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JP4413951B2 - スパークプラグ - Google Patents
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JP4413951B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明は、火花放電を行う電極の材料にNi基合金を用いた内燃機関用のスパークプラグに関するものである。
従来、自動車のエンジン等の内燃機関には点火のためのスパークプラグが用いられている。一般的なスパークプラグは、中心電極が挿設された絶縁碍子の周囲を取り囲むように主体金具で絶縁碍子を保持し、主体金具の先端に接合された接地電極と、中心電極との間で火花放電間隙を形成した構造を有する。そして中心電極と接地電極との間で行われる火花放電によって、両電極間へ流入する混合気への点火が行われる。
このようなスパークプラグの使用の際には、1000℃近くの高温となる燃焼室内で繰り返し行われる火花放電に伴う負荷が電極にかかるため、電極に用いる電極材料には、耐火花消耗性や耐高温酸化性の両立が求められる。電極材料が高温と火花放電による負荷の影響を受けると、電極材料を構成する結晶粒が粗大化(いわゆる粒成長)し、その粒界の構造が単純化する。すると単純化した粒界構造があたかも酸素の導通路を形成するかのように電極材料の内部へ酸素が進入しやすくなり、その結果、内部で酸化腐食が生じやすくなる虞がある。
そこで粒成長を抑制するため、電極材料として、NiにYやZr等の金属元素を添加したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして特許文献1では、これらの元素の酸化物や窒化物等からなる粉末をNi粉末に混合し、成形後焼き固めることで、Niの母相から上記元素の酸化物や窒化物等が均一に拡散した状態で析出した電極材料を形成している。このような電極材料から作製した電極は、高温と火花放電による負荷の影響を受けても、結晶粒が粗大化する過程で、Niの母相に析出した酸化物や窒化物等がその結晶粒の粗大化をピン止めするように抑制するため、粒成長を抑制することができる。粒成長を抑制することにより結晶粒の粒径は小さい状態で維持され、これにより粒界の構造が比較的複雑な状態で維持されるため、粒界を伝わる電極の内部への酸素の進入が抑制されて、耐高温酸化性が向上する。
その一方で、上記元素の添加量が多くなれば電極材料の比抵抗の増加や熱伝導率の低下を招き、その結果として耐火花消耗性が低下することとなる。特許文献1では、電極材料中のNiの純度を高めることで、電極材料の比抵抗を低下させると共に熱伝導率を向上させ、耐火花消耗性を高めている。
特開2004−247175号公報
しかしながら、近年のエンジンの高性能化に伴い、混合気の燃焼が、より高温で行われる傾向にあり、電極の電極材料には、より高い水準で耐高温酸化性と耐火花消耗性を満たすことが要求されている。特許文献1のように、電極材料のNiの母相に酸化物を析出させた場合、析出した酸化物が電極材料中に残ることとなるため、従来よりも高温となる環境において酸化物が分解してしまい、酸素によって内部腐食が進行する虞があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、Niの母相に金属間化合物が析出した電極材料を電極に用いることで、十分な耐高温酸化性と耐火花消耗性を得ることができるスパークプラグを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のスパークプラグは、内燃機関の燃焼室内に露出され、中心電極との間に火花放電間隙を形成する接地電極を備えたスパークプラグにおいて、前記中心電極および前記接地電極の少なくとも一方は、Niを主成分とし、少なくとも粒界に金属間化合物が析出した電極材料からなり、前記金属間化合物は、少なくともNiとYとを含む化合物、または、少なくともNiとNdとを含む化合物であり、前記電極材料は、Niを主成分とし、YまたはNdのいずれかの元素を第1添加元素として含有し、その第1添加元素の含有量が、0.3重量%以上3重量%以下であり、前記電極材料中の溶存酸素量が、30ppm以下であることを特徴とする。
また、請求項に係る発明のスパークプラグは、請求項に記載の発明の構成に加え、前記電極材料は、少なくともSi、Ti、Ca、Sc、Sr、Ba、Mgのうちの1種の元素を第2添加元素として含有することを特徴とする。
また、請求項に係る発明のスパークプラグは、請求項に記載の発明の構成に加え、前記電極材料は、前記第2添加元素の含有量が1重量%未満であることを特徴とする。
また、請求項に係る発明のスパークプラグは、請求項に記載の発明の構成に加え、前記電極材料の前記第2添加元素はSiであって、その含有量が0.3重量%未満であることを特徴とする。
また、請求項に係る発明のスパークプラグは、請求項乃至のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記電極材料は、前記第1添加元素の含有量が、前記第2添加元素の含有量よりも多いことを特徴とする。
また、請求項に係る発明のスパークプラグは、請求項に記載の発明の構成に加え、前記電極材料は、前記第1添加元素の含有量が、前記第2添加元素の含有量の3倍以上であることを特徴とする。
また、請求項に係る発明のスパークプラグは、請求項乃至のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記電極材料は、Niと前記第1添加元素と前記第2添加元素とが溶解により混合されたものを原材料として形成されたものであることを特徴とする。
また、請求項に係る発明のスパークプラグは、請求項1乃至のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記電極材料は、1000℃で72時間保持した後の平均結晶粒径が、300μm以下であることを特徴とする。
また、請求項に係る発明のスパークプラグは、請求項1乃至のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記電極材料は、常温における比抵抗が、15μΩcm以下であることを特徴とする。
また、請求項10に係る発明のスパークプラグは、請求項1乃至のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記電極材料は、引っ張り強さ(σB)と、0.2%耐力(σ0.2)との比(σ0.2/σB)が、0.4以上0.6以下であることを特徴とする。
また、請求項11に係る発明のスパークプラグは、請求項1乃至10のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記電極材料は、前記接地電極を構成する材料であることを特徴とする。
請求項1に係る発明のスパークプラグでは、Niを主成分とし、少なくとも粒界に金属間化合物を析出させた電極材料を中心電極や接地電極に用いたことで、化合物中に酸素を含まないため、高温となる環境で使用しても内部腐食が生じにくい。また、高温のもとで行われる火花放電に伴う負荷がかかる過酷な環境において、電極材料を構成する結晶粒が二次再結晶により粗大化(つまり粒成長)する場合があるが、少なくとも粒界に析出した金属間化合物により粒成長が抑制される。粒成長を抑制できれば粒界の構造を複雑な状態のまま維持することができるため、粒界を伝って外部から酸素が進入しても、その進入深度が深くなることはなく、酸化抑制に対し十分な効果を得ることができる。このように、金属間化合物が電極母材の少なくとも粒界に析出すれば結晶粒の粗大化を抑制する上で十分な効果を得ることができるが、金属間化合物は、粒界のみならず粒内に析出してもよく、その析出場所を限定するものではない。なお、本発明において「主成分」とは、電極材料を構成する成分のうち、最も含有量の多い成分をいう。
このような金属間化合物は、主成分として含有するNiと希土類元素との化合物により構成されることが好ましく、さらに、少なくともNiとYとを含む化合物、または、少なくともNiとNdとを含む化合物であれば、安定した金属間化合物を形成しやすく、より好ましい。
そして、金属間化合物が析出した電極材料を得るには、その電極材料が、Niを主成分とし、YまたはNdのいずれかの元素を第1添加元素として0.3重量%以上3重量%以下含有することが望ましい。第1添加元素の含有量が0.3重量%未満であると析出物が十分に生成せず、粒成長の抑制が難しい。また、第1添加元素が3重量%より多くなると、電極材料のNiの含有率が低くなるため変形抵抗が高くなり、この電極材料を中心電極や接地電極として加工することが困難となる。なお、良好な加工性を得るためには、電極材料のNi含有量を97重量%以上とすることが好ましい。
なお、電極材料の内部腐食を抑制し、機械的な強度を維持するには、電極材料中の溶存酸素量が30ppm以下であることが望ましい。
また、請求項に係る発明のように、電極材料に、第2添加元素として、少なくともSi、Ti、Ca、Sc、Sr、Ba、Mgのうちの1種の元素を含有させれば、上記のように粒成長を抑制しつつ、さらに電極材料の酸化を抑制することができる。これは、第2添加元素を電極材料に極少量含有させると、電極材料の表層における粒界にて酸化物を形成し、この酸化物が形成されることによって外部の酸素が粒界を通じて内部へ進入し難くなることによる。なお、これらの第2添加元素を複数種類、同時に添加してもよい。
望ましくは、請求項に係る発明のように、電極材料中の第2添加元素の含有量が1重量%未満であるとよく、特に、請求項に係る発明のように、第2添加元素がSiであってその含有量を0.3重量%未満とするとよい。第2添加元素の中でも特にSiは、酸素の進入深度が他の第2添加元素に対して比較的浅く留まる傾向がある。一方、電極材料の耐火花消耗性の観点では、Ni成分比率は高ければ高いほど好ましく、他の第2添加元素に比べてより効果が顕著であるSiを用いることで含有量を課題にせずとも効果を得ることができる。その結果、電極材料中へ第2添加元素の含有量を減らすことができ、相対的にNi成分比率の高い電極材料を構成することができる。なお、第2添加元素の含有量が1重量%以上となると、電極材料の比抵抗が高くなったり、熱伝導率が低くなったりするため十分な熱引きを行えず、耐火花消耗性が低下する虞がある。
ところで、第2添加元素の酸化物の量が多いとこの酸化物がNiの母相から剥離し易くなり、剥離すると粒界を伝う酸素の進入を抑制できず、酸化が進行してしまう虞がある。従って、請求項に係る発明のように、第2添加元素はその含有量が第1添加元素よりも少ない方がよく、特に、請求項に係る発明のように、第1添加元素の含有量が第2添加元素の含有量の3倍以上となることが望ましい。
このように、Niの母相にNiと第1添加元素との金属間化合物を析出させ、さらに第2添加元素の添加により効果的な酸化防止を行うには、請求項に係る発明のように、電極材料を作製する際に、Niと、第1添加元素と、第2添加元素とを溶解して混合したものを原材料とするとよい。つまり、Niの母相に第1添加元素を固溶させ、固溶限を超えた分の第1添加元素とNiとで金属間化合物を形成させて析出させる。このようにすれば、原材料の粉末を混合し焼き固めた場合よりも機械的強度の高い電極材料を作製することができると共に、内部に溶存する酸素の量を減らすことができる
た、こうした電極材料から作製される電極は、スパークプラグを構成して使用されるとき、1000℃以上もの高温の雰囲気に晒され、火花放電が行われる過酷な環境であるため、酸化抑制には結晶粒の粒成長を抑えることが肝要である。十分な耐高温酸化性を得るためには、請求項に係る発明のように、このような電極材料を1000℃で72時間保持した後における結晶粒の平均粒径が300μm以下となるように、その組成を調整することが望ましい。このように高温の雰囲気に晒されたときに粒成長が進行しやすいのは、より燃焼室の中心に近い位置に配置される接地電極である。このため、請求項11に係る発明のように、本発明に係る電極材料により接地電極が構成されることが望ましい。
そして、電極材料から作製される電極の熱引き性能を高め、耐火花消耗性を効果的に高めるためには、請求項に係る発明のように、常温(20〜25℃)における電極材料の比抵抗が15μΩcm以下となるように、その組成を調整することが望ましい。比抵抗が低いほど、この電極材料から作製された電極の火花放電に伴う発熱量は抑えられる。比抵抗を低くするには第2添加元素の含有量を減らす必要があり、その含有量が少なくなれば電極材料の熱伝導率が向上するため、電極として使用した際の熱引き性能を高めることができ、耐火花消耗性を高めることができる。
また、請求項10に係る発明のように、電極材料が、引っ張り強さ(σB)と、0.2%耐力(σ0.2)との比(σ0.2/σB)が、0.4以上0.6以下であると、金属間化合物が微細かつ均一に分散し、耐高温酸化性を高めることができる。σ0.2/σBが0.4未満では、金属間化合物の分散が不十分となり耐高温酸化性の低下を招く虞がある。一方、σ0.2/σBが0.6を超えるとその効果が飽和し、加工時の変形抵抗が大きくなるため電極材料として望ましい加工性が得られない虞がある。
以下、本発明を具体化したスパークプラグの一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、一例としてのスパークプラグ100の構造について説明する。図1は、スパークプラグ100の部分断面図である。なお、図1において、スパークプラグ100の軸線O方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ100の先端側、上側を後端側として説明する。
図1に示すように、スパークプラグ100は、概略、絶縁碍子10と、この絶縁碍子10を保持する主体金具50と、絶縁碍子10内に軸線O方向に保持された中心電極20と、主体金具50の先端面57に基部32を溶接され、先端部31の一側面が中心電極20の先端部22に対向する接地電極30と、絶縁碍子10の後端部に設けられた端子金具40とから構成されている。
まず、このスパークプラグ100の絶縁体を構成する絶縁碍子10について説明する。絶縁碍子10は周知のようにアルミナ等を焼成して形成され、軸中心に軸線O方向へ延びる軸孔12が形成された筒形状を有する。軸線O方向の略中央には外径が最も大きな鍔部19が形成されており、それより後端側(図1における上側)には後端側胴部18が形成されている。鍔部19より先端側(図1における下側)には後端側胴部18よりも外径の小さな先端側胴部17が形成され、更にその先端側胴部17よりも先端側に、先端側胴部17よりも外径の小さな脚長部13が形成されている。脚長部13は先端側ほど縮径されており、スパークプラグ100が内燃機関のエンジンヘッド(図示外)に取り付けられた際には、その燃焼室に晒される。そして、脚長部13と後端側胴部18との間は段部15として段状に形成されている。
次に、中心電極20について説明する。中心電極20は、インコネル(商標名)600または601等のNi)またはNiを主成分とするNi基合金から形成された電極母材21の内部に、電極母材21よりも熱伝導性に優れる銅または銅を主成分とする合金からなる芯材25を埋設した構造を有する棒状の電極である。また、中心電極20の先端部22は絶縁碍子10の先端部11よりも突出されており、先端側に向かって径小となるように形成されている。そして先端部22の先端面には、耐火花消耗性を向上するため、貴金属からなる電極チップ90が溶接されている。中心電極20は軸孔12内を後端側に向けて延びており、シール体4およびセラミック抵抗3(図1参照)を経由して、後方(図1における上方)の端子金具40に電気的に接続されている。この端子金具40には高圧ケーブル(図示外)がプラグキャップ(図示外)を介して接続され、高電圧が印加されるようになっている。
次に、主体金具50について説明する。主体金具50は、内燃機関のエンジンヘッド200にスパークプラグ100を固定するための円筒状の金具であり、絶縁碍子10を、その後端側胴部18の一部から脚長部13にかけての部位を取り囲むようにして、内部に保持している。主体金具50は低炭素鋼材より形成され、図示外のスパークプラグレンチが嵌合する工具係合部51と、内燃機関のエンジンヘッド(図示外)に取り付けるためのねじ山が形成された取付ねじ部52とを備えている。
また、主体金具50の工具係合部51と取付ねじ部52との間には鍔状のシール部54が形成されている。そして、取付ねじ部52とシール部54との間のねじ首59には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット5が嵌挿されている。ガスケット5は、スパークプラグ100を取り付けるエンジンヘッド(図示外)とシール部54の座面55との間で押し潰されて変形し、両者間を封止することで、スパークプラグ100の取付部位を介したエンジン内の気密漏れを防止するためのものである。
主体金具50の工具係合部51より後端側には薄肉の加締部53が設けられ、シール部54と工具係合部51との間には、加締部53と同様に薄肉の座屈部58が設けられている。そして、工具係合部51から加締部53にかけての主体金具50の内周面と絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面との間には円環状のリング部材6,7が介在されており、更に両リング部材6,7間にタルク(滑石)9の粉末が充填されている。加締部53を内側に折り曲げるようにして加締めることにより、リング部材6,7およびタルク9を介し、絶縁碍子10が主体金具50内で先端側に向け押圧される。これにより、主体金具50の内周で取付ねじ部52の位置に形成された段部56に、環状の板パッキン8を介し、絶縁碍子10の段部15が支持されて、主体金具50と絶縁碍子10とが一体にされる。このとき、主体金具50と絶縁碍子10との間の気密性は板パッキン8によって保持され、燃焼ガスの流出が防止される。また、座屈部58は、加締めの際に、圧縮力の付加に伴い外向きに変形するように構成されており、タルク9の圧縮ストロークを稼いで主体金具50内の気密性を高めている。
次に、接地電極30について説明する。接地電極30はNiを主成分とするNi基合金から形成され、長手方向の横断面が略長方形を有する棒状の電極である。接地電極30は、基部32が主体金具50の先端面57に溶接され、先端部31の一側面が、中心電極20の先端部22に対向するように屈曲されている。そして、接地電極30と中心電極20との間(本実施の形態では、中心電極20の先端部22に設けられた電極チップ90との間)で、混合気への着火を行う火花放電間隙を形成している。
このような構造を有するスパークプラグ100が図示外のエンジンヘッドに取り付けられたとき、中心電極20の先端側や接地電極30は、燃焼室(図示外)内に露出される。エンジンの駆動時にはこの接地電極30と中心電極20との間で火花放電が繰り返し行われるが、その際に中心電極20や接地電極30は、1000℃近い高温に晒されることとなる。このような過酷な環境において用いられるので、その中心電極20や接地電極30を構成する電極材料として、加工が容易で比抵抗の小さなNiを主成分としながらも、耐高温酸化性と耐火花消耗性に優れたものを用いることが望ましい。そこで本実施の形態では、中心電極20や接地電極30を構成する電極材料として、少なくとも粒界に金属間化合物が析出したものを用いている。
金属間化合物とは異なる2種類以上の金属元素が結合した化合物であり、このような金属間化合物が電極材料中に析出しても、化合物中に酸素を含まないため、高温となる環境で使用しても内部腐食が生じにくい。また、高温のもとで行われる火花放電に伴う負荷がかかる過酷な環境において、電極材料が再結晶化して粒成長する場合があるが、少なくとも粒界に析出した金属間化合物が、いわゆるピン止めとして、粒成長を抑制する。粒成長を抑制できれば結晶粒の粒径は小さい状態で維持され、これにより粒界の構造が比較的複雑な状態で維持されるため、粒界を伝って外部から電極材料の内部に酸素が進入しても、その進入深度が深くなることはなく、酸化抑制に対し十分な効果を得ることができる。
ここで図2に、EPMAにより、電極材料の所定部位の断面組織写真(CP)と、その視野においてNi,Al,Si,O,Yの各元素それぞれについて濃度分布を行った結果を示す。図2に示すように、例えば点線で囲った部位(同一箇所)に、NiとYだけが検出された。しかし、Al,Si,Oでは、その部位に析出が認められない。このことは、電極材料中に析出したものが、NiおよびYからなる化合物、すなわちNi−Yの金属間化合物であることを示している。また図2では、このような金属間化合物が、電極材料の粒界、粒内を問わず、至る箇所に析出している様子が認められる。
こうした金属間化合物は、後述する実施例2によれば、主成分として含有するNiと希土類元素との化合物により構成されることが好ましく、少なくともNiとYとを含む化合物、または、少なくともNiとNdとを含む化合物であれば、より好ましい。そして望ましくは、Niを主成分とし、YまたはNdのいずれかの元素を第1添加元素として0.3重量%以上3重量%以下含有するとよいことが、後述する実施例3の結果よりわかっている。第1添加元素の含有量が0.3重量%未満であると十分な析出物が生成しないため、粒成長の抑制が難しい。また、第1添加元素が3重量%より多くなると、電極材料のNiの含有率が低くなるため変形抵抗が高くなり、この電極材料を中心電極20や接地電極30として加工することが困難となる。なお、良好な加工性を得るためには、電極材料のNi含有量を97重量%以上とすることが好ましい。
また、上記のように粒成長を抑制しつつ、さらに第2添加元素として、少なくともSi、Ti、Ca、Sc、Sr、Ba、Mgのうちの1種の元素を電極材料に含有させれば電極材料の酸化抑制に効果があることが、後述する実施例4の結果よりわかっている。このような第2添加元素を電極材料に極少量含有させると、電極材料の表層における粒界で酸化物を形成し、この酸化物が形成されることによって外部の酸素が粒界を通じて内部へ進入し難くなるため、電極材料の酸化をさらに抑制することができる。望ましくは、電極材料中の第2添加元素の含有量が1重量%未満であるとよく、特に、第2添加元素がSiであってその含有量が0.3重量%未満であると、第2添加元素の酸化が粒界で行われ、粒内での酸化を抑制できるためさらに効果的であることが、実施例4よりわかっている。一方、第2添加元素の含有量が1重量%より多くなると、電極材料の比抵抗が高くなったり、熱伝導率が低くなったりするため十分な熱引きを行えず、耐火花消耗性が低下する虞がある。
また、第2添加元素の酸化物の量が多いとこの酸化物がNiの母相から剥離し易くなり、剥離すると粒界を伝う酸素の進入を抑制できず、酸化が進行してしまう虞がある。従って第2添加元素はその含有量が第1添加元素よりも少ない方がよく、実施例3によれば、第1添加元素の含有量が第2添加元素の含有量の3倍以上となることが望ましい。
このように、本実施の形態の電極材料は、Niの母相にNiと第1添加元素との金属間化合物が析出し、粒成長が抑制されることと、第2添加元素の酸化物が表層における粒界で形成されることにより、粒界を通じた酸素の進入や、内部に酸化物を含むことによる内部腐食を抑制することができる。このことは、図3〜図5に示す電極材料の断面比較写真を見れば明らかである。図3は、Ni材を1000℃で72時間保持して酸化させた状態を示す断面写真である。図4は、Niを主成分とし第1添加元素の酸化物を含有する従来の電極材料を1000℃で72時間保持して酸化させた状態を示す断面写真である。図5は、Niを主成分とし金属間化合物が析出した本実施の形態の電極材料を1000℃で72時間保持して酸化させた状態を示す断面写真である。
図3に示すように、Ni材は粒成長により結晶粒が粗大化し、粒界の構造が簡易になっている。そしてこの粒界を伝って外部の酸素がNi材の内部に進入し、その結果、表層からの深度の深い部分にまで酸化が進行している様子がわかる。また、図4に示すように、従来の電極材料では、結晶粒の粗大化がNi材と比べ抑えられてはいるものの、表面酸化層が2層に分かれており、その界面で剥離が生じている。従来の電極材料では第2添加元素としてのSiやAlの含有量が本実施の形態の電極材料よりも多く、剥離は、これらの酸化物の熱膨張率と、母相をなすNiの熱膨張率との差により生じたものである。この剥離により内部に酸素が進入しやすくなり、酸化が進行した様子がわかる。また、析出した第1添加元素の酸化物中の金属イオンの外方拡散によりボイドが形成され、界面において両層の接触面積が低下し、剥離の進行を助勢している。一方、本実施の形態の電極材料では、第2添加元素の含有量が従来の電極材料よりも少ないため、その酸化物は粒界のみで形成されており、この酸化物により粒界を伝う内部への酸素の進入が阻止される。また、粒界にて析出した金属間化合物中の第1添加元素が僅かに進入した酸素と、この粒界において酸化物を形成し、その酸化物が金属イオンの外方拡散を防止してボイド形成を抑制すると共に、界面の形状を入り組ませ、剥離の発生を抑制している。さらに金属間化合物により結晶粒の粗大化が抑制されるので、粒界を伝う内部への酸素の進入が十分に抑えられ、電極材料の内部における酸化の進行が十分に抑制される。
このように、Niの母相にNiと第1添加元素との金属間化合物を析出させ、さらに第2添加元素の添加により効果的な酸化防止を行うには、電極材料を作製する際に、Niと、第1添加元素と、第2添加元素とを溶解して混合したものを原材料とするとよい。つまり、Niの母相に第1添加元素を固溶させ、固溶限を超えた分の第1添加元素とNiとで金属間化合物を形成させて析出させる。このようにすれば、原材料の粉末を混合し焼き固めた場合よりも機械的強度の高い電極材料を作製することができると共に、内部に溶存する酸素の量を減らすことができる。電極材料の内部腐食を抑制し、機械的な強度を維持するには、後述する実施例5によれば30ppm以下であることが望ましい。
次に、後述する実施例3によれば、このような電極材料を1000℃で72時間保持した後における結晶粒の平均粒径が300μm以下となるように、その組成が調整されていることが望ましい。1000℃で72時間保持した後の結晶粒の平均粒径が300μmより大きくなるような電極材料であると、粒界の構造が単純になり、粒界を伝う酸素の進入が容易となり、進入深度が深くなって酸化に対する十分な抑制効果が得られにくい。
また、電極材料は、後述する実施例6によると、常温における比抵抗が15μΩcm以下となれば、電極材料から作製される中心電極20や接地電極30の熱引き性能が高められ、耐火花消耗性を向上させることができる。比抵抗が低いほど、この電極材料から作製された中心電極20や接地電極30の火花放電に伴う発熱量は抑えられる。比抵抗を低くするには第2添加元素の含有量を減らす必要があり、その含有量が少なくなれば電極材料の熱伝導率が向上するため、中心電極20や接地電極30として使用した際の熱引き性能を高めることができ、耐火花消耗性を高めることができる。
そして、後述する実施例7によれば、電極材料が、引っ張り強さ(σB)と、0.2%耐力(σ0.2)との比(σ0.2/σB)が、0.4以上0.6以下であると、金属間化合物が微細かつ均一に分散し、耐高温酸化性を高めることができる。σ0.2/σBが0.4未満では、金属間化合物の分散が不十分となり耐高温酸化性の低下を招く虞がある。一方、σ0.2/σBが0.6を超えるとその効果が飽和し、加工時の変形抵抗が大きくなるため電極材料として望ましい加工性が得られない虞がある。
このように、スパークプラグ100の中心電極20や接地電極30を構成する電極材料の含有元素や含有量を規定することで、耐高温酸化性および耐火花消耗性を満たすことができることを確認するため評価試験を行った。
[実施例1]
まず、Niの母相に析出したものによって、電極材料の耐高温酸化性に影響するか否かを確認した。電極材料のサンプル111〜113を作製するにあたり、Niを99.40重量%、第1添加元素としてYを0.45重量%、第2添加元素としてSiを0.15重量%添加したものを原材料とし、真空溶解炉を用いて溶解・鋳造して鋳塊とした。その後、熱間加工、線引き加工を経て得られた断面寸法1.3×2.7(mm)の線材を用いて電極材料のサンプル111〜113を作製した。また、サンプル114,115を作製するにあたり、Niを99.35重量%、第1添加元素としてNdを0.50重量%、第2添加元素としてSiを0.15重量%添加したものを原材料とし、同様に、真空溶解炉を用いて溶解・鋳造して鋳塊とした。その後、熱間加工、線引き加工を経て得られた断面寸法1.3×2.7(mm)の線材を用いて電極材料のサンプル114,115を作製した。各サンプルは、Niの母相に析出したものが異なった。具体的に、サンプル111では、NiとYの金属間化合物(Ni−Y)が析出し、サンプル112では酸化物(Y)が析出し、サンプル113では窒化物(YN)が析出した。また、サンプル114ではNiとNdの金属間化合物(Ni−Nd)が析出し、サンプル115では酸化物(Nd)が析出した。
この評価試験では、各サンプル111〜115(電極材料)を用いて作製した接地電極を組み付けて完成したスパークプラグを、それぞれ試験用のエンジン(排気量2000cc、6気筒)に取り付け、スロットル全開で1分間、アイドル状態で1分間の運転を100時間の間繰り返す耐久試験を行った。そして耐久試験後、上記説明した図5のような接地電極(電極材料)の断層写真を撮影し、酸化した領域の表層からの深度をそれぞれ測定し、耐高温酸化性の評価を行った。なお、表1を含め、以下に説明する各表における耐高温酸化性の評価基準は次の通りである。酸化した領域が表層から100μm未満であった場合、従来品に対し耐高温酸化性が大幅に向上し、優れるものと評価して◎で示し、100μm以上150μm未満であった場合、従来品に対し耐高温酸化性が向上し、良好であると評価して○で示す。また、150μm以上200μm未満であった場合、耐高温酸化性が従来品に比べ僅かに向上したとして△で示し、200μm以上であった場合、耐高温酸化性が従来品と同等程度であったとして×で示す。この評価試験の結果を表1に示す。
この評価試験の結果、酸化物(Y ,Nd )や窒化物(YN)が析出したサンプル112,115,113では、耐高温酸化性について従来品と同等であり、いずれも×と示した。一方、金属間化合物(Ni−Y)が析出したサンプル111では、従来品と比べ耐高温酸化性が大幅に向上した(◎)。また、金属間化合物(Ni−Nd)が析出したサンプル114でも耐高温酸化性として良好な結果が得られた(○)。
[実施例2]
さらに、第1添加元素として他の元素を用いて実施例1と同様の評価試験を行った。電極材料のサンプル211〜214を作製するにあたり、いずれもNiを99.35重量%、第1添加元素を0.50重量%、第2添加元素としてSiを0.15%添加たものを原材料とし、実施例1と同様に、真空溶解炉を用いて溶解・鋳造して鋳塊とした。その後、熱間加工、線引き加工を経て得られた断面寸法1.3×2.7(mm)の線材を用いて電極材料のサンプル211〜214を作製した。なお、サンプル211〜213では、それぞれ第1添加元素としてHo,Gd,Smを用い、形成された電極材料にはそれぞれ金属間化合物(Ni−Ho,Ni−Gd,Ni−Sm)が析出した。またサンプル214では、第1添加元素としてYおよびNdの2種類を添加し、形成された電極材料にはNi−YおよびNi−Ndの2種類の金属間化合物が析出した。そして実施例1と同様の試験方法で、各サンプルの耐高温酸化性について評価を行った。この評価試験の結果を表2に示す。
表2に示すサンプル211〜213のように、Niと第1添加元素との金属間化合物が析出した電極材料では、従来品より僅かながらも耐高温酸化性が向上することがわかった(△)。これらの各サンプルに添加した第1添加元素は、前述したサンプル111,114(表1参照)のものも含め、いずれも希土類元素であり、少なくともNiと希土類元素とを含む金属間化合物がNiの母相に析出した電極材料を形成すれば、耐高温酸化性において効果を得られることが確認できた。また、サンプル214では、金属間化合物としてNi−YおよびNi−Ndの2種類のものが析出したが、この場合でも耐高温酸化性において良好な結果が得られた(○)。従って、電極材料としては、Niの母相に少なくとも1種以上の金属間化合物が析出したものを用いればよいことがわかった。
[実施例3]
次に、第1添加元素の含有量が電極材料の結晶粒の粒成長に与える影響について確認するため、評価試験を行った。電極材料のサンプル311〜319は、第1添加元素としてYを添加し、その含有量を異ならせ、また、第2添加元素として添加するSiの含有量を0.15重量%とし、残部がNiとなるように、Niの含有量を調整した。具体的に、サンプル311〜319は、第1添加元素としてのYの含有量を、順に、4.00,3.00,2.00,1.00,0.45,0.30,0.10,0.05,0.00(重量%)とし、Niの含有量を、順に、95.85,96.85,97.85,98.85,99.40,99.55,99.75,99.80,99.85(重量%)とした。この調整により、サンプル311〜319の第1添加元素と第2添加元素の含有比(第1添加元素含有量/第2添加元素含有量)は、順に、26.67,20.00,13.33,6.67,3.00,2.00,0.67,0.33,0.00となった。
そして、サンプル312〜319をそれぞれ1.3×2.7×20(mm)の棒状に加工し、1000℃で72時間保持した。そして、各サンプル312〜319の端部を切断して図5の写真のような断面写真を撮影し、結晶粒の平均粒径を確認したところ、順に、50,50,50,50,300,350,400,430(μm)であった。なお、サンプル311については硬度が高く、加工困難であったため、評価を断念した。
さらに、各サンプル312〜319の長手方向の一端に40gのおもりを取り付け、この状態で振動試験機にセットして一定時間振動を加えた後、各サンプルの状態を調べた。この振動試験では、サンプルに与える加速度を5Gに固定し、周波数を30秒間で50Hzから200Hzに一定の変化率で変化させ、次の30秒間で200Hzから50Hzに一定の変化率で変化させ、これを20分間繰り返した。そして試験後にサンプルが折損していた場合には、耐折損性において望ましくないと評価して×で示し、折損には至らないまでもクラックが発生していた場合には、十分な耐折損性が得られないと評価して△で示した。また、サンプルに折損やクラックが生じていなかった場合、耐折損性が良好であると評価して○と示し、さらに20分間の追加試験を行っても折損やクラックが生じなければ、耐折損性に優れると評価して◎で示した。この評価試験の結果を表3に示す。
表3に示すように、第1添加元素(Y)の含有量を4.00重量%としたサンプル311では、Niの含有量が95.85重量%と少なくなり、Niの有する良好な加工性を維持できず硬くなり加工が困難となったため、電極材料として用いるには相応しくないことがわかった。また、Yの含有量が0.30未満のサンプル317,318ではクラックが発生し(△)、サンプル319では折損が生じた(×)。これらのサンプルでは、Yの含有量が少なく、金属間化合物が十分に析出しなかったことにより粒成長の抑制効果が薄れたため、酸化抑制が不十分となって脆化した(耐折損性が低下した)と考えられる。一方、Yの含有量が固溶限を超え金属間化合物が十分に析出した0.3重量%以上のサンプル312〜316では、折損やクラックが生じず耐折損性が良好であった。特に、Yの含有量が0.45重量%以上のサンプル312〜315では、40分間の振動試験後にも折損やクラックが生ずることがなく、耐折損性に優れることが確認できた(◎で示す。なお、サンプル316は○で示した。)。
また、この評価試験の結果によれば、Yの含有量が増えるほど耐折損性が向上する傾向がみられた。もっとも、後述する実施例4によれば、第2添加元素の含有量は少なくすることが望ましい。そこで第1添加元素の含有量と第2添加元素の含有量とに着目すると、第1添加元素の含有量が第2添加元素の含有量より多いサンプル312〜316において、良好な耐折損性が得られ、少ないサンプル317〜319では耐折損性が不十分であることがわかった。特に優れた耐折損性が得られたサンプル312〜315では、(第1添加元素含有量)/(第2添加元素含有量)が3以上であった。このことから第1添加元素の含有量と第2添加元素の含有量との比に着目し、第1添加元素の含有量を、第2添加元素の含有量の3倍以上とするとよいことがわかった。
また、この評価試験の結果によれば、耐折損性が良好であったサンプル312〜316は、1000℃で72時間保持した後(加熱後)の結晶粒の平均粒径が300μm以下であった。つまり、電極材料は、加熱後の平均粒径が300μm以下であれば、上記振動試験において折損やクラックが生ずるほどまでの酸化は進行してしないと言える。
[実施例4]
次に、第2添加元素の種類や含有量が電極材料の酸化進行に与える影響について確認するため、評価試験を行った。この評価試験を行うにあたって作製した電極材料のサンプル411〜445は、いずれもNiを主成分とし、第1添加元素としてはYを含有させ、金属間化合物としてNi−Yを析出させた。サンプル411〜413では第2添加元素としてTiを用い、その含有量を、順に、2.00,1.00,0.50(重量%)とした。そしてNiとYの含有量をそれぞれ調整し、サンプル411ではNiを97.00重量%、Yを1.00重量%とし、サンプル412ではNiを97.90重量%、Yを1.10重量%とし、サンプル413ではNiを98.50重量%、Yを1.00重量%とした。
同様に、サンプル421〜423では第2添加元素としてCaを用い、その含有量を、順に、2.00,1.00,0.50(重量%)とした。そしてNiとYの含有量をそれぞれ調整し、サンプル421ではNiを97.55重量%、Yを0.45重量%とし、サンプル422ではNiを98.00重量%、Yを1.00重量%とし、サンプル423ではNiを98.50重量%、Yを1.00重量%とした。
また、サンプル431〜435では第2添加元素としてSiを用い、その含有量を、順に、2.00,1.00,0.35,0.30,0.15,0.05(重量%)とした。そしてNiとYの含有量をそれぞれ調整し、サンプル431ではNiを97.55重量%、Yを0.45重量%とし、サンプル432ではNiを98.00重量%、Yを1.00重量%とし、サンプル433ではNiを99.20重量%、Yを0.45重量%とし、サンプル434ではNiを99.25重量%、Yを0.45重量%とし、サンプル435ではNiを99.50重量%、Yを0.45重量%とした。
一方、サンプル442〜445では、第2添加元素として、順に、Sc,Sr,Ba,Mgを用い、その含有量を、いずれも0.20重量%とした。なお、サンプル441には第2添加元素を含有しなかった。そしてNiとYの含有量をそれぞれ調整し、サンプル441ではNiを99.55重量%、Yを0.45重量%とし、サンプル442〜445ではNiを99.35重量%、Yを0.45重量%とした。このような組成となるように形成した各サンプル411〜445に対し、実施例1と同様の試験方法で、耐高温酸化性について評価を行った。この評価試験の結果を表4に示す。
表4に示すサンプル411〜413において、第2添加元素として添加したTiの含有量を2.00重量%としたサンプル411では耐高温酸化性の向上が僅かであったが(△)、Tiの含有量を減らし、1.00重量%としたサンプル412や、0.50重量%としたサンプル413では、耐高温酸化性が良好であった(○)。第2添加元素をCaとしたサンプル421〜423においても同様の結果が得られ、Caの含有量を2.00重量%としたサンプル421では耐高温酸化性の向上が僅かであり(△)、Caの含有量をそれぞれ1.00,0.50(重量%)としたサンプル412,413では、耐高温酸化性が良好であった(○)。
さらに第2添加元素をSiとしたサンプル431〜435およびサンプル111(表1参照)においても同様の結果が得られた。すなわちSiの含有量が2.00重量%であったサンプル431では耐高温酸化性の向上が僅かであり(△)、Siの含有量を1.00重量%としたサンプル432では、耐高温酸化性が良好であった(○)。また、Siの含有量を0.35重量%としたサンプル433においても耐高温酸化性が良好であった(○)。そして、Siの含有量をさらに減らし、0.30重量%以下としたサンプル434〜435およびサンプル111(表1参照)では、耐高温酸化性がさらに向上し、優れていると評価した(◎)。そして第2添加元素の種類を変更したサンプル442〜445でも、耐高温酸化性が良好であった(○)。しかし、第2添加元素を含有しなかったサンプル441では、耐高温酸化性の向上が僅かであった(△)。
この評価試験の結果によれば、第2添加元素の含有量を少なくするほど、電極材料の耐高温酸化性が向上することがわかり、その含有量が1重量%未満であれば、耐高温酸化性が良好となることがわかった。そして、第2添加元素の含有量が0.30重量%未満となれば、耐高温酸化性のさらに向上することがわかった。また、電極材料は第2添加元素を含有した方が好ましく、その第2添加元素としては、少なくとも、Si、Ti、Ca、Sc、Sr、Ba、Mgのうちの1種を選択すればよいことが確認できた。
[実施例5]
次に、電極材料中に溶存する酸素の量が、電極材料の酸化進行に与える影響について確認するため、評価試験を行った。この評価試験をに用いる電極材料のサンプル511,512を作製するにあたり、いずれもNiを99.40重量%、第1添加元素としてはYを0.45重量%、第2添加元素としてSiを0.15重量%添加したものを原材料とし、実施例1と同様に、真空溶解炉を用いて溶解・鋳造して鋳塊とした。その後、熱間加工、線引き加工を経て得られた断面寸法1.3×2.7(mm)の線材を用いて電極材料のサンプル511,512を作製した。このとき、溶存する酸素の量を調整し、サンプル511では45ppm、サンプル512では30ppmとなるようにした。また、表1で説明したサンプル111についても同様の組成であり、溶存酸素の量が15ppmとなるように調整している。そして各サンプル511,512に対し、実施例1と同様の試験方法で、耐高温酸化性について評価を行った。この評価試験の結果を表5に示す。
表5に示すように、溶存酸素量を45ppmとしたサンプル511では、耐高温酸化性の向上が僅かであった(△)。また、溶存酸素量を30ppmとしたサンプル512では、耐高温酸化性が良好であった(○)。一方、前述したサンプル111(表1参照)では耐高温酸化性に優れていた(◎)。このサンプル111の溶存酸素量は15ppmであった。
この評価試験の結果によれば、電極材料中に溶存する酸素の量が少ないほど、電極材料の酸化の進行に与える影響が少ないことがわかり、望ましくは30ppm以下であれば、耐高温酸化性がさらに向上することが確認できた。
[実施例6]
次に、電極材料の比抵抗が、電極材料の耐火花消耗性に与える影響について確認するため、評価試験を行った。この評価試験を行うにあたって作製した電極材料のサンプル611〜613は、いずれもNiを主成分とし、第1添加元素としてYを0.45重量%含有させたものである。第2添加元素としてはTiを添加し、その含有量を、順に、0.15,1.00,3.00(重量%)とし、残部となるNiの含有量を、順に、99.40,98.55,96.55(重量%)として調整した。このように作製された各サンプル611〜613の比抵抗は、順に、10,15,18(μΩcm)となった。
そして各サンプル611〜613を用いて作製した接地電極を組み付け完成したスパークプラグを、それぞれ試験用のエンジン(排気量2800cc、6気筒)に取り付け、400時間の走行試験(150km/hで6万キロ走行相当)を行った。そして走行試験後、中心電極と接地電極との間の火花放電間隙の大きさの増加量を確認した。このとき、火花放電間隙の増加量が0.2mm以下であった場合、電極材料が火花放電により消耗した量が少なく、耐火花消耗性に優れるとして◎で示し、0.2mmより大きく0.5mm以下だった場合は、耐火花消耗性が良好であると評価して○で示した。また、火花放電間隙の増加量が0.5mmより大きくなった場合には、火花放電による電極材料の消耗が激しいと判定し、耐火花消耗性において望ましくないと評価し、×で示した。この評価試験の結果を表6に示す。
表6に示すように、比抵抗が10μΩcmであったサンプル611は耐火花消耗性に優れ(◎)、また、比抵抗が15μΩcmであったサンプル612でも、耐火花消耗性において良好な結果を示した(○)。しかし、比抵抗が18μΩcmであったサンプル613では、火花放電による電極材料の消耗が大きく、耐火花消耗性がよくなかった(×)。
この評価試験の結果によれば、第2添加元素の添加量を少なくして電極材料の比抵抗を15μΩcm以下とすれば、電極材料自体の発熱を抑えられ、電極材料の温度上昇を抑制できることから、耐火花消耗性に効果があることが確認できた。
[実施例7]
次に、電極材料の引っ張り強さ(σB)と、0.2%耐力(σ0.2)との比(σ0.2/σB)と、耐高温酸化性との関係について確認するため、評価試験を行った。この評価試験を行うにあたって作製した電極材料のサンプル711〜714は、いずれもNiを99.40重量%、第1添加元素としてYを0.45重量%、第2添加元素としてSiを0.15重量%含有するものであり、少なくともその粒界に、金属間化合物としてNi−Yが析出したものである。各サンプル711〜714のσ0.2/σBは、順に、0.2,0.4,0.6,0.7であった。そして各サンプル711〜714に対し、実施例1と同様の試験方法で、耐高温酸化性について評価を行った。この評価試験の結果を表7に示す。
表7に示すように、σ0.2/σBが0.2であったサンプル711や、0.7であったサンプル714では、高温酸化性の向上が僅かであった(△)。しかし、σ0.2/σBが0.4であったサンプル712や、0.6であったサンプル713では、耐高温酸化性が良好であった(○)。
この評価試験の結果によれば、σ0.2/σBが0.4以上0.6以下であると、金属間化合物が微細かつ均一に分散するため、結晶粒の粗大化が電極材料の全体にわたって効果的に抑制され、耐高温酸化性に対し十分な効果が得られることがわかった。
なお、本発明は各種の変形が可能なことは言うまでもない。本実施の形態では、中心電極20や接地電極30を構成する電極材料の含有元素や含有量を規定したが、この規定を、中心電極20と比べ、より燃焼室内に付き出される接地電極30のみに適用してもよい。また、本実施の形態では、電極材料中に析出する金属間化合物としてNiと希土類元素との化合物(特にNi−YやNi−Nd)を例に説明したが、このように2種類の金属元素だけでなく、3種類以上の金属元素が結合した金属間化合物が析出してもよい。
スパークプラグ100の部分断面図である。 EPMAにより、電極材料の所定部位の断面組織写真(CP)と、その視野においてNi,Al,Si,O,Yの各元素それぞれについて濃度分布を行った結果を示す図である。 Ni材を1000℃で72時間保持して酸化させた状態を示す断面写真である。 Niを主成分とし第1添加元素の酸化物を含有する従来の電極材料を1000℃で72時間保持して酸化させた状態を示す断面写真である。 Niを主成分とし金属間化合物が析出した本実施の形態の電極材料を1000℃で72時間保持して酸化させた状態を示す断面写真である。
20 中心電極
30 接地電極
100 スパークプラグ

Claims (11)

  1. 内燃機関の燃焼室内に露出され、中心電極との間に火花放電間隙を形成する接地電極を備えたスパークプラグにおいて、
    前記中心電極および前記接地電極の少なくとも一方は、Niを主成分とし、少なくとも粒界に金属間化合物が析出した電極材料からなり、
    前記金属間化合物は、少なくともNiとYとを含む化合物、または、少なくともNiとNdとを含む化合物であり、
    前記電極材料は、Niを主成分とし、YまたはNdのいずれかの元素を第1添加元素として含有し、その第1添加元素の含有量が、0.3重量%以上3重量%以下であり、
    前記電極材料中の溶存酸素量が、30ppm以下であること
    を特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記電極材料は、少なくともSi、Ti、Ca、Sc、Sr、Ba、Mgのうちの1種の元素を第2添加元素として含有することを特徴とする請求項に記載のスパークプラグ。
  3. 前記電極材料は、前記第2添加元素の含有量が1重量%未満であることを特徴とする請求項に記載のスパークプラグ。
  4. 前記電極材料の前記第2添加元素はSiであって、その含有量が0.3重量%未満であることを特徴とする請求項に記載のスパークプラグ。
  5. 前記電極材料は、前記第1添加元素の含有量が、前記第2添加元素の含有量よりも多いことを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載のスパークプラグ。
  6. 前記電極材料は、前記第1添加元素の含有量が、前記第2添加元素の含有量の3倍以上であることを特徴とする請求項に記載のスパークプラグ。
  7. 前記電極材料は、Niと前記第1添加元素と前記第2添加元素とが溶解により混合されたものを原材料として形成されたものであることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載のスパークプラグ。
  8. 前記電極材料は、1000℃で72時間保持した後の平均結晶粒径が、300μm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のスパークプラグ。
  9. 前記電極材料は、常温における比抵抗が、15μΩcm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のスパークプラグ。
  10. 前記電極材料は、引っ張り強さ(σB)と、0.2%耐力(σ0.2)との比(σ0.2/σB)が、0.4以上0.6以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のスパークプラグ。
  11. 前記電極材料は、前記接地電極を構成する材料であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のスパークプラグ。
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