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JP4414035B2 - 摩擦撹拌接合法 - Google Patents
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JP4414035B2 - 摩擦撹拌接合法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、突合せ状に配置した2個の接合部材の突合せ部を接合する際に用いられる摩擦撹拌接合法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2個の接合部材を接合一体化する摩擦撹拌接合は、固相接合の一種であるため、熱歪みによる変形や割れを生じ難いという利点を有し、近年、溶接やロウ付けに代わる新しい接合手段として用いられてきている。
【0003】
図11は、突合せ状に配置した2個の板状の接合部材(100A)(100B)の突合せ部(T')を摩擦撹拌接合により接合する場合を示している。同図に示した各接合部材(100A)(100B)は、長さ方向に延びているものであって、同図において右側の接合部材(100A)の幅方向の端部と左側の接合部材(100B)の幅方向の端部とが突き合わされて配置されている。
【0004】
同図において、(170)は摩擦撹拌接合用の接合工具である。この接合工具(170)は、径大の円柱状回転子(171)と、該回転子(171)の端面(171a)軸線上に一体に突設された径小のピン状プローブ(172)とからなる接合ヘッド(D')を備えたものであって、両接合部材(100A)(100B)の表面側に配置されている。この接合工具(170)を用いて突合せ部(T')を接合する場合には、接合工具(170)のプローブ(172)を回転させながら突合せ部(T')に挿入する。そして、プローブ(172)を挿入状態で突合せ部(T')に沿って接合部材に対して相対的に移動させる。
【0005】
プローブ(172)の回転により発生する摩擦熱により、プローブ(172)との接触部及びその近傍において両接合部材(100A)(100B)は軟化し、且つ該軟化部がプローブ(172)の回転力を受けて撹拌されるとともに、該軟化撹拌部がプローブ(172)の進行圧を受けてプローブの通過溝を埋めるように塑性流動したのち、摩擦熱を急速に失って冷却固化される。この現象がプローブ(172)の移動に伴って順次繰り返されていき、最終的に突合せ部(T')が接合されて両接合部材(100A)(100B)が一体化される。
【0006】
この摩擦撹拌接合の際、摩擦熱により軟化した軟化部がプローブ(172)の挿入圧及び進行圧を受けて突合せ部(T')の裏面側に膨出してしまう不具合を防止するために、突合せ部(T')の裏面には、同図に示すように、帯板状の受け治具(130)が該突合せ部(T')を跨ぐ態様にして突合せ部(T')に沿って装着されている。この受け治具(130)は、平坦面からなる受け部(131)を備えている。そして、この受け治具(130)が突合せ部(T')の裏面に装着された状態において、受け部(131)が接合工具(170)のプローブ(172)に対向する態様にして突合せ部(T')の裏面に略面接触状態に当接されている。
【0007】
さらに、接合工具(170)のプローブ(172)の挿入圧及び進行圧を受けて突合せ部(T')が開いてしまう不具合を防止するために、両接合部材(100A)(100B)には、該両接合部材を突合せ状態に保持するための保持治具(150)が装着されている。この保持治具(150)は、左右一対の係止片(151)(151)と、両係止片(151)(151)を連結するとともに両端部に雄ネジ(152a)が形成された連結杆(152)と、各係止片(151)の位置を固定する一対の止めナット(153)(153)とを備えている。そして、この保持治具(150)は、突合せ状に配置した2個の接合部材(100A)(100B)を係止片(151)(151)にて左右から挟み付け、これにより両接合部材(100A)(100B)を突合せ状態に保持している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上記の保持治具(150)を用いて両接合部材(100A)(100B)を突合せ状態に保持するためには、保持治具(150)として、左右の係止片(151)(151)間の寸法が各接合部材(100A)(100B)の幅寸法(H1')(H2')同士を足した長さのものを用いなければならない。このため、各接合部材(100A)(100B)の幅寸法(H1')(H2')が大寸である場合、例えば各接合部材(100A)(100B)の幅寸法(H1')(H2')がともに400mmである場合には、保持治具(150)として、左右の係止片(151)(151)間の寸法が少なくとも800mmのものを用いなければならない。
【0009】
このように従来法では、幅広の接合部材(100A)(100B)を突合せ状態に保持する場合には、大型の保持治具(151)を用いる必要があり、このため保持治具(151)の組立作業や装着作業が面倒であり、接合作業能率が悪かった。
【0010】
さらに、図12(a)及び(b)に示すように、3個以上の接合部材(100A)(100B)(100C)を接合一体化して最終的に幅広の突合せ接合品を製造しようとする場合には、保持治具(150)として、左右の係止片(151)(151)間の寸法が製造段階の途中で得られる各突合せ接合品の幅寸法に対応する長さを有するものを用いなければならないので、様々なサイズの保持治具(150)(150')…を準備しておかなければならず、この結果、突合せ接合品の製造コストがアップするし、保持治具(150)の組立作業や装着作業が煩雑になるという難点もあった。
【0011】
この発明は、上記のような技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、突合せ状に配置した2個の接合部材を突合せ状態に作業性良く保持することができて、これにより接合作業能率を向上させうる摩擦撹拌接合法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明は、第1接合部材の幅方向の端部と第2接合部材の幅方向の端部とを突き合わせてなる突合せ部を、両接合部材の表面側に配置した接合工具の接合ヘッドにより接合する摩擦撹拌接合法であって、裏面の幅方向の一部に、凸部又は凹部からなる被係合部が長さ方向に沿って形成された第1接合部材及び第2接合部材を準備するとともに、各接合部材の前記凸部が嵌合される凹部又は各接合部材の前記凹部内に嵌合される凸部からなる係合部を備えるとともに、突合せ部の裏面を受ける受け治具を用い、第1接合部材の幅方向の端部と第2接合部材の幅方向の端部とを突き合わせてなる突合せ部の裏面を、前記受け治具で受けるとともに、各接合部材の被係合部と受け治具の係合部とを嵌合係合させることにより、両接合部材を突合せ状態に保持し、この状態で、突合せ部を接合することを特徴としている。
【0013】
この摩擦撹拌接合法では、突合せ状に配置した第1接合部材と第2接合部材とは、摩擦撹拌接合の際に、突合せ部の裏面が受け治具で受けられ、これにより軟化部の突合せ部裏面側への膨出が防止される。さらに、両接合部材は、摩擦撹拌接合の際に、各接合部材の裏面に形成された被係合部と受け治具の係合部とが嵌合係合され、これにより各接合部材の突合せ方向の反対方向への移動が規制されて両接合部材が突合せ状態に保持され、もって突合せ部の開きが防止される。而して、各接合部材において、受け治具の係合部に嵌合される被係合部は、接合部材の裏面の一部に形成されているので、例えば被係合部を接合部材の裏面の幅方向の中間部に形成することにより、受け治具として、一対の係合部間の寸法が従来の保持治具よりも狭いものを用いることができるようになって、受け治具の小型化が図られる。この結果、受け治具を作業能率良く装着することができるようになり、もって接合作業能率が向上する。
【0014】
また、この発明において、各接合部材の前記凸部における突合せ方向反対側の側面部と、受け治具の前記凹部における接合部材の突合せ方向反対側の側面部とのうち少なくとも一方は、凸部と凹部との嵌合状態のもとで、突合せ部の裏面が受け治具と密接する方向に押圧力が作用したときに、両接合部材に突合せ方向の力が作用するように形成された案内面を有していることが望ましい。
【0015】
これによれば、例えば、突合せ部の表面が、接合ヘッドの一部(プローブ)の突合せ部への挿入時の押付け圧を受けることにより、あるいは更に接合ヘッドの他の一部(回転子の端面)の押付け圧を受けることにより、両接合部材が突合せ方向の力を受けて突合せ方向に移動しようとする結果、各接合部材の突き合わされた端部同士が強く密着するようになる。したがって、もし仮に、各接合部材の突き合わされる端部が長さ方向に湾曲している等して、端部同士を突き合わせると該突合せ部に隙間が形成されてしまう場合であっても、これによれば、突合せ部の隙間を消滅させ得て、この状態で突合せ部を接合することができるようになる。この結果、突合せ部の隙間内の空気が接合時に巻き込まれて接合部にボイド等の接合欠陥が発生するといった不具合が防止され、もって高品質の突合せ接合品が得られるようになる。
【0016】
また、この発明において、各接合部材の前記凹部における突合せ方向側の側面部と、受け治具の前記凸部における接合部材の突合せ方向側の側面部とのうち少なくとも一方が、凹部と凸部との嵌合状態のもとで、突合せ部の裏面が受け治具と密接する方向に押圧力が作用したときに、両接合部材に突合せ方向の力が作用するように形成された案内面を有している場合でも、上記と同様の作用を奏し得る。
【0017】
また、この発明において、前記受け治具は、所定長さを有し且つ表面に前記係合部が長さ方向に沿って形成されるとともに、該係合部が被係合部に沿って嵌合される帯板状のものである場合には、この受け治具を突合せ部の裏面に装着することにより、係合部が被係合部に該被係合部に沿って嵌合係合される。この結果、接合操作を連続して行うことができるようになり、もって接合作業能率が向上する。
【0018】
また、この発明において、前記受け治具は、周面に前記係合部が全周に亘って形成された回転可能なローラからなる場合には、次のような作用を奏する。つまり、このローラが回転自在なものである場合には、両接合部材が接合工具の接合ヘッドに対して相対的に移動するのに伴って、このローラが、その周面を突合せ部の裏面に当接させた状態で、且つその係合部を被係合部に嵌合させた状態で、回転される。一方、このローラが回転駆動するものである場合には、このローラが、その周面を突合せ部の裏面に当接させた状態で、且つその係合部を被係合部に嵌合させた状態で回転駆動し、これにより両接合部材が移動される。いずれの場合にも、接合操作を連続して行うことができるようになり、もって接合作業能率が向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6は、この発明の第1実施形態、図7はこの発明の第2実施形態、図8及び図9はこの発明の第3実施形態を示している。
【0020】
図1に示すように、この発明の第1実施形態においては、2個の接合部材(10A)(10B)は、ともに一定幅を有する長尺な板状のアルミニウム又はその合金材からなるものであり、互いに同形・同寸に形成されている。そして、同図において右側の接合部材(第1接合部材、10A)の幅方向の端部(11)と左側の接合部材(第2接合部材、10B)の幅方向の端部(11)とが突き合わされて配置されている。同図において、(T)は、右側の接合部材(10A)の幅方向の端部(11)と左側の接合部材(10B)の幅方向の端部(11)とを突き合わせてなる突合せ部である。また、(H1)は第1接合部材(10A)の幅寸法、(H2)は第2接合部材(10B)の幅寸法である。この第1実施形態では、第1接合部材(10A)の幅寸法(H1)と第2接合部材(10B)の幅寸法(H2)は、ともに例えば400mm、あるいはこれ以上になっている。
【0021】
突合せ部(T)の裏面には、該両接合部材(10A)(10B)の突合せ部(T)における長さ寸法と略同じ長さ寸法を有する帯板状の金属製受け治具(30)が、突合せ部(T)を跨ぐ態様にして該突合せ部(T)に沿って装着されている。この受け治具(30)は、突合せ部(T)の裏面を受けるためのものである。
【0022】
図6(a)に示すように、この受け治具(30)の表面の幅方向(同図において左右方向)の中間部には、後記する接合工具(57)のプローブ(59)に対向する態様にして突合せ部(T)の裏面に略面接触状態に当接される受け部(31)が長さ方向に沿って形成されている。この受け部(31)は平坦面からなる。
【0023】
さらに、この受け治具(30)の表面における前記受け部(31)の左右両側には、係合部(Y)としての左右一対の凹部(32)(32)が長さ方向に沿って形成されている。各凹部(32)の二つの側面部のうち接合部材の突合せ方向(ハ)の反対側の側面部(32a)は、突合せ部(T)の裏面が受け治具(30)の受け部(31)と密接する方向(ニ)に対して、受け部(31)側(即ち、接合部材の突合せ方向側)に傾斜した傾斜面からなり、この側面部(32a)の全体が、案内面(S)として機能している。
【0024】
一方、同図に示すように、各接合部材(10A)(10B)の裏面の幅方向の中間部における突き合わされる端部(11)の近傍には、それぞれ被係合部(X)としての凸部(12)が長さ方向に沿って一体形成されている。各凸部(12)の二つの側面部のうち接合部材の突合せ方向(ハ)の反対側の側面部(12a)は、突合せ部(T)の裏面が受け治具(30)の受け部(31)と密接する方向(ニ)に対して、突き合わされる端部(11)側に傾斜した傾斜面からなり、この側面部(12a)の全体が、案内面(S)として機能している。この側面部(12a)の傾斜角は、前記受け治具(30)の凹部(32)の側面部(32a)の傾斜角と略等しくなるように設定されている。
【0025】
次に、受け治具(30)を突合せ部(T)の裏面に装着する手順を説明する。
【0026】
ます、図6(a)に示すように、一方の接合部材(10A)の幅方向の端部(11)と他方の接合部材(10B)の幅方向の端部(11)とを突き合わせる。この実施形態では、両接合部材(10A)(10B)を突き合わせた状態において、同図に示すように、突合せ部(T)には小さな隙間が形成されている。この隙間は、各接合部材(10A)(10B)の突き合わされる端部(11)が長さ方向に湾曲しているため、あるいは突き合わされる端部(11)に加工痕からなる凹凸が形成されていること等が原因で発生したものである。
【0027】
次いで、受け治具(30)を移動させて該受け治具(30)を突合せ部(T)の裏面に装着する。あるいは、両接合部材(10A)(10B)を移動させて突合せ部(T)の裏面に受け治具(30)を装着する。ここでは説明の便宜上、受け治具(30)を移動させて該受け治具(30)を突合せ部(T)の裏面に装着することにする。
【0028】
この受け治具(30)の装着操作の途中で、該受け治具(30)の各凹部(32)(32)内に各接合部材(10A)(10B)の凸部(12)が嵌合されるとともに、各凸部(12)の側面部(12a)に各凹部(32)の側面部(32a)が略面接触状態で当接する。
【0029】
受け治具(30)を更に移動させることにより、各凹部(32)の側面部(32a)が凸部(12)の側面部(12a)を滑りながら該凹部(32)が接合部材(10A)(10B)の裏面に向かって移動する。この移動に伴い、各凹部(32)の側面部(32a)が凸部(12)を接合部材(10A)(10B)の突合せ方向(ハ)(ハ)に押圧し、つまり各接合部材(10A)(10B)に突合せ方向(ハ)(ハ)の力が作用する。この突合せ方向(ハ)(ハ)の力を受けて各接合部材(10A)(10B)がそれぞれ突合せ方向(ハ)(ハ)に移動する。この移動動作により、接合部材(10A)(10B)の突き合わされた端部(11)(11)同士が密着し、もって突合せ部(T)に形成された隙間が消滅する。受け治具(30)を更に移動させ、図6(b)に示すように受け部(31)が突合せ部(T)の裏面に当接したとき、該受け治具(30)の突合せ部(T)裏面への装着操作及び凹部(32)の凸部(12)への嵌合操作が完了する。
【0030】
この受け治具(30)の装着状態において、突合せ部(T)の裏面には受け治具(30)の受け部(31)が突合せ部(T)に沿って略面接触状態で当接している。各接合部材(10A)(10B)の突き合わされた端部(11)(11)同士は、相互圧接状態になっている。更に、各凸部(12)と凹部(32)とは、凹部(32)内に凸部(12)がきつく嵌合されて両者が係合されることによりこの嵌合状態が解除されないよう保持されている。つまり、各凸部(12)の側面部(12a)と凹部(32)の側面部(32a)とが圧接してこれに伴う摩擦力によって嵌合状態が解除されないよう保持されている。この結果、各接合部材(10A)(10B)の突合せ方向(ハ)の反対方向への移動が規制され、もって両接合部材(10A)(10B)は突合せ状態に保持される。
【0031】
次いで、両接合部材(10A)(10B)を突合せ状態に保持したままで受け治具(30)と一緒に、図1〜図5に示した摩擦撹拌接合装置(50)にセットする。
【0032】
ここで、この摩擦撹拌接合装置(50)の構成を説明する。
【0033】
図1において、(57)は摩擦撹拌接合用の接合工具である。この接合工具(27)は、径大の円柱状回転子(58)と、該回転子(58)の端面(58a)軸線上に突設された径小のピン状プローブ(59)とからなる接合ヘッド(D)を備えている。前記回転子(58)及びプローブ(59)は、接合部材(10A)(10B)よりも硬質で且つ接合時に発生する摩擦熱に耐えうる耐熱材料から形成されている。また、プローブ(59)の周面には、軟化部撹拌用の凸部(図示せず)が形成されている。そして、この接合工具(57)は、突合せ状に配置した両接合部材(10A)(10B)の表面側にそのプローブ(59)を下方に向ける態様にして配置されている。
【0034】
(55)は受けローラである。この受けローラ(55)は、図2に示すように、前記接合工具(57)のプローブ(59)と所定隙間をおいて両接合部材(10A)(10B)の裏面側に、その周面がプローブ(59)に対向する態様にして配置されている。この受けローラ(55)は、回転駆動可能なものであって、図示しない駆動装置を備えており、両接合部材(10A)(10B)をその長さ方向の一方側(矢印ロの方向側)に移動させる駆動ローラとしても機能するようになっている。なお、この実施形態において、受けローラ(55)は、回転自在なものであっても良い。
【0035】
(51)は、両接合部材(10A)(10B)を所定方向(ロ)に移動させる第1駆動ローラである。この第1駆動ローラ(51)は、接合部材(10A)(10B)の移動方向(ロ)における受けローラ(55)の後方で両接合部材(10A)(10B)の裏面側に配置されている。(53)は、同じく両接合部材(10A)(10B)を所定方向(ロ)に移動させる第2駆動ローラである。この第2駆動ローラ(53)は、接合部材(10A)(10B)の移動方向(ロ)における受けローラ(55)の前方で両接合部材(10A)(10B)の裏面側に配置されている。
【0036】
(52)(54)は、左右一対の回転自在な押さえローラである。これら押さえローラ(52)(54)は、両接合部材(10A)(10B)の表面側における各駆動ローラ(51)(53)の上方に所定間隔をおいて配置されている。各押さえローラ(52)(54)は、両接合部材(10A)(10B)又は両接合部材(10A)(10B)を突合せ状態に保持している受け治具(30)を駆動ローラ(51)(53)の周面に押し付けることにより、両接合部材(10A)(10B)に移動方向(ロ)の駆動力を付与するためのものである。
【0037】
而して、前記受け治具(30)により突合せ状態に保持された両接合部材(10A)(10B)の突合せ部(T)は、上記摩擦撹拌接合装置(50)により、次のようにして接合される。
【0038】
まず、接合工具(57)のプローブ(59)を上方離間位置に待機させた状態で、両接合部材(10A)(10B)の長さ方向の一端部を受け治具(30)と一緒に、回転駆動している第1駆動ローラ(51)と押さえローラ(52)との間に通す。
【0039】
これにより、両接合部材(10A)(10B)が押さえローラ(52)の押付け圧を受けるから、該両接合部材(10A)(10B)を突合せ状態に保持している受け治具(30)が第1駆動ローラ(51)の周面に押し付けられ、両接合部材(10A)(10B)に該第1駆動ローラ(51)から移動方向(ロ)の駆動力が付与される。この駆動力を受けて両接合部材(10A)(10B)が突合せ状態のままで受け治具(30)と一緒に、受けローラ(55)とプローブ(59)との間に向かって移動する。また、図3(b)に示すように、この押さえローラ(52)の押付け圧を両接合部材(10A)(10B)が受けることにより、両接合部材(10A)(10B)が、突合せ部(T)の裏面が受け治具(30)の受け部(31)と密接する方向に移動しようとし、この移動動作により、各接合部材(10A)(10B)の凸部(12)が受け治具(30)の凹部(32)の側面部(32a)を滑り、これにより各接合部材(10A)(10B)に突合せ方向(ハ)(ハ)の力が作用するから、この突合せ方向(ハ)(ハ)の力を受けて該各接合部材(10A)(10B)が突合せ方向(ハ)(ハ)に移動しようとする結果、突き合わされた端部(11)(11)同士が強く密着する。
【0040】
両接合部材(10A)(10B)の突合せ部(T)の接合開始予定位置が受けローラ(55)の上方に到達したとき、両接合部材(10A)(10B)の移動を一旦停止する。そして、プローブ(59)を回転させながら下降させる。プローブ(59)の先端が突合せ部(T)の表面に接触すると、該接触部は摩擦熱によって軟化するため、さらにプローブ(59)を下降させて該プローブ(59)を突合せ部(T)の表面に押し付けて、該プローブ(59)を突合せ部(T)に受け治具(30)の受け部(31)に対向させる態様にして挿入するとともに、回転子(58)の端面(58a)を突合せ部(T)の表面に押し付ける。この状態で回転子(58)及びプローブ(59)の位置を固定する。回転子(58)の端面(58a)を突合せ部(T)の表面に押し付けることにより、摩擦熱により軟化した軟化部の飛散を防止し得て接合強度の高い接合部(W)を形成することができるようになるし、表面が平坦な接合部(W)を形成することができるようになる。
【0041】
また、図4(b)に示すように、突合せ部(T)の表面が、接合工具(57)のプローブ(59)の突合せ部(T)への挿入時の押付け圧を受けることにより、あるいは更に接合工具(57)の回転子(58)の端面(58a)の押付け圧(ホ)を受けることにより、両接合部材(10A)(10B)が、突合せ部(T)の裏面が受け治具(30)の受け部(31)と密接する方向に移動しようとし、この移動動作により、各接合部材(10A)(10B)の凸部(12)が受け治具(30)の凹部(32)の側面部(32a)を滑り、これにより各接合部材(10A)(10B)に突合せ方向(ハ)(ハ)の力が作用するから、この突合せ方向(ハ)(ハ)の力を受けて該各両接合部材(10A)(10B)が突合せ方向(ハ)(ハ)に移動しようとする結果、突き合わされた端部(11)(11)同士が強く密着する。
【0042】
また、接合工具(57)は、図2に示すように、両接合部材(10A)(10B)の移動方向(ロ)側に僅かに傾斜して配置されており、このため、プローブ(59)を突合せ部(T)に挿入した状態において、回転子(58)の端面(58a)における両接合部材(10A)(10B)の移動方向(ロ)側の部分が、突合せ部(T)の表面に圧接するとともに、回転子(58)の端面(58a)における両接合部材(10A)(10B)の移動方向反対側の部分が、突合せ部(T)の表面から僅かに浮き上がった状態となる。なお、プローブ(59)を予め下降させておき、該プローブ(59)と受けローラ(55)との間に両接合部材(10A)(10B)を強制的に通すことにより、プローブ(59)を両接合部材(10A)(10B)の移動方向前端部から突合せ部(T)にもぐり込ませてプローブ(59)を突合せ部(T)に挿入しても良い。
【0043】
次に受けローラ(55)及び第1駆動ローラ(51)を再駆動させる。突合せ部(T)にプローブ(59)が挿入された両接合部材(10A)(10B)は、受けローラ(55)から付与された駆動力と第1駆動ローラ(51)から付与された駆動力とによって、突合せ部(T)が順次プローブ(59)を通過するように移動しながら、突合せ状態のままで受け治具(30)と一緒に、回転駆動している第2駆動ローラ(53)と押さえローラ(54)との間に通されていく。
【0044】
このように、突合せ部(T)が順次プローブ(59)を通過するように両接合部材(10A)(10B)が移動されることにより、両接合部材(10A)(10B)はプローブ(59)の通過部分において即ち突合せ部(T)の全域に亘って接合されて一体化される。すなわち、プローブ(59)の回転により発生する摩擦熱、あるいは更に回転子(58)の端面(58a)と突合せ部(T)の表面との摺動に伴い発生する摩擦熱により、プローブ(59)との接触部及びその近傍において両接合部材(10A)(10B)は軟化し、且つ該軟化部がプローブ(59)の回転力を受けて撹拌されるとともに、該軟化撹拌部がプローブ(59)の進行圧を受けてプローブ(59)の通過溝を埋めるように塑性流動したのち、摩擦熱を急速に失って冷却固化される。この現象が両接合部材(10A)(10B)の移動に伴って順次繰り返されていき、最終的に突合せ部(T)がその全域に亘って接合されて両接合部材(10A)(10B)が一体化される。
【0045】
而して、一般に、プローブ(59)を突合せ部(T)に挿入すると、突合せ部(T)はプローブ(59)の挿入圧を受けて左右方向に開こうとし、またプローブ(59)を突合せ部(T)に挿入した状態で両接合部材(10A)(10B)を移動させると、突合せ部(T)はプローブ(59)を通過する際に左右方向に開こうとする。しかしながら、この摩擦撹拌接合法によれば、各接合部材(10A)(10B)の凸部(12)と受け治具(30)の凹部(32)とが嵌合係合されて各接合部材(10A)(10B)の突合せ方向の反対方向への移動が規制されているから、突合せ部(T)は開かず、突合せ部(T)に隙間が発生しない。したがって、この摩擦撹拌接合法によれば、突合せ部(T)に隙間が発生していない状態で、換言すれば、突き合わされた端部(11)(11)同士が密着した状態で、突合せ部(T)が接合されることになり、このため、突合せ部(T)の隙間内の空気が接合時に巻き込まれて接合部(W)にボイド等の接合欠陥が発生する不具合が防止される。
【0046】
さらに、突合せ部(T)の裏面が受け治具(30)の受け部(31)で受けられているので、摩擦熱により軟化した軟化部が突合せ部(T)の裏面側に膨出する不具合が発生しない。したがって、接合部(W)の裏面が平坦状に形成される。
【0047】
以上のように、この摩擦撹拌接合法によれば、接合部(W)にボイドが発生しておらず、且つ接合部(W)の裏面が平坦状に形成されているといった高品質の幅広の突合せ接合品が得られる。
【0048】
さらに、この摩擦撹拌接合法によれば、両接合部材(10A)(10B)を突合せ状態に保持するために、受け治具(30)として、一対の凹部(32)(32)間の寸法が、突合せ状に配置した接合部材(10A)(10B)の凸部(12)(12)間の距離に対応するように設定されているものを用いれば良いので、受け治具(30)の小型化を図ることができる。このため、受け治具(30)を作業能率良く装着することができるようになり、もって接合作業能率が向上する。さらに、上述したように、受け治具(30)の突合せ部(T)裏面への装着操作を行うことにより、凹部(32)と凸部(12)とが嵌合係合して両接合部材(10A)(10B)が突合せ状態に保持されるから、受け治具(30)の突合せ部(T)裏面への装着操作と、凹部(32)と凸部(12)との嵌合操作とを別々に行う必要がなく、二つの操作を同時に行うことができるという利点がある。
【0049】
なお、この摩擦撹拌接合法において、必ずしも受け治具(30)を突合せ部(T)の裏面に装着した後で両接合部材(10A)(10B)を上記摩擦撹拌接合装置(50)にセットする必要はなく、突合せ状態に配置した両接合部材(10A)(10B)を第1駆動ローラ(51)と押さえローラ(52)との間に通しながら、受け治具(30)を突合せ部(T)の裏面に装着しても良い。
【0050】
また、この摩擦撹拌接合法において、必ずしも両方の接合部材(10A)(10B)の凸部(12)(12)の側面部(12a)(12a)がともに案内面(S)を有する必要はなく、いずれか一方の接合部材の凸部の側面部のみが案内面を有するものであっても良い。また、必ずしも受け治具(30)の左右一対の凹部(32)(32)の側面部(32a)(32a)がともに案内面(S)を有している必要はなく、いずれか一方の凹部の側面部のみが案内面を有するものであっても良い。
【0051】
また、各接合部材(10A)(10B)の突き合わされる端部(11)の裏面に、凸部(12)が長さ方向に沿って形成されていても良い。
【0052】
図7に示す第2実施形態の摩擦撹拌接合法では、各接合部材(10A)(10B)の裏面の幅方向中間部における突き合わされる端部(11)の近傍には、それぞれ被係合部(X)としての凹部(14)が長さ方向に沿って形成されている。各凹部(14)の二つの側面部のうち接合部材の突合せ方向(ハ)側の側面部(14a)は、突合せ部(T)の裏面が受け治具(30)の受け部(31)と密接する方向に対して、突き合わされる端部(11)側に傾斜した傾斜面からなり、この側面部(14a)の全体が、案内面(S)として機能している。
【0053】
一方、受け治具(30)の表面における受け部(31)の左右両側には、係合部(Y)としての左右一対の凸部(34)が長さ方向に沿って一体形成されている。各凸部(34)の二つの側面部のうち接合部材の突合せ方向側の側面部(34a)は、突合せ部(T)の裏面が受け治具(30)の受け部(31)と密接する方向に対して、受け部(31)側に傾斜した傾斜面からなり、この側面部(34a)の全体が、案内面(S)として機能している。
【0054】
この受け治具(30)が両接合部材(10A)(10B)の裏面に装着された状態において、接合部材(10A)(10B)の突き合わされた端部(11)(11)同士は、上記第1実施形態のときと同様に、相互圧接状態になっている。更に、各凹部(14)と凸部(34)とは、凹部(14)内に凸部(34)がきつく嵌合されて両者が係合されることによりこの嵌合状態が解除されないよう保持されており、つまり各凹部(14)の側面部(14a)と凸部(34)の側面部(34a)とが圧接してこれに伴う摩擦力によって嵌合状態が解除されないよう保持されている。したがって、各接合部材(10A)(10B)の突合せ方向の反対方向への移動が規制され、もって両接合部材(10A)(10B)は突合せ状態に保持されている。
【0055】
この第2実施形態の撹拌接合接合法は、上記第1実施形態と同じ手順で遂行され、上記第1実施形態と同じ利点を有している。
【0056】
図8及び図9に示す第3実施形態の摩擦撹拌接合法おいては、2個の接合部材(10A)(10B)は、上記第1実施形態のものと同一構成になっている。
【0057】
一方、この第3実施形態の摩擦撹拌接合法では、図9に示すように、摩擦撹拌接合装置(50)の受けローラ(55)が、受け治具(30)として用いられている。つまり、この受けローラ(55)の周面には、受け部(31)と、該受け部(31)の左右両側に係合部(Y)としての左右一対の凹部(32)(32)とが全周に亘って形成されている。各凹部(32)の二つの側面部のうち接合部材の突合せ方向の反対側の側面部(32a)は、突合せ部(T)の裏面が受け治具(30)の受け部(31)と密接する方向に対して、受け部(31)側に傾いたテーパ面からなる。この側面部(32a)の全体が、案内面(S)として機能している。
【0058】
さらに、この摩擦撹拌接合装置(50)においては、図8に示すように、第1駆動ローラ(51)の周面には、補助受け部(35)と、該補助受け部(35)の左右両側に係合部(Y)としての左右一対の凹部(32)(32)とが全周に亘って形成されている。また、図示していないが、第2駆動ローラ(53)は、この第1駆動ローラ(51)と同一構成になっている。各駆動ローラ(51)(53)の補助受け部(35)及び凹部(32)は、上記受けローラ(55)と同一構成である。
【0059】
この摩擦撹拌接合法においては、突合せ状に配置した2個の接合部材(10A)(10A)を、第1駆動ローラ(51)と押さえローラ(52)との間に通すことにより(図8参照)、両接合部材(10A)(10B)が押さえローラ(52)の押圧力を受けるから、該両接合部材(10A)(10B)が第1駆動ローラ(51)の周面に押し付けられて、第1駆動ローラ(51)から移動方向の駆動力が付与される。同時に、押さえローラ(52)の押付け圧を両接合部材(10A)(10B)が受けることにより、両接合部材(10A)(10B)が、突合せ部(T)の裏面が第1駆動ローラ(51)の補助受け部(35)と密接する方向に移動する。この移動動作により、突合せ部(T)の裏面と第1駆動ローラ(51)の補助受け部(35)とが当接するとともに、各接合部材(10A)(10B)の凸部(12)と第1駆動ローラ(51)の凹部(32)とが嵌合係合する。この結果、両接合部材(10A)(10B)が突合せ状態に保持される。
【0060】
この第1駆動ローラ(51)により突合せ状態に保持された両接合部材(10A)(10B)は、受けローラ(55)とプローブ(59)との間を通過する際にも(図9参照)、突合せ状態に保持される。すなわち、突合せ部(T)の表面が、接合工具(57)のプローブ(59)の突合せ部(T)への挿入時の押付け圧を受けることにより、あるいは更に接合工具(57)の回転子(58)の端面(58a)の押付け圧を受けることにより、両接合部材(10A)(10B)が、突合せ部(T)の裏面が受けローラ(55)の受け部(31)と密接する方向に移動する。この移動動作により、突合せ部(T)の裏面と受け部(31)とが当接して該突合せ部(T)の裏面が受け部(31)で受けられるとともに、各接合部材(10A)(10B)の凸部(12)と受けローラ(55)の凹部(32)とが嵌合係合する。この結果、両接合部材(10A)(10B)は突合せ状態に保持される。加えて、この移動動作により、各接合部材(10A)(10B)の凸部(12)が受けローラ(30)の凹部(32)の側面部(32a)を滑り、これにより各接合部材(10A)(10B)に突合せ方向の力が作用するから、この突合せ方向の力を受けて該各接合部材(10A)(10B)が突合せ方向に移動しようとする結果、突き合わされた端部同士が強く密着する。
【0061】
さらに、両接合部材(10A)(10B)は、第2駆動ローラと押さえローラとの間を通過する際にも、図示していないが、突合せ部(T)の裏面と第2駆動ローラの補助受け部とが当接して突合せ部(T)の裏面が補助受け部で受けられるとともに、各接合部材(10A)(10B)の凸部(12a)と凹部(32)とが嵌合することにより、突合せ状態に保持される。
【0062】
この状態で、受けローラ(55)及び各駆動ローラ(51)(53)が、その受け部(31)及び補助受け部(35)を突合せ部(T)の裏面に当接させた状態で且つその凹部(32)を各接合部材(10A)(10B)の凸部(12)に嵌合させた状態で定位置で回転駆動する。これにより、突合せ部(T)が順次プローブ(59)を通過するように両接合部材(10A)(10B)が所定方向に移動され、もって突合せ部(T)が接合されて両接合部材(10A)(10B)が一体化される。
【0063】
なお、この第3実施形態において、図示していないが、各接合部材(10A)(10B)の裏面の一部に、凹部を形成する一方、受けローラ(55)及び各駆動ローラ(51)(53)の周面に、凸部を形成しても良い。
【0064】
また、この第3実施形態において、受けローラ(55)は、回転自在なものであっても良い。
【0065】
さらに、この発明に係る摩擦撹拌接合法は、次のような利点がある。
【0066】
図10に示すように、例えば上記第1実施形態で用いられた接合部材(10A)(10B)(10C)を3個用いて、あるいはこれ以上個数の接合部材を用いて、これらを接合一体化して最終的に幅広の突合せ接合品を製造しようとする場合には、突合せ部(T)の接合終了後に受け治具(30)を取り外し、これを次に接合しようとする突合せ部(T)の裏面に装着する。このようにして突合せ部(T)を次々に接合していくことにより、幅広の突合せ接合品を製造することができる。つまり、この発明に係る摩擦撹拌接合法によれば、複数箇所の突合せ部(T)…を接合するための受け治具(30)として、少なくとも一種類のサイズの受け治具を準備しておけば良いから、様々なサイズの受け治具を準備する必要がなくなり、この結果、突合せ接合品の製造コストを引き下げることができるようになる。
【0067】
以上、この発明の実施形態を説明したが、この発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、様々に変更可能である。
【0068】
例えば、被係合部(X)としての凸部(12)の側面部(12a)又は凹部(14)の側面部(14a)と、係合部(Y)としての凹部(32)の側面部(32a)又は凸部(34)の側面部(34a)とのうちいずれか一方だけが、案内面(S)を有するものであっても良い。
【0069】
さらに、この発明は、接合工具(57)のプローブ(59)を突合せ部(T)に挿入した状態でプローブ()59を突合せ部(T)に沿って移動させることにより、突合せ部(T)を接合する摩擦撹拌接合に対しても適用可能である。
【0070】
【発明の効果】
上述の次第で、この発明によれば、各接合部材の裏面の幅方向の一部に、被係合部が形成されているので、受け治具として、一対の係合部間の寸法が従来の保持治具よりも狭いものを用いることができるようになり、受け治具の小型化を図ることができるから、受け治具を作業能率良く装着することができ、接合作業能率が向上するという効果を奏する。
【0071】
また、各接合部材の凸部における突合せ方向反対側の側面部と、受け治具の各凹部における接合部材の突合せ方向反対側の側面部とのうち少なくとも一方が、嵌合状態のもとで、突合せ部の裏面が受け治具と密接する方向に押圧力が作用したときに、両接合部材に突合せ方向の力が作用するように形成された案内面を有している場合には、例えば、突合せ部の表面が、接合ヘッドの一部(プローブ)の突合せ部への挿入時の押付け圧を受けることにより、あるいは更に接合ヘッドの他の一部(回転子の端面)の押付け圧を受けることにより、両接合部材が突合せ方向の力を受けて突合せ方向に移動しようとする結果、各接合部材の突き合わされた端部同士が強く密着するようになるから、もし仮に、各接合部材の突き合わされる端部が長さ方向に湾曲する等して、端部同士を突き合わせると該突合せ部に隙間が形成されてしまう場合であっても、突合せ部の隙間を消滅させ得て、この状態で突合せ部を接合することができるようになり、もって高品質の突合せ接合品を得ることができるという効果を奏する。
【0072】
また、各接合部材の凹部における突合せ方向側の側面部と、受け治具の各凸部における接合部材の突合せ方向側の側面部とのうち少なくとも一方が、嵌合状態のもとで、突合せ部の裏面が受け治具と密接する方向に押圧力が作用したときに、両接合部材に突合せ方向の力が作用するように形成された案内面を有している場合にも、上記と同様の効果を奏する。
【0073】
さらに、受け治具は、所定長さを有し且つ表面に係合部が長さ方向に沿って形成されるとともに、該係合部が被係合部に沿って嵌合される帯板状のものである場合には、接合操作を連続して行うことができるようになるから、接合作業能率を向上させることができる。
【0074】
これと同様に、受け治具は、周面に係合部が全周に亘って形成された回転可能なローラからなる場合には、接合操作を連続して行うことができるようになるから、接合作業能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態の摩擦撹拌接合法を示す斜視図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】(a)は図1中のIII−III線断面図、(b)はその要部拡大図である。
【図4】(a)は図1中のIV−IV線断面図、(b)はその要部拡大図である。
【図5】図1中のV−V線断面図である。
【図6】(a)は両接合部材をその裏面に受け治具を装着する途中の状態で示す断面図、(b)は両接合部材をその裏面に受け治具を装着した後の状態で示す断面図である。
【図7】この発明の第2実施形態の摩擦撹拌接合法を示す図で、(a)は図4(a)に対応する図、(b)は図4(b)に対応する図である。
【図8】この発明の第3実施形態の摩擦撹拌接合法を示す、図3(a)に対応する図である。
【図9】同第3実施形態の摩擦撹拌接合法を示す、図4(a)に対応する図である。
【図10】上記第1実施形態の摩擦撹拌接合法により、3個の接合部材を突合せ接合して幅広の突合せ接合品を製造する場合において、(a)は突合せ部を接合する時の断面図、(b)は別の突合せ部を接合する時の断面図である。
【図11】従来の摩擦撹拌接合法を示す断面図である。
【図12】従来の摩擦撹拌接合法により、3個の接合部材を突合せ接合して幅広の突合せ接合品を製造する場合において、(a)は突合せ部を接合する時の断面図、(b)は別の突合せ部を接合する時の断面図である。
【符号の説明】
10A、10B…接合部材
12…凸部(被係合部X)
12a…側面部(案内面S)
14…凹部(被係合部X)
14b…側面部(案内面S)
30…受け治具
31…受け部
32…凹部(係合部Y)
32a…側面部(案内面S)
34…凸部(係合部Y)
34a…側面部(案内面S)
50…摩擦撹拌接合装置
55…受けローラ
57…接合工具
58…回転子
59…プローブ
D…接合ヘッド
T…突合せ部
W…接合部

Claims (3)

  1. 第1接合部材(10A)の幅方向の端部(11)と第2接合部材(10B)の幅方向の端部(11)とを突き合わせてなる突合せ部(T)を、両接合部材の表面側に配置した接合工具の接合ヘッド(D)により接合する摩擦撹拌接合法であって、
    裏面の幅方向の一部に、凸部(12)又は凹部(14)からなる被係合部(X)が長さ方向に沿って形成された板状の第1接合部材(10A)及び第2接合部材(10B)を準備するとともに、
    各接合部材の前記凸部(12)が嵌合される凹部(32)又は各接合部材の前記凹部(14)内に嵌合される凸部(34)からなる係合部(Y)を備えるとともに、突合せ部の裏面を受ける受け治具(30)を用い、
    第1接合部材(10A)の幅方向の端部(11)と第2接合部材(10B)の幅方向の端部(11)とを、突合せ部(T)の裏面が平坦面になるように互いに両接合部材の幅方向に突き合わせてなる突合せ部(T)の裏面を、前記受け治具(30)で受けるとともに、各接合部材の被係合部(X)と受け治具の係合部(Y)とを嵌合係合させることにより、両接合部材を突合せ状態に保持し、
    この状態で、突合せ部(T)を接合する摩擦撹拌接合法であり、
    各接合部材の前記凸部(12)における突合せ方向反対側の側面部(12a)と、受け治具の前記凹部(32)における接合部材の突合せ方向反対側の側面部(32a)とのうち少なくとも一方は、あるいは各接合部材の前記凹部(14)における突合せ方向側の側面部(14a)と、受け治具の前記凸部(34)における接合部材の突合せ方向側の側面部(34a)とのうち少なくとも一方は、嵌合状態のもとで、突合せ部(T)の裏面が受け治具(30)と密接する方向に突合せ部(T)の表面に押圧力が作用したときに、両接合部材(10A)(10B)に突合せ方向(ハ)の力が作用するように形成された案内面(S)を有していることを特徴とする摩擦撹拌接合法。
  2. 前記受け治具(30)は、所定長さを有し且つ表面に前記係合部(Y)が長さ方向に沿って形成されるとともに、該係合部(Y)が被係合部(X)に沿って嵌合される帯板状のものである請求項1記載の摩擦撹拌接合法。
  3. 前記受け治具(30)は、周面に前記係合部(Y)が全周に亘って形成された回転可能なローラからなる請求項1記載の摩擦撹拌接合法。
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