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JP4396276B2 - フラッシュランプ発光装置 - Google Patents
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Description

本発明は、フラッシュランプ発光装置に関し、特に、半導体製造や薄膜トランジスタ製造、液晶基板等の熱処理用の熱源等に用いられるフラッシュランプ発光装置に関する。
半導体製造や薄膜トランジスタ製造において、フラッシュランプを用いてアニール処理する技術の開発が進められている。例えば最先端ロジックLSIでは、シリコンウエハ表層の10〜15nmの深さに打ち込んだイオン濃度プロファイルを動かすことなく、高濃度に活性化させるために、ミリセックオーダ(1〜3msec)の時間、所定の間隔でフラッシュランプを照射し、アニール処理を完了させるために、フラッシュランプを用いた発光装置が使用される。半導体基板をアニール処理するためには、基板の表層部分を1000℃程度にまで昇温する必要があることから、フラッシュランプは、例えば、5kJ(キロジュール)もの高いエネルギーを入力して、点灯させる必要がある。
近時では、ランプに投入されるエネルギーを小さくし、電源を小さくするなどといった目的で、フラッシュランプの点灯パルス幅の短縮化が進められており、また、上記半導体のアニール用途以外にも、セラミック薄膜表面の改質や光硬化による光学部品の接着固定などといった分野でパルス幅1msec以下の短パルス光が求められている。このような分野でのフラッシュランプの点灯周期は、光を照射する対象物(ワーク)の運搬速度によって決まる。
半導体のアニール用途では例えば15秒を超える間隔でフラッシュランプを点灯するが、短いパルス幅でフラッシュランプを点灯させようとすると、電流の立ち上がりも早くなるため、電流密度が高く、温度の高いプラズマがより管壁に近い位置で形成され、トリガー部材側の発光管の内壁が、高温のプラズマに近接して曝され、白濁、失透して劣化する不具合を起こし、ランプ寿命が極度に短くなってしまうことが判明した。
上記の技術分野とは異なるが、従来からフラッシュランプはレーザ発振器のポンピング用として使用されている。特許文献1に記載があるように、レーザ発振器において、レーザの光出力エネルギーの安定性を高めフラッシュランプの耐用時間を増加させるために、フラッシュランプの駆動電源においては、フラッシュランプの主放電電流より低いレベルの予備放電電流を常時、フラッシュランプ電極間で維持することが行われていた。レーザ発振器のポンピング用でのパルス幅は100〜800μsであり、主放電の電流値は、およそ500A、点灯周期(放電間隔)は10〜500Hz、予備電流値は50〜500mAである。常時、予備放電電流を流すことで高エネルギーのポンピングパルスからの物理的なショックが軽減されてフラッシュランプの放電容器からのガラス質除去が抑制され、電極のスパッタリング及び蒸発が最小限に抑えられるため、耐用時間を増加させることができるとされる。
短いパルス幅でフラッシュランプを点灯させようとすると、電流密度が高く、温度の高いプラズマがより管壁に近い位置で形成されるため、トリガー部材側の発光管の内壁が、高温のプラズマに近接して曝されて、発光管の熱的なダメージが大きくなる。このため、主放電電流の前に予備放電電流を流すことによって、予め管壁より離れて放電経路をつくっておくことが有効であると考えられていた。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、予備放電電流を常時流すものであり、レーザ発振器のポンピングで行われる周波数10〜500Hz(周期0.002〜0.1sec)といった短い発光間隔と比べて長い、所定の時間間隔、具体的には、例えば15sec以上の間隔で発光させる半導体アニール用途のフラッシュランプ発光装置においては、予備放電電流を常時流しつづけると、予備放電からの熱伝導や放射によりフラッシュランプの発光管の管壁温度が逆に高くなり、発光管の内面が白濁し失透して劣化する不具合が一層促進されてしまうことが判明した。これは、点灯周期が短い用途でのフラッシュランプ管壁の加熱は、主放電によるものであったが、点灯周期が長くなると、その間、電極間で維持される予備放電からの熱伝導や放射による発光管の加熱が無視出来なくなり、更には、主放電による加熱を予備放電からの加熱が上回ることによるものと考えられた。
特公平5−1986号公報
そこで、本発明の目的は、パルス幅1msec以下の短いパルス幅で、従来のレーザポンピング用途よりも長い時間間隔でフラッシュランプを点灯させても、発光管の過剰な加熱を防ぎ、寿命を延長させることのできるフラッシュランプ発光装置を提供することにある。
本発明者は、予備放電電流を常時ではなくフラッシュ発光させる前のみに流し、予備放電時、ランプに負荷される電荷量範囲を規定したフラッシュランプ発光装置とすることで、管壁に注入される加熱エネルギーが、減少することを見出して、本発明を完成したものである。
請求項1に記載の発明は、発光管の管軸方向に沿い配置されたトリガー部材を具備したフラッシュランプと、該フラッシュランプに主放電電流を供給して点灯周期0.6sec以上でパルス幅1msec以下のフラッシュ発光をさせる給電手段と、前記フラッシュ発光させる前にのみ1A以上の予備放電電流を1msec以上の時間供給する予備放電電流供給手段と、予備放電電流の大きさと流す時間を制御して、予備放電電流の供給によって予備放電するときにフラッシュランプに負荷される電荷量が0.6C(クーロン)以下となるように該電荷量を制御する電荷量制御手段とを有することを特徴とするフラッシュランプ発光装置とするものである。
放電は、最初、発光管内のトリガー部材側より始まり、時間と共に発光管中心部に形成されるようになる。ところが、1ms以下の短いパルス幅でフラッシュランプを点灯させると、最大電流値に達するまでの時間も短くなるため、電流密度が高く、温度の高いプラズマがより管壁に近い位置で形成されることになり、発光管が局所的に加熱されることになる。よって1ms以下の短いパルス幅で、ランプを点灯させる場合、予め予備放電により管壁より離れて放電経路をつくっておくことが有効なのである。
また、予備放電電流が1A以上であると、電極間にアーク放電が生じ、1A以下の電流値では、電極間にグロー放電になる。グロー放電の場合、正イオンが陰極表面へ衝突することによって、電子が供給されるため、電極の損耗が大きくなり、ランプ全体としての寿命も短くなってしまうのでアーク放電を生じる電流値である必要がある。
予備放電電流継続時間が1msec未満では、放電経路を管壁から充分離れた位置に形成することができないので充分な寿命延長効果を得られない。そして、フラッシュランプに予備放電時、負荷される電荷量を0.6C以下とすることによって、管壁に注入される相対的な加熱エネルギーを、予備放電電流を流さない場合を1としたときの大きさの0.8以下とすることができる。この加熱エネルギーが0.8以下であると発光管の白濁が生じるまでの時間を大幅に遅らすことができる。
請求項2に記載の発明は、半導体アニール用途で使用され、点灯周期が15sec以上であることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュランプ発光装置とするものである。
半導体の製造工程に用いられるフラッシュランプの点灯周期は、ワークの運搬速度によって決まり、通常、15sec以上のサイクル時間である。このような用途においては、予備放電電流を常時ではなくフラッシュ発光させる前のみに流し、間欠的に予備放電電流を供給することにより、非常に効果的に過剰な発光管の加熱を防ぐことができる。
本発明のフラッシュランプ発光装置は、予備放電電流をフラッシュ発光させる前のみに流すため、電流密度が高く、温度の高いプラズマを管壁より離れた位置に発生させることができる。また、所定の電荷量となるように規定することにより、発光管に注入される加熱エネルギーを抑えることができ、フラッシュランプ発光装置のランプ寿命を延ばすことができる。
また、予備放電電流をフラッシュ発光させる前にのみ流すため、陰極や陽極材質の不必要な蒸発やスパッタリングを防ぐことができ、電極の損耗を最小限に留め、さらに寿命の長いフラッシュランプ発光装置を提供することができる。
図1に本発明の一実施例のフラッシュランプ発光装置のブロック図を示す。この図において、記号1はスイッチング素子3aを介してフラッシュランプ4に主放電電流8を供給するコンデンサ2に充電するための充電回路を示す。記号5はスイッチング素子3bを介してフラッシュランプ4に接続され予備放電用の放電電流を供給する予備放電電流供給手段としての予備放電電流回路を示す。記号6はフラッシュランプ4にトリガートランス7を介して接続され予備放電を開始するためのトリガー回路を示す。
記号21は出力端子21a〜21dを介してスイッチング素子3a、3bに放電電流の流れるタイミングと時間、トリガー回路6にトリガーをかけるタイミング、予備放電回路5からの電流値を一定に制御するための信号をそれぞれ与え、主放電を流すタイミングおよび時間とランプに流れる予備放電電流値と時間を調整し、予備放電時にフラッシュランプ4に供給される電荷量を制御するための電荷量制御回路であり、本発明における電荷制御手段である。
スイッチング素子3aには例えばSCR(サイリスタ)が使用される。SCRは電流信号が入ると導通状態となり、主放電電流が0になるまでは導通状態を維持する。スイッチング素子3aにIGBT(絶縁ゲートバイポーラ型トランジスタ)が使用された場合には、電圧信号が入った時間だけ、主放電電流が流れる。記号9は予備放電電流の流れる方向を示す。給電装置は破線で囲んだ記号20の部分である。コンデンサ2は例えば容量1000μFの電解コンデンサが1個接続されたものである。なお、本発明において、コンデンサは、その容量の大きさによっては1個の場合もあるし、複数個を繋げたコンデンサバンクの形態をとることもある。また、フィルムコンデンサが用いられることもある。
トリガー部材17はタングステン製であり、トリガートランス7に接続される。トリガー部材17は、金属線のみの場合もあるし、両端が封止された直管状の誘電体部材の内部に金属線が封装され、該金属線に電気的に接続された給電線が当該誘電体部材から導出されてなる形態の場合もある。スイッチング素子3bとしては例えばFET(電界効果型トランジスタ)が使用される。FETは電圧信号が入った時間だけ導通状態になる。そして、予備放電電流回路5からフラッシュランプ4に対して、所定の電荷量が流れるよう、電荷量制御回路21により調整された予備放電電流9が供給される。
フラッシュランプ4の放電容器は石英ガラスからなり、例えば放電容器の直径は13mm、長さ50mmであり、一対のタングステン製もしくは、タングステンを主成分とした電極が放電容器の内部両端域に対向して配設されている。放電容器内には放電ガスとしてキセノン(Xe)等の希ガスが封入されている。
この図1に示す実施例の動作を説明すると、まず電荷量制御回路21の出力端子21cよりトリガー回路6へ起動信号が送られ、起動パルス電圧が発生する。この起動パルス電圧をトリガートランス7の1次側に印加すると2次側には昇圧された15kV程度の高電圧パルスが誘起される。そして、この高電圧パルスがトリガー部材17にかかるのと同時にスイッチング素子3bが閉路するよう出力端子21bから同期信号を発生させることによって、予備放電電流が予備放電電流回路5からフラッシュランプ4に供給され、予備放電状態となる。そして、フラッシュランプ4のトリガー側管壁に注入される加熱エネルギー(後述)が、予備放電電流を流さない場合と比較し小さくなるよう出力端子21dからの制御信号により一定電流が流れるよう制御された予備放電電流が、出力端子21bからの信号によりスイッチング素子3bが閉路した時間だけ、フラッシュランプ4に供給される。
そして、フラッシュランプには予備放電電流9から主放電電流8へ連続的に電流が流れるよう、出力端子21bからの信号によりスイッチング素子3bを開路すると(オフすると)ともに出力端子21aからの信号によりスイッチング素子3aを閉路とすると(オンすると)、コンデンサ2に蓄えられた電荷が閉路となった時間だけ主放電電流8としてフラッシュランプ4に流れ込む。そして、コンデンサ2の充電電圧の低下分は充電回路1より充電され、所定の電圧に維持される。なお、コイル10は主放電電流波形を調整する目的で挿入されている。電荷量0.6C以下にするための制御は、電荷量制御回路21によって行う。例えば、所望の電流値が流れるよう電荷量制御回路21の出力端子21dの制御信号を設定し、(電荷量0.6C)/(所望の電流値)で計算される値より短い時間だけスイッチング素子3bが閉じるように出力端子21bの信号を設定し、電荷量を制御する。このような制御信号は、例えばICを用いたデジタル回路により発生させる。
次に、図2に他の本発明の一実施例のブロック図を示す。主放電回路は図1と同じである。予備放電電流供給手段としての予備放電電流回路は、コンデンサ11(静電容量:C)とコンデンサ11を充電するための充電回路12と抵抗19で構成されている。電荷量制御回路21の出力端子21a〜21cは、図1と同じ働きであり、出力端子21eはコンデンサ11を一定電圧に充電させるための制御信号を出力する。
この実施例の場合、予備放電電流9は、コンデンサ11に蓄えられた電荷が予備放電電流としてフラッシュランプ4に流れるため、時間とともに電流値は小さくなる電流波形となる。給電装置は破線で囲んだ記号20の部分である。
予備放電電流の電流値は回路中の抵抗Rと充電電源12の充電電圧V0で決まり、時間tの変化に対しV0/R exp(−t/CR)の関係がある。各パラメータを設定し、この時間積分が0.6C以下となるよう電荷量制御回路21の出力端子21bからの信号によりスイッチング素子3bが閉路した時間だけ、フラッシュランプ4に予備放電電流を供給する。例えば、V0:500V、R:100Ω、C:5000μFの時、0.6C以下となる時間tは、およそ140msであり、これより短い時間となるよう電荷量制御回路21の出力端子21bからの信号によりスイッチング素子3bを閉じる。
そして、コンデンサ11の充電電圧の低下分は、出力端子21eからの制御信号により所定の電圧に維持されるよう充電回路12より充電される。各パラメータの設定は、例えば予備放電電流値を、V0/Rのほぼ一定値と考えることができるよう、所望のtに対して充分大きいCR(s)値を選ぶ。ここで、CR値は、予備放電電流値V0/Rが1/eにまで減衰する時間を表し、時定数と呼ばれるものである。この場合、図1と同様、まず所望の電流値をV0/Rで考え、次に(電荷量0.6C)/(所望の電流値:V0/R)から計算される値よりCR値が充分大きくなるよう、Cの値を選択する。そして計算された値より小さい時間だけスイッチング素子3bが閉じるように電荷量制御回路21の出力端子21bからの信号を設定し、電荷量の制御を行う。
図3に他の本発明の一実施例のブロック図を示す。図3では、図1の主放電回路に抵抗13とコンデンサ14を入れたものである。この図に示す動作を説明すると、まず電荷量制御回路21の出力端子21cからの信号によりトリガーパルスがトリガー部材にかかるとランプ内では絶縁破壊が起こり、コンデンサ2が充電されるとき、同時に抵抗13を通して電荷が蓄えられたコンデンサ14により、ランプ内で放電が起こる。これと同期させた出力端子21bからの信号により予備放電回路側のスイッチング素子3bを閉路とすることで予備放電電流が流れる。予備放電電流は、図2で説明した電流の波形であっても構わない。給電装置は破線で囲んだ記号20の部分である。
そして、ランプには予備放電電流から主放電電流へ連続的に電流が流れるよう、電荷量制御回路21の出力端子21bによりスイッチング素子3bを開路すると共に出力端子21aによりスイッチング素子3aを閉路とすると、コンデンサ2に蓄えられた電荷が閉路となった時間だけ主放電電流8としてフラッシュランプ4に流れ込む。このようにコンデンサ14により、予備放電より更に先にランプ内で放電させることにより、予備放電の開始電圧を低く下げることができ、高電圧が使用できない予備放電電流回路において特に有効となる。
次に、トリガー側管壁に注入される加熱エネルギーについて、模式図として描いた図4をもとに説明する。物質がある熱量を受け取ると、その物質固有の熱容量で決まる温度だけ上昇する。物体の熱容量は既知であるので、上昇した温度からランプ管壁に注入された加熱エネルギーを求めることができる。
図4中で横軸が管肉厚方向であり縦軸が発光管の上昇温度を表す。最初、発光管内で発生したプラズマによる熱伝導および放射により、ランプが点灯した時間だけ発光管内壁が加熱される。この時、発光管の熱拡散により点灯させた時間分、熱エネルギーが厚み方向に伝わり、図4中aのような温度プロファイルをもつ。時間とともにさらに熱は発光管を伝わっていき、温度プロファイルは、図中bの温度プロファイルを経て図中cの温度プロファイル(熱平衡状態)へと変わっていく。このとき、熱量は保存されるため、熱量を表すa〜cの温度プロファイルで囲まれた面積(図中の各斜線部)は等しい。温度プロファイルがa〜cへと移行する時間は、発光管材質固有の熱拡散率によって異なるが、例えば、材質が石英ガラスで1mmの厚みの発光管を熱が伝わる場合は、温度プロファイルcの熱平衡状態に達するのに約1sec程度かかる。
温度プロファイルcのように熱平衡に達した後、上昇した管壁温度は、時間とともに放熱により下がっていくため、非接触で、比較的速い応答速度で対象温度を測定することができる放射温度計を用いて測定する。
測定の様子を図5、6に示す。図5はランプ管軸方向から放射温度計15の焦点位置を
示したもので、焦点位置は、トリガー部材17近傍の管壁の位置に合うように設置する。
トリガー部材17近傍とは具体的にはトリガー部材から約1mm離れた場所である。放射
温度計15には、測定視野の広いものもあるが、より正確にトリガー側管壁の温度上昇を
測定するためには、小スポットのものが好ましい。
図6は放射温度計の焦点位置のランプ管軸方向での場所がランプ略中央であることを示
している。放射温度計15とフラッシュランプ18の間にはフラッシュランプ18の光に
より放射温度計15の検出部の故障を防ぐために、ランプ点灯中は閉じられており、消え
ると同時に開くように設定したシャッター16が設けられている。図中、電極の表記は省
略してある。このように測定した上昇温度をもとに管壁に注入された加熱エネルギーを求めた。加熱エネルギー(Q)は次式で求まる。
Q= mcΔT
m:発光管の質量(kg)、c:発光管の比熱(J/kg・K)、ΔT:発光管の上昇温度(K)
この実験における予備放電と主放電の関係を縦軸に電流値、横軸に時間をとって一例として表したものが図10である。測定した結果を図7に示す。図7は、主発光1ショットとし、予備放電電流を3.7Aとし、予備放電状態としておく時間を変化させたときの、予備放電電流を流さないときにトリガー側管壁に注入される加熱エネルギーを1としたときの相対的な加熱エネルギーを示す。
図7から分かるように、予備放電時間に伴い、加熱エネルギーが減少していき、最小値をとった後、増加に転じ予備放電を流さない場合よりも大きくなることを見出した。このことから、予備放電電流を流すことで、高温のプラズマを管壁から離れて生成させることにより管壁に注入する加熱エネルギーを小さくすることができるが、更に長い時間流すと逆に予備放電電流からの熱伝導や放射により管壁が温められてしまうことが推察される。この時、加熱エネルギーが、予備放電電流を流さない場合と同等になるときの電荷量は、1.1Cという値であった。
さらに、予備放電電流値と加熱エネルギーとの関係を調べるために、予備放電電流値を3.7A以外に9.8A、18A、23A、50Aと変化させて、その各々について、予備放電時間に伴い、加熱エネルギーが減少していき、最小値をもった後、増加に転じ、予備放電を流さない場合よりも大きくなることを確認した。そして、加熱エネルギーが、予備放電電流を流さない場合と同等になるときの電荷量はいずれも略1.1Cとなり、このことから、加熱エネルギーを減少させる効果のある「電流×時間」すなわち「電荷量」に、所定の範囲があることが分かった。なお、予備放電電流を100A以上流した場合も実験したが、加熱エネルギーを小さくする効果はみられなかった。
そして、フラッシュランプに負荷される電荷量が0.6C以下のとき、予備放電電流を流さないときにトリガー側管壁に注入される加熱エネルギーを1としたときの相対的な加熱エネルギーが0.8以下となることが分かった。この相対的な加熱エネルギーが0.8以下であると発光管の白濁が発生するまでの時間を大幅に遅らすことができた。
このことを図8に同ショット数における相対的な加熱エネルギーと発光管の白濁の測定結果として示す。測定条件は、パルス幅400μs、予備放電電流値3.7A、点灯周期15sec、主放電入力エネルギー3.4kJで、主放電の前に予備放電電流を流さないとき、予備放電電流を0.5、3、20msの時間流したときである。それぞれにおいて、相対的な加熱エネルギーは主放電の前に予備放電電流を流さないときを1として表すと、0.9、0.8、0.7であった。相対的な加熱エネルギーが0.8以下であれば発光管の白濁は生じていない。
点灯周期が15sec以上の場合、主放電終了後から、次の予備放電開始までは発光管が加熱されることがないため同様の効果が得られる。また、点灯周期が15sec以下のものにおいても、予備放電電流1Aとフラッシュランプに負荷される電荷量0.6Cから算出される予備放電時間0.6secを越える(周波数1.7Hz以下の)点灯周期においては、予備放電電流からの熱伝導や放射によって発光管の相対加熱エネルギーが0.8より高くなってしまうため、本発明により見出した電荷量範囲内の電流と時間だけ、主放電前にのみ流すことが有効である。但し、これより、短い点灯周期においては、常時、流すものと効果は変わりないため、間欠的に予備放電を流す必要は、無くなる。
また、図9は予備放電電流を3.7A、23Aとしたときの短い予備放電状態時間における加熱エネルギーの変化を拡大して示す。縦軸は、予備放電電流を流さないときにトリガー側管壁に注入される加熱エネルギーを1としたときの相対的な加熱エネルギーを示す。
予備放電時間である。図9から予備放電電流値に依らず、1msまでに加熱エネルギーが急速に減少しており、1ms以上、予備放電電流を流すことにより、特に放電ランプの寿命を延長させるのに効果のあることが分った。
本発明におけるフラッシュランプ発光装置の一実施例のブロック図を示す。 本発明におけるフラッシュランプ発光装置の一実施例の他のブロック図を示す。 本発明におけるフラッシュランプ発光装置の一実施例の他のブロック図を示す。 発光管管壁の熱伝導の様子を示す。 加熱エネルギーの測定の様子を示す。 加熱エネルギーの他の測定の様子を示す。 予備放電電流3.7Aにおける予備放電時間と加熱エネルギーの関係を示す。 加熱エネルギーと発光管の白濁の関係を示す。 予備放電電流23A、3.7Aにおける予備放電時間と加熱エネルギーの関係を示す。 本発明における予備放電と主放電の電流値の時間変化を示す。
符号の説明
1 充電回路
2 主放電電流コンデンサ
3a スイッチング素子
3b スイッチング素子
4 フラッシュランプ
5 予備放電電流回路
6 トリガー回路
7 トリガートランス
8 主放電電流の流れる方向
9 予備放電電流の流れる方向
10 コイル
11 予備放電電流用コンデンサ
12 充電電源
13 抵抗
14 コンデンサ
15 放射温度計
16 シャッター
17 トリガー部材
18 フラッシュランプ
19 抵抗
20 給電装置
21 電荷量制御回路
21a 出力端子
21b 出力端子
21c 出力端子
21d 出力端子
21e 出力端子

Claims (2)

  1. 発光管の管軸方向に沿い配置されたトリガー部材を具備したフラッシュランプと、
    該フラッシュランプに主放電電流を供給して点灯周期0.6sec以上でパルス幅1msec以下のフラッシュ発光をさせる給電手段と、
    前記フラッシュ発光させる前にのみ1A以上の予備放電電流を1msec以上の時間供給する予備放電電流供給手段と、
    該予備放電電流の大きさと流す時間を制御して、該予備放電電流の供給によって予備放電するときに該フラッシュランプに負荷される電荷量が0.6C(クーロン)以下となるように該電荷量を制御する電荷量制御手段とを有することを特徴とするフラッシュランプ発光装置。
  2. 半導体アニール用途で使用され、点灯周期が15sec以上であることを特徴とする請求項1に記載のフラッシュランプ発光装置。

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