以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1および図2に、本発明に従うレンズ入り流通用ケースの製造方法に好適に用いられる第一の実施形態としてのレンズ保持部材10を示す。レンズ保持部材10は、板状の第一部材12と第二部材14が複数(本実施形態においては、4つ)のヒンジ部16で互いに開閉可能に連結された構造とされている。なお、レンズ保持部材10の閉状態とは、第一部材12と第二部材14が重ね合わされた状態(図1に示す状態)をいい、レンズ保持部材10の開状態とは、第一部材12と第二部材14の重ね合わせが解除された状態(図2に示す状態) をいう。また、以下の説明において、第一部材12および第二部材14のそれぞれにおける内面とは重ね合わせ面側の面を言い、外面とは重ね合わせ面と反対側の面を言う。
特に本実施形態におけるレンズ保持部材10は、第一部材12、第二部材14およびヒンジ部16を含む後述する3点ヒンジ機構74を含んだ一体成形品とされている。レンズ保持部材10の成形材料としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のプラスチック系の合成樹脂が好ましく、レンズ保持部材10は、好適には射出成形等の従来公知の樹脂成形法によって形成されるが、これに限定されるものではない。
第一部材12は、全体として椀状を有する第一保持部としての球状凹部18と、球状凹部18の外周から張り出して球状凹部18の周りを囲む略四角平板形状を有する、重ね合わせ当接部としてのフランジ部20を備えている。特に本実施形態における第一部材12は、略一定の厚さ寸法を有する板状とされており、球状凹部18は、レンズ保持部材10の閉状態で第二部材14に向けて凹となる凹状内面22を有する凹皿形状とされている。
そこにおいて、球状凹部18は、図3にモデル的に示すように、レンズ保持部材10の閉状態で後述する第二部材14の球状凸部40と対向せしめられてレンズ収容領域76を形成するものであり、凹状内面22の曲率は、収容すべきコンタクトレンズ24のフロントカーブよりも小さくされる。そして、図1および図2に示すように、球状凹部18には、複数の第一連通孔26が第一部材12の厚さ方向に貫設されており、凹状内面22が、第一連通孔26で球状凹部18の外面と連通されている。
後述するように、第一連通孔26の個数や具体的な形状等は特に限定されるものではないが、特に本実施形態においては、球状凹部18の中心から放射状に広がるように、球状凹部18の径方向および周方向で複数の第一連通孔26が形成されている。そこにおいて、凹状内面22において複数の第一連通孔26が占める割合は、第一連通孔26の非形成部分が占める割合よりも大きくされており、本実施形態における球状凹部18は、径方向に延びる梁状の骨格部28の複数が組み合わされて形成された籠形状とされている。また、球状凹部18の中央部には円板状部30が形成されていると共に、中央部と外周部の間には、球状凹部18の周方向に連続して延びる円環状部32が形成されており、球状凹部18の強度が向上せしめられている。そして、これら骨格部28と円板状部30および円環状部32の内面によって凹状内面22が形成されていると共に、これらの間に第一連通孔26が形成されている。
かかる凹状内面22の外周側には、凹状内面22の開口方向と直交して外方に張り出す板状のフランジ部20が、凹状内面22の全周に亘って凹状内面22の周りを囲むように形成されている。本実施形態においては、球状凹部18とフランジ部20は一体形成されており、換言すれば、フランジ部20の中央部分に球状凹部18が形成されている。特に本実施形態におけるフランジ部20は、平板状で角部が丸められた角丸四角形状とされている。
さらに、フランジ部20の一辺側の端部には、複数(本実施形態においては、4つ)のヒンジ部16が一体形成されており、かかる端部が、連結側端部34とされている。また、フランジ部20において球状凹部18を挟んで連結側端部34と反対側の開放側端部36における中央部分には、レンズ保持部材10の閉状態で第二部材14に向けて突出する鉤状の爪部38が一体形成されている。
このような構造とされた第一部材12の連結側端部34は、ヒンジ部16を介して第二部材14と連結されている。第二部材14は、全体として椀状を有する第二保持部としての球状凸部40と、球状凸部40の外周から張り出して球状凸部40を囲む略四角平板形状を有する、重ね合わせ当接部としてのフランジ部42を備えている。特に本実施形態における第二部材14は、略一定の厚さ寸法を有する板状とされており、球状凸部40は、レンズ保持部材10の閉状態で第一部材12に向けて凸となり、凹状内面22に対応した形状を有する凸状内面44を備えた凸皿形状とされている。また、第二部材14の厚さ寸法は、第一部材12の厚さ寸法と略等しくされている。
前述のように、凸状内面44は、レンズ保持部材10の閉状態でレンズ収容領域76を形成するものであり(図3参照)、凸状内面44の曲率は、収容すべきコンタクトレンズ24のベースカーブよりも大きくされる。そして、図1および図2に示すように、球状凸部40には、複数の第二連通孔46が第二部材14の厚さ方向に貫設されており、凸状内面44が、第二連通孔46で球状凸部40の外面と連通されている。
さらに、凸状内面44は、中央部側に位置せしめられた頂部側凸面48と、外周側に位置せしめられて頂部側凸面48の周方向に延びる外周側凸面50を含んで構成されている。そこにおいて、外周側凸面50の曲率は、頂部側凸面48の曲率よりも小さくされており、これら頂部側凸面48と外周側凸面50の間には、凸状内面44の径方向外方に突出するようにして、凸状内面44の周方向に延びる段差部52が形成されている。図3に示すように、段差部52には、含水前の乾燥状態のコンタクトレンズ24の周縁部が載置されるようになっており、乾燥状態のコンタクトレンズ24を凸状内面44に対して略同一中心に位置決めすることが出来るようになっている。従って、段差部52の外径寸法は、乾燥状態のコンタクトレンズの径寸法よりも大きく、水和処理後の膨潤状態のコンタクトレンズの径寸法よりも小さく設定される。
なお、特に本実施形態における球状凸部40は、前記球状凹部18と同様に、複数の骨格部54が組み合わせされて形成された籠形状とされており、球状凸部40の中央部分には円板状部56が形成されていると共に、中央部と外周部の間には円環状部58が形成されている。そして、円環状部58から球状凸部40の外周に向けて延びる各骨格部54の略中間部分が、外方に突出するように屈曲せしめられることによって、段差部52が形成されている。
ここにおいて、好適には、凹状内面22および凸状内面44のそれぞれに対して、表面改質処理が施される。かかる表面改質処理としては、親水性を向上せしめるために従来から用いられているプラズマ処理やコロナ放電処理等が例示される。これにより、コンタクトレンズ24の凹状内面22や凸状内面44への張り付きを軽減して、より容易に取り出すことが可能とされている。
さらに、特に本実施形態におけるレンズ保持部材10は、第一および第二部材12,14を開放した際に、コンタクトレンズ24が凸状内面44に載置された状態で露出されるようになっている。具体的には、例えば、後述するレンズ収容領域76への収容状態において、コンタクトレンズ24と凸状内面44との接触面積が、コンタクトレンズ24と凹状内面22との接触面積よりも大きくなるように、凸状内面44の曲率とコンタクトレンズ24のベースカーブとの差を、凹状内面22の曲率とコンタクトレンズ24のフロントカーブとの差よりも小さくなるように設定したり、凸状内面44と凹状内面22に施す表面改質処理の程度を調節して表面粗さを互いに異ならせたりして、コンタクトレンズ24の凸状内面44との当接摩擦力を凹状内面22よりも大きくすること等によって行われる。
また、凸状内面44の外周側には、前記第一部材12と同様に、フランジ部42が形成されている。フランジ部42は、第一部材12におけるフランジ部20と略同様に、球状凸部40の外周から球状凸部40の突出方向と直交して外方に張り出して球状凸部40を囲む平板の角丸四角形状とされており、一辺側の端部が、ヒンジ部16が一体形成された連結側端部60とされている一方、球状凸部40を挟んで連結側端部60と反対側の端部が、開放側端部62とされている。更に、開放側端部62の中央部分には、外方に僅かに突出する係止壁部64が一体形成されている。
ここにおいて、第一部材12および第二部材14におけるフランジ部20、42の長手方向寸法を、連結側端部34,60の延出方向と直交する方向の寸法とすると、フランジ部20の長手方向寸法は、フランジ部42に比して爪部38の分だけ大きくされている。一方、フランジ部20,42の幅方向寸法を、連結側端部34、60の延出方向の寸法とすると、フランジ部20の幅方向寸法は、フランジ部42の幅方向寸法よりも小さくされている。これにより、レンズ保持部材10の閉状態、即ち、第一部材12と第二部材14の重ね合わせ状態において、第一部材12が長手方向で爪部38の分だけ第二部材14から突出せしめられると共に、第二部材14が、幅方向で第一部材12から突出せしめられるようになっている。このように、重ね合わせ状態で連結側端部34,60を除く各端部が互いにずらされることによって、例えば手指でレンズ保持部材10を直接に開操作する場合などに、第一および第二部材12,14の何れか一方のみに手指が掛かるようにして容易に開操作出来るようにされている。
さらに、球状凸部40の外周縁部、換言すれば、球状凸部40とフランジ部42との間には、球状凸部40の突出方向に開口する周溝66が、球状凸部40の外周縁部を囲むように全周に亘る円環形状をもって形成されている。かかる周溝66の外側内周面68の径寸法は、段差部52の径寸法よりも大きく、且つ、収容すべきコンタクトレンズ24の径寸法よりも僅かに大きくされる。そして、図3に示すように、段差部52で凸状内面44に対する位置決め状態で支持された含水前のコンタクトレンズ24が含水して膨潤した場合には、二点鎖線で示すように、コンタクトレンズ24の周縁部が周溝66に収容されるようになっている。ここにおいて、外側内周面68は、第一部材12と第二部材14が重ね合わされた状態で凹状内面22と凸状内面44の対向面間に形成されるレンズ収容領域76の外周内面に位置せしめられて、第一部材12と第二部材14の重ね合わせ方向(図3中、上下方向)に立ち上がる円筒状面とされている。これにより、膨潤したコンタクトレンズ24の外周縁部が外側内周面68に当接せしめられる等して、コンタクトレンズ24をレンズ収容領域76の中央部分に位置合わせ状態で保持出来るようにされている。なお、外側内周面68は、第一および第二部材12,14の重ね合せ方向に対して厳密に一致されている必要は無く、多少傾斜して形成される等しても良い。
このような構造とされた第一部材12の連結側端部34と第二部材14の連結側端部60が、複数(本実施形態においては、4つ)のヒンジ部16で互いに連結されることによって、第一部材12と第二部材14が、互いに開閉可能に連結されている。更に、一対のヒンジ部16の間には、弾性板70が設けられている。図4にモデル的に示すように、弾性板70は逆L字形状を有しており、その両側端部が、ヒンジとして作用する変形容易な薄肉部72によって連結側端部34、60の各一方にそれぞれ連結されている。特に本実施形態においては、弾性板70は第一および第二部材12,14と一体形成されている。
そして、図4(a)に示す閉状態から、第一部材12と第二部材14がヒンジ部16を支点として開操作されると、図4(b)に示すように、弾性板70は薄肉部72の変形に基づいて、レンズ保持部材10の外方に突出せしめられる。ここにおいて、弾性板70がその形状を保持しようとすることによって、第一および第二部材12,14の開角度が所定の開閉臨界角以下の場合には、第一および第二部材12,14に閉方向への付勢力が及ぼされる。一方、第一および第二部材12,14が更に開操作されて、所定の開閉臨界角よりも大きく開かれた場合には、弾性板70によって開方向への付勢力が及ぼされて、図4(c)に示すように、所定の開位置まで自動的に開かれると共に、かかる開状態が維持されるようになっている。要するに、本実施形態においては、弾性板70とその両側に設けられた一対のヒンジ部16によって開操作補助部としての3点ヒンジ機構74が構成されており、第一部材12と第二部材14は、一対の3点ヒンジ機構74によって開閉可能に連結されると共に、開状態と閉状態が選択的に発現維持出来るようにされている。
このようなレンズ保持部材10は、第一および第二部材12,14が互いに重ね合わされた閉状態とされると、図3にモデル的に示すように、凹状内面22が、凸状内面44を隙間を隔てて覆うようになっており、これら凹状内面22と凸状内面44の対向面間に、コンタクトレンズ24を収容するレンズ収容領域76が形成されるようになっている。そこにおいて、凹状内面22と凸状内面44の重ね合わせ方向での対向面間距離は、フランジ部20,42が互いに重ね合わされて相互に当接せしめられることによって設定されるようになっており、好適には、0.1〜3.0mm、より好適には、0.2〜1.5mm、さらに好適には、0.2〜0.5mmの範囲内で設定される。
このように、レンズ収容領域76は、壁部の一部が凹状内面22および凸状内面44によって形成されており、第一連通孔26と第二連通孔46を通じて外部と連通される。また、レンズ収容領域76において凹状内面22を含んで構成された凹側面の外周部分に、円筒状面としての周溝66の外側内周面68が位置せしめられる。
さらに、レンズ保持部材10の閉状態において、第一部材12の爪部38が第二部材14の係止壁部64を乗り越えて、これら爪部38と係止壁部64が互いに係止されることによって、第一部材12と第二部材14を相互に固定して閉状態が維持されると共に、爪部38と係止壁部64の係合を解除することによって、第一部材12と第二部材14が開操作可能とされるようになっている。このように、本実施形態においては、爪部38と係止壁部64を含んでロック機構が構成されており、これら爪部38と係止壁部64が、球状凹部18および球状凸部40を挟んでヒンジ部16と反対側の開放側端部36,62に形成されていることによって、レンズ収容領域76の両側で第一部材12と第二部材14との連結状態が維持されて、レンズ保持部材10の閉状態が安定して維持されるようになっている。
そして、レンズ収容領域76への収容状態において、コンタクトレンズ24は、レンズ前面(装用状態において角膜と反対側の面)側が球状凹部18で保護される一方、レンズ後面側が球状凸部40で保護される。これにより、コンタクトレンズ24の全体が第一部材12と第二部材14によって保護される。そして、レンズ収容領域76が凹状内面22と凸状内面44によってコンタクトレンズ24に近い形状とされることから、レンズ収容領域76内でのコンタクトレンズ24の反転等も防止されて、コンタクトレンズ24を安定して保持することが出来る。特に本実施形態においては、図3にモデル的に示したように、水和処理前の乾燥状態のコンタクトレンズ24は、凸状内面44の段差部52で支持される一方、水和処理後の膨潤状態のコンタクトレンズ24は、その外周縁部が周溝66の外側内周面68に当接されることによって、水和処理前後の何れの状態においても、コンタクトレンズ24をレンズ収容領域76の中央部分に位置決め状態で安定して保持出来るようになっている。
このような構造とされたレンズ保持部材10は、コンタクトレンズの製造工程、特に、水和処理が行なわれるソフトコンタクトレンズの製造工程において好適に用いられる。以下に、本実施形態におけるレンズ保持部材10を用いたソフトコンタクトレンズの製造工程の例を概説する。
先ず、レンズ保持部材10を開状態として、所定の形状に作製された水和処理前の乾燥状態のコンタクトレンズ24を凸状内面44に載置する。そこにおいて、本実施形態によれば、3点ヒンジ機構74によって開状態が維持されることから、コンタクトレンズ24の載置を容易且つ安定的に行なうことが出来る。そして、レンズ保持部材10を閉操作することによって、コンタクトレンズ24をレンズ収容領域76に収容する。かかる収容状態において、水和処理前のコンタクトレンズ24は、図3に実線で示したように、凸状内面44の段差部52によってレンズ収容領域76の中央部分に安定的に支持されるようになっている。
そして、レンズ保持部材10によって収容保持状態とされたコンタクトレンズ24の表面に対して、例えば特開2003−50379号公報にて開示されているプラズマ処理等の表面改質処理が施される。プラズマ処理の具体的な条件等は同公報にて詳細に説明されていることから、以下に概略を説明する。
同公報に記載のプラズマ処理は大気中で行われる。先ず、図5にモデル的に示すように、コンタクトレンズ24を収容保持したレンズ保持部材10が、搬送装置80にセットされる。搬送装置80は例えばベルトコンベヤ等であり、レンズ保持部材10を搬送方向(図5中、左から右方向)に搬送する。更に、搬送装置80の搬送方向に直交する両側には、一対のプラズマ発生装置82が互いに所定距離を隔てて配設されている。プラズマ発生装置82は、プラズマを発生する電極と、電極間で発生したプラズマを外部へ吹き出すガス導入管を備えたものであり、電極間へのガスの導入によって、プラズマガスを外部の大気中に吹き出すものである。そして、これらプラズマ発生装置82が、プラズマガスの吹出方向を搬送装置80に向けて配設されている。なお、レンズ保持部材10は、好適には、図5に示すように、収容保持したコンタクトレンズ24の前面および後面が、それぞれ、プラズマ発生装置82のプラズマガスの吹出方向に対向するように、要するに、コンタクトレンズ24の光軸方向がプラズマガスの吹出方向と等しくなるように搬送装置80にセットされる。
そして、レンズ保持部材10に対して、プラズマ発生装置82によって両側からプラズマガスが吹き付けられると、かかるプラズマガスが、第一連通孔26および第二連通孔46を通じてコンタクトレンズ24の表面に接触せしめられる。これにより、コンタクトレンズ24の表面の親水性を高めることが出来る。
そこにおいて、本実施形態に従う構造とされたレンズ保持部材10を用いれば、第一および第二部材12,14によってコンタクトレンズ24をプラズマガスの応力から保護することが出来て、コンタクトレンズ24が飛ばされたり、損傷されるおそれを軽減することが出来る。特に、凹状内面22と凸状内面44によってレンズ収容領域76がコンタクトレンズ24に近い形状とされることから、コンタクトレンズ24を安定して保持してレンズ収容領域76内でのコンタクトレンズ24の変位も抑えることが出来て、レンズ収容領域76内面への激しい打ち当たり等に起因するレンズ損傷のおそれも回避し得る。
さらに、本実施形態によれば、含水前のコンタクトレンズ24であっても、段差部52で支持することによって、レンズ収容領域76の中央部分に位置決め状態で安定支持することが出来る。これにより、コンタクトレンズ24をプラズマ発生装置82に対する所期の相対位置に安定して位置せしめることが出来て、表面改質処理をより安定的に行うことが出来る。
加えて、本実施形態によれば、第一および第二連通孔26,46が十分に大きく形成されて、球状凹部18および球状凸部40が何れも籠形状とされていることから、レンズ収容領域76内のコンタクトレンズ24に充分なプラズマガスを接触させることが出来る。更に、プラズマの一部は、第一および第二連通孔26,46を通過する際に、これら連通孔26,46の周辺部に接触等することによってその進行方向が様々に変化せしめられる。これにより、コンタクトレンズ24の表面に対して、プラズマ発生装置82の吹出方向のみならず、様々な角度からプラズマを接触させることが可能とされるのであり、以て、より均質な表面改質処理を行うことが出来る。更にまた、プラズマが集中することに起因すると考えられるアーク放電にも似た現象を、第一および第二連通孔26,46の近傍で発生させることによって、コンタクトレンズ24の外周縁部での発生を抑えることが出来て、レンズ外周縁部でのアーク放電の熱等に起因すると考えられるコンタクトレンズ24の損傷のおそれも軽減することが出来る。
なお、上記プラズマ処理の態様はあくまでも例示であって、例えば特公昭63−40293号公報等に記載のように、コンタクトレンズ24を収容保持したレンズ保持部材10を所定のガス雰囲気中で両電極間に位置せしめて、両電極間にプラズマガスを発生させることによって、第一連通孔26および第二連通孔46を通じてコンタクトレンズ24表面をプラズマガスに接触させる等、従来公知の態様が適宜に採用可能である。
さらに、本実施形態におけるレンズ保持部材10は、凹状内面22および凸状内面44にも表面改質処理が施されているが、例えば、上述の如きコンタクトレンズ24表面への表面改質処理と同時に、これら凹状内面22および凸状内面44への表面改質処理を行う等しても良い。また、表面改質処理としては、プラズマ処理に限定されるものではなく、コロナ放電処理等の従来公知の表面改質処理も適宜に実施され得る。
このような表面改質処理が施された後、コンタクトレンズ24には、水和処理および洗浄処理が行われる。かかる水和処理および洗浄処理は、例えば、脱イオン化された水、界面活性剤を含む水溶液、生理食塩水など含水コンタクトレンズの水和処理および洗浄処理に従来から用いられている処理液が貯留された水槽内に、上記表面改質処理が終了したレンズ保持部材10を浸漬せしめること等によって行われる。これにより、処理液が第一および第二連通孔26,46を通じてレンズ収容領域76を通過乃至は循環せしめられる。その結果、レンズ保持部材10に保持されたコンタクトレンズ24が含水せしめられてレンズ収容領域76内で膨潤せしめられると共に、未反応モノマーの抽出やレンズ表面に付着したゴミ等の不純物の除去が行われる。
そこにおいて、本実施形態に従う構造とされたレンズ保持部材10を用いれば、膨潤後のコンタクトレンズ24は、図3に二点鎖線で示したように、レンズ外周縁部が周溝66内に収容されて保持されると共に、外側内周面68によってレンズ収容領域76内で位置決め状態で安定的に保持されることから、レンズ保持部材10内での反転や打ち当たりなどが抑えられて、レンズ損傷のおそれを軽減することが出来る。更に、第一部材12および第二部材14でコンタクトレンズ24を処理液の水圧等から保護出来ることからも、レンズ損傷のおそれを軽減することが出来る。加えて、第一および第二連通孔26,46が十分に大きく形成されて、球状凹部18および球状凸部40が何れも籠形状とされていることから、処理液のレンズ収容領域76への流入および流出量も充分に確保され得て、水和処理および洗浄処理を何れも有効に行うことが出来る。
そして、本実施形態に従う構造とされたレンズ保持部材10を用いれば、表面改質処理、水和処理および洗浄処理の各工程を、コンタクトレンズ24が共通のレンズ保持部材10に収容された状態で行うことが可能とされており、工程毎にコンタクトレンズ24を保持する保持手段が異なる場合に比して製造コストの軽減を図ることが出来る。更に、コンタクトレンズ24を収容したレンズ保持部材10をそのまま各工程に使用出来ることから、工程毎に異なる保持手段にコンタクトレンズ24を移し替えたりする等の直接にコンタクトレンズ24を取り扱うことを不要とすることが出来て、レンズ損傷のおそれを大幅に軽減することが出来ると共に、コンタクトレンズ24を移し替えるための機械的な設備や工程等も不要とされる。特に水和処理を必要とするソフトコンタクトレンズは含水後は非常に柔らかいことから、レンズへの直接の接触の機会を減少することによって、レンズ損傷のおそれを有効に軽減することが出来る。
更にまた、本実施形態におけるレンズ保持部材10によれば、爪部38と係止壁部64を含んで構成されたロック機構により、第一部材12と第二部材14の閉状態が安定して維持されて、不用意な開放も抑えられることから、各工程を通じてコンタクトレンズ24の安定的な保持を維持することが出来る。
なお、上記説明においては、コンタクトレンズ24として水和処理を要するソフトコンタクトレンズを例に説明したが、本実施形態におけるレンズ保持部材10は、ハードコンタクトレンズの製造工程においても好適に用いられる。
例えば、コンタクトレンズ24として酸素透過性ハードコンタクトレンズをレンズ保持部材10に収容保持せしめる。そこにおいて、コンタクトレンズ24は、外周縁部が周溝66に収容されて、外側内周面68によってレンズ収容領域76の中心と位置合わせされた状態で収容保持される。かかる状態で、特開平2−220024号公報や特開平6−122779号公報、上記の特開2003−50379号公報や特公昭63−40293号公報等に記載の条件下でプラズマ処理が行われた後、親水性モノマーのグラフト共重合が行われ、閉状態とされたレンズ保持部材10のレンズ収容領域76に収容保持されたコンタクトレンズ24としてのハードコンタクトレンズの表面に親水性が付与される。勿論、上記プラズマ処理はあくまでも例示であって、他の公知の条件でプラズマ処理やコロナ放電処理、或いはその他の表面改質処理が行われても良い。
上述の如き表面改質処理が行われて、コンタクトレンズ24としてのハードコンタクトレンズに例えば親水性の高いレンズ表面が形成される等した後に、洗浄処理が行われる。かかる場合においても、コンタクトレンズ24はレンズ保持部材10による収容保持状態に維持されており、洗浄処理は、前述のソフトコンタクトレンズの場合と同様に、コンタクトレンズ24の収容保持状態のレンズ保持部材10を処理液が貯留された水槽中に浸漬する等して、処理液が第一および第二連通孔26,46を通過乃至は循環すること等によって行われる。これにより、コンタクトレンズ24としてのハードコンタクトレンズの表面に残留した未反応モノマーやゴミ等の不純物の除去が行われる。
そして、コンタクトレンズ24がハードコンタクトレンズである場合でも、上記ソフトコンタクトレンズの場合と同様に、レンズ保持部材10でプラズマガスの風圧や処理液の水圧等からコンタクトレンズ24を保護することが出来ると共に、レンズ収容領域76内での位置決め状態で保持して所期の位置に安定して位置せしめることが可能とされることによって、各処理を有効に行うことが出来る。また、第一および第二連通孔26,46が十分に大きく形成されていることによって、コンタクトレンズ24表面に接触するプラズマ量や処理液の流動量も十分に確保され得て、各工程を有効に行うことが出来る。そして、各工程においてコンタクトレンズ24を収容保持したレンズ保持部材10を共通して用いることが出来ることから、コンタクトレンズ24への直接の機械的接触の回数を軽減することが出来て、レンズ損傷のおそれを軽減出来ると共に、異なる保持部材へのレンズ移し替えのための機械設備や工程等も不要とすることが出来る。
このような構造とされたレンズ保持部材10は、レンズメーカーからエンドユーザにコンタクトレンズを提供するための輸送や保管等に使用されるレンズ入り流通用ケースに好適に用いられる。図6乃至図10に、前記レンズ保持部材10を用いた、本発明に従うレンズ入り流通用ケースの製造方法によって好適に製造される第一の実施形態としてのレンズ入り流通用ケースに係るコンタクトレンズ流通ケース(以下、適宜流通ケースとする)90を示す。なお、図6は、流通ケース90の開状態を、図7は流通ケース90の閉状態において後述する表側可撓性シート94側を、図8は流通ケース90の閉状態において後述する裏側可撓性シート96側を示す。また、図9は流通ケース90の閉状態の断面をモデル的に示し、図10は、流通ケース90の開状態の断面をモデル的に示す。
流通ケース90は、レンズケースとしてのケース部材92を構成する表側可撓性シート94と裏側可撓性シート96の間に前記レンズ保持部材10が収容状態で設けられた構造とされており、表側可撓性シート94がレンズ保持部材10の第一部材12に固着される一方、裏側可撓性シート96がレンズ保持部材10の第二部材14に固着されている。
これら表側可撓性シート94と裏側可撓性シート96は何れも変形容易な可撓性シートとされており、固着される第一部材12乃至は第二部材14を覆うことの出来る面積をもって形成されている。なお、表側可撓性シート94および裏側可撓性シート96におけるレンズ保持部材10への固着面と反対側の面或いは固着面には、収容するコンタクトレンズ24に関するベースカーブやレンズ径、或いは製造メーカーや製造番号等の情報や、適当な文字や図柄等の装飾が印刷等により適宜に施される。
かかる表側可撓性シート94および裏側可撓性シート96としては、水密性を維持し得る例えばポリオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はポリ塩化ビニリデン(PVDC)からなる層、および無機蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる層などが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などが挙げられる。また、無機蒸着PETとしては、例えばアルミナ蒸着PET,シリカ蒸着PET、およびアルミニウム蒸着PETなどが挙げられる。
このような構造とされた表側可撓性シート94が、第一部材12における第二部材14と重ね合わされる面と反対側の面に重ね合わされて、球状凹部18の凹状内面22と反対側の面を覆うようにして第一部材12に接着や溶着等により固着されている一方、裏側可撓性シート96が、第二部材14における第一部材12と重ね合わされる面と反対側の面に重ね合わされて第二部材14に接着や溶着等により固着されている。特に本実施形態においては、表側可撓性シート94および裏側可撓性シート96は、それぞれ、第一部材12および第二部材14の開放側端部36,62それぞれの2箇所でスポット溶接されており、各開放側端部36、62には、それぞれ、2箇所のスポット溶着面98が形成されている。
さらに、これら表側可撓性シート94と裏側可撓性シート96は互いに重ね合わされて、レンズ収容領域76にコンタクトレンズ24を収容した状態で爪部38と係止壁部64によって閉状態が維持されたレンズ保持部材10を重ね合わせ面間に配設した状態で、レンズ保持部材10の外周を囲むようにして互いに剥離可能に水密に固着されている。特に本実施形態においては、表側および裏側可撓性シート94、96がレンズ保持部材10を囲んだ外周部分で互いにヒートシールにより剥離可能に固着されており、レンズ保持部材10の周りには、ヒートシール固着面100が形成されている。これにより、表側および裏側可撓性シート94,96の重ね合わせ面間には、ヒートシール固着面100で外周縁部が全周に亘って密封状態で封止された収容部102が形成されており、レンズ保持部材10は、収容部102に収容されるようになっている。そこにおいて、表側および裏側可撓性シート94,96は、流通ケース90が開封されて互いに剥離された状態でも、レンズ保持部材10における連結側端部34,60と同じ側の端部の固着状態が維持されるようになっており、両可撓性シート94,96それぞれにおける連結側端部34,60と同じ側の端部が封止端部103、104とされている一方、封止端部103,104と反対側の端部が、それぞれ、開放端部106,108とされている。
そして、ヒートシール固着面100は、開放端部106,108側の一辺を除く3辺が、表側および裏側可撓性シート94,96それぞれの外周縁部に形成されている一方、開放端部106,108側の一辺は、開放端部106,108よりも両可撓性シート94,96の内方に位置せしめられている。これにより、両可撓性シート94,96の封止状態でも両開放端部106,108が自由端部とされており、これら開放端部106,108を摘んで両可撓性シート94,96の開封を容易に行なえるようにされている。更に、ヒートシール固着面100における開放端部106,108と同じ側の一辺の中央部分には、開放端部106,108側に突出すると共に、突出先端部が尖鋭形状とされた嘴状部110が形成されており、剥離操作性がより向上せしめられている。
さらに、ヒートシール固着面100の固着強度は、スポット溶着面98の固着強度よりも低く設定されている。これにより、表側および裏側可撓性シート94,96が互いに剥離されても、これら両可撓性シート94,96と第一および第二部材12,14との固着状態を維持することが出来て、両可撓性シート94,96の開封に追従してレンズ保持部材10を開放出来るようになっている。かかる固着強度の調節は、例えば両可撓性シート94,96とレンズ保持部材10の形成材料の選択や、ヒートシール固着面100を形成するヒートシール温度を、スポット溶着面98を形成するスポット溶着温度よりも低く設定する等、両固着温度差を適宜に設定すること等によって行なわれる。
また、表側可撓性シート94における第一部材12との重ね合わせ部位には、第一部材12よりも一回り大きな略相似形状を有する凹状の収容陥部112が形成されており、収容陥部112において球状凹部18の外面と重ね合わされる部位には、第一部材12への重ね合わせ状態で球状凹部18の外面を沿うように覆う凹状湾曲部114が形成されている。これら収容陥部112および凹状湾曲部114は、絞り加工等により好適に形成される。これにより、表側可撓性シート94は、第一部材12への重ね合わせ状態で、第一部材12を収容陥部112に収容するようにして、第一部材12の外面に沿うように重ね合わされる。一方、第二部材14に重ね合わされる裏側可撓性シート96は、略平坦形状とされている。
なお、収容部102内には、レンズ保持部材10と共に、保存液116(図9参照)が収容される。保存液116の種類や材質等は限定されるものではなく、コンタクトレンズ24の乾燥を防ぎ、且つコンタクトレンズ24をすぐに使用できる状態に維持せしめ得るものであって、例えば無菌水溶液、等浸透圧食塩水等とされる。これにより、レンズ保持部材10は、コンタクトレンズ24の収容状態で保存液116と共に収容部102に収容されている。そして、レンズ収容領域76内が第一および第二連通孔26,46を通じて保存液116で満たされることにって、レンズ収容領域76に収容されたコンタクトレンズ24が、保存液116への浸漬状態で、収容部102に収容される。
このような構造とされたコンタクトレンズ流通ケース90を用いれば、コンタクトレンズ24がレンズ保持部材10による収容保持状態で収容部102に収容される。これにより、コンタクトレンズ24を流通ケース90内で安定保持することが出来て、保管や輸送に際する振動や衝撃等から、コンタクトレンズ24を保護することが出来る。そして、爪部38と係止壁部64によって構成されるロック機構によって、輸送等による振動や衝撃がレンズ保持部材10に及ぼされた場合でも、レンズ保持部材10の閉状態を維持することが出来る。
さらに、特に本実施形態においては、レンズ保持部材10を収容するケース部材92が、レンズ保持部材10の外面形状に沿う表側および裏側可撓性シート94,96で構成されていることによって、レンズ保持部材10でコンタクトレンズ24を形状を安定確保しつつ、ケース部材92のコンパクト化を図ることが出来ると共に、収容部102に収容する保存液116の量を大幅に少なくすることが可能となる。更に、本実施形態においては、収容部102の壁面が変形容易な表側および裏側可撓性シート94,96で形成されているが、レンズ保持部材10でコンタクトレンズ24を保護することによって、外力等による表側および裏側可撓性シート94,96の変形がコンタクトレンズ24に及ぼされるおそれを回避し得る。
そして、流通ケース90を開封してコンタクトレンズ24を取り出す場合には、表側および裏側可撓性シート94,96それぞれの開放端部106,108が摘まれて、開放端部106,108から封止端部103、104に向けて互いに剥離される。そこにおいて、第一および第二部材12,14における開放側端部36,62がそれぞれ表側および裏側可撓性シート94,96に固着されていることから、第一および第二部材12,14を表側および裏側可撓性シート94,96の剥離に追従せしめることが可能とされており、表側および裏側可撓性シート94,96の開封に伴って、レンズ保持部材10の開操作を行なうことが出来る。それと共に、レンズ保持部材10には、3点ヒンジ機構74による開操作補助部が設けられていることから、両可撓性シート94,96が所定量以上に剥離されて第一および第二部材12,14が所定の開閉臨界角以上に開かれると、レンズ保持部材10を開方向に付勢する付勢力が生ぜしめられるようになっており、流通ケース90の開操作をより容易に行なうことが出来る。
さらに、流通ケース90の開封が完了した状態では、3点ヒンジ機構74によって、レンズ保持部材10が開状態に維持される。これにより、表側および裏側可撓性シート94,96が復元力等により開封前の状態に戻ろうとするのをレンズ保持部材10で阻止することが出来て、流通ケース90を開状態に維持することが出来る。これにより、両可撓性シート94,96が邪魔になることも無く、コンタクトレンズ24の取り出しを容易に行なうことが出来る。
そこにおいて、特に本実施形態におけるレンズ保持部材10によれば、レンズ保持部材10の開操作、換言すれば流通ケース90の開操作によってコンタクトレンズ24が凸状内面44への載置状態で露出されるようになっている。これにより、レンズ保持部材10からコンタクトレンズ24を取り出す際に、レンズ内面に手指が直接に触れる機会を軽減することが出来て、細菌感染等のおそれも軽減することが出来る。好適には、コンタクトレンズ24の凸状内面44への載置状態をより安定して発現するために、ケース部材92を、鉛直上下方向で第一部材12が第二部材14上に位置せしめられた状態として、かかる状態でケース部材92が開封される。そして、本実施形態によれば、表側可撓性シート94が第一部材12の外面にに沿わされて、収容陥部112および凹状湾曲部114が流通ケース90の外方に突出せしめられるのに対して、裏側可撓性シート96が略平坦形状とされることによって、ケース部材92が上下を識別することが可能な構造体とされている。
また、特に本実施形態においては、球状凹部18および球状凸部40が何れも籠形状とされており、凹状内面22および凸状内面44とコンタクトレンズ24との接触面積が小さくされている。これにより、これら内面22,44へのコンタクトレンズ24の張り付きも抑えられており、コンタクトレンズ24の取り出しをより容易に行なうことが可能とされている。
さらに、ヒートシール固着面100において封止端部103、104を延びる領域と、封止端部103,104の両端部から開放端部106,108に向けて所定量だけ進んだ領域を含むコの字状の領域は、流通ケース90の開状態においても互いの固着状態が維持されており、図10に示したように、流通ケース90の開状態において、表側および裏側可撓性シート94,96によって、封止端部103,104を底部としてレンズ保持部材10に向けて開口せしめられた袋状部118が形成されるようになっている。特に本実施形態における袋状部118は、表側可撓性シート94に形成された収容陥部112の一部を含んで構成されている。これにより、流通ケース90が開封されると、収容部102に収容されていた保存液116が袋状部118に貯留されるようになっており、コンタクトレンズ24の取り出しに際する保存液116の零れ等の煩わしさが軽減されている。また、レンズ保持部材10によって、コンタクトレンズ24が袋状部118に貯留された保存液116から浮き上がらされて、保存液116が第一および第二連通孔24,46を通じて凹状内面22や凸状内面44から排出されることによって、レンズの取り出しをより容易に行なうことが可能とされている。そして、図10中の矢印で示すように、開放端部106,108を互いに離隔する方向に更に引っ張ることによって、レンズ保持部材10を更に浮き上がらせることが出来て、レンズの取り出しを更に容易に行うことも可能とされている。
次に、図11を参照して、上述の如きコンタクトレンズ流通ケース90を製造するために好適に用いられる、本発明に従うレンズ入り流通用ケースの製造方法の一実施形態を説明する。なお、本製造方法においては、コンタクトレンズ24として、水和処理が必要とされるソフトコンタクトレンズを例に説明する。
先ず、図11(a)に示すように、凹凸の付されていない矩形シート状の表側可撓性シート94を用意し、表側可撓性シート94に対して、レンズ保持部材10の第一部材12の外面に対応する成形面120を備えた絞り型122を押し付ける絞り加工を施すことによって、表側可撓性シート94に収容陥部112および凹状湾曲部114を形成する。
次に、図11(b)に示すように、レンズ収容領域76に別途形成したコンタクトレンズ24を収容したレンズ保持部材10を、表側可撓性シート94に第一部材12の外面を重ね合わせて、収容陥部112に収容するようにして配置する。ここにおいて、レンズ保持部材10としては、水和処理前の乾燥状態のコンタクトレンズ24を収容した状態で、予め、例えば図5に示したプラズマ処理等の表面改質処理によって、コンタクトレンズ24の表面と凹状内面22および凸状内面44に対して同時に表面改質処理が施されたものが用いられる。即ち、レンズ保持部材10を用いたコンタクトレンズ24の製造方法として前述した表面改質処理が完了したレンズ保持部材10に対して、表側可撓性シート94が重ね合わされる。
そして、図11(c)に示すように、裏側可撓性シート96を用意し、レンズ保持部材10を挟むようにして表側可撓性シート94に重ね合わせ、これら表側および裏側可撓性シート94,96におけるレンズ保持部材10の周りをヒートシール加工によって互いに固着して、ヒートシール固着面100の一部を形成する。かかる工程が完了した時点の流通ケース90を図12(a)にモデル的に示す。本工程において、両可撓性シート94,96のヒートシールは、レンズ保持部材10の周りで封止端部103,104の一部分を避けて施されており、封止端部103,104の一部分は未だヒートシール加工が施されていない非固着状態とされる。かかる非固着部によって通孔124が形成されており、表側および裏側可撓性シート94,96の重ね合わせ面間に形成される収容部102は、本工程の完了時点では、通孔124を通じて未だ外部と連通されている。
そして、図11(d)に示すように、従来公知のスポット溶着機126を用いて、第一部材12における開放側端部36と表側可撓性シート94、および第二部材14における開放側端部62と裏側可撓性シート96がそれぞれスポット溶着されて互いに固着されることによって、スポット溶着面98が形成される。かかる工程が完了した時点の流通ケース90を図12(b)にモデル的に示す。
次に、図11(e)に示すように、表側および裏側可撓性シート94,96の各角部に打ち抜き加工を施すことによって、図12(c)にモデル的に示すように、両可撓性シート94,96が、重ね合わせ状態で互いの外周縁部が重なり合うように形状が揃えられた角丸四角形状とされる。
そして、図11(f)に示すように、通孔124を鉛直上方に開口せしめた状態で、通孔124を通じて水和処理および洗浄処理が行なわれる。かかる水和処理や洗浄処理は、例えば通孔124を通じてノズル128から処理液を収容部102内に注入した後に、収容部102に注入された処理液が同じくノズル128から排出されることにより行われ、好適には、例えば特開2003−107415号公報等に開示されているように、ノズル128として注入口と排出口の両方を備えたものが用いられ、そのような場合には、ノズル128を用いて、通孔124を通じての処理液の注入と排出を同時に行い、処理液を収容部102内で循環させる等しても良い。これにより、収容部102内に処理液が注入乃至は循環せしめられて、第一および第二連通孔26,46を通じて処理液がレンズ保持部材10のレンズ収容領域76に入り込み、コンタクトレンズ24の水和処理および洗浄処理が行なわれる。
続いて、水和処理および洗浄処理に用いられた収容部102内の処理液が排出されて、通孔124を通じて保存液116が収容部102に注入された後に、図11(g)に示すように、表側および裏側可撓性シート94,96における通孔124の形成部位が従来公知のヒートシール加工機130でヒートシール加工されて互いに固着されることによって、レンズ保持部材10の周りの全周に亘るヒートシール固着面100が形成される。これにより、水密状態の収容部102を備えたケース部材92が形成されると共に、ケース部材92の収容部102内に、コンタクトレンズ24を保持したレンズ保持部材10が保存液116と共に収容される。
以上のようにして、コンタクトレンズ流通ケース90を得ることが出来る。そして、上述の如き製造方法によれば、レンズ製造工程において使用したレンズ保持部材10をそのまま用いて流通ケース90を得ることが可能となる。これにより、レンズ製造工程とレンズ流通過程の両方に共通のレンズ保持部材10を用いることが出来て、製造コストおよび流通コストの低減を図ることが出来る。更に、製造工程が完了したレンズを流通用のケースに移し替えることが不要とされることから、レンズを直接に取り扱う機会を減少することが出来て、レンズ損傷のおそれを大幅に軽減することが出来る。
さらに、本製造方法においては、コンタクトレンズ24のレンズ表面と、凹状内面22および凸状内面44に同時に表面改質処理を施した後に、レンズ保持部材10が表側および裏側可撓性シート94,96の重ね合わせ面間に収容されるようになっている。これにより、流通ケース90においてコンタクトレンズ24が接触せしめられる実質的な内面を構成する凹状内面22と凸状内面44にも表面改質処理を施すことが出来て、コンタクトレンズ24のみに表面改質処理を施す場合に比して、コンタクトレンズ24の滑りを良くすることが可能となり、コンタクトレンズ24の取り出しをより容易にすることが出来る。そして、本製造方法によれば、かかる凹状内面22および凸状内面44への表面改質処理が、コンタクトレンズ24への表面改質処理と同時に行なわれることから、製造工数の削減を図ることが可能とされる。
以上、本発明に従うコンタクトレンズ流通ケースの製造方法、これに好適に用いられるレンズ保持部材および本発明に従う製造方法によって製造されたコンタクトレンズ流通ケースについて詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではなく、例えば以下に例示する各実施形態の如き構造等も、好適に採用され得る。但し、以下に示す各構造はあくまでも例示であって、本発明が以下に記載の如き態様に限定されるものではないことが、理解されるべきである。なお、以下の説明において、上述の第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
先ず、図13および図14に、本発明に従うレンズ入り流通用ケースの製造方法に好適に用いられる第二の実施形態としてのレンズ保持部材140を示す。本実施形態における球状凹部18は凹皿形状とされていると共に、第一連通孔26は、角部が丸められた略四角形状とされている。一方、球状凸部40は凸皿形状とされており、球状凸部40の頂部に、1つの第二連通孔46が球状凸部40と同心円状に形成されている。ここにおいて、第一連通孔26を1つにしたり、第二連通孔46を複数形成したりすることも勿論可能である。
また、第一部材12と第二部材14は、一つのヒンジ部16で互いに開閉可能に連結されており、第二部材14のフランジ部42において、ヒンジ部16が設けられた連結側端部60に隣接する一対の側片の端部には、位置決め突状142が球状凸部40の突出方向と同方向に突出せしめられると共に該一対の側片が延びる方向にそれぞれ延び出されて一体形成されている。これら一対の位置決め突状142によって、レンズ保持部材140の閉状態における第二部材14に対する第一部材12の相対変位、特に、一対の位置決め突状142の対向方向への相対変位が制限されるようになっている。
また、フランジ部20における開放側端部36には、開放側端部36の延出方向において一方の端部から中心部に亘って、開放側端部36の外方に延び出されると共に球状凹部18の開口方向と同方向に突出せしめられた係合突片144が一体形成されている。一方、フランジ部42における開放側端部62には、開放側端部62の外方に延び出されると共に球状凸部40の突出方向と同方向に突出せしめられた係合突片146が一体形成されている。なお、係合突片146は、開放側端部62において、レンズ保持部材140の閉状態で他方の係合突片144と反対側の略半分の部位に形成されている。
これら係合突片144,146は、レンズ保持部材140が閉状態とされると、互いの対向面が圧接されて互いに係合することによって、レンズ保持部材140の閉状態を維持するようになっている。そして、レンズユーザ等が両突片144,146を離間させて互いの対向面の圧接状態を解除すると、両突片144,146の係合が解除されて、レンズ保持部材140の閉状態の維持が解除される。このように、本実施形態においては、係合突片144,146を含んでロック機構が構成されている。
また、図15にも示すように、凸状内面44は、球状凸部40の頂部に形成されている頂部側凸面148と、頂部側凸面148の周縁部に形成されて頂部側凸面148を周回する周縁部側凸面150とに区分されており、頂部側凸面148の曲率は、周縁部側凸面150に比して大きくされている。これにより、頂部側凸面148と周縁部側凸面150の間に、球状凸部40を周回する段差部52が形成されている。そして、前記レンズ保持部材10と同様に、水和処理前のコンタクトレンズ24は、図15において実線で示すように、外周縁部が段差部52に当接せしめられて、球状凸部40に対して略同心上の位置決め状態で保持される一方、水和処理後のコンタクトレンズ24は、図15において二点鎖線で示すように、外周縁部が周溝66に収納されることによって、球状凸部40に対する略同心上の位置決め状態で保持される。これにより、水和処理前後の何れのコンタクトレンズ24も、球状凸部40に対する位置決め状態で保持することが可能とされている。そして、図15から明らかなように、本実施形態における段差部52は、曲率が互いに異ならされた頂部側凸面148と周縁部側凸面150との接続部分である屈曲部によって形成されており、このことから明らかなように、段差部52は、必ずしも面状の広がりをもって形成されている必要は無い。
さらに、本実施形態から明らかなように、前記第一の実施形態としてのレンズ保持部材10に設けられていた、3点ヒンジ機構74による開操作補助部は必ずしも必要ではない。
このような構造とされたレンズ保持部材140は、第一および第二連通孔26,46を介して、保存液がレンズ収容領域76内に充填される。かかる保存液の充填は、例えば、第一および第二連通孔26,46の何れか一方が、前記表側および裏側可撓性シート94,96の何れか一方で覆われた後、他方の連通孔から保存液が注入された後に、保存液が注入された連通孔が両可撓性シート94,96の他方で覆われる。好適には、球状凹部18を鉛直下方に位置せしめて、球状凹部18の鉛直下方を表側可撓性シート94で受け皿状に覆うことによって、第二連通孔46から注入される保存液を貯留して、保存液の注入後に第二連通孔46を裏側可撓性シート96で覆うことによって行なわれる。
そして、図16に示すように、レンズ保持部材140は、第一および第二部材12,14が重ね合わされた閉状態で、これら第一および第二部材12,14をそれぞれ覆うように配設された一対の表側および裏側可撓性シート94、96の重ね合わせ面間に収容されて、これら両可撓性シート94,96におけるレンズ保持部材140の周りが全周に亘ってヒートシール等で溶着や接着等されることによって保存液への浸漬状態で密封される。なお、図16においては、表側可撓性シート94側を示し、裏側可撓性シート96の図示は省略する。これにより、本発明に従うレンズ入り流通用ケースの製造方法によって好適に製造される第二の実施形態としてのレンズ入り流通用ケースに係るコンタクトレンズ流通ケース154を得ることが出来る。
すなわち、本実施形態における流通ケース154は、表側および裏側可撓性シート94,96の外周縁部が全周に亘って互いに水密に封止されることによって形成された袋状体156の内部に保存液が収容されると共に、レンズ収容領域76にコンタクトレンズ24を収容保持せしめた閉状態のレンズ保持部材140が両可撓性シート94,96に固着されること無く非固定的に収容されており、これにより、コンタクトレンズ24を保存液への浸漬状態で収容している。従って、保存液の充填としては、例えば、前述の前記第一の実施形態としての流通ケース90と同様に(図11参照)、レンズ保持部材140に重ね合わせた両可撓性シート94,96の周上の一部を非固着状態とすることによって、袋状体156に内外を連通する通孔を形成して、かかる通孔を通じて保存液を注入した後に、通孔をヒートシールで封止する等しても良い。
なお、本実施形態における流通ケース154においても、表側可撓性シート94に収容陥部112および凹状湾曲部114が形成されて、表側および裏側可撓性シート94,96がレンズ保持部材140の外面に沿って重ね合わされており、流通ケース154のコンパクト化が図られている。また、袋状体156の外周縁部の一部には、切欠158が形成されている。
そして、流通ケース154からコンタクトレンズ24を取り出す場合には、切欠158を用いて袋状体156を引き裂いて開封して、袋状体156からレンズ保持部材140を取り出した後に、両係合突片144,146の係合を解除して、レンズ保持部材140が開操作される。このように、本実施形態における流通ケース154においては、袋状体156によってケース本体が構成されており、このことから明らかなように、ケース本体を袋形状とする等しても良いし、表側および裏側可撓性シート94,96は、第一および第二部材12,14に対して固着されていなくても良い。
次に、図17および図18に、本発明に従うレンズ入り流通用ケースの製造方法に好適に用いられる第三の実施形態としてのレンズ保持部材160を示す。本実施形態におけるレンズ保持部材160は、前記第二の実施形態としてのレンズ保持部材140と略同様の構造とされており、第二部材12の凸状内面44において、前記第二の実施形態における段差部52が形成されていないと共に、球状凸部40において第二連通孔46が複数形成されたものである。
本実施形態から明らかなように、段差部は必ずしも必要ではなく、段差部を備えない本実施形態におけるレンズ保持部材160は、特にハードコンタクトレンズを収容保持した状態で、プラズマ処理等の表面改質処理、グラフト共重合、洗浄処理等に好適に使用される。
また、図19に、本発明に従うレンズ入り流通用ケースの製造方法に好適に用いられる第四の実施形態としてのレンズ保持部材170を示す。本実施形態におけるレンズ保持部材170は、前記第二の実施形態としてのレンズ保持部材140と異なり、複数の第二連通孔46が設けられ、段差部52が形成されていない。更に、前記第二の実施形態における係合突片144,146が形成されておらず、第一部材12に形成された係合孔172と、第二部材14に形成された係合板部174を含んでロック機構が構成されている。
より詳細には、係合孔172は、第一部材12の球状凹部18と開放側端部36の間において、フランジ部20の厚さ方向に貫通する四角孔形状をもって形成されている。一方、第二部材14において、レンズ保持部材170の閉状態で係合孔172と重なる位置には、係合板部174がフランジ部42と一体形成されている。係合板部174は、係合孔172と略等しい形状を有する矩形板形状とされている。図20にモデル的に示すように、係合板部174において互いに対向する一対の端縁部は、フランジ部42に貫設された退避孔176において互いに対向する一対の端縁部に対して、支持薄肉部178を介して一体的に連結されている。これにより、係合板部174は、退避孔176から球状凸部40の突出方向に浮き出すようにして退避孔176において対向する一対の端部間に架設されており、退避孔176の略全体を覆うように配設されている。なお、係合板部174の表面には、手指の滑りを防ぐために図示の如き凹凸が必要に応じて形成される。
さらに、係合板部174における一対の支持薄肉部178の中間部分には、退避孔176に対向する端面が切り欠かれることによって中央薄肉部180が形成されており、係合板部174は、中央薄肉部180において退避孔176に向けて折れ曲がり可能とされている。そこにおいて、係合板部174は、退避孔176に入り込んで折れ曲がり状態とされるようになっており、退避孔176によって、係合板部174の作動許容空間が形成されている。従って、係合板部174は、図20(a)にモデル的に示すように、中央薄肉部180が折れ曲がっていない直線状態と、図20(b)にモデル的に示すように、中央薄肉部180が折れ曲がった屈曲状態の2つの状態が選択的に発現されるようになっている。なお、特に本実施形態においては、退避孔176が長方形とされており、係合板部174が退避孔176の略全体を覆うように配設されているが、退避孔176の形状は、係合板部174の入り込みが可能とされて、係合板部174の作動許容空間が形成されるものであれば、特に限定されない。
そこにおいて、支持薄肉部178が形成された両端面のそれぞれにおいてフランジ部20と反対側の部位には、係合板部174の外方に突出する係合突部182が係合板部174と一体形成されている。一方、係合孔172において、レンズ保持部材170が閉じられた際に係合板部174の係合突部182が形成された面と対向せしめられる内面の第二部材14側の部位には、係合孔172の内方に向けて突出する係合突部184がフランジ部20と一体形成されている。
なお、本実施形態において、係合孔172が形成される第一部材12の開放側端部36は、第一部材12と第二部材14の重ね合わせ状態において、第二部材14の開放側端部62よりも外方に突出せしめられることが好ましい。このようにすれば、第一部材12と第二部材14の重ね合わせ状態において、外方に突出せしめられた第一部材12の開放側端部36をレンズユーザが指で引っ掛けることにより、第一部材12と第二部材14を容易に開くことが出来る。更に、本実施形態においては、第二部材14において開放側端部62と接続する両辺のそれぞれに、第二部材14の内方に窪むくびれ部186が形成されていると共に、くびれ部186には、複数の突条188による滑り止めが形成されており、これにより、第二部材14の把持や係合板部174の折り曲げがより容易とされている。
このような構造とされたレンズ保持部材170においては、係合板部174の屈曲状態下でレンズ保持部材170が閉操作されて、第一部材12と第二部材14が重ね合わされると、係合板部174が係合孔172に嵌め入れられる。そこにおいて、図20(a)に示すように、係合板部174が折れ曲がっていない直線状態とされると、係合板部174の係合突部182と、係合孔172の係合突部184が互いに係合状態とされて、レンズ保持部材170を閉状態に維持するロック状態が発現される。かかるロック状態では、使用者が第一部材12を第二部材14から開放しようとしても第一部材12を開放することが不可能乃至は困難とされて、コンタクトレンズをレンズ保持部材170で収容保持した状態を維持することが出来る。
そして、使用者が係合板部174を退避孔176に向けて押圧し、図19(b)および図20(b)に示すように、係合板部174の中央薄肉部180を折り曲げると、両係合突部182,184の係合状態が解除されて、ロック状態が解除される。この状態で、図19(c)に示すように、使用者が第一部材12と第二部材14を互いに離隔せしめて、レンズ保持部材170を開操作する。これにより、コンタクトレンズ(図示せず)がレンズ保持部材170から露出されて、レンズの取り出しが可能とされる。
なお、本実施形態においては、屈曲状態の係合板部174が入り込む作動許容空間が貫通孔形状の退避孔176によって形成されていたが、かかる作動許容空間は必ずしもフランジ部42を貫通して形成される必要はないのであって、例えば、係合板部174に向けて凹となる陥没部などであっても良い。また、本実施形態において、第一部材12に設けられていた係合孔172を第二部材14に設けると共に、第二部材14に設けられていた係合板部174を第一部材12に設ける等しても良い。
また、図21に、本発明に従うレンズ入り流通用ケースの製造方法に好適に用いられる第五の実施形態としてのレンズ保持部材190を示す。レンズ保持部材190は、前記第四の実施形態としてのレンズ保持部材170において、ヒンジ部16が省略されて第一部材12と第二部材14が互いに分離可能に別体形成されている。そこにおいて、第一部材12は、第二部材14への重ね合わせ状態において、長手方向(図21中、左上から右下方向)における両端部が第二部材14から外方に突出するようにされている。そして、第一部材12の長手方向両端部のそれぞれに前記係合孔172が形成されていると共に、第二部材14の長手方向両端部のそれぞれに前記係合板部174が形成されている。これにより、本実施形態におけるレンズ保持部材190には、係合孔172および係合板部174を含んで構成されるロック機構が一対設けられている。また、一対の係合板部174それぞれの両側に、くびれ部186および突状188がそれぞれ形成されている。
かかるレンズ保持部材190によれば、一対の係合板部174と一対の係合孔172が互いに係合状態とされることによって、第一部材12と第二部材14が重ね合わせ状態に保持される。そして、一対の係合板部174を両方とも屈曲状態とすることによって、第一部材12と第二部材14を互いに分離して、重ね合わせ状態を解除することが出来る。本実施形態によれば、ロック機構が複数設けられていることから、不意に何れかのロック機構が解除された場合でも、第一部材12と第二部材14の重ね合わせ状態を維持することが出来る。そして、本実施形態から明らかなように、第一部材と第二部材は互いに分離可能に別体形成されていても良く、その他の態様としては、例えば凹凸嵌合で互いに分離可能に重ね合わせ状態に保持される構造等としても良い。
また、第一連通孔26および第二連通孔46の具体的な形状や個数は何等限定されないのであって、例えば、図22に示す、本発明に従うレンズ入り流通用ケースの製造方法に好適に用いられる第六の実施形態としてのレンズ保持部材200のように、第一連通孔26を網目状として、前記第一の実施形態におけるレンズ保持部材10と略同様に、球状凹部18を籠形状とする等しても良い。また、本実施形態においては、第二連通孔46は、前記第二の実施形態におけるレンズ保持部材160と同様に、凸状内面44の頂部に円形状をもって一つ形成されており、このように、第一連通孔26と第二連通孔46の形状や個数を第一部材12と第二部材14で互いに異ならせること等も勿論可能である。
次に、図23および図24に、本発明に従うレンズ入り流通用ケースの製造方法によって好適に製造される第三の実施形態としてのレンズ入り流通用ケースに係るコンタクトレンズ流通ケース210およびこれに用いられる、本発明に従うレンズ入り流通用ケースの製造方法に好適に用いられる第七の実施形態としてのレンズ保持部材212をモデル的に示す。
本実施形態におけるヒートシール固着面100の封止端部103,104側には、封止端部103,104に行くに連れて、封止端部103,104に接続する一対の辺部の固着面100が次第に接近せしめられて窄められた窄部214が形成されている。かかる窄部214によって、収容部102における封止端部103、104の延出方向での幅寸法(図23中の上下方向寸法)が、封止端部103,104に行くに連れて次第に小さくされて窄められている。
これにより、流通ケース210が開封された場合には、窄部214によって縁部が構成された袋状部118が形成されるようになっており、図25(a)にモデル的に示すように、かかる袋状部118は、レンズ保持部材212に近い開口部から封止端部103、104側の底部に向けて次第に窄む形状とされる。これにより、保存液116をより確実に貯留することが出来て、流通ケース210の開封に伴う保存液116の零れをより低減することが出来る。即ち、窄部214によって袋状部118の深さ寸法が確実に確保され得て、袋状部118が所定の深さ寸法を有した保存液116を貯留し易い形状をもって発現される。更に、図25(b)中に矢印で示すように、開放端部106,108を互いに離隔する方向に更に引っ張ることによって、レンズ保持部材212を袋状部118から更に浮き上がらせることが出来て、レンズの取り出しを更に容易に行うことも可能とされている。
また、本実施形態におけるレンズ保持部材212には、開操作補助部としての一対の付勢部材216が、ヒンジ部16を挟んだ両側で第一部材12と第二部材14の間に架設されている。付勢部材216は、例えば第一および第二部材12,14と同様の合成樹脂材料やゴム弾性体、或いはアルミニウム等の適当な金属材料を用いて形成された帯形状とされており、図26(a)にモデル的に示すように、自由状態ではアーチ形状とされている。かかる付勢部材216の長手方向両端部が、それぞれ、第一部材12の連結側端部34における外面と第二部材14の連結側端部60における外面に接着や溶着等により固着されている。
そして、図26(b)にモデル的に示すように、レンズ保持部材212が開操作されると、付勢部材216が展張状態とされることによって、付勢部材216に復元力が生ぜしめられる。そこにおいて、第一部材12と第二部材14の開度が所定の開閉臨界角以下の場合には、付勢部材216の復元力がレンズ保持部材212を閉操作する方向の付勢力として作用する一方、開閉臨界角よりも大きい場合には、付勢部材216の復元力がレンズ保持部材212を開操作する方向の付勢力として作用して、図26(c)にモデル的に示すように、レンズ保持部材212を開状態にすると共に、かかる開状態を維持する。本実施形態から明らかなように、開操作補助部は、第一部材12や第二部材14と別体形成されていても良い。
次に、 図27に、本発明に従うレンズ入り流通用ケースの製造方法によって好適に製造される第三の実施形態としてのレンズ入り流通用ケースに係るコンタクトレンズ流通ケース220をモデル的に示す。流通ケース220は、レンズケースとしてのケース部材222として所謂ブリスターケースを用いたものである。なお、図27においては、ケース部材222に収容するレンズ保持部材として、前記第一の実施形態としてのレンズ保持部材10を例に図示しているが、本発明に従う製造方法に用いられる何れのレンズ保持部材も採用可能である。
ケース部材222は、開口部224を有する硬質の容器本体226と、変形容易な可撓性シートとしての蓋シート228によって構成されている。容器本体226は、例えばポリエチレンやポリプロピレンから形成された硬質の部材とされている。一方、蓋シート228は、例えば前記第一の実施形態における表側および裏側可撓性シート94,96と同様の部材から形成された、変形容易な可撓性シートとされる。そして、例えば開口部224の開口周縁部から開口方向と略直角に広がるように形成されたフランジ状部に、蓋シート228がヒートシール等で剥離可能に水密に固着されることによって、容器本体226と蓋シート228の間に収容部230が形成されるようになっている。
このような収容部230内に、レンズ保持部材10が、コンタクトレンズ24の収容状態で保存液116と共に収容されている。従って、本実施形態におけるコンタクトレンズ流通ケース220は、好適には、コンタクトレンズ24を収容保持した状態でコンタクトレンズ24と凹状内面22および凸状内面44に同時に表面処理が施された後のレンズ保持部材10が、開口部224を通じて容器本体226内に保存液116と共に収容された後に、開口部224が蓋シート228で覆蓋されることによって製造されることとなる。なお、本実施形態においては、レンズ保持部材10は、収容部230内に非固定的な自由状態で収容されているが、例えば容器本体226の内底面などの適当な部位にレンズ保持部材10を固着する等しても良い。また、図27においては、第一部材12を第二部材14の鉛直上方に位置せしめた収容状態を示しているが、第一部材12を第二部材14の鉛直下方に位置せしめて収容することも勿論可能である。
このように、ケース部材222として所謂ブリスターケースを採用してコンタクトレンズ流通ケース220を製造することも可能である。そして、このようなレンズ流通ケース220によれば、収容部230内でコンタクトレンズ24をレンズ保持部材10で保護することが出来る。従って、レンズ保持部材10が収容部230内で固定的に収容される場合は勿論、自由状態で収容される場合でも、コンタクトレンズ24の収容部230内での打ち当たりを回避することが出来る。更に、本実施形態によれば、収容部230の壁部の一部が変形容易な蓋シート228で構成されているが、コンタクトレンズ24がレンズ保持部材10で保護されることから、外力等による蓋シート228の変形がコンタクトレンズ24に及ぼされるおそれも回避し得る。
加えて、製造工程において用いられたレンズ保持部材10を、コンタクトレンズ24の収容状態でそのまま保存液116と共に容器本体226に収容して、蓋シート228により開口部224を封止することによって流通ケース220を得ることが可能であり、製造工程に用いられたレンズ保持部材10を流通過程に共通して用いることが可能であることから、製造コストの低減を図ることが可能であると共に、流通ケース220へのコンタクトレンズ24の収容に際してコンタクトレンズ24への直接の機械的な接触も回避出来ることから、コンタクトレンズ24の損傷のおそれをより低減することが出来る。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記各実施形態におけるフランジ部20,42は平板状に形成されているが、互いに重ね合わせ可能であれば、平板状に限定されず、図28にモデル的に示す異なる態様としてのレンズ保持部材240のように、第一部材12および第二部材14を所定の厚さ寸法をもって形成する等しても良い。また、レンズ保持部材240においては、凹状内面22の外周縁部に円筒状面としての外側内周面68が形成されており、このように、外側内周面68を第一部材12に形成することも可能である。但し、外側内周面68や前記周溝66は必ずしも必要ではない。また、前記各実施形態におけるフランジ部20、42は、角部が丸められた略四角形状とされているが、フランジ部20,42の形状は特に限定されるものではなく、三角形や五角形以上の多角形、円形や楕円形、任意曲線の組み合わせ形状等、様々な形状が適宜に採用可能である。
なお、上述の各レンズ保持部材は、レンズケースへの収容状態の説明を省略したものであっても、例えば前記第一および第二の実施形態としてのレンズ保持部材と同様にレンズケースに収容されて、コンタクトレンズ流通ケースとして流通過程にも用いることが可能であることは、勿論である。
また、例えば前記第一の実施形態における流通ケース90において、表側可撓性シート94と裏側可撓性シート96を一枚の可撓性シートで一体成形する等しても良い。
更にまた、例えば前記第一の実施形態における流通ケース90における袋状部118は、表側および裏側可撓性シート94,96が協働して形成されるようになっていたが、表側可撓性シート94の収容陥部112のみで保存液116を貯留するようにして、収容陥部112のみを袋状部として用いることによって、袋状部を何れか一方の可撓性シートのみに形成する等しても良い。