JP4390422B2 - ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新たなピリミジン特異的5’―ヌクレオチダーゼに関し、さらに詳しくは、該ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼの阻害により、ピリミジン系薬剤の薬効低下を防止する方法あるいは低下したピリミジン系薬剤の薬効を回復させる方法、さらに薬剤耐性の出現頻度が低減されたピリミジン系薬剤をスクリーニングする方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、真菌や悪性腫瘍細胞の増殖に対して阻害効果を示す多くのピリミジン系の薬剤が知られている。例えば、フルシトシン(5−FC)は、真菌の臓器感染症に対し有効性を示すことが確認されている数少ない抗真菌剤の一つである。また、フルオロウラシル(5−FU)やその類縁体であるテガフール(TGF)、ドキシフルリジン(5’−DFUR)といった薬剤は、種々の癌に対し臨床的に著明な効果を奏する。しかしながら、これらの薬剤に関しては耐性菌あるいは耐性細胞が容易に出現し、薬効が低下することが問題となっている(Mader R.,et al,Gen Pharmac.31,661−666(1998)、Bossche H.,et al,Trends in Microbiol.2,393−400(1994))。特にフルシトシンに関しては、薬剤耐性菌の出現が主原因となりその使用が制限されている。
【0003】
一部の抗悪性腫瘍剤については、多剤耐性タンパク質:MRP1(multidrug resistant protein)等の薬剤排出ポンプの発現が薬剤耐性形質の獲得と密接に関係している(Hipfner D.R.,et al,Biochem.Biophys.Acta 1461,359−376(1999))。
【0004】
しかしながら、ピリミジン系の薬剤については、薬剤耐性の生じる詳細な機作は未だ解明されておらず、したがって、その有効な解決方法も知られていない。
【0005】
一方、RNAポリメラーゼに対する数多くの伸長促進因子が知られているが、その一つにS−IIがある。S−IIは転写産物を正常な長さに進展するのに重要な役割を果たしていると考えられている(Sekimizu K.,et al,Biochemistry 18,1582−1588(1979))。また、哺乳類から酵母、昆虫および植物に至る真核生物で広範に発現しており、その配列は高度に保存されている。
【0006】
ところで、酵母におけるS−II発現欠損株は、ヌクレオチド三リン酸合成経路阻害剤の一つであり、上記ピリミジン系の薬剤の一例である6−アザウラシル(6−AU)に高い感受性を示すことが知られている(Nakanishi T.,et al, J Biol Chem,270,8991−8995(1995))。6−AUは以下の機序により酵母の増殖を阻害する。すなわち、6−AUは酵母内でリボシル化およびリン酸化を受け、活性体の6−アザウリジン−リン酸(6−azaUMP)へと変換される。6−azaUMPは、それぞれプリン合成経路およびピリミジン合成経路の鍵酵素として知られている、イノシン−リン酸(IMP)脱水素酵素とオロチジル酸脱炭酸酵素活性を阻害し、その結果として、ヌクレオチド三リン酸の合成が抑制され、転写伸長反応が阻害される。以上の事実から、6−AUの代謝に関与する何らかの因子がS−IIによって発現制御を受けるものと考えられる(Nakanishi T.,et al, J Biol Chem,270,8991−8995(1995))。
【0007】
一方、S−II発現欠損株の6−AUに対する感受性を抑制する因子としてSDT1(SSM1とも称される)が知られている(Shimoaraiso M.,et al, J Biol Chem 275,29623−29627(2000))が、その生物学的機能については不明であるとされている。しかしながら、SDT1が上述の通りS−II発現欠損株の6−AUに対する感受性を抑制すること、また、SDT1発現欠損株が6−AUに関して感受性を示す(Shimoaraiso M.,et al, J Biol Chem 275,29623―29627(2000))ことから、SDT1機能を抑制することにより6−AUに対する感受性の低下を回復できると考えられる。
【0008】
したがって、SDT1の機能が解明できれば、上述のピリミジン系薬剤に関して問題となっている薬剤耐性を克服する新たな方法が提示されることが期待できると考えた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、SDT1の機能を明らかにすることにより、ピリミジン系薬剤の薬剤耐性を解決する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、本発明者は、SDT1を過剰発現した酵母は、野生株と比較して、ピリミジン系薬剤に対する感受性が極端に低下する一方、イノシン5’−モノリン酸(IMP)脱水素酵素阻害剤であるマイコフェノール酸(MPA)に対しては野生株とほぼ同等の感受性を示すことを見出した。また、該SDT1過剰発現株の抽出液には、野生株のそれと比較して非常に高いウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)脱リン酸化活性(UMPase活性)が観察されることを見出した。
【0011】
さらに本発明者は、遺伝子工学的手法を用いて組換えSDT1を発現・精製し、SDT1が、ピリミジン5’−リボヌクレオチドを良好に加水分解する一方、ピリミジン5’−デオキシリボヌクレオチドに対しては極めて弱い加水分解活性しか示さず、またプリン5’−リボヌクレオチドとプリン5’−デオキシリボヌクレオチドについても弱い加水分解活性しか示さないという基質特異性を有するピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼであることを見出した。このような基質特異性を示す5’−ヌクレオチダーゼは現在知られていない。
【0012】
以上の結果により、ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼであるSDT1の過剰発現が、抗真菌剤に関して臨床現場において問題となっている薬剤耐性の一因であると考えられる。さらに、抗真菌剤に限らず、ピリミジン系薬剤の薬剤耐性は、SDT1と同じ基質特異性を有するピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼの過剰発現により生じていると考えられる。
【0013】
これらの知見に基づき、本発明者は、(1)ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼを阻害する手段を講じることにより、ピリミジン系薬剤の薬効低下を防止する方法、あるいは該ピリミジン系薬剤の薬効を回復する方法、ならびに(2)真菌内あるいは悪性腫瘍細胞内で代謝されリン酸化をされたピリミジン系薬剤の活性代謝物が、ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼによる脱リン酸化を受けないような薬剤を選抜する工程を含む、ピリミジン系薬物をスクリーニングする方法、を見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、以下の発明を提供するものである。
1.下記▲1▼から▲3▼の基質特異性を有するピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼ;
▲1▼ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
▲2▼デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
▲3▼プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す。
【0015】
2. (1)ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
(2)デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
(3)プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す、ポリペプチドであって、下記の群より選ばれるポリペプチド;
▲1▼配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
▲2▼前記▲1▼のポリペプチドと少なくとも約70%のアミノ酸配列上の相同性を有するポリペプチド、および、
▲3▼前記▲1▼のポリペプチドにおいて1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入を有するポリペプチド。
【0016】
3. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドの5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、ピリミジン系薬剤の薬効低下を防止する方法。
4. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドの5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、ピリミジン系抗真菌剤またはピリミジン系抗悪性腫瘍剤の薬効低下を防止する方法。
5. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドの5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、6−アザウラシル(6−AU)、フルシトシン(5−FC)またはフルオロウラシル(5−FU)の薬効低下を防止する方法。
【0017】
6. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドの5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、該ピリミジン系薬剤の薬効を回復する方法。
7. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドの5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、ピリミジン系抗真菌剤に対し薬剤耐性を示す真菌あるいはピリミジン系抗悪性腫瘍剤に対し薬剤耐性を示す悪性腫瘍細胞において、該ピリミジン抗真菌剤または該ピリミジン系抗悪性腫瘍剤の薬効を回復する方法。
8. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドの5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、6−アザウラシル(6−AU)またはフルシトシン(5−FC)に対し薬剤耐性を示す真菌において、6−AUまたは5−FCの薬効を回復する方法。
9. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドの5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、フルオロウラシル(5−FU)に対し薬剤耐性を示す悪性腫瘍細胞において、5−FUの薬効を回復する方法。
【0018】
10. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドの5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害する化合物のスクリーニング方法。
11. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物。
12. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも1つ含有する医薬組成物。
【0019】
13. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも1つ含有するピリミジン系薬剤の薬効低下防止剤。
14. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも1つ含有するピリミジン系抗真菌剤あるいはピリミジン系抗悪性腫瘍剤の薬効低下防止剤。
15. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも1つ含有する6−アザウラシル(6−AU)、フルシトシン(5−FC)、またはフルオロウラシル(5−FU)の薬効低下防止剤。
【0020】
16. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも1つ含有するピリミジン系薬剤の薬効回復剤。
17. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも1つ含有するピリミジン系抗真菌剤またはピリミジン系抗悪性腫瘍剤の薬効回復剤。
18. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも1つ含有する6−アザウラシル(6−AU)、フルシトシン(5−FC)、またはフルオロウラシル(5−FU)の薬効回復剤。
【0021】
19. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも一つ含有するピリミジン系薬剤。
20. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも一つ含有するピリミジン系抗真菌剤。
21. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも一つと6−アザウラシル(6−AU)またはフルシトシン(5−FC)とを含有するピリミジン系抗真菌剤。
【0022】
22. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも一つ含有するピリミジン系抗悪性腫瘍剤。
23. 10.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも一つとフルオロウラシル(5−FU)とを含有するピリミジン系抗悪性腫瘍剤。
【0023】
24. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドの5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害する化合物を含有する、ピリミジン系薬剤の薬効低下防止剤。
25. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドの5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害する化合物を含有する、ピリミジン系薬剤の薬効回復剤。
26. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドの5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害する化合物を含有する、ピリミジン系抗真菌剤。
27. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドの5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害する化合物を含有する、ピリミジン系抗悪性腫瘍剤。
【0024】
28. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドが供試化合物の活性代謝物を脱リン酸化する活性を測定する工程を含む、ピリミジン系薬剤のスクリーニング方法。
29. ピリミジン系抗真菌剤またはピリミジン系抗悪性腫瘍剤のスクリーニング方法であって、1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドが供試化合物の活性代謝物を脱リン酸化する活性を測定し、該供試化合物の活性代謝物が脱リン酸化を受け難い化合物を選抜する工程を含む、ピリミジン系抗真菌剤またはピリミジン系抗悪性腫瘍剤のスクリーニング方法。
【0025】
30. 28.または29.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物。
31. 28.または29.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、またはそれらの水和物を少なくとも一つ含有する医薬組成物。
32. 28.または29.に記載のスクリーニング方法により得られた化合物、生理学的に許容されるその塩、およびそれらの水和物を少なくとも一つ含有する抗真菌剤あるいは抗悪性腫瘍剤。
【0026】
33. 1.に記載のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼまたは2.に記載のポリペプチドと5’−UMPまたは5’−CMPを含む、10.または28.もしくは29.に記載のスクリーニング方法で使用するための試薬キット。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明におけるピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼは、ヌクレオチドのリン酸エステル結合加水分解して、リン酸とヌクレオシドを生じさせる活性を有する、5’−ヌクレオチダーゼ(EC 3.1.3.5)に属する。
さらに、本発明におけるピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼとは、ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)に対しては強い加水分解活性を示す一方、ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、デオキシヌクレオチド、アデニンもしくはグアニンを塩基として有するプリンヌクレオチド、ウリジン−2’(3’)モノリン酸(2’(3’)―UMP)、およびアデノシン−2’(3’)モノリン酸(2’(3’)―AMP)については弱い加水分解活性しか示さない、加水分解酵素あるいは脱リン酸化酵素を意味する。本明細書においては、以降、特にことわりが無い限り、単に、ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼと称した場合も、上述の基質特異性を示す、ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼを指すものとする。
【0028】
5’−ヌクレオチダーゼ活性は、既に文献にて報告されている5’−ヌクレオチダーゼの活性測定方法の中から、適当な方法を選択して測定することができる(Widnell C.C.,Methods in Enzymol 32,368−374(1973)、Amici A.,et al,FEBS lett. 419,263−267(1997)等)。基質の種類以外は同じ条件にて活性測定を行った場合、5’−UMPあるいは5’−CMPを基質とした場合の活性と比較して、好ましくは1/10以下、さらに好ましくは1/20以下、の活性しか示さない基質については、5’−ヌクレオチダーゼが弱い活性しか示さない基質と判断できる。
【0029】
例えば、配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列を有するSDT1は、酵母において見出された、ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼの一例である。SDT1遺伝子は、文献(Shimoaraiso M.,et al, J Biol Chem 275,29623―29627(2000))に記載された方法で、取得することが可能である。すなわち、市販の酵母ゲノムライブラリーから、配列表の配列番号2と配列番号3に記載された塩基配列をプライマーとしたPCR法で、自己発現に必要なプロモーターなどを含めてSDT1遺伝子を増幅することが可能である。あるいは市販の酵母cDNAライブラリーから、配列表の配列番号4と配列番号5に記載された塩基配列をプライマーとしてPCR法を用いて取得することも出来る。
【0030】
得られたSDT1遺伝子を通常の遺伝子工学的手法を用いて適当な宿主細胞にて発現し、これを精製することによりSDT1を取得することが可能である。勿論、検出もしくは精製を容易にするために、または別の機能を付加するために、そのN末端側やC末端側に別の蛋白質、例えばアルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、IgG等の免疫グロブリンFc断片もしくはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)を、あるいはFLAG−tagもしくはHis×6−tag等のペプチドを、直接またはリンカーペプチド等を介して間接的に公知の遺伝子工学的方法を用いて付加することもできる。
【0031】
SDT1のアミノ酸配列と少なくとも約70%のアミノ酸配列上の相同性を有するポリペプチドであって、SDT1と同様の基質特異性を示すピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼも本発明の範囲に包含される。アミノ酸配列上の相同性は少なくとも約70%以上であればよいが、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。このような相同性を有するアミノ酸配列をコードする遺伝子は、SDT1遺伝子をプローブとして使用して酵母以外の他の生物由来のゲノムDNAまたはcDNAライブラリーなどをスクリーニングすることによっても取得することができる。このような相同遺伝子の取得方法は公知であり、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrookら編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、1989年)等に記載された方法に準じて、あるいはそれらの方法を改変して実施することが出来る。
【0032】
SDT1において1個ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入等の変異を導入し、さらにSDT1と同様の基質特異性を示すピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼも本発明の範囲に包含される。欠失、置換、付加および/または挿入等の変異を導入する手段は自体公知であり、例えばMolecular Cloning:A Laboratory Manual(Sambrookら編、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、1989年)等に記載された方法に準じて、あるいはそれらの方法を改変して実施することが出来る。このような変異の導入において、例えば、同族アミノ酸(極性アミノ酸、非極性アミノ酸、疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸、陽性荷電アミノ酸、陰性荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸等)の間での相互置換は容易に想定される。さらに、その構成アミノ基もしくはカルボキシル基等を修飾する等、機能の著しい変更を伴わない程度に改変が可能である。また、適宜糖鎖を付加することも可能である。
【0033】
本発明において、ピリミジン系の薬剤とは、ピリミジン環をその構造内に保持する、微生物等の増殖を阻害する薬効を有する薬剤を意味する。例えば、ピリミジン系の抗真菌剤として広く臨床で使用されているフルシトシン(5−FC)が挙げられる。また、臨床では用いられてはいないが、6−アザウラシル(6−AU)もピリミジン系抗真菌剤の一例である。あるいは、ピリミジン系抗悪性腫瘍剤として、臨床にて用いられている、フルオロウラシル(5−FU)、テガフール、テガフール・ウラシル配合剤、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、カルモフール、ドキシフルリジン(5’−DFUR)等もピリミジン系薬剤の一例である。あるいは、抗ウィルス剤であるラミブジン、ザルシタビン(ジデオキシシチジン)等のヌクレオシドアナログもピリミジン系薬剤に含まれる。これらの薬剤は、生体にとって不都合な真菌、悪性腫瘍細胞あるいはウィルス等の増殖を阻害することにより、それら不都合な増殖により誘引された疾患を治療する目的で医薬品として使用される。あるいは、防腐剤としても利用できる。
【0034】
薬剤耐性とは、一般に、ある薬剤を長期にわたって使用した場合に、その薬効が低下する現象、あるいは薬剤に対する感受性が低下する現象を指す。抗悪性腫瘍剤等についてこのような現象が生じうることはよく知られており、文献にて詳細に報告されている(Mader R.,et al,Gen Pharmac.31,661−666(1998)、Bossche H., et al,Trens in Microbiol.2,393−400(1994))。
【0035】
本発明において、ピリミジン系薬剤の薬効低下を防止する方法とは、上記のピリミジン系薬剤について薬剤耐性の出現を防止する方法、すなわち、該ピリミジン系薬剤の投与とともに以下に記載の5’−ピリミジン特異的ヌクレオチダーゼの機能を阻害する何らかの手段を講じることにより、真菌あるいは悪性腫瘍細胞等の薬剤耐性獲得を抑制して薬剤耐性菌あるいは耐性細胞等の出現頻度を低下する方法を意味する。本防止方法を用いることにより、上記ピリミジン系薬剤を、薬剤耐性を考慮することなく使用することが可能となる。また、薬剤耐性のモニタリングの必要なしに一定の投与量で長期間治療することが可能となり、治療の簡素簡便化が達成されるものと期待できる。
【0036】
ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼの働きを阻害する手段としては、具体的には、上記ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼのアンチセンスRNA、上記ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼに対する抗体、上記ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼの一部を改変し、ヌクレオチダーゼ活性を有しないものの基質に対する親和性は上記ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼのそれと等しいような変異体(ドミナントネガティブ変異体)、下記スクリーニング系により選別された化合物等が挙げられる。
【0037】
本発明において、ピリミジン系薬剤の薬効を回復する方法とは、ピリミジン系薬剤に対する耐性菌あるいは耐性細胞等において該ピリミジン系薬剤の薬効を改善する方法を意味する。たとえば、該ピリミジン系の薬剤が抗真菌剤である場合には、該抗真菌剤が奏効しなくなった真菌あるいは真菌感染症を罹患し該抗真菌剤が奏効しなくなった患者に対し、該ピリミジン系の薬剤が抗悪性腫瘍剤である場合には、該抗悪性腫瘍剤が奏効しなくなった悪性腫瘍細胞あるいは該抗悪性腫瘍剤が奏効しなくなった癌患者に対し、上述の5’−ピリミジン特異的ヌクレオチダーゼを阻害する何らかの手段を講じることにより、該ピリミジン系薬剤が再度薬効を示すようにする方法、を意味する。
【0038】
本発明において、ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼの活性を阻害する化合物のスクリーニング方法とは、ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼ阻害物質の同定方法である。これは、例えば文献(Widnell C.C.,Methods in Enzymol 32,368−374(1973))で報告されている5’−ヌクレオチダーゼの活性測定方法を用いて、本発明のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼを酵素源として使用することにより具体的に実施することが可能である。例えば、マグネシウム塩を含有したトリス緩衝液に、1〜10mMの基質(5’−UMPあるいは5’−CMP)とSDT1とを適当量添加し、30〜37℃にて5〜120分加温した後、分光学的手法、あるいはHPLCで生成したリン酸を定量することによりヌクレオチダーゼ活性を測定することが出来る。この測定系に供試化合物を添加した場合としなかった場合の生成したリン酸量を比較することにより、供試化合物のヌクレオチダーゼ阻害活性を定量することが可能である。
【0039】
あるいは、SDT1を遺伝子導入した酵母に対しピリミジン系薬剤と共に供試化合物を添加し、野生株と比較して該ピリミジン系薬剤の感受性が低下しないような化合物を選別するといった方法で、上記ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼ阻害化合物をスクリーニングすることも可能である。
【0040】
本発明のスクリーニング方法に供される供試化合物の種類は特に限定されず、任意の化合物を供試化合物として使用することができる。供試化合物は、個々の低分子化合物でもよいし、天然物抽出物中に存在する化合物でもよく、あるいは低分子化合物ライブラリー、ファージディスプレーライブラリーもしくはコンビナトリアルライブラリーでもよく、これらは全て本明細書で言う化合物の範疇に属するものとする。医薬品としての用途を勘案した場合、供試化合物としては、低分子化合物あるいは低分子化合物の化合物ライブラリーが好ましい。供試化合物としては、ピリミジン系化合物を使用することもできる。
【0041】
こうして見出されたピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼ阻害活性を有する薬物をピリミジン系薬剤と共に投与すれば、上述の通り該ピリミジン系薬剤に対する薬剤耐性が生じ難くなる。
【0042】
あるいは、薬剤耐性を獲得し薬剤が効果を示さなくなった患者にピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼ阻害活性を有する薬物を投与すれば、該薬剤に対する抵抗性を回復することができる。
【0043】
また、ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼ阻害活性を有する薬物をピリミジン系薬剤との合剤として、抗真菌剤あるいは抗悪性腫瘍剤等とすることもできる。単剤としてピリミジン系薬剤と共に投与する場合には、投与割合を個体に応じて変化させることが可能であるし、合剤とした場合には患者にとっては服用しやすくなることが予測されるが、患者に好適の手段を選択すればよい。
【0044】
一方、本発明において、ピリミジン系薬剤のスクリーニング方法とは、供試化合物の真菌あるいは悪性腫瘍細胞等に対する増殖阻害作用効果を測定する工程と共に、該供試化合物の活性代謝物である5’−リン酸化合物が上記ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼにより脱リン酸化されるかどうかを判別する工程を、薬剤選抜の指標の一つとして含むスクリーニング方法を意味する。活性代謝物とは、投与したピリミジン系薬剤が代謝されて生成する、ピリミジン合成経路またはプリン合成経路に関わる酵素を直接阻害する活性をもつ化合物を意味し、たとえば、6−AUについては6−azaUMPが相当する。したがって、一般的には、例えば、ピリミジン化合物をリボシル化し5’位をリン酸化した化合物をピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼが加水分解するか否かを判定する工程を含むスクリーニング方法を意味する。
【0045】
あるいは、ピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼを過剰発現した細胞に対しても、野生株と同程度の阻害活性を示す薬剤を選抜するとの工程を追加することによっても、本発明のスクリーニング方法を実施することが出来る。例えば、SDT1を過剰発現した酵母と野生型酵母において、同等の増殖阻害活性を示すピリミジン系薬剤をスクリーニングすればよい。
【0046】
このようなスクリーニング方法によって選抜されてきたピリミジン系薬剤は、通常のスクリーニング系のみで選抜されてきたピリミジン系薬剤と比較して、真菌あるいは悪性腫瘍細胞に対して薬剤耐性を生じ難い性質を示すことが期待できる。したがって、真菌感染症の患者あるいは癌を罹患した患者に対して、長期にわたり安定して薬効を示しうる薬剤となる。
【0047】
本発明に関わるピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害する活性を有する化合物、あるいはピリミジン系薬剤スクリーニング方法により得られた化合物は、医薬品を開発する際に通常実施される試験を経た後、医薬品として提供することが可能である。
【0048】
本発明の薬剤の投与形態は特に制限されず、経口的・非経口的に投与することができる。本発明の薬剤としては、有効成分である化合物をそのまま用いてもよいが、有効成分の化合物と薬理学的及び製剤学的に許容しうる製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態で提供されることが好ましい。
【0049】
薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を用いることができる。経口投与に適する製剤の例としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、又はシロップ剤等を挙げることができる。非経口投与に適する製剤としては、例えば、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、点眼剤、点耳剤、軟膏剤、クリーム剤、又は貼付剤等を挙げることができる。
【0050】
本発明の薬剤の投与量は特に限定されず、有効成分の薬効、治療又は予防の目的、患者の年齢や症状、投与経路などの種々の条件に応じて適宜の投与量を選択することが可能であるが、一般的には、0.01mg〜500mg/日/成人ヒト、である。
【0051】
さらに本発明によれば、本発明のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼと、基質として5’−UMPあるいは5’−CMPを含む試薬キットを供給することも可能である。これらのキットを用いることにより、上述のピリミジン特異的5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害する化合物あるいは薬剤耐性の生じ難いピリミジン系化合物のスクリーニングを簡便に行うことができる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
実施例1
(SDT1過剰発現株の樹立)
文献(Shimoaraiso M.,et al,J Biol Chem275,29623〜29627(2000))に記載された方法を用いて、SDT1を含むプラスミドを、酵母ゲノムライブラリーより調製した。このプラスミドを、Kpn1−NcoIで切断することによりSDT1遺伝子の1.8Kbp断片を得た。当該遺伝子断片をマルチコピーシャトルベクターであるpYO323(pRS313(Sikorski R.S.and Hieter P.,Genetics 122,19−27(1989))からCEN6とARSH4を削除して作成した。)のSmaIサイトへ挿入し、プラスミドpH1275を調製した。得られたpH1275をBY4742酵母(Invitrogen社)へ導入し、SDT1過剰発現株を取得した。
【0053】
(薬剤感受性試験方法)
上記SDT1過剰発現株および野生株(ベクターのみを遺伝子導入した、BY4727酵母)、それぞれの各薬剤に対する感受性は、微量培養希釈法(Espinel−Ingroff A.,et al,J Clin Microbiol 29,1089−1094(1991))を用いて検定した。96ウェルプレート中、ウェルあたり約2000の酵母(0.0001ODunits)を、100μg/mlリジン、250μg/mlロイシン、薬剤、および1%DMSOを含んだ200μlのSD培地(アミノ酸非含有0.67%yeast nitrogen base及び2% グルコースを含む)に播種した。30℃で40時間培養後、波長595nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーを用いて測定することにより、各薬剤の酵母の増殖に与える影響を検討した。
【0054】
(UMPase活性の測定方法)
UMPase活性は、文献(Widnell C.C.,Methods in Enzymol 32,368−374(1973))に記載された方法に従って、以下に述べる方法で測定した。96ウェルプレートの各ウェルに60μlの反応液(適当量のタンパク質を添加した0.1M トリス塩酸 pH8.5、10mM MgCl2、1mM ジチオトレイトール、10mM UMPを含む溶液)を調製し、30℃で10分間加温した。ここに150μlの展開液(1.4% アスコルビン酸、0.36% モリブデン酸アンモニウム、0.86N硫酸)を添加し、45℃で20分間加温した後、820nmの波長における吸光度を測定した。生成したリン酸量は、リン酸一カリウム溶液を用いて作成した標準曲線を用いて換算した。1分間に1μmolのリン酸を5’−UMPより遊離する酵素活性を1ユニットと定義した。
【0055】
(SDT1過剰発現株の薬剤感受性)
SDT1を過剰発現した酵母と野生型酵母それぞれの増殖に及ぼす各種抗真菌剤の効果を、図1に示す。また、IC50値を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
ピリミジン系以外の抗真菌剤であるアンホテリシンBとフルコナゾール、あるいはIMP脱水素酵素の阻害剤であるMPA(マイコフェノール酸)は、野生株とSDT1過剰発現株について同等の増殖阻害活性を示した。これに対し、ピリミジン系薬剤については、今回用いたいずれの薬剤についても、SDT1過剰発現株における薬剤の増殖阻害活性は、野生株のそれと比較して減弱した。これらの結果により、SDT1がピリミジン系薬物に対する薬剤耐性と密接に関係していることが示された。
【0058】
(SDT1過剰発現株抽出液中のUMPase活性の測定)
SDT1はハロ酸脱ハロゲン化酵素様加水分解酵素のコンセンサス配列を有している。また、6−AUはFUR1タンパク質により6−azaUMPに代謝されること、そして6−azaUMPは、IMP脱水素酵素やオロチジル酸脱炭酸酵素を阻害することが知られている(Exinger F. and Lacvoufe F.,Curr Genet 22,9−11、Handschumacher R.E.,J Biol Chem 235,2917−2919(1960))。さらに、これら6−azaUMPの酵素阻害活性は6―azaウリジンへ脱リン酸されることにより消失することも知られている(Handschumach R. and Pasternak C.,Biochim.Biophyss.Acta 234,451−452(1958))。
【0059】
これらの事実から、SDT1がUMPの脱リン酸に関わっているのではないかと推察し、SDT1過剰発現株、SDT1無発現変異株(Shimoaraiso M.,et al, J Biol Chem 275,29623〜29627(2000)、および野生株、それぞれの酵母から細胞抽出液を調製し、これらのUMPase活性を定量した。その結果、SDT1過剰発現株より調製した抽出液のUMPase活性は野生株より調製した抽出液の、およそ2.5倍の活性を示した。一方、無発現変異体株については、野生株の半分以下の活性しか示さなかった。以上の結果により、SDT1がUMPase活性を有することが明らかとなった。
【0060】
実施例2
(大腸菌における組換えSDT1蛋白質の発現と精製)
pH1275のSDT1遺伝子部分を、配列番号4および5に記載されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして、PCR法にて増幅し、pET21c(+)(Novagen社)に挿入し、His−tag融合蛋白質の取得に用いた。すなわち、得られたHis−tag融合SDT1発現プラスミド(pH1171)をBL21(DE3)CodonPlus−RIL(Stratagene社)に導入し、これをLB培地で培養した。0.4mM IPTG(isopropyl−β−thiogalactopyranoside)を添加した後、18℃で18時間培養することによりHis−tag融合SDT1(以下、組換えSDT1と称する)の発現を誘導した。
【0061】
組換えSDT1を発現した大腸菌を、抽出緩衝液(0.1M トリス塩酸、pH7.6、1mM UMP、1mM MgCl2、0.8mM PMSF(フェニルメタンスルホニルフルオリド)、17mM スペルミジン、0.21mg/ml ライソゾーム、0.5% デオキシコール酸ナトリウム)で溶解し、溶解液を100,000xgで1時間超遠心することにより、透明な上清を得た。
【0062】
この上清を、Ni樹脂(His−Bind resin、Novagen社)に供し、キットに添付された溶出緩衝液に1mM UMPと1mM MgCl2とを添加した溶出緩衝液により組換えSDT1を溶出した。イミダゾールをHiPrep 26/10脱塩カラム(Amersham Pharmacia Biotech社)により除去し、さらに、緩衝液1(0.1M トリス塩酸 pH 7.6、1mM MgCl2、1mM UMP)で平衡化したHiTrapChelatingカラム(Amersham Pharmacia Biotech社)に供した。当該カラムに吸着した組換えSDT1は、10−300mMの直線濃度勾配イミダゾールを溶解した緩衝液1により溶出した。
【0063】
上記の方法により精製された組換えSDT1の分子量は、緩衝液2(20mM トリス塩酸 pH7.6、1mM UMP、1mM MgCl2、1mM ジチオトレイトール(DTT)、0.15M NaCl)で平衡化したSuperose 12カラム(Amersham Pharmacia Biotech社)を使用し、ウシ血清アルブミン(分子量=67000)、β−ラクトグロブリン(分子量=35000)、およびシトクローム C(分子量=12400)を標準蛋白としたゲルろ過により決定した。
【0064】
蛋白濃度は、Bradfordの方法(Bradford,M.M.AnalBiochem 72,248−254(1976))により求めた。イミダゾールの濃度は、320nmの吸光度により求めた。
【0065】
上記の方法に従ってHis−tag融合組換えSDT1を、大腸菌で発現し、これを電気泳動的に単一になるまで精製した。Ni−カラムに吸着したSDT1蛋白質は、図2に示すように、イミダゾール直線濃度勾配緩衝液により、UMPase活性と同じピークとして溶出された。UMPase活性および蛋白質のピークフラクションを集め、これをSDS−PAGEに供したところ、クマジブリリアントブルーによる染色にて、組換えSDT1は単一のバンドとして検出された。
【0066】
(組換えSDT1の分子量の推定)
これまでに報告されているヌクレオチダーゼの多くはオリゴマーを形成することが知られている(Zimmermann H Biochem J 285,345−365(1992))。今回上記の方法により発現、精製したHis−Tag融合組換えSDT1の分子量は、ゲルろ過法により約33000と推察された。これは、アミノ酸配列より推定したSDT1の分子量32000とほぼ等しかったことにより、SDT1は既知の多くのヌクレオチダーゼとは異なり、溶液中では単量体で存在することが推察された。
【0067】
(速度量論の算出)
組換えSDT1について、見掛けKm値および相対Vmaxを、Lineweaver-Burkプロットから求めた。精製組み換えSDT1のKmは5’−UMPおよび5’−CMPについてそれぞれ1.2mMおよび2.3mMであった。5’−UMPおよび5’−CMPについてのVmaxはそれぞれ23μmol/分/mgおよび20μmol/分/mgであった。
【0068】
(組換えSDT1の基質特異性の検討)
次に、上記方法で精製した組換えSDT1を用いて、SDT1の基質特異性について検討した。活性測定は実施例1に記載した方法に従って、表2に記載したヌクレオチドを基質として用いて行った。活性値は、5’−UMPを基質とした時の加水分解活性を100とした比活性で示した。表2に示すように、SDT1は5’−UMPおよび5’−CMPを特異的に脱リン酸化することが明らかとなった。プリンヌクレオチド、2’−UMP、3’−UMP、デオキシヌクレオシド一リン酸、ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、オロチジン−5’−リン酸あるいはPNPPに対しては、脱リン酸活性を示さなかった。
【0069】
【表2】
【0070】
現在までに様々な基質特異性を示す5’−ヌクレオチダーゼが知られている(Zimmermann H., Biochem J 285,345−365(1992)、Amici A., et al,Biochem J 304,987−992(1994)、Ramoazzo C.,et al.J Biol Chem 275,5409−5415(2000)等)。そのなかにはピリミジンヌクレオチドを特異的に加水分解する活性を示すものがある。しかしながら、それらの酵素は、ピリミジンリボヌクレオチドと同様にピリミジンデオキシリボヌクレオチドについても良好なヌクレオチダーゼ活性を示す。したがって、SDT1はこれらの現在までに知られているピリミジン特異的ヌクレオチダーゼとは異なる基質特異性を示すヌクレオチダーゼであることが判明した。
【0071】
これらの知見は以下に述べることを示唆している。すなわち、SDT1を過剰発現した酵母は、6−AU、5−FCあるいは5−FUの増殖阻害に対して抵抗性を示したことから、現在臨床の場において非常に問題とされている、ピリミジン系抗真菌剤に関する薬剤耐性は、SDT1の過剰発現により生じている場合がある。本研究により、SDT1は、5’−UMPと5’−CMPに対し特異的に脱リン酸化活性を示す5’−ヌクレオチダーゼであることが明らかになったことにより、SDT1の脱リン酸化活性を阻害するような化合物を、ピリミジン系抗真菌剤と同時に投与することにより、薬剤耐性を予防することが出来るし、すでに薬剤耐性を獲得してしまった場合にもその低下した薬効を回復出来る。
【0072】
さらに、SDT1の活性阻害物質は、5’−UMPと5’−CMPを基質としてスクリーニング出来る。あるいは、ピリミジン系薬剤の活性本体は細胞内でリボシル化および5位リン酸化をうけたものであることが知られている(Bossche H.,et al, Trends in Microbiol 2,393−400(1994))ので、薬剤のスクリーニングの過程で、その5位がリン酸化された活性体がSDT1の基質とならないような薬剤を選抜することにより、長期間安定した薬効を示しうるピリミジン系薬剤を提供できる。
【0073】
一方、5−FU等の抗悪性腫瘍剤もピリミジン系の薬剤であるが、これらの薬剤についても、抗真菌剤と同様に薬剤耐性形質の獲得が非常に問題となっている(Mader R.,et al,Gen Pharmac.31,661−666(1998))。上記、実施例1により、SDT1過剰発現株においては5―FUに対する感受性も6−AUあるいは5−FCと同様に低下していることから、ピリミジン系抗悪性腫瘍剤に関する薬剤耐性についても、SDT1と同様の基質特異性を示すヌクレオチダーゼが関与している可能性が考えられる。したがって、SDT1と同様の基質特異性を示すヌクレオチダーゼの活性を阻害することにより、これら抗悪性腫瘍剤において問題となっている薬剤耐性についても克服できる。
【0074】
【発明の効果】
本発明により、ピリミジン系薬剤の薬剤耐性の問題を解決する有効な手段が提供される。したがって、これまで薬剤耐性が問題となって使用が制限されていたピリミジン系の薬剤を、一定の用量で長期間投与することが可能となり、従来の真菌感染症あるいは癌の治療剤と比較してさらに有用な治療方法、治療剤を提供できる。
【0075】
【配列表フリーテキスト】
配列表の配列番号1:SDT1タンパク質のアミノ酸配列
配列表の配列番号2:酵母ゲノムDNAライブラリーからSDT1遺伝子を増幅するときに用いるプライマー
配列表の配列番号3:酵母ゲノムDNAライブラリーからSDT1遺伝子を増幅するときに用いるプライマー
配列表の配列番号4:酵母cDNAライブラリーからSDT1遺伝子を増幅するときに用いるプライマー
配列表の配列番号5:酵母cDNAライブラリーからSDT1遺伝子を増幅するときに用いるプライマー
【0076】
【配列表】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、pH1275を遺伝子導入しSDT1を過剰発現したBY4742酵母(A)と、ベクターのみを遺伝子導入した野生型酵母(B)の増殖に、各種ピリミジン系薬剤が及ぼす効果を示す。6−AU;6-アザウラシル、5−FU;フルオロウラシル、5−FC;フルシトシン、MPA;マイコフェノール酸、AMPH;アンフォテリシンB、FLCZ;フルコナゾール。
【図2】図2は、Niキレーティングカラムに吸着したHis−tag融合組換えSDT1を、イミダゾール直線濃度勾配緩衝液にて溶出したクロマトグラフを示す。
Claims (11)
- (1)ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
(2)デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
(3)プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す、ポリペプチドであって、下記の群より選ばれるポリペプチド;
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)前記(i)のポリペプチドと95%以上のアミノ酸配列上の同一性を有するポリペプチド、および、
(iii)前記(i)のポリペプチドにおいて1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入を有するポリペプチド;
の5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、ピリミジン系薬剤の薬効低下をインビトロで防止する方法。 - (1)ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
(2)デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
(3)プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す、ポリペプチドであって、下記の群より選ばれるポリペプチド;
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)前記(i)のポリペプチドと95%以上のアミノ酸配列上の同一性を有するポリペプチド、および、
(iii)前記(i)のポリペプチドにおいて1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入を有するポリペプチド;
の5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、ピリミジン系抗真菌剤またはピリミジン系抗悪性腫瘍剤の薬効低下をインビトロで防止する方法。 - (1)ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
(2)デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
(3)プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す、ポリペプチドであって、下記の群より選ばれるポリペプチド;
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)前記(i)のポリペプチドと95%以上のアミノ酸配列上の同一性を有するポリペプチド、および、
(iii)前記(i)のポリペプチドにおいて1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入を有するポリペプチド;
の5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、6−アザウラシル(6−AU)、フルシトシン(5−FC)またはフルオロウラシル(5−FU)の薬効低下をインビトロで防止する方法。 - (1)ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
(2)デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
(3)プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す、ポリペプチドであって、下記の群より選ばれるポリペプチド;
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)前記(i)のポリペプチドと95%以上のアミノ酸配列上の同一性を有するポリペプチド、および、
(iii)前記(i)のポリペプチドにおいて1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入を有するポリペプチド;
の5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、ピリミジン系薬剤の薬効をインビトロで回復する方法。 - (1)ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
(2)デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
(3)プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す、ポリペプチドであって、下記の群より選ばれるポリペプチド;
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)前記(i)のポリペプチドと95%以上のアミノ酸配列上の同一性を有するポリペプチド、および、
(iii)前記(i)のポリペプチドにおいて1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入を有するポリペプチド;
の5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、ピリミジン系抗真菌剤に対し薬剤耐性を示す真菌あるいはピリミジン系抗悪性腫瘍剤に対し薬剤耐性を示す悪性腫瘍細胞において、該ピリミジン抗真菌剤または該ピリミジン系抗悪性腫瘍剤の薬効をインビトロで回復する方法。 - (1)ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
(2)デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
(3)プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す、ポリペプチドであって、下記の群より選ばれるポリペプチド;
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)前記(i)のポリペプチドと95%以上のアミノ酸配列上の同一性を有するポリペプチド、および、
(iii)前記(i)のポリペプチドにおいて1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入を有するポリペプチド;
の5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、6−アザウラシル(6−AU)またはフルシトシン(5−FC)に対し薬剤耐性を示す真菌において、6−AUまたは5−FCの薬効をインビトロで回復する方法。 - (1)ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
(2)デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
(3)プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す、ポリペプチドであって、下記の群より選ばれるポリペプチド;
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)前記(i)のポリペプチドと95%以上のアミノ酸配列上の同一性を有するポリペプチド、および、
(iii)前記(i)のポリペプチドにおいて1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入を有するポリペプチド;
の5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害することにより、フルオロウラシル(5−FU)に対し薬剤耐性を示す悪性腫瘍細胞において、5−FUの薬効をインビトロで回復する方法。 - (1)ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
(2)デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
(3)プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す、ポリペプチドであって、下記の群より選ばれるポリペプチド;
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)前記(i)のポリペプチドと95%以上のアミノ酸配列上の同一性を有するポリペプチド、および、
(iii)前記(i)のポリペプチドにおいて1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入を有するポリペプチド;
の5’−ヌクレオチダーゼ活性を阻害する化合物のスクリーニング方法。 - (1)ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
(2)デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
(3)プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す、ポリペプチドであって、下記の群より選ばれるポリペプチド;
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)前記(i)のポリペプチドと95%以上のアミノ酸配列上の同一性を有するポリペプチド、および、
(iii)前記(i)のポリペプチドにおいて1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入を有するポリペプチド;
が供試化合物の活性代謝物を脱リン酸化する活性を測定する工程を含む、ピリミジン系薬剤のスクリーニング方法。 - ピリミジン系抗真菌剤またはピリミジン系抗悪性腫瘍剤のスクリーニング方法であって、
(1)ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
(2)デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
(3)プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す、ポリペプチドであって、下記の群より選ばれるポリペプチド;
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)前記(i)のポリペプチドと95%以上のアミノ酸配列上の同一性を有するポリペプチド、および、
(iii)前記(i)のポリペプチドにおいて1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入を有するポリペプチド;
が供試化合物の活性代謝物を脱リン酸化する活性を測定し、該供試化合物の活性代謝物が脱リン酸化を受け難い化合物を選抜する工程を含む、ピリミジン系抗真菌剤またはピリミジン系抗悪性腫瘍剤のスクリーニング方法。 - (1)ウリジン5’−モノリン酸(5’−UMP)とシチジン5’−モノリン酸(5’−CMP)を加水分解し、
(2)デオキシウリジン5’−モノリン酸(5’−dUMP)またはデオキシシチジン5’−モノリン酸(5’−dCMP)を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示し、
(3)プリンヌクレオシド5’−モノリン酸を基質とした場合には、5’−UMPまたは5’−CMPを基質とした場合の1/10以下の加水分解活性を示す、ポリペプチドであって、下記の群より選ばれるポリペプチド;
(i)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(ii)前記(i)のポリペプチドと95%以上のアミノ酸配列上の同一性を有するポリペプチド、および、
(iii)前記(i)のポリペプチドにおいて1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加および/または挿入を有するポリペプチド;
と5’−UMPまたは5’−CMPを含む、請求項8または請求項9もしくは10に記載のスクリーニング方法で使用するための試薬キット。
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