JP4414616B2 - ターニケット結束器具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管の結紮、止血作業のほか、腸等の消化器や心臓等の臓器の支持、消化器や臓器等に差し込んだチューブ類の固定のためのターニケット掛け等に用いられるターニケット結束器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、OPCAB(体外循環非使用冠動脈バイパス手術Off-pump Coronary Artery Bypass)では吻合の際にシャントチューブを使用することが多い。しかし、吻合部の血管が細いなどの理由によりシャントチューブが使えない場合も多々あり、この場合には吻合部の中枢側、末梢側にターニケットを掛けてオクルードし、無血視野を確保することが多い。
血管にターニケットを掛ける作業では、図9〜図12に示すような専用の器具が広く用いられている。この器具(止血器具)は、先端に鉤部9aを備えたスネア9と、このスネア9を挿通するシ−ス管10とからなる。図11、図12に示すように、この器具を用いて血管5をターニケットを掛ける作業は、必要長さに切断したシ−ス管10にスネア9を挿入、貫通して該スネア9の先端鉤部9aをシース管10先端に露呈させ、この先端鉤部9aに、血管5の止血個所に捲回して折り返したターニケット11の両側を2本ひとまとめにして引っ掛け、次いで、図13に示すようにスネア9をシース管10から引く抜くことでシ−ス管10内にターニケット11を挿通させる。そして、ターニケット11に沿ってシース管10をスライド移動させて、血管を適度な力で締め、止血する。シール管10に挿通したターニケット11はシ−ス管10の後端において鉗子等のクリップ(図示せず)やシ−ス管10の後端に嵌合したプラグ12等によって固定する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のOPCABの場合、分枝する血管を避けるため、可能な限り吻合部に近いところにターニケットを掛けるケースが多々ある。しかしながら、前記シ−ス管10が断面円形で太い(直径8〜10mm)ものであったために、吻合部5aに近い箇所にターニケット11をかけた場合は、図14に示すように、このシ−ス管10によって吻合部5aの視野が妨げられ、手術がやりにくいという問題があった。特に、前述の図14の例では、吻合部5aの中枢側、末梢側に設けられた一対のシース管10によって吻合部5aが取り囲まれたような状態になり、術野を充分に確保することが難しくなる。
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みなされたもので、手術個所の狭いところでも術野を容易に確保でき、手術の作業性を向上できるターニケット結束器具を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ターニケット結束器具であって、ターニケットを引っ掛ける先端鉤部が先端に形成されたスネアと、前記スネアを貫通させ前記先端鉤部でターニケットを引っ掛けた後に前記スネアを引き抜いて前記ターニケットを貫通させるシース管と、このシース管の後端に設けられ前記シース管を貫通した前記ターニケットを固定する固定プラグと、からなるターニケット結束器具において、前記シース管は、前記ターニケットを引っ掛けたスネアが通過可能な断面寸法の中空部を有し、全長にわたって偏平状に形成され、撓み方に方向性があることを特徴とする。請求項2記載の発明は、請求項1に記載のターニケット結束器具において、前記ターニケットは偏平に形成されていることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明によるターニケット結束器具の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係るターニケット結束器具のシ−ス管の実施の形態を示す拡大斜視図、図2は図1のシ−ス管の切断した中央部分の拡大断面図、図3は本発明のターニケット結束器具のスネアをシ−ス管内に挿通した状態を示す斜視図、図4は血管にターニケットを捲回し、スネアの鉤部をターニケットに引っ掛けた状態を示す説明図、図5はシ−ス管内にターニケットを挿通させた状態を示す説明図、図6は本発明のターニケット結束器具によって血管を結紮した状態を示す説明図、図7は本発明ターニケット結束器具を用いてターニケットによって血管の吻合部を介して両側を結紮した状態を示す斜視図である。
【0006】
本発明のターニケット結束器具は、図1乃至図4に示すように、ターニケット4を引っ掛ける先端鉤部3aを先端に備えるスネア3と、シース管1とからなる。
前記シース管1は全長にわたって断面偏平状に形成されており、その内側の中空部は、先端鉤部3aにターニケット4を引っ掛けた状態のスネア3を通過させ、引き抜くことが可能な断面寸法に形成されている。
【0007】
シース管1の後端部1cには、固定プラグ2が取り付けられている。このシース管1は、柔軟性及びある程度の弾力性を有する合成樹脂材料によって製造することができる。このシース管1は、後端部1cから先端部1aに向かって断面寸法が次第に小さくなるテーパ形状になっている。シース管1の後端部1cに比べて先端部1aは内側の中空部の断面寸法も小さいが、先端部1aにおいても、スネア3のターニケット4を引っ掛けた先端鉤部3aが通過可能になっていることは言うまでも無い。シース管1に対するスネア3の通過の難易は、スネア3の先端鉤部3aの通過の難易に従うが、断面偏平のシース管1であれば断面サイズを大型化しなくても、板状に形成された先端鉤部3aが通過可能な構成とすることは容易である。
【0008】
前記固定プラグ2は、全体が合成樹脂材料によって形成された一体物であり、ある程度の柔軟性と弾力性とを有している。この固定プラグ2は、シース管1の後端部1cに圧入、固定される筒状部2aと、この筒状部2aから延びるツマミ2bとを有している。筒状部2aの内側空間は、ターニケット4を先端鉤部3aに引っ掛けたスネア3が通過可能な断面寸法に形成されている(ここではほぼ円形の断面形状になっている)。
ツマミ2bに突設された嵌合突起2cは、前記筒状部2aの内側空間に引き抜き可能に圧入して嵌合固定されるようになっている。また、ツマミ2bに形成された止スリット2dは、シース管1を貫通したターニケット4の余長部分を止着するためのものである。
【0009】
スネア3は、図2に示すように、合成樹脂材料から成形されたもので、先端に鉤部3aが形成されており、後端には把持部3bが環状に形成されている。鉤部3aと把持部3bとは断面偏平板状の直線部3cで連結されており、例えば図3に示すように、シース管1に挿入するときには、断面長手方向をシース管1の断面長手方向と一致させる。
【0010】
次に、上述のように構成されたターニケット結束器具の使用態様について説明する。
ここでは、心臓手術でのOPCABにおける血管の吻合部のオクルードに適用した例を説明する。
先ず、図1に示すシ−ス管1をそのままの長さで使用するか、或いは、手術の箇所に対応して適切な長さに切断し、後端部1cに固定プラグ2の筒状部2aを嵌め込み、シ−ス管1に固定プラグ2を装着する。
次いで、固定プラグ2の筒状部2aよりスネア3を挿入し、シース管1先端に鉤部3aを突出、露呈させる(図3参照)。
次いで、図4に示すように、心臓の血管5にターニケット4を捲回してその折り返した2本のターニケット4をスネア3の鉤部3aに引っ掛ける。ここでは、断面偏平状のターニケット4を用いており、このターニケット4はスネア3の鉤部3aに面接触する向きで引っ掛けられる。
【0011】
次いで、図5に示すように、スネア3の把持部3bを把持して引っ張り、先端鉤部3aにターニケット4を引っ掛けたままの状態でシース管1を通過させ引き抜く。これによりターニケット4をシ−ス管1内を挿通、貫通させる。シース管1へのターニケット4の挿通が完了したら、ターニケット4からスネア3の鉤部3bを外して良い。
次に、ターニケット4に沿って血管5側に移動させたシ−ス管1を血管5に押しつけて、ターニケット4で血管5を結紮する。この結紮により止血した状態で固定プラグ2の嵌合突起2cを、シ−ス管1の後端部1cに嵌合されている筒状部2a内に圧入、嵌合してターニケット4を固定する(図6参照)。
さらに、図6に示すように、このターニケット4の余長部分をシ−ス管1に巻き付けて固定プラグ2の止スリット2に挟んで止着する。
【0012】
上述した本発明のターニケット結束器具によれば、シ−ス管1が偏平状に形成してあるから、図7に示すように、ターニケット4によって血管5の吻合部5aに近接した箇所を結紮しても、シ−ス管1によって吻合部5aの視野が妨げられることを極力防止でき、手術を容易に行うことができる。また、偏平状のシ−ス管1であれば、撓み方に方向性があるから、予め、この撓み方向を術野に影響を与えない向きに設定しておけば、撓んだシース管1が術野の妨げにならないようにすることが可能である。
また、このシース管1は、肉厚がほぼ均等の樹脂チューブを断面偏平状に成形しているため、内側の中空部も断面偏平状になっている。断面偏平状のターニケット4を使用した場合、シース管1内側の断面偏平状の中空部内での収まりが良く、シース管1内で捻れたり、絡まったりしにくいため、手術完了後の除去も容易である。また、ターニケット4が偏平であれば、結紮した血管に対する接触面積が確保されるので、血管を傷めにくいといった利点もある。
【0013】
このターニケット結束器具は、ターニケットを用いた血管の結紮、止血作業以外にも、腸等の消化器を支持するためのターニケット掛け、消化器や臓器等に差し込んだチューブ類のターニケットによる固定、心臓等の臓器に対するターニケット掛け等にも利用できる。
例えば、図8は、本発明にかかるターニケット結束器具を用いて心臓5の心膜にターニケット4を掛けて、心臓5をローテーションできるようにした状態を示す。図8に示すターニケット4は、心臓5の裏側にて心膜と連結されている。このターニケット4が挿通されたシース管1は、心臓5の裏側から表側に引き出されている。ここで、断面偏平状のシース管1を適用していることで、特に、図8中、ハッチで示す領域6の視野の確保が、断面円形の従来例のシース管に比べて非常に容易になるといった利点がある。
【0014】
【発明の効果】
本発明のターニケット結束器具は、シース管が全長にわたって偏平状に形成され、撓み方に方向性があるので、向きを調整するだけで術野を確保できるとともに、撓んでも術野に影響しない向きで設置することで、術野側に撓んで手術の邪魔になるといった不都合を確実に防止できるといった優れた効果を奏する。特に、偏平のターニケットを用いた場合は(請求項2)、偏平状のシース管に対する挿通時の向きによって、ターニケットを先端鉤部に引っ掛けたスネアをシース管から引き抜く際の通過性を良好に確保でき、しかも、シース管内におけるターニケットの収まりが良好になるころからシース管の断面寸法を縮小することが可能であり、術野の確保に一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るターニケット結束器具のシ−ス管の実施の形態を示す一部切断拡大斜視図である。
【図2】 本発明に係るターニケット結束器具のスネアの斜視図である。
【図3】 本発明のターニケット結束器具のスネアを、所望長さに切断したシ−ス管内に挿通した状態を示す斜視図である。
【図4】 血管にターニケットを捲回し、スネアの鉤部をターニケットに引っ掛けた状態を示す説明図である。
【図5】 シ−ス管内にターニケットを挿通させた状態を示す説明図である。
【図6】 本発明のターニケット結束器具を用いてターニケットにより血管を結紮した状態を示す説明図である。
【図7】 本発明ターニケット結束器具を用いてターニケットにより血管の吻合部近傍を結紮した状態を示す斜視図である。
【図8】 本発明ターニケット結束器具を用いて心臓の心膜にターニケットを掛けた状態を示す図であって、足側から見た断面図である。
【図9】 従来例のターニケット結束器具のシ−ス管を示す一部切断拡大斜視図である。
【図10】 従来例のターニケット結束器具のスネアの斜視図である。
【図11】 従来例のターニケット結束器具のスネアを、所望長さに切断したシ−ス管内に挿通した状態を示す斜視図である。
【図12】 図11のターニケット結束器具を用いて血管にターニケットを捲回し、スネアの鉤部をターニケットに引っ掛けた状態を示す説明図である。
【図13】 図11のターニケット結束器具においてシ−ス管内にターニケットを挿通させた状態を示す説明図である。
【図14】 本発明のターニケット結束器具を用いてターニケットにより血管の吻合部近傍を結紮した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…シ−ス管、1a…先端部、1c…後端部、2…固定プラグ、2a…嵌合突起部、2b…開口部、2c…止スリット、3…スネア、3a…鉤部、4…ターニケット。
Claims (2)
- ターニケットを引っ掛ける先端鉤部が先端に形成されたスネアと、前記スネアを貫通させ前記先端鉤部でターニケットを引っ掛けた後に前記スネアを引き抜いて前記ターニケットを貫通させるシース管と、このシース管の後端に設けられ前記シース管を貫通した前記ターニケットを固定する固定プラグと、からなるターニケット結束器具において、
前記シース管は、前記ターニケットを引っ掛けたスネアが通過可能な断面寸法の中空部を有し、全長にわたって偏平状に形成され、撓み方に方向性があることを特徴とするターニケット結束器具。 - 前記ターニケットは偏平に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のターニケット結束器具。
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