JP4397311B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
これらの問題点を解決するために、熱可塑性樹脂に小粒子径の無機フィラーを配合することが多数提案されているが、熱可塑性樹脂組成物中における無機フィラーの分散不良や外観不良等の新たな問題が発生し、さらに、単に熱可塑性樹脂に無機フィラーを配合した場合、粉塵の発生による作業環境の汚染、ホッパーでの詰まり、押出機への食い込み不良等、押出加工性の低下が起こり、満足できる小粒子径無機フィラー配合熱可塑性樹脂組成物は開発されていなかった。
1)バインダとしてベントナイトを比較的多く用いた顆粒状タルクは、特にエンジニアリングプラスチックスの場合、溶融混練温度や成形加工温度が高いので、ベントナイトによる樹脂の分解やベントナイト中の不純物による樹脂の分解が生じ、色調不良を招くことがあった。
2)バインダとしてベントナイトを比較的多く用いて破壊率を低くした顆粒状タルクは、押出機中で十分に混練を行わないとタルクの分散不良による成形品の外観不良、機械的特性が不十分等の問題が生じることがあった。
3)押出作業性や樹脂成分との分級防止のため樹脂成分とタルクを予備混合せずに単独に混練押出機に投入し溶融混練する場合や、機械的特性向上のため二種以上の樹脂成分を溶融混練させた溶融物にタルクを配合し溶融混練する場合にタルクの分散不良による成形品の外観不良、機械的特性が不十分等の問題があった。
特許文献3には、好ましいバインダ量として0.1〜20重量%であることが記載され、バインダとしてベントナイトが好ましいことが記載されているが、上述の問題に関しては具体的記載や言及もなかった。
1)熱可塑性樹脂組成物中のタルクの分散不良による、成形品の外観不良、
2)ホッパーでの詰まり、押出機への食い込み不良等による押出生産性の低下、及び
3)熱可塑性樹脂との混合作業や移し替え作業中における、タルクの飛散・粉塵の発生による押出作業性の悪化
を完全に解決し、更に、タルクの分散性、曲げ弾性率や衝撃強度等の機械的特性及び色調も改善された、顆粒状タルク配合の熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
熱可塑性樹脂(A)
本発明で用いる熱可塑性樹脂(A)は、荷重撓み温度や機械的強度に優れ、溶融混練温度や成形加工温度の高い、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール及びポリフェニレンサルファイドからなる群より選ばれた少なくとも一種のエンジニアリングプラスチックス、又はこれらと他の熱可塑性樹脂とからなり、好ましい熱可塑性樹脂(A)は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリフェニレンエーテルからなる群より選ばれた少なくとも一種のエンジニアリングプラスチックス、又はこれらとスチレン系重合体及び/又はオレフィン系重合体とからなる。
本発明で用いるポリアミドは、ポリマー主鎖に−CO−NH−結合を有し、加熱溶融できるものをいう。ポリアミドとしては、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、又は、二塩基酸とジアミン等の重縮合によって得られるポリアミドを用いることができ、具体例としてε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドン等の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン等のジアミンと、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸等の二塩基酸と重縮合せしめて得られる重合体又はこれらの共重合体が挙げられる。ポリアミドの代表的なものとして、ポリアミド−4、ポリアミド−6、ポリアミド−12、ポリアミド−6・6、ポリアミド−4・6、ポリアミド−6T、ポリアミド−MXD6等の重合体やポリアミド−6/6・6、ポリアミド−6/12、ポリアミド−6/6T、ポリアミド−6T/6I等の共重合体が挙げられ、複数種のポリアミド を用いることもできる。中でも好ましいのは、ポリアミド−6、ポリアミド−6・6、ポリアミド−MXD6であり、これらとポリアミド−6/6・6、ポリアミド−6T/6Iを併用することもできる。ポリアミドは、相対粘度が2.0〜7.0(23℃の温度で、98重量%濃硫酸中、1重量%濃度で測定)の範囲のものが好ましく、さらに好ましくは2.2〜5.0のものである。また、末端基の濃度としては、末端カルボキシル基含量が100μeq/g以下のものが好ましく、末端カルボキシル基含量と末端アミノ基含量の比(末端カルボキシル基含量/末端アミノ基含量)が0.8〜4の範囲のものが好ましい。この比が0.8未満では流動性が不十分となり、4を超えると耐衝撃性が不十分となる。
本発明で用いるポリカーボネートは、ポリマー主鎖に−O−CO−O−結合を有し、加熱溶融できるものをいう。その代表的なものとしては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族−芳香族ポリカーボネート等が挙げられ、中でも芳香族ポリカーボネートが好ましい。芳香族ポリカーボネー卜としては、芳香族ヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性の芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネートの製造法は特に限定されるものではなく、従来から知られているホスゲン法(界面重合法)又は溶融法(エステル交換法)等によって製造することができる。溶融法で製造された芳香族ポリカーボネートは、末端のOH基量を50〜1500の範囲内に調整したものであってもよい。末端のOH基量は、Makromol.Chem.88,215(1965)に記載の四塩化チタン/酢酸法により求めることができる。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノ一ル、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。中でも好ましいのは、ビスフェノ一ルAである。この樹脂の難燃性を一層高める目的で、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムを1個以上結合させた化合物、及び/又は、シロキサン構造を有する両未端フェノール性OH基を含有したポリマー又はオリゴマー等を、少量共存させることができる。
芳香族ポリカーボネートの分子量には特に制限はないが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量で、10,000〜35,000の範囲のものが好ましく、更に好ましくは15,000〜30,000の範囲のものである。ここで粘度平均分子量[M]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、オストワルド粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、次のSchnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4M0.83、から算出される値を意味する。ここで極限粘度[η]とは各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、
本発明で用いるポリエステルは、ポリマー主鎖に−CO−O−結合を有し、加熱溶融できるものをいう。その代表的なものとしては、ジカルボン酸又はその誘導体、例えば低級アルキルエステル、酸ハライド、酸無水物等と、グリコール又は二価フェノールとを縮合させて製造される飽和ポリエステル類、及び、ラクトンの開環重合によって製造される飽和ポリエステル類が挙げられる。具体的には、単独重合体では、ポリアルキレンテレフタレート類(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等)、ポリナフタレンテレフタレート(PEN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)等の縮合重合体、及び、ポリピバロラクトン、ポリ(ε−カプロラクトン)等の開環重合体がある。また、共重合体では、アルキレングリコールとパラ−ヒドロキシ安息香酸(PHB)及びテレフタル酸とのコポリエステル、PHB及び6−オキシ−2−ナフトエ酸とのコポリエステルや、p,p’−ビスフェノールとPHB及びテレフタル酸とのコポリエステルである液晶性ポリエステル類等も挙げることができる。これらの中で、ポリアルキレンテレフタレート類(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等)、ポリナフタレンテレフタレート(PEN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)等が好適である。
ポリエステルは、フェノールとテトラクロロエタンの1:1(重量比)の溶媒中で、30℃の固有粘度が、0.4〜1.5dl/gの範囲のものが好ましく、さらに好ましくは0.6〜1.3dl/gである。
本発明で用いるポリフェニレンエーテルは、ポリマー主鎖に下記の式[1]で表される繰り返し単位を有し、加熱溶融できる、非晶性の単独重合体又は共重合体をいう。
代表的なものとしては、単独重合体として、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられるが、特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましく用いられる。また、共重合体として、上記単位と2,3,6―トリメチル―1,4―フェニレンエーテル単位との組合せからなるランダム共重合体等が挙げられ、多くの好適な、単独重合体又はランダム共重合体が、特許、文献に記載されており、分子量、溶融粘度及び/又は耐衝撃強度等の特性を改良する分子構成部分を含むポリフェニレンエーテルも、また好適である。
ポリフェニレンエーテルは、クロロホルム中で、30℃の固有粘度が0.2〜0.6dl/gの範囲のものが好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.5dl/gである。
本発明で用いるポリアセタールは、ポリマー主鎖に−CH2 −O−結合を有し、加熱溶融できるものをいう。その代表的なものとしては、オキシメチレン基(−CH2 O−)のみを構成単位として含むポリアセタールホモポリマーと、該オキシメチレン基を主たる構成単位とし、炭素数2〜6程度のオキシアルキレン単位を含むポリアセタールコポリマーが挙げられ、その数平均分子量は5,000〜500,000、好ましくは10,000〜50,000である。ポリアセタールコポリマーのオキシメチレン基とオキシアルキレン単位の構成割合は任意であり、オキシアルキレン単位を構成する分子構造は2種類以上であってもよい。更に、ポリアセタールコポリマーの重合形態も、ランダム、ブロック、グラフト等任意であり、加熱により溶融可塑化可能であれば、如何なる重合形態であっても構わない。
本発明で用いるポリフェニレンサルファイドは、ポリマー主鎖に下記の式[2]で表される繰り返し単位を有し、加熱溶融できる、結晶性の単独重合体又は共重合体をいう。
本発明で、上記各種のエンジニアリングプラスチックスと組み合わせて用いてもよい、スチレン系重合体としては、例えば、ポリスチレン(PS)、ゴム強化ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体(AES)、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体(ASA)、アクリロニトリル−マレイミド−ブタジエン−スチレン共重合体(AMBS)、スチレン系重合体ブロックAと共役ジエン系化合物の重合体ブロックBとのブロック共重合体(SBR、SBS等)、スチレン系重合体ブロックと共役ジエン系化合物の重合体ブロックとのブロック共重合体の水素添加物(SEBS、SEPS、SEEPS、SEP等)が挙げられる。これらのスチレン系重合体は、上記各種のエンジニアリングプラスチックスとの組み合わせの中で、最終組成物の機械的特性を損なわない範囲の量で使用するのが好ましいが、限定されるものではない。また、これらの中から二種以上併用してもよい。
本発明で、上記各種のエンジニアリングプラスチックスと組み合わせて用いてもよい、オレフィン系重合体としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレンと他の共重合可能な単量体との共重合体(エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等)等がある。これらのオレフィン系重合体は、上記各種のエンジニアリングプラスチックスとの組み合わせの中で、最終組成物の機械的特性を損なわない範囲の量で使用するのが好ましいが、限定されるものではない。また、これらの中から二種以上併用してもよい。
本発明で用いるタルク(B)は、平均一次粒子径が0.1〜10μmの範囲のものであり、好ましくは0.1〜5μmの範囲のものである。ここで平均粒子径とは、X線透過による液相沈降方式で測定されたD50をいう。このような測定ができる装置としては、Sedigraph粒子径分析器(Micromeritics Instruments社製、モデル5100)を挙げることができる。タルク(B)の平均一次粒子径が0.1μm未満では、熱可塑性樹脂組成物の機械的強度や寸法安定性に対する改良効果が小さく、10μmを超えると成形品の外観不良が発生し易くなるので好ましくない。
本発明で用いるタルク(B)の化学組成は、含水ケイ酸マグネシウムであり、通常SiO2 を58〜66重量%、MgOを28〜35重量%、H2 Oを約5重量%含んでいる。その他少量成分としてFe2 O3 が0.03〜1.2重量%、Al2 O3 が0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、K2 Oが0.2重量%以下、Na2 Oが0.2重量%以下等、含有しており比重は約2.7である。
本発明でバインダとして用いるベントナイト(C)としては、交換性陽イオンとしてのNaイオンを主とする天然ベントナイト(Na−ベントナイト)、CaイオンやMgイオンを主とする天然ベントナイト(Ca−ベントナイト)、Caベントナイトを人工的にNa交換したベントナイトなどが挙げられるが、湿潤状態下で高い粘結性を示すものであれば特に制限はない。好ましいベントナイトは、水中でベントナイト2gが5ml以上の膨潤容積を示すものであり、さらに好ましくは10ml以上の膨潤容積を示すものである。膨潤容積が大きいベントナイトは、湿潤状態下で高い粘結性を示し、少量でタルクを顆粒状にすることができるので、樹脂への悪影響が少なく好ましい。
本発明で用いる顆粒状タルク(D)は、タルク(B)とバインダであるベントナイト(C)からなる。
顆粒状タルク(D)製造時に使用されるバインダであるベントナイト(C)量は、タルク(B)に対して0.05〜1.9重量%であり、好ましくは0.08〜1.5重量%であり、更に好ましくは0.1〜0.8重量%である。ベントナイト(C)量が0.05重量%未満では、顆粒状タルク(D)と熱可塑性樹脂の予備の混合作業や、溶融混練機等への移し替え作業中に、顆粒状タルクが壊れ、粒径の小さいタルクの飛散・粉塵の発生による作業環境の悪化や、押出加工性の低下を招くので好ましくない。一方、ベントナイト(C)量が1.9重量%以上では、顆粒状物が壊れ難く、熱可塑性樹脂成形品中に未分散粒子や凝集粒子として残り、顆粒状タルク(D)の分散性の低下や、本発明に関わる熱可塑性樹脂(A)のように溶融混練温度や成形加工温度が高い場合、溶融熱安定性に悪影響を及ぼし、色調の悪化を招くことがあるので、できるだけ低くすべきである。
ここで、顆粒状タルク(D)の嵩密度は、以下の方法により求めた。
1) 試料を目開きが1.4mmの篩上に乗せ、ハケで均等に軽く掃きながら篩を通す。
2) 上記試料をJIS K5101に規定された嵩密度測定装置に付属する受器に山盛りになるまで投入する。
3) 受器の投入口から上部の山盛りになった試料をヘラで削り取り、受器内の試料の重量を測定し、下式にて嵩密度を算出する。
嵩密度(g/ml)=受器内の試料の重量(g)/受器の容量(ml)
ここで、本発明において、顆粒状タルク(D)の破壊率は、次のようにして求めた。710μmの標準篩で篩にかけて篩上に残った試料100gを100mmφ×高さ100mmの円筒状の磁性ポットに投入し、35g(3cmφ)の磁性球3個を粉砕メディアとして加え、ポットミルにて75rpmで15分間粉砕する。粉砕された試料を500μmの標準篩にかけ、篩を通過した試料を秤量し、破壊率(重量%)=[篩を通過した試料の重量(g)/試料重量(100g)]×100として求めた。なお、破壊率が大きい程、顆粒状タルクが壊れやすいことを意味している。
潤滑剤の配合率は、タルク(B)とベントナイト(C)の合計100重量部に対し、10〜150重量部、好ましくは15〜100重量部、特に好ましくは20〜60重量部である。潤滑剤の配合率が10重量部未満では効果が小さく、150重量部を超えると潤滑剤の除去に時間とエネルギーがかかり過ぎるので好ましくない。
本発明に関わる熱可塑性樹脂組成物を得るための製造法は、特に限定されるものではないが、溶融混合法が好ましい。溶融混合の代表的な方法として、熱可塑性樹脂について一般に実用されている溶融混練機の使用が挙げられる。例えば、一軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラム等がある。混練押出機を使用する方法によるときは、熱可塑性樹脂(A)と顆粒状タルク(D)とを所定量秤量し、タンブラー等の混合機で予備混合し、溶融混練した後、粒状化することができ、熱可塑性樹脂(A)が二種類以上の成分からなる場合は予め溶融混合し粒状化したものを用いることもできる。別な方法としては、熱可塑性樹脂(A)と顆粒状タルク(D)を予備混合することなく、混練押出機にそれぞれ単独で投入し、溶融混練して粒状化することもでき、タルクの飛散・粉塵の発生による作業環境の悪化を低減できるので押出作業性からは好ましい方法である。また、混練押出機の上流部分に熱可塑性樹脂(A)を投入し、溶融状態で反応させて、続けて混練押出機の中流以降の部分から顆粒状タルク(D)を溶融混練して粒状化することができ、上流部分に熱可塑性樹脂(A)の一部を投入し、溶融状態で反応させて、続けて混練押出機の中流部分から残りの熱可塑性樹脂(A)を投入し、溶融状態で反応させて、下流部分から顆粒状タルク(D)を溶融混練して粒状化することもできる。熱可塑性樹脂(A)が二種類以上の成分からなる場合に、樹脂成分を溶融混練させてから顆粒状タルクを溶融混練するのが機械的特性上好ましいこともある。
(1)熱可塑性樹脂(A)
(a)ポリアミド
ポリアミド6: 三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバミッド1020J、23℃、98重量%濃硫酸中、濃度1重量%で測定したときの相対粘度が3.5、末端カルボキシル基含量/末端アミノ基含量比1.0(以下、PA6−1と略す)
ポリアミド6: カネボウ社製、カネボウナイロンMC112L、23℃、98重量%濃硫酸中、濃度1重量%で測定したときの相対粘度が2.7、末端カルボキシル基含量/末端アミノ基含量比1.3(以下、PA6−2と略す)
ポリアミド6: 三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバミッド1010J、23℃、98重量%濃硫酸中、濃度1重量%で測定したときの相対粘度が2.5、末端カルボキシル基含量/末端アミノ基含量比2.6(以下、PA6−3と略す)
(b)芳香族ポリカーボネート
ビスフェノールA型芳香族ポリカーボネート: 三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ユーピロンS−3000FN、粘度平均分子量22,500(以下、PCと略す)
ポリブチレンテレフタレート: 三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバデュラン5020、フェノールとテトラクロロエタンの1:1(重量比)の溶媒中で、30℃の固有粘度1.2dl/g(以下、PBTと略す)
(d)ポリフェニレンエーテル
ポリ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル: 三菱エンジニアリングプラスチックス社製、30℃クロロホルム中で測定したときの固有粘度が0.40dl/gのもの(以下、PPEと略す)
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂: 日本A&L社製、AT−08(以下、ABSと略す)
スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体: シェル化学社製、クレイトンG1651、スチレン含量33%(以下、SEBS−1と略す)
スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体: シェル化学社製、クレイトンG1652、スチレン含量29%(以下、SEBS−2と略す)
(f)オレフィン系重合体
エチレン−ブテン共重合体: 三井石油化学工業製、タフマーA−4085(以下、EBRと略す)
<相溶化剤>
無水マレイン酸: 三菱化学社製、製品名−無水マレイン酸(以下、MAHと略す)
<ラジカル発生剤>
1,3−ビス(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン: 化薬アクゾ社製、パーカドックス14、半減期の10時間後の分解温度121℃(以下、POと略す)
顆粒タルク1: 松村産業社製、MTB−5、平均一次粒子径1.8μm、バインダ種/ベントナイト、ベントナイト量/0.5重量%、潤滑剤/水、含水率/0.15%、嵩密度0.69g/ml、破壊率98重量%、粒子形状/円柱状、平均軸径1.2mm、平均軸長1.5mm(以下、顆粒タルク1と略す)
顆粒タルク2: 松村産業社製、MTB−10、平均一次粒子径1.8μm、バインダ種/ベントナイト、ベントナイト量/1.0重量%、潤滑剤/水、含水率/0.2%、嵩密度0.69g/ml、破壊率83重量%、粒子形状/円柱状、平均軸径1.2mm、平均軸長1.5mm(以下、顆粒タルク2と略す)
(4)比較例用タルク
顆粒タルク3: 松村産業社製、MTB−100、平均一次粒子径1.8μm、バインダ種/ベントナイト、ベントナイト量/2.0重量%、潤滑剤/水、含水率/0.2%、嵩密度0.70g/ml、破壊率49重量%、粒子形状/円柱状、平均軸径1.2mm、平均軸長1.5mm(以下、顆粒タルク3と略す)
微粉タルク: 松村産業社製、ハイフィラー#5000PJ、平均一次粒子径1.8μm、嵩密度0.12g/ml(以下、微粉タルクと略す)
圧縮タルク(機械的に圧縮したタルク): 松村産業社製、ハイフィラー#5000PJチップ、平均一次粒子径1.8μm、嵩密度0.62g/ml(以下、圧縮タルクと略す)
樹脂組成物を、120℃で8時間以上乾燥した後、射出成形機(東芝IS150) を用い、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件で、1分間サイクルで射出成形して、ASTM試験片、100mm×100mm×1mmの板状成形品、及び、100mmφ×3mmtの円盤状成形品を作成した。
(1)曲げ弾性率
ASTM D790に準拠して測定した。
(2)耐衝撃性(アイゾット衝撃強度)
ASTM D256に準拠し、厚さが3.2mm、ノッチ付きの試験片で測定した。
(3)耐衝撃性(面衝撃強度)
100mmφ×3mmtの円盤状成形品について、ハイレート衝撃試験機(島津製作所製)を用いて、ポンチ径1/2インチ、サポート径3インチ、打ち抜き速度1m/sにて打ち抜き衝撃試験を行った。破壊エネルギー(単位:J)が大きい程、耐衝撃性に優れている。
(4)色調
射出成形機(東芝IS150)を用い、シリンダー温度270℃、金型温度80℃、1分間サイクルの条件で、100mmφ×3mmtの円盤状通常成形品を作成した。10ショットの通常成形品を作成した後に、シリンダー内に樹脂組成物を4分間滞留した後に、同様にして1分間サイクルで成形した100mmφ×3mmtの円盤状滞留成形品を作成した。円盤状滞留成形品と円盤状通常成形品とを対比し、色調の変化を次の基準に従い目視で評価した。色調の変化のないものを○、やや色調が悪化(黄変)したものを△、色調悪化(黄変)が顕著なもの×とした。
(5)外観
板状成形品の表面外観を目視にて観察し、タルクの凝集物や曇りのないものを○、凝集物が少しあるものを△+、ガスによる曇りやフローマークのあるものを△−、凝集物が多いものを×として評価した。
(6)押出生産性
二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42)を用いて、ホッパーでの詰まり、押出機への食い込み不良等の問題がなく、スムーズに押出可能な樹脂組成物の最大吐出量(kg/hr)から以下のようにして評価した。
○:25kg/hr以上、△:15〜25kg/hr、×:15kg/hr以下
(7)押出作業性
移し替え作業や押出機運転中における、樹脂組成物調製時のタルクの飛散・粉塵の発生による作業環境の悪化度合について、周囲の粉塵濃度を測定し、粉塵濃度(mg/m3 )が0.05以下を◎、0.05〜0.1を○、0.1〜0.3を△、0.3以上を×として評価した。なお、粉塵濃度は、柴田科学(株)製のデジタル粉塵計P−5H型使用して測定した。
各成分を表−1に示す割合にてタンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42)を用いて、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数300rpmにて溶融混練させて組成物を作成し、得られた物性を表−1に示す。顆粒タルク1〜2を用いた実施例1、2の組成物は、曲げ弾性率、耐衝撃性、外観、色調に優れており、押出加工性にも優れている。これに対し、顆粒タルク3を用いた比較例1の組成物は、耐衝撃性、外観、色調に劣り、微粉タルク、圧縮タルクを用いた比較例2、3の組成物は、機械的特性、外観に劣り、押出加工性が悪い。
表−1に示す割合にてPA6−1とタルクを予備混合せずにそれぞれ単独で上記押出機にフィードして投入し、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数300rpmにて溶融混練させて組成物を作成し、得られた物性を表−1に示す。顆粒タルク1、2を用いた実施例3、4の組成物は、機械的特性、押出加工性にも優れているのに対し、顆粒タルク3を用いた比較例4の組成物は耐衝撃性に劣り、微粉タルク、圧縮タルクを用いた比較例5、6の組成物は、機械的特性に劣り、押出加工性が悪い。
PPE、SEBS、MAHを表2に示す割合にてタンブラーミキサーで均一に混合した後、上記押出機を用いて、シリンダー温度270℃、スクリュー回転数300rpmにて溶融反応させてペレット化した。次に、このペレットとPA6−2、タルクを表−2に示す割合にてタンブラーミキサーで均一に混合した後、上記押出機を用いてシリンダー温度250℃、スクリュー回転数400rpmにて溶融混練させて組成物を作成し、得られた物性を表−2に示す。顆粒タルク1、2を用いた実施例5、6の組成物は、曲げ弾性率、耐衝撃性、外観、色調に優れており、押出加工性にも優れている。これに対し、顆粒タルク3を用いた比較例7の組成物は、耐衝撃性、外観、色調に劣り、微粉タルク、圧縮タルクを用いた比較例8、9の組成物は、機械的特性、外観に劣り、押出加工性が悪い。
PPE、SEBS、MAHを上記と同様にして溶融反応させてペレット化させ、このペレットとPA6−2をタンブラーミキサーで均一に混合した後、上記押出機を用いてシリンダー温度250℃、スクリュー回転数400rpmの条件にて、バレル1より押出機にフィードし溶融混練させ、さらにバレル5よりタルクを押出機にフィードして溶融混練させて組成物を作成した。得られた物性を表−2に示す。実施例7、8の組成物は、曲げ弾性率、耐衝撃性、押出加工性に優れているのに対し、顆粒タルク3、微粉タルク、圧縮タルクを用いた比較例10〜12の組成物は、機械的特性、外観に劣る。
各成分を表−3に示す割合にてヘンシェルミキサーで均一に混合した後、上記押出機を用いて、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数300rpmにて溶融反応させ、中間組成物(X−1)、(X−2)を得た。次に、中間組成物、PA6−3、SEBS−2を表−4に示す割合にてタンブラーミキサーで均一に混合した後、上記押出機を用いてシリンダー温度230℃、スクリュー回転数400rpmの条件にて、バレル1より押出機にフィードし溶融混練させ、さらにバレル5よりタルクを押出機にフィードして溶融混練させて組成物を作成した。得られた物性を表−4に示す。
各成分を表−5に示す割合にてタンブラーミキサーで均一に混合した後、上記押出機を用いて、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数300rpmにて溶融混合させて組成物を作成し、得られた物性を表−5に示す。顆粒タルク1を用いた実施例13〜15の組成物は、顆粒タルク3を用いた比較例17〜19の組成物に比べ耐衝撃性、外観、色調に優れている。
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂(A)に、平均一次粒子径が0.1〜10μmのタルク(B)とバインダであるベントナイト(C)からなる顆粒状タルク(D)を、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、1〜100重量部の比率で配合してなる組成物において、熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール及びポリフェニレンサルファイドからなる群より選ばれた少なくとも一種のエンジニアリングプラスチックス、又はこれらと他の熱可塑性樹脂とからなり、ベントナイト(C)量がタルク(B)に対して0.05〜1.9重量%であり、且つ、顆粒状タルク(D)の嵩密度が0.4〜1.5g/mlであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(A)が、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリフェニレンエーテルからなる群より選ばれた少なくとも一種のエンジニアリングプラスチックス、又はこれらとスチレン系重合体及び/又はオレフィン系重合体とからなることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 顆粒状タルク(D)が、タルク(B)とベントナイト(C)に潤滑剤として水を加えて製造したことを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 顆粒状タルク(D)の破壊率が、81〜100重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- タルク(B)の平均一次粒子径が0.1〜5μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ベントナイト(C)の量が、タルク(B)に対して0.1〜0.8重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 顆粒状タルク(D)の破壊率が、90〜100重量%であることを特徴とする請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(A)と顆粒状タルク(D)とを、予備混合せずにそれぞれ単独で混練押出機に投入し、熱可塑性樹脂(A)が溶融した状態で混練(以下、「溶融混練」という)して製造することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 二種以上の熱可塑性樹脂(A)を予め溶融混練させ、その溶融混練物に顆粒状タルク(D)を配合し溶融混練して製造することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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