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JP4397197B2 - 熱強化ガラスの製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、風冷法で製造されるいわゆる熱強化ガラス、特に2.5mm厚以下の熱強化ガラスの製造方法に関する。
省資源・省エネルギーの観点から、強化ガラスの薄板化や強化度アップが進んでおり、このための手法として主に化学強化法と物理強化法が用いられている。 化学強化法は、イオン交換、結晶化、熱膨張率の違いなどを利用してガラス表面に圧縮応力を与える方法であり、その方法による強化ガラスは化学強化ガラスと呼ばれている。化学強化法は3mm以下特に2mm以下の板厚をもった薄板の強化には適しているが、化学強化ガラスの圧縮応力層の厚さが薄いことから加傷強度の問題が発生しやすいので、その使用場所が限定されるという欠点がある。
これに対し、物理強化法による強化ガラスは、熱強化ガラスとも呼ばれているように、軟化点近傍まで加熱したガラスをその表面から急冷することにより製造される。熱強化ガラスの場合、板厚の約1/6の圧縮応力層を有し、加傷強度の問題が発生しにくいという長所がある。熱強化ガラスの製造方法としては、急冷用の冷却媒体として生産コスト上及び安全上の理由から空気を用いるいわゆる風冷強化法が多く採用され、製造された熱強化ガラスは風冷強化ガラスとも呼ばれている。
熱強化ガラスは炉内で加熱後、そのガラス内の温度差と粘性流動を利用することにより製造される。このため、熱強化ガラスの強化度アップを行う場合、大きくは主に以下の2つの方法で対応することが知られている。一つは冷却開始時のガラス温度をできるだけ高くすることであり、もう一つは冷却時における表層と内層のガラス内温度差を大きくすることである。
冷却開始時のガラス温度を高くすることにより、強化度を高くすることができ、薄板の強化ガラスも製造することができる。また、製造中のガラス破壊を少なくすることができる。しかし、ガラス温度を高くしすぎると、ガラスが変形して、所定の形状を得ることができないという致命的な問題が発生してくる。このため、薄板強化ガラスの強化度アップを行う場合、ガラス温度を高くする手法のみでは限界がある。
一方、冷却時における表層と内層のガラス内温度差を大きくすることに関しては、例えば、ビオー数を大きくする概念で説明することができる。ビオー数は(熱伝達係数x板厚/熱伝導率)で表される無次元数であるが、このビオー数を大きくすることにより、ガラスの強化度を上げることができる。すなわち、熱伝達係数を大きくすること、板厚を厚くすること、そして熱伝導率を小さくすることにより、ガラスの強化度を上げることができる。しかし、強化ガラスの板厚を薄くする場合、すなわち薄板強化ガラスを製造する場合、一般的にガラスの熱伝導率は一定であるので、ビオー数の分子を大きくするためには、熱伝達係数を大きくせざるを得ない。このため、ガラスを薄板化する場合、熱伝達係数を大きくする方法が主な対策となっている。
ノズルを使った冷却において、熱伝達係数とその冷却条件との間には、
(h・r)/λ=0.286Re0.625
Re=(V・r)/ν
=6.63V・d/Z
等の関係が実験的に導き出されている(例えば、非特許文献1参照)。ここで、hは熱伝達係数、λは空気の熱伝導率、νは空気の動粘性係数、Reはレイノルズ数、rはノズル間距離、dはノズル出口でノズル直径、Vはノズル出口での流速、Vはガラス面での流速、Zはノズル−ガラス間距離である。上述の数値はZ/dが8よりも大きな場合に成立するとされているが、上式の形から明らかなように、熱伝達係数を大きくする一般的な方法としては、ノズルからの噴出速度を大きくする(ノズルからの噴出圧力を大きくする)、ノズル径を大きくする、ノズル数を増やす他、ガラスとノズル先端との距離を小さくすることや冷却媒体の衝突時のエネルギー増大などが効果的とされている。
公知技術をみれば、例えば、急冷に用いた排気エアで板幅方向のガラス温度を調整したり(例えば、特許文献1参照)、先細ノズルの使用を特徴としたり(例えば、特許文献2参照)、ブロアエアを噴射する第1群ノズルとコンプレッスドエアを噴射する第2ノズル群を備えたり(例えば、特許文献3参照)、形状変化する湾曲板ガラスに追随するように工夫したり(例えば、特許文献4参照)、帯状領域の幅、最大主応力差および平均表面圧縮応力などを限定したり(例えば、特許文献5参照)する考え方が開示されている。また、本出願人も衝撃波管的な利用による熱強化方法を示している(例えば、特許文献6参照)。
特開2001-48561号公報 特公平6-76223号公報 特開2001-26434号公報 特開平7-29164号公報 特開平11-199257号公報 特開昭62-158128号公報 R.Gardon and J.Cobonpue, Heat Transfer between a Flat Plate and Jets of Air Impinging on It, Int. Develop Heat Transfer, ASME (1962), pp454-460.
2.5mm厚以下の熱強化ガラス、特に2.3mm厚以下の薄板強化ガラスを製造する場合、従来の強化時のガラス温度を上げる手法および/または大きな熱伝達係数を得る手法では、熱強化ガラスの製造方法が確立されているとは言えず、したがって、所望の熱強化ガラスを得ることができない状況にある。特に、薄板の熱強化ガラスの場合、この傾向は顕著である。
すなわち、熱伝達係数を大きくする方法としては、ノズルからの噴出速度を大きくする(ノズルからの噴出圧力を大きくする)、ノズル径を大きくする、ノズル数を増やす他、ガラスとノズル先端との距離を小さくすることや冷却媒体の衝突エネルギー増大などが効果的とされているが、ノズルからの噴出速度を大きくしたり、ガラスとの距離を近づけたりする方法では、ガラスにノズルの噴出跡がつき、光学的に問題が発生する。また、ノズル径を大きくする、あるいはノズル本数を増やす方法では、ノズルの占める断面積が増加するためにガラスに衝突後の空気の流れをうまく管理することができず、結果的に大きな熱伝達係数を得ることができない。さらに、空気以外の冷却媒体を使うことも生産コストの上から現実性はない。冷却開始時のガラス温度を高くとることも限度がある。
特開2001-48561号公報に開示された方法では十分なガラス温度を確保することができない。また、特公平6-76223号公報や特開2001-26434号公報に開示された手法でも、大きな熱伝達係数を得ることはできない。特開平7-29164号公報に開示された手法でも上述の薄板強化ガラスを得ることができず、場合によっては強化度が下がることさえある。特開平11-199257号公報や特開昭62-158128号公報に開示された手法では湾曲度の大きな熱強化ガラスにそのまま応用することは難しい面がある。
本発明は、強化ガラスを製造するときに使われるノズルから噴き出されるエアの流れを詳細に検討した結果、従来の熱伝達の概念に一部訂正すべき事実を見出た。ノズルから噴き出される噴流と熱伝達係数の関係は、従来から言われていたように単純ではなく、ノズルの長さおよび内径、並びに噴流の圧力およびその変動幅などに影響される複雑な挙動であることを見出し、それを利用することによってこれまで難しいとされていた2.0〜2.5mmの薄板強化ガラスの製造を可能とした。本発明は、薄板強化ガラスや超強化ガラスを製造する時に有効であるが、一般の強化ガラスを効率良く製造することも可能である。
本発明は、冷却用ノズルから噴出する衝突噴流をガラス板に吹き付けて2.5mm厚以下の熱強化ガラスを製造する場合において、衝突噴流の圧力変動幅△Pを0.1MPa以上0.5MPa以下、衝突噴流の圧力Pと圧力変動幅△Pを乗じた値kが0.02(MPa) 以上0.5(MPa) 以下とすることを特徴とする熱強化ガラスの製造方法である。
また、衝突噴流の圧力Pは0.1MPa以上0.8MPa以下にある上記の熱強化ガラスの製造方法である。
また、冷却用ノズルの口径dがφ1mm以上φ8mm以下及びノズル長さLが10mm以上400mm以下にある上記の熱強化ガラスの製造方法である。
さらに、ガラス−ノズル間距離をZとしたとき、ガラス−ノズル間距離Zと冷却用ノズル口径dとの比Z/dが3以上10以下である上記の熱強化ガラスの製造方法である。
これまで、困難とされてきた2.5mm厚以下の薄板強化ガラスを安定して製造することができるようになった。
図1に示すように、空気を噴き出すノズル先端とガラス表面の衝突面までの距離の違いで熱伝達係数と衝突圧力は変化するとともに、チャンバー内の圧力によっても両者の挙動が全く異なる。すなわち、不足膨張噴流の場合、衝突面までの距離を短くしても熱伝達係数が必ずしも向上するとは言えず、長くした方が向上する場合もある。また、チャンバー内の圧力を増加させてもガラス表面の衝突面までの距離によっては逆効果となることもある。
本発明は、冷却用ノズルから噴出する衝突噴流をガラス板に吹き付けて熱強化ガラスを製造する場合において、衝突噴流の圧力変動幅△Pを0.1MPa以上0.5MPa以下とする熱強化ガラスの製造方法である。
衝突噴流の圧力変動幅△Pを大きくすれば、その熱伝達係数は増加するので、衝突噴流の圧力変動幅△Pを0.1MPa以上とすることが好ましい。0.1MPaよりも衝突噴流の圧力変動幅△Pを小さくすると、所定の熱伝達係数を得ることができない。好ましくは、0.2MPa以上である。また、0.5MPaを越えると、強化度に対する安定性が下がってくる。以上を考慮すると、衝突噴流の圧力変動幅△Pは0.1MPa以上0.5MPa以下が好ましい。
衝突噴流の圧力Pと圧力変動幅△Pを乗じた値kを0.02(MPa)以上0.5(MPa)以下とすることが好ましい。0.02(MPa)よりもkを小さくすると、結果として良好な品質をもった薄板の強化ガラスを製造することができない。従来の強化概念のように、衝突噴流の圧力Pのみを高めても、大きな熱伝達係数を得ることはできない一方、強化ガラスとしての光学的な品質は悪化する。衝突噴流の圧力Pと圧力変動幅△Pを乗じた値kが大きな目安となる。一方、kが0.5(MPa)を越えると、強化ガラスの安定性が下がり、歩留も低下してくる。以上から、衝突噴流の圧力Pと圧力変動幅△Pを乗じた値kは0.02(MPa)以上0.5(MPa)以下となる。より好ましくは、0.04(MPa)以上0.2(MPa)以下である。
なお、熱強化しようとするガラスの板厚により、付与すべき熱伝達係数は異なる。冷却開始時のガラス温度によっても多少は変わるが、2.5〜2.2mm厚の場合に必要な熱伝達係数は1.0〜1.3kW/mK、2.2〜1.9mm厚の場合に必要な熱伝達係数は1.1〜1.4kW/mK、1.9〜1.7mm厚の場合に必要な熱伝達係数は1.2〜1.5kW/mKである。
すなわち、衝突噴流の圧力Pと圧力変動幅△Pを乗じた値kは、2.5〜2.2mm厚の場合には0.01〜0.02(MPa)と、2.2〜1.9mm厚の場合には0.02〜0.04(MPa)と、1.9〜1.7mm厚の場合には0.04〜0.08(MPa)とすることにより良好な結果を得ることができる。また、衝突噴流の圧力変動幅△Pは、2.5〜2.2mm厚の場合には0.007〜0.015MPa、2.2〜1.9mm厚の場合には0.010〜0.020MPa、1.9〜1.7mm厚の場合には0.015〜0.035MPaであることが好ましい。
また、衝突噴流は不足膨張噴流であることが好ましい。不足膨張噴流であることが熱伝達係数を上げるために重要であるからである。
また、冷却用ノズルの口径dはφ1mm以上φ8mm以下にある上記の熱強化ガラスの製造方法である。冷却用ノズルの口径dがφ1mm未満ではその冷却能を維持するために多くのノズルを必要とするので、その管理が難しくなる。一方、冷却用ノズルの口径dがφ8mmを越えると、冷却能が下がる傾向にあるとともに、均一冷却することが難しくなる。より好ましくは、φ2mm以上φ6mm以下である。
なお、冷却用ノズルは細長い均一な内径のノズルであるが、例えばラバールノズルのように内径が変化するノズルの場合でも同様で、径が異なる、すなわち熱流束が異なるノズルを組み合わせることが重要である。本発明の中では、冷却用ノズルの口径dはノズル出口における径を意味している。冷却用ノズル−ガラス間距離Zは、ノズルの先端とガラス板間の距離を示している。冷却用ノズルは通常ブラストヘッドと呼ばれるチャンバーと連結しており、そのチャンバーの上流にはコンプレッサーあるいは高圧ブロワーがある。
冷却用ノズルは通常ブラストヘッドと呼ばれるチャンバーと連結しており、そのチャンバーの上流にはコンプレッサーあるいは高圧ブロワーがある。冷却用ノズルにつながるチャンバーの圧力Pは0.1MPa以上0.8MPa以下であることが好ましい。冷却用ノズルにつながるチャンバーの圧力Pが0.1MPa未満であると、2.5mm厚以下の熱強化ガラスを得ることは難しい。一方、0.8MPaを越える圧力を一般的な装置で得ることは難しく、大幅なコスト高となる。好ましくは、0.2MPa以上0.75MPa以下である。
熱強化ガラスの強化度を求める方法としては、破砕試験(JIS R3205)や表面圧縮応力(JIS R3222)から推定する方法が広く提案されている。破砕試験は、5cm角の中の破砕数を断片密度として表され、破片が5cm角内にある場合には1、辺にかかる場合は0.5としてカウントされる。断片密度が大きいほど、強化度は大きく、一般的な熱強化ガラスの場合、断片密度は40〜400の間にあることが必要とされる。400を越した場合、一般的な熱強化ガラスの範疇外になるが、一部では超強化ガラスとして使用される場合もある。強化ガラスの表面圧縮応力の値については限定されている訳ではないが、一般的には表面圧縮応力が大きな値をとる方が強化度の大きな強化ガラスである。
以下、実施例に基づき、述べる。
図2に示すような内径dが4mm、長さLが200mmのノズルを用い、ノズルの先端とガラスを想定した熱流束測定用銅板との距離Zを30mmに保ち、熱流束を求めたところ、180kW/mであった。そのときの衝突噴流の圧力Pは0.14MPa、衝突噴流の圧力変動幅△Pは0.19MPaであり、衝突噴流の圧力Pと圧力変動幅△Pを乗じた値kの値は0.0266(MPa)であった。なお、チャンバー圧は0.3MPaであった。
この条件で寸法490x820mm、2.3mm厚ガラスを風冷強化処理した場合、断片密度(個数/25cm)は最大で243、最小で103.5、スプライン長さは最長でも33mmであり、強化ガラスとしての仕様を満足していた。
図2に示すような内径dが4mm、長さLが200mmのノズルで、ノズルの先端とガラスとの距離Zを16mmに保ち、寸法が230x450mmで2.0mm厚のガラスを風冷強化処理した。そのときの衝突噴流の圧力Pは0.30MPa、衝突噴流の圧力変動幅△Pは0.22MPaであり、衝突噴流の圧力Pと圧力変動幅△Pを乗じた値kの値は0.0415(MPa)であった。なお、チャンバー圧は0.65MPaであった。また、チャンバー圧と衝突噴流の圧力の測定データを図4に示す。
その結果、断片密度(個数/25cm)は最大で266.5、最小で133、スプラインもすべて28mm以下であり、熱強化ガラスとしての仕様を満足していた。
図3に示すような入口側の内径Dが8mm、出口側の内径dが4mm、長さLが200mmのノズルで、ノズルの先端とガラスとの距離Zを30mmに保ち、寸法が540x1150mmで2.5mm厚のガラスを強化処理した。そのときの衝突噴流の圧力Pは0.16MPa、衝突噴流の圧力変動幅△Pは0.16MPaであり、衝突噴流の圧力と圧力変動幅を乗じた値kの値は0.0256(MPa)であった。なお、チャンバー圧は0.3MPaであった。
その結果、断片密度は最大で652、最小で350、スプライン長さは最長でも30mm以下であり、強化度の高いと称される強化ガラスとしてのレベルを満足していた。参考までに述べると、通常の強化ガラスの仕様をオーバーしていることになるが、この仕様のガラスは超強化ガラスとして一部で使われている。
図2に示すような内径dが2mm、長さLが200mmのノズルで、ノズルの先端とガラスとの距離Zを10mmに保ち、寸法が300x300mmで2.0mm厚のガラスを風冷強化処理した。そのときの衝突噴流の圧力Pは0.12MPa、衝突噴流の圧力変動幅△Pは0.31MPaであり、衝突噴流の圧力Pと圧力変動幅△Pを乗じた値kの値は0.0385(MPa)であった。なお、チャンバー圧は0.65MPaであった。
その結果、断片密度(個数/25cm)は最大で188、最小で97、スプラインもすべて29mm以下であり、強化ガラスとしての仕様を満足していた。
図2に示すような内径dが8mm、長さLが200mmのノズルで、ノズルの先端とガラスとの距離Zを40mmに保ち、寸法が670x1200mmで2.3mm厚のガラスを風冷強化処理した。そのときの衝突噴流の圧力Pは0.18MPa、衝突噴流の圧力変動幅△Pは0.17MPaであり、衝突噴流の圧力Pと圧力変動幅△Pを乗じた値kの値は0.031(MPa)であった。なお、チャンバー圧は0.65MPaであった。
その結果、断片密度(個数/25cm)は最大で377.5、最小で189.5、スプラインも最長でも30mm以下であり、強化ガラスとしての仕様を満足していた。
(比較例1) 図2に示すような内径dが4mm、長さLが200mmのノズルを用い、ノズルの先端とガラスを想定した熱流束測定用銅板との距離Zを20mmに保ち、熱流束を求めたところ、130kW/mであった。そのときの衝突噴流の圧力Pは0.14MPa、衝突噴流の圧力変動幅△Pは0.11MPaであり、衝突噴流の圧力Pと圧力変動幅△Pを乗じた値kの値は0.015(MPa)であった。なお、そのときのチャンバー圧は0.3MPaであった。
この条件でサイズ490x820mm、2.0mm厚ガラスを風冷強化処理した場合、断片密度(個数/25cm)は最大で29、最小で7、最大破片面積が約17cm2、2.3mm厚ガラスでは最大で83、最小で27、最大破片面積が約5cm2あることから、強化ガラスとしての仕様を満足できなかった。
(比較例2) 図2に示すような内径dが4mm、長さLが200mmのノズルで、ノズルの先端とガラスとの距離を4.0mmに保ち、寸法が230x450mmで2.3mm厚のガラスを強化処理した。そのときの衝突噴流の圧力Pは0.23MPa、衝突噴流の圧力変動幅△Pは0.04MPaであり、衝突噴流の圧力と圧力変動幅を乗じた値kの値は0.0092(MPa)であった。なお、このときのチャンバー圧は0.65MPa。このときのチャンバー圧と衝突噴流の圧力の測定データを図5に示す。図と比較して圧力変動幅が小さいことがわかる。
その結果、断片密度(個数/25cm)は最大で53が得られたが、最小は11であり、最大破片面積が約12cm2あったことから、強化ガラスとしての仕様を満足できなかった。
(比較例3) 図に示すような入口側の内径Dが8mm、出口側の内径dが4mm、長さLが200mmのノズル2で、ノズルの先端とガラスとの距離を10mmに保ち、540x1150mmで2.5mm厚ガラスを風冷強化処理した。そのときの衝突噴流の圧力Pは0.16MPa、衝突噴流の圧力変動幅△Pは0.038MPaであり、衝突噴流の圧力と圧力変動幅△Pを乗じた値kの値は0.0068(MPa)であった。なお、このときのチャンバー圧は0.3MPaであった。
その結果、断片密度(個数/25cm)は最大で65が得られたが、最小は30であり、強化ガラスとしての仕様を満足できなかった。
(比較例4)
図2に示すような内径dが0.5mm、長さLが430mmのノズルで、衝突噴流の圧力Pを0.9MPaとしたところ、ガラスにノズル跡が残り、光学的な面からガラス製品として使えるレベルにはなかった。
(比較例5)
図2に示すような内径dが10mm、長さL5mmのノズルで、衝突噴流の圧力Pを0.05MPaとしたところ、2.7mm厚のガラスでも断片密度は20以下であり、JIS規格を満足する熱強化ガラスを得ることはできなかった。
熱強化ガラスを製造するときの冷却開始温度は、680℃とした。また、熱伝達の概念は熱伝達係数を用いて説明してきたが、熱伝達係数測定は熱流束測定装置Vatell社製熱流束センサーHFM7ELを用いて行ったので、本実施例では熱流束で表現した。熱伝達係数は熱流束を冷却媒体(本発明では不足膨張噴流)の温度で除することにより得ることができる。
衝突噴流の圧力については、共和電業製の圧力センサーPGM-10KC型により測定した。なお、実施例での噴流自体が不足膨張噴流となっていることは、二重露光ホログラフィー干渉計法による可視化手法で確認した。
以上の結果から示されるように、ノズルからの噴出圧力が高いことやノズルとガラス間の距離を小さくすることが熱伝達係数を必ずしも大きくするとは言えず、2.5mmよりも薄い強化ガラスを安定して製造することは極めて困難であった。しかし、本発明の条件とすることで、薄板強化ガラスの製造が可能となり、その生産歩留も安定した。
不足膨張噴流における熱伝達係数の変化を示す概念図である。 実施例1、2、4、5および比較例1、2、4、5のノズル形状を示す概念図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。 実施例3および比較例3のノズル形状を示す概念図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。 実施例2に示すチャンバー圧と衝突噴流の圧力変化を示す測定値である。 比較例2に示すチャンバー圧と衝突噴流の圧力変化を示す測定値である。
符号の説明
1 冷却用ノズル
2 冷却用ノズル
L ノズルの長さ
d ノズルの内径(出口側)
D ノズルの入口側の内径















Claims (4)

  1. 冷却用ノズルから噴出する衝突噴流をガラス板に吹き付けて2.5mm厚以下の熱強化ガラスを製造する場合において、衝突噴流の圧力変動幅△Pを0.1MPa以上0.5MPa以下、衝突噴流の圧力Pと圧力変動幅△Pを乗じた値kが0.02(MPa) 以上0.5(MPa) 以下とすることを特徴とする熱強化ガラスの製造方法。
  2. 衝突噴流の圧力Pは0.1MPa以上0.8MPa以下にあることを特徴とする請求項1に記載の熱強化ガラスの製造方法。
  3. 冷却用ノズルの口径dがφ1mm以上φ8mm以下及びノズル長さLが10mm以上400mm以下にあることを特徴とする請求項1または2に記載の熱強化ガラスの製造方法。
  4. ガラス−ノズル間距離をZとしたとき、ガラス−ノズル間距離Zと冷却用ノズル口径dとの比Z/dが3以上10以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の熱強化ガラスの製造方法。
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