の低いブラックダイの励起状態へ引き出され、次に、ブラックダイの励起状態から半導体層3の伝導帯に引き出される間接経路12とである。この間接経路12の寄与によって、ブラックダイが共存する系では、色素Aの光電変換効率が向上する。
図4は、ブラックダイを基本色素、色素Aを補助色素とする色素増感型光電変換装置10のIPCEスペクトルを示すグラフである。図4には、それぞれの色素を単独で用いた場合のIPCEスペクトルも付記した。上述したように、基本色素であるブラックダイは広範囲の波長の光を吸収できるが、短波長領域に吸光度が不足する領域があり、この短波長領域では、この領域で大きな吸光度を有する補助色素Aが光吸収を補助する関係にある。すなわち、色素Aは、短波長領域では大きな吸光度を有する光増感色素として働いている。
しかしながら、後述の実施例で図9を用いて説明するように、ブラックダイと色素Aとが共存する系では、色素Aが光を吸収しない長波長領域でも光電変換効率が向上する。これは、ブラックダイの長波長領域での光電変換効率が色素Aが存在することによって向上したためと理解する他はない。通常、このような光電変換効率の向上効果は、会合抑制効果、すなわち、光増感色素間に会合抑制剤が介在し、光増感色素同士の会合を抑制して、光増感色素間の無駄な電子移動を防止することによって、光を吸収した光増感色素から、励起された電子が無駄に色素間で移動することなく、半導体層3へ効率よく取り出されることによる効果であると認識されている。すなわち、色素Aは自身が光を吸収しない長波長領域では、高性能の会合抑制剤として働いている。
本発明者はこの理由を解明する中で、色素Aが同一炭素にカルボキシル基とシアノ基が結合した構造をもつため、高性能の会合抑制剤として機能し得ることを発見した。すなわち、色素Aは、同一炭素上に有するカルボキシル基とシアノ基とによって半導体層3に結合し、カルボキシル基のみによって吸着されるブラックダイとは異なる立体配置を取って、半導体層3に吸着される。このため、色素Aとブラックダイとは、半導体層3の表面上で隣接していても、強い相互作用を及ぼし合うことなく共存することができ、互いの光電変換性能を損なうことがない。一方、色素Aは、同じ半導体層3の表面に保持されたブラックダイ間に効果的に介在し、ブラックダイの会合を抑制して、ブラックダイ間の無駄な電子移動を防止する。このため、光を吸収したブラックダイからは、励起された電子が無駄にブラックダイ間で移動することなく、効率よく半導体層3へ取り出されるため、ブラックダイの光電変換効率が向上する。
この際、色素Aが同一炭素上に有する複数個の官能基が、半導体層3に強く結合するカルボキシル基と、半導体層3に弱く結合するシアノ基とからなっているのが効果的でよい。もし仮に、色素Aが同一炭素上に有する複数個の官能基が、いずれも半導体層3に強く結合する官能基であると、半導体層3に吸着されたこの色素の立体配置は自由度が少なくなり、同一炭素上に複数個の官能基が存在する効果が発現しにくくなる。これに対し、色素Aでは、半導体層3に弱く結合するシアノ基が補助的に機能し、しかも、強く結合するカルボキシル基の、半導体層3への結合を妨げることがない。この結果、複数個の官能基が同一炭素上に存在する効果が効果的に発現する。また、光を吸収した色素Aの励起電子は、強く結合するカルボキシル基から半導体層3へ取り出されるため、半導体層3への電荷移動が効率よく行われる。
図5は、N719および色素Bの構造を示す構造式である。図12から、ブラックダイと同様、基本色素であるN719および色素Bにも吸光度が不足する短波長領域があり、この領域の光吸収を、補助色素である色素Aが補助する関係にあることがわかる。また、N719および色素Bの吸収ピーク波長は400nm以上の波長領域に存在し、吸収波長領域の長波長側末端は750nm付近にあることは、色素Aとバンドギャップエネルギーが大きく異なっていることを示しており、この結果、色素Aとの間の電子移動が起こりにくく、半導体層3の上に混在させても光電変換効率が低下しないと考えられる。
モル吸光係数は小さい(例えば、100,000以下である)が広い吸収波長領域を有する基本色素として、ローズベンガルやエリスロシンなどのキサンテン系色素、メロシアニンやキノシアニンやクリプトシアニンなどのシアニン系色素、フェノサフラニンやカブリブルーやチオシンやメチレンブルーなどの塩基性染料、その他のアゾ色素、フタロシアニン系化合物、クマリン系化合物、ビピリジン錯化合物、テルピリジン錯化合物、ビキノリン錯化合物、アントラキノン系色素、多環キノン系色素などが挙げられる。中でも、ルテニウムRu 、オスミウムOs 、イリジウムIr 、白金Pt 、コバルトCo 、鉄Fe 、および銅Cu からなる群より選ばれた金属元素のイオンを中心金属イオンとし、配位子がピリジン環もしくはイミダゾリウム環を含む錯体は、量子収率が高く、光増感色素として好ましい。特に、N719またはブラックダイを用いるのが好ましい。
モル吸光係数は大きい(例えば、100,000以上である)が吸収波長領域が狭い補助色素として、例えば、エオシンY、クロロフィルや亜鉛ポルフィリンやマグネシウムポルフィリンなどのポルフィリン誘導体、ローダミンBなどが挙げられるが、特に色素Aを用いるのが好ましい。
ただし、光増感色素はこれに限定されるものではなく、モル吸光係数の範囲に当てはまれば何を用いてもよい。またこの系は2種類の色素に限定されるものではなくモル吸光係数に関係なく2種類以上を混合してもよい。
光増感色素を半導体層3に保持させる方法には、特に制限は無いが、光増感色素を適当な溶媒、例えば、アルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N −メチルピロリドン、1,3 −ジメチルイミダゾリジノン、3 −メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、および水などに溶解させ、この色素溶液に半導体層3を浸漬するか、もしくは色素溶液を半導体層3に塗布して、半導体層3に光増感色素を吸着させるのがよい。また、色素同士の会合を減少させるために、色素溶液にデオキシコール酸などを添加してもよい。
過剰に吸着された色素を除去するために、色素を吸着させた後に、アミン類を用いて半導体層3の表面を処理してもよい。アミン類の例としてピリジン、4 −tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンなどが挙げられる。これらは、アミン類が液体である場合にはそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解させて用いてもよい。
光増感色素4以外の部材については、従来の色素増感型光電変換装置100などと同様であるが、以下に詳述する。
透明基板1は、光が透過しやすい材質と形状のものであれば特に限定されるものではなく、種々の基板材料を用いることができるが、特に可視光の透過率が高い基板材料が好ましい。また、光電変換素子に外部から侵入しようとする水分やガスを阻止する遮断性能が高く、また、耐溶剤性や耐候性に優れている材料が好ましい。具体的には、石英やガラスなどの透明無機基板、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、アセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルホン類、ポリオレフィン類などの透明プラスチック基板が挙げられる。透明基板1の厚さは特に制限されず、光の透過率や、光電変換素子内外を遮断する性能を勘案して、適宜選択することができる。
この透明基板1の表面上に、電子取り出し電極(負極)として透明電極(透明導電層)2を形成する。透明導電層2は、抵抗が小さいほど好ましく、具体的には500Ω/cm2 以下であることが好ましく、100Ω/cm2 以下であることがさらに好ましい。透明導電層2を形成する材料は、公知の材料が使用可能であり、具体的にはインジウム−スズ複合酸化物(ITO)、フッ素がドープされた酸化スズ(IV)Sn O2 (FTO)、酸化スズ(IV)Sn O2 、酸化亜鉛(II)Zn O、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)などが挙げられる。また、これらに限定されるものではなく、2種類以上を組み合わせて用いることができる。透明導電層2は、スパッタリング法などによって形成される。
また、電子取り出し路の抵抗を低減し、集電効率を向上させる目的で、導電性の高い金属配線をパターニングして形成することも可能である。金属配線の材料に特に制限は無いが、耐食性、耐酸化性が高く、金属材料自体の漏れ電流は低いことが望ましい。また、耐食性が低い材料でも別途保護層を設けることで使用可能である。また、基板からの暗電流低減を目的として、この金属配線に各種酸化物薄膜のバリア層を設けることも可能である。
半導体層3としては、半導体微粒子を焼結させた多孔質膜が用いられることが多い。半導体材料として、シリコンに代表される単体半導体材料の他に、化合物半導体材料またはペロブスカイト構造を有する材料などを用いることができる。これらの半導体材料は、光励起下で伝導帯電子がキャリアとなり、アノード電流を生じるn型半導体材料であることが好ましい。具体的に例示すると、酸化チタンTi O2 、酸化亜鉛Zn O、酸化タングステンWO3 、酸化ニオブNb 2 O5 、チタン酸ストロンチウムSr Ti O3 、および酸化スズSn O2 であり、特に好ましくはアナターゼ型の酸化チタンTi O2 である。また、半導体材料の種類はこれらに限定されるものでは無く、単独で、もしくは2種類以上を混合または複合化して用いることができる。また、半導体微粒子は粒状、チューブ状、棒状など必要に応じて様々な形態をとることが可能である。
半導体層3の製膜方法に特に制限は無いが、物性、利便性、製造コストなどを考慮した場合、湿式による製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを水などの溶媒に均一に分散させたペースト状の分散液を調製し、透明導電層2を形成した透明基板1の上に塗布または印刷する方法が好ましい。塗布方法または印刷方法に特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、塗布方法としては、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、およびグラビアコート法などを用いることができ、また、湿式印刷方法としては、凸版印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、凹版印刷法、ゴム版印刷法、およびスクリーン印刷法などを用いることができる。
酸化チタンの結晶型は光触媒活性の優れたアナターゼ型が好ましい。アナターゼ型酸化チタンは、粉末状、ゾル状、またはスラリー状の市販品を用いてもよいし、あるいは、酸化チタンアルコキシドを加水分解するなどの公知の方法によって、所定の粒径のものを形成してもよい。市販の粉末を使用する際には粒子の二次凝集を解消することが好ましく、ペースト状分散液の調製時に、乳鉢やボールミルなどを使用して粒子の粉砕を行うことが好ましい。このとき、二次凝集が解消された粒子が再度凝集するのを防ぐために、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、およびキレート剤などをペースト状分散液に添加することができる。また、ペースト状分散液の粘性を増すために、ポリエチレンオキシドやポリビニルアルコールなどの高分子、あるいはセルロース系の増粘剤などの各種増粘剤をペースト状分散液に添加することもできる。
半導体微粒子の粒径に特に制限は無いが、一次粒子の平均粒径で1〜200nmが好ましく、特に好ましくは5〜100nmである。また、半導体微粒子よりも大きいサイズの粒子を混合し、入射光を散乱させ、量子収率を向上させることも可能である。この場合、別途混合する粒子の平均サイズは20〜500nmであることが好ましい。
半導体層3は、多くの光増感色素4を吸着することができるように、多孔膜内部の空孔に面する微粒子表面も含めた実表面積の大きいものが好ましい。このため、半導体層3を透明電極2の上に形成した状態での実表面積は、半導体層3の外側表面の面積(投影面積)に対して10倍以上であることが好ましく、さらに100倍以上であることが好ましい。この比に特に上限はないが、通常1000倍程度である。
一般に、半導体層3の厚みが増し、単位投影面積当たりに含まれる半導体微粒子の数が増加するほど、実表面積が増加し、単位投影面積に保持できる色素量が増加するため、光吸収率が高くなる。一方、半導体層3の厚みが増加すると、光増感色素4から半導体層3に移行した電子が透明電極2に達するまでに拡散する距離が増加するため、半導体層3内での電荷再結合による電子のロスも大きくなる。従って、半導体層3には好ましい厚さが存在するが、一般的には0.1〜100μmであり、1〜50μmであることがより好ましく、3〜30μmであることが特に好ましい。
半導体層3は、半導体微粒子を透明電極2上に塗布または印刷した後に、微粒子同士を電気的に接続し、半導体層3の機械的強度を向上させ、透明電極2との密着性を向上させるために、焼成することが好ましい。焼成温度の範囲に特に制限は無いが、温度を上げ過ぎると、透明電極2の電気抵抗が高くなり、さらには透明電極2が溶融することもあるため、通常は40℃〜700℃が好ましく、より好ましくは40℃〜650℃である。また、焼成時間にも特に制限は無いが、通常は10分〜10時間程度である。
焼成後、半導体微粒子の表面積を増加させたり、半導体微粒子間のネッキングを高めたりする目的で、例えば、四塩化チタン水溶液や直径10nm以下の酸化チタン超微粒子ゾルによるディップ処理を行ってもよい。透明電極(透明導電層)2を支持する透明基板1としてプラスチック基板を用いている場合には、結着剤を含むペースト状分散液を用いて透明導電層2上に半導体層3を製膜し、加熱プレスによって透明導電層2に圧着することも可能である。
電解質層5としては、電解液、またはゲル状あるいは固体状の電解質が使用可能である。電解液としては、酸化還元系(レドックス対)を含む溶液が挙げられ、具体的には、ヨウ素I2 と金属または有機物のヨウ化物塩との組み合わせや、臭素Br 2 と金属または有機物の臭化物塩との組み合わせを用いる。金属塩を構成するカチオンは、リチウムLi + 、ナトリウムNa + 、カリウムK+ 、セシウムCs + 、マグネシウムMg2+ 、およびカルシウムCa2+ などであり、有機物塩を構成するカチオンは、テトラアルキルアンモニウムイオン類、ピリジニウムイオン類、イミダゾリウムイオン類などの第4級アンモニウムイオンが好適であるが、これらに限定されるものでは無く、単独もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
これらのほか、電解質として、フェロシアン酸塩とフェリシアン酸塩との組み合わせや、フェロセンとフェリシニウムイオンとの組み合わせなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオールとアルキルジスルフィドとの組み合わせなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノンとキノンとの組み合わせなどを用いることができる。
上記の中でも特に、ヨウ素I2 と、ヨウ化リチウムLi I、ヨウ化ナトリウムNa I、またはイミダゾリウムヨーダイドなどの第4級アンモニウム化合物とを組み合わせた電解質が好適である。電解質塩の濃度は溶媒に対して0.05M〜10Mが好ましく、さらに好ましくは0.2M〜3Mである。ヨウ素I2 または臭素Br 2 の濃度は0.0005M〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.5Mである。また、開放電圧や短絡電流を向上させる目的で4 −tert−ブチルピリジンやベンズイミダゾリウム類など各種添加剤を加えることもできる。
電解液を構成する溶媒として、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、炭酸エステル類、ラクトン類、カルボン酸エステル類、リン酸トリエステル類、複素環化合物類、ニトリル類、ケトン類、アミド類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、N −メチルピロリドン、1,3 −ジメチルイミダゾリジノン、3 −メチルオキサゾリジノン、および炭化水素などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、単独で、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。また、溶媒としてテトラアルキル系、ピリジニウム系、イミダゾリウム系第4級アンモニウム塩の室温イオン性液体を用いることも可能である。
色素増感型光電変換装置10からの電解液の漏液や、電解液を構成する溶媒の揮発を減少させる目的で、電解質構成物にゲル化剤、ポリマー、または架橋モノマーなどを溶解または分散させて混合し、ゲル状電解質として用いることも可能である。ゲル化材料と電解質構成物の比率は、電解質構成物が多ければイオン導電率は高くなるが、機械的強度は低下する。逆に、電解質構成物が少なすぎると、機械的強度は大きいが、イオン導電率は低下する。このため、電解質構成物はゲル状電解質の50wt%〜99wt%であるのが好ましく、80wt%〜97wt%であるのがより好ましい。また、電解質と可塑剤とをポリマーと混合した後、可塑剤を揮発させて除去することで、全固体型の光増感型光電変換装置を実現することも可能である。
対向電極6の材料としては、導電性物質であれば任意のものを用いることができるが、絶縁性材料の電解質層5に面している側に導電層が形成されていれば、これも用いることが可能である。ただし、電気化学的に安定である材料を対向電極6の材料として用いることが好ましく、具体的には、白金、金、カーボン、および導電性ポリマーなどを用いることが望ましい。
また、対向電極6での還元反応に対する触媒作用を向上させるために、電解質層5に接している対向電極6の表面には、微細構造が形成され、実表面積が増大するように形成されていることが好ましく、例えば、白金であれば白金黒の状態に、カーボンであれば多孔質カーボンの状態に形成されていることが好ましい。白金黒は、白金の陽極酸化法や塩化白金酸処理などによって、また多孔質カーボンは、カーボン微粒子の焼結や有機ポリマーの焼成などの方法によって形成することができる。
対向基板7は、光を透過させる必要はないので、材料として、不透明なガラス板、プラスチック板、セラミック板、および金属板を使用してもかまわない。また、透明な対向電極上に透明導電層を形成し、その上に酸化還元触媒作用の高い白金などの金属による配線を形成するか、表面を塩化白金酸処理することによって、透明な対向電極7として用いることもできる。
色素増感型光電変換装置10の製造方法は特に限定されない。電解質が液状である場合、または、液状の電解質を導入し、色素増感型光電変換装置10の内部でゲル化させる場合には、予め周囲が封止され、注入口が設けられた色素増感型光電変換装置10に電解液を注入する方法が好ましい。
色素増感型光電変換装置10を封止するには、半導体層3と対向電極6とを、互いに接しないように適当な間隙を設けて対向させ、半導体層3が形成されていない領域で基板1と対向基板7とを貼り合わせる。半導体層3と対向電極6との間隙の大きさに特に制限は無いが、通常1〜100μmであり、より好ましくは1〜50μmである。この間隙の距離が大きすぎると、導電率が低下し、光電流が減少する。
封止材の材料は特に制限されないが、耐光性、絶縁性、防湿性を備えた材料が好ましく、種々の溶接法、エポキシ樹脂、紫外線硬化樹脂、アクリル樹脂、ポリイソブチレン樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)、アイオノマー樹脂、セラミック、各種熱融着樹脂などを用いることができる。また、注入口を設ける場所は、半導体層3およびそれに対向する対向電極6上でなければ、特に限定されない。
電解液の注入方法に特に制限はないが、注入口に溶液を数滴垂らし、毛細管現象によって導入する方法が簡便である。また、必要に応じて、減圧もしくは加熱下で注入操作を行うこともできる。完全に溶液が注入された後、注入口に残った溶液を除去し、注入口を封止する。この封止方法にも特に制限は無いが、必要であればガラス板やプラスチック基板を封止材で貼り付けて封止することもできる。
また、電解質が、ポリマーなどを用いてゲル化された電解質や、全固体型の電解質である場合、電解質と可塑剤とを含むポリマー溶液を、半導体層3の上にキャスト法などによって塗布する。その後、可塑剤を揮発させ、完全に除去した後、上記と同様に封止材によって封止する。この封止は、真空シーラーなどを用いて、不活性ガス雰囲気下、もしくは減圧中で行うことが好ましい。封止を行った後、電解質層5の電解液が半導体層3に十分に浸透するように、必要に応じて加熱、加圧の操作を行うことも可能である。
本発明の実施の形態1に基づく色素増感型光電変換装置はその用途に応じて様々な形状で作製することが可能であり、その形状は特に限定されない。
実施の形態2
図6は、主として請求項14に記載した第2の色素増感型光電変換装置に対応し、実施の形態2に基づく色素増感型光電変換装置20の構造を示す要部断面図である。色素増感型光電変換装置20は、主として、ガラスなどの透明基板1、FTO(フッ素がドープされた酸化スズ(IV)Sn O2 )などの透明導電層からなる透明電極(負極)2、光増感色素と会合抑制剤を保持した半導体層23、電解質層5、対向電極(正極)6、対向基板7、および図示省略した封止材などで構成されている。
半導体層23としては、色素増感型光電変換装置10の半導体層3と同様、酸化チタンTi O2 の微粒子を焼結させた多孔質層を用いるのがよい。この半導体層23を構成する微粒子の表面に、光増感色素と会合抑制剤とが保持されている。電解質層5は半導体層3と対向電極6との間に充填され、I- /I3 - などの酸化還元種(レドックス対)を含む有機電解液などが用いられる。対向電極6は白金層6bなどで構成され、対向基板7の上に形成されている。
色素増感型光電変換装置20は、会合抑制剤が、本実施の形態の特徴として、半導体層3に結合する官能基を同一炭素上に複数個もち、光増感色素の会合を抑制することによって光増感色素の光電変換効率を向上させる会合抑制分子であることを除けば、従来の色素増感型光電変換装置100と違いはない。なお、この会合抑制分子は、それ自身が光増感色素の1種であってもよいし、それとは異なり、光電変換機能をもたない分子であってもよい。
会合抑制剤分子が有する官能基は、半導体層3に強く結合する官能基と、半導体層3に弱く結合する官能基とからなるのがよい。もし仮に、上記会合抑制分子が同一炭素上に有する前記複数個の官能基が、いずれも半導体層3に強く結合する官能基であるとすると、半導体層3に吸着された会合抑制分子がとる立体配置は自由度が少なくなり、複数個の官能基が存在する効果が発現しにくくなる。これに対し、会合抑制分子が有する複数個の官能基は、半導体層3に強く結合する官能基と弱く結合する官能基とからなるので、弱く結合する官能基が補助的に機能し、しかも、強く結合する官能基の、半導体層3への結合を妨げることがない。この結果、複数個の官能基が同一炭素上に存在する効果が効果的に発現する。例えば、半導体層3に強く結合する官能基が、カルボキシル基−COOH、又はホスホノ基−PO(OH) 2 であり、半導体層3に弱く結合する官能基が、シアノ基−CN、アミノ基−NH2 、チオール基−SH、又はチオン基−CS−であるのがよい。
光増感色素としては、増感作用を示すものであれば特に制限はないが、半導体層3に吸着されるために酸性の官能基が必要であり、カルボキシル基−COOHまたはホスホノ基−PO(OH) 2 を有する色素が好ましく、カルボキシル基を有する色素が特に好ましい。
例えば、光増感色素として、ローダミンB、ローズベンガル、エオシン、エリスロシンなどのキサンテン系色素、メロシアニンキノシアニン、クリプトシアニンなどのシアニン系色素、フェノサフラニン、カブリブルー、チオシン、メチレンブルーなどの塩基性染料、クロロフィル、亜鉛ポルフィリン、マグネシウムポルフィリンなどのポルフィリン系化合物、その他アゾ色素、フタロシアニン化合物、クマリン系化合物、ビピリジン錯化合物、アントラキノン系色素、多環キノン系色素などが挙げられる。中でも配位子がピリジン環もしくはイミダゾリウム環を含み、ルテニウムRu 、オスミウムOs 、イリジウムIr
、白金Pt 、コバルトCo 、鉄Fe 、および銅Cu からなる群より選ばれた金属元素のイオンを中心金属イオンとする金属錯体は、量子収率が高く、光増感色素として好ましい。特に、N719またはブラックダイは吸収波長域が広く好ましい。ただし、光増感色素はこれに限定されるものではなく、単独で、もしくは2種類以上を混合して用いることができる。
光増感色素と会合抑制剤とを半導体層3に保持させる方法には、特に制限は無いが、光増感色素と会合抑制剤とを適当な溶媒、例えば、アルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N −メチルピロリドン、1,3 −ジメチルイミダゾリジノン、3 −メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、および水などに溶解させ、この色素溶液に半導体層3を浸漬するか、もしくは色素溶液を半導体層3に塗布して、半導体層3に光増感色素を吸着させるのがよい。
また、光増感色素同士の会合を減少させるために、光増感色素溶液に共吸着剤を添加してもよい。共吸着剤として、例えばケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸塩、および1−デクリルホスホン酸などを用いることができるが、ケノデオキシコール酸を用いるのが一般的である。濃度は一般的には10μmol〜0.5molであるが、0.3μmol〜0.2molであることが特に好ましい。
光増感色素を吸着させた後に、アミン類を用いて半導体層3の表面を処理してもよい。アミン類の例としてピリジン、4 −tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンなどが挙げられる。これらは、アミン類が液体である場合にはそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解させて用いてもよい。
光増感色素および会合抑制剤以外の部材については、色素増感型光電変換装置10と同様であるので、重複を避け、記述を省略する。
本発明の実施の形態2に基づく色素増感型光電変換装置はその用途に応じて様々な形状で作製することが可能であり、その形状は特に限定されない。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例では、図1に示した色素増感型光電変換装置10または図6に示した色素増感型光電変換装置20を作製し、光電変換率などの性能を測定し、比較例と比較した。
<色素増感型光電変換装置の作製>
実施例1
半導体層3を形成する際の原料である酸化チタンTi O2 のペースト状分散液は、「色素増感太陽電池の最新技術」(荒川裕則監修,2001年,(株)シーエムシー)を参考にして作製した。すなわち、まず、室温で撹拌しながらチタンイソプロポキシド125mlを0.1Mの硝酸水溶液750mlに徐々に滴下した。滴下後、80℃の恒温槽に移し、8時間撹拌を続けたところ、白濁した半透明のゾル溶液が得られた。このゾル溶液を室温になるまで放冷し、ガラスフィルタでろ過した後、溶媒を加えて溶液の体積を700mlにした。得られたゾル溶液をオートクレーブへ移し、220℃で12時間水熱反応を行わせた後、1時間超音波処理して分散化処理を行った。次いでこの溶液をエバポレータを用いて40℃で濃縮し、Ti O2 の含有量が20wt%になるように調製した。この濃縮ゾル溶液に、Ti O2 の質量の20%分のポリエチレングリコール(分子量50万)と、Ti O2 の質量の30%分の粒子直径200nmのアナターゼ型Ti O2 とを添加し、撹拌脱泡機で均一に混合し、粘性を増加させたTi O2 のペースト状分散液を得た。
上記のTi O2 のペースト状分散液を、透明電極(透明導電層)2であるFTO層の上にブレードコーティング法によって塗布し、大きさ5mm×5mm、厚さ200μmの微粒子層を形成した。その後、500℃に30分間保持して、Ti O2 微粒子をFTO層上に焼結した。焼結されたTi O2 膜へ0.1Mの塩化チタン(IV)Ti Cl 4 水溶液を滴下し、室温下で15時間保持した後、洗浄し、再び500℃で30分間焼成を行った。この後、UV(紫外光)照射装置を用いてTi O2 焼結体に紫外線を30分間照射し、Ti O2 焼結体に含まれる有機物などの不純物をTi O2 の触媒作用によって酸化分解して除去し、Ti O2 焼結体の活性を高める処理を行い、半導体層3を得た。
光増感色素4として、十分に精製したN719の23.8mgと、色素A 2.5mgとを、アセトニトリルとtert−ブタノールとを1:1の体積比で混合した混合溶媒(以下、アセトニトリルとtert−ブタノールの混合溶媒と略称する。)50mlに溶解させ、光増感色素溶液を調製した。
次に、半導体層3をこの光増感色素溶液に室温下で24時間浸漬し、Ti O2 微粒子表面に光増感色素を保持させた。次に、4 −tert−ブチルピリジンのアセトニトリル溶液およびアセトニトリルを順に用いて半導体層3を洗浄した後、暗所で溶媒を蒸発させ、乾燥させた。
対向電極6は、予め0.5mmの注液口が形成されたFTO層の上に厚さ500Åのクロム層および厚さ1000Åの白金層を順次スパッタリング法によって積層し、その上に塩化白金酸のイソプロピルアルコール(2 −プロパノール)溶液をスプレーコートし、385℃、15分間加熱したものを用いた。
上記のように加工された半導体層3と対向電極6とを対向させて配置し、外周を30μmのアイオノマー樹脂フィルムとアクリル系紫外線硬化樹脂によって封止した。
一方、メトキシプロピオニトリル 2.0gに、ヨウ化ナトリウムNa I 0.030g、1 −プロピル−2,3 −ジメチルイミダゾリウムヨーダイド 1.0g、ヨウ素I2
0.10g、そして4 −tert−ブチルピリジン(TBP) 0.054gを溶解させ、電解液を調製した。
この電解液を予め準備した色素増感型光電変換装置10の注液口から送液ポンプを用いて注入し、減圧することで装置内部の気泡を追い出した。次いで、注液口をアイオノマー樹脂フィルム、アクリル樹脂、ガラス基板で封止し、色素増感型光電変換装置10を完成した。
実施例2
光増感色素4として、十分に精製したブラックダイ 25.5mgと、色素A 3.2mgとを、アセトニトリルとtert−ブタノールの混合溶媒50mlに溶解させ、光増感色素溶液を調製した。次に、半導体層3をこの光増感色素溶液に室温下で72時間浸漬し、Ti O2 微粒子表面に光増感色素を保持させた。その他は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置10を作製した。
実施例4
光増感色素4として、十分に精製したN719の8.9mgと、ブラックダイ 12.8mgと、色素A 1.6mgとを、アセトニトリルとtert−ブタノールの混合溶媒50mlに溶解させ、光増感色素溶液を調製した。
次に、半導体層3をこの光増感色素溶液に室温下で48時間浸漬し、Ti O2 微粒子表面に光増感色素を保持させた。次に、4 −tert−ブチルピリジンのアセトニトリル溶液およびアセトニトリルを順に用いて半導体層3を洗浄した後、暗所で溶媒を蒸発させ、乾燥させた。その他は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置10を作製した。
比較例1
光増感色素として、十分に精製したN719の29mgを、アセトニトリルとtert−ブタノールの混合溶媒50mlに溶解させ、光増感色素溶液を調製した。その他は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置10と同様の色素増感型光電変換装置を作製した。
比較例2
光増感色素として、十分に精製した色素B 18.5mgを、アセトニトリルとtert−ブタノールの混合溶媒50mlに溶解させ、光増感色素溶液を調製した。その他は実施例1と同様にして、色素増感型光電変換装置10と同様の色素増感型光電変換装置を作製した。
比較例3
光増感色素として、十分に精製したブラックダイ 25.5mgを、エタノール50mlに溶解させ、これに会合抑制剤としてケノデオキシコール酸 392.6mgを加えて、光増感色素溶液を調製した。次に、実施例1と同様にして得た半導体層23をこの光増感色素溶液に室温下で72時間浸漬し、Ti O2 微粒子表面に光増感色素および会合抑制剤を保持させた。次に、エタノールを用いて半導体層23を洗浄した後、暗所で溶媒を蒸発させ、乾燥させた。その他は実施例5と同様にして、色素増感型光電変換装置20と同様の色素増感型光電変換装置を作製した。
比較例4
光増感色素として、十分に精製したブラックダイ 13.6mgを、アセトニトリルとtert−ブタノールの混合溶媒50mlに溶解させ、光増感色素溶液を調製した。その他は実施例5と同様にして、色素増感型光電変換装置20と同様の色素増感型光電変換装置を作製した。
<色素増感型光電変換装置の性能評価>
以上のようにして作製した実施例1、2、4および比較例1〜4の色素増感型光電変換装置について、擬似太陽光(AM1.5、100mW/cm2 )照射時における電流−電圧曲線における短絡電流、開放電圧、フィルファクタ、および光電変換効率を測定した。表1および表2は、上記の測定結果を示す表である。
なお、フィルファクタは、形状因子ともいい、光電変換装置の特性を示すパラメータの1つである。理想的な光電変換装置の電流電圧曲線では、開放電圧と同じ大きさの一定の出力電圧が、出力電流が短絡電流と同じ大きさに達するまで維持されるが、実際の光電変換装置の電流電圧曲線は、内部抵抗があるため、理想的な電流電圧曲線からはずれた形になる。実際の電流電圧曲線とx軸およびy軸とで囲まれる領域の面積の、理想的な電流電圧曲線とx軸およびy軸とで囲まれる長方形の面積に対する比を、フィルファクタという。フィルファクタは、理想的な電流電圧曲線からのずれの度合いを示すもので、実際の光電変換効率を算出する時に用いられる。また、表中、ブラックダイはBDと略記し、フェニルチオヒダントイン−トリプトファンはP−トリプトファンと略記した。
表1からわかるように、N719、ブラックダイまたは色素Bと、色素Aとの組み合わせでは光電変換効率が向上した。この原因のすべてが解明されたわけではないが、主要な原因は実施の形態1において既述したとおりである。図7に、N719とブラックダイを基本色素、色素Aを補助色素とする、実施例4の光電変換装置のIPCEスペクトルを示す。
図8は、比較例3で用いた会合抑制剤(共吸着剤)の構造を示す構造式である。α−シアノケイヒ酸およびフェニルチオヒダントイン−トリプトファンは、半導体層に強く結合する官能基としてカルボキシル基を、半導体層に弱く結合する官能基としてシアノ基またはアミノ基を、末端の炭素にあわせもっている。図3に示したように、色素Aも半導体層に強く結合する官能基としてカルボキシル基を、半導体層に弱く結合する官能基としてシアノ基を、末端の炭素にあわせもっている。表2からわかるように、半導体層23に光増感色素とともにこれらの会合抑制剤を保持させた実施例2の光電変換装置20では、そのような構造をもたない会合抑制剤(共吸着剤)であるケノデオキシコール酸を用いた比較例3、および会合抑制剤(共吸着剤)を用いていない比較例4に比べ、短絡電流密度および光電変換効率が優れており、本発明の優位性を示している。
図9は、実施例2および比較例3、4による光電変換装置のIPCEスペクトル(a)、およびその長波長領域の拡大図(b)を示すグラフである。図9(a)からわかるように、色素Aは短波長領域ではそれ自身が光増感色素として働くため、色素Aを用いた実施例2の光電変換装置のIPCEスペクトルは、350〜600nmの短波長領域で他の光電変換装置のIPCEスペクトルに比べて優れており、これが表2に示した実施例2の優れた短絡電流密度および光電変換効率の一因になっている。
しかし、注意深く見ればわかるように、実施例2の光電変換装置のIPCEスペクトルは、色素Aが光電変換機能を示さない長波長領域でも他の光電変換装置のIPCEスペクトルに比べて優れている。これは、色素Aがこの長波長領域では会合抑制剤として、基本色素であるブラックダイの光電変換効率を向上させているからである。
以上、本発明を実施の形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。