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JP4386568B2 - 有機ガラスの着色方法 - Google Patents
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JP4386568B2 - 有機ガラスの着色方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡、カメラなどの光学有機ガラスの着色方法、及び、その着色方法により得られる光学要素に関する。以下、光学有機ガラスとして眼鏡レンズを主として例に採り説明を行なう。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学レンズ材料として、無機ガラスに比して軽量かつ耐衝撃性に優れ、可染性で加工も容易な有機ガラスが普及してきている。さらに、近年の動向としては、光学レンズ自体のファッション性の要求から、レンズの端面のコバ薄肉化のニーズが高まりつつある。このため、より高い屈折率を有する超高屈折有機ガラスレンズ(屈折率約1.70)が上市されるようになってきている。
【0003】
しかし、有機ガラスレンズは屈折率が向上するにつれて難染性になるという問題点があった。このため、分散染料等を使用した水系染浴(水溶液)に基材(レンズ)を浸漬して染色を行なう浸漬染色法では、下記に挙げる課題が顕著に現れ易かった。
【0004】
▲1▼均一かつ安定した色調の染色を基材に対して行なうことが困難である。染着性(染着速度及び染着平衡)が、染料水系分散液の各成分(分散染料、界面活性剤、染色促進剤等)の濃度や、染色温度のバラツキ、有機ガラス基材の種類等の影響を受け易いためである。
【0005】
▲2▼高濃度染色(着色)が必要な場合、染色に長時間を要する。
【0006】
▲3▼低温での染色であり、染着力が十分でないことから、後工程での色落ちが大きく、最終仕上がりで望みの色調に仕上げることが困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記課題を解決するために、浸漬染色法に替わる手段、例えば、
▲1▼気相中に染料を昇華させ有機ガラス表面に染色層を形成した後、染料を加熱転写(移染)する方法(特開昭56−159376号等)、
▲2▼染色された転写フィルムを有機ガラス基材表面に貼り付け、加熱転写する方法(特開2000−9905号等)、
▲3▼染料を含有した油性インキを有機ガラス基材上に塗布し、加熱転写する方法(特開2000−17586等)、
▲4▼水溶性ポリマーに分散染料を溶解若しくは懸濁したうえで、有機ガラス基材に練り込みまたは浸透させる方法(特許第3022555号、3074503号等)、
が提案されている。
【0008】
しかし、上記▲1▼の方法では、染料により昇華温度が違うため、希望する色調、着色濃度を基材に得ることが困難である。また上記▲2▼の方法では、転写フィルムを曲面に対しきれいに貼付することが難しく、着色むらのない均一な着色を基材に得ることが困難である。
【0009】
また、上記▲1▼、▲2▼、▲3▼ともに、
(a) 「ハーフ」と称すグラデーション染色加工が困難である、
(b) 予め染料を配合(調合)し、加熱転写を行なうため、短時間で希望の色調に着色するのが困難であり、希望色に配合(調合)するのに時間を要する、
という問題点があった。
【0010】
更に、上記▲4▼の方法では、着色性の面で不十分であり、高濃度(濃度70%以上、視感度透過率30%以下)の染色物を得難かった。
【0011】
本発明は、上記にかんがみて、自由に希望の色調、濃度を変えられるのみならず、グラデーション染色加工も容易に行える有機ガラスの着色方法及び該着色方法により得られる光学要素を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意開発・研究に努力した結果、下記構成の有機ガラス着色方法、及び光学要素に想到した。
【0013】
本発明の有機ガラス着色方法は、有機ガラス基材に染料媒体膜を介して昇華移染により染色を行って有機ガラスの着色をする方法において、
(1) 有機ガラス基材等の表面にSP値15以下の有機溶媒に溶解可能な熱可塑性樹脂(水溶性樹脂を除く。)で媒体樹脂塗膜を形成した後、染色浴に浸漬して媒体樹脂塗膜に染料吸着をさせて染料媒体膜とする染料媒体膜形成工程、
(2) 加熱して染料媒体膜中の染料を有機ガラス基材等に転写(昇華移染)させる染料移染工程、
(3) 染料媒体膜を、SP値8〜11の有機溶媒で溶解して脱膜させる染料媒体膜除去工程、
の各工程を順次経て着色有機ガラスを得ることを特徴とする。
【0014】
又、別の方法として、
(1) 有機ガラス基材の表面に、染料を含有するSP値15以下の有機溶媒に溶解可能な熱可塑性樹脂(水溶性樹脂を除く。)で染料媒体膜を形成する染料媒体膜形成工程、
(2) 加熱して染料媒体膜中の染料を有機ガラス基材に転写(昇華移染)させる染料移染工程、
(3) 前記染料媒体膜をSP値8〜11の有機溶媒で溶解して脱膜させる染料媒体膜除去工程、の各工程を順次経て着色有機ガラスを得ることを特徴とする。
【0015】
前記各染料移染工程においては、加熱処理の温度及び/又は時間に勾配を持たせ、かつ必要により部分的に冷却を行うことにより、グラデーション染色を行うことが可能である。
【0016】
前記染料としては、非水溶性染料を使用することが、高屈折有機ガラス基材に対する染色性が良好であるとともに昇華性の高いものが得易くて望ましい。
【0017】
また、染料媒体膜を形成する熱可塑性樹脂は、アクリル系熱可塑性樹脂を使用することが、染料媒体性が優れているとともに、有機ガラス基材等からの脱膜除去性に優れているため望ましい。
【0018】
一方、本発明の光学要素は、上記各着色方法により着色されていることを特徴とする。必要により、プライマー層を介して、又は介さずにシリコーン系硬化塗膜等のハードコート膜を積層し、さらに無機反射防止膜を積層したものとすることもできる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態について詳細に説明を行う。図1には、本発明の着色有機ガラスの製造工程の代表例を示す。以下の説明で配合組成を示す「%」、「部」は、特に断らない限り「質量(重量)」単位とする。
【0020】
本発明の有機ガラスの着色方法は、有機ガラス基材に又はハードコート膜を備えた有機ガラス基材に、染料媒体膜を介し昇華移染により染色を行なうことを前提的構成とする。
【0021】
有機ガラス基材としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、脂肪族アリルカーボネート、芳香族アリルカーボネート、ポリチオウレタン、チオエポキシ樹脂等からなるものを挙げることができる。本発明の着色方法は、低屈折率レンズ、高屈折率レンズを問わず適用可能である。
【0022】
有機ガラス基材上には、通常、ハードコート膜を備えている。そして、該ハードコート膜には、耐衝撃性を高めるため、プライマー層を付与することも可能である。
【0023】
ハードコート膜は、最終製品に形成されていればよく、
▲1▼染色前に有機ガラス基材上に形成し、その後ハードコート膜上に染料媒体膜を形成して染色を行う方法、
▲2▼有機ガラス基材上に染料媒体膜を形成し染色が完了した後にハードコート膜を形成する方法、
のいずれを選択してもよい。
【0024】
ハードコート膜としては、シリコーン系硬化塗膜を使用することが望ましく、例えば、オルガノアルコキシシランの加水分解物に、触媒、金属酸化物微粒子(複合微粒子を含む)を加え、希釈溶剤にて塗布可能な粘度になるように調節したハードコート液をガラス基材上に塗布することにより形成される。さらにこのハードコート液には、適宜界面活性剤、紫外線吸収剤等の添加も可能である。
【0025】
なお、上記ハードコート膜は、可染性タイプ・非染性タイプを問わず染色が可能である。
【0026】
▲1▼上記オルガノアルコキシシランとしては、下記一般式で示されるものが使用可能である。
【0027】
1 a2 bSi(OR34-(a+b)
(但し、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリルオキシ基、フェニル基であり、R2 は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、R3 は、炭素数1〜4のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基、アリールアルキル基である。また、a=0または1、b=0、1、または2である)。
【0028】
具体的には、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。これらは、単独使用の他に、2種以上を併用することも可能である。
【0029】
▲2▼上記触媒としては、トリメリト酸、無水トリメリト酸、イタコン酸、ピロメリト酸、無水ピロメリト酸等の有機カルボン酸、メチルイミダゾール、ジシアンジアミド等の窒素含有有機化合物、チタンアルコキシド、ジルコアルコキシド等の金属アルコキシド、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトン鉄等の金属錯体、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属有機カルボン酸塩を使用できる。
【0030】
▲3▼金属酸化物微粒子としては、平均粒径が約5〜50μmのコロイダルシリカ、コロイダルチタニア、コロイダルジルコニア、コロイダル酸化セリウム(IV)、コロイダル酸化タンタル(V) 、コロイダル酸化スズ(IV)、コロイダル酸化アンチモン(III) 、コロイダルアルミナ、コロイダル酸化鉄(III) 等を使用でき、これらは、単一使用の他に、2種以上を併用、または複合微粒子として使用することも可能である。
【0031】
▲4▼希釈溶剤としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類及びセロソルブ(VCC社商品名:エチレングリコールのモノアルキルエーテル類)類の極性溶剤を好適に使用できる。
【0032】
▲5▼コーティング方法としては、ディッピング法、スピンコート法等の慣用の方法から選ばれる。硬化条件は、約80〜130℃×約1〜4hとする。
【0033】
上記有機ガラス基材と、ハードコート膜との間には、プライマー層を形成することができるが、特に、耐衝撃性に優れた下記プライマーを使用することが望ましい。
【0034】
具体的なプライマーとして、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)に金属酸化物無機微粒子を添加したTPUプライマー組成物と、塗膜形成ポリマーの全部または主体がエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)に上記と同様の金属酸化物無機微粒子を添加したTPEEプライマー組成物を用いる。
【0035】
TPUは、長鎖ポリオールとポリイソシアナートからなるソフトセグメントと短鎖ポリオールとポリイソシアナートからなるハードセグメントとで構成されるもので、水性エマルション(乳濁液)の形態で添加されることが望ましい。
【0036】
金属酸化物微粒子は、前述のハードコートに使用したものを使用出来る。
【0037】
TPEEは、ハードセグメントにポリエステル、ソフトセグメントにポリエーテル又はポリエステルを使用したマルチブロック共重合体で、このハードセグメントとソフトセグメントとの重量比率は、通常、前者/後者=約30/70〜10/90とする。
【0038】
また、ウレタン系プライマーと同様の金属酸化物無機微粒子を屈折率調整用として用いる。
【0039】
そして、上記有機ガラス基材等を染色する場合、第1の方法としては、まず、有機ガラス基材等表面に媒体樹脂塗膜を設けた後、染色浴に浸漬して染料を媒体樹脂塗膜に吸収(受容)させて染料媒体膜とする。いわゆる、なせん(捺染)におけるのり(糊)層を形成する工程(印なつ工程)に相当する。
【0040】
媒体樹脂塗膜を形成する媒体樹脂としては、下記溶解(分散)剤に対して、可溶(分散)可能な樹脂であれば特に限定されるものではないが、具体的には、アクリル系樹脂、飽和エステル系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、アミド系樹脂、セルロース系樹脂(以上、熱可塑性樹脂);ウレタン系樹脂、ふっ素系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン系樹脂(以上、熱硬化性樹脂)等や、又はそれらの混合物、誘導体の重合体、共重合体等を挙げることができる。
【0041】
上記樹脂のうち、熱硬化性樹脂は加熱により硬化して加熱昇華後の剥離が困難となる。そのため熱可塑性樹脂を使用するのが好ましい。上記熱可塑性媒体樹脂のうち、アクリル系熱可塑性樹脂が、染料媒体性が優れているとともに、有機ガラス基材等からの脱膜除去性に優れているため望ましい。ここで、染料媒体性とは、染色浴中の染料を吸着(受容)しかつ有機ガラス基材等へ移行させる性質をいう。
【0042】
上記媒体樹脂塗膜を形成する媒体樹脂塗料中の上記媒体樹脂の濃度は、約0.01〜90%、好ましくは約0.1〜70%、さらに好ましくは約1〜50%とする。樹脂濃度が低過ぎると、染料を吸着(受容)、移染させるのに十分な塗膜厚を得難い。また、逆に高すぎると染料の移染性の低下及び付着膜の面精度(レベリング性)が低下して染色ムラの一因となる。ここで、必要な塗膜厚は約0.1〜10μmである。
【0043】
前記媒体樹脂塗料における媒体樹脂の溶解(分散)剤は、SP値20以下、好ましくはSP値15以下のものであれば特に限定されるものではなく、媒体樹脂を溶解又は分散できるものであればよい。具体的には、メタノール(14.8)、エタノール(12.8)、イソプロピルアルコール(11.15)、n−ブタノール(11.1)などのアルコール類、酢酸メチル(9.6)、酢酸エチル(9.0)、酢酸ブチル(8.5)などのエステル類、ベンゼン(9.2)、トルエン(8.9)、p−キシレン(8.8)などの炭化水素類、アセトン(9.8)、メチルイソプロピルケトン(9.5)、メチルプロピルケトン(8.9)などのケトン類等が挙げられ、上記溶剤2種以上を併用することもできる(括弧内はSP値を示す。)。
【0044】
上記媒体樹脂塗料を有機ガラス基材等に塗布する方法としては、均一に成膜することができれば特に制限されるものではないが、具体的には、ディッピング法、スピンコート法、刷毛塗り法、スプレー法等の公知技術を利用することができる。特にスピンコート法は、均一な成膜が容易であるため有効に利用できる。
【0045】
通常、有機ガラス基材等への形成を行う前に基材レンズ表面を酸、アルカリ洗浄溶剤を使用して脱脂洗浄、超音波洗浄等の前処理を行なう。有機ガラス基材への付着性を向上させるために、プラズマエッチング、アルカリエッチング等の処理を施してもよい。また、媒体樹脂塗膜の硬化、もしくは乾燥をさせるために約50〜100℃で10min 程度の熱処理を行うことが望ましい。
【0046】
また、溶解または分散した媒体樹脂塗料のレベリング性を向上させるために、シリコーン系界面活性剤、またはふっ素系界面活性剤を配合することが望ましい。
【0047】
上記媒体樹脂塗膜を有機ガラス基材等の表面(両面又は片面)に形成した後、該媒体樹脂塗膜に染料を吸着(吸着・受容)させて染料媒体膜を形成する。この染料吸着の方法としては、公知技術を使用することができ、中でも、浸漬染色法を使用することが望ましい。具体的には、染色浴中に、染料とキャリヤー剤を含有させて行うキャリヤー染色法、染料と分散剤を含有させて行う一般染色法等が挙げられる。染料として非水溶性染料を使用する場合、上記染色浴は、SP値(溶解性パラメーター)が約7〜13の有機溶媒からなる染料溶解剤(水と有機溶剤との混合系)に染料が完全溶解または一部溶解されてなる状態であることが望ましい。ここで完全溶解とは、染色浴中の染料が飽和量に達しておらず、染料がすべて溶解している状態をいい、一部溶解とは、染色浴中の染料が飽和量以上存在しており、染料の一部が溶解せずに残存した状態をいう。また、近年普及してきているインクジェット記録法等なども挙げられ、上記方法を複数併用することも可能である。
【0048】
染料としては、高屈折率の有機ガラス基材に対する染色性(有機ガラス基材に対する移染性)が良好であるとともに、昇華性の高いものが得易いことから、非水溶性染料が望ましい。非水溶性染料としては、汎用の分散染料(Disperse Dyes)、または、油溶性染料 (Solvent Dyes) を好適に使用できる。
【0049】
分散染料としては、「スミカロン (Sumikaron)」住友化学社製;「ダイアセリトン (Diaoelliton)」 、「ダイアニックス (Dianix) 」、「サマロン (Samaron)」ダイスタージャパン社製;「カヤロン ポリエステル (Kayalon Polyester)」日本化薬社製;「ミケトン ポリエステル (Miketon Polyester)」三井BASF染料社製、等の各商品名で製造販売されているものを挙げることができる。
【0050】
油溶性染料としては、「スピリット (Spilit) 」住友化学社製;「オリエントオイル (Orient Oil) 」オリエント化学社製;「ミツイSP」三井化学社製、等の各商品名で製造販売されているものを挙げることができる。
【0051】
上記非水溶性染料である分散染料や油溶性染料には、これらの染料と同等の昇華性を示す紫外線吸収剤や蛍光増白剤(非水溶性昇華性染料の1種である。)を添加することができる。上記、紫外線吸収剤及び蛍光増白染料はこれらを添加した非水溶性染料全体量中の、約0.1〜50%、望ましくは約1〜20%とする。これらの紫外線吸収剤や蛍光増白剤を含んだ染色浴で染色し、後述の如く基材レンズ等染料の加熱昇華(移染)を行うと、染色と同時的に、紫外線吸収・蛍光増白等の効果を光学要素(眼鏡等)に付与できる。すなわち、眼鏡使用時において、目を紫外線から保護することができるとともに、眼鏡のファッション機能を高めることができる。
【0052】
紫外線吸収剤としては、昇華性を有すれば特に限定されるものではないが、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、サリシレート系等が使用可能である。蛍光増白剤としては、ジアミノスチルベンジスルホン酸系、イミダゾール系、クマリン系、トリアゾール系等が使用可能である。
【0053】
媒体樹脂塗膜への染料の吸着温度としては、媒体樹脂塗膜に染料を吸着させることができれば特に限定されるものではないが、具体的には約0〜100℃、好ましくは約5〜85℃、さらに好ましくは約15〜75℃とする。吸着温度が低過ぎると染料の凝集が起こり、吸着性が低下するとともに、冷却装置を必要とするため、不経済である。逆に吸着温度が高すぎると、有機ガラス基材及び媒体樹脂塗膜に熱変形、溶解、等のダメージを与える可能性があるとともに、有機溶剤が突沸するおそれがある。
【0054】
第2の方法としては、有機ガラス基材等の表面に、染料を含有する染料媒体樹脂を設けることにより染料媒体膜を形成する方法である。これは、染料媒体樹脂中に染料を含有させた後、該染料媒体樹脂を有機ガラスレンズ等の表面に塗布する方法であって、練り込み着色法として公知の技術である。
【0055】
染料媒体膜を形成する媒体樹脂としては、上記第1の方法において例示したものが使用可能である。さらに、染料媒体樹脂塗料中の上記染料媒体樹脂の濃度、必要な塗膜厚、媒体樹脂の溶解剤(分散剤)、有機ガラスレンズ等への塗布方法、添加可能な界面滑性剤、使用可能な染料等も、上記第1の方法において述べたものに準じて使用することが出来る。
【0056】
染料として非水溶性染料を使用する場合には、上記染料媒体樹脂は、SP値(溶解性パラメーター:Solubility Parameter )が約7〜13、望ましくは約9〜11の有機溶媒からなる染料溶解剤(有機溶剤のみ、若しくは、水と有機溶剤との併用系)に完全溶解または一部溶解されてなる状態の染料を含有することが望ましい。ここで完全溶解とは、染色浴中の染料が飽和量に達しておらず、染料がすべて溶解している状態をいい、一部溶解とは、染色浴中の染料が飽和量以上存在しており、染料の一部が溶解せずに残存した状態をいう。染料溶解剤のSP値が上記値から外れると、樹脂、染料、溶剤の相互溶解性が悪くなり、目的の濃度まで着色できなかったり、染色ムラ等の外観不良を招く。
【0057】
また、染料溶解剤は、有機ガラス基材及びハードコート層の表面を冒さない(面荒れがない)ことを考慮して選択する。具体的には、
ベンゼン(9.15)、トルエン(8.90)、o−キシレン(9.00)、m−キシレン(8.80)、p−キシレン(8.75)、エチルベンゼン(8.80)、ナフタレン(9.90)、テトラリン(9.50)、n−プロピルベンゼン(8.65)、i−プロピルベンゼン(8,86)、メシチレン(8.80)、等の芳香族炭化水素類、
シクロヘキサノール(11.40)、エタノール(12.7)、n−ブタノール(11.40)、i−ブタノール(10.70)、n−プロパノール(12.10)、ジアセトンアルコール(10.18)、n−ヘプタノール(10.00)、等の水酸基化合物類、
アセトン(10.00)、メチルエチルケトン(9.30)、ジエチルケトン(8.80)、ジブチルケトン(8.10)、メチル−n−プロピルケトン(8.70)、メチル−n−ブチルケトン(8.60)、メチル−i−アミルケトン(8.50)、メチルヘキシルケトン(8.45)、シクロヘキサノン(9.90)、アセトフェノン(9.68)等のケトン類、
メチラール(8.52)、フラン(9.09)、β−β−ジクロロエチルエーテル(9.80)、ジオキサン(10.00)、テトラヒドロフラン(9.90)、エチルセロソルブ(9.90)等のエーテル類、
等が挙げられ、単独若しくは、二種以上を適宜選択して用いることができる(括弧内は、SP値を示す。)。
【0058】
また、上記染料溶解剤には、少なくともエーテル類、水酸基化合物類及び/又はケトン類を含むことが染料の溶解性に優れ、かつ、有機ガラス基材等の表面の面荒れを起こしにくい。
【0059】
そして、上記染料媒体膜を加熱することにより、染料を昇華させ、有機ガラス基材等に染料を移染(移行固着)させる。いわゆるなせん(捺染)における、蒸熱による染料固着工程に相当する。
【0060】
加熱昇華の方法としては特に限定されるものではないが、具体的には熱風循環炉、遠赤外線炉、電気炉、ドライヤー等を使用するドライ処理、湯、または熱油浴への浸漬によるウエット処理等がある。上記のうち、熱風循環炉は、機器内部の温度むらがなく、かつ、有機ガラス基材を均一に加熱可能である利点を有する。
【0061】
一方、この加熱処理に際して、次のような操作を行えば、着色濃度勾配(グラデーション:gradation )を有する着色有機ガラスを容易に得ることができる。
【0062】
染料溶解剤にて溶解若しくは一部溶解させた染料を浸透若しくは含有させた染料媒体膜に対して、不均等加熱を行う。又は、湯浴、熱湯浴を使用し、少なくとも染料媒体膜に対し、温度勾配がつくように、又は加熱時間に差を持たせるように熱処理を行う。このような不均等加熱を行うことにより、積算累計加熱量に応じた着色濃度勾配を持たせることができる。そのため、着色濃度勾配を有する着色有機ガラスレンズを得るには、局部加熱が容易な遠赤外線炉、電気炉、ドライヤー、又はウェット処理による加熱が望ましい。
【0063】
着色濃度勾配を有する着色有機ガラスを得る際の冷却方法としては、特に限定はされないが、40℃以下のエアーを使用するのが実用上好適である。エアー冷却は熱伝導による着色(移染)を抑えることが可能である。
【0064】
加熱昇華(移染)温度としては、有機ガラス基材のガラス転移温度、ハードコート膜を備えた有機ガラス基材の染色を行なう場合はハードコート膜(プライマー層を含む。)の耐熱温度、及び、染料の昇華圧(昇華温度)を考慮して設定する。
【0065】
通常、約60〜200℃、望ましくは約70〜180℃、さらに望ましくは約80〜150℃とする。加熱昇華温度が低過ぎると十分な着色性が得難く、逆に高すぎると有機ガラス基材に熱変形が発生するおそれがある。なお、この場合に、減圧雰囲気(通常約10〜800hPa )とすれば、相対的に加熱処理温度を低くでき、かつ加熱昇華時間も短くすることが期待できる。また、熱に対して安定な(変形しない)有機ガラス基材に関しては加圧加熱することも可能であり、この際、比較的低温でより有機ガラス基材へ染料を移染することができる。
【0066】
加熱昇華時間としては、有機ガラス基材等の染色性の違いにより異なるが、通常約10min 〜24h、好ましくは約30min 〜6hとする。加熱昇華温度、時間とも被染対象物となる有機ガラス基材、又は、プライマー膜、ハードコート膜(シリコーン系硬化塗膜)に悪影響がないよう配慮して選定することが必要である。
【0067】
なお、上記加熱昇華を行う際には、染料の外部飛散防止、及び染料媒体膜形成面の傷防止を目的として、染料媒体膜形成面のさらにその上に熱可塑性樹脂を保護膜としてコーティングしてもよい。保護膜用熱可塑性樹脂としては、耐熱性及び耐溶剤性が良好であり、保護膜とした後、溶解剥離できるものであれば特に限定されるものではない。具体的にはポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等を好適に使用できる。
【0068】
上記加熱昇華後の有機ガラス基材に付着している染料媒体膜及び保護膜は、アセトン等の有機溶剤または水(温水)等への浸漬により溶解剥離させて除去する。当該工程は、捺染における糊除去工程に相当する。なお、使用可能な有機溶剤としては、前述の染料用介在に使用したものと同様にSP値8〜11の有機溶剤を使用する。
【0069】
上記ハードコート膜上には、通常、反射防止膜を形成することが望ましい。該反射防止膜の形成は、通常、金属、金属酸化物、金属ふっ化物等の無機微粒子を、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法により形成することにより行う。
【0070】
反射防止膜を形成する無機物の具体例としては、シリカ、チタニア(IV)、酸化タンタル(V)、酸化アンチモン(III) 、ジルコニア、アルミナ等の金属酸化物や、ふっ化マグネシウム等の金属ふっ化物を挙げることができる。
【0071】
【発明の効果】
本発明の有機ガラス着色方法は、有機ガラス基材等の表面に、媒体塗膜を形成後、染色浴により染料媒体膜を設けて染色を行うことにより、後述の実施例で支持されるごとく、下記効果を奏する。
【0072】
媒体樹脂塗膜の膜厚及び染色浴を用いた染料吸着条件、さらには、昇華移染の条件をそれぞれ独立的に調整して、容易に組み合わせることができる。
【0073】
このため、超高屈折率から低屈折率の有機ガラス基材、特に非染性の有機ガラス基材に対しても効率よく、かつ安易に希望の色調、濃度に着色を行うことができる。また、従来の加熱昇華染色法では困難とされていた、グラデーション着色加工も安易に行うことできる。さらに、有機ガラス基材表面に形成されたハードコート膜に対しても容易に着色できることから、後工程での変褪色を考慮せずに希望の色調、濃度に着色することが可能となった。
【0074】
【実験例】
以下本発明の効果を確認するために行った実験例である実施例及び比較例について説明する。各実験例に使用した材料は、それぞれ、下記のようにして調製したものである。
【0075】
有機ガラス基材
▲1▼有機ガラス基材A(低屈折基材:屈折率1.50)
ジエチレングリコールビスアリルカーボネート100部に、重合開始剤:ジイソプロピルパーオキシカーボネート3部を混ぜ合わせ、0.8μメンブランフィルターにて濾過を行い、濾液をガラス製鋳型中に注入した。次に40℃で3h、40〜60℃までを12h、65〜85℃までを6hかけて昇温し、最後に85℃にて3hの加熱を行った後、レンズを鋳型より取り出し、さらに130℃にて2hのアニーリング(annealing:歪み除去) を行うことにより、有機ガラス基材を得た。
【0076】
▲2▼有機ガラス基材B(高屈折基材:屈折率1.67上市品)…チオウレタン系有機ガラス。
【0077】
▲3▼有機ガラス基材C(超高屈折基材:屈折率1.74上市品)…チオエポキシ系有機ガラス。
【0078】
ハードコート液
▲1▼ハードコート液a(低屈折液:屈折率1.50):
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン100部、MeOH200部、10-2N HCl 1100部を2時間還流にて加水分解後、メタノールシリカゾール1200部、アセチルアセトンアルミニウム7部、「FC−430」(住友3M社製ふっ素系界面活性剤)0.4部を加え調製した。
【0079】
▲2▼ハードコート液b(高屈折液:屈折率1.60):
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン320部、テトラエトキシシラン50部、及びMeOH230部からなる混合物を、攪拌して均一化後、攪拌を続けながら10-2N HCl 60部をゆっくり滴下した後、室温にて一昼夜の加水分解を行った。この加水分解液にチタニア系複合粒子360部、イタコン酸40部、ジシアンアミド20部、レベリング剤1部を添加し、室温で約24h攪拌して調製した。
【0080】
▲3▼ハードコート液c(超高屈折液:屈折率1.66):
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン320部、テトラエトキシシラン50部、及びMeOH230部からなる混合物を、攪拌して均一化後、攪拌を続けながら10-2N HCl 60部をゆっくり滴下した後、室温にて一昼夜の加水分解を行った。この加水分解液にチタニア系複合粒子700部、イタコン酸40部、ジシアンアミド20部、レベリング剤1部を添加し、室温で約24h攪拌して調製した。
【0081】
媒体樹脂塗料
市販のアクリルレジン『ダイヤナールBR−80』9部をジアセトンアルコール21部に溶解させた後、メチルエチルケトン(MEK)30部、レベリング剤として『SILWET L−7001』0.01部を混合し、均一な状態になるまで攪拌し調製した。
【0082】
染料(含有)媒体樹脂塗料
▲1▼染料(含有)媒体樹脂塗料α(着色染料使用)
『スミカロンブルーE−RPD』6部、『スミカロンレッドE−RPD』4部、『スミカロンイエローE−RPD』2部にメチルケトン12部、ジオキサン12部を加え、約10分間攪拌溶解した後、3μフィルターにて濾過を行い、非水溶性塗料の溶解液を調製した。別に、市販のアクリルレジン『ダイヤナールBR−80』3.2部をトルエン12.8部に溶解させた樹脂溶液を調製し、そこへ、上記塗料の溶解液、及びレベリング剤として『SILWET L−7001』0.01部を混合し、均一な状態になるまで攪拌し調製した。
【0083】
▲2▼染料(含有)媒体樹脂塗料β(紫外線吸収染料使用)
紫外線吸収剤『ユビナールD−50』2部にメチルケトン14.4部、ジオキサン14.39部を加え、約10分間攪拌溶解した後、3μフィルターにて濾過を行い、非水溶性塗料の溶解液を調製した。別に、市販のアクリルレジン『ダイヤナールBR−80』3.84部をトルエン15.36部に溶解させた樹脂溶液を調製し、そこへ、上記紫外線吸収剤の溶解液、及びレベリング剤として『SILWET L−7001』0.01部を混合し、均一な状態になるまで攪拌し調製した。
【0084】
▲3▼染料(含有)媒体樹脂塗料γ(高分子ポリマーベース:比較例で使用)
純水100部にポリビニルアルコール#2000(分子量約2000)6部を加え、均一な状態になるまで攪拌し、次いで、『スミカロンブルーE−RPD』3部、『スミカロンレッドE−RPD』2部、『スミカロンイエローE−RPD』1部を加え、均一な状態になるまで攪拌して調製した。
【0085】
保護膜用塗料
ポリビニルアルコール(重合度約2,000)15部に純水85部を加え、均一な状態になるまで攪拌して調製した。
【0086】
染色浴
▲1▼染色浴I(染料溶解剤含有、着色染料使用)
水1000部に『スミカロンブルーE−RPD』1部、『スミカロンレッドE−RPD』0.5部、『スミカロンイエローE−RPD』0.5部、染料溶解剤として『イソプロピルアルコール』25部、界面活性剤として『レベノールV−700』3部、及び、キャリヤー剤として、ベンジルアルコール25部を加え攪拌した後、60℃まで加熱して調製した。
【0087】
▲2▼染色浴II(染料溶解剤含有、紫外線吸収染料使用)
水1000部に紫外線吸収剤『ユビナールD−50』2部、界面活性剤として『レベノールV−700』3部、染料溶解剤として『イソプロピルアルコール』25部、及び、キャリヤー剤として、ベンジルアルコール25部を加え攪拌した後、60℃まで加熱して調製した。
【0088】
▲3▼染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使用)
水1000部に『スミカロンブルーE−RPD』2部、『スミカロンレッドE−RPD』1部、『スミカロンイエローE−RPD』1部、及び界面活性剤として、『レベノールV−700』3部を加え、攪拌した後90℃まで加熱して調製した。
【0089】
▲4▼染色浴IV(染料溶解剤なし、紫外線吸収染料使用)
水1000部に紫外線吸収剤『ユビナールD−50』2部、及び界面活性剤として、『レベノールV−700』3部を加え、攪拌した後90℃まで加熱して調製した。
【0090】
<実施例1>
エチルアルコールを浸した布で有機ガラス基材A(低屈折基材:レンズ)を拭き上げ、該レンズの凹面にスピンコート法(ステップ1:1000rpm ×5sec 、ステップ2:2000rpm ×5s )により、前記媒体樹脂塗料を塗布し、エアーオーブンにて100℃×5min の熱処理を行った。その後、凸面も同様に媒体樹脂塗料を塗布し熱処理をしてガラス基材上に媒体樹脂塗膜(塗膜厚0.15μm)を形成した。
【0091】
次に、染色浴I(染料溶解剤含有、着色染料使用)に10min 浸漬して媒体樹脂塗膜に染料吸着をさせて染料媒体膜とし、浸漬後のガラス基材上に媒体樹脂塗膜形成時と同条件で保護膜を塗布した。
【0092】
その後、エアオーブンにて、130℃×100min の加熱を行った後、温水(約60℃)に2min 、次いでアセトンに1min 浸漬させ、染料媒体膜及び保護膜を脱膜し、着色有機ガラス基材を得た。
【0093】
上記着色有機ガラス基材を40℃の水酸化ナトリウム水溶液(濃度10%)に浸漬させ、純水にて洗浄し、水切りを行った。
【0094】
その後、ハードコート液a(低屈折液)に浸漬させ、105mm/minで引き上げて、95℃で20min の仮硬化を得た。その後100℃で2hの硬化を行い、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0095】
<実施例2>
有機ガラス基材A(低屈折基材)、染色浴II(染料溶解剤含有、紫外線吸収染料使用)、ハードコート液a(低屈折液)を用いて、実施例1の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0096】
<実施例3>
有機ガラス基材B(高屈折基材)、染色浴I(染料溶解剤含有、着色染料使用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例1の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0097】
<実施例4>
有機ガラス基材B(高屈折基材)、染色浴II(染料溶解剤含有、紫外線吸収染料使用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例1の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0098】
<実施例5>
有機ガラス基材C(超高屈折基材)、染色浴I(染料溶解剤含有、着色染料使用)、ハードコート液c(超高屈折液)を用いて、実施例1の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0099】
<実施例6>
有機ガラス基材A(低屈折基材:レンズ)を40℃の水酸化ナトリウム水溶液(濃度10%)に浸漬させ、純水にて洗浄し、水切りを行った後、ハードコート液a(低屈折液)に浸漬させ、105mm/minで引き上げて、95℃で20min の仮硬化を行った。その後100℃で2hの硬化を行い、ガラスハードコート加工品を得た。
【0100】
上記ガラスハードコート加工品に、実施例1の方法に準じて媒体樹脂塗膜を形成し、染色浴I(染料溶解剤含有、着色染料使用)に10min 浸漬して媒体樹脂塗膜に染料吸着をさせて染料媒体膜とし、浸漬後のガラス基材上に媒体樹脂塗膜形成時と同条件で保護膜を形成した。
【0101】
その後、エアオーブンにて、130℃×100min の加熱を行って昇華移染を行なった後、温水(約60℃)に2min 、次いでアセトンに1min 浸漬させて、染料媒体膜及び保護膜を脱膜除去して、有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0102】
<実施例7>
有機ガラス基材A(低屈折基材)、染色浴II(染料溶解剤含有、紫外線吸収染料使用)、ハードコート液a(低屈折液)を用いて、実施例6の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0103】
<実施例8>
有機ガラス基材B(高屈折基材)、染色浴I(染料溶解剤含有、着色染料使用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例6の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0104】
<実施例9>
有機ガラス基材B(高屈折基材)、染色浴II(染料溶解剤含有、紫外線吸収染料使用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例6の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0105】
<実施例10>
有機ガラス基材C(超高屈折基材)、染色浴I(染料溶解剤含有、着色染料使用)、ハードコート液c(超高屈折液)を用いて、実施例6の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0106】
<実施例11>
エチルアルコールを浸した布で、有機ガラス基材A(低屈折基材)を拭き上げ、該レンズの凸面にスピンコート法(ステップ1:300rpm ×15s 、ステップ2:1000rpm ×15s )により、染料(含有)媒体樹脂塗料α(着色染料使用)を塗布し、風乾させて染料媒体膜を形成した。
【0107】
その後、保護膜の形成、有機ガラス基材の熱処理、温水(約60℃)に2min 、次いでアセトンに1min 浸漬させることによる染料媒体膜及び保護膜の脱膜除去、ハードコート加工(ハードコート液a(低屈折液)を使用)を行い、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。各処理方法・処理条件は実施例1に準じて行ったが、本実施例においては、エアオーブンによる有機ガラス基材の熱処理時間を30min とした。
【0108】
<実施例12>
有機ガラス基材B(高屈折基材)、ハードコート液b(高屈折液)、染料(含有)媒体樹脂塗料α(着色染料使用)を用いて実施例11の方法に準じて着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0109】
<実施例13>
有機ガラス基材C(超高屈折基材)、ハードコート液c(超高屈折液)、染料(含有)媒体樹脂塗料α(着色染料使用)を用いて、実施例11の方法に準じて着色有機ガラスハードコート加工品を得た。ただし、本実施例においては、エアオーブンによる有機ガラス基材の熱処理時間を60min とした。
【0110】
<実施例14>
有機ガラス基材A(低屈折基材)(レンズ)を、ハードコート液a(低屈折液)を用いて実施例6と同様にハードコート加工を行った。
【0111】
上記ガラスハードコート加工品に、実施例11の方法に準じて、染料(含有)媒体樹脂塗料α(着色染料使用)を用い、染料含有媒体樹脂塗膜を形成し、その後保護膜の形成、有機ガラス基材の熱処理を行い、さらに温水(約60℃)に2min 、次いでアセトンに1min 浸漬させて染料媒体膜及び保護膜を脱膜除去して有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0112】
<実施例15>
有機ガラス基材A(低屈折基材)、ハードコート液a(低屈折液)、染料(含有)媒体樹脂塗料β(紫外線吸収染料使用)を用いて実施例11の方法に準じて着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0113】
<実施例16>
有機ガラス基材B(高屈折基材)、染料(含有)媒体樹脂塗料α(着色染料使用)を用いて実施例11の方法に準じて染料媒体膜及び保護膜の形成を行った。
【0114】
その後、前記有機ガラス基材を固定し、凸面上部約10cmの距離からヒーティングガンにて熱風をレンズに吹きつけ加熱を行った。この際、ヒーティングガンを上下に揺動させながら下方にずらし、なおかつ熱風が当たっていない部分には、室温(23℃)の風を当てて冷却した。この動作を繰り返し3min 行った後、温水(約60℃)に2min 、次いでアセトンに1min 浸漬させ、染料媒体膜及び保護膜を脱膜し、着色有機ガラス基材を得た。
【0115】
上記着色有機ガラス基材に、実施例1の方法に準じてハードコート液b(高屈折液)を用い、ハードコート加工を行い、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0116】
<実施例17>
有機ガラス基材C(超高屈折基材)、ハードコート液c(超高屈折液)、染料(含有)媒体樹脂塗料α(着色染料使用)を用いて、実施例16の方法に準じて着色有機ガラスハードコート加工品を得た。ただし、本実施例では、上記加熱・冷却処理を繰り返し5min 行った。
【0117】
<実施例18>
染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使用)を使用する以外は、実施例1と同様の条件として、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0118】
<実施例19>
有機ガラス基材A(低屈折基材)、染色浴IV(染料溶解剤なし、紫外線吸収染料使用)、ハードコート液a(低屈折液)を用いて、実施例18の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0119】
<実施例20>
有機ガラス基材B(高屈折基材)、染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例18の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0120】
<実施例21>
有機ガラス基材B(高屈折基材)、染色浴IV(染料溶解剤なし、紫外線吸収染料使用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例18の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0121】
<実施例22>
有機ガラス基材C(超高屈折基材)、染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使用)、ハードコート液c(超高屈折液)を用いて、実施例18の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。ただし、染色浴への浸漬時間は30min とした。
【0122】
<実施例23>
染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使用)を使用する以外は、実施例6と同様の条件として、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0123】
<実施例24>
有機ガラス基材A(低屈折基材)、染色浴IV(染料溶解剤なし、紫外線吸収染料使用)、ハードコート液a(低屈折液)を用いて、実施例23の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0124】
<実施例25>
有機ガラス基材B(高屈折基材)、染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例23の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0125】
<実施例26>
有機ガラス基材B(高屈折基材)、染色浴IV(染料溶解剤なし、紫外線吸収染料使用)、ハードコート液b(高屈折液)を用いて、実施例23の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0126】
<実施例27>
有機ガラス基材C(超高屈折基材)、染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使用)、ハードコート液c(超高屈折液)を用いて、実施例23の方法に準じ、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。ただし、染色浴への浸漬時間は30min とした。
【0127】
<比較例1>
エチルアルコールを浸した布で、有機ガラス基材A(低屈折基材)を拭き上げ、該レンズの凹面にスピンコート法(ステップ1:300rpm ×15sec 、ステップ2:1000rpm ×15sec )により、染料(含有)媒体樹脂塗料γ(高分子ポリマーベース)を塗布し、エアーオーブンにて100℃×5min の熱処理の後、凸面も同様に塗布し、染料媒体膜を形成した。
【0128】
その後、前記有機ガラス基材をエアオーブンにて、150℃で30min の加熱を行なった後、流水に15min 浸漬したが、媒体膜が剥離できなかったため、媒体膜を擦り剥して着色有機ガラス基材を得た。ほとんどの染料を含む媒体膜は剥れ落ちてしまい、着色はわずかであった。
【0129】
その後、実施例23の方法に準じてハードコート液a(低屈折液)を使用してハードコート加工を施し、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0130】
<比較例2>
有機ガラス基材C(超高屈折基材)、ハードコート液c(超高屈折液)、染料(含有)媒体樹脂塗料γ(高分子ポリマーベース)を使用して、比較例1の方法に準じて着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0131】
<比較例3>
有機ガラス基材A(低屈折基材)を使用した。
【0132】
まず、純水100部にポリビニルアルコール#2000(分子量約2000)6部を加え、均一な状態になるまで攪拌し、染料媒体樹脂塗料を調製した。
【0133】
別に、水100部に『スミカロンブルーE−RPD』3部、『スミカロンレッドE−RPD』2部、『スミカロンイエローE−RPD』1部を加え、均一な状態になるまで攪拌し、塗布用染色液を調製した。
【0134】
比較例1の方法に準じ、ガラス基材両面に染料媒体膜を形成した(ただし、エアオーブンによる熱処理時間は15min とした)。さらに、その両面に上記で調製した塗布用染色液を同じくスピンコート法により塗布した(エアオーブンによる熱処理時間は5min とした)。しかし、ステップ2でほとんどの染色液が飛散してしまい、わずかに残った染色液は、染料媒体膜上で不均一に塗布された。
【0135】
そして、比較例1と同様熱処理を行なったが、媒体膜は剥離できず擦り剥し、着色有機ガラス基材を得た。ほとんどの染料を含む媒体膜は剥れ落ちてしまい、ほとんど着色されず、製品としては不可であった。
【0136】
<比較例4>
有機ガラス基材C(超高屈折基材)、ハードコート液c(超高屈折液)を使用して、比較例3の方法に準じて着色有機ガラスレンズを得た。
【0137】
<比較例5>
メチルアルコールを浸した布にて有機ガラス基材B(高屈折基材)を拭き上げ、染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使用)に10min 浸漬させ、染色有機ガラス基材を得た。
【0138】
そして、実施例1の方法に準じて、ハードコート液b(高屈折液)を使用してハードコート加工を施し、着色有機ガラスハードコート加工品を得た。
【0139】
<比較例6>
有機ガラス基材C(超高屈折基材)、ハードコート液c(超高屈折液)、染色浴III (染料溶解剤なし、着色染料使用)を使用して、比較例5の方法に準じて着色有機ガラスハードコート加工品を得た。ただし、染色浴への有機ガラス基材の浸漬時間は60min とした。
【0140】
上記実験例で得られた着色有機ガラス基材等の透過率をそれぞれ富士光電工業社製「視感度透過率計:CORE STS-3」を用いて測定した。上記染色後のレンズの表面を一旦アルコールで拭き上げ、水分を取り除いた後、レンズ中心部の視感度透過率を測定した。
【0141】
それらの結果を表1・2・3・4に示す。各実施例については、適宜、媒体膜熱剥離後の透過率、ハードコート形成後の透過率をそれぞれ測定した。また、同様に各比較例においても適宜、染色後(処理後)の透過率、ハードコート形成後の透過率をそれぞれ測定した。
【0142】
【表1】
Figure 0004386568
【0143】
【表2】
Figure 0004386568
【0144】
【表3】
Figure 0004386568
【0145】
【表4】
Figure 0004386568
【0146】
なお、上記表1・2からも分かる如く、実施例18〜27は、実質的にそれぞれ実施例1〜10に対応しており、染色浴が異なるのみである。実施例11〜17は、上記以外の他の態様である。
【0147】
表1・2・3・4から、本発明の有機ガラスの着色方法を用いた実施例は、製品として十分な染色が可能であることが分かる。特に、実施例1〜17の染色方法で得られた染色品は、実施例18〜27で得られた染色品よりも全体的に透過率が低いことが分かる。すなわち、より染色性が良好であって、望ましい態様であることが分かる。
【0148】
対して、比較例1〜4は、染料媒体膜の溶解による剥離ができず、染色性に劣るものであった。また、比較例5は、対応する実施例3,4と比較し、ハードコート前と比べてハードコート後の視感度透過率の差が大きく上昇していることから、後工程での色落ちが激しいことが分かる。また、比較例6は、対応する実施例5と比較し、ハードコート前の視感度透過率の値が大きいことから、ほとんど着色されなかったことが分かる。
【0149】
なお、上記各実施例と各請求項との対応を明確にするため、以下に参考として実施例−請求項対応表を付す。
【0150】
【表5】
Figure 0004386568

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機ガラス着色方法を示す概略工程図。

Claims (12)

  1. 有機ガラス基材に染料媒体膜を介して昇華移染により染色を行って有機ガラスの着色をする方法において、
    (1) 有機ガラス基材の表面に、SP値15以下の有機溶媒に溶解可能な熱可塑性樹脂(水溶性樹脂を除く。)で媒体樹脂塗膜を形成した後、染色浴に浸漬して前記媒体樹脂塗膜に染料吸着をさせて前記染料媒体膜を形成する染料媒体膜形成工程、
    (2) 加熱して前記染料媒体膜中の染料を有機ガラス基材に転写(昇華移染)させる染料移染工程、
    (3) 前記染料媒体膜をSP値8〜11の有機溶媒で溶解して脱膜させる染料媒体膜除去工程、
    の各工程を順次経て着色有機ガラスを得ることを特徴とする有機ガラスの着色方法。
  2. 前記染色浴が、水及び有機溶剤からなる染料溶解剤にて染料を一部若しくは完全溶解させたものであることを特徴とする請求項1記載の有機ガラスの着色方法
  3. 有機ガラス基材に染料媒体膜を介して昇華移染により染色を行って有機ガラスの着色をする方法において、
    (1) 有機ガラス基材の表面に、染料を含有するSP値15以下の有機溶媒に溶解可能な熱可塑性樹脂(水溶性樹脂を除く。)で前記染料媒体膜を形成する染料媒体膜形成工程、
    (2) 加熱して前記染料媒体膜中の染料を有機ガラス基材に転写(昇華移染)させる染料移染工程、
    (3) 前記染料媒体膜をSP値8〜11の有機溶媒で溶解して脱膜させる染料媒体膜除去工程、
    の各工程を順次経て着色有機ガラスを得ることを特徴とする有機ガラスの着色方法。
  4. 前記染料媒体膜を形成する前記熱可塑性樹脂が、水及び有機溶剤からなる又は有機溶剤のみからなる染料溶解剤にて一部若しくは完全溶解された染料を含有することを特徴とする請求項3記載の有機ガラスの着色方法。
  5. 前記染料溶解剤がSP値〜13の有機溶媒を必須成分として含むことを特徴とする請求項2又は4記載の有機ガラスの着色方法。
  6. 前記染料を非水溶性染料とすることを特徴とする請求項1又は3記載の有機ガラスの着色方法。
  7. 前記染料媒体膜を形成する前記熱可塑性樹脂がアクリル系熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1又は3記載の有機ガラスの着色方法。
  8. 前記染料移染工程において、加熱処理の温度及び/又は時間に勾配を持たせ、かつ必要により部分的に冷却を行うことにより、グラデーション染色を行うことを特徴とする請求項1又は3記載の有機ガラスの着色方法。
  9. 請求項1、3又は8記載の方法で着色されていることを特徴とする光学要素。
  10. 請求項9記載の光学要素表面に、さらにプライマー層を介して、又は介さずにハードコート膜が積層されてなることを特徴とする光学要素。
  11. 前記ハードコート膜がシリコーン系硬化塗膜であることを特徴とする請求項10記載の光学要素
  12. 前記ハードコート膜に、さらに無機反射防止膜が積層されてなることを特徴とする請求項10又は11記載の光学要素。
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