JP4396063B2 - A/d変換方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力電圧を数値データに変換するA/D変換方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、特開平5−259907号公報に開示されているように、ゲート回路からなる遅延ユニットを複数段縦続接続したパルス遅延回路を利用して、入力電圧を数値データに変換するA/D変換装置が知られている。
【0003】
この種のA/D変換装置は、例えば、図8(a)又は図8(b)に示す如く構成される。
即ち、まず、図8(a)に示すA/D変換装置は、入力パルスPinを所定の遅延時間だけ遅延させて出力する遅延ユニット2を複数段縦続接続することにより構成されたパルス遅延回路10と、外部から入力されるサンプリング信号CKSの立上がり(または立下がり)タイミングで、パルス遅延回路10内での入力パルスPinの到達位置を検出(ラッチ)し、その検出結果を、入力パルスPinが通過した遅延ユニット2が先頭から何段目にあるかを表す所定ビットのデジタルデータDTに変換して出力するラッチ&エンコーダ12と、を備える。
【0004】
また、パルス遅延回路10を構成する各遅延ユニット2は、インバータ等からなるゲート回路にて構成されており、各遅延ユニット2には、バッファ14等を介して、A/D変換対象となる入力電圧Vinが駆動電圧として印加されている。
【0005】
従って、各遅延ユニット2の遅延時間は、入力電圧Vinの電圧レベルに対応した時間となり、サンプリング信号CKSの一周期(以下サンプリング周期という)TS内にパルス遅延回路10内で入力パルスPinが通過する遅延ユニット2の個数は、入力電圧Vinの電圧レベルに比例することになる。
【0006】
例えば、図9(a)は、パルス遅延回路10内で入力パルスPinが伝送されているときの各遅延ユニット2(1) ,2(2) ,2(3) ,…の出力変化を表しているが、この図から明らかなように、入力電圧Vinが高い場合には、各遅延ユニット2での入力パルスPinの遅延時間が短くなることから、一サンプリング周期TSあたりにパルス遅延回路10内で入力パルスPinが通過する遅延ユニット2の段数は多くなり(図では先頭の遅延ユニット2(1) から10段目の遅延ユニット2(10)までの10段)、入力電圧Vinが低くなると、各遅延ユニット2での入力パルスPinの遅延時間が長くなることから、一サンプリング周期TS当たりにパルス遅延回路10内で入力パルスPinが通過する遅延ユニット2の段数は少なくなる(図では先頭の遅延ユニット2(1) から7段目の遅延ユニット2(7) までの7段)。
【0007】
この結果、ラッチ&エンコーダ12からの出力(デジタルデータDT)は、入力電圧Vinの電圧レベルに応じて変化することになり、デジタルデータDTは入力電圧VinをA/D変換した数値データとなる。
つまり、図8(a)に示したA/D変換装置では、図9(b)に示すように、パルス遅延回路10内での入力パルスPinの伝送速度SPが、各遅延ユニット2に駆動電圧として印加される入力電圧Vinに比例して変化することから、一定のサンプリング周期TS毎に、ラッチ&エンコーダ12を用いて、入力パルスPinが通過した遅延ユニット2の段数を計測することにより、入力電圧Vinを数値データ(デジタルデータDT)に変換するのである。
【0008】
一方、図8(b)に示すA/D変換装置は、図8(a)に示したA/D変換装置において、パルス遅延回路10を構成する初段の遅延ユニット2を、一方の入力端子を起動用端子とするアンドゲートにて構成し、この初段の遅延ユニット2のもう一つの入力端子と、最終段の遅延ユニット2の出力端子とを接続して、全遅延ユニット2をリング状に連結することにより、パルス遅延回路10を、入力パルスPinを周回させることができるリングディレイライン(RDL)として構成すると共に、更に、このパルス遅延回路10内での入力パルスPinの周回回数をカウントするカウンタ16と、このカウンタ16によるカウント値をサンプリング信号CKSの立上がり(又は立下がり)タイミングでラッチするラッチ回路18とを設けたものである。
【0009】
そして、このように構成されたA/D変換装置では、ラッチ&エンコーダ12から出力されるデジタルデータを、入力電圧Vinの電圧レベルを表す下位ビットデータa、ラッチ回路18から出力されるカウント値を、入力電圧Vinの電圧レベルを表す上位ビットデータb、とするデジタルデータDTを得ることができ、図8(a)に示したA/D変換装置に比べて、パルス遅延回路10を構成する遅延ユニット2の個数を少なくできる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように構成された従来のA/D変換装置においては、図9(c)に示すように、一定のサンプリング周期TS毎に、入力パルスPinが通過した遅延ユニットの段数を数値化することにより、入力電圧Vinを数値データ(デジタルデータDT)に変換することから、A/D変換の分解能は、遅延ユニット2を入力パルスPinが通過する時間(遅延時間)で決定される。
【0011】
そして、遅延ユニット2の遅延時間は、遅延ユニットを構成するゲート回路の特性により決定されることから、従来のA/D変換装置において、A/D変換の分解能を高めるには、ゲート回路の製造技術の改良により、ゲート回路の単位遅延時間を短くする必要があり、A/D変換の高分解能化には、ゲート回路の製造技術により制限を受けるという問題があった。
【0012】
例えば、図10は、図8(a)に示したA/D変換装置において、遅延ユニット2をCMOSインバータ2段で構成し、サンプリング信号CKSの周波数(サンプリング周波数):10kHz、周囲温度:25°Cで動作させた場合のA/D変換値の電圧分解能と、遅延ユニット2の1段あたりの遅延時間(単位遅延時間Td)と、CMOSインバータ製造時のプロセス微細化のルール(CMOSデザインルール)との関係を表す説明図であるが、図に実線で示すように、従来のA/D変換装置において、A/D変換値の電圧分解能を高めるには、CMOSデザインルールをより微細化して、遅延ユニット2の単位遅延時間Tdをより小さくする必要があり、このためには、遅延ユニット2を構成するゲート回路を製造する際のプロセス微細化技術がより改善されるのを待つしかないのである。
【0013】
また、上記従来のA/D変換装置において、A/D変換の高速化を図るには、サンプリング周期TSを短くすればよいが、サンプリング周期TSを短くすると、同一の入力電圧Vinに対して得られるデジタルデータのビット数が少なくなり、得られる分解能が低下することから、高速で所望分解能のA/D変換結果を得る必要のあるアプリケーション(例えば10bit,1MHz)ではスピード不足で対応できないという問題もある。
【0014】
一方、上記従来のA/D変換装置において、パルス遅延回路を構成する各遅延ユニット2は、入力電圧Vinに応じて遅延時間が変化するだけでなく、周囲温度等の使用環境によっても遅延時間が変動する。つまり、入力電圧Vinが一定であっても、低温時には、遅延ユニット2の遅延時間が短くなって、パルス遅延回路10内での入力パルスPinの伝送速度SPが、図9(b)における入力電圧Vinの高電圧側に変化し、逆に、高温時には、遅延ユニット2の遅延時間が長くなって、パルス遅延回路10内での入力パルスPinの伝送速度SPが、図9(b)における入力電圧Vinの低電圧側に変化してしまうのである。
【0015】
そして、こうした問題を解決するために、例えば、特開平7−154256号公報、特開平5−37378号公報、特開平11−44585号公報、特開平11−64135号公報等に開示された技術を利用して、A/D変換対象となる入力電圧Vinと電圧一定の基準電圧とを夫々A/D変換し、その両者の比を演算することで、周囲環境変化に伴うA/D変換値の変動分をキャンセルすることが考えられるが、このような対策では、入力電圧Vin及び基準電圧のA/D変換を、A/D変換装置への入力を切り換えることにより、順次行う必要があるため、所望のA/D変換値を得るには時間がかかるという問題がある。また、この場合、A/D変換装置への入力切り換えのための切換回路や、変動分キャンセルのための処理回路を別途設ける必要があるため、装置構成が複雑になり、A/D変換装置のコストアップを招くという問題がある。
【0016】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、遅延ユニットを複数段縦続接続したパルス遅延回路を利用して入力電圧を数値データに変換するA/D変換装置において、遅延ユニットを構成するゲート回路の製造技術により制限を受けることなく、A/D変換の高分解能化若しくは高速化を図ることを第1の目的とし、温度変化等の環境変化に対して安定したA/D変換値が得られるようにすることを第2の目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
請求項1に記載のA/D変換方法は、上述した第1の目的を達成するためになされたものであり、2つのパルス遅延回路(第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路)を利用して、入力電圧Vinを数値データ(デジタルデータ)に変換する。
【0018】
即ち、本発明方法では、第1パルス遅延回路には、A/D変換対象となる入力電圧Vinを、第1パルス遅延回路を構成する各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力し、第2パルス遅延回路には、入力電圧Vinを、第2パルス遅延回路を構成する各第2遅延ユニットの遅延時間を第1パルス遅延回路とは逆方向に(第1遅延ユニットの遅延時間が短くなる場合には第2遅延ユニットの遅延時間が長くなり、第1遅延ユニットの遅延時間が長くなる場合には第2遅延ユニットの遅延時間が短くなるように)制御する信号として入力する。
【0019】
この結果、例えば、入力電圧Vinが高く、第1パルス遅延回路内でのパルス信号の伝送速度が早くなる場合には、第2パルス遅延回路内でのパルス信号の伝送速度が遅くなり、逆に、入力電圧Vinが低く、第1パルス遅延回路内でのパルス信号の伝送速度が遅くなる場合には、第2パルス遅延回路内でのパルス信号の伝送速度が早くなる。
【0020】
そして、本発明方法では、この状態で、各パルス遅延回路を起動して、各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させ、そのとき各パルス遅延回路内で生じるパルス信号の伝送速度の比率を数値化することで、入力電圧Vinを数値データに変換する。
【0021】
従って、本発明方法によれば、上記のように、入力電圧Vinが高く、第1パルス遅延回路内でのパルス信号の伝送速度が早くなる場合には、第2パルス遅延回路内で生じる遅い伝送速度との比率を数値化することにより、A/D変換結果となる数値データ(デジタルデータ)として、より大きな値を設定でき、逆に、入力電圧Vinが低く、第1パルス遅延回路内でのパルス信号の伝送速度が低い場合には、第2パルス遅延回路内で生じる早い伝送速度との比率を数値化することにより、A/D変換結果となる数値データ(デジタルデータ)として、より小さな値を設定できることになる。
【0022】
よって、本発明方法によれば、一つのパルス遅延回路を用いて入力電圧Vinを数値データに変換する従来のA/D変換方法に比べて、得られる数値データ(デジタルデータ)の電圧分解能を高めることができるようになる。つまり、本発明方法によれば、従来、遅延ユニット1段当たりの単位遅延時間Tdを決定する遅延ユニットの製造技術(CMOSデザインルール)により制限されていたA/D変換の分解能を、図10に点線矢印で示すように、遅延ユニットの製造技術(CMOSデザインルール)に制限されることなく、所望の分解能まで高めることができるようになるのである。
【0023】
また、例えば、A/D変換の分解能を、従来と同程度に設定する場合には、その分解能を実現するのに要する各パルス遅延回路での伝送速度の計測時間(つまりサンプリング周期)を短くすることができる。このため、本発明方法によれば、入力電圧Vinを所望の分解能でA/D変換するのに要する時間を、従来方法に比べて短くし、A/D変換の高速化を図ることもできる。
【0024】
ここで、請求項1に記載のA/D変換方法では、第1パルス遅延回路には、A/D変換対象となる入力電圧Vinを、第1パルス遅延回路を構成する各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力し、第2パルス遅延回路には、入力電圧Vinを、第2パルス遅延回路を構成する各第2遅延ユニットの遅延時間を第1パルス遅延回路とは逆方向に制御する信号として入力するが、こうした信号入力を容易に実現するには、請求項2に記載の方法を利用するとよい。
【0025】
即ち、請求項2に記載のA/D変換方法においては、第1パルス遅延回路には、各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として、入力電圧Vinをn倍増幅した信号、若しくは、その増幅後の信号に更に所定の第1オフセット電圧を加えた信号を入力し、第2パルス遅延回路には、各第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として、入力電圧Vinをm倍増幅(但し、mとnとは正負の符号+,−が異なる)した信号、若しくは、その増幅後の電圧に更に所定の第2オフセット電圧を加えた信号を入力する。
【0026】
この結果、請求項2に記載のA/D変換方法によれば、入力電圧Vinの変化に対して、第1パルス遅延回路へ入力される電圧信号の変化方向と、第2パルス遅延回路へ入力される電圧信号の変化方向とを、互いに逆方向にすることができ、各パルス遅延回路を構成する遅延ユニット(第1遅延ユニット及び第2遅延ユニット)の遅延時間を、入力電圧Vinに応じて、互いに逆方向に変化させることができるようになる。
【0027】
尚、各パルス遅延回路に入力する電圧信号の入力電圧Vinに対する倍率n,mは、A/D変換対象となる入力電圧Vinの変動幅に応じて適宜設定すればよく、例えば、入力電圧Vinの変動幅が大き過ぎる場合には、倍率n,mに値1よりも小さい値を設定すればよく、入力電圧Vinの変動幅が小さ過ぎる場合には、倍率n,mに値1よりも大きい値を設定すればよく、入力電圧Vinの変動幅がA/D変換するのに適していれば、倍率n,mに値1を設定すればよい。
【0028】
また、第1オフセット電圧及び第2オフセット電圧は、入力電圧Vinが各パルス遅延回路のグランド電位を中心に正負に変化する際に、各パルス遅延回路へ入力される電圧信号が常に正電圧となるようにするためのものであり、これら各オフセット電圧についても、A/D変換対象となる入力電圧Vinに応じて適宜、設定すればよい。
【0029】
そして、例えば、各パルス遅延回路に入力する信号の入力電圧Vinに対する倍率n,mや第1及び第2オフセット電圧を同一にすれば、2つのパルス遅延回路(第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路)でのパルス信号の伝送速度を互いに逆方向に同じ割合で変化させることができることから、一つのパルス遅延回路で入力電圧VinをA/D変換した場合に比べて、A/D変換の分解能を2倍にすることができる。また、例えば、各パルス遅延回路に入力する信号の入力電圧Vinに対する倍率n,mや第1オフセットと第2オフセット電圧とを異なる値に設定すれば、それら各値の比率に応じて、A/D変換の分解能を任意に設定することができる。
【0030】
一方、請求項3に記載のA/D変換方法は、上述した第2の目的を達成するためになされたものであり、請求項1に記載のA/D変換方法と同様、2つのパルス遅延回路(第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路)を利用して、入力電圧Vinを数値データ(デジタルデータ)に変換する。そして、請求項1に記載のA/D変換方法と異なる点は、第2パルス遅延回路の利用方法にある。
【0031】
即ち、本発明方法では、第1パルス遅延回路には、A/D変換対象となる入力電圧Vinを、第1パルス遅延回路を構成する各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力するが、第2パルス遅延回路には、所定の基準電圧を、第2パルス遅延回路を構成する各第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力する。そして、本発明方法では、この状態で、各パルス遅延回路を起動して、各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させ、そのとき各パルス遅延回路内で生じるパルス信号の伝送速度の比率を数値化することで、入力電圧Vinを数値データに変換する。
【0032】
従って、本発明方法によれば、温度変化等の環境変化に伴うA/D変換誤差を、各パルス遅延回路を構成する遅延ユニットの遅延時間の変動分にて相殺することができ、A/D変換誤差を低減できる。
つまり、本発明方法においては、第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として基準電圧を第2パルス遅延回路に入力することから、第2パルス遅延回路における第2遅延ユニットの遅延時間は、温度変化等の環境変化がなければ一定であるが、例えば、周囲温度が上昇すると長くなり、逆に、周囲温度が低下すると短くなる。しかし、第1パルス遅延回路を構成する第1遅延ユニットの遅延時間も同様に変化する。そして、本発明方法では、各パルス遅延回路内でのパルス信号の伝送速度の比率を数値化することにより、入力電圧VinをA/D変換することから、この数値化の際に、各パルス遅延回路で生じた温度変化等の環境変化に伴う各遅延ユニットの遅延時間の変動分は相殺される。
【0033】
よって、本発明方法によれば、温度変化等の環境変化の影響を受けることなく、常に安定したA/D変換値(数値データ)が得られるようになり、A/D変換誤差を低減できることになる。
また、本発明方法では、入力電圧VinのA/D変換と基準電圧のA/D変換とを同時に行うことになるので、入力電圧VinのA/D変換と基準電圧のA/D変換とを順に行い補正計算を行う従来装置に比べて、入力電圧VinのA/D変換を高速に行うことができる。
【0034】
尚、本発明方法を利用して、A/D変換誤差をより確実に抑制するには、A/D変換に用いる2つのパルス遅延回路(第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路)を同一構成にすることが好ましい。
次に、請求項3に記載のA/D変換方法においても、請求項4に記載のように、第1パルス遅延回路には、請求項2に記載のA/D変換方法と同様、入力電圧Vin若しくは入力電圧Vinをn倍増幅した電圧に所定の第1オフセット電圧を加えた信号を入力するようにし、その倍率nや第1オフセット電圧を、入力電圧Vinの変動幅等に基づき適宜設定するようにすればよい。
【0035】
そして、この場合、第1オフセット電圧と基準電圧とを同一電源を用いて生成するようにすれば、その電源電圧の変動に伴う第1オフセット電圧の変動分と基準電圧の変動分とを、各パルス遅延回路を構成する遅延ユニットの遅延時間の変動分にて相殺することができるようになる。
【0036】
一方、上述した請求項1〜請求項4に記載のA/D変換方法においては、2つのパルス遅延回路(第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路)内で生じるパルス信号の伝送速度の比率を数値化することで、入力電圧Vinを数値データに変換するが、伝送速度の比率を数値化する際には、請求項5に記載のように、各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させた際に生じる伝送速度を表す情報として、各パルス遅延回路内でパルス信号が通過した遅延ユニットの段数を用いるようにするとよい。
【0037】
また、この場合、各パルス遅延回路内でパルス信号が通過した遅延ユニットの段数は、各パルス遅延回路毎に、所定時間内にパルス信号が通過した遅延ユニットの段数をカウントすることにより夫々求め、これら各段数の比率を計算するようにしてもよいが、請求項6に記載のように、各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させた際に生じる伝送速度の比率を表す情報として、第2パルス遅延回路内でパルス信号が通過する第2遅延ユニットの段数が予め設定された設定段数に達するまでの間に、第1パルス遅延回路内でパルス信号が通過した第1遅延ユニットの段数を求めるようにすれば、比率の計算を行うことなく、入力電圧VinのA/D変換値(数値データ)を極めて簡単に設定できることになる。
【0038】
また、請求項5若しくは請求項6に記載のA/D変換方法のように、各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させた際に生じる伝送速度を表す情報として、各パルス遅延回路内でパルス信号が通過した遅延ユニットの段数を利用する際には、第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路を、図8(a)に示したパルス遅延回路のように、単に遅延ユニットを縦続接続したものから構成するのではなく、請求項7に記載のように(換言すれば図8(b)に示したパルス遅延回路のように)、第1遅延ユニット及び第2遅延ユニットが夫々リング状に連結されてパルス信号を周回させるリングディレイラインにて構成し、各パルス遅延回路内でパルス信号が通過した遅延ユニットの段数を、対応するリングディレイラインでのパルス信号の周回回数若しくはその周回回数と周回位置とにより求めるようにするとよい。
【0039】
つまり、このようにすれば、パルス信号が通過した遅延ユニットの段数をカウントする際のサンプリング周期に対応して、各パルス遅延回路を構成する遅延ユニットの数を設定する必要がなく、各パルス遅延回路を構成する遅延ユニットの数を少なくして、各パルス遅延回路(延いてはA/D変換装置)の小型化を図ることができる。
【0040】
次に、請求項8に記載のA/D変換装置は、請求項1に記載のA/D変換方法に従い入力電圧VinをA/D変換する装置である。
そして、このA/D変換装置においては、第1入力回路が、第1パルス遅延回路に対して、入力電圧Vinを、各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力し、第2入力回路が、第2パルス遅延回路に対して、入力電圧Vinを、各第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力し、制御手段が、各パルス遅延回路を起動して、各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させ、そのとき各パルス遅延回路内で生じる伝送速度の比率を数値化することで、入力電圧Vinの数値データを生成する。
【0041】
従って、このA/D変換装置によれば、請求項1に記載のA/D変換方法に従い入力電圧VinをA/D変換することができ、請求項1に記載のA/D変換方法と同様の効果を得ることができる。
また次に、請求項9及び請求項10に記載のA/D変換装置は、請求項2に記載のA/D変換方法を実現できるように、請求項8に記載のA/D変換装置における第1入力回路及び第2入力回路を構成したものである。
【0042】
即ち、請求項9に記載のA/D変換装置においては、第1入力回路が、入力電圧Vinをn倍増幅する第1増幅回路を備え、第1増幅回路により増幅された信号を、第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として第1パルス遅延回路に入力し、第2入力回路が、入力電圧Vinをm倍増幅(但し、mとnとは正負の符号+,−が異なる)する第2増幅回路を備え、第2増幅回路により増幅された信号を、第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として第2パルス遅延回路に入力する。
【0043】
従って、請求項9に記載のA/D変換装置によれば、入力電圧Vinの変化に対して、第1パルス遅延回路へ入力される電圧信号の変化方向と、第2パルス遅延回路へ入力される電圧信号の変化方向とを、2つの増幅回路を用いて、互いに逆方向にすることができ、請求項2に記載のA/D変換方法と同様、各パルス遅延回路を構成する遅延ユニット(第1遅延ユニット及び第2遅延ユニット)の遅延時間を、入力電圧Vinに応じて、互いに逆方向に変化させることが可能となる。
【0044】
また、請求項10に記載のA/D変換装置においては、第1入力回路が、入力電圧Vin若しくは第1増幅回路にて増幅した入力電圧Vinに第1オフセット電圧を加える第1電圧シフト回路を備え、第2入力回路は、入力電圧Vin若しくは第2増幅回路にて増幅した入力電圧Vinに第2オフセット電圧を加える第2電圧シフト回路を備える。
【0045】
このため、請求項10に記載のA/D変換装置によれば、A/D変換対象となる入力電圧Vinが各パルス遅延回路のグランド電位を中心に正負に変化する場合であっても、第1及び第2オフセット電圧を利用して、各パルス遅延回路へ入力される電圧信号を正電圧にすることができるようになり、各パルス遅延回路を構成する遅延ユニット(第1遅延ユニット及び第2遅延ユニット)の遅延時間を、入力電圧Vinに応じて変化させることができる。
【0046】
一方、請求項11に記載のA/D変換装置は、請求項3に記載のA/D変換方法に従い入力電圧VinをA/D変換する装置である。
そして、このA/D変換装置においては、第1入力回路が、第1パルス遅延回路に対して、入力電圧Vinを、各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力し、第2入力回路が、第2パルス遅延回路に対して、所定の基準電圧を、各第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力し、制御手段が、各パルス遅延回路を起動して、各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させ、そのとき各パルス遅延回路内で生じる伝送速度の比率を数値化することで、入力電圧Vinの数値データを生成する。
【0047】
従って、このA/D変換装置によれば、請求項3に記載のA/D変換方法に従い入力電圧VinをA/D変換することができ、請求項3に記載のA/D変換方法と同様の効果を得ることができる。
また、請求項12及び請求項13に記載のA/D変換装置は、請求項4に記載のA/D変換方法を実現できるように、請求項11に記載のA/D変換装置における第1入力回路を構成したものである
そして、請求項12に記載のA/D変換装置において、第1入力回路は、入力電圧Vinに所定の第1オフセット電圧を加える第1電圧シフト回路を備え、この第1電圧シフト回路にて入力電圧Vinに第1オフセット電圧を加えた信号を、各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として第1パルス遅延回路に入力し、請求項13に記載のA/D変換装置において、第1入力回路は、更に、入力電圧Vin、若しくは第1電圧シフト回路にて入力電圧Vinに第1オフセット電圧を加えた電圧を、n倍増幅する第1増幅回路を備える。
【0048】
そして、この請求項12又は請求項13に記載のA/D変換装置においては、上記のように第1オフセット電圧と基準電圧とを同一電源を用いて生成するようにすれば、その電源電圧の変動に伴う第1オフセット電圧の変動分と基準電圧の変動分とを、各パルス遅延回路を構成する遅延ユニットの遅延時間の変動分にて相殺して、第1オフセット電圧及び基準電圧の変動に伴い生じるA/D変換誤差についても低減することができるようになる。
【0049】
尚、請求項11〜請求項13に記載のA/D変換装置において、A/D変換誤差をより確実に抑制するには、請求項14に記載のように、第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路を、互いに同一構成のパルス遅延回路にて構成するとよい。
【0050】
次に、請求項15に記載のA/D変換装置は、上述した請求項8〜請求項14に記載のA/D変換装置において、請求項5に記載のA/D変換方法を実現できるように、制御手段を構成したものであり、請求項16に記載のA/D変換装置は、請求項15に記載のA/D変換装置において、請求項6に記載のA/D変換方法を実現できるように、制御手段を構成したものである。
【0051】
即ち、請求項15に記載のA/D変換装置において、制御手段は、第1パルス遅延回路内でパルス信号が通過した第1遅延ユニットの段数をカウントする第1カウント手段と、第2パルス遅延回路内でパルス信号が通過した第2遅延ユニットの段数をカウントする第2カウント手段とを備え、これら各カウント手段によりカウントされた各遅延ユニットの段数の比率を数値化することで、入力電圧Vinの数値データを生成する。
【0052】
また、請求項16に記載のA/D変換装置において、制御手段は、第2カウント手段にてカウントされる第2遅延ユニットの段数が予め設定された設定段数に達するまでの間に、第1パルス遅延回路内でパルス信号が通過した第1遅延ユニットの段数を前記を第1カウント手段にカウントさせ、この第1カウント手段によるカウント結果を、入力電圧Vinの数値データとして出力する。
【0053】
従って、請求項15及び請求項16に記載のA/D変換装置によれば、請求項5若しくは請求項6に記載のA/D変換方法を実現でき、これら各A/D変換方法と同様の効果を得ることができる。
次に、請求項17に記載のA/D変換装置は、請求項16に記載のA/D変換装置において、請求項7に記載のA/D変換方法を実現できるようにしたものであり、第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路が、夫々、第1遅延ユニット及び第2遅延ユニットが夫々リング状に連結されてパルス信号を周回させるリングディレイラインにより構成される。
【0054】
また、請求項17に記載のA/D変換装置において、第1カウント手段は、第1パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回回数をカウントする第1カウンタと、第1パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回位置を所定ビットのデジタルデータに変換して出力するエンコーダとを備え、外部から入力されるサンプリング信号に従い、第1カウンタによるカウント結果及びエンコーダにより得られたデジタルデータをラッチして出力するよう構成され、第2カウント手段は、第2パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回回数をカウントする第2カウンタと、この第2カウンタによるカウント値が上述した設定段数に対応する設定値に達したか否かを判定し、設定値に達したときに、第1カウント手段にサンプリング信号を出力するコンパレータとを備え、該コンパレータが出力するサンプリング信号にて第2カウンタをリセットするよう構成される。
【0055】
従って、このA/D変換装置によれば、第2パルス遅延回路内でパルス信号が第2遅延ユニットを設定段数分通過して、第2カウンタにてカウントされる第2パルス遅延回路内でのパルス信号の周回回数がその設定段数に対応した設定値に達するまでの間、第1カウンタにより、第1パルス遅延回路内でのパルス信号の周回回数がカウントされ、その後、第2カウンタによるカウント値が設定値に達して、コンパレータがサンプリング信号を出力すると、第1カウント手段から、第1カウンタによるカウント値及びエンコーダにより得られた第1パルス遅延回路内でのパルス信号の周回位置を表すデジタルデータが出力されることになる。
【0056】
よって、請求項17に記載のA/D変換装置によれば、第1カウント手段から出力されるカウント値を上位ビットデータ、第1パルス遅延回路内でのパルス信号の周回位置を表すデジタルデータを下位ビットデータとして取り込むことにより、入力電圧VinのA/D変換結果を表す数値データ(デジタルデータ)を得ることができる。
【0057】
そして、このA/D変換装置によれば、第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路がリングディレイラインにて構成されていることから、請求項7に記載のA/D変換方法と同様、各パルス遅延回路の起動後、コンパレータからサンプリング信号が出力されるまでの最大時間(換言すれば最大サンプリング周期)に対応して、各パルス遅延回路を構成する遅延ユニットの数を設定する必要がなく、各パルス遅延回路を構成する遅延ユニットの数を少なくして、各パルス遅延回路(延いてはA/D変換装置)の小型化を図ることができる。
【0058】
ところで、請求項17に記載のA/D変換装置においては、第2カウンタによるカウント値が設定値に達した時点でコンパレータからサンプリング信号が出力されて、第1カウント手段から入力電圧VinのA/D変換値を表すカウント値とデジタルデータが夫々出力されることから、請求項18に記載のように、制御手段に信号処理回路を設け、この信号処理回路の動作により、第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路の起動後、第2カウント手段を構成するコンパレータが出力するサンプリング信号に同期して、第1カウント手段からの出力をラッチし、第1カウンタによるカウント結果を上位ビットデータ、エンコーダにより得られたデジタルデータを下位ビットデータとするデジタルデータを出力するように構成すれば、コンパレータから出力されるサンプリング信号の周期(サンプリング周期)に同期して、A/D変換値である最新の数値データを繰り返し出力することができるようになる。
【0059】
一方、A/D変換装置を請求項18に記載のように構成した場合、コンパレータから出力されるサンプリング信号の周期(サンプリング周期)は、入力電圧Vinの電圧レベルに応じて変化するので、A/D変換装置からの数値データの出力周期を一定にすることができない。このため、A/D変換装置からの数値データの出力周期を一定周期にする必要がある場合には、制御手段に、請求項19に記載の信号処理回路を設けることが望ましい。
【0060】
つまり、請求項19に記載のA/D変換装置において、制御手段に設けられる信号処理回路は、外部から入力される一定周期のマスタクロックに同期して、第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路を起動することにより、第1カウント手段及び第2カウント手段をマスタクロックの一周期毎に動作させると共に、その後第1カウント手段から出力される第1カウンタによるカウント結果及びエンコーダにより得られたデジタルデータを、夫々、マスタクロックに同期してラッチし、第1カウンタによるカウント結果を上位ビットデータ、エンコーダにより得られたデジタルデータを下位ビットデータとするデジタルデータを、入力電圧Vinの数値データとして出力する。
【0061】
この結果、請求項19に記載のA/D変換装置によれば、外部から入力されるマスタクロックに同期して当該装置のA/D変換動作を実行させると共に、そのA/D変換動作によって得られた最新の数値データを、マスタクロックに同期して出力することができるようになり、A/D変換値をマスタクロックに同期して取り込む必要のある装置に適したA/D変換装置を実現できることになる。
【0062】
次に、請求項17〜18に記載のA/D変換装置において、第2カウント手段を構成するコンパレータは、第2パルス遅延回路内でパルス信号が第2遅延ユニットを設定段数分通過するのを、第2カウンタのカウント値(換言すれば第2パルス遅延回路内でのパルス信号の周回回数)を用いて監視し、第2パルス遅延回路内でパルス信号が第2遅延ユニットを設定段数分通過した時点(詳しくは第2カウンタのカウント値が設定値に達した時点)で、サンプリング信号を出力するものであるが、A/D変換装置の特性(A/D変換の分解能やA/D変換速度)は、このコンパレータからのサンプリング信号の出力タイミング、詳しくは、コンパレータに予め設定された設定値により決定されることから、このコンパレータにおける設定値については、請求項20に記載のように、外部から任意に設定変更できるようにすることが望ましい。
【0063】
つまり、このようにすれば、使用者がコンパレータの設定値を変更することにより、A/D変換装置の特性(A/D変換の分解能やA/D変換速度)を、所望の特性に任意に設定できることになり、A/D変換装置の使い勝手を向上できる。
【0064】
ところで、A/D変換装置の特性としては、A/D変換の分解能やA/D変換速度だけでなく、A/D変換可能な電圧範囲(ダイナミックレンジ)があり、一般に、A/D変換装置では、このダイナミックレンジを広げることが要求されている。
【0065】
一方、本発明のA/D変換装置のように、パルス遅延回路を用いて入力電圧Vinを数値データに変換する装置では、パルス遅延回路を構成する遅延ユニットが半導体素子(トランジスタ等)からなるゲート回路にて構成されているため、遅延ユニットの遅延時間の変化は、駆動電圧が低い程直線性が向上する。尚、これは、トランジスタのトライオード領域(3極管領域)が支配的となるためである。
【0066】
従って、本発明のA/D変換装置において、ダイナミックレンジを広くする際には、第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路へ各遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力される信号(つまり入力電圧Vinに対応した信号)の最大電圧レベルを高くするよりも、その信号の最低電圧レベルを低くすることが望ましい。
【0067】
そして、特に、請求項15〜請求項20に記載のA/D変換装置において、ダイナミックレンジを広くするには、請求項21に記載のように、第1カウント手段の動作電源電圧及び第2カウント手段の動作電源電圧を、第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路へ各遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力される入力電圧に対応した信号とは異なる電圧にするとよい。
【0068】
つまり、第1カウント手段及び第2カウント手段を構成するカウンタ等の回路素子を動作させるには、少なくとも1.5V若しくはそれ以上の電圧が必要であることから、第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路へ入力される電圧信号を、第1カウント手段の動作電源電圧及び第2カウント手段の動作電源電圧として利用するようにした場合には、各パルス遅延回路へ入力される電圧信号を、1.5V若しくはそれ以上にする必要がある。
【0069】
これに対して、パルス遅延回路の遅延ユニットを構成するゲート回路としては、現在、0.5V程度の電圧で動作可能なものがあり、このゲート回路を利用してパルス遅延回路を構成すれば、遅延ユニットの遅延時間を入力電圧Vinに対応した電圧信号で制御(変調)するのに要する電圧信号の最低電圧は、0.5V程度でよいことになる。
【0070】
従って、請求項15〜請求項20に記載のA/D変換装置において、ダイナミックレンジを広くするには、第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路へ入力される電圧信号を、第1カウント手段や第2カウント手段の動作電源電圧として利用せず、第1カウント手段及び第2カウント手段には、他の電源から得られる電源電圧を利用することが望ましいのである。
【0071】
つまり、このようにすれば、第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路へ入力される電圧信号の最低電圧を、各パルス遅延回路の遅延ユニットを構成するゲート回路の最低動作電圧付近にまで下げることができるようになり、これに伴い、A/D変換装置のダイナミックレンジを広くすることができる。
【0072】
次に、請求項22及び請求項23に記載の発明は、第1入力回路及び第2入力回路に夫々第1増幅回路及び第2増幅回路を設けた請求項9又は請求項10に記載のA/D変換装置に、請求項17に記載の発明を適用した装置に関する。
そして、請求項22に記載のA/D変換装置においては、第1入力回路を構成する第1増幅回路が入力電圧Vinを増幅する倍率n、及び、第2入力回路を構成する第2増幅回路が入力電圧Vinを増幅する倍率mに、夫々、n=0.01〜500、m=−0.01〜−1000の範囲内の任意の値が設定される。
【0073】
これは、第1及び第2増幅回路として、オペアンプ等を用いて構成される一般的な増幅回路を用いた場合に、現在の技術で、入力電圧Vinを安定して増幅可能な倍率の範囲が0.01〜1000程度であり、また、第1入力回路から入力電圧Vinを増幅した信号を受けて動作する第1パルス遅延回路は、第1パルス遅延回路を構成する各第1遅延ユニットからの出力をエンコーダに出力する必要があるので、第1入力回路から第1パルス遅延回路へ入力される電圧信号の許容変動幅を、第2入力回路から第2パルス遅延回路へ入力される電圧信号の許容変動幅と同等に大きくすることができないためである。
【0074】
また次に、請求項23に記載のA/D変換装置においては、第1入力回路を構成する第1増幅回路が入力電圧Vinを増幅する倍率n、及び、第2入力回路を構成する第2増幅回路が入力電圧Vinを増幅する倍率mを、倍率nの絶対値が倍率mの絶対値よりも小さくなるよう設定するようにされている。
【0075】
これは、上記のように第1パルス遅延回路を構成する各遅延ユニットからの出力が、エンコーダの動作電圧によって制限されるためである。つまり、請求項23に記載のA/D変換装置では、遅延ユニットからの出力の変動幅が外部回路によって制限を受けることのない第2パルス遅延回路へ信号を入力する第2増幅回路の倍率mの絶対値を、第1増幅回路の倍率nの絶対値よりも大きくすることで、第2パルス遅延回路へ入力される電圧信号の変動幅を大きくし、これによってA/D変換装置全体でのA/D変換の分解能を向上するようにしているのである。
【0076】
次に、請求項24に記載の発明は、第1入力回路及び第2入力回路に、夫々、第1増幅回路及び第2増幅回路と、第1電圧シフト回路及び第2電圧シフト回路とを設けた請求項10に記載のA/D変換装置に、請求項17に記載の発明を適用したA/D変換装置に関するものである。
【0077】
そして、この請求項24に記載のA/D変換装置においては、第1入力回路を構成する第1増幅回路が入力電圧Vinを増幅する倍率n及び第1電圧シフト回路が加える第1オフセット電圧と、第2入力回路を構成する第2増幅回路が入力電圧Vinを増幅する倍率m及び第2電圧シフト回路が加える第2オフセット電圧とが、第2パルス遅延回路に第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力される信号の方が、第1パルス遅延回路に第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力される信号に比べて、電圧範囲が広く、且つ、より低い電圧まで変化するように設定される。
【0078】
つまり、本発明(請求項24)のA/D変換装置においては、上記のように、第2パルス遅延回路を構成する各遅延ユニットの出力で外部回路を動作させる必要がないため、第1パルス遅延回路に比べて、第2パルス遅延回路の方が、遅延ユニットの駆動電圧を低くすることができ、その電圧変動幅も大きくすることができる。そこで、本発明では、この特性に合わせて、各増幅回路の倍率n,m及び各電圧シフト回路によるオフセット電圧を設定することにより、A/D変換装置全体でのA/D変換の分解能を向上するようにしているのである。
【0079】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例について説明する。
図1は、本発明が適用された第1実施例のA/D変換装置全体の構成を表す構成図である。
【0080】
本実施例のA/D変換装置は、本発明の第1の目的(つまりA/D変換の高分解能化若しくは高速化)を達成するために、請求項1に記載のA/D変換方法に従い入力電圧Vinを数値データに変換する装置であり、図8(b)に示した従来のA/D変換装置と同様に、リングディレイライン(RDL)からなるパルス遅延回路10と、ラッチ&エンコーダ12と、カウンタ16と、ラッチ回路18とにより構成されたA/D変換部20を備える。尚、パルス遅延回路10は、本発明の第1パルス遅延回路に相当し、ラッチ&エンコーダ12、カウンタ16、ラッチ回路18は、本発明の第1カウント手段に相当し、このうち、特に、ラッチ&エンコーダ12は、本発明のエンコーダに相当し、カウンタ16は、本発明の第1カウンタに相当する。
【0081】
また、本実施例のA/D変換装置は、本発明の第2パルス遅延回路として、A/D変換部20を構成するパルス遅延回路10と全く同様に構成されたパルス遅延回路30を備えると共に、本発明の第2カウント手段として、パルス遅延回路30内でのパルス信号P2のパルス周回回数をカウントするカウンタ42と、このカウンタ42のカウント値が予め設定された設定値NBに達したか否かを判定し、設定値NBに達したときにサンプリング信号CKSを発生するコンパレータ44と、コンパレータ44が発生したサンプリング信号を外部に出力するバッファ46とからなるロジック部40を備える。尚、カウンタ42は、本発明の第2カウンタに相当し、コンパレータ44は、本発明のコンパレータに相当する。また、コンパレータ44は、設定値NBを外部から任意に変更可能に構成されている。
【0082】
そして、A/D変換対象となる入力電圧Vinは、従来のA/D変換装置と同様、A/D変換部20を構成するパルス遅延回路10内の遅延ユニット(第1遅延ユニットに相当)2の駆動電圧として、パルス遅延回路10に入力されるが、本実施例では、バッファ等を介して入力電圧Vinをそのままパルス遅延回路10に入力するのではなく、第1増幅回路としての非反転増幅回路22により入力電圧Vinをn倍に増幅し、更に、第1電圧シフト回路としての加算回路24を用いて、増幅後の入力電圧n×Vinに予め設定されたオフセット電圧Vb1を加算した電圧信号Vin1を、パルス遅延回路10に入力するようにされている。
【0083】
また、入力電圧Vinは、パルス遅延回路30にも、これを構成する遅延ユニット(第2遅延ユニットに相当)2の駆動電圧として入力されるが、本実施例では、パルス遅延回路30には、第2増幅回路としての反転増幅回路32により入力電圧Vinをm倍に反転増幅し(mは負の値であることから、以下の説明では−m倍と記載する)、更に、第2電圧シフト回路としての加算回路34を用いて、増幅後の入力電圧−m×Vinに予め設定されたオフセット電圧Vb2を加算した電圧信号Vin2を入力するようにされている。
【0084】
ここで、A/D変換部20において、非反転増幅回路22及び加算回路24を介してパルス遅延回路10に入力される電圧信号Vin1と、ラッチ&エンコーダ12、カウンタ16、及びラッチ回路18の電源電圧Vdd1とは、別系統であり、また、反転増幅回路32及び加算回路34を介してパルス遅延回路30に入力される電圧信号Vin2と、ロジック部40の電源電圧Vdd2とは、別系統である。これは、電圧信号Vin1、Vin2を電源電圧Vdd1、Vdd2と別系統とすることにより、電圧信号Vin1、Vin2の最低電圧をできるだけ低くし、ダイナミックレンジを広げるためである。
【0085】
次に、非反転増幅回路22及び加算回路24、反転増幅回路32及び加算回路34は、夫々、入力電圧Vinに応じて変化する電圧信号Vin1、Vin2の変動幅(上下限レベル)を、各パルス遅延回路10及び30内の遅延ユニット2の遅延時間を変調するのに適した電圧レベルに設定するためのものである。
【0086】
そして、本実施例では、パルス遅延回路10を構成する各遅延ユニット2の出力でラッチ&エンコーダ12を動作させる必要があるため、パルス遅延回路10へ入力する電圧信号Vin1は、入力電圧Vinの変化に対する変動幅が、ラッチ&エンコーダ12が動作可能な電圧範囲内になるように設定される。
【0087】
また逆に、パルス遅延回路30は、最終段の遅延ユニット2からの出力をカウント用のタイミング信号若しくは動作クロックとしてカウンタ42やコンパレータ44に出力すればよく、パルス遅延回路10のように各遅延ユニット2からの出力で他の回路を動作させる必要がないので、パルス遅延回路30へ入力する電圧信号Vin2は、入力電圧Vinの変化に対する変動幅が、パルス遅延回路30が動作できる範囲内でできるだけ大きくなるように設定される。
【0088】
つまり、本実施例では、反転増幅回路32が入力電圧Vinを増幅する際の倍率の絶対値mが、非反転増幅回路22が入力電圧Vinを増幅する際の倍率の絶対値nに比べて大きくなり、オフセット電圧Vb1、Vb2も、この倍率に合わせて、オフセット電圧Vb2の方がオフセット電圧Vb1よりも大きくなるように設定される。
【0089】
また、電圧信号Vin1、Vin2の最低電圧は、オフセット電圧Vb1、Vb2によって決まるが、本実施例では、電圧信号Vin1の最低電圧がラッチ&エンコーダ12を動作させることのできる最低電圧レベル(1V程度)となり、電圧信号Vin2の最低電圧がパルス遅延回路10内で各遅延ユニット2が動作可能な最低電圧レベル(0.5V程度)となるように、オフセット電圧Vb1、Vb2が設定される。尚、電圧信号Vin1、Vin2の最大電圧は、夫々、電源電圧Vdd1、Vdd2、若しくはこれよりも低い電圧に設定される。
【0090】
次に、パルス遅延回路10、30は、夫々、初段の遅延ユニット2に外部から起動パルスSRP1、SRP2が入力されることにより起動され、起動後は、パルス信号P1、P2を、各遅延ユニット2の遅延時間で順次遅延させながら、リング内を周回させる。
【0091】
そして、A/D変換部20では、カウンタ16がパルス遅延回路10内でのパルス信号P1の周回回数をカウントし、その後、ロジック部40からサンプリング信号CKSが出力されると、ラッチ&エンコーダ12が、パルス遅延回路10内でのパルス信号P1の周回位置を検出(ラッチ)して、その周回位置を表すデジタルデータを出力すると共に、ラッチ回路18が、カウンタ16によるカウント値(デジタルデータ)をラッチして出力する。
【0092】
尚、ラッチ&エンコーダ12及びラッチ回路18からの出力DTは、サンプリング信号に同期して、信号処理回路50にラッチされ、信号処理回路50は、ラッチ&エンコーダ12からの出力を下位ビットデータ、ラッチ回路18からの出力を上位ビットデータとするデジタルデータDT2を出力する。
【0093】
一方、ロジック部40では、カウンタ42がパルス遅延回路30内でのパルス信号P2の周回回数をカウントし、コンパレータ44が、そのカウント値と予め設定された設定値NBと比較することにより、カウンタ42のカウント値が設定値NBに達するのを待ち、カウンタ42のカウント値が設定値NBに達すると、上記サンプリング信号CKSを発生する。
【0094】
そして、このサンプリング信号CKSは、バッファ46を介して、上述したラッチ&エンコーダ12、ラッチ回路18、及び信号処理回路50に、ラッチタイミングを表すタイミング信号として出力されると共に、カウンタ42にリセット信号として出力される。
【0095】
ここで、コンパレータ44に予め設定された設定値NBは、パルス遅延回路30内でパルス信号P1が通過した遅延ユニット2の段数を規定するものであり、コンパレータ44からは、パルス遅延回路30の起動後、設定値NBとパルス遅延回路30を構成する遅延ユニットの個数とで決定される所定段数分だけパルス信号P2が遅延ユニット2を通過するのに要した時間が経過した時点で、サンプリング信号CKSが出力されることになる。
【0096】
上記のように構成された本実施例のA/D変換装置においては、入力電圧Vinが高く、パルス遅延回路10内でのパルス信号P1の伝送速度が早くなる場合には、パルス遅延回路30内でのパルス信号P2の伝送速度が遅くなり、逆に、入力電圧Vinが低く、パルス遅延回路10内でのパルス信号P1の遅延速度が遅くなる場合には、パルス遅延回路30内でのパルス信号P2の遅延速度が早くなる。
【0097】
このため、本実施例のA/D変換装置においては、図2(a)に示すように、パルス遅延回路30の起動後、ロジック部40からサンプリング信号CKSが出力されるまでの時間(換言すればサンプリング周期TS)が、入力電圧Vinが高い程長く、入力電圧Vinが低い程短くなる。つまり、本実施例のA/D変換装置においては、サンプリング周期TSが入力電圧Vinで変調される。
【0098】
これに対して、A/D変換部20は、従来装置と同様に動作し、パルス遅延回路10の起動後、ロジック部40からサンプリング信号CKSが入力されるまでの間、パルス遅延回路10内でパルス信号P1が通過した遅延ユニット2の段数を計測し、サンプリング信号CKSが入力されたタイミングで、その計測結果を入力電圧VinのA/D変換結果を表すデジタルデータDTとして出力することから、サンプリング周期TSが一定の従来装置に比べて、入力電圧Vinが高い程、デジタルデータDTが大きな値となり、入力電圧Vinが低い程、デジタルデータDTが小さな値となる。
【0099】
従って、本実施例のA/D変換装置によれば、従来装置に比べて、A/D変換の分解能を高めることができる。つまり、本実施例のA/D変換装置によれば、図2(b)に示すように、入力電圧Vinに比例して、パルス遅延回路10内でのパルス信号P1の伝送速度SPが変化(増加)するだけでなく、サンプリング周期TSも、入力電圧Vinに比例して変化(増加)することから、この伝送速度SPの変化とサンプリング周期TSの変化との相乗作用によって、入力電圧Vinを高分解能でA/D変換することができるようになるのである。
【0100】
そして、この分解能は、パルス遅延回路10の遅延ユニット2の遅延時間で制限されるものではなく、2つのパルス遅延回路10及び30の遅延ユニット2の遅延時間とその遅延時間の比率によって決まることから、本実施例によれば、従来、遅延ユニットの製造技術(CMOSデザインルール)により制限されていたA/D変換の分解能を、所望の分解能まで高めることが可能となる。
【0101】
具体的には、例えば、パルス遅延回路10、30を同一構成とし、非反転増幅回路22及び反転増幅回路32の増幅率(倍率n、m)を同一にした場合には、従来装置と同様のA/D変換部20を単独で使用した場合に比べて、分解能を2倍にすることができる。また、パルス遅延回路30は、パルス遅延回路10のようにラッチ&エンコーダ12を動作させる必要がなく、パルス遅延回路30に入力する電圧信号Vin2の電圧範囲(換言すればダイナミックレンジ)を電圧信号Vin1よりも広くすることができる。このため、上述したように、各増幅回路22、32の増幅率(倍率n、m)やオフセット電圧Vb1、Vb2を適宜設定して、電圧信号Vin2の電圧範囲を電圧信号Vin1よりも広くすることにより、分解能を従来の2倍〜10倍程度まで高めることができる。
【0102】
また、このように電圧信号Vin2の電圧範囲を広げるには、電圧信号Vin2の最大電圧を高くすることも考えられるが、このようにすると、パルス遅延回路30を構成する遅延ユニット2の遅延時間が電圧信号Vin2に比例して変化しなくなる虞がある(リニアリティの低下)。しかし、上記のようにパルス遅延回路30は、パルス遅延回路10のようにラッチ&エンコーダ12を動作させる必要がなく、電圧信号Vin2をより低くすることができることから、電圧信号Vin2の電圧範囲を広げることによって生じるリニアリティの問題も解決できる。
【0103】
一方、本実施例のA/D変換装置では、パルス遅延回路30の起動後、ロジック部40から出力されるサンプリング信号CKSによって、カウンタ42をリセットすることから、パルス遅延回路30の初段の遅延ユニット(アンドゲート)2に入力した起動パルスSRP2をHighレベルに保持していれば、パルス遅延回路30内でパルス信号P2が周回し続け、カウンタ42は、その周回回数を再度カウントし、コンパレータ44は、設定値NBとそのときのパルス遅延回路30内でのパルス信号の伝送速度SPとにより決まるサンプリング周期TSが経過した時点で、再度、サンプリング信号CKSを発生し、その後も、この動作を繰り返し実行することになる。
【0104】
同様に、A/D変換部20においても、パルス遅延回路10の初段の遅延ユニット(アンドゲート)2に入力した起動パルスSRP1をHighレベルに保持していれば、パルス遅延回路10内でパルス信号P1が周回し続ける。また、ラッチ&エンコーダ12、ラッチ回路18、及び、信号処理回路50は、ロジック部40から出力されるサンプリング信号CKSによって繰り返し動作可能である。
【0105】
このため、本実施例のA/D変換装置においては、図2(c)に示すように、信号処理回路50若しくは外部装置から、パルス遅延回路10及び30に対して、起動パルスSRP1、SRP2を同時に入力して(時点t0)、起動パルスSRP1、SRP2をHighレベルに保持し続ければ、ロジック部40から、入力電圧Vinの電圧レベルに応じて変化する所定のサンプリング周期TS(0) 、TS(1) 、TS(2) …毎に、サンプリング信号CKSが繰り返し出力され(時点t1、t2、t3…)、A/D変換部20及び信号処理回路50からは、このサンプリング信号CKSに同期して、そのときの入力電圧Vinを表すデジタルデータDT、DT2が出力されることになる。つまり、本実施例のA/D変換装置においては、このように動作させることにより、最新のA/D変換結果を繰り返し連続して出力することができる。
【0106】
また、本実施例のA/D変換装置において、A/D変換の分解能を従来と同程度にするには、サンプリング周期TSを短くすればよく、そのためには、コンパレータ44の設定値NBを小さい値に変更すればよい。そして、本実施例では、コンパレータ44が、設定値NBを外部から変更できるように構成されているため、A/D変換の分解能(換言すればA/D変換速度)を極めて簡単に変更できることになり、A/D変換装置の使い勝手を向上できる。
【0107】
ところで、パルス遅延回路10、30を構成する遅延ユニット2としては、パルス信号P1、P2を、所定の遅延時間だけ遅延させて出力することができ、電圧信号Vin1、Vin2によって遅延時間が変化する一般的なゲート回路であれば、どのようなものでも使用することができるが、その回路構成をより簡単にするには、2段目以降の各遅延ユニット2を、例えば、図3(a)若しくは図3(b)に示すように構成するとよい。
【0108】
即ち、図3(a)は、パルス遅延回路10、30を構成する2段目以降の遅延ユニット2を、Pチャネルトランジスタ(FET)とnチャネルトランジスタ(FET)とからなるCMOSインバータ(否定回路)INV2段で構成し、パルス信号を、前後のCMOSインバータINVを構成するPチャネルトランジスタとnチャネルトランジスタとの動作時間で決まる所定時間だけ遅延させるようにしたものであり、図3(b)は、パルス遅延回路10、30を構成する2段目以降の遅延ユニット2を、Pチャネルトランジスタ(FET)とnチャネルトランジスタ(FET)とからなるCMOSインバータ(否定回路)INV1段で構成し、パルス信号を、CMOSインバータINVの動作時間で決まる所定時間だけ遅延させるようにしたものであるが、遅延ユニット2をこのように構成すれば、遅延ユニット2を4個若しくは2個のトランジスタにて構成でき、しかも、これら各トランジスタは、CMOS集積回路を製造する際に極めて簡単に作製できることから、パルス遅延回路10、30を安価に実現できることになる。
【0109】
また、上記実施例では、パルス遅延回路10、30を構成する遅延ユニット2の遅延時間を電圧信号Vin1、Vin2の電圧レベルに応じて制御するために、電圧信号Vin1、Vin2を駆動電圧として各遅延ユニット2に直接印加するものとして説明したが、例えば、図3(c)に示すように、遅延ユニット2を構成するCMOSインバータINVに、駆動電流を外部から制御するための制御トランジスタ(FET)Trcが設けられている場合には、この制御トランジスタTrcの制御端子(ゲート)に、電圧信号Vin1、Vin2を印加するようにしてもよい。
【0110】
また次に、上記実施例では、A/D変換装置のA/D変換動作は、ロジック部40(詳しくはコンパレータ44)から出力されるサンプリング信号CKSに同期して繰り返し実行するものとして説明したが、A/D変換装置を使用する装置によっては、その装置の動作クロック(マスタクロック)に同期してA/D変換を行う方がよいことがある。
【0111】
そして、このためには、図4(a)に示すように、信号処理回路50にマスタクロックCKMを入力して、信号処理回路50がこのマスタクロックCKMに同期して、A/D変換装置(詳しくはA/D変換部20)からの出力(デジタルデータDT)をラッチするようにすればよい。
【0112】
またこの場合、A/D変換動作は、サンプリング信号CKSに同期して実行する必要がないため、図4(b)に示すように、信号処理回路50から各パルス遅延回路10、30に対して、マスタクロックCKMに同期した起動パルスSRP1、SRP2を出力するようにすればよい。
【0113】
つまり、このようにすれば、図3(b)に示すように、マスタクロックCKMに同期した時点t01、t02、t03…で、各パルス遅延回路10、30が繰り返し起動され、各パルス遅延回路10、30の起動後、入力電圧Vinに対応したサンプリング周期TSが経過した時点t11、t12、t13…で、A/D変換部20からの出力が、最新のA/D変換値であるデジタルデータDTに変化し、このデジタルデータDTが、マスタクロックCKMに同期した次の時点t02、t03、…で、信号処理回路50にラッチされて、A/D変換結果を表すデジタルデータDT2として外部に出力されることになる。
【0114】
また上記実施例では、パルス遅延回路10、30へ入力する電圧信号Vin1、Vin2の電圧レベルやその変動幅を最適に設定するために、非反転増幅回路22、反転増幅回路32、加算回路24及び34を用いるものとして説明したが、例えば、図4(c)に示すように、入力電圧Vinが正電圧で、その電圧レベルや変動幅も適正である場合には、入力電圧Vinを遅延時間制御用の電圧信号Vin1として直接パルス遅延回路10に入力し、パルス遅延回路30には、入力電圧Vinの変化特性を反転させる回路(上記実施例と同じ反転増幅回路や電圧シフト用の加算回路等)を介して、入力電圧Vinを入力するようにしてもよい。
【0115】
次に、図5は、本発明の第1の目的(A/D変換の高分解能化若しくは高速化)だけでなく、本発明の第2の目的(温度変化等の環境変化に伴うA/D変換誤差の低減)をも達成できるようにするために、請求項3に記載のA/D変換方法に従い入力電圧Vinを数値データに変換できるようにした第2実施例のA/D変換装置を表す。
【0116】
このA/D変換装置は、基本的には、第1実施例のA/D変換装置と同じ構成になっており、第1実施例と異なる点は、パルス遅延回路30に入力する電圧信号Vin2を、入力電圧Vinから生成(増幅・電圧シフト)した電圧信号にするか、基準電圧となるオフセット電圧Vb2にするかを切り替えるためのスイッチ36を設けた点である。
【0117】
従って、このA/D変換装置においては、スイッチ36を加算回路34側に切り換えれば、入力電圧Vinに応じて変化する電圧信号Vin2がパルス遅延回路30に入力されることから、その動作モードが、分解能アップモードとなって、第1実施例のA/D変換装置と同様に、入力電圧Vinを高分解能(若しくは高速)でA/D変換することができる。
【0118】
一方、スイッチ36をオフセット電圧Vb2入力側に切り換えれば、オフセット電圧Vb2が電圧信号Vin2としてパルス遅延回路30に入力され、A/D変換装置の動作モードが、A/D変換誤差低減モードとなって、従来装置と同じA/D変換部20で得られた入力電圧VinのA/D変換値(デジタルデータDT)から、温度変化等の環境変化によって生じる誤差成分が自動的に除去される。
【0119】
つまり、A/D変換部20のパルス遅延回路10を構成している遅延ユニット2の遅延時間は、遅延ユニット2の駆動電圧として供給される電圧信号Vin1の変化だけでなく、温度変化等の環境変化によっても変動する。具体的には、図6に示すように、周囲温度が低いと、遅延ユニット1段当たりの遅延時間は短くなり、逆に、周囲温度が高いと、遅延ユニットの遅延時間は長くなる。
【0120】
そして、このように遅延時間が変化した際、従来装置のようにサンプリング周期TSが固定されていると、A/D変換部20で得られるデジタルデータDTも変動し、そのA/D変換結果に誤差が生じることになる。
しかし、こうした環境変化が生じた場合、パルス遅延回路30でも、各遅延ユニット2の遅延時間が、パルス遅延回路10と同様に変化することから、ロジック部40から出力されるサンプリング信号CKSの周期(サンプリング周期TS)は、図6に示すように、周囲温度が低いと短くなり、周囲温度が高いと長くなる。つまり、オフセット電圧Vb2で決定されるサンプリング周期TSも、温度変化等の環境変化によって、パルス遅延回路10側での遅延時間の変動方向と同方向に変動する。
【0121】
従って、スイッチ36がオフセット電圧Vb2入力側に切り換えられているときには、温度変化等の環境変化によってパルス遅延回路10側で生じた遅延時間の変動分が、ロジック部40から出力されるサンプリング信号CKSの周期(サンプリング周期TS)の変動分によって相殺され、A/D変換部20から出力されるデジタルデータDTは、温度変化等の影響を受けることなく、常に入力電圧Vinに対応した値となる。
【0122】
よって、本実施例のA/D変換装置によれば、A/D変換誤差低減モードで動作させることにより、温度変化等の環境変化に伴い生じるA/D変換誤差を低減できることになる。尚、この効果は、オフセット電圧Vb1、Vb2が変動した場合にも同様に得られる。
【0123】
但し、A/D変換誤差の低減効果をより確実に発揮できるようにするためには、パルス遅延回路10、30を全く同じレイアウトの回路構成とし、オフセット電圧Vb1、Vb2についても、同一電源から得られる同一電圧(Vb1=Vb2)とすることが望ましい。
【0124】
次に、図7は、上記第2実施例のA/D変換装置をセンサからの検出信号をデジタル処理してマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)51等に入力するセンサ信号処理装置に適用した場合の応用例を表す。
このセンサ信号処理装置は、例えば2種類のセンサエレメントA、B(例えば加速度センサ(A)と圧力センサ(B))からの検出信号を一つの装置で処理するものであり、マイコン51からの指示(若しくは時分割)により、それぞれの信号処理を行う。
【0125】
センサエレメントAは、センシング対象となる物理量(例えば加速度)を電気信号に変換する検出用エレメントA1と、センシング対象となる物理量を感知しない基準用エレメントA2とを備える。
そして、このセンサエレメントAからの検出信号を処理する際には、まず、マイコン51から出力される選択信号SEL2により、検出信号選択用の選択スイッチ52が、検出用エレメントA1側、基準用エレメントA2側へと順に切り換えられて、各エレメントA1、A2からの検出信号が順に装置内に取り込まれる。そして、この検出信号は、バッファ54を介して、上記第2実施例のA/D変換装置100に入力される。
【0126】
尚、センサエレメントAからの検出信号を処理する際には、マイコン51から出力される選択信号SEL1により、A/D変換装置100内のスイッチ36が加算回路34側に切り換えられ、A/D変換装置100の動作モードは、分解能アップモードに設定される。
【0127】
この結果、A/D変換装置100では、各エレメントA1、A2からの検出信号が順にデジタルデータDT2に変換され、これがサンプリング信号CKSに同期して順に出力される。尚、A/D変換装置100で生成されるサンプリング信号CKSは、後段のデータ処理部60を構成する各回路に入力される。
【0128】
次に、データ処理部60には、検出用エレメントA1からの検出信号に対応したデジタルデータ(検出値)をラッチするラッチ回路62と、基準用エレメントA2からの検出信号に対応したデジタルデータ(基準値)をラッチするラッチ回路64とが設けられており、これら各ラッチ回路62、64は、マイコン51から出力されるコントロール信号COとサンプリング信号CKSとに基づき、対応するデジタルデータを選択的にラッチする。
【0129】
そして、これら各ラッチ回路62、64でラッチされたデジタルデータ(検出値D1及び基準値D2)は、演算部66に入力され、演算部66において、これら各値D1、D2の比計算(除算:D1/D2)が実行される。そして、その計算結果Dは、補正処理部70にて、予め調整・補正メモり68に格納された補正データに基づき補正され、センサエレメントAが検出した物理量(例えば加速度)を表すデジタルデータD0としてマイコン51等に出力される。
【0130】
つまり、センサ信号処理装置では、検出用エレメントA1から得られた検出値D1と、基準用エレメントA2から得られた基準値D2との比をとることで、回路の変動要因をキャンセルするのである。
一方、センサエレメントBからの検出信号を処理する際には、選択信号SEL1により、A/D変換装置100内のスイッチ36がオフセット電圧Vb2入力側に切り換えられて、A/D変換装置100の動作モードがA/D変換誤差低減モードに設定される。また、検出信号選択用の選択スイッチ52は、選択信号SEL2により、センサエレメントB側に切り換えられる。
【0131】
この結果、A/D変換装置100には、バッファ54を介して、センサエレメントBからの検出信号が入力される。そして、この検出信号は、A/D変換装置100において、極めて高精度にデジタルデータDT2に変換され、データ処理部60に入力される。
【0132】
データ処理部60では、その入力されたデジタルデータDTが、そのまま補正処理部70に伝送され(図7に示す点線矢印参照)、補正処理部70で、予め調整・補正メモり68に格納された補正データに基づき補正された後、センサエレメントBが検出した物理量(例えば圧力)を表すデジタルデータD0としてマイコン51等に出力される。
【0133】
以上のように、第2実施例のA/D変換装置を用いれば、例えば、検出信号の信号レベルが比較的大きく、高分解能でA/D変換する必要のない検出信号(センサエレメントBからの検出信号)については、A/D変換誤差低減モードで動作させ、高分解能でA/D変換すべき検出信号(センサエレメントAからの検出信号)については、分解能アップモードで動作させる、というように使い分けができる。
【0134】
そして、A/D変換誤差低減モードでA/D変換したセンサエレメントBからの検出信号(デジタルデータDT)については、A/D変換装置の機能によって自動的に誤差が補正されるので、データ処理部60側でA/D変換後のデータを基準値を用いて補正する必要がなく、センサ信号処理装置での処理時間を短縮できる。また、このようにセンサ信号処理装置での処理時間が短縮されると、センサ信号処理装置での処理時間に余裕ができるので、センサ信号処理装置が検出信号を処理するセンサエレメントの数を増やすことができる。このため、上記のように、第2実施例のA/D変換装置を用いてセンサ信号処理装置を構成すれば、センサ及びセンサ信号処理装置を含む制御装置全体の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0135】
尚、上記応用例では、加速度センサ及び圧力センサを例にとってセンサ信号処理装置を説明したが、本発明のA/D変換装置は、温度センサ、トルクセンサ、角速度センサ、位置センサ等、多種多様なセンサからの検出信号をA/D変換するのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例のA/D変換装置全体の構成を表す構成図である。
【図2】 第1実施例のA/D変換装置の動作を説明する説明図である。
【図3】 パルス遅延回路を構成する遅延ユニットの構成例を説明する説明図である。
【図4】 第1実施例のA/D変換装置の変形例を説明する説明図である。
【図5】 第2実施例のA/D変換装置全体の構成を表す構成図である。
【図6】 第2実施例のA/D変換装置によるA/D変換誤差低減効果を説明する説明図である。
【図7】 A/D変換装置のセンサ信号処理装置への応用例を説明する説明図である。
【図8】 従来のA/D変換装置の構成を表す構成図である。
【図9】 従来のA/D変換装置の動作を説明する説明図である。
【図10】 A/D変換装置で実現し得る電圧分解能とCMOSデザインルールとの関係を表す説明図である。
【符号の説明】
2…遅延ユニット、10,30…パルス遅延回路、12…ラッチ&エンコーダ、16,42…カウンタ、18,62,64…ラッチ回路、20…A/D変換部、22…非反転増幅回路、24,34…加算回路、32…反転増幅回路、36…スイッチ、40…ロジック部、44…コンパレータ、46,54…バッファ、51…マイコン、52…選択スイッチ、60…データ処理部、66…演算部、68…調整・補正メモり、70…補正処理部、100…A/D変換装置。
Claims (24)
- 入力電圧を数値データに変換するA/D変換方法であって、
ゲート回路からなる第1遅延ユニットを複数段縦続接続してなる第1パルス遅延回路に対して、前記入力電圧を、前記各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力すると共に、
ゲート回路からなる第2遅延ユニットを複数段縦続接続してなる第2パルス遅延回路に対して、前記入力電圧を、前記各第2遅延ユニットの遅延時間を前記第1パルス遅延回路とは逆方向に制御する信号として入力し、
更に、前記各パルス遅延回路を起動して各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させた際に生じる伝送速度の比率を数値化することで、前記入力電圧を数値データに変換することを特徴とするA/D変換方法。 - 前記第1パルス遅延回路には、前記各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として、前記入力電圧をn倍増幅した信号、若しくは、該増幅後の信号に更に所定の第1オフセット電圧を加えた信号を入力し、
前記第2パルス遅延回路には、前記各第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として、前記入力電圧をm倍増幅(但し、mとnとは正負の符号+,−が異なる)した信号、若しくは、該増幅後の電圧に更に所定の第2オフセット電圧を加えた信号を入力することを特徴とする請求項1に記載のA/D変換方法。 - 入力電圧を数値データに変換するA/D変換方法であって、
ゲート回路からなる第1遅延ユニットを複数段縦続接続してなる第1パルス遅延回路に対して、前記入力電圧を、前記各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力すると共に、
ゲート回路からなる第2遅延ユニットを複数段縦続接続してなる第2パルス遅延回路に対して、所定の基準電圧を、前記各第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力し、
更に、前記各パルス遅延回路を起動して各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させた際に生じる伝送速度の比率を数値化することで、前記入力電圧を数値データに変換することを特徴とするA/D変換方法。 - 前記第1パルス遅延回路には、前記各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として、前記入力電圧若しくは該入力電圧をn倍増幅した電圧に所定の第1オフセット電圧を加えた信号を入力することを特徴とする請求項3に記載のA/D変換方法。
- 前記各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させた際に生じる伝送速度を表す情報として、前記各パルス遅延回路内でパルス信号が通過した遅延ユニットの段数を用いることを特徴とする請求項1〜請求項4何れかに記載のA/D変換方法。
- 前記各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させた際に生じる伝送速度の比率を表す情報として、前記第2パルス遅延回路内で前記パルス信号が通過する第2遅延ユニットの段数が予め設定された設定段数に達するまでの間に、前記第1パルス遅延回路内で前記パルス信号が通過した第1遅延ユニットの段数を求めることを特徴とする請求項1〜請求項5何れかに記載のA/D変換方法。
- 前記第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路として、前記第1遅延ユニット及び第2遅延ユニットが夫々リング状に連結されて前記パルス信号を周回させるリングディレイラインを使用し、
前記各パルス遅延回路内で前記パルス信号が通過した遅延ユニットの段数を、前記各リングディレイラインでのパルス信号の周回回数若しくは該周回回数と周回位置とにより求めることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のA/D変換方法。 - 入力電圧を数値データに変換するA/D変換装置であって、
ゲート回路からなる第1遅延ユニットを複数段縦続接続することにより構成され、パルス信号を第1遅延ユニットの遅延時間にて順次遅延しながら伝送させる第1パルス遅延回路と、
該第1パルス遅延回路に対して、前記入力電圧を、前記各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力する第1入力回路と、
ゲート回路からなる第2遅延ユニットを複数段縦続接続することにより構成され、パルス信号を第2遅延ユニットの遅延時間にて順次遅延しながら伝送させる第2パルス遅延回路と、
該第2パルス遅延回路に対して、前記入力電圧を、前記各第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力する第2入力回路と、
前記各パルス遅延回路を起動して、前記各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させ、そのとき前記各パルス遅延回路内で生じる伝送速度の比率を数値化することで、前記入力電圧の数値データを生成する制御手段と、
を備えたことを特徴とするA/D変換装置。 - 前記第1入力回路は、前記入力電圧をn倍増幅する第1増幅回路を備え、該増幅後の信号を、前記各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として前記第1パルス遅延回路に入力し、
前記第2入力回路は、前記入力電圧をm倍増幅(但し、mとnとは正負の符号+,−が異なる)する第2増幅回路を備え、該増幅後の信号を、前記各第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として前記第2パルス遅延回路に入力することを特徴とする請求項8に記載のA/D変換装置。 - 前記第1入力回路は、前記入力電圧若しくは前記第1増幅回路にて増幅した入力電圧に第1オフセット電圧を加える第1電圧シフト回路を備え、前記第2入力回路は、前記入力電圧若しくは前記第2増幅回路にて増幅した入力電圧に第2オフセット電圧を加える第2電圧シフト回路を備えることを特徴とする請求項9に記載のA/D変換装置。
- 入力電圧を数値データに変換するA/D変換装置であって、
ゲート回路からなる第1遅延ユニットを複数段縦続接続することにより構成され、パルス信号を第1遅延ユニットの遅延時間にて順次遅延しながら伝送させる第1パルス遅延回路と、
該第1パルス遅延回路に対して、前記入力電圧を、前記各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力する第1入力回路と、
ゲート回路からなる第2遅延ユニットを複数段縦続接続することにより構成され、パルス信号を第2遅延ユニットの遅延時間にて順次遅延しながら伝送させる第2パルス遅延回路と、
該第2パルス遅延回路に対して、所定の基準電圧を、前記各第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力する第2入力回路と、
前記各パルス遅延回路を起動して、前記各パルス遅延回路内でパルス信号を伝送させ、そのとき前記各パルス遅延回路内で生じる伝送速度の比率を数値化することで、前記入力電圧の数値データを生成する制御手段と、
を備えたことを特徴とするA/D変換装置。 - 前記第1入力回路は、前記入力電圧に所定の第1オフセット電圧を加える第1電圧シフト回路を備え、該第1電圧シフト回路にて前記入力電圧に前記第1オフセット電圧を加えた信号を、前記各第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として前記第1パルス遅延回路に入力することを特徴とする請求項11に記載のA/D変換装置。
- 前記第1入力回路は、前記入力電圧、若しくは前記第1電圧シフト回路にて前記入力電圧に前記第1オフセット電圧を加えた電圧を、n倍増幅する第1増幅回路を備えたことを特徴とする請求項12に記載のA/D変換装置。
- 前記第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路は、互いに同一構成のパルス遅延回路からなることを特徴とする請求項11〜請求項13何れかに記載のA/D変換装置。
- 前記制御手段は、
前記第1パルス遅延回路内でパルス信号が通過した第1遅延ユニットの段数をカウントする第1カウント手段と、
前記第2パルス遅延回路内でパルス信号が通過した第2遅延ユニットの段数をカウントする第2カウント手段と、
を備え、前記各カウント手段によりカウントされた前記各遅延ユニットの段数の比率を数値化することで、前記入力電圧の数値データを生成することを特徴とする請求項8〜請求項14何れかに記載のA/D変換装置。 - 前記制御手段は、前記第2カウント手段にてカウントされる前記第2遅延ユニットの段数が予め設定された設定段数に達するまでの間に、前記第1パルス遅延回路内で前記パルス信号が通過した第1遅延ユニットの段数を前記第1カウント手段にカウントさせ、該第1カウント手段によるカウント結果を、前記入力電圧の数値データとして出力することを特徴とする請求項15に記載のA/D変換装置。
- 前記第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路は、夫々、前記第1遅延ユニット及び第2遅延ユニットが夫々リング状に連結され、前記パルス信号を周回させるリングディレイラインからなり、
前記第1カウント手段は、前記第1パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回回数をカウントする第1カウンタと、前記第1パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回位置を所定ビットのデジタルデータに変換して出力するエンコーダとを備え、外部から入力されるサンプリング信号に従い、前記第1カウンタによるカウント結果及び前記エンコーダにより得られたデジタルデータをラッチして出力するよう構成され、
前記第2カウント手段は、前記第2パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回回数をカウントする第2カウンタと、該第2カウンタによるカウント値が前記設定段数に対応する設定値に達したか否かを判定し、設定値に達したときに、第1カウント手段に前記サンプリング信号を出力するコンパレータとを備え、該コンパレータが出力するサンプリング信号にて前記第2カウンタをリセットするよう構成されたことを特徴とする請求項16に記載のA/D変換装置。 - 前記制御手段は、
前記第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路の起動後、前記第2カウント手段を構成するコンパレータが出力するサンプリング信号に同期して、前記第1カウント手段からの出力をラッチし、前記第1カウンタによるカウント結果を上位ビットデータ、前記エンコーダにより得られたデジタルデータを下位ビットデータとするデジタルデータを、前記入力電圧の数値データとして出力する信号処理回路を備えることを特徴とする請求項17に記載のA/D変換装置。 - 前記制御手段は、
外部から入力される一定周期のマスタクロックに同期して、前記第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路を起動することにより、前記第1カウント手段及び第2カウント手段を前記マスタクロックの一周期毎に動作させると共に、その後前記第1カウント手段から出力される前記第1カウンタによるカウント結果及び前記エンコーダにより得られたデジタルデータを、夫々、前記マスタクロックに同期してラッチし、前記第1カウンタによるカウント結果を上位ビットデータ、前記エンコーダにより得られたデジタルデータを下位ビットデータとするデジタルデータを、前記入力電圧の数値データとして出力する信号処理回路を備えることを特徴とする請求項17に記載のA/D変換装置。 - 前記第2カウント手段を構成する前記コンパレータは、前記設定段数に対応する設定値を外部から設定変更可能に構成されていることを特徴とする請求項17〜請求項19何れかに記載のA/D変換装置。
- 前記第1カウント手段の動作電源電圧及び第2カウント手段の動作電源電圧は、前記第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路へ前記各遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力される前記入力電圧に対応した信号とは異なることを特徴とする請求項15〜請求項20何れかに記載のA/D変換装置。
- 請求項9又は請求項10に記載のA/D変換装置において、前記第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路は、夫々、前記第1遅延ユニット及び第2遅延ユニットが夫々リング状に連結され、前記パルス信号を周回させるリングディレイラインからなり、
前記制御手段は、
前記第1パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回回数をカウントする第1カウンタと、前記第1パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回位置を所定ビットのデジタルデータに変換して出力するエンコーダとを備え、外部から入力されるサンプリング信号に従い、前記第1カウンタによるカウント結果及び前記エンコーダにより得られたデジタルデータをラッチして出力するよう構成された第1カウント手段と、
前記第2パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回回数をカウントする第2カウンタと、該第2カウンタによるカウント値が前記設定段数に対応する設定値に達したか否かを判定し、設定値に達したときに、第1カウント手段に前記サンプリング信号を出力するコンパレータとを備え、該コンパレータが出力するサンプリング信号にて前記第2カウンタをリセットするよう構成された第2カウント手段と、
を備え、更に、前記第1入力回路を構成する第1増幅回路が入力電圧を増幅する倍率n、及び、前記第2入力回路を構成する第2増幅回路が入力電圧を増幅する倍率mには、夫々、n=0.01〜500、m=−0.01〜−1000の範囲内の任意の値が設定されることを特徴とするA/D変換装置。 - 請求項9又は請求項10に記載のA/D変換装置において、前記第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路は、夫々、前記第1遅延ユニット及び第2遅延ユニットが夫々リング状に連結され、前記パルス信号を周回させるリングディレイラインからなり、
前記制御手段は、
前記第1パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回回数をカウントする第1カウンタと、前記第1パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回位置を所定ビットのデジタルデータに変換して出力するエンコーダとを備え、外部から入力されるサンプリング信号に従い、前記第1カウンタによるカウント結果及び前記エンコーダにより得られたデジタルデータをラッチして出力するよう構成された第1カウント手段と、
前記第2パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回回数をカウントする第2カウンタと、該第2カウンタによるカウント値が前記設定段数に対応する設定値に達したか否かを判定し、設定値に達したときに、第1カウント手段に前記サンプリング信号を出力するコンパレータとを備え、該コンパレータが出力するサンプリング信号にて前記第2カウンタをリセットするよう構成された第2カウント手段と、
を備え、更に、前記第1入力回路を構成する第1増幅回路が入力電圧を増幅する倍率n、及び、前記第2入力回路を構成する第2増幅回路が入力電圧を増幅する倍率mは、倍率nの絶対値が倍率mの絶対値よりも小さくなるよう設定されることを特徴とするA/D変換装置。 - 請求項10に記載のA/D変換装置において、
前記第1パルス遅延回路及び第2パルス遅延回路は、夫々、前記第1遅延ユニット及び第2遅延ユニットが夫々リング状に連結され、前記パルス信号を周回させるリングディレイラインからなり、
前記制御手段は、
前記第1パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回回数をカウントする第1カウンタと、前記第1パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回位置を所定ビットのデジタルデータに変換して出力するエンコーダとを備え、外部から入力されるサンプリング信号に従い、前記第1カウンタによるカウント結果及び前記エンコーダにより得られたデジタルデータをラッチして出力するよう構成された第1カウント手段と、
前記第2パルス遅延回路を構成するリングディレイラインでのパルス信号の周回回数をカウントする第2カウンタと、該第2カウンタによるカウント値が前記設定段数に対応する設定値に達したか否かを判定し、設定値に達したときに、第1カウント手段に前記サンプリング信号を出力するコンパレータとを備え、該コンパレータが出力するサンプリング信号にて前記第2カウンタをリセットするよう構成された第2カウント手段と、
を備え、
更に、前記第1入力回路を構成する第1増幅回路が入力電圧を増幅する倍率n及び第1電圧シフト回路が加える第1オフセット電圧と、前記第2入力回路を構成する第2増幅回路が入力電圧を増幅する倍率m及び第2電圧シフト回路が加える第2オフセット電圧とは、
前記第2パルス遅延回路に前記第2遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力される信号の方が、第1パルス遅延回路に前記第1遅延ユニットの遅延時間を制御する信号として入力される信号に比べて、電圧範囲が広く、且つ、より低い電圧まで変化するように設定されることを特徴とするA/D変換装置。
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