JP4402248B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気入りラジアルタイヤ、とくにビード部耐久性に優れた空気入りラジアルタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、負荷転動中の空気入りタイヤには、その接地部分に路面からの反力を受けるため、サイドウォール部の接地部分に対応する部分は撓み変形を起こし、この変形はビード部にも伝播する。ビード部では、その厚み中心よりタイヤ幅方向外側では引張側、そして同内側では圧縮側の変形が生じ、特にカーカスプライの折り返し端を中心とする部分には大きな圧縮変形が発生する。この変形は、タイヤの転動によって繰り返し生じる結果、ビードコアに巻回したカーカスプライを巻き戻す向きの引き抜き力となってカーカスプライに作用する。その結果、カーカスプライの折り返し端を起点としてゴムの亀裂が発生し易くなり、この亀裂の伝播によってセパレーションが発生し、タイヤの故障に到る事態となる。
【0003】
かようなセパレーションの発生は、タイヤの扁平化によって加速される傾向にあり、また更生タイヤを含むタイヤの長寿命化の要求と相まって、ビード部耐久性の更なる改善が急務になっている。
【0004】
このビード部の耐久性向上に関して、特開平4−27606号および同5−16618号各公報には、ビードコアの外周に沿って配置する、断面が三角形状のスティフナーを、ゴム硬度の異なる2種以上のゴムの積層構造とすることによって、ビード部の撓み変形を軟質ゴムで吸収し、カーカスプライの折り返し端付近のゴムの亀裂を防止することが、提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の手法によってもビード部の耐久性を満足する水準にまで高めるのが難しく、さらなる改善が望まれていた。
そこで、この発明は、ビード部の耐久性を、在来の水準以上に向上する新規な方途について提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1) 一対のビードコア間でラジアル方向に延びるゴム被覆コードのプライによるカーカス本体と、該プライを各ビードコアのまわりにそれぞれタイヤの内側から外側へ巻返してタイヤ径方向外側に延ばした折返し部とから成るカーカスを骨格とする、空気入りラジアルタイヤにおいて、折り返し部の少なくとも端末を覆う、被覆ゴムを有し、該被覆ゴムはゴム100重量部に対して次式で表される無機添加材を1〜30重量部配合したゴム組成物から成ることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
mM 1 ・xSiOy・zH 2 O-----------(I)
(ここで、M 1 :Al、Mg、TiおよびCaから選ばれる少なくとも1種の金属、その酸化物またはその水酸化物であり、m:1〜5の整数、x:0〜10の整数、y:2〜5の整数、z:0〜10の整数である)
【0007】
(2) 上記(1) において、無機添加材は扁平形状を有することを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
【0008】
(3) 上記(2) において、無機添加材はその最大径aに対する厚みbの比a/bが2〜30であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
【0009】
(4) 上記(2) または(3) において、無機添加材は、その最大径が折り返し部のコード軸方向と沿う向きに配向することを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
【0010】
(5) 上記(1) ないし(4) のいずれかにおいて、被覆ゴムを構成するゴム組成物の100%伸長時の引張応力が3.0〜10.0MPaであることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
【0011】
(6) 上記(1) ないし(5) のいずれかにおいて、被覆ゴムのタイヤ幅方向外側に外側ゴムを配置したことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
【0012】
(7) 上記(6) において、外側ゴムを構成するゴム組成物は、100%伸長時の引張応力が1.5〜5.0MPaであることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
【0013】
(8) 上記(1) ないし(7) のいずれかにおいて、ビードコアまわりのカーカスプライの外側に補強層を設けたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1は、この発明の実施の形態を、一方のビード部について示す、タイヤ幅方向断面図である。
図中1は、図示しないトレッド部からサイドウォール部を経て、ビード部2までトロイダル状に延びる、1枚のカーカスプライから成るカーカスである。このカーカス1は、タイヤ赤道面に対して好ましくは約70〜90°の角度で延在する、例えばスチールコードからなる。なお、符号5は、硬質ゴム5aおよび軟質ゴム5bによるスティフナーである。
【0015】
カーカス1は、ビード部2に埋設した、1対のビードコア3間にトロイド状に張り渡したカーカス本体10と、このカーカス本体10の両側部をビードコア3のまわりでタイヤの内側から外側に折り返してタイヤ径方向外側に延ばした、折り返し部11とから成る。
【0016】
さらに、この折り返し部11の少なくとも端末11aを、ゴム100重量部に対して1〜30重量部の無機添加材を含有する、被覆ゴム4にて覆うことが肝要である。ここで、無機添加材とは、下記の一般式(I)で表されるものを意味する。
記
mM1 ・xSiOy・zH2 O ----- (I)
ここで、M1 :Al、Mg、TiおよびCaから選ばれる少なくとも1種の金属、その酸化物またはその水酸化物
m:1〜5の整数
x:0〜10の整数
y:2〜5の整数
z:0〜10の整数
【0017】
例えば、一般式(I)において、xおよびzが共に0である場合には、無機添加材は、Al、Mg、TiおよびCaから選ばれる少なくとも1種の金属、その酸化物またはその水酸化物となる。
【0018】
上記一般式(I)で表される無機添加材としては、アルミナ(Al2 O3 )、水酸化アルミニウム{Al(OH)3 、Al2 O3 ・3H2 O}、水酸化マグネシウム{Mg(OH)2 }、酸化マグネシウム(MgO2 )、タルク(3MgO・4SiO2 ・H2 O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2 ・9H2 O)、チタン白(TiO2 )、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム{Ca(OH)2 }、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2 O3 )、カオリンクレー(Al2 O3 ・2SiO2 ・2H2 O)、パイロフィライト(Al2 O3 ・4SiO2 ・H2 O)、ベントナイト(Al2O3 ・4SiO2 ・2H2 O)、珪酸アルミニウム(Al2 SiO5 、Al4 ・3SiO4 ・5H2 O等、珪酸マグネシウム(Mg2 SiO4 、MgSiO3 等)、珪酸カルシウム(Ca2 ・SiO4 等)、珪酸アルミニウムカルシウム(Al2 O3 ・CaO・2SiO2 等)および珪酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4 )などが挙げられる。
【0019】
この一般式(I)で表される無機添加材は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これら無機添加材のうち、特にマイカおよびカオリンクレーが有利に適合する。
【0020】
すなわち、折り返し部11の端末11aを、被覆ゴム4で被覆することによって、端末11aを起点として発生するゴムの亀裂は、被覆ゴム4に含有された無機添加材に行く手を阻まれ、その進展速度が格段に遅くなる結果、ゴムの亀裂がセパレーションに発展するのを回避する。
【0021】
この無機添加材の含有量は、ゴム100重量部に対して1〜30重量部、より好ましくは10〜20重量部とする必要がある。なぜなら、無機添加材の含有量が1重量部未満では、上記した無機添加材による亀裂の進展を抑制する効果が十分に得られず、一方30重量部をこえると、ゴムの耐破壊特性自体が失われることになるからである。とりわけ、無機添加材は、端末11aのコード端付近に集中して含有することが有利である。
【0022】
ここで、被覆ゴム4に含有させる無機添加材としては、その最大径aに対する厚みbの比a/bが2〜30程度の扁平形状のものを用いて、その最大径が折り返し部11のコード軸方向と沿う向きに配向することが好ましい。すなわち、扁平形状の無機添加材を折り返し部11のコード軸方向と沿う向きに配向して、内層ゴム40中に含有させることによって、端末11aを起点とする亀裂は、折り返し部11のコード軸方向を横切る向きへの進展が阻害され、残るコード軸方向へ進展する結果、セパレーションがより抑制されるのである。
【0023】
また、被覆ゴム4は100%伸長時の引張応力が3.0〜10.0MPaである、ゴム組成物に成ることが好ましい。なぜなら、被覆ゴム4の100%伸長時の引張応力が3.0MPa未満では、配合した無機添加材による破壊特性への悪影響が大きくなる傾向が現れ、逆に同引張応力が10.0MPaをこえると、配合した無機添加材による被覆ゴムあいの歪みが小さくなり、亀裂の成長を抑制する効果が発現しにくくなる。
ここに、上記の引張応力は、JIS K6301(1995)に準拠して測定した値を採用する。
【0024】
なお、被覆ゴム4の厚さは、0.3〜1.0mm程度とすることが好ましい。
同様に、被覆ゴム4は、少なくとも端末11aを覆うことが重要であるが、好ましくは端末11aを始点として折り返し部11の5〜15mmにわたる範囲を、複合ゴム4で覆うことが有利である。
【0025】
また、被覆ゴム4を2層構造、すなわち端末11aを直接に覆う内層ゴムに上記した無機添加材を含有させたゴム材を適用し、その外側に内層ゴムより小さい引張応力を有する外層ゴムを配置する構造とすることも、端末11aを起点とするゴムの亀裂の伝播を遅らせるのに有効である。
【0026】
その際、被覆ゴム4の内層ゴムの100%伸長時の引張応力MA と、外層ゴムの100%伸長時の引張応力MB との比MA /MB が1.3〜5.0であることが好ましい。なぜなら、この比が1.3未満では、カーカスコードの端末に集中する歪を緩和する効果が不十分であり、一方5.0をこえると、コード端末とゴムとの間に生じる歪が大きくなり、界面剥離が生じる可能性があるからである。
【0027】
さらに、図1に示すように、上記の複合ゴム4のタイヤ幅方向外側に外側ゴム6を配置することが有利である。すなわち、複合ゴム4の外側を、特に複合ゴム4よりも小さい引張応力を有する外側ゴム6を配置し、折り返し部11の端末11aに集中する歪みを、この外側ゴム6にて緩和することによって、端末11aを起点とするゴムの亀裂の発生時期を遅らせ、セパレーションの抑制をより確実にすることができる。
【0028】
従って、外側ゴム6を構成するゴム組成物は、100%伸長時の引張応力が1.5〜5.0MPaの範囲であり、かつ被覆ゴム4の同引張応力より小さいことが推奨される。
【0029】
さらにまた、図2に示すように、ビードコア3まわりのカーカスプライの外側に補強層7を設けることによって、ビード部剛性をより高めることができる。この補強層7は、例えばスチールまたは化学繊維のワイヤの複数本をタイヤの径方向に対して傾けて配列した、ゴム引き布から成り、ビードコア3を中心としてタイヤの内側から外側へカーカスプライに沿って設けたものである。
【0030】
【実施例】
図2に示したビード部構造を有するトラックおよびバス用ラジアルタイヤを、サイズ11/70 R22.5にて試作した。また、比較として、被覆ゴム4および外側ゴム6を配置しない、従来のビード部構造に従う従来タイヤについても、同様のサイズにて試作した。ここで、被覆ゴム4および外側ゴム6には、表1に示すゴム配合種を、表2に示すところに従って組み合わたものを用いた。
かくして得られた各タイヤについて、ドラム耐久性試験を行った結果について、各種ゴム層の引張応力に併せて、表3に示す。
【0031】
なお、ドラム耐久性は、供試タイヤを標準リムに組み付けたのち、850kpaの空気圧に調整するとともに、500Nの荷重を負荷して、半径1.7mのドラム上を60km/hの速度で走行させて、ビード部故障によって走行不能になるまでの走行距離を測定し、従来タイヤの走行距離を100として指数化することにより評価した。この指数が大きいほど、耐久性に優れることを示している。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【発明の効果】
この発明によれば、カーカス折り返し部の端末を起点としたゴム亀裂の進展を有利に抑制し、セパレーションの発生を確実に回避するため、ビード部の耐久性を在来に比較して格段に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に従うタイヤの幅方向断面を示す図である。
【図2】 この発明に従う別のタイヤの幅方向断面を示す図である。
【符号の説明】
1 カーカス
2 ビード部
3 ビードコア
4 被覆ゴム
5 スティフナー
6 外側ゴム
7 補強層
10 カーカス本体
11 折返し部
11a 端末
Claims (8)
- 一対のビードコア間でラジアル方向に延びるゴム被覆コードのプライによるカーカス本体と、該プライを各ビードコアのまわりにそれぞれタイヤの内側から外側へ巻返してタイヤ径方向外側に延ばした折返し部とから成るカーカスを骨格とする、空気入りラジアルタイヤにおいて、折り返し部の少なくとも端末を覆う、被覆ゴムを有し、該被覆ゴムはゴム100重量部に対して次式で表される無機添加材を1〜30重量部配合したゴム組成物から成ることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
mM 1 ・xSiOy・zH 2 O
(ここで、M 1 :Al、Mg、TiおよびCaから選ばれる少なくとも1種の金属、その酸化物またはその水酸化物であり、m:1〜5の整数、x:0〜10の整数、y:2〜5の整数、z:0〜10の整数である) - 請求項1において、無機添加材は扁平形状を有することを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
- 請求項2において、無機添加材はその最大径aに対する厚みbの比a/bが2〜30であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
- 請求項2または3において、無機添加材は、その最大径が折り返し部のコード軸方向と沿う向きに配向することを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
- 請求項1ないし4のいずれかにおいて、被覆ゴムを構成するゴム組成物の100%伸長時の引張応力が3.0〜10.0MPaであることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
- 請求項1ないし5のいずれかにおいて、被覆ゴムのタイヤ幅方向外側に外側ゴムを配置したことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
- 請求項6において、外側ゴムを構成するゴム組成物は、100%伸長時の引張応力が1.5〜5.0MPaであることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
- 請求項1ないし7のいずれかにおいて、ビードコアまわりのカーカスプライの外側に補強層を設けたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
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