JP4397481B2 - ワックス状物質の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワックス状物質の製造装置に関するものであり、特に鎖状高分子からなる廃棄合成樹脂を燃焼させることにより、ワックス状物質を製造する製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン等の鎖状高分子からなる廃棄合成樹脂を燃焼、加熱させることにより、廃棄合成樹脂を処理すると共にワックス状物質を製造する装置に関する技術は特開平10−306118号公報等に示されている。この種の装置では、次のようにしてワックス状物質を製造する。まず燃焼部構成体の内部で廃棄用電線被覆等の合成樹脂を加熱して熱分解反応を生じさせることにより合成樹脂を溶融させて溶融ワックス状物質を作る。次に、燃焼部構成体の下に配置されて酸欠雰囲気状態に置かれる熱分解促進用バスケットの内部に燃焼部構成体から溶融ワックス状物質を落下させて熱分解促進用バスケットの内部で白金、銅等の触媒により溶融ワックス状物質の熱分解反応を促進させる。そして、熱分解反応が促進された溶融ワックス状物質を熱分解促進用バスケットの下に配置した受溜用タンクに溜める。なお、受溜用タンク内に溜められた溶融ワックス状物質から発生するエチレン等のガスと熱分解促進用バスケットの内部で溶融ワックス状物質が熱分解する際に発生するガスは、燃焼部構成体内に供給して燃焼させて、その熱で合成樹脂を加熱する。燃焼部構成体は、多孔部を有する筒体と、該筒体の下方に位置して排出口を有する底部材を有しており、この底部材上には棚構造体が配置されている。この棚構造体は、底部材の排出口を通して筒体の内部と熱分解促進用バスケットとが連通するようにパンチング孔等の開口部分を有する構造を有している。廃棄用電線被覆等の合成樹脂は、棚構造体上に載置された状態で溶融して溶融ワックス状物質になり、この溶融ワックス状物質は、棚構造体の開口部分及び底部材の排出口を通して熱分解促進用バスケットから受溜用タンクに落下する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の製造装置は、フィルム状、シート状または網目状の比較的大きな形状の合成樹脂を加熱させるときに、これらの合成樹脂が棚構造体上に積み重なると、棚構造体の開口部分を塞ぐことがある。そのため、溶融ワックス状物質の熱分解促進用バスケットへの落下、及び受溜用タンクまたは熱分解促進用バスケットから燃焼部構成体内部へのガスの導入が阻害されて、燃焼部構成体内での加熱が継続できなくなるという問題があった。
【0004】
本発明の目的は、フィルム状、シート状または網目状の比較的大きな形状の合成樹脂の加熱を継続させることができるワックス状物質の製造装置を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、合成樹脂と燃焼部構成体内部に導入されるガスとの接触を促進できるワックス状物質の製造装置を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、棚構造体等を用いる必要のないワックス状物質の製造装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明が改良の対象とするワックス状物質の製造装置は、鎖状高分子からなる合成樹脂を投入する投入口を上方側に備え、合成樹脂を内部で加熱して熱分解反応を生じさせることにより合成樹脂を溶融させて溶融ワックス状物質を作る燃焼部構成体と、燃焼部構成体の下に配置されて溶融ワックス状物質を溜める受溜用タンクとを具備している。そして、少なくとも受溜用タンク内に溜められた溶融ワックス状物質から発生するガスを燃焼部構成体内に供給して燃焼させて、その熱で合成樹脂を加熱する。本発明では、燃焼部構成体が、投入口側から受溜用タンクに向かうに従って内部空間の横断面積が小さくなる燃焼用バスケットを有している。そして、この燃焼用バスケットは、溶融ワックス状物質が通過し且つガスが内部空間に入るのを許容する多数の貫通孔を有している。なお、ここでいうワックス状物質とは、本発明の製造装置で製造される物質であり、合成樹脂が低重合化されたものであると考えられる。
【0008】
本発明の装置によれば、多量のフィルム状、シート状または網目状の合成樹脂を燃焼用バスケット内に投入すると、燃焼用バスケットの下方にガスの上昇に必要十分な空間を形成することができ、また燃焼用バスケットの多数の貫通孔により燃焼用バスケットへのガスの流入を確保することができる。そのため、溶融ワックス状物質の落下や、燃焼部構成体内部へのガスの導入が阻害されるのを防ぐことができる。また、燃焼用バスケットは、投入口側から下方に向かうに従って内部空間の横断面積が小さくなる構造を有しているので、燃焼用バスケットに投入された合成樹脂は、下側(受溜用タンク側)に露出する面積が大きくなる。そのため、合成樹脂は下方から上昇するガスと接触しやすくなる上、溶融ワックス状物質の受溜用タンクへの落下が容易になる。その結果、多量のフィルム状または網目状の合成樹脂を燃焼用バスケット内に投入しても、ガス燃焼による加熱を促進して継続させることができる。
【0009】
本発明の装置は、棚構造体及び筒体を有する従来の装置に燃焼用バスケットを備え付けて構成してもよいし、燃焼用バスケットのみで燃焼部構成体を構成してもよい。従来の装置に燃焼用バスケットを備え付ける場合は、開口部が一致するように、筒体の内部に燃焼用バスケットを配置すればよい。また、燃焼用バスケットのみで燃焼部構成体を構成する場合は、棚構造体及び筒体を必ずしも設ける必要はない。
【0010】
燃焼用バスケットは、種々の材料を用いて構成することができる。特に金属製チェーンからなる袋状の網により燃焼用バスケットを形成すれば、燃焼用バスケットを簡単に作れる上、ガスが内部空間に入るのを許容する多数の貫通孔の総面積を大きくできる利点がある。
【0011】
また、この場合、燃焼用バスケットは、金属製チェーンの袋状の網の最下部を上方に引き上げて構成するのが好ましい。このように燃焼用バスケットを形成すると、合成樹脂が溜まる燃焼用バスケットの底部のスペースを広くできる。そのため、多量のフィルム状または網目状の合成樹脂を燃焼用バスケット内に投入した場合に、合成樹脂が燃焼用バスケットの底部において分散するため、合成樹脂が一カ所に溜まるのを防ぐことができる。その結果、下方から上昇するガスとより効率よく接触し、溶融ワックス状物質の受溜用タンクへの落下も容易になる。
【0012】
また、燃焼部構成体と受溜用タンクとの間に熱分解促進用バスケットを配置してもよい。このような熱分解促進用バスケットを配置すれば、溶融ワックス状物質を酸欠雰囲気状態に置いて溶融ワックス状物質の熱分解反応を促進させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態の一例のワックス状物質の製造装置の概略断面図である。本図に示すように、ワックス状物質の製造装置は、炉部1と、炉部1の上方に位置するダクト2及び煙突3と、炉部1の下方に位置するタンク部4とを有している。炉部1は、燃焼部構成体5と熱分解促進用バスケット6とエアバランサー7とを有している。燃焼部構成体5は、筒体5aと該筒体5aの下方に位置する底部構造体5bと燃焼用バスケット30とを有している。筒体5aは、側部に多数の空気導入用孔部を有するエキスパンドメタル等の円筒体により構成されており、上方の開口部が鎖状高分子からなる合成樹脂を燃焼部構成体5内に投入する投入口5a1を構成している。底部構造体5bは、上下が開口した椀状部5cと、該椀状部5cの内部と連通する円筒部5dと、円筒部5dから該円筒部5dの径方向に放射状に延びる複数のエアバランサー支持体5eとから構成されている。エアバランサー支持体5eは板状に形成されており、外側端部にはエアバランサー7の下端端部が係合支持されている。エアバランサー支持体5eが緩衝用スペーサSを介してタンク部4の受溜用タンク15上に配置されることにより、炉部1は、受溜用タンク15上に支持される。底部構造体5bの椀状部5cには、ガス還流管26と椀状部5cの内部とを連通する開口孔5c1 が形成されている。また、椀状部5cの内部には、棚構造体8が配置されている。
【0014】
棚構造体8は、上部棚8aと下部棚8bとが棚支持体8cにより椀状部5cの内壁上に支持された構造を有している。上部棚8a及び下部棚8bは、いずれも放射状に配置された枠体に円板状及び同環状のパンチングメタルが載置されて構成されている。上部棚8aのパンチングメタルは下部棚8bのパンチングメタルより小さい径を有しており、下部棚8bの端部は椀状部5cの内壁に接触している。円筒部5dの内周部には、図1のM部の拡大図である図2に示すように、ガス導入用開口部5fが設けられた環状のバスケット支持部5gが形成されている。そして、バスケット支持部5gには、熱分解促進用バスケット6が吊り下げられている。
【0015】
燃焼用バスケット30は、チェーン取付部31とチェーン構成部32とから構成されている。チェーン取付部31は、図1及び図1の部分拡大図である図3(A)及び(B)に示すように、断面がL字の環状を有しており、円筒部31aと円環部31bとを有している。円筒部31aが後に説明する合成樹脂ガイド部12の開口筒部12aの内側に溶接等の手段によって接続されることにより、チェーン取付部31は合成樹脂ガイド部12に取り付けられている。また、円環部31bには、所定の間隔を隔てて輪状部31c1を有する複数の取付金具31c…が螺子止めされている。チェーン構成部32は、中央部が折り返されて上下方向に延びる複数のステンレス製の縦チェーン32a…と、水平方向に輪状に延びる複数のステンレス製の横チェーン32b…とが相互に係合されて錐形の袋状の網に形成されている。そして、縦チェーン32a…の端部の輪32a1…は、螺合により輪を開閉する開閉部32a2を有しており、この開閉部32a2によって輪32a1…は、取付金具31cの輪状部31c1にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。この結果、燃焼用バスケット30は、上側(投入口5a1側)から下側(受溜用タンク156側)に向かうに従って内部空間の横断面積が小さくなり、溶融ワックス状物質が通過し且つガスが内部空間に入るのを許容する多数の貫通孔30aを有する構造を有することになる。
【0016】
熱分解促進用バスケット6は、側部に多数の空気導入用孔部を有するエキスパンドメタル等の円筒体により構成されている。熱分解促進用バスケット6の内部には、酸欠雰囲気状態に置かれて燃焼部構成体5から滴下した溶融ワックス状物質の熱分解反応を促進させる白金、銅等の触媒が配置されている。また、この例では図示しないが、熱分解促進用バスケット6内の溶融ワックス状物質の熱分解反応を促進させる周波数の電磁波を印加する装置を熱分解促進用バスケット6に隣接して設け、溶融ワックス状物質の熱分解反応の促進を図ってもよい。
【0017】
燃焼部構成体5の上方に配置されたダクト2は、内壁9と外壁10と合成樹脂入口部11と合成樹脂ガイド部12とを有しており、燃焼部構成体5から排出される排気ガスを煙突3まで導いている。内壁9は、下方開口端部9aの直径寸法が燃焼部構成体5の上方開口部の直径寸法を上回る大きさを有し、上方端部9bの直径寸法が煙突3の外径寸法をやや上回るように上方に行くにしたがって径寸法が小さくなる截頭円錐形の筒形状を有している。また、内壁9の下部には合成樹脂入口部11と連通する開口部9cが形成されている。外壁10は、内壁9との間に外気が流れる外気流通路13を形成するように内壁9を囲む截頭円錐形を有している。外壁10の下側部分には、外気流通路13が外気と連通するように複数の外気導入孔10a…が形成されている。そして、煙突3の外気流通路13内に位置する部分には、外気流通路13と煙突3とを連通する複数の外気導出孔3a…が形成されている。また、外壁10には、合成樹脂入口部11が貫通する孔部10bが形成されている。合成樹脂入口部11は、内壁9で囲まれた内部空間及び合成樹脂ガイド部12を通して燃焼用バスケット30内に合成樹脂を投入できるように円筒形を有している。合成樹脂ガイド部12は、合成樹脂入口部11から入れられた合成樹脂が燃焼用バスケット30内にスムーズに入るように逆截頭円錐形の筒体形状を有している。合成樹脂ガイド部12は、燃焼部構成体5とエアバランサー7との間に空気を僅かに流す隙間が形成されるように上側端部が内壁9の下側端部に接続されている。また、合成樹脂ガイド部12の上側端部及び内壁9の下側端部は、炉部1及びタンク部4の受溜用タンク15を囲むように配置された外壁部14の上端部に接続されている。これにより、ダクト2は外壁部14に支持される。
【0018】
タンク部4は、受溜用タンク15とサブタンク16とが移送管路17及び循環路18a,18bを介して相互に連結された構造を有している。受溜用タンク15は、熱分解促進用バスケット6の下に配置されている。この受溜用タンク15は、内側容器部15aと外側容器部15bとが環状の上方壁部15cで連結された構造を有しており、外側容器部15bに連結された複数の足場用ジャッキJ1 〜J3 により支持されている。内側容器部15aは、上端面が開口した円筒形状を有しており、その上端部において、緩衝用スペーサSを介して炉部1が支持されている。内側容器部15aの内部には熱分解促進用バスケット6から滴下する溶融ワックス状物質が溜められる。内側容器部15aの上下方向の略中央部には、内側容器部15aと移送管路17とを連通する開口部15dが形成されている。外側容器部15bも内側容器部15aと同様に円筒形状を有している。外側容器部15bと内側容器部15aとの間には、保温オイル充填室15eが形成されている。保温オイル充填室15e内には内側容器部15a内のワックス状物質を硬化させず且つ内部の温度差が大きくならないように所定の温度(約400℃)で保温するオイルが充填されている。本発明では、保温オイルの温度と燃焼部構成体5内の燃焼とは全く無関係である。そのため、燃焼部構成体5内の燃焼がどのようなものであっても、保温オイルの温度を変える必要はない。外側容器部15bの側部には、保温オイル充填室15eと循環路18a,18bとを連通する開口部15f,15gが形成されている。
【0019】
サブタンク16は、タンク本体19と蓋体20とを有している。蓋体20には、タンク本体19と燃焼部構成体5とを連通するガス還流管26が貫通する開口孔19aが形成されている。ガス還流管26を通して、サブタンク16内のワックス状物質から発生したエチレンガス等のガスは、燃焼部構成体5に還流する。なお、図示しないが、蓋体20には、ガス還流管26に妨げられることなく、蓋体20をタンク本体19から取り外せる適宜な手段が講じられている。タンク本体19は、図4(A)及び(B)に詳細に示すように、内側容器部21と外側容器部22とが環状の上方壁部23に連結された構造を有しており、外側容器部22に連結された複数の足場用ジャッキJ4 〜J6 に支持されている。内側容器部21は上端面が開放された円筒形状を有しており、筒状の側壁部21aと底壁部21bとから構成されている。内側容器部21の内部には受溜用タンク15内から溶融ワックス状物質が移送されて溜められる。側壁部21aの上下方向の略中央部には、内側容器部21と移送管路17とを連通する開口部21cが形成されている。これにより移送管路17を介してサブタンク16の内側容器部21と受溜用タンク15の内側容器部15aとは相互に連通する。また、側壁部21aの開口部21cの径方向反対側に位置する下端部には内側容器部21とワックス状物質取出用管24とを連通する開口部21dが形成されている。ワックス状物質取出用管24の端部には、コックCKが取り付けられており、コックCKを開くことにより内側容器部21内のワックス状物質を外部に取り出すことができる。また、側壁部21aの下端(底壁部21bと接する端部)は、底壁部21bが開口部21c側から開口部21d側に向って下降しながら傾斜する形状を有している。外側容器部22も内側容器部21と同様に円筒形状を有しており、側壁部22aと底壁部22bとから構成されている。外側容器部22と内側容器部21との間には、保温オイル充填室25が形成されている。保温オイル充填室25内の温度は、内側容器部21内のワックス状物質を該ワックス状物質の発火温度以下の温度(400℃以下)で保温する温度である。外側容器部22の側壁部22aには、保温オイル充填室25と循環路18a,18bとを連通する開口部22c,22dが形成されている。これにより循環路18a,18bを介してサブタンク16の保温オイル充填室25と受溜用タンク15の保温オイル充填室15eとは相互に連通する。
【0020】
図1に示すように、受溜用タンク15の内側容器部15aとサブタンク16の内側容器部21との間に配置された移送管路17は、開閉弁V1 ,V2 を有している。開閉弁V1 ,V2 を適宜に開閉することにより、受溜用タンク15の内側容器部15a内の溶融ワックス状物質の量が予め定めた量以上になったときに、ワックス状物質をサブタンク16の内側容器部21に移送する。この作業は手作業で行ってもよいが、自動化することもできる。その場合には、受溜用タンク15に内側容器部15a内のワックス状物質の量が予め定めた量以上になると信号を発する液面センサを設け、開閉弁V1 ,V2 としてセンサの信号に応じて弁体が開閉する制御弁を用いればよい。
【0021】
受溜用タンク15の保温オイル充填室15eとサブタンク16の保温オイル充填室25との間に配置された循環路18a,18bは、開閉弁V3 〜V6 を有している。具体的には、移送管路17を間に挟んで上方に位置する循環路18aが開閉弁V3 ,V4 を有しており、下方に位置する循環路18bが開閉弁V5 ,V6 を有している。開閉弁V3 〜V6 を適宜に開閉することにより、サブタンク16の保温オイル充填室25と受溜用タンク15の保温オイル充填室15eとの間でオイルを循環させることができる。開閉弁V3 〜V6 の開閉操作により2つの保温オイル充填室内の保温オイルの温度を調整する。なお、保温オイルを積極的に加熱する手段は存在しない。また、受溜用タンク15及びサブタンク16には、保温オイル充填室15e,25内にそれぞれの内側容器部15a,21を支持する内側容器部支持壁部を設けても構わない。
【0022】
次に上記の製造装置を用いてワックス状物質を製造する方法について説明する。まず、ポリエチレンを主成分とする鎖状高分子からなるフィルム状または網目状の合成樹脂を燃焼部構成体5の燃焼用バスケット30内に投入する。そして、合成樹脂に着火して合成樹脂を燃焼させる。この燃焼による熱で合成樹脂が溶融して溶融ワックス状物質が生成される。燃焼の際には、放射状に延びる複数のエアバランサー支持体5eの間からエアバランサー7と燃焼部構成体5との間の通路に矢印Aに示すように空気が入り、燃焼部構成体5の筒体5a及び燃焼用バスケット30内に酸素が供給される。なお、最初は合成樹脂自身の燃焼による加熱で合成樹脂は溶融するが、このような合成樹脂への加熱は、後に説明する溶融ワックス状物質から発生するガスが燃焼部構成体内に供給されて燃焼することにより継続される。燃焼により発生した排気ガスは、ダクト2及び煙突3を介して外部に放出される。この際、矢印Bに示すように、ダクト2の外気導入孔10a…から外気流通路13内に、外部からの空気が入る。この空気は上に昇る過程で乾燥し、矢印Cに示すように、外気導出孔3a…から煙突3内に入り、煙突3内で排気ガスと混合される。このように乾燥した空気が排気ガスに混合されると排気ガスの臭いが減る。
【0023】
溶融ワックス状物質は、燃焼用バスケット30から棚構造体8のパンチング孔等の開口部を介して熱分解促進用バスケット6内の触媒(白金、銅等)中に、滴状に落下する。このとき、熱分解促進用バスケット6内の酸素は溶融ワックス状物質と反応して速やかに消費され、熱分解促進用バスケット6内は酸欠状態となる。これにより、溶融ワックス状物質は更に低分子化する。また、熱分解促進用バスケット6内で溶融ワックス状物質が熱分解する際に発生するエチレンガス等のガスは、筒体5aの燃焼部に自然と導入されて燃焼部構成体内で燃焼する。
【0024】
次にワックス状物質は、熱分解促進用バスケット6の下に配置した受溜用タンク15内に落下して該受溜用タンク15の内側容器部15a内に溜められて保温される。この際、溶融ワックス状物質から発生するエチレンガス等のガスは、矢印Dに示すように、バスケット支持部5gのガス導入用開口部5fを通って燃焼部構成体5の燃焼用バスケット30内に導入されて燃焼し、合成樹脂を加熱する。
【0025】
ワックス状物質の受溜用タンク15内への落下が進み受溜用タンク15の内側容器部15a内の溶融ワックス状物質の量が予め定めた量以上になると、開閉弁V1 ,V2 を開いて溶融ワックス状物質はサブタンク16の内側容器部21に移送される。ワックス状物質は、サブタンク16の内側容器部21内で保温オイル充填室25内のオイルによりワックス状物質の発火温度以下の温度(400℃以下)で保温される。なお、本実施例では、300℃で保温した。また、サブタンク16内のワックス状物質から発生したエチレンガス等のガスは、ガス還流管26を通して、燃焼部構成体5の燃焼用バスケット30内に還流されて燃焼し、合成樹脂を加熱する。サブタンク16の内側容器部21内の溶融ワックス状物質の量が一定量以上になると、ワックス状物質取出用管24に取り付けられたコックCKを開いて内側容器部21内の溶融ワックス状物質を外部に取り出せばよい。取り出した溶融ワックス状物質を冷却して硬化させれば、ワックス状物質を得ることができる。本例によれば、燃焼用バスケット30の多数の貫通孔30aにより燃焼用バスケット30の内部と熱分解促進用バスケット6との連通が確保される。また、燃焼用バスケット30に投入された合成樹脂は、下側(熱分解促進用バスケット6側)に露出する面積が大きくなる。そのため、合成樹脂は下方から上昇するガスと接触しやすくなる上、溶融ワックス状物質の熱分解促進用バスケット6への落下が容易になる。その結果、多量のフィルム状または網目状の合成樹脂を燃焼用バスケット30内に投入しても、合成樹脂の加熱を促進させ継続させることができる。
【0026】
図5は、本発明の実施の形態の他の例の製造装置に用いる燃焼用バスケット40の縦断面を示している。この燃焼用バスケット40のチェーン構成部42は、縦断面が合成樹脂入口部11側から熱分解促進用バスケット6に向かうに従って接近する2つの線部42a,42aと、この2つの線部42a,42aを連結し熱分解促進用バスケット6側に頂点部を有する複数(この例では2つ)の放物線部42b,42bとを有している。この燃焼用バスケット40は、図1に示す燃焼用バスケット30のような錐形の燃焼用バスケットの金属製チェーンの袋状の網の最下部42cを金属製紐部43等を用いて上方(合成樹脂入口部11側)に引き上げることにより形成できる。この燃焼用バスケット40では、合成樹脂が溜まる燃焼用バスケットの底部44のスペースが広くなる。そのため、多量のフィルム状または網目状の合成樹脂を燃焼用バスケット40内に投入した場合に、合成樹脂が燃焼用バスケット40の底部44において分散するため、合成樹脂が一カ所に溜まるのを防ぐことができる。そのため、下方から上昇するガスとより効率よく接触し、溶融ワックス状物質の熱分解促進用バスケット6への落下も容易になる。
【0027】
なお、上記各例では、棚構造体8等を有する従来のワックス状物質の製造装置に燃焼用バスケット30を備え付けたが、燃焼用バスケット30のみで燃焼部構成体を構成する新たな製造装置を構成してもよい。この場合、棚構造体8及び筒体5aは必ずしも設ける必要がない。
【0028】
また、上記各例では、燃焼部構成体5と受溜用タンク15との間に熱分解促進用バスケット6を配置したが、熱分解促進用バスケット6は必ずしも設ける必要はない。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、多量のフィルム状、シート状または網目状の合成樹脂を燃焼用バスケット内に投入しても、燃焼用バスケットの下方にガスの上昇に必要十分な空間を形成することができ、また燃焼用バスケットの多数の貫通孔により燃焼用バスケットへのガスの流入を確保することができる。そのため、溶融ワックス状物質の落下や、燃焼部構成体内部へのガスの導入が阻害されるのを防ぐことができる。また、燃焼用バスケットは、投入口側から下方に向かうに従って内部空間の横断面積が小さくなる構造を有しているので、燃焼用バスケットに投入された合成樹脂は、下側(受溜用タンク熱分側)に露出する面積が大きくなる。そのため、合成樹脂は下方から上昇するガスと接触しやすくなる上、溶融ワックス状物質の熱分解促進用バスケットへの落下が容易になる。その結果、多量のフィルム状または網目状の合成樹脂を燃焼用バスケット内に投入しても、加熱を促進して継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例のワックス状物質の製造装置の概略断面図である。
【図2】図1のM部の拡大図である。
【図3】(A)及び(B)は、図1の部分拡大図である。
【図4】(A)は本発明の実施の形態のワックス状物質の製造装置に用いるサブタンク本体の平面図であり、(B)は図3(A)のB−B線断面図である。
【図5】本発明の実施の形態の他の例の製造装置に用いる燃焼用バスケットの縦断面図である。
【符号の説明】
1 炉部
5 燃焼部構成体
5a1 投入口
6 熱分解促進用バスケット
8 棚構造体
11 合成樹脂入口部
15 受溜用タンク
30 燃焼用バスケット
31 チェーン取付部
32 チェーン構成部
Claims (4)
- 鎖状高分子からなる合成樹脂を投入する投入口を上方側に備え、前記合成樹脂を内部で加熱して熱分解反応を生じさせることにより前記合成樹脂を溶融させて溶融ワックス状物質を作る燃焼部構成体と、
前記燃焼部構成体の下に配置されて前記溶融ワックス状物質を溜める受溜用タンクとを具備し、
前記燃焼部構成体は、側部に多数の空気導入孔を有する筒体を備えており、
少なくとも前記受溜用タンク内に溜められた前記溶融ワックス状物質から発生するガスを、前記燃焼部構成体内に供給して燃焼させて、その熱で前記合成樹脂を加熱するワックス状物質の製造装置において、
前記燃焼部構成体は、前記投入口側から前記受溜用タンクに向かうに従って内部空間の横断面積が小さくなる燃焼用バスケットを前記筒体内に有しており、
前記燃焼用バスケットは、前記溶融ワックス状物質が通過し且つ前記ガスが前記内部空間に入るのを許容する多数の貫通孔を有していることを特徴とするワックス状物質の製造装置。 - 前記燃焼用バスケットは、金属製チェーンからなる袋状の網により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワックス状物質の製造装置。
- 前記燃焼用バスケットは、前記金属製チェーンの袋状の網の最下部を上方に引き上げた形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のワックス状物質の製造装置。
- 前記燃焼部構成体と前記受溜用タンクとの間には、前記燃焼部構成体から落下した前記溶融ワックス状物質を酸欠雰囲気状態に置いて熱分解反応を促進させて、前記受溜用タンクに前記熱分解反応が促進された溶融ワックス状物質を落下する熱分解促進用バスケットが配置されていることを特徴とする請求項1,2または3に記載のワックス状物質の製造装置。
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