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JP4383092B2 - 電気化学素子 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学素子及びその製法に関し、特に、(La,Sr)(Ga,Mg)O系組成物からなる固体電解質の片側に燃料側電極、他側に酸素側電極を設けてなる固体電解質燃料電池セル、酸素センサ等の電気化学素子に関するものである。
【0002】
【従来技術】
一般に電気化学素子として、固体電解質燃料電池セル、酸素センサが知られており、このうち固体電解質燃料電池セルとしては、円筒型と平板型が知られている。平板型燃料電池セルは、発電の単位体積当たり出力密度は高いという特徴を有するが、実用化に関してはガスシール不完全性やセル内の温度分布の不均一性などの問題がある。一方、円筒型燃料電池セルでは、出力密度は低いものの、セルの機械的強度が高く、またセル内の温度の均一性が保てるという特徴がある。両形状の固体電解質燃料電池セルとも、それぞれの特徴を生かして積極的に研究開発が進められている。
【0003】
例えば円筒型燃料電池の単セルは、開気孔率30〜40%程度のLaSrCoFeO系材料からなる多孔性の空気極支持管を形成し、その表面にY安定化ZrOからなる固体電解質を被覆し、さらにこの表面に多孔性のNi−SDC(Ceの一部がSmで置換されたCeO)からなる燃料極を設けて構成されている。
【0004】
上記のような燃料電池セルを製造する方法として、近年ではセルの製造工程を簡略化し且つ製造コストを低減するために、各構成材料のうち少なくとも2つを同時焼成する、いわゆる共焼結法が提案されている。この共焼結法は、例えば、円筒状の空気極成形体に固体電解質成形体及び集電体成形体をロール状に巻き付けて同時焼成を行い、その後固体電解質層表面に燃料極層を形成する方法である。またプロセス簡略化のために、固体電解質成形体の表面にさらに燃料極成形体を積層して、同時焼成する共焼結法も提案されている。
【0005】
従来、固体電解質燃料電池に用いる固体電解質としては、ジルコニア(ZrO)にイットリア(Y)を加えた部分安定化ジルコニア(YSZ)が知られている。部分安定化ジルコニアは耐熱性に優れている上、酸素雰囲気から水素雰囲気までの全ての雰囲気下で酸化物イオン伝導が支配的であって、酸素分圧が低下しても、イオン輸率(酸化物イオンが電荷を運ぶ割合)が1から低下しないという特長がある。しかし、部分安定化ジルコニア(YSZ)は高いイオン伝導性を得るためには、900〜1050℃と作動温度を高くする必要がある。つまり、この部分安定化ジルコニアは、温度が低くなると酸素イオン伝導性が急激に低下するという問題がある。
【0006】
近年、安定化ジルコニアよりも高い酸素イオン伝導性が得られる物質として、ランタンガリウムペロブスカイト型複合酸化物(La1−xSr)(Ga1−yMg)O(以下、LSGMと略すこともある)が注目されており、多くの研究が行われている。
【0007】
このLSGM焼結体は、低温でも酸素イオン伝導性の低下が少ない物質で、LaやGaの一部が、それより低原子価のSrやMg等に、置換固溶により置き代わったものであり、これにより、焼結体の酸素イオン伝導性が大きくなるという性質を有する。この材料は安定性に優れ、現在では最も優れた酸化物イオン伝導体と考えられている(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−114520号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記LSGMは反応性が高く、上述した共焼結法を用いて燃料電池セルを作製すると、共焼結の際に、電極構成成分と、固体電解質の構成成分、特にLaとが固相内相互拡散し、その結果、電極と固体電解質との界面に絶縁抵抗の高い絶縁層が生成され、分極値およびセル構成成分の実抵抗値が高くなり、燃料電池セルの初期における出力密度が低いという問題があった。
【0010】
即ち、LSGMからなる固体電解質成形体と、例えばNi、ZrOを含有する燃料側電極とを共焼結すると、燃料側電極の構成成分であるNi、Zrと、固体電解質の構成成分であるLaとが固相内相互拡散し、燃料側電極と固体電解質との界面に、絶縁抵抗の高いLaNiO、LaNiO、LaZr等からなる絶縁層が生成され、分極値およびセル構成成分の実抵抗値が高くなるという問題があった。
【0011】
本発明は、LSGM系組成物からなる固体電解質を用い、初期において高い特性を得ることができるとともに、長期に亘って高い特性を維持できる電気化学素子を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気化学素子は、(La,Sr)(Ga,Mg)O系組成物からなる固体電解質の片側に燃料側電極、他側に酸素側電極を設けてなる電気化学素子であって、前記固体電解質と前記燃料側電極を同時焼成してなるとともに、前記固体電解質を構成する結晶粒子の粒度分布に、粒径が0.3〜1.5μmの範囲に頻度が2%以上のピークと、粒径が2.5〜6μmの範囲に頻度が2%以上のピークが存在し、かつ前記固体電解質におけるNi及びZr量がそれぞれ0.01原子%以下、前記燃料側極におけるLa量が0.01原子%以下であることを特徴とする。
【0013】
本発明の電気化学素子では、固体電解質を構成する結晶粒子の粒度分布に、粒径が0.3〜1.5μmの範囲に頻度が2%以上のピークと、粒径が2.5〜6μmの範囲に頻度が2%以上のピークが存在するため、固体電解質をより緻密化できるとともに、電気伝導度を高くでき、出力を高くすることができる。
【0014】
また、例えば、固体電解質燃料電池セルについて説明すると、固体電解質におけるNi及びZr量がそれぞれ0.01原子%以下、燃料側電極におけるLa量が0.01原子%以下であるため、固体電解質へのNi及びZr量の拡散量が少なく、燃料側電極へのLa量の拡散量が少なく、固体電解質と燃料側電極との界面における絶縁抵抗の高い絶縁層の形成を防止でき、初期において高い出力密度を得ることができるとともに、長期に亘って高い出力密度を維持できる。
【0015】
また、本発明の電気化学素子は、前記燃料側電極がNi及び/又はNiOを主成分とし、Sm及び/又はYとCeとを含む酸化物を含有するとともに、Zrを含有していないことを特徴とする。
【0016】
このような電気化学素子では、燃料側電極にZrを含有しないため、より低温で拡散し易いZrの拡散を防止でき、LaZrからなる絶縁層の形成を防止でき、分極値およびセル構成成分の実抵抗値をさらに低くできる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の電気化学素子の一種である固体電解質燃料電池セルは、例えば図1に示すように、固体電解質1の一方側に酸素側電極2を、他方側に燃料側電極3を形成して構成されている。
【0024】
固体電解質1は(La,Sr)(Ga,Mg)O系組成物からなり、例えばLaをSrで10〜20原子%、GaをMgで10〜20原子%置換したランタンガレートLaGaOが用いられる。これに、伝導度を高めるために、Ga位置にさらにCo、Fe、Ni、Cu等を1〜20原子%置換したもの、または強度を高めるために、Al、MgO、Si、SiC等の微粉末を添加したものを用いることもできる。
【0025】
また、酸素側電極2としては、例えば、LaをSrで10〜40原子%、FeをCoで5〜60原子%置換したLaFeOが用いられる。
【0026】
燃料側電極3としては、例えば、50〜80重量%Ni及び/又はNiOを含むCeO(Sm含有)サーメットが用いられる。尚、燃料側電極3としては、例えば、50〜80重量%Ni及び/又はNiOを含むCeO(Y含有)サーメットを用いることもできる。
【0027】
酸素側電極2、燃料側電極3としては、上記例に限定されるものではなく、例えば酸素側電極2として少なくともLaおよびMnを含有するペロブスカイト型複合酸化物からなる公知材料を用いても良い。
【0028】
そして、本発明の固体電解質燃料電池セルの固体電解質では、電子顕微鏡によって観察される組織面を画像解析したときに、図2に示すように、固体電解質を構成する結晶粒子の粒度分布に、粒径が0.3〜1.5μmの範囲に頻度が2%以上のピークと、粒径が2.5〜6μmの範囲に頻度が2%以上のピークが存在するものである。また、図2から、0.3〜1.5μmの範囲の粒径に対する頻度は全体の25〜50%であり、2.5〜6μmの範囲の粒径に対する頻度は全体の50〜75%であることが望ましい。即ち、微粒子によるピークと、粗粒子によるピークが存在することになり、これにより、固体電解質の焼結性が向上し、低温で焼成しても緻密な焼結体を得ることができる。
【0029】
固体電解質3を構成する結晶粒子のうち、微粒子による頻度2%以上のピークが粒径0.3μmより小さい位置に存在する場合、粒径1.5μmより大きい位置に存在する場合、粗粒子との間にボイドが存在するため、緻密にはならない。
【0030】
また、粗粒子による頻度2%以上のピークが粒径2.5μmより小さい位置に存在する場合、粒径6μmよりも大きい位置に存在する場合、微粒子との間にボイドが存在するため、緻密にはならない。
【0031】
本発明の固体電解質では、特に、固体電解質の焼結性が向上し、低温で焼成しても緻密な焼結体を得ることができるという点から、微粒子による頻度2%以上のピークが粒径0.3〜1.0μmの位置に存在し、粗粒子による頻度2%以上のピークが粒径2.5〜5.0μmの位置に存在することが望ましい。
【0032】
また、本発明では、固体電解質におけるNi及びZr量がそれぞれ0.01原子%以下、燃料側電極におけるLa量が0.01原子%以下とされている。これにより、固体電解質と燃料側電極との間における絶縁層の形成を防止できる。特に、上記Ni、Zr量、La量は0(検出限界以下)であることが望ましい。
【0033】
以上のように構成された固体電解質燃料電池セルの製法は、まず、平板状の燃料側電極成形体を作製する。この平板状の燃料側電極成形体は、例えば所定の調合組成に従いNiO、及び(CeO1−x(Sm)x又は(CeO1−x(Y素原料を秤量、混合する。この後、混合した粉体に、バインダーを混合し一軸加圧成形法により平板状に成形し、さらに脱バインダー処理し、900〜1000℃で仮焼を行うことで平板状の燃料側電極仮焼体(燃料側電極成形体)を作製する。尚、燃料側電極成形体は、所定の強度を有するならば、仮焼しない場合であっても良い。
【0034】
さらに、(La1−xSr)(Ga1−yMg)O(x、yが所定値)のランタンガレート粉末に、トルエン、バインダー、市販の分散剤を加えてスラリー化したものをドクターブレード等の方法により、例えば、10〜50μmの厚さに成形してシート状の固体電解質成形体を作製する。
【0035】
この時、ランタンガレート粉末として、平均粒径が0.1〜0.7μmの微粉末5〜40質量%と平均粒径が1〜2.5μmの粗粉末60〜95質量%の混合粉末を用いることが必要である。
【0036】
これによって、焼結時にネック成長がしやすく、相対密度が高くなるためにイオン伝導性の高い焼結体が得られるためである。固体電解質の原料微粉末の平均粒径が0.1μmよりも小さい場合、粒界三重点に粗粉末が生成するため、相対密度は変化しないのでイオン伝導度は高くならない。固体電解質の原料微粉末の平均粒径が0.7μmよりも大きい場合、粒界三重点に小さなボイドが残存するため、相対密度は高くならずイオン伝導度は高くならない。固体電解質の原料粗粉末の平均粒径が1μmよりも小さい場合、微粒子だけの組織となるため、相対密度は変化しないのでイオン伝導度は高くならない。固体電解質の原料粗粉末の平均粒径が2.5μmよりも大きい場合、粒界三重点に小さなボイドが残存するため、相対密度は高くならずイオン伝導度は高くならない。
【0037】
特に、固体電解質成形体と燃料側電極仮焼体の焼成収縮率の差が3%以下であることが望ましい。これにより、焼成時の積層体の反りや、剥離、割れが減少し、歩留まりが向上するからである。収縮率の差を小さくするには、例えば固体電解質成形体の密度を高く、燃料側電極成形体の密度を低くすることで、所望の焼成温度での収縮挙動が近似的になるように調整することが望ましい。
【0038】
この後、燃料側電極仮焼体の表面に、固体電解質成形体を貼り付けて仮焼し、燃料側電極仮焼体の表面に固体電解質仮焼体(固体電解質成形体)を形成する。尚、固体電解質成形体を仮焼したが、仮焼しなくても良い。
【0039】
次に、シート状の酸素側電極成形体を作製する。まず、例えば、所定比率に調製されたLaSrCoFeO粉体に、トルエン、バインダーを加えてスラリー化したものを準備する。次に、固体電解質成形体の調製と同様、10〜20μmの厚さに成形した酸素側電極成形体を、燃料側電極成形体と反対側の固体電解質成形体表面に積層する。
【0040】
この後、平板状燃料側電極成形体、固体電解質成形体、酸素側電極成形体の積層成形体を、例えば、大気中1200〜1450℃の温度で、1〜4時間焼成し、3層同時に共焼成される。特に、1300〜1400℃の温度で焼成されることにより、固体電解質を相対密度98%以上の緻密体にすることができる。尚、平板状燃料側電極成形体と固体電解質成形体を同時焼成した後、酸素側電極成形体を積層し、焼き付けて形成しても良い。
【0041】
Ni及び/又はZr、Laの拡散は、焼成温度、保持時間にも影響するため、焼成温度を1300〜1350℃とできるだけ低下させ、焼成時間を1〜3時間とできるだけ短くすることにより、さらに拡散量を減少できる。
【0042】
また、平板状の固体電解質燃料電池セルにおいても、固体電解質の片面に酸素側電極、他面に燃料側電極が形成されていればよく、その構造は図1に限定されるものではない。例えば、従来公知の円筒型燃料電池セルや平板型燃料電池セルに用いても良く、内部にガス通過孔が形成された中空平板型燃料電池セルに用いても良い。
【0043】
さらに、上記例では、燃料側電極仮焼体、固体電解質仮焼体を形成した例について説明したが、これらが、仮焼しない燃料側電極成形体、固体電解質成形体であってもよい。
【0044】
また、上記例では、固体電解質を(La1−xSr)(Ga1−yMg)Oランタンガレート単一で作製した例について説明したが、固体電解質の強度を高めるため、ランタンガレート粉末とアルミナ微粉末等の混合粉末で作製しても良い。
【0045】
【実施例】
平板状の固体電解質燃料電池セルを共焼結法により作製するため、まず平板状の燃料側電極仮焼体を以下の手順で作製した。市販の純度99.9%以上で平均粒径が0.4μmのNiOを出発原料として、NiO粉末に対し、平均粒径が0.6μmのSmを15モル%の割合で含有するCeO粉末を準備し、NiO/SDC比率(重量分率)が50/50になるように調合し、粉砕混合処理を行い、混合粉末100質量部に対して3質量部のバインダーを添加した。これを用いて、一軸加圧プレス成形後、300℃の条件で脱脂、1000℃仮焼し、燃料側電極仮焼体を作製した。また、上記SDCの代わりにYを15モル%の割合で含有するCeO粉末を用いて燃料側電極仮焼体を作製した。
【0046】
また、イソプロピルアルコール(IPA)を溶剤、直径3mmのZrOボールをメディアとして、市販の純度99.9%以上のLSGM粉末((La0.9Sr0.1)(Ga0.8Mg0.2)O)を、24時間振動ミルを用いて湿式粉砕し、平均粒径が表1に示す微粉末と粗粉末を作製し、表1に示す量で混合した。
【0047】
得られた粉末に、トルエン、有機バインダー、分散剤を添加してスラリーを調製し、ドクターブレード法により、焼成後に表1に示す厚さとなるようにシート状の固体電解質成形体を作製した。
【0048】
次に、市販の純度99.9%以上のLa、SrCO、CoO、Feを出発原料として、これをLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8の組成になるように秤量混合した後、1000℃で3時間仮焼粉砕し、酸素側電極材料を作製した。得られた粉末にトルエン、有機バインダー、分散剤を加えてスラリーを調製し、ドクターブレード法により厚さ15μmのシート状の酸素側電極成形体を作製した。
【0049】
まず、前記燃料側電極仮焼体上にシート状の固体電解質成形体を積層し、冷間静水圧プレス(CIP)して積層成形体を作製し、大気中において表1に示す温度で2時間焼成し、共焼結体を作製した。
【0050】
【表1】
Figure 0004383092
【0051】
この共焼結体を用いて、燃料側電極内部へのLa拡散量(固体電解質材料中で最も拡散速度が早い元素)、固体電解質内部へのNi及びZr拡散量を評価した。評価は、まず、長さ10mm程度に切り出した任意の10個の試料の断面の燃料側電極内部において、X線マイクロアナライザ(EPMA)を用い全構成成分の定量を行った。次に、La成分の燃料側電極全成分に対する含有濃度(原子%)を平均値として算出した。同様にして、Ni及びZr成分の電解質全成分に対する含有濃度(原子%)を平均値として算出した。その結果を、表1の拡散種含有濃度の欄に燃料側電極中のLa量、固体電解質中のNi及びZr量として記載した。
【0052】
比較試料として、Yを8モル%含有するZrO粉末を50質量%、NiO粉末を50質量%混合して作製した燃料側電極仮焼体使用し、上記と同様にして共焼結体を作製した(試料No.8)。
【0053】
次に、固体電解質焼結体表面に、有効電極面積が0.785cmとなるようにシート状の酸素側電極成形体を積層し、乾燥した後、1150℃で2時間の条件で焼成した。
【0054】
各々のセルをそれぞれ50個作製し、界面剥離を生じたセルの個数を調査し、剥離率として表1に示した。界面剥離は目視にて観察した。
【0055】
発電は、850℃でセルの酸素側電極側に空気を、燃料側電極側に水素を流し、出力値が安定した際の初期値と、1000時間保持後の値でそれぞれの性能を任意の10個のセルについて求め、その平均値を記載した。上記La、Ni及びZr量、剥離率の結果と併せて、これらの測定結果を表1に示した。
【0056】
表1より、本発明の固体電解質燃料電池セルの試料では、界面剥離に伴う歩留り低下が殆ど無く、また燃料側電極中のLa量、固体電解質中のNi及びZr量がいずれも0.01原子%以下となっているため、初期から0.95W/cmを上回り、特に固体電解質の厚みが50μm以下である場合には高い出力密度が得られ、1000時間経過後も出力密度がほぼ安定していることが判る。
【0057】
図2に、試料No.6の固体電解質断面を電子顕微鏡で観察し、画像解析により、粒度分布を求めて記載した。この図2から粒径0.9μmと、粒径3.0μmに頻度4.5%以上のピークが存在していることが判る。本発明の他の試料についても、粒径0.3〜1.5μmの範囲と粒径2.5〜6μmの範囲に粒度分布のピークが存在していることを確認した。
【0058】
一方、試料No.7では焼成温度が1500℃と高いため、燃料側電極中のLa量が多く、初期における出力密度が低いことが判る。また、試料No.8では燃料側電極中のZr量が多く、初期における出力密度が低いことが判る。さらに、試料No.2では、粗粉末を用いて固体電解質を作製したので、緻密化不足のために1000時間後の出力密度が0.4W/cmまで低下した。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の電気化学素子では、焼成温度を低下できるため、燃料側電極から固体電解質に拡散しようとするNi及び/又はZr、固体電解質から燃料側電極に拡散しようとするLaを防止または抑制でき、燃料側電極サイトの分極値およびセル構成成分の実抵抗値を低くでき、出力密度を高くできるとともに、高い出力密度を長期間に亘って維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池セルを示す概略図である。
【図2】試料No.6の固体電解質断面を画像解析して求めた粒度分布である。
【符号の説明】
1・・・固体電解質
2・・・酸素側電極(第2電極)
3・・・燃料側電極(第1電極)

Claims (2)

  1. (La,Sr)(Ga,Mg)O系組成物からなる固体電解質の片側に燃料側電極、他側に酸素側電極を設けてなる電気化学素子であって、前記固体電解質と前記燃料側電極を同時焼成してなるとともに、前記固体電解質を構成する結晶粒子の粒度分布に、粒径が0.3〜1.5μmの範囲に頻度が2%以上のピークと、粒径が2.5〜6μmの範囲に頻度が2%以上のピークが存在し、かつ前記固体電解質におけるNi及びZr量がそれぞれ0.01原子%以下、前記燃料側極におけるLa量が0.01原子%以下であることを特徴とする電気化学素子。
  2. 前記燃料側電極がNi及び/又はNiOを主成分とし、Sm及び/又はYとCeとを含む酸化物を含有するとともに、Zrを含有していないことを特徴とする請求項1記載の電気化学素子。
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