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JP4417077B2 - 多孔質セラミック材及びその製造方法並びにそれを備えたガス分離モジュール - Google Patents
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JP4417077B2 - 多孔質セラミック材及びその製造方法並びにそれを備えたガス分離モジュール - Google Patents

多孔質セラミック材及びその製造方法並びにそれを備えたガス分離モジュール Download PDF

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本発明は、高温安定性に優れた多孔質セラミック材の製造方法に関する。また、得られた多孔質セラミック材とその利用に関する。
気体又は液体の濾過材、触媒担体、或いは、ガス分離材等として、種々の多孔質セラミック材又はセラミック膜が使用されている。これらセラミック材として、高温、例えば、600〜800℃の温度範囲にて使用可能なセラミック膜が触媒膜反応において要求されている。即ち、高温においては反応速度が高められ、その結果、触媒コストが低くなる。多孔質膜として、非特許文献1には、種々の炭素膜、シリカ膜、及びゼオライト膜が記載されている。しかしながら、いずれの膜も高温において十分な安定性及びガス選択性を兼備するものではない。
近年、これらの用途向けの材料として、窒化ケイ素、炭化ケイ素のような、ケイ素を主体とする非酸化物系セラミック材が注目されている。例えば、特許文献1及び2には、窒化ケイ素又は炭化ケイ素を主体とする多孔質支持体又は膜を製造する方法が開示されている。特に炭化ケイ素を主要構成要素とする多孔質セラミック材は、高い強度を有するとともに、高熱安定性に優れており、高温条件下(300℃以上、例えば600〜1000℃)で使用するのに適している。さらに、酸性及びアルカリ性条件下にも化学的安定性に優れている。
例えば、特許文献3〜8及び非特許文献2〜5には、SiCを基材とする膜又は支持体の製造方法が開示されている。特に、非特許文献3及び4では、ポリカルボシランを用いて、熱分解により炭化ケイ素(SiC)膜を製造する方法が開示されている。また、非特許文献5では、ポリ(ジメチルシラン)の熱分解によるSiC膜の製造方法が開示されている。
特開2001−247385号公報 特表2000−502657号公報 特開平10−218996号公報 特開平7−237210号公報 特開平7−101782号公報 特開平10−74520号公報 特開平1−33213号公報 特開2003−2625号公報
Y.S.リン(Y.S.Lin)、「多孔質及び緻密な無機膜:現在の状態及び展望(Microporous and dense inorganic membranes:current status and prospective」」、セパレ−ション・アンド・ピュラフィケイション・テクノロジー(Separationn and Purificationn Technology)25、2001年、p.39−55 ジェン−ヤン・デング(Zhen−Yan- Deng)、「酸化結合技術による高強度多孔質SiCセラミックス(High‐Strength Porous Silicon Carbide Ceramics by an Oxidation-Bonding Technique)」、ジャーナル・アメリカン・セラミック・ソサイティー(J.Am.Ceram.Soc)、85、2002年11月、p.2852−2854 ゾンヤング.リー(Zhongyang Li)、カツキ・クサカベ(Katsuki Kusakabe)、及びシゲハル・モロオカ(Shigeharu Morooka)、「熱安定性アモルファスSi-C-O膜及びその高温でのガス分離適用(Preparation of thermostable amorphous Si-C-O membrane and its application to gas separation at elevated temperatue)」、ジャーナル・オブ・メンブラン・サイエンス(Journal of Membrane Science)118、1996年、p.159−168 カツキ・クサカベ(Katsuki Kusakabe)、ゾン・ヤン・リー(Zhong Yan Li)、ヒデアキ・マエダ(Hideaki Maeda)、シゲハル・モロオカ(Shigeharu Morooka)、「高温でのガス分離に用いられるポリカルボシランの熱分解による支持された複合膜の製造(Preparation of supported composite membrane by pyrolysis of polycarbosilane for gas separation at high temperatue)」、ジャーナル・オブ・メンブラン・サイエンス(Journal of Membrane Science)103、1995年、p.175−180 ラン・ルエン・リー(Lan-Luen Lee)及びダハーシャング・ツァイ(Dah-Shyang Tsai)、「ガス分離用のケイ素−炭素を基材とする無機膜の合成及び透過性(Synthesis and Permeation Properties of Silicon-Carbon-Based Inorganic Membrane for Gas Separation)、インド・エング・ケム・レス(Ind.Eng.Chem.Res.)、第40巻、2001年、p.612−616
非特許文献3の図6には、約800K(約527℃)付近でポリカルボシランを熱分解することによって得られたSi‐C‐O膜の表面積が示されている。Si‐C‐O膜の表面積は、熱分解温度が約900K(約627℃)では約800Kにおける表面積の約半分、約1000K(約727℃)ではゼロに向かって低下している。
また、非特許文献5の図4には、約800K(約527℃)付近でポリジメチルシランを熱分解することによって得られたSi‐C膜の表面積が示されている。約900K(約627℃)よりも高い温度での熱分解により表面積はゼロに向かって急激に低下していることを示している。
このように上述したいずれの非特許文献においても従来のSiC膜は、600℃よりも高い温度において安定ではないことが示されている。よって、上記のように高温、例えば、600〜800℃の温度範囲にて安定なセラミック材、特に膜状セラミック材が要求されている。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温、特に600℃を超える温度において安定な多孔質セラミック材及びその製造方法並びにそれを備えたガス分離モジュールを提供することである。
上記課題を解決するために、本願に係る多孔質セラミック材の製造方法は、数平均分子量が80以上1000未満であることを特徴とするSi及びCを主体とするセラミック前駆体ポリマーを用意する工程と、該前駆体ポリマーを不活性ガス雰囲気下において熱分解する工程とをみ、ここで前記熱分解工程の前に前記セラミック前駆体ポリマーを重合する
この製造方法に用いられるセラミック前駆体ポリマーは、数平均分子量が所定範囲内にある。このセラミック前駆体ポリマーを不活性ガス雰囲気下において熱分解することにより、高温、特に600℃を超える温度において安定なSi及びCを主体とする多孔質セラミック材を得ることができる。即ち、前記セラミック前駆体ポリマーの数平均分子量が前記所定範囲を超えると、高温における安定性が低下し、特に600℃を超える温度において、急激に安定性が低下する。従来用いられてきたセラミック前駆体ポリマーはいずれも数平均分子量が前記所定範囲を超えたものであり、従って、このような高温における安定性は得られていない。
ここで開示される製造方法においては、前記熱分解の前に、前記セラミック前駆体ポリマーを重合する。この重合処理により、得られる多孔質セラミック材におけるフリーカーボンの残留が低減される。このため、より安定な構造を得ることができる。
特に好ましくは、前記重合処理は、酸素含有雰囲気下において行う。重合処理を酸素雰囲気下において行うことにより、典型的には、Oが付加されてポリマーの重合が行われ、特にフリーカーボンの残留低減効果が高い。
また、前記セラミック前駆体ポリマーとしては、質量比(%)で、Si:40〜65質量%、C:30〜50質量%、H:5〜10質量%、O及びN:0〜10質量%の組成比率のものが好ましい。
このような組成のセラミック前駆体ポリマーを使用すると、特に高温安定性に優れる多孔質セラミック材を得ることができる。
さらに、前記セラミック前駆体ポリマーがポリカルボシランを含むことが好ましい。
前記セラミック前駆体ポリマーとしてポリカルボシランを用いることにより、高温で特に安定なSi及びCを主体とする多孔質セラミック材を得ることができる。
特に、前記セラミック前駆体ポリマーの数平均分子量が500以上1000未満であることが好ましい。
特にこの所定範囲の数平均分子量を有するセラミック前駆体ポリマーを用いることにより、得られる多孔質セラミック材の高温安定性をより安定して高めることができる。
好ましくは、前記熱分解温度は700〜1000℃の範囲である。
かかる範囲に熱分解温度を設定して得られる多孔質セラミック材によれば、従来の多孔質セラミック材と比較して、600℃を超える高温、特に前記所定温度において顕著な高温安定性を実現し得る。
また、好ましくは、前記熱分解工程の前に、前記用意したセラミック前駆体ポリマーを支持体の少なくとも一部の表面上に付与する工程を含む。
前記セラミック前駆体ポリマーを支持体に付与することにより、高温、特に600℃を超える温度で安定なセラミック膜を形成することができる。得られる膜は、特にガス分離膜又は触媒担持膜等の用途に好適である。
また、本発明は、少なくとも一部がSi及びCを主体とする多孔質部であり、その多孔質部の700℃における水素/窒素分離係数が少なくとも4であり、表面積が少なくとも100m/gである多孔質セラミック材を提供する。特に好ましくは、その多孔質部の700℃における水素/窒素分離係数は少なくとも4であり、表面積は少なくとも150m/gである。尚、ここで、表面積とは、窒素吸着によるBET等温吸着式により得られた表面積値をいう。
本発明に係る多孔質セラミック材は、多孔質部がSi及びCを主体として構成されているとともに、700℃における水素/窒素分離係数及び表面積が所定範囲を保持している。このような多孔質セラミック材は、ここで開示の方法によって製造し得る。例えば、熱分解温度を700℃とすることにより、700℃における安定性に優れ、高温使用に好適なセラミック材が製造され得る。
また、好ましくは、前記多孔質部は、Siが40〜65質量%、Cが30〜50質量%、Hが5〜10質量%、Oが0〜25質量%、及びNが0〜10質量%の組成比率のセラミック体により構成される。前記多孔質部は、前記所定の組成で構成されることにより、特に高温安定性に優れる。
好ましい多孔質セラミック材として、前記多孔質部が、支持体の少なくとも一部の表面上に膜状に形成されたセラミック材が本発明によって提供される。前記多孔質部が支持体上に膜状に形成されていることにより、ガス透過性及び選択性が向上する。このため、特にガス分離又は触媒担持等の用途に好適である。
また、本発明は、ガス分離モジュールを提供する。
即ち、上記課題を解決するために本願に係るガス分離モジュールは、前記多孔質セラミック材をガス分離材として備えている。
前記多孔質セラミック材をガス分離材として備えることにより、高温における安定性に優れ、特に高温におけるガス分離に好適に用いることができる。特に水素の選択的分離に好適に用いることができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えばセラミック前駆体ポリマーの数平均分子量及び熱分解雰囲気等)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明の実施に用いられるセラミック前駆体ポリマーは、Si及びCを主体とする。他の成分としては、H及びOが挙げられる。また、N、B、又はTi等を組成成分として含むことができる。特に、Si:40〜65質量%、C:30〜50質量%、H:5〜10質量%、O及びN:0〜10質量%の割合で構成されたものが好ましい。より好ましくは、Si:45〜60質量%、C:35〜45質量%、H:5〜10質量%、O及びN:0〜5質量%の組成比である。特に好ましくは、その組成比は、Si:45〜55質量%、C:35〜45質量%、H:5〜10質量%、O及びN:0〜3質量%である。尚、使用するポリマーは、不純物を伴うものでもよい。
特に好ましいセラミック前駆体ポリマーとして、ポリカルボシランが挙げられる。例えば、ポリカルボシランを主成分(例えば、50質量%以上)とするか、或いは実質的にポリカルボシランのみから構成されたポリマー材料が好ましい。好適なポリカルボシランの具体的構造としては、次式
Figure 0004417077
Figure 0004417077
Figure 0004417077
なる基本構造単位を有するものが挙げられる。ここで、R1及びR2は、それぞれ独立に互いに同じであっても異なっていてもよく、炭素数が1〜10のアルキル基を示す。次式
Figure 0004417077
なる基本構造単位を有するものが特に好ましい。ここで、nは、好ましくは5〜23、より好ましくは10〜23、さらに好ましくは14〜21である。
セラミック前駆体ポリマーの数平均分子量は、80以上1000未満であることが適当である。好ましくは数平均分子量は、100以上1000未満であり、より好ましくは300以上1000未満であり、さらに好ましくは500以上1000未満であり、特に好ましくは600以上900以下である。
また、セラミック前駆体ポリマーの密度は、特に限定されず、いずれの密度であっても良いが、通常0.1〜5g/ml、好ましくは0.5〜5g/ml、特に0.8〜3g/mlである。
セラミック前駆体ポリマーは、2種以上の異なるポリマーを組み合わせて用いても良いが、好ましくは、1種のみ単独なポリマーを用いる。
用途により、前記セラミック前駆体ポリマーは、支持体の少なくとも一部の表面上に付与(塗布)してもよい。このことにより、支持体上に薄膜で高温安定性に優れるセラミック多孔質膜を形成することができ、特にガス分離膜又は触媒担持膜等として好適に使用することができる。
支持体としては、従来公知のいずれの支持体を適宜選択して用いることができる。好ましい具体例として、セラミック支持体、例えば、SiC、Si、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア及びムライト等が挙げられる。このうち、高温安定性の高いアルミナ、SiC、Si等が好ましく、膜と同一の材料であるSiCが収縮率等の観点から特に好ましい。
支持体は、通気性が良好であるため、通常多孔質であり、好ましくは平均細孔径が4〜10000nm、より好ましくは10〜5000nm、さらに好ましくは30〜1000nmである。
支持体に付与する手段としては、従来公知の手段から適宜選択することができる。具体的には、溶剤、例えば、水、トルエン、キシレン、アルコール、ベンゼン、ヘキサン等に前記セラミック前駆体ポリマーを溶解した溶液を支持体に塗布することができる。溶液の塗布手段としては、従来公知のいずれの塗布手段から適宜選択されるが、浸漬(ディッピング)、刷毛による塗布、ロールコーティング、スプレーコーティング等が挙げられる。特に、浸漬は容易で均一にポリマーを支持体表面に付与することができるために好ましい。溶液中におけるセラミック前駆体ポリマーの濃度は、特に限定されないが、通常1〜80質量%、好ましくは5〜50質量%、特に10〜30質量%である。この範囲の濃度の溶液を用いることにより、均一で薄いセラミック膜を容易に形成することができる。
次いで、セラミック前駆体ポリマーを、熱分解前に、所定の時間重合するとよい。重合処理は、不活性雰囲気又は酸素含有雰囲気下に、所定の温度、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜400℃、特に好ましくは200〜300℃で行われる。処理時間は、通常1〜20時間、好ましくは2〜10時間、より好ましくは3〜8時間程度行われる。また、重合触媒を用いることもできる。重合触媒としては、例えば、ニッケル、パラジウム、ロジウム等が挙げられる。
特に重合は、酸素含有雰囲気下(例えば大気中)に行うことが好ましい。このことにより、ポリマー構造中に酸素原子を導入することができる。典型的には、当該O原子を架橋原子として、ポリマーの重合が行われ得る。本発明によれば、出発原料となるセラミック前駆体ポリマーの数平均分子量が所定範囲であれば、その後に重合させても高温における安定性に優れている。酸素濃度は特に限定されないが、通常大気中にて行われる。
尚、支持体の表面上にセラミック前駆体ポリマーを付与(塗布)する場合に、前記重合処理は、セラミック前駆体ポリマーの付与後又は付与前のいずれにおいて行ってもよい。作業性が良好であることから、付与後、すぐに行うことが好ましい。
次に、セラミック前駆体ポリマーを熱分解する。熱分解温度は、セラミック前駆体ポリマーが分解されるに必要な温度であって、特に限定されないが、通常300〜1200℃、好ましくは500〜1000℃、特に700〜1000℃である。本発明によれば、このような高温においても得られる多孔質セラミック材は安定であり、高い表面積値と多孔性等を実現することができる。
熱分解スケジュールは、微細孔に富む多孔質セラミック材が最終的に形成されればよく、その条件(例えば昇温速度や加熱継続時間)は特に限定されない。好ましくは、ほぼ200〜400℃の間に中間保持温度を設定する。そして、加熱開始温度域(常温域)から中間保持温度まで好ましくは10℃/分以下(より好ましくは5℃/分以下、さらに好ましくは3℃/分以下)の昇温速度で加熱し、その中間保持温度で好ましくは少なくとも30分間、より好ましくは1時間、さらに好ましくは少なくとも3時間保持する。その後に熱分解温度まで好ましくは5℃/分以下(より好ましくは3℃/分以下、特に好ましくは1℃/分以下)の昇温速度で加熱する。熱分解温度が600℃を超える場合には、600℃よりも高い温度において好ましくは0.8℃/分以下、より好ましくは0.5℃/分以下の昇温速度で加熱する。熱分解温度に達した後は、この温度域(典型的には熱分解温度温度±25℃)で好ましくは30分間〜5時間、より好ましくは1〜3時間保持する。このような条件で加熱処理を行うことにより、全体に均質な微細孔に富むセラミック膜を安定的に形成することができる。なお、中間温度域での保持は、1回に限られない。2回又は3回以上行ってもよい。
熱分解温度域で所定の時間保持した後、100℃以下、典型的には室温域(5〜35℃)まで被加熱材料(多孔質セラミック材)を冷却する。実質的に欠陥の認められない微細孔に富むセラミック材を得るためには、徐々に冷却するとよい。例えば、0.2〜5.0℃/分程度の冷却速度が適当であり、概ね0.5〜2℃/分(多少の誤差は許容される)の平均冷却速度が好ましい。
また、熱分解温度を600℃を超える温度に設定する場合には、加熱過程において昇温速度を変化させてもよい。高温になるほど昇温速度を遅くすることが好ましい。例えば、常温から500〜600℃(又は650℃)までは1〜2℃/分(好ましくは1℃/分)程度の昇温速度とし、600℃(又は650℃)を越えてからはそれまでの昇温速度の30〜70%(好ましくは40〜60%)の昇温速度が好ましい。例えば600℃(又は650℃)まで1℃/分程度の昇温速度で加熱した場合は、それ以降の高温域では0.3〜0.7℃/分(好ましくは0.4〜0.6℃/分)程度の昇温速度で加熱するとよい。このような昇温スケジュールによると、多孔質セラミック材生成の過程における欠陥(例えば膜のクラック)の発生をより高率に回避することができる。
熱分解雰囲気としては、不活性雰囲気であることが好ましい。不活性雰囲気中において熱分解することにより、得られる多孔質セラミック材が安定なSiとCとを主体とし(又は予めセラミック前駆体ポリマーに酸素付与した場合にはさらにOを主体として含み得る)、不純物の混入を防止することができ、特に高温での安定性に優れる。不活性雰囲気としては、窒素雰囲気又は希ガス、例えばアルゴン雰囲気が挙げられる。これらは特に脱酸素処理されていることが好ましい。
次に、本発明に係る多孔質セラミック材について説明する。
ここで開示される多孔質セラミック材は、少なくとも一部がSi及びCを主体とする多孔質部である。このため、特に高温における安定性に優れる。特に、多孔質部の組成比は、Siが40〜65質量%、Cが30〜50質量%、Hが5〜10質量%、Oが0〜25質量%、及びNが0〜10質量%であることが好ましい。より好ましい組成比は、Siが40〜60質量%、Cが30〜45質量%、Hが5〜10質量%、Oは0〜20質量%、及びNが0〜5質量%である。特に好ましくは、Siが45〜55質量%、Cが35〜45質量%、Hが5〜10質量%、Oが0〜15質量%、及びNが0〜3質量%である。
具体的構造としては、次式
Figure 0004417077
Figure 0004417077
Figure 0004417077
なる基本構造単位を有するもの、又は
Figure 0004417077
Figure 0004417077
Figure 0004417077
なる基本構造単位を有するものが挙げられる。ここで、R1及びR2は、それぞれ独立に互いに同じであっても異なっていてもよく、炭素数が1〜10のアルキル基を示す。このうち特に、次式
Figure 0004417077
なる基本構造単位を有するものが好ましい。ここで、nは、好ましくは2〜100、より好ましくは5〜50、さらに好ましくは10〜30である。又は次式
Figure 0004417077
なる基本構造単位を有するものが好ましい。ここで、nは、好ましくは2〜100、より好ましくは5〜50、さらに好ましくは10〜30である。尚、組成比率は、セラミック前駆体ポリマーの種類及び熱分解条件に依存する。
本発明の実施によって得られるセラミック材(例えば700℃において熱分解したもの)の多孔質部は、典型的には700℃における水素/窒素分離係数が少なくとも4、好ましくは少なくとも5(例えば、5〜25)、特に好ましくは少なくとも10(例えば、10〜25)であることを特徴とする。また、700℃における水素透過率が好ましくは1×10−7モル/m・s・Pa以上、より好ましくは5×10−7モル/m・s・Pa以上、さらに好ましくは8×10−7モル/m・s・Pa以上、特に好ましくは10×10−7モル/m・s・Pa以上である。さらに、表面積が好ましくは少なくとも100m/g、より好ましくは150m/g、さらにより好ましくは200m/g、特に好ましくは250m/g、最も好ましくは300m/gである。また、BET法に基づく平均細孔径は、通常0.05〜5nm、より好ましくは0.1〜3nm、さらに好ましくは0.3〜1nmである。
このため、600℃を超える高温、特に700℃程度、又は700℃を超える温度においても安定した性状を有している。好ましくは、600℃を超える温度から1000℃以下の高温域において、典型的には700℃〜900℃において、例えば700℃〜800℃において安定である。従って、ここで開示される多孔質セラミック材は、特に高温で使用されるガス分離モジュールにおいて改質ガスから選択的に特定のガス、特に水素を効率よく分離するためのガス分離材として適用することができる。例えば、スチーム/ガソリンを使用する改質器における水素分離材、メタンスチームリフォーミング、水素精製装置等として好適に用いることができる。
好ましくは、ここで開示されるSiCベースの多孔質セラミック材は、水熱安定性にも優れている。即ち、500℃で水熱条件下、例えばH:HO(モル比1:1)混合雰囲気下に5時間保持後にも表面積の変化率(低下率)が0〜10%、好ましくは0〜5%である。尚、ここで表面積の変化率とは、もとの表面積に対する水熱条件下に減少した表面積の割合をいう。
好ましい多孔質セラミック材は、ガス分離能を有する平均細孔径(好ましくは上述した範囲)の多孔質部と多孔質支持体を備えたものであり、特に好ましくはその多孔質部は、支持体の少なくとも一部の表面上に膜状に形成されている。膜厚は、4nm〜10μm、好ましくは4nm〜1μm、より好ましくは4nm〜0.2μmである。
尚、好適な支持体については、前記製造方法において記載したものと同様であるため、その説明を省略する。
以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<多孔質セラミック材の製造1>
日本カーボン株式会社から市販入手可能な異なる3種類のポリカルボシラン前駆体サンプルA、B及びCを用いた。基本構造単位は、全ての場合において次式のように示される。
Figure 0004417077
これらサンプルの特性を表1に示す。表1から明らかなように、いずれのサンプルも化学構造においてほぼ同一であるが、分子量が互いに異なることがわかる。
Figure 0004417077
市販のトルエン(純度:99.9%、関東化学株式会社製)80質量%中に、20質量%のサンプルA、B又はCを溶解した。この溶液5mlを株式会社ニッカトー製SSA−Sアルミナ坩堝に入れた。次いで、サンプルを加熱炉中に挿入し、加熱炉内を真空に保持した。加熱炉に100〜150ml/分の速度でNガスを流通させ、流量安定性と漏れを確認した。室温で約30分間保持し、加熱炉の加熱を始めた。以下の昇温スケジュールでそれぞれサンプルをN中において400℃、525℃、600℃、650℃、725℃、又は800℃に加熱し、熱分解した。
最高加熱温度が650℃未満の場合、まず、250℃まで3.5時間かけて加熱し、この温度で3時間保持した。次いで、1℃/分の昇温速度で最終(最高)温度まで加熱し、1時間保持した。その後、1℃/分の速度で室温まで冷却した。
一方、最高加熱温度が650℃以上の場合、まず、250℃まで3.5時間かけて加熱し、この温度で3時間保持した。次いで、6時間かけて600℃まで加熱した。さらに、0.4℃/分の昇温速度で最終(最高)温度まで加熱し、1時間保持した。その後、1℃/分の速度で室温まで冷却した。
その後、サンプルを取り出し、迅速にプラスチックバッグに移した。そして、3日間以内にN吸着により表面積測定を行った。約100mgのサンプルをこの測定に用いた。表面積は、BET吸着等温式を用いて計算した。結果を図1に示す。
図1から明らかなように、700℃以上の高い熱分解温度においても、サンプルCは、他のサンプルに比べて高い表面積、即ち多孔性を得ることができた。725℃及び800℃で熱分解したサンプルCの細孔径は、約0.6nmであった。また、725℃における表面積は277.4m/gであった。従って、前駆体の分子量を制御することによって、即ち、分子量が800であるサンプルCを用いることによって、600℃を超える温度においても熱安定性に高く、高い表面積を有する多孔質SiCを得ることができた。
<多孔質セラミック材の製造2>
本実施例では、前記サンプルCを用い、酸素含有雰囲気下で重合後に、650℃又は725℃においてN雰囲気下に熱分解した。
市販のトルエン(純度:99.9%、関東化学株式会社製)80質量%中に、20質量%のサンプルCを溶解した。この溶液5mlを株式会社ニッカトー製SSA−Sアルミナ坩堝に入れた。次いで、サンプルを加熱炉中に挿入し、大気中においてまず、250℃まで3.5時間かけて加熱し、この温度で3時間保持し、重合させた。
次いで、加熱炉内を真空に保持した。加熱炉に100〜150ml/分の速度でNガスを流通させ、流量安定性と漏れを確認した。約30分間保持し、6時間かけて600℃まで加熱した。さらに、0.4℃/分の昇温速度で最終(最高)温度まで加熱し、1時間保持した。その後、1℃/分の速度で室温まで冷却した。
その後、サンプルを取り出し、迅速にプラスチックバッグに移した。そして、3日間以内にN吸着による表面積測定を行った。約100mgのサンプルをこの測定に用いた。表面積は、BET吸着等温式を用いて計算した。結果を表2に示す。また、非特許文献3及び非特許文献5の結果をあわせて示し、これらと比較した。
Figure 0004417077
表2から明らかなように、250℃において大気(酸素含有雰囲気)中に重合後に熱分解した多孔質セラミック材であっても、前駆体の分子量が1000未満であるサンプルCを用いると、650℃、及び725℃の高い熱分解温度においても、他の非特許文献に比べて高い表面積、即ち多孔性を得ることができた。
<水熱安定性試験>
前記実施例2において725℃で熱分解したサンプルを用いて、水熱安定性試験を次のように行った。
サンプルをモジュール中に保持し、始めに500℃まで加熱した。H:HO混合物をチューブ中に流した。尚ここで、Hの流量は50ml/分、HOの注入量は0.04ml/分であり、そのモル比は1:1であった。注入圧は、0.4MPaであった。出口圧は、0.2〜0.4MPaに保持した。サンプルをこの状態で5時間保持した。サンプルを真空下に冷却し、BET及びFTIRにより試験を行った。この試験の結果を試験前に測定した結果と比較した。
水熱試験後にBETにより測定されたサンプルの表面積は、試験前のもとの177.3m/gから減少は見られなかった。また、サンプルのFTIRスペクトルは、水熱試験前と試験後においてスペクトルの変化は認められなかった。
この結果から、前駆体の分子量が1000未満であるサンプルCを用いると、725℃の高温で熱分解したものは、多孔質で熱安定性に優れるとともに、水熱安定性にも優れていることが判る。
<多孔質膜の製造>
本実施例では、前記実施例1におけるサンプルCを用いて、アルミナ管を塗布して多孔質膜を製造した。
市販のトルエン(純度:99.9%、関東化学株式会社製)80質量%中に、20質量%のサンプルCを溶解した。アルミナ管は、60nmの細孔径を有するものを用意した。このアルミナ管に前記サンプルCのトルエン溶液をディッピングにより塗布した。次いで、このアルミナ管をを加熱炉中に挿入し、大気中においてまず、250℃まで3.5時間かけて加熱し、この温度で3時間保持し、重合させた。
次いで、加熱炉内を真空に保持した。加熱炉に100〜150ml/分の速度でNガスを流通させ、流量安定性と漏れを確認した。約30分間保持し、6時間かけて600℃まで加熱した。さらに、0.4℃/分の昇温速度で750℃まで加熱し、1時間保持した。その後、1℃/分の速度で室温まで冷却した。アルミナ管表面上に形成された多孔質膜の厚さは約0.5μmであった。
<ガス分離モジュールの作製及びガス分離特性の評価>
前記実施例4において得られた多孔質膜付アルミナ管(管形状多孔質セラミック材。以下「ガス分離モジュール10」という。)を用いて、改質器1を構築し、当該ガス分離モジュール10のガス分離特性、即ち水素透過率及び窒素透過率ならびに水素/窒素分離係数を評価した。
先ず、図2に示すような改質器1を作製した。この図に示すように、本実施例に係る改質器1は、大まかにいって、筒状のステンレス製チャンバー2と、SiCを主体とする多孔質膜12が表面部に形成されたアルミナ支持体14を本体とするガス分離モジュール10と、改質用触媒18とから構成される。
チャンバー2には、別途、ガス供給管3と、ガス排出管4とが設けられている。また、チャンバー2の周囲には図示しないヒーターおよび断熱材が設けられており、チャンバー2内部の温度を室温〜1200℃の範囲でコントロールすることができる。また、かかるチャンバー2内部のガス分離モジュール10の周囲の空間部(改質器では水素生成部に相当する部位)20には、種々の改質用触媒18を充填することができる。なお、本実施例に係る評価試験では、触媒18をチャンバー2内に充填せずに行った。
図示されるように、ガス分離モジュール10の一端は金属製キャップ5によってシールされており、当該端部から中空部16へのガスの流入を防止している。また、ガス分離モジュール10の他端側には、ジョイント管30が取り付けられている。図示するように、ジョイント管30の開口先端部(透過ガス排出口6)はチャンバー2の外部に露出した状態とした。さらに、ガス分離モジュール10の外周面における多孔質膜(即ちSiCを主体とするガス分離膜)12の端の部分(即ちジョイント管取付部分の近傍)には、高温シール材を挿入してメカニカルシールした。
ジョイント管30の透過ガス排出口6と接続するガス排出側流路には図示しないガスクロマトグラフが装備されており、そこを流れるガス濃度を測定し、その測定データをコンピュータシステムによって自動バッチ処理で解析することができる。
チャンバー2のガス供給管3は外部ガス又は水蒸気等の供給源に接続しており、当該ガス供給管3を介してチャンバー内の空間部20に水素、窒素等の測定用ガスや水蒸気を供給することができる。なお、空間部20のガスはガス排出管4から外部に排出される。
而して、かかる系において、ガス分離モジュール10の水素透過率、窒素透過率ならびに水素/窒素分離係数を次のようにして評価した。すなわち、図示しない水素供給源および窒素供給源から所定の流量で水素及び窒素をチャンバー2内に供給した。このとき、ガス分離膜12の内外の差圧が約2×10Pa(約0.2atm)となるようにした。
かかる評価試験は、チャンバー2内の温度を150℃に上げ、本実施例に係る改質器1のガス分離モジュール10について高温時における水素分離特性を評価した。
具体的には、適宜ヒーターを作動させてチャンバー2内の温度制御を行いつつ、上記差圧を生じさせた状態で水素及び窒素をそれぞれチャンバー2内に供給した。而して、セッケン膜流量計(図示せず)によって透過側(即ち透過ガス排出口6と接続するガス排出側流路)の流速を測定した。なお、水素および窒素それぞれのガス透過率は次の式「Q=A/((Pr−Pp)・S・t)」から算出した。ここでQはガス透過率(permeation:モル/m2・s・Pa)、Aは透過量(mol)、Prは供給側即ちチャンバー2内の空間部20の圧力(Pa)、Ppは透過側即ちガス分離モジュール10の中空部16の圧力(Pa)、Sは断面積(m)、tは時間(秒:s)を表す。また、水素/窒素分離係数(H2/N2 selectivity)は、水素透過率と窒素透過率との比率すなわち式「α=QH2/QN2」から算出できる。ここでαは水素/窒素分離係数(透過係数比)、QH2は水素透過率、QN2は窒素透過率を表す。
本実施例に係るガス分離モジュール10は、8×10−7モル/m2・s・Paと高い水素透過率を示すとともに、窒素透過率は1.2×10−7モル/m2・s・Paと低かった。この結果、6.7という優れた水素/窒素分離係数を示した。この結果は、本実施例に係るガス分離モジュールが150℃という高温条件下でも高い水素選択的分離特性を有することを示唆するものである。この結果は、クヌッセン通過による水素/窒素分離係数3.74と比べて、優れている。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
一実施例に係る多孔質セラミック材の熱分解温度に対する表面積値の関係を示すグラフである。 一実施例に係る管状多孔質セラミック材(ガス分離モジュール)を備えた改質器の構造を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1・・改質器
2・・チャンバー
10・・ガス分離モジュール(管状多孔質セラミック材)
12・・ガス分離膜
14・・支持体

Claims (7)

  1. 数平均分子量が80以上1000未満であることを特徴とするSi及びCを主体とするセラミック前駆体ポリマーを用意する工程と、
    該前駆体ポリマーを不活性ガス雰囲気下において熱分解する工程と、
    を含み、
    前記熱分解工程の前に、前記セラミック前駆体ポリマーを重合する、多孔質セラミック材の製造方法。
  2. 前記重合処理は、酸素含有雰囲気下において行う、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記セラミック前駆体ポリマーは、Si:40〜65質量%、C:30〜50質量%、H:5〜10質量%、O及びN:0〜10質量%の割合で構成されている、請求項1または2記載の製造方法。
  4. 前記セラミック前駆体ポリマーがポリカルボシランを含む、請求項1〜3のうちのいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記セラミック前駆体ポリマーの数平均分子量が500以上1000未満である、請求項1〜4のうちのいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記熱分解温度が700〜1000℃の範囲である、請求項1〜5のうちのいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記熱分解工程の前に、前記セラミック前駆体ポリマーを支持体の少なくとも一部の表面上に付与する工程を含む、請求項1〜6のうちのいずれかに記載の製造方法。
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