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JP4402192B2 - ポリマー電解質形成用組成物 - Google Patents
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JP4402192B2 - ポリマー電解質形成用組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系電池、特にリチウムイオン電池、を形成するに適したポリマー電解質形成用組成物、該組成物を用いて得られるポリマー電解質および該ポリマー電解質を含む非水系電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年電子技術の発展はめざましく、各種の機器が小型軽量化されてきている。この電子機器の小型軽量化と相まって、その電源となる電池の小型軽量化の要望も非常に大きくなってきている。少ない容積及び重量でより大きなエネルギーを得ることが出来る電池として、リチウムを用いた非水系二次電池が、主として携帯電話やパーソナルコンピュータ、ビデオカムコーダーなどの家庭で用いられる小型電子機器の電源として用いられてきた。このリチウム非水系二次電池を更に高性能化するため、正極負極間にイオン移動媒体としてポリマー電解質を使用することが提案されている。
【0003】
すなわち、ポリマー電解質をイオン移動媒体とすることにより、従来の電解液をイオン移動媒体とするものよりも、漏液が無いため信頼性、安全性が向上し、さらに薄型化、形状自由度が高くなること、パッケージの簡略化、軽量化が期待されている。
【0004】
電解液を含まないポリマー電解質は、イオン伝導率が低く電池の放電容量が小さくなるなど、電池への応用に要求される特性を満たしがたいので、電解液を含んだポリマーゲル電解質がイオン伝導率が高いことから注目されており、電池の小型化、高エネルギー密度化などの観点から膜強度が強いこと、並びに電池の使用温度範囲、安全性などの観点からは、高温でも正極と負極との間の絶縁性を維持すること、つまり耐熱性の向上が強く望まれている。
【0005】
一方、ポリマー電解質は、イオン移動媒体であり、正負極に接するため、高い電気化学的安定性が要求される。フッ化ビニリデン系高分子は他種高分子に比べ高い電気化学的安定性を有することが分子軌道計算により示されており(第39回電池討論会3C09(1998))、また実際にフッ化ビニリデン系高分子はリチウムイオン二次電池の正極及び負極バインダーに使用されている。ポリマー電解質を高膜強度化、高耐熱性化する方策として、アクリレート系の架橋ポリマーが種々提案されているものの広く実用化されているものはない。その一つの理由として、これら架橋ポリマーの電気化学的安定性が低いことが推察される。従って、電気化学的安定性の優れたフッ化ビニリデン系高分子で高膜強度化、高耐熱性化することが望ましいと考えられる。
【0006】
フッ化ビニリデン系高分子からなるポリマー電解質として、米国特許第5296318号明細書にフッ化ビニリデン/6フッ化プロピレン共重合体を用いたポリマー電解質が報告されている。しかし、この共重合体は有機溶媒と混合されたゲルとして用いられた時、80℃以上の高温にさらされると容易に溶解してしまい、正極と負極との間の絶縁性を維持できなくなる問題を有していた。この問題に対して、米国特許第5429891号明細書にフッ化ビニリデン/6フッ化プロピレン共重合体を可塑剤、架橋剤存在下で架橋することが報告されている。しかしながら、該方法では残存可塑剤が充放電中に好ましくない副反応を起こすため、可塑剤を十分に除去する必要があり、抽出工程が煩雑であるなど、加工性や電気化学的安定性が悪化する問題を有していた。これらの問題を解決する方法として、フッ化ビニリデン系高分子と架橋重合性モノマーを共存させモノマーの重合により架橋構造体を作成することが考えられるが、その場合には一般的に架橋重合性ポリマーは電気化学的安定性、保液性に乏しいため、極力架橋重合性ポリマーが少なくなるよう設計する必要がある。特開平10−199328号公報にはフッ化ビニリデン系高分子と重合性化合物を混合後、重合性化合物を重合することにより高分子複合体を得る方法が開示されている。しかしながら、この方法で高膜強度を得るには高分子複合体中のフッ化ビニリデン系高分子が少ない必要があり、フッ化ビニリデン系高分子の持つ特性が損なわれ、保液性、電気化学的安定性、などの点で満足できるものではなく、更なる改良が望まれていた。
【0007】
つまり、近年の電池に対する小型軽量薄型化、高エネルギー密度化の要求のためには、薄膜成形性が良く、膜強度の強いポリマー電解質が望まれている。一方で、使用温度範囲、安全性などの観点からは、高温でも正極と負極との間の絶縁性を維持すること、つまり耐熱性の向上が望まれている。また、ポリマー電解質の大きな特徴は耐漏液性であり、電解液の保液性が良い事が必須の要求特性であり、電気化学的安定性が高いことも必須の要求特性である。しかしながら、これらの要求特性は、一般に相反する特性である。上記のように、高耐熱性、高膜強度、高保液性、良薄膜成形性、高電気化学的安定性のポリマー(ゲル)電解質は、従来知られていなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主要な目的は、高耐熱性、高膜強度、高保液性、良薄膜成形性、高電気化学的安定性のポリマー(ゲル)電解質を、主として高分子マトリクスの改良により提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究によれば、上述の目的達成のためには、フッ化ビニリデン系重合体に、カルボキシル基又は/及びエポキシ基の反応を通じてビニル基を導入してなるポリマー組成物、をポリマー電解質形成用組成物として用いることが極めて好ましいことが見出された。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、以下の(1)〜(7)の構成により、達成される。
(1)(A)フッ化ビニリデン、6フッ化プロピレンおよび3フッ化塩化エチレンから選ばれた単量体100重量部と、不飽和二塩基酸のモノエステルおよび/またはエポキシ基を有するビニル単量体0.1〜20重量部との共重合体からなる、重合したフッ化ビニリデン単位を50重量%以上含み且つカルボキシル基又は/及びエポキシ基を含有するフッ化ビニリデン系重合体と、(B)グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれた該カルボキシル基又は/及びエポキシ基と反応性の官能基および少なくとも1つのビニル基を有する官能性ビニル化合物との反応物からなるポリマー電解質形成用組成物。
(2)(1)の組成物を有機溶媒に溶解してなる電解質マトリクス前駆体溶液。
(3)(1)の組成物のビニル基を反応させて得た電解質マトリクス樹脂。
(4)(1)の組成物と多官能性架橋剤とを反応させて得た電解質マトリクス樹脂。
(5)(1)の組成物と非水系電解液とからなるポリマー電解質前駆体。
(6)(3)または(4)の電解質マトリクス樹脂とこれに含浸された非水系電解液とからなるポリマー電解質。
(7)リチウムを吸蔵放出する正極材料からなる正極と、同じくリチウムを吸蔵放出する負極材料または金属リチウムからなる負極との間に、(6)のポリマー電解質を有する非水系電池。
【0011】
本明細書において、上記したポリマー組成物、電解質マトリクス前駆体、電解質マトリクス樹脂、ポリマー電解質前駆体ならびにこれらの溶液について、総称的に「ポリマー電解質形成用組成物」あるいは「電解質形成用組成物」の語を用いることがある。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のポリマー組成物は、重合したフッ化ビニリデン単位を50重量%以上含み且つカルボキシル基又は/及びエポキシ基を含有するフッ化ビニリデン系重合体と、該カルボキシル基又は/及びエポキシ基と反応性の官能基および少なくとも1つのビニル基を有する官能性ビニル化合物との反応物からなるポリマー組成物からなる。
【0013】
本発明で使用するフッ化ビニリデン系重合体は、フッ化ビニリデン重合単位を50重量%以上含み且つカルボキシル基及び/又はエポキシ基を含有するフッ化ビニリデン系重合体である。
【0014】
すなわち、フッ化ビニリデン量が50重量%より過少であると、リチウム非水系二次電池中で電解液を含有し且つ電気化学的にも安定という非水系電池用ポリマー電解質としての基本特性が得られにくくなり好ましくない。カルボキシル基又はエポキシ基を含有しないと、高耐熱性、高膜強度のポリマーゲル電解質を得ることが困難となり、好ましくない。
【0015】
フッ化ビニリデンが50重量%以上であれば、フッ化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体を共重合したものでも差し支えない。フッ化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体としては、6フッ化プロピレンや3フッ化塩化エチレンを用いることが出来る。
【0016】
カルボキシル基、エポキシ基をフッ化ビニリデン系重合体に含有させる方法としては、種々の方法を採用することが出来るが、中でも特開平6−172452号公報、特開平9−12639号公報に記載の方法は容易にカルボキシル基、エポキシ基含有フッ化ビニリデン系重合体を得ることが出来るので特に好ましい。すなわち、フッ化ビニリデンを50重量%以上含む単量体100重量部と不飽和二塩基酸のモノエステル及び/又はエポキシ基を含有するビニル単量体0.1〜20重量部とを共重合する方法が特に好ましい。
【0017】
不飽和二塩基酸のモノエステルとしては、炭素数5〜8のものが好ましく、例えばマレイン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル等を上げることが出来る。中でもマレイン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステルが好ましい。
【0018】
エポキシ基を含有するビニル単量体としては、アリルグリシリジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、アリル酢酸グリシジルエーテル等を上げることが出来る。中でもアリルグリシジルエーテルが好ましい。
【0019】
上記のようにして得られたカルボキシル基又は/及びエポキシ基を有する官能性フッ化ビニリデン系重合体は、インヘレント粘度が0.5〜15dl/g、特に0.7〜5dl/g、であることが好ましい。ここでいうインヘレント粘度とはポリマーの分子量の目安として用いられるもので、樹脂4gを1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の30℃における対数粘度をいう。
【0020】
上記のようにして得られたカルボキシル基又は/及びエポキシ基を有する官能性フッ化ビニリデン系重合体と反応せしめる官能性ビニル化合物は、分子中に少なくとも1つのビニル基を有し且つカルボキシル基と反応可能な官能基を有する化合物又は分子中に少なくとも1つのビニル基を有し且つエポキシ基と反応可能な官能基を有する化合物である。カルボキシル基と反応可能な官能基としては、イソシアナート基、エポキシ基、アミノ基を挙げることが出来、エポキシ基と反応可能な官能基としては、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基を挙げることが出来る。
【0021】
本発明では、上記の官能性ビニル化合物として、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれたものを用いる。
【0022】
カルボキシル基又は/及びエポキシ基を含有する官能性フッ化ビニリデン系重合体と、官能性ビニル化合物との反応は、ビニル基を残存させる条件下で行なうことがポリマーゲル電解質を容易に得るためには望ましい。この目的のために適切な触媒および有機溶媒の存在下、20〜100℃程度の温度で行なうことが反応制御の点で好ましい。好ましい触媒の具体例として、トリエチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、テトラメチルグアニジンなどの第三級アミン類;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジエチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジオクチル錫ラウリレート、錫オクチレート等の金属塩類;三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素・アミン錯体、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化錫、塩化鉄、塩化亜鉛などのルイス酸類;などを挙げることが出来るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0023】
フッ化ビニリデン系重合体と反応せしめる官能性ビニル化合物の割合は、フッ化ビニリデン系重合体中のカルボキシル基、エポキシ基の含有量などから目的に応じて適宜選択できるが、得られるポリマーゲル電解質の電気化学的安定性を高いものとするには、フッ化ビニリデン系重合体重量部に対し100重量部以下とし、また必要なビニル基含量を確保する観点も加味して、10〜90重量部の範囲とすることが特に好ましい。
【0024】
本発明の電解質形成用マトリクス溶液は、上記のポリマー組成物を有機溶媒に溶解してなるものである。ここで言う溶解とは一相の溶液状態のみならず部分溶解したスラリー分散状態をも含む意味である。従って、ポリマー組成物を溶解するための有機溶媒は、ポリマー組成物の溶解性などから目的に応じて選択することができる。電解質形成用マトリクス溶液を得る方法は特に制限はなく、ポリマー組成物を得てから有機溶媒に溶解する方法などがあるが、工程簡略化の目的には、上記のポリマー組成物を得るための官能性フッ化ビニリデン系重合体と官能性ビニル化合物との反応をマトリクス溶液、更には電解質の形成に適した有機溶媒存在下で進めることが特に好ましい。このような有機溶媒の具体例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、およびこれらの混合溶媒などを挙げることが出来るが、必ずしもこれらに限定されるものではない。また、有機溶媒だけでなく電解質共存下で反応せしめることもできる。この場合は、反応の結果として、ポリマー電解質前駆体(溶液)が形成される。電解質の具体例としては、LiPF、LiAsF、LiClO、LiBF、LiCl、LiBr、LiCHSO、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、を挙げることが出来る。
【0025】
本発明のポリマー組成物は、反応性基としてビニル基を有するので、該ビニル基の反応により、容易に架橋せしめることが出来、耐熱性の高いポリマー電解質を容易に得ることが出来る。即ち、本発明の一つの態様は、上記ポリマー組成物のビニル基を反応させて得られる電解質マトリクス樹脂である。
【0026】
ビニル基を反応させる方法としては、公知の方法を用いることが出来、例えば、熱、紫外線、電子線、ガンマー線などを用いることにより行なうことが出来る。架橋をより効率的に行なわせるために、多官能性架橋剤、ラジカル発生剤、紫外線硬化開始剤などを添加して行なうことが可能である。即ち、本発明の一つの態様は、上記ポリマー組成物と多官能性架橋剤を反応させて得られる電解質マトリクス樹脂である。
【0027】
多官能架橋剤としては、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチルグリコール、ジメタクリル酸ブロピレングリコール、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、ビスフェノール系ジメタクリレート、ビスフェノール系ジアクリレート、環状脂肪族ジアクリレート、ジアクリル化イソシアヌレート、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリルホルマール、トリアクリルイソシアヌネート、トリアリルシアヌネート、脂肪族トリアクリレート、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、テトラアクリル酸ペンタエリスリトール、脂肪族テトラアクリレート、等が好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
ラジカル発生剤としては、各種の有機過酸化物が使用可能であり、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド類、2,5−ジメチル−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシケタール類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート類、等が好適に用いられ、アゾビスイソブチロニトリル類等も好適に用いる事ができる。
【0029】
紫外線硬化開始剤としては、ジメトキシフェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキ−2−メチル−1−フェニルプロパンノン−1、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキ2−メチルプロパンノン−1等が好適に用いられる。
【0030】
上記ポリマー組成物あるいは電解質マトリクス樹脂とともに本発明のポリマー電解質前駆体あるいはポリマー電解質を形成する非水系電解液としては、例えば上記したLiPFをはじめとするリチウム塩などの電解質を、非水系溶媒(有機溶媒)100重量部に対し、5〜30重量部の割合で溶解させたものを用いることができる。ポリマー電解質中のリチウムイオン導電率は電解液量が増えるほど高くなる傾向があるが電解液量が増えると機械強度が低下する傾向にあるので、イオン導電率と機械強度のバランスのためには、電解液量をポリマー電解質中の50重量%〜95重量%とすることがゲルが実電池材料として十分に機能する上で好ましい。
【0031】
本発明のポリマー電解質は、上記ポリマー組成物あるいは電解質形成用組成物と、非水電解液とから、種々の方法により形成することが出来、例えば以下のようにして形成されるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
具体例の第一の方法としては、まず、電解質を有機溶媒に溶解した非水電解液中でポリマー電解質形成用組成物を反応せしめて形成する。この時、比較的低い温度で高い蒸気圧を有し揮発しやすく且つフッ化ビニリデン系重合体を良く溶解する揮発性有機溶媒を共存させることも可能である。このような揮発性有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、1,3−ジオキソラン、シクロヘキサノン、等が用いられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。また、電解質を溶解する有機溶媒としてよく用いられるプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどはそれ自身がフッ化ビニリデン系共重合体の溶媒として用いることが可能であるので、揮発性有機溶媒を用いることなくポリマー電解質を構成することが可能である。次に、得られたポリマー電解質形成用組成物を含む液に、必要に応じて、多官能性架橋剤、ラジカル発生剤、紫外線硬化開始剤などを添加し、撹拌後、冷却してゲル化させフィルム状のポリマー電解質からなる膜構造物を得る。さらに膜構造物を、熱、紫外線、電子線、ガンマー線などで処理することにより、架橋構造を有する本発明のポリマー電解質を得ることが出来る。
【0033】
具体例の第二の方法としては、第一の方法において電解質マトリクス樹脂を電解質を含まない有機溶媒中で反応せしめて形成し、非水電解液を後の工程で含浸させることも出来る。
【0034】
本発明のポリマー電解質を使用した非水系電池の基本構造は、図1に断面図を示すように、一般的にはシート状に形成されたポリマー電解質1を一対の正極2(2a:集電基体、2b:正極合剤層)および負極3(3a:集電基体、3b:負極合剤層)間に挾持された形態で配置することにより得られる。
【0035】
リチウムイオン電池としての構成を例にとった場合、シート状ポリマー電解質1は、厚さ2〜1000μm、特に10〜200μm程度であることが好ましい。
【0036】
正極2及び負極3は、鉄、ステンレス綱、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン等の金属箔あるいは金属網等からなり、厚さが5〜100μm、小規模の場合には例えば5〜20μmとなるような集電基体2a、3aの例えば一面に、例えば厚さが10〜1000μmの正極合剤層2b、負極合剤層3bを形成することにより得られる。
【0037】
正極合剤層2b及び負極合剤層3bの形成方法の一例としては、上述したフッ化ビニリデン系共重合体を含む一般的なフッ化ビニリデン系共重合体と電解液を揮発性の有機溶媒に溶解した溶液、例えば100重量部に対し、粉末電極材料(正極または負極活物質及び必要に応じて加えられる導電助剤、その他の助剤)1〜20重量部を分散させて得られた電極合剤スラリーを塗布乾燥する方法を上げることができる。
【0038】
リチウムイオン二次電池用の活物質としては、正極の場合は、一般式LiMY(Mは、Co、Ni、Fe、Mn、Cr、V等の遷移金属の少なくとも一種:YはO、S等のカルコゲン元素)で表わされる複合金属カルコゲン化合物、特にLiNiCo1−x(0≦x≦1)をはじめとする複合金属酸化物やLiMnなどのスピネル構造をとる複合金属酸化物が好ましい。
【0039】
負極の活物質としては、黒鉛、活性炭、あるいはフェノール樹脂やピッチ等を焼成炭化したもの、さらには椰子殻活性炭等の炭素質物質に加えて、金属酸化物系のGeO、GeO、SnO、SnO、PbO、PbO、SiO、SiO等、或いはこれらの複合金属酸化物等が用いられる。
【0040】
このようにして得られた図1に示す構造の積層シート状電池体は、必要に応じて、捲回し、折り返し等により更に積層して、容積当たりの電極面積を増大させ、さらには比較的簡単な容器に収容して取り出し電極を形成する等の処理により、例えば、角形、円筒型、コイン型、ペーパー型等の全体構造を有する非水系電池が形成される。
【0041】
本発明のポリマー電解質は、その優れた特性を活かして、上記リチウムイオン二次電池以外にも電気二重層キャパシタ、エレクトロクロミックディスプレイ、センサ等の電気化学デバイスに用いることができる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明を更に具体的に説明する。
【0043】
<特性の評価方法>
1.耐熱性
試料ゲル状膜(電解質マトリクス樹脂シートまたはポリマー電解質シート)から約20mm×30mmの試験片を切り取り、該試験片を、約50mlのプロピレンカーボネート溶媒中に浸漬し、100℃で1時間加温し、該溶媒中でのフィルム形態保特性を目視評価した。
2.強度
ASTM D288に準じて、ゲル状膜から試験片を切り取り、試験長20mm、試験幅10mmでTOYO BALDWIN社製「TENSIRON UTM−III−100」を用いて引張速度100mm/minで引張強度を測定した。
3.保液性
ゲル状膜から50mm×50mmの試験片を切り取り秤量後、−18℃で2週間保存した後、室温に戻し膜表面を軽く拭いて膜表面の液を除去し秤量することにより、滲み出しによる重量減少率を求め、保液性を評価した。ここで重量減少率とは、((保存前重量−保存後重量)/保存前重量)×100であり、数値が小さいほど保液性が経時的に安定であることを示す。
4.イオン伝導度
室温でステンレス電極を使用して交流インピーダンス測定を行ない、Cole−Cole−plotの複素インピーダンス実軸切片から算出した。
【0044】
<フッ化ビニリデン系共重合体の調製>
(重合体調製例−1)
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1036g、メチルセルロース0.8g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート1.2g、マレイン酸モノメチルエステル4g、フッ化ビニリデン348g、6フッ化プロピレン12g、3フッ化モノエチレン40gを仕込み、29℃で90時間懸濁重合を行なった。重合完了後、重合体スラリーを脱水、水洗後80℃で20時間乾燥して重合体粉末を得た。重合率は、91重量%で、得られた重合体のインヘレント粘度は1.7dl/gであった。
【0045】
(重合体調製例−2)
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1036g、メチルセルロース0.8g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート3.6g、アリルグリシジルエーテル2g、フッ化ビニリデン372g、6フッ化プロピレン28gを仕込み、28℃で49時間懸濁重合を行なった。重合完了後、重合体スラリーを脱水、水洗後80℃で20時間乾燥して重合体粉末を得た。重合率は、83重量%で、得られた重合体のインヘレント粘度は1.7dl/gであった。
【0046】
(重合体調製例−3)
内容量2リットルのオートクレーブに、イオン交換水1050g、メチルセルロース0.7g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.2g、フッ化ビニリデン305g、6フッ化プロピレン10g、3フッ化モノエチレン35gを仕込み、29℃で30時間懸濁重合を行なった。重合完了後、重合体スラリーを脱水、水洗後80℃で20時間乾燥して重合体粉末を得た。重合率は、91重量%で、得られた重合体のインヘレント粘度は1.7dl/gであった。
【0047】
(実施例1)
重合体調製例−1で得られたポリマー10gに、グリシジルメタクリレート2g、ジメチルカーボメート90g、プロピレンカーボネート10g、トリエチルアミン0.002gを加えて溶液を作り、この溶液を65℃で2時間撹拌し、反応せしめた。その後、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート0.75g、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.1g、プロピレンカーボネート20gを添加し、撹拌した後、キャストし、ジメチルカーボネートを風乾することにより厚さ約100ミクロンの膜を得た。得られた膜を高圧水銀灯で30秒照射することにより、ゲル状膜を得た。このゲル状膜の特性を評価したところ、表1に示されるように、耐熱性、強度、保液性に優れたものであった。
【0048】
(実施例2)
実施例1において、グリシジルメタクリレートの代わりにメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゲル状膜を得た。このゲル状膜の特性を評価したところ、表1に示されるように、耐熱性、強度、保液性に優れたものであった。
【0049】
(実施例3)
実施例2において、重合体調製例−1で得られたポリマーの代わりに重合体調製例−2で得られたポリマーを用いた以外は、実施例2と同様にして、ゲル状膜を得た。このゲル状膜の特性を評価したところ、表1に示されるように、耐熱性、強度、保液性に優れたものであった。
【0050】
(実施例4)
実施例3において、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの代わりにヒドロキシエチルメタクリレートを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゲル状膜を得た。このゲル状膜の特性を評価したところ、表1に示されるように、耐熱性、強度、保液性に優れたものであった。
【0051】
(比較例1)
実施例1において、グリシジルメタクリレートを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ゲル状膜を得た。このゲル状膜の特性を評価したところ、表1に示されるように、耐熱性試験で溶解し、耐熱性の劣るものであった。
【0052】
(比較例2)
実施例1において、重合体調製例−1で得られたポリマーの代わりに重合体調製例−3で得られたポリマーを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゲル状膜を得た。このゲル状膜の特性を評価したところ、表1に示されるように、耐熱性試験で形態を保持せずバラバラになり、耐熱性の劣るものであった。
【0053】
(比較例3)
比較例2において、重合体調製例−3で得られたポリマーの使用量を10gから3gに、グリシジルメタクリレートの使用量を2gから9gに変更した以外は、実施例1と同様にして、ゲル状膜を得た。このゲル状膜の特性を評価したところ、表1に示されるように、耐熱性はあるものの保液性の劣るものであった。本比較例は、グリシジルメタクリレート及びジメチロールトリシクロデカンジアクリレートの架橋性モノマーをフッ化ビニリデン系高分子と共存下で重合し、架橋構造体を作成することにより、耐熱性を向上することが可能であるが、そのためには架橋性モノマーが多く必要であり、保液性が低下することを示している。
【0054】
【表1】
Figure 0004402192
【0055】
(実施例5)
重合体調製例−1で得られたポリマ−10gにグリシジルメタクリレート2g、ジメチルカーボネート90g、プロピレンカーボネート10g、トリエチルアミン0.002gを加えて溶液を作り、この溶液を65℃で2時間撹拌し、反応せしめた。その後、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート0.75g、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.1gを添加し、撹拌した後、キャストし、ジメチルカーボネートを風乾することにより厚さ約100ミクロンの膜を得た。得られた膜を高圧水銀灯で30秒照射することにより、ゲル状膜を得た。このゲル状膜を70℃の1M−LiPFプロピレンカーボネート中に1時間浸漬して、電解液を含浸させポリマー電解質膜を得た。得られたポリマー電解質膜の特性を評価したところ、イオン伝導度は4.0×10−3S/cmであり、耐熱性試験で形態を保持し、強度は2.51MPaであり、保液性評価で重量減少率は0.17%であり、イオン伝導度、耐熱性、強度、保液性に優れたものであった。
【0056】
(実施例6)
ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学製「KF#1300」、インヘレント粘度1.30dl/g)7gをLiCoO85g、導電性カーボンブラック8g、およびN−メチル−2−ピロリドン60gと混合し、得られたスラリーを厚さ10μmのアルミ箔上に塗布し、N−メチル−2−ピロリドンを蒸発除去して乾燥電極(正極)を得た。さらに、ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学製「KF#9100」、インヘレント粘度1.10dl/g)10gをピッチ系多孔質炭素材料90gおよびN−メチル−2−ピロリドン90gと混合し、得られたスラリーを厚さ10μmの銅箔上に塗布し、N−メチル−2−ピロリドンを蒸発除去して乾燥電極(負極)を得た。
【0057】
一方、露点が−70℃以下の窒素雰囲気下で、重合体調製例−1で得られたポリマー10gに、グリシジルメタクリレート2g、ジメチルカーボネート100g、トリエチルアミン0.002gを加えて溶液を作り、この溶液を65℃で2時間撹拌し、反応せしめた。その後、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート0.75g、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン.1g、LiPF5gをプロピレンカーボネート30gに溶解した溶液35gを添加し、撹拌して、電解質形成用マトリクス溶液を作成した。この溶液を分割して上記で得られた正極および負極の活物質上に別個に塗布し、ジメチルカーボネートを風乾した後、高圧水銀灯で30秒照射することにより、正極・負極上にゲル状のポリマー電解質層を形成させた。このゲル層をコートした正極・負極をダブルロールラミネータを用いて積層し、ペーパー型電池を作製した。一方、電解質形成用マトリクス溶液の一部をキャストし、ジメチルカーボネートを風乾することにより厚さ約100ミクロンの膜を得た後、高圧水銀灯で30秒照射することにより、ポリマー電解質膜を得た。このポリマー電解質膜の特性を評価したところ、イオン伝導度は4.3×10−3S/cm、耐熱性試験で形態を保持し、強度は2.35MPaであり、保液性評価で重量減少率は0.18%であり、イオン伝導度、耐熱性、強度、保液性に優れたものであった。
【0058】
上記で得られたペーパー型電池を、電流密度1.8mA/cmで電池電圧が4.2Vとなるまで充電させた後、4.2Vの定電位で保持し合計の充電時間が3.5時間を超えない定電流定電圧充電法による充電操作を行ない、その後、電流密度1.8mA/cmで終止電圧2.5Vまで放電させる定電流放電法による放電操作を行なった。初回の充電容量は330mAh/g(炭素材料)であり、放電容量は285mAh/g(炭素材料)であった。さらに充放電を繰り返し、サイクル20回目の放電容量は初回の96%であった。その間、漏液は観察されずにスムーズな充放電ができた。本発明の電池は、電池の充放電効率、放電量、充放電サイクル特性、耐熱性の優れたものであることがわかる。
【0059】
【発明の効果】
上記実施例および比較例の結果より明らかなように、フッ化ビニリデン系重合体にカルボキシル基又は/及びエポキシ基の反応を通じてビニル基を導入したポリマー組成物を用い、該ビニル基の架橋反応性を利用することにより、非水系電池中での使用に適した高耐熱性、高膜強度、高保液性、良薄膜形成性および高電気化学的安定性を有するポリマー電解質が得られ、該ポリマー電解質を利用することにより高い特性の非水系電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のポリマー電解質を用いる非水系電池の基本的積層構造を示す厚さ方向断面図。
【符号の説明】
1 シート状ポリマー電解質
2 正極
2a 導電性基体
2b 正極合剤層
3a 導電性基体
3b 負極合剤層

Claims (7)

  1. (A)フッ化ビニリデン、6フッ化プロピレンおよび3フッ化塩化エチレンから選ばれた単量体100重量部と、不飽和二塩基酸のモノエステルおよび/またはエポキシ基を有するビニル単量体0.1〜20重量部との共重合体からなる、重合したフッ化ビニリデン単位を50重量%以上含み且つカルボキシル基又は/及びエポキシ基を含有するフッ化ビニリデン系重合体と、(B)グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれた該カルボキシル基又は/及びエポキシ基と反応性の官能基および少なくとも1つのビニル基を有する官能性ビニル化合物との反応物からなるポリマー電解質形成用組成物。
  2. 請求項1の組成物を有機溶媒に溶解してなる電解質マトリクス前駆体溶液。
  3. 請求項1の組成物のビニル基を反応させて得た電解質マトリクス樹脂。
  4. 請求項1の組成物と多官能性架橋剤とを反応させて得た電解質マトリクス樹脂。
  5. 請求項1の組成物と非水系電解液とからなるポリマー電解質前駆体。
  6. 請求項3または4の電解質マトリクス樹脂とこれに含浸された非水系電解液とからなるポリマー電解質。
  7. リチウムを吸蔵放出する正極材料からなる正極と、同じくリチウムを吸蔵放出する負極材料または金属リチウムからなる負極との間に、請求項6のポリマー電解質を有する非水系電池。
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