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JP4383499B2 - 耐酸化性合金皮膜、耐酸化性合金皮膜の製造方法および耐熱性金属部材 - Google Patents
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耐酸化性合金皮膜、耐酸化性合金皮膜の製造方法および耐熱性金属部材 Download PDF

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Description

この発明は、耐酸化性合金皮膜、耐酸化性合金皮膜の製造方法および耐熱性金属部材に関し、各種の高温装置部材に適用して好適なものである。
ジェットエンジン、ガスタービン、燃焼炉、化学プラント、石油化学施設、自動車、製鉄所などに使用されている装置あるいは部材においては、高温・腐食環境下で稼動する場合、酸化・腐食による損耗が進行して装置の機能を低下させるとともに、部材および装置の破壊を誘引する。このため、高温・腐食環境下で使用される装置・部材の表面には、通常、耐酸化・腐食性皮膜が形成されていることが多い。
耐酸化性合金皮膜としては、現在、多くの種類の皮膜が使用されているが、その成膜法は拡散コーティングとオーバレイコーティングとに大別される。拡散コーティングはパックセメンテーションとも呼ばれ、Al、Cr、Siなどを基材表面に拡散浸透させる方法である。オーバレイコーティングは、MCrAlY(M=Ni、Co、Fe)やニッケルアルミナイドなどの合金粒子を溶射法や電子ビーム蒸着法によって基材表面に堆積(オーバレイ)させて形成する方法である。
拡散コーティングについて、少し詳しく説明する。なお、基材表面にAlを拡散浸透させる場合はアルミナイジング、Crを拡散浸透させる場合はクロマイジング、Siを拡散浸透させる場合はシリコナイジングと呼ばれることもあるが、以下においては、これらを総称して拡散コーティングという。
すなわち、拡散コーティングは、基材表面にAl、Cr、Siなどを拡散浸透させて、基材表面層をこれらの元素に富んだ合金層に変成する方法を総称する。この拡散コーティングは、鉄鋼材料はじめステンレス鋼、Ni基耐熱合金、Co基耐熱合金などに対して行われ、タービン、ボイラー、焼却炉、石油精製装置、自動車用部材はじめ高温の腐食環境下で使用される多くの材料に適用されている(例えば、金属防食技術便覧 pp.424〜447、昭和47年、新日本印刷株式会社(文献1)参照)。
Alの拡散コーティングには、商業名として、カロライジングまたはカロライズ、アリティールンクなどがある(例えば、金属表面技術便覧 昭和41年 pp.1380〜1396、日刊工業新聞社(文献2)参照)。
カロライジングでは、Al粉末に少量のNHClを加えた混合物と金属基材とを回転レトルト中に入れ、中性雰囲気において、850〜950℃で4〜6時間加熱する。さらに、レトルトから金属基材を取り出した後、800〜1000℃で12〜48時間加熱して、Alの拡散処理を施すこともある。
アリティールンクは、拡散浸透処理剤と被処理物とを炉内に充填し、900℃以上の温度に加熱して被処理物にAlを拡散浸透させる、いわゆるパック法である(例えば、金属便覧 平成2年 pp.922〜923、丸善株式会社(表13.30)(文献3)および金属表面技術便覧 昭和41年 p.1390、日刊工業新聞社(表17.66)(文献4)参照)。拡散浸透処理剤としては、例えば、FeAl(Al源)を60重量%、NHCl(触媒化合物)を5重量%、Alを25重量%、MgClを5重量%、MgFを5重量%含むものが使用される。さらに、Fe−50Al合金の粉末(Al源)とNHCl(触媒化合物)の混合物とを拡散浸透処理剤として使用する方法もあり、簡便・低コストであることから広く利用されている。触媒化合物としては、NHClの代わりに、NHF、NaF、NaCl、NaIなどを使用することもできる(例えば、B.K.Gupta and L.L.Seigle;THE EFFECT ON THE KINETICS OF PACK ALUMINIZATION OF VARYING THE ACTIVATOR,Thin Solid Films,73(1980),365−371(文献5)参照)。
これらのAl拡散コーティングでは、上記のようにして形成される耐酸化性合金皮膜に含まれるAlを選択的に酸化することにより保護的酸化物スケール(Alスケール)を形成して、高温腐食環境から基材を保護している。従って、耐酸化性合金皮膜には、保護的Alスケールを選択的に形成するに足る充分な量のAlが添加されており、通常、耐酸化性合金皮膜に含まれるAlの濃度は基材のそれよりもかなり高い値に設計されている。
しかしながら、上記の方法により形成される耐酸化性合金皮膜は、高温の腐食環境下では、以下のような現象が現れる。
(1)高温で使用中に、耐酸化性合金皮膜に含まれるAlの選択酸化によりAlスケールが形成されることから、耐酸化性合金皮膜の表面側にAl濃度が低下したAl欠乏層が形成される。一方、耐酸化性合金皮膜と基材との間の相互拡散が進行し、耐酸化性合金皮膜に含まれるAlが基材側へ拡散し、基材に含まれる合金元素は耐酸化性合金皮膜側へ拡散し、耐酸化性合金皮膜の組成および構造が変化し、その耐酸化性能が低下する。このようなAl欠乏層の形成および相互拡散のいずれも、保護的Alスケールの形成能を喪失させるため、もはや、耐酸化性合金皮膜としては機能しない。
(2)基材との相互拡散は、耐酸化性合金皮膜の元素、濃度、組織を変化させると同時に、基材の機械的特性を低下させる。特に、基材がNi基超合金である場合には、topologically close−packed phase(TCP)が形成されて、機械的特性(クリープ、疲労)を著しく低下させることが知られている(例えば、Y.Aoki,M.Arai,M.Hosoya,S.Masaki,Y.Koizumi,T.Kobayashi,Engine Rotor Application,Status and Perspective,Report of the 123rd Committee on Heat Resisting Materials and Alloys,Japan Society for Promotion of Science,43,No.3(2002),257−264(文献6)参照)。
上述のように、耐酸化性合金皮膜に含まれるAlの選択的酸化によって形成された保護的Alスケールの防食作用によって、基材は高温腐食環境から保護される。しかしながら、耐酸化性合金皮膜が形成された基材に機械的荷重が付加されて基材の変形(高温におけるクリープ、疲労現象を含む)が生じる時、および加熱・冷却時に発生する熱応力が重畳される時、保護的Alスケールに亀裂が生じ、剥離などに至る。
このように保護的Alスケールに亀裂や剥離が生じると、耐酸化性合金皮膜に形成されたAl欠乏層が高温腐食環境に直接曝されることになる。この時、このAl欠乏層の表面には保護的酸化物であるAlのほかに、NiAl、NiO、NiCrなどの非保護的酸化物が形成される。このため、このAl欠乏層の表面に形成された酸化物は、もはや保護的酸化物スケールとしては機能せず、耐酸化性合金皮膜の劣化を招来し、ひいては基材の破壊をも誘発する。
従って、耐酸化性合金皮膜への保護的酸化物スケールの密着性を確保し、この保護的酸化物スケールの剥離を防止することは、極めて重要である。
これまで、保護的酸化物スケールと耐酸化性合金皮膜との密着性を改善するための方策が長年に亘って探索されてきた。
現在、希土類元素やランタノイド(ランタニド)などに属する元素、例えば、Hf、Zr、Y、La、Ce、Tiなどの活性元素を耐酸化性合金皮膜に適量添加すると保護的酸化物スケールの密着性の改善に有効であることが広く知られている。これらの活性元素は、オーバレイコーティングのMCrAlY合金粉末に見られるように、原料の合金粉末に前もって添加されていることが多い(例えば、腐食・防食ハンドブック pp.466〜470、平成12年 丸善株式会社(文献7)参照)。
拡散コーティングにより、Alを含む耐酸化性合金皮膜にYまたはHfを添加する方法として以下の方法が提案されている(例えば、米国特許第3996021号明細書(文献8)および米国特許第5000782号明細書(文献9)参照)。文献8では、Fe、CoおよびNiからなる群より選ばれた一種の金属と、0.1〜10重量%のHfとを含み、残りがAlであるパック剤(拡散浸透処理剤)を用いた耐酸化性合金皮膜の形成方法が開示されており、この耐酸化性合金皮膜は以下に示すパックコーティングにより形成された。パック剤として、下記のパックA、Bを用いる。
〈パックA〉
Al源 (20〜48)重量%Al−(50〜70)重量%T
i−(0.5〜9)重量%C合金/パック剤全体の4
重量%
触媒化合物 0.2重量%NH
Hf源 Hf:0、0.2、0.35、2.0、3重量%(粉
末)
(HfCl、HfFでもよい)
イナートフィラー(Inert filler)/残Al
〈パックB〉
Al源 Fe−(51〜61)重量%Al FeAl
FeAl/パック剤全体の4重量%
触媒化合物 0.2重量%NH
Hf源 Hf:0、0.2、0.35、2.0、3重量%(粉
末)
イナートフィラー/残Al
パックAおよびパックBとも、加熱温度は1038〜1066℃、時間は4時間、雰囲気は水素である。
この加熱処理の結果、アルミナイジング層が形成され、このアルミナイジング層の内部および表面に存在するHfの濃度は0.1〜10重量%である。
サイクル酸化試験を1150℃−室温で行った結果、Hf無添加に比較して、いずれも2倍以上改善した。
[実施例]
基材 Rene 80
パック剤 Al源(AlTiC 40重量%)
Hf源(0.35重量%Hf粉末)
触媒化合物(0.2重量%NHF)
イナートフィラー(残 Al
温度 1038〜1066℃ 時間4時間
雰囲気 水素
結果 コーティング層の組成:Ni−20重量%Cr−20
重量%Al−5重量%Hf
文献9には、Ni基またはCo基超合金の表面にYを含有するアルミナイズド層を形成する方法が開示されている。この文献9には、Ni基またはCo基超合金の表面に、5〜35重量%/Al−Y−X合金(X=Si、Cr、Co、Ni、Ti、Hfまたはそれらの合金)、1〜20重量%/活性化剤、残りは高温でYによって還元されない材料からなるパック剤を用いてコーティング層を形成すること、5〜35重量%/Al−Y−Si合金、1〜20重量%/CoI、残りがYからなるパック剤を用いてコーティング層を形成すること、5〜10重量%/Al−Y−Si合金、5〜10重量%/CoI、残りがYからなるパック剤を用いてコーティング層を形成すること、5重量%/Al−Y−Si合金、5重量%/CoI、残りがYからなるパック剤を用いてコーティング層を形成すること、Al−Y−Si合金の組成として(2〜20)重量%Y、(6〜50)重量%Si、残りがAlからなるパック剤を用いること、が記載されている。
イナートフィラーについては次のように記載されている。すなわち、イナートフィラーはYによって還元されてはいけない。さもなくば、基材へのYの拡散は殆ど、または全く生じないのである。Alは、通常のコーティングに使用されているイナートフィラーであるが、Yによって還元されるので、もしも使用されるとより安定なYが形成するのである。従って、文献9では、Alではなく、Yを使用したのはその理由による。
上述のように、Al、Cr、Siなどの拡散浸透処理は、簡便・低コストの拡散コーティング皮膜の形成法として、現在、広く利用されている。例えば、Alの拡散コーティングは、通常、Al源としての純AlまたはAl含有合金、触媒化合物としてのNHClおよびイナートフィラー(焼結防止剤)としてのAlの混合粉末からなるパック剤に被コーティング金属基材を埋設し、高温で加熱処理することによって行われる。
一方、保護的酸化物スケールとコーティング層(耐酸化性合金皮膜)との密着性を改善するための金属、例えば、Hf、Zr、Y、La、Ceなどは、前もって合金基体中に含有させるか、または、パックセメンテーションによって、アルミナイジングと同時に添加する方法が提案されている(文献8、9および特開平8−112532号公報(文献10)参照)。
すなわち、文献10では、拡散浸透処理剤としてCr粉65重量%、Al粉5重量%、FeNb合金粉2重量%、NiY合金粉3重量%、NHCl粉2重量%、残Al粉を用い、Cr6重量%、Al9重量%、Nb0.2重量%、Y0.1重量%を含むコーティング層が得られたとされている。
文献9では、拡散浸透処理剤として5〜35重量%Al−Y−X合金(X=Si、Cr、Co、Ni、Ti、Hfまたはそれらの合金)、1〜20重量%活性化剤,残は高温でYによって還元されない材料、例えば、Yを用い、20〜35重量%Al、0.2〜2重量%Yを含むコーティングをNi基超合金およびCo基超合金に形成することができるとされている。なお、Alは効果が得られないので使用しないとされている。
文献8では、拡散浸透処理材として40重量%AlTiC粉末、0.35重量%Hf粉末、0.2重量%NHF粉末、残Alを用い、温度1038〜1066℃で4時間、水素雰囲気中で拡散浸透処理を行い、Ni−20重量%Cr−20重量%Al−5重量%Hfが得られ、コーティング層の内部および表面に存在するHf濃度は0.1〜10重量%Hfである。
拡散コーティングにより形成される耐酸化性合金皮膜の表面に保護的Alスケールを形成し、さらに、Alスケールと耐酸化性合金皮膜との密着性を長期間に亘って効果的に維持するためには、耐酸化性合金皮膜に含まれるAl濃度と活性金属の種類、濃度および分布とを精密に制御することが望ましいことは、よく知られている。
しかしながら、文献1〜10に開示されている従来の耐酸化性合金皮膜の形成方法では、Al濃度と活性金属の濃度およびそれらの分布とを制御することが難しい、という問題がある。
耐酸化性合金皮膜の厚さは、通常、基材の厚さに比べて非常に薄く、従って耐酸化性合金皮膜に含まれるAlおよび活性金属の量もまた限定されることになる。すなわち、耐酸化性合金皮膜には、各金属の濃度のみならず量もまた大変重要なことが理解される。
例えば、Alおよび活性金属の濃度を最適組成に設定すると、酸化によってAlおよび活性金属が消耗してしまい、長時間の酸化では、もはや、耐酸化性合金皮膜は保護的酸化物スケールの形成および酸化物スケールとの密着性を維持することはできず、一方、過剰に添加すると、初期に急激な酸化が進行して非保護的酸化物スケールを形成する、という問題が生じる。
従って、耐酸化性合金皮膜の内部に、活性金属の溜めを作り、酸化によって表面から活性金属が消耗される分、随時、内部から補給することが望まれる。しかしながら、現在、このような理想的な耐酸化性合金皮膜は何ら提案されていない。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、内部に活性金属の溜めを形成することができ、高温・腐食環境下で耐酸化性能を長期間に亘って維持することができる耐酸化性合金皮膜、そのような耐酸化性合金皮膜を簡便なプロセスにより低コスト・高生産性で製造することができる製造方法およびこの耐酸化性合金皮膜を適用した耐熱性金属部材を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、二種類以上の活性金属の同時添加が可能な耐酸化性合金皮膜、そのような耐酸化性合金皮膜を簡便なプロセスにより低コスト・高生産性で製造することができる製造方法およびこの耐酸化性合金皮膜を適用した耐熱性金属部材を提供することである。
上記課題は、本明細書の以下の記述によって明らかとなるであろう。
本発明者らは、上述の欠点を解消し、理想的な耐酸化性合金皮膜を実現することを目的として、実験および理論の両面から広範な研究を行った。その結果、従来の拡散コーティングとは本質的に異なる機構による、新規な原理に基づく耐酸化性合金皮膜の形成方法を見出した。これについて以下に詳しく説明する。
従来の拡散コーティング、例えばアルミナイジングでは、拡散浸透処理剤として、AlまたはAl含有合金、活性金属またはそれを含合金、触媒化合物としてのNHCl、イナートフィラーとしてのAlまたはYからなるものが使用されている。この際、イナートフィラーとしてのAlまたはYは、パック剤の焼結防止などのために添加されており、反応に関与しない。
この従来の拡散コーティングでは、以下のような形成機構が提案されている。例えば、NHClを触媒化合物として用いた場合、まず、NHCl=NH+HClの反応により生成したHClがAl源(例えば、Al粉)および活性金属源(例えば、Hf粉)と反応して、2Al+6HCl=2AlCl+3H、Hf+4HCl=HfCl+2Hの反応式に従ってAlClおよびHfClを生成し、これらのAlClおよびHfClがガス体として移動し、基材表面でAlおよびHfを析出し、これらのAlおよびHfが基材に拡散して、Hfを含むアルミナイズド層が形成される。
一方、本発明者らは、例えば、Al+Hf+NHClの混合粉末を拡散浸透処理剤として用い、その中に金属基材を埋設し、アルゴンガス雰囲気において高温で加熱することにより、基材表面にHfを含むアルミナイズド層を形成することができる有効な拡散コーティング法を見出した。この方法では、Al粉末は、焼結防止剤としてだけでなく、アルミナイズド層を形成するAl源として作用している点で、従来の拡散コーティングと本質的に異なる。
この新規な拡散コーティングでは、以下のような形成機構が提案される。すなわち、NHCl=NH+HClの反応により生成したHClがHfと反応し、Hf+4HCl=HfCl+2Hの反応式に従ってHfClを生成し、このHfClはAlと反応してHfOおよびAlClを生成する。すなわち、3HfCl+2Al=3HfO+4AlClである。これらのHfClおよびAlClはガス体として移動し、最終的に基材表面でHfを含むアルミナイズド層を形成する。
さらに、この新規な拡散コーティングで特徴的なことは、アルミナイズド層を構成する、例えばγ−Ni相、γ’−NiAl相、β−NiAl相、δ−NiAl相などの各種ニッケルアルミナイド相にそれぞれ特有の濃度の活性金属、例えば、Hfを含有させることができることである。すなわち、上述のように、コーティング層の表面から、Hfは酸化消耗するが、この新規な拡散コーティングによるアルミナイズド層では、Hfはγ’−NiAl相に多量に含有することができるので、このγ’−NiAl相のHfが表面に拡散・補給される。つまり、γ’−NiAlがHfの溜としての役割を果たし、優れた保護的Alスケールの密着性を長期間に亘って維持することができる。
上記の形成機構から容易に推定されるように、NHClの代わりに、HCl含有雰囲気、例えば、H+HCl混合ガスを使用することもできるし、他のハロゲン化合物、例えば、NHF、NaCl、NaFなどを使用することもできる。
また、Alの代わりに、他の金属酸化物を使用することもできる。
この発明は、本発明者らが独自に行った以上の実験および理論の両面からの研究に基づいて鋭意検討を行った結果、案出されたものである。
すなわち、第1の発明は、
金属基材の表面に耐酸化性合金皮膜を形成するようにした耐酸化性合金皮膜の製造方法であって、
前記金属基材を金属酸化物と活性金属と触媒化合物とを含む拡散浸透処理剤に埋設して加熱処理を行うことにより前記金属酸化物を構成する金属と前記活性金属とを含む前記耐酸化性合金皮膜を形成するようにしたことを特徴とするものである。
第2の発明は、
金属基材の表面に形成される耐酸化性合金皮膜であって、
前記金属基材を金属酸化物と活性金属と触媒化合物とを含む拡散浸透処理剤に埋設して加熱処理を行うことにより前記金属酸化物を構成する金属と前記活性金属とを含んで形成されることを特徴とするものである。
第3の発明は、
金属基材の表面に耐酸化性合金皮膜を有する耐熱性金属部材であって、
前記耐酸化性合金皮膜は、前記金属基材を金属酸化物と活性金属と触媒化合物とを含む拡散浸透処理剤に埋設して加熱処理を行うことにより前記金属酸化物を構成する金属と前記活性金属とを含んで形成されることを特徴とするものである。
第1〜第3の発明において、金属酸化物は、保護的酸化物スケールを形成することができる金属の酸化物であり、例えば、Al、CrおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属を含む酸化物を含み、好適には、Al、CrおよびSiOからなる群より選ばれた少なくとも一種の酸化物を含むが、これに限定されるものではない。活性金属は、例えば、Hf、Zr、Y、Ti、La、Ce、MgおよびCaからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属を含むが、これに限定されるものではない。活性金属は、金属酸化物を構成する金属のうちの少なくとも一種の金属をさらに含むこともある。触媒化合物は、例えば、ハロゲン化合物、例えば、NHCl、NHF、HCl、NaClおよびNaFからなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を含むが、これに限定されるものではない。拡散浸透処理剤には、必要に応じて、拡散浸透を阻害しない限り、金属酸化物、活性金属および触媒化合物以外の物質を含ませてもよい。拡散浸透処理剤は、一つの典型的な例では、Hf、Zr、Y、TiおよびMgからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属を89重量%未満、NHClを1〜10重量%含み、残りがAlである。
ここで、活性金属の定義について説明する。
まず、一例として、金属酸化物がAl(金属:Al、酸素:O)、活性金属がHf、その酸化物がHfO、触媒化合物がハロゲン化合物、例えばNHClである場合を考える。この場合、以下のような形成機構が提案される。
NHClは高温で熱分解する。すなわち、
NHCl=NH+HCl (1)
このHClはHfと反応し、HfClおよびHを生成する。すなわち、
Hf+4HCl=HfCl+2H (2)
このHfClの一部はAlと反応し、HfOおよびAlClを生成する。すなわち
3HfCl+2Al=3HfO+4AlCl (3)
(2)式で生成した残りのHfClと(3)式で生成したAlClとはガス体として移動し、金属基材の表面で、以下の反応によって、HfとAlとを析出する。
HfCl+2H=4HCl+Hf (4)
2AlCl+3H=6HCl+2Al (5)
なお、(4)式および(5)式のHは(2)式の反応で生成したものである。
(4)式および(5)式で生成したHfおよびAlは金属基材を構成する金属と合金化して合金皮膜を形成する。
ここで、HfおよびAlが金属基材を構成する金属と合金化することによって、(4)式および(5)式は右側へ進行する。すなわち、合金化することが重要である。さもなければ、逆反応を起こして、元に戻ってしまう。上記の例では、Hfを含むアルミナイズド層が形成される。
(1)式で生成したHClは(2)式の反応で消費されるが、(4)式と(5)式ではHClが生成される。すなわち、NHClの量は反応の前後で変化しない。これが、NHClを触媒化合物と呼ぶ所以である。
金属酸化物を構成する金属(上記の反応においてはAl)が金属基材の表面に合金皮膜を形成することができるかどうかの判断は、(3)式で与えられる反応が右側に進行できるかどうかによって決定される。
この判断を熱力学に基づいて表現すると、(3)式の反応に対するギブスの生成自由エネルギー変化が負であること、となる。
すでに述べたように、従来のAl拡散浸透処理、パック処理では、Alは反応に関与せずに、焼結防止剤(イナートフィラー)として添加されている。Alの供給源としては、Al粉末またはAl含有合金を使用している。
これに対し、上述の(1)〜(5)式の反応で示される例では、Hfは触媒化合物であるハロゲン化合物との反応を経由してAlと反応し、その結果として、AlのAlがハロゲン化物としてガス体で金属基材側に拡散して、合金皮膜を形成する。この反応で、Hfを活性金属と呼ぶ。それは、通常、Alは非常に安定で、反応には関与しないものとして考えられてきた訳であるが、その安定なAlをHf(上記の例では、HfCl)がAlClに変化させるということから、活性金属と呼ぶことにしたものである。従って、この活性金属の定義は一義的なものではなく、Alとの反応において、(3)式で例示したように、反応が熱力学的に右側に進行する場合、活性金属であると定義する。
より一般的には、触媒化合物としてハロゲン化合物を用いる場合、耐酸化性合金皮膜の形成機構として以下のものが提案される。
ハロゲン化合物は高温で熱分解し、その分解生成物が活性金属と反応し、この活性金属のハロゲン化物などを生成する。このハロゲン化物の一部は金属酸化物と反応し、活性金属の酸化物と金属酸化物を構成する金属のハロゲン化物とを生成する。この活性金属の酸化物と金属酸化物を構成する金属のハロゲン化物とを生成する反応においては、ギブスの生成自由エネルギー変化が負である。こうして生成された活性金属の酸化物と金属酸化物を構成する金属のハロゲン化物とはガス体として移動し、金属基材の表面で分解されて活性金属と金属酸化物を構成する金属とが析出する。これらの金属は金属基材を構成する金属と合金化し、耐酸化性合金皮膜が形成される。
加熱処理は、一般的には、触媒化合物の熱分解温度または昇華温度以上で金属基材の融点よりも低い温度で行う。この加熱処理の温度の下限は、触媒化合物として、例えば、NHClやNHFを用いる場合はその熱分解温度約400℃が目安となり、触媒化合物として、例えば、NaClやNaFを用いる場合はこれらの昇華が顕著になる温度800℃が目安になる。この加熱処理の温度は、例えば、金属基材としてNi基超合金を用いる場合は600℃以上、実用的には700℃以上である。ごく薄い耐酸化性合金皮膜を形成する場合は、より低温で行うのが望ましい。加熱処理は、典型的には、不活性ガスまたは水素ガスの雰囲気において700〜1340℃の温度で1分〜25時間行う。
金属基材は、特に限定されず、用途や機能などに応じて要求される特性を満たすものが適宜選ばれるが、単体金属、例えばNiや、各種の合金、具体的には、Ni基合金、Ni基耐熱合金、Ni基超合金、Ni基単結晶超合金、Fe基耐熱合金、Co基耐熱合金などが用いられる。
第1の発明による耐酸化性合金皮膜および第2の発明による耐酸化性合金皮膜の製造方法は、従来の拡散コーティングにより製造される耐酸化性合金皮膜を代替して、各種の部材、機器、装置などに適用することができる。
第3の発明による耐熱性金属部材は、特に限定されないが、例えば、ジェットエンジンまたはガスタービンの部材、動翼または静翼、燃焼器、燃料噴射ノズル、燃焼炉、熱交換パイプ、熱電対の鞘、電気炉、化学プラント、石油化学施設、自動車、エンジン廻り、ターボチャージャー(耐熱合金、TiAl系合金)、消音器マフラー、触媒担体、製鉄所、ボイラの熱交換部材または燃焼ノズル、自動車用マフラー、ターボチャージャーローターなどが挙げられる。
第1図は、この発明の実施例1の結果を示す略線図である。
第2図は、この発明の実施例2の結果を示す略線図である。
第3図は、この発明の実施例3の結果を示す略線図である。
第4図は、この発明の実施例4の結果を示す略線図である。
第5図は、この発明の実施例5の結果を示す略線図である。
第6図は、この発明の実施例6の結果を示す略線図である。
第7図は、この発明の実施例7の結果を示す略線図である。
第8図Aおよび第8図Bは、この発明の実施例8の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第9図Aおよび第9図Bは、この発明の実施例9の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第10図Aおよび第10図Bは、この発明の実施例10の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第11図Aおよび第11図Bは、この発明の実施例11の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第12図Aおよび第12図Bは、この発明の実施例11の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第13図Aおよび第13図Bは、この発明の実施例12の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第14図Aおよび第14図Bは、この発明の実施例12の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第15図Aおよび第15図Bは、この発明の実施例12の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第16図Aおよび第16図Bは、この発明の実施例13の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第17図Aおよび第17図Bは、この発明の実施例13の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第18図Aおよび第18図Bは、この発明の実施例13の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第19図Aおよび第19図Bは、この発明の実施例14の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第20図Aおよび第20図Bは、この発明の実施例14の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第21図Aおよび第21図Bは、この発明の実施例15の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第22図Aおよび第22図Bは、この発明の実施例15の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第23図Aおよび第23図Bは、この発明の実施例16の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第24図Aおよび第24図Bは、この発明の実施例17の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第25図Aおよび第25図Bは、この発明の実施例19の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第26図Aおよび第26図Bは、この発明の実施例20の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第27図Aおよび第27図Bは、この発明の実施例21の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第28図Aおよび第28図Bは、この発明の実施例22の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第29図Aおよび第29図Bは、この発明の実施例23の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第30図Aおよび第30図Bは、この発明の実施例24の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第31図Aおよび第31図Bは、この発明の実施例25の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第32図Aおよび第32図Bは、この発明の実施例26の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第33図Aおよび第33図Bは、この発明の実施例27の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第34図Aおよび第34図Bは、この発明の実施例28の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第35図Aおよび第35図Bは、この発明の実施例29の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第36図Aおよび第36図Bは、この発明の実施例30の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第37図Aおよび第37図Bは、この発明の実施例31の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
第38図Aおよび第38図Bは、この発明の実施例32の結果を示す走査型電子顕微鏡写真および略線図である。
以下、この発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
この一実施形態による耐酸化性合金皮膜は次のようにして製造される。
まず、表面に耐酸化性合金皮膜を形成しようとする金属基材を金属酸化物と活性金属と触媒化合物とを含む拡散浸透処理剤に埋設する。具体的には、例えば、形成すべき耐酸化性合金皮膜に応じて秤量された粉末状の金属酸化物と活性金属と触媒化合物とを均一に混合して拡散浸透処理剤を作製し、所定の容器、例えば坩堝内に金属基材とこの拡散浸透処理剤とを入れた後、坩堝に蓋をする。
次に、この坩堝を所定の反応容器内に入れ、例えば不活性ガス(アルゴン(Ar)ガスなどの希ガスや窒素ガスなど)または水素ガスの雰囲気中において、所定の温度、例えば触媒化合物の熱分解温度または昇華温度以上の温度で金属基材の融点よりも低い温度に加熱して加熱処理を行う。この加熱処理によって、金属酸化物がこの金属酸化物を構成する金属の蒸気源となってこの金属はハロゲン化合物として蒸発するとともに、活性金属もハロゲン化合物として蒸発し、これらの金属が金属基材の表面に析出し、この金属基材を構成する金属と合金化することで、金属酸化物を構成する金属と活性金属と金属基材を構成する金属とを含む耐酸化性合金皮膜が形成される。
金属基材は、例えば、Ni、Ni基合金、Ni基耐熱合金、Ni基超合金、Ni基単結晶超合金、耐熱鋼、Fe基耐熱合金、Co基耐熱合金などである。金属酸化物は、例えば、Al、CrおよびSiOからなる群より選ばれた少なくとも一種の酸化物である。活性金属は、例えば、Hf、Zr、Y、Ti、La、Ce、MgおよびCaからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属である。触媒化合物は、例えば、ハロゲン化合物、具体的にはNHCl、NHF、HCl、NaClおよびNaFからなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物である。
金属基材としてNiを用いる場合、得られる耐酸化性合金皮膜は、例えば、γ−Ni相とγ’−NiAl相とβ−NiAl相とδ−NiAl相とからなる群より選ばれた少なくとも一相から構成されており、γ−Ni相は0.005原子%<(Hf+Zr+Y+Ti+Mg)<1原子%と5原子%<Al<15原子%とを含み、γ’−NiAl相は0.005原子%<(Hf+Zr+Y+Ti+Mg)<10原子%と16原子%<Al<27原子%とを含み、β−NiAl相は0.005原子%<(Hf+Zr+Y+Ti+Mg)<30原子%と30原子%<Al<58原子%とを含み、δ−NiAl相は0.005原子%<(Hf+Zr+Y+Ti+Mg)<3原子%と59原子%<Al<62原子%とを含む。なお、(Hf+Zr+Y+Ti+Mg)は、Hf、Zr、Y、TiおよびMgからなる群より選ばれた一種または二種以上の金属の合計を意味する。ここで、上記の(Hf+Zr+Y+Ti+Mg)の濃度の下限値0.005原子%は微小部元素分析装置(EPMA;Electron−Probe Micro Analyzer)の検出限界である。金属基材がNi基合金、Ni基耐熱合金、Ni基超合金、Ni基単結晶超合金、耐熱鋼、Fe基耐熱合金、Co基耐熱合金、などのNiおよびCrを含む合金である場合、典型的には、γ−Ni相は0.1〜45原子%Cr、γ’−NiAl相は0.1〜7原子%Cr、β−NiAl相は0.1〜10原子%Cr、δ−NiAl相は0.1〜5原子%Crを、さらに含む。さらに、これらのγ−Ni相、γ’−NiAl相、β−NiAl相およびδ−NiAl相は、金属基材および環境からの元素の移行によって、V、Nb、W、Mo、Ta、Pt、Ir、Ru、Co、Fe、MnおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を0.01〜15原子%さらに含むこともある。
この一実施形態によれば、拡散浸透処理により、保護的酸化物スケールを形成することができる金属としてのAl、CrおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属と、この保護的酸化物スケールの密着性を改善する活性金属としてのHf、Zr、Y、Ti、La、Ce、MgおよびCaからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属とを含む耐酸化性合金皮膜を簡便なプロセスにより低コストかつ高生産性で製造することができる。また、これらの活性金属は耐酸化性合金皮膜を構成する特定の相に添加することができる。この場合、保護的酸化物スケールを形成することができる金属は金属酸化物から供給されるため、この金属の供給源としてこの金属の単体または合金を使用する必要がない。例えば、Al拡散コーティングにより耐酸化性合金皮膜を製造する場合、従来のパックセメンテーション法のように、AlまたはAl含有合金をAl源として使用する必要はない。
この一実施形態による耐酸化性合金皮膜は、各種の金属基材の表面に直接形成することもできるし、金属基材の表面に金属のめっきやオーバレコイコーティングなどを施した後にその表面に形成することもできる。例えば、Al拡散コーティングによるAlを含む耐酸化性合金皮膜は、各種の金属基材の表面に直接形成することもできるし、その金属基材の表面にNiめっき、Ni−Al系あるいはNiCoCrAlY系のオーバレイコーティングを施した後にその表面に形成することもできる。この場合もまた、耐酸化性合金皮膜を構成する相、例えばNiを含む金属基材やこの金属基材の表面にNiめっきを施す場合には上記のγ−Ni相、γ’−NiAl相、β−NiAl相、δ−NiAl相などに上記の特有の活性金属を含ませることができる。
また、この一実施形態によれば、二種類以上の活性金属を複合含有させたパック剤と金属酸化物と触媒化合物とを含む拡散浸透処理剤を用いることにより、これらの活性金属がそれぞれ単独の場合には困難であった同時添加が可能となる。例えば、HfおよびZrの両者を複合含有させた(Hf+Zr)パック剤(AlとNHClとを含む)を用いると、Zr単独のパック剤(AlとNHClとを含む)ではアルミナイズド層にZrを添加することは難しいが、ZrとHfとを同時に添加することが可能となる。
また、この一実施形態によれば、触媒化合物としてNaClを含有させたパック剤と活性金属と金属酸化物とを含む拡散浸透処理剤を用いることにより、高温(例えば、1200〜1300℃)での浸透処理が可能となる。例えば、NHClを触媒化合物とするパック剤では、高温ではNHClの分解(NHCl→NH+HCl)が急速に進行するため、浸透処理量を適正に制御することが困難であるが、NaClは高温で昇華してガス体として移動し、低昇華圧であることから、浸透処理がゆっくりと進行するため、容易に浸透量を制御することができる、という特徴を有する。
また、例えば、Ni、Ni基合金、Ni基超合金、Ni基単結晶超合金などからなる金属基材にこの一実施形態による拡散コーティングを適用すると、Ni−Cr−Al系のγ−Ni相、γ’−NiAl相、β−NiAl相およびδ−NiAl相が形成されるが、これらの各相に含まれるHfの濃度を上述の濃度範囲に制御することができる。
また、上記の各種のニッケルアルミナイド相を耐酸化性合金皮膜の特定の位置に形成することによって、例えば、耐酸化性合金皮膜の内層にγ’−NiAl相、外層にβ−NiAl相を形成することによって、内層のγ’−NiAl相はHfのリザバーとして作用する。
この一実施形態による耐酸化性合金皮膜は、耐高温酸化性および耐高温腐食性に優れ、かつ、耐酸化性合金皮膜に対する密着性に優れた保護的酸化物スケールを形成することができることによって、長期間に亘って耐酸化性合金皮膜の耐酸化性能を維持することができる。
この効果を一例に則して具体的に説明すると次のとおりである。
例えば、Ni基超合金からなる金属基材の表面にこの一実施形態による方法によりAlおよびHfの同時拡散浸透処理を施して耐酸化性合金皮膜を形成すると、Ni基超合金を構成するγ相およびγ’相に含まれるHf、さらに、新しく形成した拡散層を構成するγ−Ni相、γ’−NiAl相、β−NiAl相およびδ−NiAl相の各相に含まれるHfの濃度をそれぞれ上述の濃度範囲に制御することができる。
そして、こうして耐酸化性合金皮膜が形成された金属基材を高温の酸化性および腐食性環境下に置くと、Hfは酸化により耐酸化性合金皮膜から消耗するが、Hfはリザバーとして機能するγ’−NiAl相からβ−NiAl相またはγ−Ni相に継続的に供給されるため、Hfの効果、すなわちAlの酸化により形成される保護的Alスケールの耐酸化性合金皮膜に対する密着性の向上の効果を長時間に亘って維持することができ、この保護的Alスケールが耐酸化性合金皮膜から剥離するのを防止することができる。
この一実施形態による耐酸化性合金皮膜を金属基材の表面に設けることにより、優れた耐熱性金属部材を得ることができる。この耐熱性金属部材は、例えば、この耐酸化性合金皮膜を形成したジェットエンジンおよびガスタービンの部材、動翼および静翼、燃焼器およびボイラの熱交換部材、燃焼ノズル、自動車の排ガス浄化マフラー、ターボチャージャーローターなどである。
実施例について説明する。
以下の実施例で用いる拡散浸透処理剤(パック剤)の作製方法および耐酸化性合金皮膜の製造プロセスの詳細を以下に示す。
パック剤は以下のようにして作製した。
試薬級のNHCl粉末、Al粉末、Hf金属粉末(純度98重量%、不純物としてZr2重量%含有する。)を所定量秤量して、乳鉢で攪拌混合した。これらの粉末の配合割合は、Hfは(0.01〜10)重量%、NHClは(1〜10)重量%、残りがAlである。
Alの代わりにCr、SiOなどを用いる場合も同様にしてパック剤を作製することができる。
Hfの代わりにZr、Y、Ti、Mg、Caなどを用いる場合も同様にしてパック剤を作製することができる。
NHClの代わりにNaCl、NHF、HCl、NaFなどを用いる場合も同様にしてパック剤を作製することができる。
アルミナ坩堝に金属基材(試験片)と上述のようにして作製されたパック剤とを充填し、上部にアルミナ製の蓋を載せた。
こうして金属基材とパック剤とを充填したアルミナ坩堝を横型反応管内に挿入し、室温でまず真空に排気後、Arガスを導入する操作を数回繰り返し、その後Arガス雰囲気で所定の温度まで加熱した。加熱速度は10℃/分である。冷却は炉冷である。加熱時の雰囲気はArガスとし、温度は700〜1340℃、時間は1分〜25時間とした。
こうして加熱処理を行った試料の分析を行った。エレメントアナライザーによる試料の表層の濃度分析によると、X線の浸透深さから、濃度は表面から5〜10μm深さの平均値であると考えられる。
第1の例によるパック剤の基本組成は、活性金属:5重量%、NHCl:5重量%、残:Alである。パック剤として、Hfパック、Zrパック、Yパック、Tiパック、(Hf+Zr)パックおよび(Hf+Y)パックを用いた。
第2の例によるパック剤の基本組成は、活性金属:5重量%、NHCl:5重量%、残:Crである。パック剤として、Hf(Cr)パックを用いた。
第3の例によるパック剤の基本組成は、活性金属:5重量%、NHCl:5重量%、残:SiOである。パック剤として、Hf(SiO)パックを用いた。
金属基材としてはNi、Ni基耐熱合金(ハステロイ−X、ハステロイ−C(「ハステロイ」は登録商標)、INCONEL−625(「INCONEL」は登録商標))、Fe基合金(ステンレス鋼、SUS304)、Ni基超合金Rene’80(「Rene」は登録商標))およびNi基単結晶超合金(CMSX−4(「CMSX」は登録商標)、TMS−82+(「TMS」は登録商標))を使用した。ハステロイ−X、ハステロイ−C、INCONEL−625、SUS304、Rene’80、CMSX−4およびTMS−82+の組成は下記の表1に示すとおりである。
金属基材としてNi板、活性金属としてHfを用い、加熱時間を1時間とし、加熱温度依存性を調べた。
結果を第1図に示す。
第1図から分かるように、重量増加ΔWは700℃の0.2mg/cmから1200℃の8mg/cmに、Al濃度CAlは700℃の34原子%から1200℃の58原子%に、Hf濃度CHfは700℃の0.07原子%から1000℃の1.3原子%に増大した。
なお、1200℃では表面は溶解している可能性が高く、CHfの値は除外した。
金属基材としてNi板、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間とし、Hf含有量依存性を調べた。
結果を第2図に示す。
第2図から分かるように、Al濃度CAlはHf含有量が0.1重量%Hfのときの0.1原子%以下から5重量%Hfの約47原子%に増大し、10重量%Hfでは54原子%になる。
Hf濃度CHfはHf含有量が0.1重量%Hfの0.2原子%から徐々に増大し、10重量%Hfの約4.6原子%になる。
金属基材としてNi板、活性金属としてZrまたはY(各5重量%)を用い、加熱時間を1時間とし、加熱温度依存性を調べた。
結果を第3図に示す。
第3図から分かるように、Zrパックでは、Zr濃度CZr(Zr)は温度の上昇とともに、700℃の0.22原子%から1000℃の1.5原子%に増大する。しかし、Al濃度CAl(Zr)は0.01〜0.1原子%と無視できる量である。Yパックでは、Y濃度C(Y)は800〜1000℃の間で、0.3〜0.4原子%の範囲にある。しかし、Al濃度CAl(Y)は、800℃の30原子%から1000℃の55原子%に増大する。
以上の結果から、ZrとYとは逆の結果となる。
金属基材としてNi板、活性金属としてHf、ZrまたはY(各5重量%)を用い、加熱温度を800℃とし、加熱時間依存性(1〜25時間)を調べた。
結果を第4図に示す。
第4図から分かるように、Hfパックでは、重量増加(ΔW:Hf)は、1時間の1mg/cmから25時間の約4mg/cmに、時間の平方根に比例して増大する。Yパックでは、重量増加(ΔW:Y)は、1時間の0.2mg/cmから25時間の約3.3mg/cmに、時間の平方根に比例して増大する。Zrパックでは、重量増加(ΔW:Zr)は、1時間の0.1mg/cmから25時間の0.2mg/cmまで、殆ど増加しない。
HfおよびZrの複合添加(5重量%Hf+5重量%Zr)を行う(Hf+Zr)パックでは、重量増加(ΔW:Hf+Zr)は、9時間の1.7mg/cmから25時間の2.9mg/cmまで、増大する。Hfパックに比較して、全体の重量増加は少ない。
金属基材としてNi板、活性金属としてHf、ZrまたはY(各5重量%)を用い、加熱温度を800℃とし、加熱時間依存性(1〜25時間)を調べた。
結果を第5図に示す。
第5図から分かるように、Hfパックでは、Al濃度CAl(Hf)は、1時間の42原子%から25時間の約63原子%に増大する。Yパックでは、Al濃度CAl(Y)は、1時間の30原子%から9時間の約54原子%に増大し、25時間で若干低下するが、ほぼ一定となる。Zrパックでは、Al濃度CAl(Zr)は、1時間では検出限界であるが、9時間で約7原子%が同定され、25時間では再び無視できる量に低下した。HfおよびZrの複合添加(5重量%Hf+5重量%Zr)を行う(Hf+Zr)パックでは、Al濃度CAl(Hf+Zr)は、9時間では約53原子%であり、25時間では57原子%である。Hf単独添加に比較して、Al濃度は若干低いが、ほぼ同じである。
金属基材としてNi板、活性金属としてHf、ZrまたはY(各5重量%)を用い、加熱温度を800℃とし、加熱時間依存性(1〜25時間)を調べた。
結果を第6図に示す。
第6図から分かるように、Hfパックでは、Hf濃度CHfは、1時間の0.28原子%から25時間の0.36原子%まで、ほぼ一定である。Yパックでは、Y濃度Cは、1時間の0.4原子%から9時間の0.86原子%に増大し、25時間では約0.4原子%に低下した。Zrパックでは、Zr濃度CZrは、1時間では0.6原子%であるが、9時間で0.45原子%に低下した後、25時間では0.8原子%に増大している。HfおよびZrの複合添加(5重量%Hf+5重量%Zr)を行う(Hf+Zr)パックでは、Hf濃度CHf(Hf+Zr)は、9〜25時間の間、0.15原子%で一定であり、Zr濃度CZr(Hf+Zr)は、9時間の0.3原子%から25時間の0.7原子%に増大する。Hf(単独)パックまたはZr(単独)パックに比較して、いずれも若干低下する。
金属基材としてNi板上に厚さ30μmNiめっきをしたもの、活性金属として(Hf+Zr)パックを用い、Al粉末の添加量を0.45g(パック剤全体の質量は23g)とし、加熱処理の条件を800℃、9時間とし、Hf含有量依存性(0.01〜5重量%)を調べた。
結果を第7図に示す。
第7図から分かるように、重量増加ΔWは、Hf含有量が0.1重量%のとき7.6mg/cmとなり、Hf含有量の増大とともに低下し、2重量%Hfでは約3mg/cmとなり、その後、5重量%Hfまでほぼ一定である。Al濃度CAlは、上記重量増加のHf含有量依存性と類似しており、Hf含有量が0.1重量%のとき53原子%となり、Hf含有量の増大とともに低下し、2重量%Hfでは約45原子%となり、その後、5重量%Hfまでほぼ一定である。Hf濃度CHfは、Hf含有量が0.1重量%および1重量%のとき検出限界であるが、Hf含有量の増大とともに増大し、5重量%Hfでは2.1原子%となった。
Hf(単独)パックとの比較(5重量%Hfでの結果)
Hf濃度は、Hfパックでは0.4原子%であるのに対して、(Hf+Zr)パックでは2.1原子%に著しく増大する。Al濃度は、Hf(単独)パックでは54原子%であるのに対して、(Hf+Zr)パックで46原子%に低下する。この結果は、HfとZrの複合添加によって、Hf単独パックとは異なる濃度にAl濃度とHf濃度とを制御できることを意味しており、大変重要な結果である。
金属基材としてNi板、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真(走査型電子顕微鏡写真、以下同様)を第8図Aに、EPMA分析の結果を第8図Bに示す。
第8図Bから分かるように、Al濃度については、表面は約42原子%であり、深さ約10μmで36原子%となり、そこでAl濃度は28原子%に低下した後、15μmのところで20原子%となり、13原子%から徐々に内部に向かってAl濃度は低下している。全体の深さは18μmである。
試料は表面から、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相、γ−Ni(Al)相、となっている。なお、β−NiAl相のAl濃度範囲は50原子%を挟んで存在することから、50原子%以下をAlプアーβ−NiAl相、50原子%以上をAlリッチβ−NiAl相と表記する。
Hf濃度については、表面濃度は18原子%であり、約5μmの深さに徐々に低下し、0.3原子%になった後、8〜12μmの深さで再び増加し、Hf濃度は0.8〜1.7原子%を示す。
試料の外側のHfは、第8図Aで明るく見えるところに存在し、Al−Ni−Hf化合物を形成している。試料の内側のHfは、第8図Aで少し明るく見えるところ(矢印)で、Alプアーβ−NiAl相からγ’−NiAl相のところに対応する。
金属基材としてNi板、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を800℃、9時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第9図Aに、EPMA分析の結果を第9図Bに示す。
第9図Bから分かるように、Al濃度については、表面は約50原子%であり、深さ約4μmで30〜28原子%となり、その後徐々に低下し、深さ11μmのところで20原子%となった後、急激に低下する。
試料は表面から、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相、γ−Ni(Al)相、となっている。
Hf濃度については、表面濃度は約7μmの深さまでは検出限界であるが、7〜9μmの深さで増加し、Hf濃度は約1.6原子%を示す。
試料の内側のHfは、第9図Aで少し明るく見えるところ(矢印)で、γ’−NiAl相の内部に対応する。
Zr濃度については、Hfと同様の分布を示すが、矢印で示した部分で約0.1原子%Zrを示す。なお、ZrはHfに含まれる不純物で2重量%含まれている。
金属基材としてNi板上に厚さ30μmNiめっきをしたもの、活性金属として(Hf+Al)パックを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第10図Aに、EPMA分析の結果を第10図Bに示す。
第10図Bから分かるように、Al濃度については、表面は約58原子%であり、深さ約6μmで50原子%となり、そこでAl濃度は25原子%に低下した後、16μmのところで22原子%となり、12原子%から徐々にNi内部に向かってAl濃度は低下している。全体の深さは18μmである。
試料は表面から、Alリッチβ−NiAl相、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相、γ−Ni(Al)相、となっている。
Hf濃度については、表面濃度は13原子%を有し、約1μmの深さに徐々に低下し、0.1原子%以下になった後、8〜12μmの深さで再び増加し、Hf濃度は約5原子%を示す。
試料の外側のHfは、第10図Aで明るく見えるところに存在し、Al−Ni−Hf化合物を形成している。試料の内側のHfは、第10図Aで少し明るく見えるところ(矢印)で、Alプアーβ−NiAl相に隣接したγ’−NiAl相の中に存在する。
Zr濃度については、Hfと同様の分布を示すが、矢印で示した部分で約0.2原子%を示す。なお、ZrはHfに含まれる不純物で2重量%含まれている。
金属基材としてNi板上に厚さ30μmNiめっきをしたもの、活性金属として(Hf+Al)パックを用い、加熱処理の条件を800℃、9時間、Ar雰囲気とした。
Hf含有量が1重量%の場合の試料の断面写真を第11図Aに、EPMA分析の結果を第11図Bに示す。また、Hf含有量が0.2重量%の場合の試料の断面写真を第12図Aに、EPMA分析の結果を第12図Bに示す。
第11図Bおよび第12図Bから分かるように、Al濃度については、表面は約60原子%であり、深さ約20μmで50原子%となり、そこでAl濃度は28原子%に低下した後、31μmのところで22原子%となり、8原子%Alから徐々にNi内部に向かってAl濃度は低下している。全体の深さは38μmである。
試料は表面から、δ−NiAl相、Alリッチβ−NiAl相、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相、γ−Ni(Al)相、となっている。
Hf濃度については、コーティング層全体に亘って、検出限界以下である。
高Al濃度のδ−NiAl相およびAlリッチβ−NiAl相が形成されると、Hfの侵入は困難になる。この事実は非常に重要な結果である。
金属基材としてNi板、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を800℃、1、9、25時間、Ar雰囲気とした。
Hf(5重量%)パックを用い、Ni板を800℃で1時間熱処理した場合の試料の断面写真を第13図Aに、EPMA分析の結果を第13図Bに示す。また、Hf(5重量%)パックを用い、Ni板を800℃で9時間熱処理した場合の試料の断面写真を第14図Aに、EPMA分析の結果を第14図Bに示す。また、Hf(5重量%)パックを用い、Ni板を800℃で25時間熱処理した場合の試料の断面写真を第15図Aに、EPMA分析の結果を第15図Bに示す。
これらの試料のコーティング層の厚さは、熱処理時間が1時間の試料では8μm、9時間の試料では12μm、25時間の試料では19μmである。コーティング層の外側はAlプアーβ−NiAl相、内側はγ’−NiAl相とγ−Ni(Al)相である。Al濃度については、表面は約50原子%であり、約30原子%に低下した後、徐々に低下し、22原子%となり、その後Al濃度は低下している。
試料の表面から、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相で、γ−Ni(Al)相の厚さは非常に薄い。
Hfは、コーティング層のγ’−NiAlの内部(矢印)に存在し、その濃度は熱処理時間1時間では0.8原子%、9時間では1.6原子%、25時間では0.9原子%である。
Zr濃度については、Hfと同様の分布を示すが、矢印で示した部分で約0.1原子%を示す。なお、ZrはHfに含まれる不純物で2重量%含まれている。
HfとZrはγ’−NiAl相の内部に存在することは非常に重要な結果である。
金属基材としてNi板、活性金属としてZrを用い、加熱処理の条件を800℃、1、9、25時間、Ar雰囲気とした。
Zr(5重量%)パックを用い、Ni板を800℃で1時間熱処理した場合の試料の断面写真を第16図Aに、EPMA分析の結果を第16図Bに示す。また、Zr(5重量%)パックを用い、Ni板を800℃で9時間熱処理した場合の試料の断面写真を第17図Aに、EPMA分析の結果を第17図Bに示す。また、Zr(5重量%)パックを用い、Ni板を800℃で25時間熱処理した場合の試料の断面写真を第18図Aに、EPMA分析の結果を第18図Bに示す。
これらの試料のコーティング層の厚さはいずれの熱処理時間においても薄く、コーティング層のAl濃度とZr濃度も低い。
Zrパックでは、アルミナイドコーティングは可能であるが、よい結果は得られない。
金属基材としてNi板、活性金属として(Hf+Zr)パックを用い、加熱処理の条件を800℃、9、25時間、Ar雰囲気とした。
(Hf+Zr)パック(5重量%Hf+5重量%Zr)を用い、Ni板を800℃で9時間熱処理した場合の試料の断面写真を第19図Aに、EPMA分析の結果を第19図Bに示す。また、(Hf+Zr)パック(5重量%Hf+5重量%Zr)を用い、Ni板を800℃で25時間熱処理した場合の試料の断面写真を第20図Aに、EPMA分析の結果を第20図Bに示す。
第19図Bおよび第20図Bから分かるように、Al濃度については、表面の約50原子%から28原子%になり、その後ほぼ一定を保持した後、再び急激に低下する。
試料の表面から、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相、γ−Ni(Al)相となっている。
Zr濃度については、9時間では、γ’−NiAl相の内部(矢印)にZrは濃化し、2.5原子%となり、25時間では、Zrは表面と内部(矢印)にそれぞれ濃縮し表面のZr濃度は約3.2原子%であり、内部のZr濃度は2.2原子%となっている。Hf濃度については、HfはZrと同じ挙動をとるが、内部の矢印におけるHf濃度は0.4原子%である。
Zr(単独)パックでは、Zrの添加は困難であり、一方、Hf(単独)パックでは、Hfは添加された。Hf+Zrの複合パックでは、しかしながら、HfよりもZrが添加された。これは非常に重要な結果である。
金属基材としてNi板、活性金属としてYを用い、加熱処理の条件を800℃、9、25時間、Ar雰囲気とした。
Y(5重量%)パックを用い、Ni板を800℃で9時間熱処理した場合の試料の断面写真を第21図Aに、EPMA分析の結果を第21図Bに示す。また、Y(5重量%)パックを用い、Ni板を800℃で25時間熱処理した場合の試料の断面写真を第22図Aに、EPMA分析の結果を第22図Bに示す。
これらの試料のコーティング層の厚さは熱処理時間が長くなるほど厚くなり、9時間の9.5μmから25時間の18μmに成長する。
表面のAl濃度は、熱処理時間が長くなるほど高くなり、9時間の42原子%から25時間の約52原子%に増大する。
熱処理時間が9時間の試料では、表面から、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相、γ−Ni(Al)相となっている。
熱処理時間が25時間の試料では、表面から、Alリッチβ−NiAl相、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相、γ−Ni(Al)相となっている。
Y濃度については、第21図Bの矢印で示すように、γ’−NiAl相の内部に0.06原子%の濃度が観察される。しかし、第22図Bに示したように、表面にAlリッチβ−NiAl相が形成されるとき、コーティング層全体に亘って、Y濃度は検出限界であった。
金属基材としてNi板、活性金属として(Hf+Y)パックを用い、加熱処理の条件を800℃、9時間、Ar雰囲気とした。
(Hf+Y)パック(5重量%Hf+5重量%Y)を用い、Ni板を800℃で9時間熱処理した場合の試料の断面写真を第23図Aに、EPMA分析の結果を第23図Bに示す。
第23図Bから分かるように、Al濃度については、30〜20原子%であり、コーティング層の主体はγ’−NiAlであった。
Hf濃度については、γ’−NiAlの内部(矢印)に6原子%であった。
γ’−NiAl内部(矢印)のHfと同じ場所に0.12原子%Yと0.1原子%Zrとが含まれている。なお、ZrはHf粉末に不純物として2重量%含まれている。
YはY(単独)パックではコーティング層に添加することは困難であったが、Hf+Yの複合パックではYは添加された。これは非常に重要な結果である。
金属基材としてNi板、パック剤としてTi+NHCl+Alを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第24図Aに、EPMA分析の結果を第24図Bに示す。
第24図Bから分かるように、コーティング層はNiAlTiとTiを含有するγ’−NiAl相とγ−Ni(Al)相とで構成されている。
この場合には以下のような形成機構が提案される。
すなわち、NHCl=NH+HClの反応により生成したHClがTiと反応し、Ti+4HCl=TiCl+2Hの反応式に従ってTiClを生成する。このTiClはAlと反応し、TiOおよびAlClを生成する。すなわち、3TiCl+2Al=3TiO+4AlClである。これらのTiClおよびAlClはガス体として移動し、金属基材の表面でTiとAlとを析出し、Tiを含むアルミナイズド層を形成する。
金属基材としてNi板、パック剤として、表2および表3に示すように、活性金属としてHf、Ti、Zr、Yのいずれか1つと酸化物としてCrまたはSiO、活性化剤としてNHClを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の表面をエレメントアナライザーで測定したNi、Al、Cr、Si、Hf、Zr、Y、Tiの分析の結果を表2および表3にまとめて示す。
表2から分かるように、Hf(Cr)パックでは、Cr濃度は21.78原子%であり、Hf濃度は0.23原子%である。Ti(Cr)パックでは、Cr濃度は36.12原子%であり、Ti濃度は0.24原子%である。Zr(Cr)パックでは、Cr濃度は31.35原子%であり、Zr濃度は0.09原子%である。Y(Cr)パックでは、Cr濃度は17.40原子%であり、Y濃度は0.25原子%である。
この場合には以下のような形成機構が提案される。
すなわち、NHCl=NH+HClの反応により生成したHClが活性金属(M=Hf、Ti、Zr)と反応し、M+4HCl=MCl+2Hの反応式に従ってMClを生成する。このMClはCrと反応し、MOおよびCrClを生成する。すなわち、3MCl+2Cr=3MO+4CrClである。これらのMClおよびCrClはガス体として移動し、金属基材の表面でMとCrとを析出し、Mを含むクロマイズド層を形成する。なお、活性金属がYのとき、YはYとYClを形成することを除くと、上記の形成機構が適用できる。
表3から分かるように、Hf(SiO)パックでは、Si濃度は73.37原子%であり、Hf濃度は3.17原子%である。Ti(SiO)パックでは、Si濃度は64.23原子%であり、Ti濃度は12.74原子%である。Zr(SiO)パックでは、Si濃度は67.35原子%であり、Zr濃度は6.42原子%である。Y(SiO)パックでは、Si濃度は65.13原子%であり、Y濃度は8.41原子%である。
この場合には以下のような形成機構が提案される。
すなわち、NHCl=NH+HClの反応により生成したHClが活性金属(M=Hf、Ti、Zr)と反応し、M+4HCl=MCl+2Hの反応式に従ってMClを生成する。このMClはSiOと反応し、MOおよびSiClを生成する。すなわち、MCl+SiO=MO+SiClである。これらのMClおよびSiClはガス体として移動し、金属基材の表面でMとAlとを析出し、Mを含むシリコナイズド層を形成する。なお、活性金属がYのとき、YはYとYClを形成することを除くと、上記の形成機構が適用できる。
金属基材としてCMSX−4の板、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第25図Aに、EPMA分析の結果を第25図Bに示す。
第25図Bから分かるように、Al濃度については、表面は約52原子%であり、深さ約5μmで30原子%となり、そこでAl濃度は18原子%に低下した後、徐々に内部に向かってAl濃度は低下している。
Hf濃度については、表面は約29原子%であり、深さ約2μmで13原子%に低下した後、徐々に低下する。
Zr濃度は、表面濃度は3.3原子%であり、内部に向かって、Hfの濃度とほぼ類似の分布を示す。なお、検出されたZrはHf粉末に不純物として2重量%含まれている。
コーティング層については、多元系で複雑であることから、現在、不明な点が残されているが、Al−Hf−Ni化合物、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相およびそれらの混合相から構成されていると考えられる。
金属基材としてCMSX−4の板上に厚さ30μmNiめっきをしたもの、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第26図Aに、EPMA分析の結果を第26図Bに示す。
第26図Bから分かるように、Al濃度については、表面は46原子%であり、深さ約8μmで24原子%となり、そこでAl濃度は18原子%に低下した後、12μmのところで35原子%となり、その後25原子%に低下した後、徐々に内部に向かってAl濃度は低下している。
試料は表面から、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相、となっている。
Hf濃度については、Alプアーβ−NiAl相では検出限界であるが、γ’−NiAl相(矢印)では約0.9原子%が存在している。このコーティング層の内部にHfが存在する事実は非常に重要な結果である。
金属基材としてTMS−82+の板、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第27図Aに、EPMA分析の結果を第27図Bに示す。
第27図Bから分かるように、Al濃度については、表面は約54原子%であり、深さ約3.5μmで35原子%に低下した後、徐々に内部に向かってAl濃度は低下している。全体の深さは5μmである。
Hf濃度については、表面は約28原子%であり、深さ約3μmで2.5原子%となり、5μmのところで検出限界以下になる。
Zr濃度は、表面濃度は2.5原子%であり、内部に向かって、Hfの濃度とほぼ類似の分布を示す。なお、検出されたZrはHf粉末に不純物として2重量%含まれている。
コーティング層については、多元系で複雑であることから、現在、不明な点が残されているが、Al−Hf−Ni化合物、Alプアーβ−NiAl相およびそれらの混合相から構成されていると考えられる。
金属基材としてTMS−82+の板上に厚さ30μmNiめっきをしたもの、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第28図Aに、EPMA分析の結果を第28図Bに示す。
第28図Bから分かるように、Al濃度については、表面は48原子%であり、深さ約6μmで35原子%となり、そこでAl濃度は27原子%に低下した後、11μmのところで20原子%となり、その後急激にAl濃度は低下している。コーティング層の厚さは約13μmである。
試料は表面から、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相、となっている。
Hf濃度については、Alプアーβ−NiAl相では検出限界であるが、γ’−NiAl相(矢印)では2.2原子%Hfが存在する。このコーティング層の内部にHfが存在する事実は非常に重要な結果である。
金属基材としてRene’80の板、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第29図Aに、EPMA分析の結果を第29図Bに示す。
第29図Bから分かるように、Al濃度については、表面は約37原子%であり、深さ約4.5μmで30原子%に低下し、その後徐々に内部に向かってAl濃度は低下している。全体の深さは約9μmである。
Hf濃度については、表面は約14原子%であり、深さ約3μmで9原子%となり、そこでHf濃度は約1原子%に低下した後、検出限界まで低下した。
Zr濃度は、表面濃度は1.7原子%であり、内部に向かって、Hfの濃度とほぼ類似の分布を示す。なお、検出されたZrはHf粉末に不純物として2重量%含まれている。
コーティング層については、多元系で複雑であることから、現在、不明な点が残されているが、Hfを含有するAlプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相およびそれらの混合相から構成されていると考えられる。
金属基材としてRene’80の板上に厚さ30μmNiめっきをしたもの、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第30図Aに、EPMA分析の結果を第30図Bに示す。
第30図Bから分かるように、Al濃度については、表面は21原子%であり、深さ約9μmで18原子%に低下した後、急激にAl濃度は低下している。コーティング層の厚さは約11μmである。
試料は表面から、γ’−NiAl相となっている。
Hf濃度については、コーティング層表面から6μmの深さに亘って0.2〜0.3原子%であり、その後、Hf濃度は検出限界である。
金属基材としてハステロイ−Xの板、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第31図Aに、EPMA分析の結果を第31図Bに示す。
第31図Bから分かるように、Al濃度については、表面は約50原子%であり、深さ約4μmで40原子%となり、そこでAl濃度は25原子%に低下した後、5μmのところで8原子%となり、その後徐々に内部に向かってAl濃度は低下している。全体の深さは8μmである。
Hf濃度については、表面は約28原子%であり、深さ約4μmで5原子%となり、そこでHf濃度は10原子%に増加した後、5μmのところで急激に低下する。
Zr濃度は、表面濃度は3.5原子%であり、内部に向かって、Hfの濃度とほぼ類似の分布を示す。なお、検出されたZrはHf粉末に不純物として2重量%含まれている。
コーティング層については、多元系で複雑であることから、現在、不明な点が残されているが、Al−Hf−Ni化合物、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相およびそれらの混合相から構成されていると考えられる。
高濃度のHf含有アルミナイド層が形成されることは大変重要な結果である。
金属基材としてハステロイ−Xの板上に厚さ30μmNiめっきをしたもの、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第32図Aに、EPMA分析の結果を第32図Bに示す。
第32図Bから分かるように、Al濃度については、表面は50原子%であり、深さ約9μmで38原子%となり、そこでAl濃度は27原子%に低下した後、11μmのところで10原子%となり、その後徐々に内部に向かってAl濃度は低下している。
試料は表面から、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相、となっている。
Hf濃度については、Alプアーβ−NiAl相内では検出限界であるが、γ’−NiAl相(矢印)では約1.6原子%Hfが存在している。この事実は非常に重要な結果である。
金属基材としてハステロイ−Cの板、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第33図Aに、EPMA分析の結果を第33図Bに示す。
第33図Bから分かるように、Al濃度については、表面は約40原子%であり、深さ約6μmで30原子%となり、そこでAl濃度は13原子%に低下した後、徐々に内部に向かってAl濃度は低下している。全体の深さは13μmである。
Hf濃度については、表面は約10原子%であり、深さ約6μmで8原子%となり、そこでHf濃度は0.8〜1.8原子%に増加した後、13μmのところで急激に低下する。
Zr濃度は、表面濃度は0.8原子%であり、内部に向かって、Hfの濃度とほぼ類似の分布を示す。なお、検出されたZrはHf粉末に不純物として2重量%含まれている。
コーティング層については、多元系で複雑であることから、現在、不明な点が残されているが、Hfを含有するAlプアーβ−NiAl相、γ−Ni(Al)相およびそれらの混合相から構成されていると考えられる。
高濃度のHf含有アルミナイド層が形成されることは大変重要な結果である。
金属基材としてハステロイ−Cの板上に厚さ30μmNiめっきをしたもの、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第34図Aに、EPMA分析の結果を第34図Bに示す。
第34図Bから分かるように、Al濃度については、表面は30〜37原子%であり、深さ約7μmで24原子%となり、そこでAl濃度は18原子%に低下した後、12μmのところで10原子%となり、その後徐々に内部に向かってAl濃度は低下している。コーティング層の厚さは約13μmである。
試料は表面から、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相、γ−Ni(Al)相、となっている。
Hf濃度については、Alプアーβ−NiAl相では1.3原子%を示した後直ぐに検出限界以下となるが、γ’−NiAl相(矢印)では約1.7原子%Hfが存在している。この事実は非常に重要な結果である。
金属基材としてINCONEL−625の板、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第35図Aに、EPMA分析の結果を第35図Bに示す。
第35図Bから分かるように、Al濃度については、表面は約38〜35原子%であり、深さ約4.5μmで10原子%に低下した後、徐々に内部に向かってAl濃度は低下している。全体の深さは10μmである。
Hf濃度については、表面は約10原子%であり、深さ約4.5μmで8原子%となり、そこでHf濃度は0.6原子%になり、10μmのところで検出限界以下になる。
Zr濃度は、表面濃度は0.8原子%であり、内部に向かって、Hfの濃度とほぼ類似の分布を示す。なお、検出されたZrはHf粉末に不純物として2重量%含まれている。
コーティング層については、多元系で複雑であることから、現在、不明な点が残されているが、Hfを含有するAlプアーβ−NiAl相、γ−Ni(Al)相およびそれらの混合相から構成されていると考えられる。
高濃度のHf含有アルミナイド層が形成されることは大変重要な結果である。
金属基材としてINCONEL−625の板上に厚さ30μmNiめっきをしたもの、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。 得られた試料の断面写真を第36図Aに、EPMA分析の結果を第36図Bに示す。
第36図Bから分かるように、Al濃度については、表面は50原子%であり、深さ約4μmで39原子%となり、そこでAl濃度は28原子%に低下した後、11μmのところで10原子%となり、その後急激にAl濃度は低下している。コーティング層の厚さは約11μmである。
試料は表面から、Alプアーβ−NiAl相、γ’−NiAl相、γ−Ni(Al)相、となっている。
Hf濃度については、Alプアーβ−NiAl相では検出限界以下であるが、γ’−NiAl相(矢印)では約1.5原子%Hfが存在している。この事実は非常に重要な結果である。
金属基材としてSUS304の板、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第37図Aに、EPMA分析の結果を第37図Bに示す。
第37図Bから分かるように、Al濃度については、表面は約47原子%であり、深さ約8μmで32原子%に低下し、その後8原子%に急減した後、徐々に内部に向かってAl濃度は低下している。全体の深さは15μmである。
Hf濃度については、表面は8〜16原子%であり、深さ約4μmで0.6原子%から0.2原子%に低下した後、2.3原子%に増大した後、再び、検出限界まで低下した。
Zr濃度は、表面濃度は1.2原子%であり、内部に向かって、Hfの濃度とほぼ類似の分布を示す。なお、検出されたZrはHf粉末に不純物として2重量%含まれている。
コーティング層については、多元系で複雑であることから、現在、不明な点が残されているが、Hfを含有するAlプアーβ−NiAl相、Fe(Cr,Al)相およびそれらの混合相から構成されていると考えられる。
高濃度のHf含有アルミナイド層が形成されることは大変重要な結果である。
金属基材としてSUS304の板上に厚さ30μmNiめっきをしたもの、活性金属としてHfを用い、加熱処理の条件を1000℃、1時間、Ar雰囲気とした。
得られた試料の断面写真を第38図Aに、EPMA分析の結果を第38図Bに示す。
第38図Bから分かるように、Al濃度については、表面は40原子%であり、深さ約6μmで12原子%に低下した後、22μmのところで7原子%となり、その後急激にAl濃度は低下している。コーティング層の厚さは約24μmである。
試料は表面から、Alプアーβ−NiAl相、Fe(Cr,Al)相となっている。
Hf濃度については、Alプアーβ−NiAl相の表面側では16〜8原子%Hfであるが、4μm以下では、検出限界以下である。このAlプアーβ−NiAl相とFe(Cr,Al)相との間(矢印)に、Hf濃度は最大2.2原子%を示し、Fe(Cr,Al)相では検出限界となっている。
高濃度のHfがアルミナイド層の内部に形成されることは大変重要な結果である。
金属基材としてNi板、パック剤として表4および表5に示すように、活性金属としてMg、Ca、Ti、Y、Zr、Hfのいずれか一つ、金属酸化物としてAl、触媒化合物としてNaClを含むものを用い、加熱処理の条件を1200℃、2時間、真空雰囲気とした。
得られた試料の表面をエレメントアナライザーで測定したNi、Al、Mg、Ca、Ti、Y、Zr、Hfの分析の結果を表4および表5にまとめて示す。
表4から分かるように、Mgパックでは、Al濃度は49.00原子%であり、Mg濃度は14.04原子%である。この場合には以下のような形成機構が提案される。すなわち、NaClは803℃で溶融し、1200℃ではNaClの一部はガス体として移動し、活性金属Mgと反応して、2NaCl+Mg=2Na+MgClの反応式に従ってMgClを生成する。このMgClはAlと反応し、3MgCl+Al=3MgO+2AlClを生成する。これらのMgClおよびAlClはガス体として移動し、Ni金属の表面でMgとAlとを析出し、Mgを含むアルミナイズド層を形成する。
Caパックでは、Al濃度は57.42原子%であり、Ca濃度は3.17原子%である。この活性金属がCaのとき、CaはCaOとCaClとを形成することを除くと上記の形成機構が適用できる。
Tiパックでは、Al濃度は53.20原子%であり、Ti濃度は1.16原子%である。この場合には以下のような形成機構が提案される。すなわち、NaClは803℃で溶融し、1200℃ではNaClの一部はガス体として移動し、活性金属Tiと反応して、4NaCl+Ti=Na+TiClの反応式に従ってTiClを生成する。このTiClはAlと反応し、3TiCl+2Al=3TiO+4AlClを生成する。これらのTiClおよびAlClはガス体として移動し、Ni金属の表面でTiとAlとを析出し、Tiを含むアルミナイズド層を形成する。
表5から分かるように、Yパックでは、Al濃度は57.57原子%であり、Y濃度は0.39原子%である。この場合には以下のような形成機構が提案される。すなわち、NaClは803℃で溶融し、1200℃ではNaClの一部はガス体として移動し、活性金属Yと反応して、3NaCl+Y=3Na+YClの反応式に従ってYClを生成する。このYClはAlと反応し、2YCl+Al=Y+2AlClを生成する。これらのYClおよびAlClはガス体として移動し、Ni金属の表面でYとAlとを析出し、Yを含むアルミナイズド層を形成する。
Zrパックでは、Al濃度は43.91原子%であり、Zr濃度は0.99原子%である。この活性金属がZrのとき、ZrはZrOとZrClとを形成することを除くと上記の形成機構が適用できる。
Hfパックでは、Al濃度は47.13原子%であり、Hf濃度は0.43原子%である。この活性金属がHfのとき、HfはHfOとHfClとを形成することを除くと上記の形成機構が適用できる。
金属基材としてNi板、パック剤として表6に示すように、活性金属としてHf、金属酸化物としてAl、触媒化合物としてNaClを含むものを用い、加熱処理の条件を1300℃、2時間、真空雰囲気とした。
得られた試料の表面をエレメントアナライザーで測定したNi、Al、Hfの分析の結果を表6にまとめて示す。
表6から分かるように、Hfパックでは、Al濃度は65.42原子%であり、Hf濃度は0.99原子%である。この場合には以下のような形成機構が提案される。すなわち、NaClは803℃で溶融し、1300℃ではNaClの一部はガス体として移動し、活性金属Hfと反応して、4NaCl+Hf=4Na+HfClの反応式に従ってMgClを生成する。このHfClはAlと反応し、3HfCl+2Al=3HfO+4AlClを生成する。これらのHfClおよびAlClはガス体として移動し、Ni金属の表面でHfとAlとを析出し、Hfを含むアルミナイズド層を形成する。
以上、この発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、拡散浸透処理剤に含ませる金属酸化物としてはReOを用いることも可能であり、この場合には活性金属としてAl、Cr、Hfなどを用いる。
例えば、金属酸化物としてReO、活性金属としてAl、触媒化合物としてHClを用いた場合には、上述の(2)式および(3)式に対応する反応は次のようになり、AlおよびReを同時に拡散浸透させることが可能である。
2Al+6HCl=2AlCl+3H
3ReO+4AlCl=2Al+3ReCl
また、金属酸化物としてReO、活性金属としてCr、触媒化合物としてHClを用いた場合には、上述の(2)式および(3)式に対応する反応は次のようになり、CrおよびReを同時に拡散浸透させることが可能である。

Claims (9)

  1. 金属基材の表面に耐酸化性合金皮膜を形成する耐酸化性合金皮膜の製造方法であって、
    前記金属基材を、Hf、Zr、Y、Ti、La、CeおよびCaからなる群より選ばれた少なくとも一種の活性金属の粉末とNH4 Cl、NH4 F、HCl、NaClおよびNaFからなる群より選ばれた少なくとも一種の触媒化合物の粉末とを含み、残りがAl、CrおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属を含む金属酸化物の粉末である拡散浸透処理剤に埋設し、前記触媒化合物の熱分解温度または昇華温度以上で前記金属基材の融点よりも低い温度で加熱処理を行うことにより前記耐酸化性合金皮膜を形成することを特徴とする耐酸化性合金皮膜の製造方法。
  2. 前記金属酸化物はAl2 3 、Cr2 3 およびSiO2 からなる群より選ばれた少なくとも一種の酸化物を含むことを特徴とする請求項1記載の耐酸化性合金皮膜の製造方法。
  3. 前記加熱処理を不活性ガスまたは水素ガスの雰囲気において600〜1340℃の温度で1分〜25時間行うことを特徴とする請求項1または2記載の耐酸化性合金皮膜の製造方法。
  4. 前記拡散浸透処理剤は、Hf、Zr、YおよびTiからなる群より選ばれた少なくとも一種の活性金属を89重量%未満、NH 4 Clを1〜10重量%含み、残りがAl 2 3 であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の耐酸化性合金皮膜の製造方法。
  5. 前記耐酸化性合金皮膜は、γ−Ni相とγ’−Ni 3 Al相とβ−NiAl相とδ−Ni 2 Al 3 相とからなる群より選ばれた少なくとも一相から構成されており、前記γ−Ni相は0.005原子%<(Hf+Zr+Y+Ti)<1原子%と5原子%<Al<15原子%とを含み、前記γ’−Ni 3 Al相は0.005原子%<(Hf+Zr+Y+Ti)<10原子%と16原子%<Al<27原子%とを含み、前記β−NiAl相は0.005原子%<(Hf+Zr+Y+Ti)<30原子%と30原子%<Al<58原子%とを含み、前記δ−Ni 2 Al 3 相は0.005原子%<(Hf+Zr+Y+Ti)<3原子%と59原子%<Al<62原子%とを含むことを特徴とする請求項4記載の耐酸化性合金皮膜の製造方法。
  6. 前記γ−Ni相は0.1〜45原子%Cr、前記γ’−Ni 3 Al相は0.1〜7原子%Cr、前記β−NiAl相は0.1〜10原子%Cr、前記δ−Ni 2 Al 3 相は0.1〜5原子%Crを、さらに含むことを特徴とする請求項5記載の耐酸化性合金皮膜の製造方法。
  7. 前記γ−Ni相、前記γ’−Ni 3 Al相、前記β−NiAl相および前記δ−Ni 2 Al 3 相は、前記金属基材および環境からの元素の移行によって、V、Nb、W、Mo、Ta、Pt、Ir、Ru、Co、Fe、MnおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を0.01〜15原子%さらに含むことを特徴とする請求項5または6記載の耐酸化性合金皮膜の製造方法。
  8. 金属基材の表面に形成される耐酸化性合金皮膜であって、
    前記金属基材を、Hf、Zr、Y、Ti、La、CeおよびCaからなる群より選ばれた少なくとも一種の活性金属の粉末とNH 4 Cl、NH 4 F、HCl、NaClおよびNaFからなる群より選ばれた少なくとも一種の触媒化合物の粉末とを含み、残りがAl、CrおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属を含む金属酸化物の粉末である拡散浸透処理剤に埋設し、前記触媒化合物の熱分解温度または昇華温度以上で前記金属基材の融点よりも低い温度で加熱処理を行うことにより形成されることを特徴とする耐酸化性合金皮膜。
  9. 金属基材の表面に耐酸化性合金皮膜を有する耐熱性金属部材であって、
    前記耐酸化性合金皮膜は、前記金属基材を、Hf、Zr、Y、Ti、La、CeおよびCaからなる群より選ばれた少なくとも一種の活性金属の粉末とNH 4 Cl、NH 4 F、HCl、NaClおよびNaFからなる群より選ばれた少なくとも一種の触媒化合物の粉末とを含み、残りがAl、CrおよびSiからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属を含む金属酸化物の粉末である拡散浸透処理剤に埋設し、前記触媒化合物の熱分解温度または昇華温度以上で前記金属基材の融点よりも低い温度で加熱処理を行うことにより形成されることを特徴とする耐熱性金属部材。
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