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JP4412264B2 - 表示装置および表示装置の製造方法 - Google Patents
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JP4412264B2 - 表示装置および表示装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表示装置および表示装置の製造方法に関し、特には発光層の膜厚が異なる各色の有機電界発光素子を配列してなる表示装置およびその製造方法に関する。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence)を利用した有機電界発光素子は、下部電極と上部電極との間に、正孔輸送層や発光層を積層させた有機層を設けてなり、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている。このような有機電界発光素子を用いたフルカラーの表示装置は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の有機電界発光素子を基板上に配列形成してなる。
このような表示装置の製造においては、少なくとも各色の発光材料を用いてなる発光層を、素子毎にパターン形成する必要がある。また、R,G,B各色の素子を、各発光色の発光光のみを共振させて取り出す共振器構造とすることにより、各素子から取り出される発光光の色純度を向上させたり、発光光の取り出し効率を高めることが可能となる。このような有機電界発光素子は、例えば、ミラーを兼ねる陽極と、発光層を備えた有機層と、ハーフミラーを兼ねる陰極とが、この順に積層された構成となっている。そして、陽極(ミラー)と陰極(ハーフミラー)との間隔を、各発光色波長の光が共振する光学的距離に設定することにより、発光層において発生した発光光のうちの特徴波長のみを陰極(ハーフミラー)側から取り出す構成となっている。
以上のような共振器構造を適用した各色の有機電界発光素子を用いて表示装置を製造する場合には、発光層の膜厚のみによって各素子における光学的距離を調整することにより、他の層を共通化して製造工程の大幅な簡略化を図ることができる。
ここで、上述した発光層をパターン形成する方法の一つとして、熱転写法が提案されている。熱転写法を用いた表示装置の製造は、例えば次のように行う。先ず、表示装置の基板(以下、装置基板と称する)上に陽極を形成しておく。一方、別の基板(以下、転写用基板と称する)上に、光吸収層を介して発光層を成膜しておく。そして、発光層と陽極とを対向させる状態で、装置基板と転写用基板とを配置し、転写用基板側からレーザ光を照射することにより、装置基板の陽極上に発光層を熱転写させる。この際、スポット照射させたレーザ光を走査させることにより、陽極上の所定領域のみに位置精度良好に発光層が熱転写される。
またこの熱転写法を適用する方法において、転写用基板の光吸収層上に発光層を介してさらに正孔輸送層を形成した状態で充分な光(レーザ光)を照射することにより、正孔輸送材料を発光材料に混入させつつ転写する方法が提案されている。そしてこのような方法を行うことにより、有機電界発光素子(OLED)の効率および安定性が高くなるとしている(下記特許文献1参照)。
特開2004−71551号公報(特に、第8〜第10段落参照)
ところが、上述したように発光層の膜厚のみによって、ミラーとハーフミラーとの間の光学的距離が調整された共振器構造を備えた各色の有機電界発光素子からなる表示装置には、以下のような問題があった。
すなわち、有機電界発光素子を構成する有機層の中でも、電荷を輸送・注入する機能を主とした正孔輸送層などと比較して、発光層は抵抗値の高い層である。このため、上記光学的距離を発光層の膜厚のみによって調整した場合、各素子における発光層の膜厚差が大きくなり、各素子を駆動させるための駆動電圧に非常に大きな差が生じる。
通常、表示装置にいては、最も高い駆動電圧を必要とする素子に合わせて電源電圧の値が設定される。そして、駆動回路内において、各素子に対してそれぞれ必要とする駆動電圧に合わせて電源電圧を個別に電圧降下させることにより、各素子に印加される駆動電圧を生成している。このため、上述したように、各素子において必要とする駆動電圧に大きな差がある場合には、駆動回路内においての電圧降下量が大きくなり、無駄な電力が消費されると言う問題があった。
そこで本発明は、膜厚が異なる発光層を有する各有機電界発光素子においての駆動電圧を平均化することができ、これにより消費電力の低減を図ることが可能な表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の表示装置は、少なくとも正孔輸送層と発光層とを積層した有機層を2枚の電極間に挟持してなる複数の有機電界発光素子を備えており、素子毎に各発光層の膜厚が異なる値に設定された構成の表示装置に関する。このような表示装置としては、例えば、微小共振構造を備えた有機電界発光素子を有する表示装置において、発光層の膜厚によって共振部の光学的距離を調整して異なる波長の光を取り出すカラー表示装置が例示される。そして本発明は、この様な構成の表示装置において、正孔輸送層を構成する正孔輸送材料と同程度のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital最高占有分子軌道)準位を示す有機材料が、各素子の発光層に対して、その膜厚に応じて増加する含有率で含有されていることを特徴としている。
このような構成の本発明の表示装置では、各有機電界発光素子の発光層に対して、その膜厚に応じた量で正孔輸送層を構成する正孔輸送材料と同程度のHOMO準位を示す有機材料を含有させている。つまり、有機電界発光素子においては、発光層に対してこのような有機材料を含有させることにより、発光層が低抵抗化されて駆動電圧を低下させることができる。このため、膜厚の厚くより抵抗値が高い発光層に対して、より多くの有機材料を含有させることで、膜厚が異なる発光層を備えた各有機電界発光素子の駆動電圧を、低い値で平均化することができる。
また本発明は、このような表示装置を得るための製造方法でもあり、上述した発光層のパターン形成を、熱転写法によって行うことを特徴としている。
以上説明したように本発明によれば、膜厚が異なる発光層を備えた複数の有機電界発光素子間において、これらの駆動電圧を低い値で平均化することができる。このため、例えば、微小共振構造を備えたカラー表示装置において、表示装置に加えた電源電圧を各素子の駆動電圧に合わせてそれぞれ電圧降下させる必要がなくなり、電圧降下分の無駄な消費電力を削減することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の各実施形態においては、基板上に、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の有機電界発光素子を配列してフルカラー表示を行う構成の表示装置に本発明を適用した実施の形態を説明する。
<表示装置>
図1は、実施形態の表示装置の構成図である。この図に示す表示装置1は、基板3上に赤(R)、緑(G)、青(B)の各色に発光する有機電界発光素子5r,5g,5b、すなわち赤色発光素子5r,緑色発光素子5g,青色発光素子5bを配列してなり、各発光素子5r,5g,5bでの発光光を基板3と反対側から取り出す上面発光型として構成されている。
上記基板3は、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板などの表面層に、ここでの図示を省略した薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)を配列形成してなる、いわゆるTFT基板であり、表面が平坦化絶縁膜で覆われていることとする。
そして基板3上に配列形成された発光素子5r,5g,5bは、陽極7、有機層9、電子注入層11、および陰極13を、基板3側から順に積層した構成となっている。また、これらの発光素子5r、5g、5bのそれぞれは、陽極7をミラー(光反射層)とし陰極13をハーフミラー(半透過半反射層)とし、各発光素子5r,5g,5bで生じた特定波長の光を共振させて陰極(ハーフミラー)13側から取り出す微小共振器構造として構成されている。
つまり、赤色発光素子5rは、赤色の波長領域の光が陽極(ミラー)7と陰極(ハーフミラー)13との間の共振部で共振して取り出し効率が極大となるように、共振部の光学的距離Lrが調整されている。また、緑色発光素子5gは、緑色の波長領域の光が陽極(ミラー)7と陰極(ハーフミラー)13との間の共振部で共振して取り出し効率が極大となるように、共振部の光学的距離Lgが調整されている。さらに青色発光素子5bは、青色の波長領域の光が陽極(ミラー)7と陰極(ハーフミラー)13との間の共振部で共振して取り出し効率が極大となるように、共振部の光学的距離Lbが調整されていることとする。これにより、各発光素子5r,5g,5bからは、異なる発光色の光が十分な強度で取り出される構成となっている。
ここで、各発光素子5r、5g、5bで発生した光が共振部の両端で反射する際に生じる位相シフトをΦラジアン、共振部の光学的距離をL、光のうちの取り出したい光のスペクトルのピーク波長をλとした場合、下記式(1)を満たす範囲で上述した光学的距離L(Lr,Lg,Lb)が設定されていることとする。
Figure 0004412264
またこれらの光学的距離Lr,Lg,Lbは、以降に説明するように有機層9の膜厚によって調整されていることとする。またここでは、光学的距離Lr,Lg,Lbの関係は、Lr>Lg>Lbであり、例えば各光学的距離の設定で用いられる整数mが同一の値であれば良く、各光学的距離Lr,Lg,Lbが正の最小値となる整数m=0とすることが好ましい。
次に、以上のような微小共振器構造を備えた各発光素子5r、5g、5bを構成する各層を説明する。
先ず陽極7は、各画素に対応させてパターン形成され、同様に各画素に設けられたTFTに対して、これらのTFTを覆う層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール(図示省略)を介してそれぞれが接続される状態で形成されることとする。
またこの陽極7は、高反射性材料を用いることでミラーとして構成されている。このような陽極7は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、プラチナ(Pt)さらには金(Au)のように、反射率の高い導電性材料、及びその合金で構成される。
また陽極7は、導電性材料層の上にバリア層を設けた構成でも良い。この場合バリア層は仕事関数が大きい材料により構成されており、その厚さは約1nm〜200nmである。このバリア層は、陽極7がミラーとして構成されれば良く、導電性材料層が高反射性材料からなる場合には光透過性材料が用いられ、導電性材料の光反射性が低い場合には高反射材料が用いられることとする。
このようなバリア層は、例えば、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ガリウム(Ga)およびアルミニウム(Al)を含む群のうちの少なくとも1種の金属、その金属の合金、その金属酸化物、またはその金属窒化物を含む光透過性材料の中から、上述したような導電性材料層との組み合わせを考慮して適宜選択した材料によって構成されることとする。そして、上記「合金」、「金属酸化物」、および「金属窒化物」としては、例えば、合金としてインジウム錫合金やインジウム亜鉛合金、金属酸化物としてITO(Indium−Tin−Oxide)、IZO(Inidium−Zinc−Oxide)、酸化インジウム(In2 O3 )、酸化錫(SnO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、酸化チタン(TiO2 )および酸化クロム(CrO2 )、金属窒化物として窒化チタンや窒化クロム(CrN)などが挙げられる。
また、各画素毎にパターン形成された陽極(ミラー)7は、中央部のみを露出させる状態でその周囲が絶縁膜15で覆われている。この絶縁膜15は、例えばポリイミドやフォトレジスト等の有機絶縁材料や、酸化シリコンのような無機絶縁材料を用いて構成されていることとする。
そして、陽極(ミラー)7上に設けられた有機層9は、正孔注入層9-1、正孔輸送層9-2、発光層9-3、および電子輸送層9-4をこの順に積層させてなる。このうち、発光層9-3のみが、各発光素子5r,5g,5b毎にパターン形成されており、他の層は各発光素子5r,5g,5bに共通層として設けられている。
以下に、有機層9を構成するこれらの各層を陽極(ミラー)7側から順に説明する。
先ず、正孔注入層9-1は、各画素の共通層として、陽極7および絶縁膜15を覆う状態で設けられている。このような正孔注入層9-1は、一般的な正孔注入材料を用いて構成され、一例としてm−MTDATA〔4,4,4 -tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine〕を用いて15nmの膜厚で蒸着成膜されていることとする。
次に正孔輸送層9-2は、各画素の共通層として、正孔注入層9-1上に設けられている。このような正孔輸送層9-2は、一般的な正孔輸送材料を用いて構成され、例えば、ベンジジン誘導体、スチリルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、ヒドラゾン誘導体などを用いて構成され、一例として、α−NPD[4,4-bis(N-1-naphthyl-N-phenylamino)biphenyl]を用いて10nmの膜厚で蒸着成膜されていることとする。
尚、以上の正孔注入層9-1および正孔輸送層9-2は、それぞれが複数層からなる積層構造であっても良い。
そして発光層9-3は、絶縁膜15に形成された開口窓を完全に塞ぐ状態で、各画素毎にパターン形成されている。ここで、各発光素子5r,5g,5bは、上述したように、特定波長の光を陽極(ミラー)7と陰極(ハーフミラー)13との間で共振するように光学的距離Lr,Lg,Lbが調整されているとしたが、本実施形態においては発光層9-3r,9-3g,9-3bの膜厚差により、光学的距離Lr,Lg,Lbの調整がなされていることになる。
したがって、各発光素子5r,5g,5bにおける共振部の光学的距離Lr,Lg、LbをLとし、各発光層9-3r,9-3g,9-3bの光学的距離をLt、これ以外の共通の機能層の光学的距離をLfとした場合、Lt=L-Lfを満たすように各発光層9-3r,9-3g,9-3bの光学的距離Lt、すなわち膜厚が設定されていることになる。また、上述したように各発光素子5r,5g,5bにおける共振部の光学的距離Lr,Lg、Lbは、Lr>Lg>Lbであることから、各発光層9-3r,9-3g,9-3bの光学的距離Lt(膜厚)も、この順に大きな値となっている。
また、以上のような異なる膜厚(各光学的距離Lt)に設定された発光層9-3r,9-3g,9-3bは、それぞれホスト材料および発光性のゲスト材料を用いて構成されている。またさらに、発光層9-3r,9-3g,9-3bの低抵抗化に寄与する有機材料が、その膜厚に応じた含有量で、膜厚が厚いほど多くの量となるように含有されていることとする。このため、上記有機材料の含有量は、発光層9-3r>9-3g>9-3bの順になる。尚、最も膜厚が薄い青色発光素子5bの発光層9-3bには、このような有機材料が含有されていなくても良い。
このような有機材料は、正孔輸送層9-2を構成する正孔輸送材料と同程度のHOMO準位を示す材料からなる。正孔輸送材料と同程度のHOMO準位とは、正孔輸送材料のHOMO準位との差が+0.3eV以下であれば、発光層9-3r,9-3g,9-3bにおける発光に影響を与えることなく充分に低抵抗化することができ、正孔輸送材料のHOMO準位に近いほど低抵抗化の効果が高いため好ましい。ただし、ホスト材料として、正孔輸送材料と同程度のHOMO準位の有機材料が用いられている場合、このホスト材料も上述した有機材料とみなして、有機材料の含有量を調整することとする。
そして、このような有機材料の含有量は、最終的な各色の発光素子5r,5g,5bの駆動電圧が同等程度になるように調整されていることとする。
次に、以上のような各材料を含有する各発光層9-3r,9-3g,9-3bの構成を説明する。
赤色発光素子5rの発光層9-3rは、ホスト材料、ゲスト材料、および低抵抗化のための有機材料で構成されている。このうち、ホスト材料としては、正孔輸送性のホスト材料,電子輸送性のホスト材料および両電荷輸送性のホスト材料のうち少なくとも1種が用いられ、例えば電子輸送性のホスト材料であるADN(anthracene dinaphtyl)が例示される。また、ゲスト材料としては、蛍光性または燐光性の赤色発光材料が用いられ、例えば2,6-ビス[(4’-メトキシジフェニルアミノ)スチリル]-1,5-ジシアノナフタレン(BSN)が例示される。このゲスト材料は、例えばホスト材料とゲスト材料との合計量に対して、30重量%程度で含有されていることとする。また、発光層9-3rの低抵抗化に寄与する有機材料としては、正孔輸送層9-2を構成する材料と同じ材料、例えばα−NPDが用いられる。そしてこの発光層9-3rにおいては、このような有機材料が50体積%の割合で含有されていることとする。このような構成の発光層9-3rは、例えば膜厚60nmに設定されている。
緑色発光素子5gの発光層9-3gは、ホスト材料、ゲスト材料、および低抵抗化のための有機材料で構成されている。このうち、ホスト材料は、赤色の発光層9-3rのホスト材料と同様のものが用いられ、例えばADN(anthracene dinaphtyl)が例示される。またゲスト材料としては、蛍光性または燐光性の緑色発光材料が用いられ、例えばクマリン6が例示される。このゲスト材料は、例えばホスト材料とゲスト材料との合計量に対して、5重量%程度で含有されていることとする。そして、発光層9-3gの低抵抗化に寄与する有機材料としては、正孔輸送層9-2を構成する材料と同じ材料、例えばα−NPDが用いられる。発光層9-3gにおいては、このような有機材料が33体積%の割合で含有されていることとする。このような構成の発光層9-3gは、例えば膜厚45nmに設定されている。
青色発光素子5bの発光層9-3bは、ホスト材料およびゲスト材料で構成され、低電圧化のための有機材料を含有していない。このうち、ホスト材料は、赤色および緑色の発光層9-3r,9-3gのホスト材料と同様のものが用いられ、例えばADN(anthracene dinaphtyl)が例示される。またゲスト材料としては、蛍光性または燐光性の青色発光材料が用いられ、例えば4,4’-ビス[2-{4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)が例示される。このゲスト材料は、例えばホスト材料とゲスト材料との合計量に対して、2.2重量%程度で含有されていることとする。このような構成の発光層9-3bは、例えば膜厚20nmに設定されている。
そして、以上のような構成の各色の発光層9-3r,9-3g,9-3b上に設けられた電子輸送層9-4は、各画素の共通層として設けられている。このような電子輸送層9-4は、一般的な電子輸送材料を用いて構成され、一例として8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )を用いて20nm程度の膜厚で蒸着成膜されている。
以上のような正孔注入層9-1、正孔輸送層9-2、各色の発光層9-3r,9-3g,9-3b、および電子輸送層9-4によって、有機層9が構成されている。
そして、この有機層9上に設けられた電子注入層11は、各画素の共通層として設けられている。このような電子注入層11は、一般的な電子注入材料を用いて構成され、一例としてLiFを約0.3nmの膜厚で蒸着成膜してなる。
さらに、この電子注入層11上に設けられた陰極13は、各画素の共通層として設けられている。このような陰極13は、仕事関数が小さな導電性材料を用いて構成される。このような導電性材料としては、例えば、Li、Mg、Ca等の活性な金属とAg、Al、In等の金属との合金、或いはこれらを積層した構造を使用できる。この陰極13は、ハーフミラーとして用いられるため、反射率が0.1%以上、50%未満の範囲となるように用いる材質によって膜厚が調整されていることとする。このような陰極13としては、例えば、10nmの膜厚のMgAgが用いられる。また、電子注入層11側の界面に、例えば、Li、Mg、Ca等の活性な金属とフッ素、臭素等のハロゲンや酸素等との化合物層を薄く挿入した構造としても良い。
ここで、以上のように陰極13が各画素に共通の電極として用いられる場合、陽極7と同一層で補助電極(図示省略)を形成し、この補助電極に対して陰極13を接続させることで、陰極13の電圧降下を防止する構成としても良い。この場合、補助電極上に積層された有機層は、陰極13を成膜する直前にレーザーアブレーション等の方法で除去すればよい。
そして、以上のような各層で構成された発光素子5r,5g,5bは、ここでの図示を省略した保護膜で覆われる。そして、この保護膜上に接着剤を用いて封止基板が貼り合わせられた状態で完全固体型の表示装置1が構成されている。
尚、保護膜は、有機層9への水分の到達防止を目的とし、透過水性,吸水性の低い材料を用いて十分な膜厚で形成されることとする。さらに、ここで作製する表示装置1は、上面発光型であるため、この保護膜は各色発素子5r,5g,5bで発生した光を透過する材料からなり、例えば80%程度の透過率が確保されていることとする。このような保護膜は、絶縁性材料または導電性材料で構成されていて良い。保護膜を絶縁性材料で構成する場合には、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えばアモルファスシリコン(α−Si)、アモルファス炭化シリコン(α−SiC)、アモルファス窒化シリコン(α−Si1-xNx)さらにはアモルファスカーボン(α−C)等を好適に用いることができる。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護膜となる。保護膜を導電性材料で構成する場合には、ITOやIZOのような透明導電性材料が用いられる。
また、接着剤としては、例えば紫外線硬化樹脂が用いられる。そして、封止基板としては、例えばガラス基板が用いられる。ただし、接着剤および封止基板は、光透過性を有する材料で構成されることが必須となる。
さらに、陰極(ハーフミラー)13の上方(光取り出し側)に、共振部で共振させて取り出される波長領域の光を透過するカラーフィルタを設けても良い。これにより、さらに各色の発光素子5r,5g,5bから取り出される光の色純度が向上する。
以上説明した構成の表示装置1では、膜厚の異なる各色の発光層9-3r,9-3g,9-3bに対して、その膜厚に応じた量で正孔輸送層9-2を構成する正孔輸送材料(低抵抗化のための有機材料)を含有させている。つまり、各発光素子(有機電界発光素子)5r,5g,5bにおいては、発光層9-3r,9-3g,9-3bに対してこのような有機材料を含有させることにより、発光層9-3r,9-3g,9-3bが低抵抗化されて素子の駆動電圧を低下させることができる。このため、膜厚が厚くより抵抗値が高い、赤色の発光層9-3rや緑色の発光層9-3gに対して、より多くの上記有機材料を含有させることで、各色の発光素子5r,5g,5bの駆動電圧を低い値で平均化することができる。
この結果、表示装置1に加えた電源電圧を、各発光素子5r,5g,5bの駆動電圧に合わせてそれぞれ電圧降下させる必要がなくなる。したがって、フルカラーの表示装置におけるホワイトバランスの設定が容易になり色再現性の向上が図られると共に、電圧降下分の無駄な消費電力が削減して低消費電力化を図ることが可能になる。
また、駆動電圧の低減が図られた赤色発光素子5rや緑色発光層5gにおいては、駆動電圧を低減させたことにより、輝度寿命の向上を図ることができ、このような発光素子5r,5g,5bを用いた表示装置1の長寿命化を達成することも可能となる。
<表示装置の製造方法>
次に、上述した構成の表示装置1の製造方法を図2〜図4の断面工程図を用いて説明する。尚、以下において示される各層のうち、図1を用いて既に説明した層と同一の層についての重複する説明は省略する。
先ず、図2(1)に示すように、基板3上に、陽極(ミラー)7をパターン形成した後、これらの陽極(ミラー)7の中央部を露出させる形状に絶縁膜15をパターン形成する。次に、陽極(ミラー)7および絶縁膜15を覆う状態で、基板3上の全面に正孔注入層9-1を蒸着成膜し、さらに続けて正孔輸送層9-2を蒸着成膜する。
そして、次の工程では、以上のようにして形成した正孔注入層9-2上に、熱転写法によって各色の発光層を形成する工程を行うが、この工程が本実施形態に特徴的な工程となる。
先ず、図2(2)に示すように、転写用基板30rを用意する。この転写用基板30rは、表示装置作製用の基板3と略同一形状のガラス基板31上の全面に、光吸収層33を介して、赤色の発光層を形成するための転写層(赤色転写層)35rが設けられている。
このうち、光吸収層33を構成する材料としては、次に行う熱転写の工程において熱源として用いるレーザ光の波長範囲に対して低い反射率を持つ材料が好ましく用いられる。例えば、固体レーザ光源からの波長800nm程度のレーザ光を用いる場合には、クロム(Cr)やモリブデン(Mo)等が低反射率、高融点を持つ材料して好ましいが、これらに限定されることは無い。ここでは例えば、スパッタリング法により、Crを200nmの膜厚に成膜してなる光吸収層33を形成することとする。
また、赤色転写層35rは、図1を用いて説明した赤色の発光層(9-3r)に含有されている材料を用いて構成されている。すなわち、赤色転写層35rは、ホスト材料、発光性のゲスト材料、および低抵抗化のための有機材料で構成されている。
そして、以上のような各材料を用いて構成される赤色転写層35rは、ホスト材料とゲスト材料とを用いて構成された発光材料層35r-1と、低抵抗化のための有機材料を用いて構成された低抵抗化層35r-2とを、光吸収層33側から順に積層した2層構造に構成されていることとする。
このうち発光材料層35r-1は、例えば電子輸送性のホスト材料であるADN(anthracene dinaphtyl)に、赤色発光性のゲスト材料である2,6-ビス[(4’-メトキシジフェニルアミノ)スチリル]-1,5-ジシアノナフタレン(BSN)を30重量%で混合した材料によって構成され、30nm程度の膜厚で蒸着成膜されていることとする。
また、低抵抗化層35r-2は、例えば正孔輸送性材料であるα−NPDを30nm程度の膜厚で蒸着成膜されていることとする。
そして図2(3)に示すように、以上のように構成された転写用基板30rを、正孔注入層9-2までが形成された基板3に対向配置させる。この際、赤色転写層35rと正孔注入層9-2とが向き合うように、転写用基板30rと基板3とを配置する。また、絶縁膜15の高さが充分であれば、基板3と転写用基板30rとを密着させ、基板3側の最上層を構成する正孔注入層9-2と、転写用基板30r側の最上層を構成する赤色転写層35rとを接触させても良い。このようにした場合であっても、基板3側の絶縁膜15上に転写用基板30rが支持された状態となり、陽極7上の正孔注入層9-2の部分に転写用基板30rが接触することはない。
次に、このような状態で基板3に対向配置された転写用基板30r側から、例えば波長800nmのレーザhrを照射する。この際、赤色発光素子の形成領域に対応する部分に、レーザhrを選択的にスポット照射する。
これにより、光吸収層33にレーザ光hrを吸収させ、その熱を利用して赤色転写層35rを基板3側に熱転写させる。そして、基板3上に成膜された正孔注入層9-2上に、赤色転写層35rを位置精度良好に熱転写させてなる赤色発光層9-3rをパターン形成する。
このような熱転写においては、例えばレーザ光hrの照射エネルギーにより、転写用基板30r側の赤色転写層35rを構成する各材料の濃度勾配を調整する。具体的には、照射エネルギーを高めに設定することにより、赤色転写層35rを構成する各材料が略均一に混ざり合った混合層として赤色発光層9-3rを形成する。また、赤色発光層9-3r内に、赤色転写層35rを構成する各材料が混ざり合った混合層が設けられるように、照射エネルギーを調整しても良い。
またここでは、赤色発光素子の形成部分(画素領域)において絶縁膜15から露出している陽極7上が、赤色発光層9-3rによって完全に覆われるように、レーザ光hr照射に行うことが重要である。
以下、上述したような熱転写の工程を繰り返し行うことで、順次、緑色発光層および青色発光層を形成する。
すなわち、図3(4)に示すように、表示装置作製用の基板と略同一形状のガラス基板31上の全面に、光吸収層33を介して緑色の発光層を形成するための転写層(緑色転写層)35gを設けてなる転写用基板30gを用意する。この転写用基板30gにおける緑色転写層35gは、発光性のゲスト材料として緑色発光のゲスト材料を用いること以外は、図1(2)を用いて説明した赤色転写層35rと同様の2層構成であって良い。
すなわち、発光材料層35g-1は、例えば電子輸送性のホスト材料であるADN(anthracene dinaphtyl)に、緑色発光性のゲスト材料であるクマリン6を5重量%で混合した材料によって構成され、30nm程度の膜厚で蒸着成膜されていることとする。
そして発光材料層35g-1上の低抵抗化層35g-2は、α−NPDが15nm程度の膜厚で蒸着成膜されていることとする。
そして図3(5)に示すように、この転写用基板30gを、正孔注入層9-2が形成された基板3に対向配置させ、転写用基板30g側から緑色発光素子の形成領域に対応する部分に、レーザhrを選択的にスポット照射する。
これにより、基板3上に成膜された正孔注入層9-2の上に選択的に緑色転写層35gを熱転写させてなる緑色発光層9-3gをパターン形成する。このような熱転写は、図1(3)を用いて説明した赤色発光層9-3rのパターン形成と同様に、緑色転写層35gを構成する各材料が、略均一に混ざり合わせた状態で緑色発光層9-3gが形成されるように行われることとする。
また、図3(6)に示すように、表示装置作製用の基板と略同一形状のガラス基板31上の全面に、光吸収層33を介して青色の発光層を形成するための転写層(青色転写層)35bを設けてなる転写用基板30bを用意する。この転写用基板30bにおける青色転写層35bは、ホスト材料と共に、発光性のゲスト材料として青色発光のゲスト材料を用いた発光材料層35b-1の単層構造となっている。この発光材料層35b-1は、例えば電子輸送性のホスト材料であるADNに、青色発光性のゲスト材料である4,4’-ビス[2-{4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%で混合した材料によって構成され、20nm程度の膜厚で蒸着成膜されていることとする。
そして図4(7)に示すように、この転写用基板30bを、正孔注入層9-2が形成された基板3に対向配置させ、転写用基板30b側から青色発光素子の形成領域に対応する部分に、レーザhrを選択的にスポット照射する。
これにより、基板3上に成膜された正孔注入層9-2の上に選択的に青色転写層35bを熱転写させてなる青色発光層9-3bをパターン形成する。このような熱転写は、図1(3)を用いて説明した赤色発光層9-3rのパターン形成と同様に、青色転写層35bを構成する各材料が、略均一に混ざり合わせた状態で青色発光層9-3bが形成されるように行われることとする。
尚、以上の図2(2)〜図4(7)を用いて説明した各熱転写の工程は、特に決められた順番はなく、どの色の発光層9-3r,9-3g,9-3bから順に熱転写しても良い。
また、繰り返し行われる熱転写の工程は、大気圧中でも可能であるが、真空中で行うことが望ましい。真空中で熱転写を行うことにより、より低エネルギーでのレーザを使用した転写が可能になり、転写される発光層に与えられる熱的な悪影響を軽減することが出来る。さらに、熱転写の工程を真空中で行うことにより、基板同士の密着性が高まり、転写のパターン制度が良好になり、望ましい。しかも、全プロセスを連続して真空中で行うようにすることで、素子の劣化を防ぐことが可能である。
また、以上説明したレーザhrを選択的にスポット照射する工程においては、レーザ照射装置におけるレーザヘッドの駆動部分が精密なアライメント機構を備えている場合には、陽極7に沿って、レーザhrを適正なスポット径において転写用基板(30r,30g,30b)上に照射すればよい。この場合、基板3と転写用基板(30r,30g,30b)との位置合わせを厳密に行う必要はない。一方、レーザヘッドの駆動部分が精密なアライメント機構を備えていない場合には、転写用基板側にレーザhrが照射される領域を制限する遮光膜を形成しておく必要がある。具体的には、転写用基板31の裏面に、レーザを反射する高反射金属層に開口部を設けた遮光膜を設ける。また、この上に低反射性金属を成膜しても良い。この場合、基板3と転写用基板(30r,30g,30b)との位置合わせを正確に行う必要が生じる。
次に、図4(8)に示すように、各色発光層9-3r,9-3g,9-3bが形成された基板3上の全面を覆う状態で、蒸着成膜法により電子輸送層9-4を成膜し、さらに電子注入層11、および陰極13を形成する。陰極13の成膜は、下地の有機層9に対して影響を及ぼすことのない程度に、成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、例えば蒸着法やCVD(chemical vapor deposition)法によって行われることが好ましい。
また以上のようにして各色の有機電界発光素子5r,5g,5bを形成した後には、ここでの図示を説明した保護膜を形成する。この保護膜は、有機層9の劣化による輝度の低下を防止するため成膜温度を常温に設定し、さらに保護膜の剥がれを防止するために膜のストレスを最小になる条件で成膜することが望ましい。そして、この保護膜側に接着剤を介して封止基板を貼り合わせることにより表示装置1を完成させる。
以上説明した製造方法では、例えば図3(3)を用いて説明したように、電荷輸送性を備えたホスト材料および発光性のゲスト材料と共に、正孔輸送性材料を用いて構成された赤色転写層35rを、赤色発光層9-3rとして熱転写させる。これにより、熱転写によって形成された赤色発光層9-3rは、電荷輸送性を備えたホスト材料中に、発光性のゲスト材料と正孔輸送性材料(低抵抗化のための有機材料)とを混在させた3元系の混合層となる。この際、赤色発光層9-3rの膜厚および、赤色発光層9-3r中における正孔輸送性材料(低抵抗化のための有機材料)の含有量は、赤色転写層35rを構成する発光材料層35r-1および低抵抗化層35r-2の膜厚によって精度良好に調整することが可能である。
したがって、膜厚に応じて増加する量で低抵抗化のための有機材料を含有させた各発光層9-3r,9-3g,9-3bを、膜厚精度および組成精度良好に形成することが可能である。
尚、上述した実施形態においては、表示装置1がアクティブマトリックス方式である場合を例示したが、本発明は単純マトリックス方式の表示装置にも適用可能である。この場合、例えばストライプ状に形成された陽極7と交差するストライプ状に陰極13が形成され、これらの交差した部分において各色発光層9-3r,11g,11bをそれぞれ含む有機層9等が狭持された各部分に、赤色発光素子5r、緑色発光素子5g、および青色発光素子5bがそれぞれ設けられることになる。
そして、上述した単純マトリックス方式の表示装置であれば、基板3側に画素毎の駆動回路が設けられることはないので、基板3側から発光光を取り出す下面発光型とした場合であっても画素の開口率が維持できる。
このような下面発光型である場合には、基板3側に配置される陽極7をハーフミラーとし、陰極13をミラーとすることにより、陽極7を介して基板3側から共振された波長が取り出されることになる。尚この場合には、基板3、陽極7、および陰極13として、それぞれに適する光反射透過特性を備えた材質が選択して用いられることとする。また、下面発光型である場合には、上述した実施形態においての陽極7〜陰極13までの積層状態を、逆にした構成であっても良い。
さらに、本発明は、アクティブマトリックス方式で、上述した実施形態においての陽極7〜陰極13までの積層状態を、逆にした構成であっても良い。アクティブマトリックス方式の表示装置であれば、基板3側に画素毎の駆動回路が設けられるため、基板3と反対側から発光光を取り出す上面発光とすることが、画素の開口率を広げる上で有利である。この場合、基板3側に配置される陰極13がミラーとなり、光取り出し側となる陽極7がハーフミラーとなるように、それぞれの材質が適宜選択されることとする。
また本発明は、複数の発光素子5r,5g,5bにおける発光層9-3r,9-3g,9-3bの膜厚がそれぞれ異なる例として、発光素子5r,5g,5bが共振器構造で構成されている場合を例示した。しかしながら、本発明は、発光層9-3r,9-3g,9-3bの膜厚がそれぞれ異なる構成であれば、共振器構造で構成されている場合に限定されることはない。例えば、発光層9-3r,9-3g,9-3bで生じた光を1回の反射で干渉させて取り出す構成であっても、発光層9-3r,9-3g,9-3bの膜厚がそれぞれ異なる値に調整されるため、駆動電圧のバラツキが生じる。このような構成の表示装置であっても、発光層の膜厚に応じて低抵抗化のための有機材料を含有させることで、駆動電圧を均一化することが可能になる。
さらに本発明は、共振部における光学的距離が発光層のみで調整された発光素子を用いた構成を説明した。しかしながら、本発明は発光層の膜厚が異なる発光素子を用いた表示装置であれば広く適用可能であり、例えば、発光層と共に当面導電層の膜厚によって光学的距離が調整された発光素子を用いた表示装置に適用され、同様の効果を得ることができる。
また、本発明は、例えば特開2003−272860に示されるように、発光層を有する有機層のユニット(発光ユニット)を積層してなる有機電界発光素子を用いた表示装置においても有効であり、同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の具体的な実施例、およびこれらの実施例に対する比較例として、フルカラー表示装置を構成する各色発光の有機電界発光素子の製造手順を、図2〜図4および最後に示した表1を参照して説明する。またその後、次にこれらの評価結果を説明する。
<実施例1>
表示装置を構成する赤色発光素子5rを以下のように作製した。
(1)先ず、素子作製用基板となるガラス基板3の上に、銀合金層であるAPC(Ag-Pd-Cu)層(膜厚120nm)を陽極(ミラー)7として形成した。次に陽極7の周縁を覆う状態で酸化シリコンの絶縁膜15をスパッタリング法により約2μmの厚さで成膜し、リソグラフィー法により陽極7を露出させた。次に、正孔注入層9-1として、m−MTDATAを15nmの膜厚で蒸着した。次に、正孔輸送層9-2として、α−NPDを10nmの膜厚で蒸着した。
(2)一方、次のようにして転写用基板30rを作製した。先ず、ガラス基板31の上に成膜した光吸収層33上に、ADNからなるホスト材料に、BSNからなる赤色発光性のゲスト材料を30重量%の割合で混合した発光材料層35r-1を30nmの膜厚で真空蒸着により成膜し、α-NPD(低抵抗化層)からなる低抵抗化層35r-2を30nmの膜厚で真空蒸着によって成膜した。この場合、発光材料層と低抵抗化層との構成比率は50:50となる。
(3)次に、成膜された有機層同士が向き合う状態で、(2)において作製した転写用基板30rを素子作製用の基板3の上に配置し、真空中で密着させた。両基板は、絶縁膜15の厚さによって、約2μmの小さな間隙が維持されていた。尚、図面上においては絶縁膜15の高さを低く示している。この状態で、素子作製用の基板3の赤色画素領域に相対する配置において、転写用基板30rの裏側から波長800nmのレーザ光線を照射することにより、転写用基板30rから赤色転写層35rを熱転写させ、赤色発光層9-3rを形成した。レーザ光線のスポットサイズは、300μm×10μmとした。レーザ光線は、該光線の長手寸法に対して直交する方向において走査した。エネルギー密度は、2.6E-3mJ/μm2とした。尚、赤色発光層9-3rにおける低抵抗のための有機材料(α-NPD)の含有量は50体積%となる。
(4)赤色発光層9-3rを転写した後、電子輸送層9-4を成膜した。電子輸送層9-4として、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )を20nm程度の膜厚で蒸着成膜した。続いて、電子注入層11として、LiFを約0.3nm(蒸着速度〜0.01nm/sec)の膜厚で蒸着成膜した。次いで、陰極(ハーフミラー)13としてMgAgを10nmの膜厚で蒸着成膜し、赤色発光素子5rを得た。
<比較例1>
実施例1の(2)における転写用基板30rの作製手順において、発光材料層35r-1のみを60nmの膜厚で形成し、低抵抗化層35r-2を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして赤色発光素子を作製した。
<実施例2>
実施例1の(2)における転写用基板30rの作製手順において、発光材料層における材料構成を換えて転写用基板30を作製したこと以外は、実施例1と同様の手順で緑色発光素子5gを作製した。
つまり、(2)転写用基板30gの作製においては、ガラス基板31の上に成膜した光吸収層33上に、ADNからなるホスト材料に、クマリン6からなる緑色発光性のゲスト材料を5重量%の割合で混合した発光材料層35g-1を、真空蒸着により30nmの膜厚で成膜し、α−NPDからなる低抵抗化層35g-2を15nmの膜厚で真空蒸着によって成膜した。この場合、発光材料層35g-1と低抵抗化層35g-2との構成比率は30:15となる。
その後、上記で作製した転写用基板を用い、実施例1の(3)(4)と同様の手順を行い、緑色発光素子5gを作製した。尚、緑色発光層9-3gにおける低抵抗のための有機材料(α-NPD)の含有量は33体積%となる。
<比較例2>
実施例2(2)の転写用基板30gの作製手順において、発光材料層35g-1のみを45nmの膜厚で形成し低抵抗化層35g-2を形成しながったこと以外は、実施例2と同様にして緑色発光素子を作製した。
<実施例3>
実施例1(2)の転写用基板30rの作製手順において、発光材料層における材料構成を換え、低抵抗化層35g-2を形成せずに転写用基板30bを作製したこと以外は、実施例1と同様の手順で青色発光素子5bを作製した。
つまり、(2)転写用基板30bの作製においては、ガラス基板31の上に成膜した光吸収層33上に、ADNからなるホスト材料に、DPAVBiからなる青色発光性のゲスト材料を2.5重量%の割合で混合した発光材料層35b-1を、20nmの膜厚で真空蒸着により成膜した。
その後、上記で作製した転写用基板30bを用い、実施例1の(3)(4)と同様の手順を行い、青色発光素子5bを作製した。尚、青色発光層9-3bにおける低抵抗のための有機材料(α-NPD)の含有量は0体積%となる。
≪評価結果≫
以上のようにして作製した各色の有機電界発光素子について、10mA/cm2の定電流密度を印加した状態で、分光放射輝度計を用いて色度および発光効率を測定した。また、同じ発光性のゲスト材料を用いた素子同士が同輝度で発光するように電流印加を設定した状態で、駆動電圧を測定し、また寿命試験を行って100時間経過後の相対輝度の減少率を測定した。これらの結果を下記表1に示す。
Figure 0004412264
先ず、実施例1、2および比較例1、2で作製した各色発光素子の評価結果をそれぞれ比較すると、低抵抗化層を有する転写層を熱転写してそれらの層を混合してなる発光層を形成した実施例1、2の発光素子においては、低抵抗化層を設けずに作製された比較例1、2の発光素子と比較して、発光効率および輝度減少率を同程度に保ちつつ、駆動電圧を減少させる効果が得られていることが確認された。また、これらの発光素子においては、実施例1,2と比較例1,2とで同程度の色度が得られていることが確認された。
特に、実施例1で作製した赤色発光素子の評価結果を、低抵抗化層を設けずに作製された比較例1の赤色発光素子と比較すると、低抵抗化層を適切な量で用いて転写層を構成することにより、得られた赤色発光素子の発光色を変化させずに、駆動電圧を適切に低下させ、輝度減少率においても比較例に比べて良好な特性が得られることが確認された。
また、赤色発光素子については、実施例1のように低抵抗化層を用いたことによる発光効率の低下はほとんど無かった。これに対して緑色発光素子については、実施例2のように低抵抗化層を使用することにより発光効率の若干の低下が見られた。これは、青色や緑色等の短波長発光と比較して、赤色発光に用いられるエネルギーはもともと低いもので十分であり、低抵抗化層を混入させることによる低効率化効果がほとんど無いからである。
そして、実施例1,2,3の各色発光素子に関しては、低抵抗化層の膜厚により、発光層内における低抵抗化のための有機材料の含有量が適切に調整(具体的には長波長発光素子には混入量を多くする)されているため、各色発光層の膜厚は各色の発光波長に対応して大きく異なるにも関わらず、駆動電圧は同等程度となっている。
そして以上の結果から、低抵抗化のための有機材料を膜厚に対応させた量で各色発光層9-3r,9-3g,9-3bに含有させることにより、共振構造とすることにより各発光素子5r,5g,5bにおける発光層9-3r,9-3g,9-3bの膜厚が極端に異なる場合であっても、これらの駆動電圧を平均化することができ、これによりフルカラーの表示装置における消費電力の削減を図ることが可能であることが確認された。
しかもこの効果は、色度を劣化させることなく、また発光効率や輝度減少率を低下させることもなく得られる効果であることが確認された。
本発明を適用した表示装置の構成を説明する断面図である。 実施形態の表示装置の製造方法を示す断面工程図(その1)である。 実施形態の表示装置の製造方法を示す断面工程図(その2)である。 実施形態の表示装置の製造方法を示す断面工程図(その3)である。
符号の説明
3…基板、5r…赤色発光素子(有機電界発光素子)、5g…緑色発光素子(有機電界発光素子)、5b…青色発光素子(有機電界発光素子)、7…陽極、9…有機層、9-2…正孔輸送層、9-3r…赤色発光層、9-3g…緑色発光層、9-3b…青色発光層、13…陰極、30r,30g,30b…転写用基板、35r…赤色転写層、35g…緑色転写層、35b…青色転写層、35r-1,35g-1,35b-1…発光材料層、35r-2,35g-2…低抵抗化層

Claims (8)

  1. 少なくとも正孔輸送層と発光層とを積層した有機層を2枚の電極間に挟持してなる複数の有機電界発光素子を備え、前記発光層の膜厚が素子毎に異なる値に設定されると共に、
    前記正孔輸送層を構成する正孔輸送材料と同程度のHOMO準位を示す有機材料が、前記発光層に対してその膜厚に応じて増加する含有率で含有されている
    表示装置。
  2. 前記各有機電界発光素子の駆動電圧が略同程度になるように、前記発光素子中における前記有機材料の含有率が調整されている
    請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記正孔輸送層と発光層とを挟持する状態で、光反射材料からなるミラーと光半透過性のハーフミラーとが設けられ、
    前記発光層で発光した特定波長の光を前記ミラーとハーフミラーとの間で共振させて当該ハーフミラー側から取り出す共振器構造となるように、当該発光層の膜厚によって当該ミラーとハーフミラーとの間の光学的距離が調整されている
    請求項1または2に記載の表示装置。
  4. 前記各有機電界発光素子における前記発光層は、青、緑、または赤の波長領域の光を発光し、
    前記各有機電界発光素子は、青、緑、または赤の波長領域の光の取り出しがそれぞれほぼ極大となると共に、発光する光の波長が長いほど前記ミラーとハーフミラーとの間の光学的距離が大きくなるように設定されている
    請求項3に記載の表示装置。
  5. 前記ミラーおよびハーフミラーは、前記電極として用いられる
    請求項3または4に記載の表示装置。
  6. 前記有機層を構成する複数層のうち、前記発光層のみが前記有機電界発光素子毎にパターン形成され、他の層は共通層として設けられている
    請求項1〜5の何れかに記載の表示装置。
  7. 少なくとも正孔輸送層と発光層とを積層した有機層を2枚の電極間に挟持してなる複数の有機電界発光素子を備え、前記発光層の膜厚が素子毎に異なる値に設定されると共に、前記正孔輸送層を構成する正孔輸送材料と同程度のHOMO準位を示す有機材料が前記発光層に対してその膜厚に応じて増加する含有率で含有された表示装置を製造する際、
    前記各発光層は、電荷輸送性を備えたホスト材料および発光性のゲスト材料含む転写層を備えた転写用基板から当該転写層を熱転写することによりパターン形成され、
    さらに前記各発光層のうちの少なくとも一部を形成する前記転写層に、前記ホスト材料およびゲスト材料と共に所定量の前記有機材料が含有されている
    表示装置の製造方法。
  8. 前記有機材料を含有する転写層は、前記ホスト材料と前記ゲスト材料を含む発光材料層と、前記有機材料を含む低抵抗化層とを積層してなる
    請求項7に記載の表示装置の製造方法。
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