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JP4419191B2 - 繊維切断刃及びそれを具備する切断装置 - Google Patents
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JP4419191B2 - 繊維切断刃及びそれを具備する切断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス繊維の製造工程で使用される繊維切断刃とそれを具備した切断装置に関する。
ガラス繊維製品は、各種の無機ガラス原料を高温に溶融して均質な状態とした後に、白金製ブッシング底部に設けられた複数のノズルからガラスを引き出して連続したモノフィラメントとして紡糸し、水スプレーで急速冷却し、更に集束剤を被覆して数百から数千本を集束することでストランドを形成し、これをワインダーで巻き取ってケーキと呼称される粗糸巻きを形成し、各種の用途に使用されている。
ガラスチョップドストランドは、前記のケーキからストランドを解除し、ストランドを引き揃えた後にロービングカッター等の切断装置によって連続的に所定長に切断することで得られる。このチョップドストランドは、分散装置に供給されてチョップドストランドマットやペーパー、テープ等に加工される、あるいはFRTP(Fiberglass Reinforced Thermoplastics)、FRP(Fiberglass Reinforced Plastics)、GRC(Glassfiber Reinforced Cement)等の骨材(あるいは、フィラー、添加材、補強材、補強剤等とも呼ばれる)として使用するため、集積された状態で梱包されて製品となる。
ケーキ等のガラス繊維をガラスチョップドストランドに切断する切断刃については、安定した品位を有するガラスチョップドストランドを得るために重要な部材であるため、これまで各種の改善が行われてきた。例えば特許文献1では、切断刃が圧接するゴムロールの強度を増加するため、ゴムロールの材質を複合材料としたものが考案されている。また特許文献2では、刃部1と基体部2のビッカース硬度の比率を限定することによって刃の磨耗を少なくし、長時間に亘って使用することのできるという発明がなされている。また、特許文献3では、刃部1と基体部2の接合層3を介する接合により構成される繊維切断刃の刃部長さと基体部長さの比率とを限定することによって刃の破損を抑止することができるという発明が開示されている。さらに、特許文献4では、刃部1と基体部2の溶接による残留歪を緩和する構造についての発明が開示されている。特許文献5では、刃部1のビッカース硬度をさらに向上させて2000以上とし、特許文献6では高い硬度を有する刃部1との接合が容易となる基体部2についての発明が開示されている。
実開平05−96033号公報 特開2002−355788号公報 特開2002−361590号公報 特開2002−370192号公報 特開2003−53693号公報 特開2003−266370号公報
しかし、これまで行われてきた切断刃についての改善だけでは充分なものではない。切断刃は、一般に刃先形状がその断面の片側のみが傾斜面である片刃が使用されている。そしてこのような片刃形状の切断刃は、その形状が厚み方向について対称形状ではないため、刃部と基体部とを溶接する時に加熱による残留応力が発生した場合、刃先部または底部が歪んでしまう問題がある。この歪を解消するために刃の底部を調整しながらの研磨加工が必要になる。しかし、刃先を均等に研磨することが熟練した作業者が行っても困難なものとなる場合があり、発生する刃部の歪は刃中央部の刃歪量が最大となる位置で0.35mmにまでなることもあって、刃の使用における耐用期間を縮める原因ともなっていた。
本発明者らは、係る状況に鑑み、ガラス繊維の切断において、長時間に亘り安定した切断加工を実現することのできる繊維切断刃と、該繊維切断刃を備えたガラス繊維切断装置を提供することを課題とする。
本発明の繊維切断刃は、ガラス繊維を切断する刃部と基体部の固着された繊維切断刃であって、前記基体部が炭素工具鋼からなり、前記刃部の刃先が両刃形状であり、該両刃の頂角をγとし、刃幅に垂直な断面における該両刃の刃先頂点と刃底部辺長さの等分割点とを連結する直線である刃軸線によって該頂角γが分割される2つの刃先断面傾斜角度の一方をα、他方をβとしたとき、|α−β|÷γ≦0.10の関係が成立することを特徴とする。
ここで、ガラス繊維を切断する繊維切断刃であって、刃部の刃先が両刃形状であるとは、ガラス繊維、無機ガラスを切断して例えばガラスチョップドストランドのような短繊維とする切断刃の形状が、刃の幅に対して90°をなす刃の断面方向を見ると刃の両側に傾斜部、すなわちテーパー部を有し、従来使用されてきた片刃が2枚張り合わされたような外観を呈する両刃形状、あるいは諸刃形状であることを意味している。
また、該両刃の頂角をγとし、刃幅に垂直な断面における該両刃の刃先頂点と刃底部辺長さの等分割点とを連結する直線である刃軸線によって該頂角γが分割される2つの刃先断面傾斜角度の一方をα、他方をβとしたとき、|α−β|÷γ≦0.10の関係が成立するとは、前記した両刃の頂角の角度をγとし、刃先の頂点と刃の底部辺の長さを2等分する内分点との連結線分(この線分による仮想的な「軸」を便宜上、「刃軸線」と呼ぶ。またこの「軸」、「線」という呼び方は、平面内での説明であるために使用するが、本来は立体形状であるため「軸」は紙面に垂直な「面」であり、「線」も「面」である。しかしこの2つの表現についても、便宜上このような表現を用いる。)によって、γが分割されて生じる2つの刃先断面傾斜角度の値を、それぞれα、βと表したときにαとβの差の絶対値を両傾斜角の和であるγで除した値が、0.10、すなわち1割以下の比率となることを意味している。
ここで、傾斜角は、以下のように定義できる。傾斜角については、図2に示した概念図で説明を行う。この図は、両刃の片側の傾斜面の断面の一部だけを模式的に表したものである。ここでPは刃先の頂点、Rは刃先傾斜部の終点、Zは刃軸線上に存在し、Rから刃軸線上に降ろした垂線と刃軸線との交点、Laは、PからZまでの寸法であり、両刃の一方の刃先傾斜部の刃軸線に平行な寸法、Jaは傾斜部長さ、WaはRからZまでの寸法を表している。一方側の傾斜角αについては、一方側の刃先傾斜部に相当する刃先先端Pからの刃軸線に平行な一方側の長さ(この長さを一方側の切刃寸法と呼称する)であるLaを底辺とし、頂点から刃軸線の一方側の切刃寸法までの位置、すなわちZから刃軸線に対して垂直な線が一方側の傾斜部と交差する点、すなわちRまでの寸法Waを高さとして形成される三角形について、三角関数の逆正接として算出できる角度のことである。図中で示すならば、RPの線分とPZの線分によって形成される鋭角である。よって他方側についても同様に傾斜角は他方側の刃先傾斜部に相当する刃先先端からの刃軸線に平行な一方側の長さ(この長さを一方側の切刃寸法と呼称する)を底辺とし、頂点を起点として刃軸線の他方側の切刃寸法までの位置から刃軸線に対して垂直な線が他方側の傾斜部と交差するまでの距離を高さとして形成される三角形について、三角関数の逆正接として算出できる角度のことである。よって両刃角度値は、この一方側の傾斜角と他方側の傾斜角の和として表せる角度である。
また、切刃の傾斜部、すなわちテーパー部の断面形状はかならずしも直線である必要はない。すなわち、テーパー部の断面形状は曲線であっても支障はなく、刃軸に対して外側に凸形状であっても、刃軸に対して外側に凹形状であってもよい。そして一方側の切刃のテーパー部については、一方側の刃先傾斜部に相当する刃先頂点からの切刃寸法を曲率半径として描かれる円弧よりも曲率半径が大きければよい。また同様に他方側についても、他方側の刃先傾斜部に相当する刃先頂点からの切刃寸法を曲率半径として描かれる円弧よりも曲率半径が大きければよい。
一方側テーパー部も他方側テーパー部も刃軸に対して外側に凸形状である場合には、ナイフや包丁の呼称と同様にハマグリ型刃あるいはコンベックスグラインドと呼んで区別し、また一方側テーパー部も他方側テーパー部も刃軸に対して外側に凹形状である場合には、内外R形状あるいはホローグラインドと呼んで区分する。さらに、テーパー部が直線形状の場合は、ストレイトグラインドと呼ぶこととする。
コンベックスグラインドとホローグラインドには、いずれも一長一短があるため、どちらが最適とは決められない。よって使用条件や切断する繊維の寸法、さらに繊維の断面形状や繊維の材質等の各種要因を検討の上、選択することが可能である。また、ストレイトグラインドに近い形状とすることによって、刃の研磨作業自体は他の形状より容易なものとなるので、この点を第一と考える場合にはストレイトグラインドに近い形状とすることが好適である。
また、刃先断面の対称性という観点から、該両刃の頂角をγ、刃幅に垂直な断面において該両刃の刃先頂点と刃底部辺長さの等分割点とを連結する直線(刃軸線と呼称する)によって該頂角γが分割された2つの刃先断面傾斜角度の一方をα、他方をβとしたとき、|α−β|÷γ≦0.10の関係が成立するのが好ましく、より好ましくは比率が0.08以下とすることであって、さらに好ましくは比率が0.07以下とすることであって、一層好ましくは比率が0.06以下とすることであり、最も好ましくは比率が0.058以下とすることである。
また、このような刃先の傾斜角に関し、形状として限定を設けるのは、例えばガラスチョップドストランドに切断する工程において、対称形に近い形状の刃先を有する切断刃であるほど、切断に際して、切断刃のテーパー部に印加される応力値が近い値となるため、経時的に長期に亘る切断刃の使用によって生じる切断刃の磨耗等に偏りが生じることがなく、安定したガラスの切断品位を長期間維持し続けることが可能となるためである。
コンベックスグラインド、ホローグラインドそしてストレイトグラインドの刃先断面形状に加え、一方側テーパー部が刃軸に対して外側に凸形状、他方側テーパー部が刃軸に対して内側に凹形状とする形状も研磨加工することはできる。しかしながら、このような形状とすることは、刃の断面形状が対称形状から逸脱した形状となることによって、溶接時の残留歪みを大きくするばかりでなく、刃先の耐久性という観点からも機械的な強度が弱くなる危険性が高くなるので、好ましくない。
以上のような観点からコンベックスグラインドやホローグラインドの刃先湾曲形状を採用する場合についても、一方側のテーパー部の湾曲の曲率半径の値に対する他方側のテーパー部の湾曲の曲率半径の値の比率は、0.7以上とする方がよく、さらに好ましくは0.8以上、一層好ましくは0.9以上とすることである。
また、一方側であっても他方側であっても、一つのテーパー部が2以上の複数の曲率半径を有するような曲線が組み合わされた形状となっていてもよい。ただし、この場合であっても、一方側と他方側のテーパー部の曲率半径は上述したように相手側の曲率半径値に対して好ましくは0.7以上である方がよい。そして一方側のテーパー部形状は他方側のテーパー部形状と刃軸を対称とした対称形状になるべく近い形状となっていることが好ましい。
また、本発明の繊維切断刃は、上記に加えて両刃の一方の刃先傾斜部の刃軸線に平行な寸法をLa、他方の刃先傾斜部の刃軸線に平行な寸法であってLaと同等あるいは小なる寸法をLbとしたとき、(La−Lb)÷La≦0.40の関係が成立することを特徴とする。
ここで、両刃の一方の刃先傾斜部の刃軸線に平行な寸法をLa、他方の刃先傾斜部の刃軸線に平行な寸法であってLaと同等あるいは小なる寸法をLbとしたとき、(La−Lb)÷La≦0.40の関係が成立するとは、前記の刃先先端における頂角の角度についての前記の条件に加えて、刃形状を断面方向から観察して左右対称な状態になるべく近い状態とするために好適な条件であって、刃先の傾斜部の軸方向長さ(切刃寸法)が、頂点に対して左右でなるべく同じ長さに近い方がよく、それを限定すると、傾斜部の軸方向長さについて切刃寸法の大きい一方側(La:一方側の切刃寸法と呼称する)と一方側より刃軸方向の切刃寸法の小さい他方側の寸法(Lb:他方側の切刃寸法と呼称する)との差に対する一方側の刃軸方向の切刃寸法についての比率が0.40、すなわち4割以下とすることで達成されるものである。
また、上記のような観点から(La−Lb)÷Laの値は、より好ましくは0.38以下とする方がよく、さらに好ましくは0.37以下、一層好ましくは0.36以下、最も好ましくは0.35以下とすることである。
本発明の繊維切断刃を構成する材質としては、所望の強度、硬度を実現するものであって、しかも研磨性に優れているものならば、どのようなものであってもよい。特に本発明の繊維切断刃として採用することが好ましいものとしては、具体的にはタングステンカーバイトを含有する系の合金が使用できるものである。これらの合金は25℃から200℃の温度領域における熱膨張係数値が48〜62×10-7/Kといった性状を有するものである。
また、本発明の繊維切断刃は、上述に加え刃部の材質が超硬合金製であることが好ましい。
ここで、刃部の材質が超硬合金製であるとは、金属元素炭化物と金属とを焼結させた極めて硬い合金製ということである。具体的には、WC−Co系、WC−TaC−Co系、WC−TiC−Co系、WC−TiC−TaC−Co系の超硬合金を使用することができる。また本発明で使用される超硬合金を例示すれば、9.5質量%以下のコバルトをバインダとして含むタングステンカーバイドの微粒を焼結させて得られるものであり、例えば92質量%のタングステンカーバイド粉末と、8質量%のコバルト粉末とを配合し焼成した後、HIP(Hot Isostatics Press)処理して所定の寸法形状に仕上げることによって作製される。こうして得られる超硬合金は、ビッカース硬度がHv.1800以上となっている。
また、本発明の繊維切断刃は、上述に加え刃部が炭素工具鋼の基体部に固着されてなるものとすることができる。
ここで、刃部が炭素工具鋼の基体部に固着されてなるとは、超硬合金からなる刃部と、焼入れ焼戻しを施した炭素工具鋼からなる基体部とをなんらかの手段によって固定したものであるということを意味している。
刃部と基体部の固着については、充分高い強度と安定した機能を実現できるものであるならばどのような構造で接合したものであってもよい。また、溶接方法や材料、器具等についても種々の方法を適宜選択することによって最良の方法を採用することができるものである。すなわち、直接の溶接であっても低融点金属箔等を介しての接合であってもよい。
このような構成とすることによって、例えば本発明の繊維切断刃をカッターローラに取り付けて使用する際、カッターローラを高速回転させても、基体部が刃先に加わる振動を十分に吸収するため、刃先が折損することが少なく、ガラスチョップドストランドの生産性を大幅に向上させることが可能である。
また、本発明の繊維切断刃は、上述に加え刃部の端面と基体部の端面との間に、厚さ0.05〜0.9mmの接合材料箔を配して接合され、刃部のビッカース硬度が基体部のビッカース硬度の1.0から5.5倍の値とすることを特徴とする。
また、本発明の繊維切断刃について、溶接によって発生する歪み量の計測は、マイクロゲージやレーザ計測装置、触針式計測装置等を固定した治具、計測機を利用することによって測定することが可能である。よって、本発明を実現するために、繊維切断刃の研磨や溶接後の加工歪みや熱歪みの計測を行いながら、刃先形状を調整していくことによって、本発明の繊維切断刃の形状となるように加工、成形していくことができるものである。
本発明のガラス繊維切断装置は、カッターロールに圧接するゴムロールと、複数の切断刃を配設したカッターロールを備え、その切断刃が順次ガラスストランドの所定箇所に圧接することで2つのロール間に連続的に供給されるガラスストランドを切断して所望の寸法を有するガラスチョップドストランドを得、切断刃を有する切断機構の下部、あるいは側部に、切断された後のチョップドストランドを捕集する構造のガラス繊維切断装置であって、前記カッターロールが、前記した段落で説明した繊維切断刃を具備したことを特徴とする。
すなわち、本発明のガラス繊維切断装置は、カッターロールに圧接するゴムロールと、複数の切断刃を配設したカッターロールを備え、その切断刃が順次ガラスストランドの所定箇所に圧接することで2つのロール間に連続的に供給されるガラスストランドを切断して所望の寸法を有するガラスチョップドストランドを得、切断刃を有する切断機構の下部、あるいは側部に、切断された後のチョップドストランドを捕集する構造のガラス繊維切断装置であって、前記したような対称性を有する刃形状を有しており、切断刃は|α−β|÷γ≦0.10という条件を満たし、さらに好ましくは(La−Lb)÷La≦0.40という条件や刃部材質、基体部材質が前記したものとすることができる。
本発明のガラス繊維切断装置は、ストランドからチョップドストランドを連続切断加工するに適した機能を有し、例えば連続的な切断を実現するために複数の切断刃を等間隔にロール上に配設したものであって、その切断刃が順次ガラスストランドの所定箇所に圧接することで2つのロール間に連続的に供給されるガラスストランドを切断して所望の寸法を有するガラスチョップドストランドを得ることができるものである。このような複数の切断刃を配設する方法としては、例えばゴムロールとゴムロールに圧するカッターロールを備え、このカッターロールに複数の切断刃を配設した構造が考えられる。このような構造を有する装置であれば、カッターロールに圧接するゴムロールの寸法や材質等は適宜選択することが可能であって、耐熱性や機械的な耐久度の高い材料を選択し、効率的な切断状態が維持できる寸法を採用することが可能である。そして同様のことは、カッターロールについても言え、充分に高い耐久性を有する構造となるものを採用することができれば支障はない。
また、カッターロールに圧接するゴムロールについては、その強度が充分実用に耐えるものとするため、ゴムロール中にガラス繊維、ガラスフレーク、有機繊維、ガラスビーズ、セラミックス繊維、セラミック粒子の中から選ばれる少なくとも1以上の補強充填材を含有することができるものである。
また本発明の繊維切断装置では、各切断刃を近距離(例えば3mm間隔)で配置する場合、切断刃同士が接触する等して徐々に摩耗していき、破損することがあるが、切断刃の両面にゴム(例えば厚み0.2〜0.5mm)等の緩衝材や金属製スペーサ等を取り付けることで、切断刃が破損し難くなるため好ましい。
また、本発明のガラス繊維切断装置は、切断刃を有する切断機構の下部、あるいは側部に、切断された後のチョップドストランドを捕集する構造を採用したものであって、連続した切断動作によって生成したガラスチョップドストランドを切断機構の系外に速やかに移動させることによって、切断機構の動作を妨げたりすることがないようにすることができるものである。このような構造としては、例えばベルトコンベヤや気流による搬送ダクト等の採用が可能であり、設備の規模等に応じて必要とされるものを採用することができる。
また、本発明のガラス繊維切断装置は、必要に応じて外形や長さ等の所定の基準を満足しないガラスチョップドストランドやガラスチョップドストランドに混入する異物を除去する機構を組み込むことが可能であって、このような機構を実現するためにレーザ等の光学的な計測装置を切断機構の前後に配設した構造とすることができるものである。
さらに、本発明のガラス繊維切断装置にストランドを供給する供給機構は、ストランドの切断機構が兼ねるものであってもよく、またストランドの切断機構とは別にストランド供給装置を本装置に配設するものであってもよい。
(1)以上のように、本発明の繊維切断刃は、ガラス繊維を切断する繊維切断刃であって、刃部の刃先が両刃形状であり、該両刃の頂角をγとし、刃幅に垂直な断面における該両刃の刃先頂点と刃底部辺長さの等分割点とを連結する直線である刃軸線によって該頂角γが分割される2つの刃先断面傾斜角度の一方をα、他方をβとしたとき、|α−β|÷γ≦0.10の関係が成立するものであるため、ガラス繊維を切断する際に刃先の一方側のみに過度な負荷が加わることがなく均等な応力状態でガラス繊維の切断を行うことが可能であって、繊維の切断面の整った切断加工を実現することができるようになるものである。
(2)また、本発明の繊維切断刃は、両刃の一方の刃先傾斜部の刃軸線に平行な寸法をLa、他方の刃先傾斜部の刃軸線に平行な寸法であってLaと同等あるいは小なる寸法をLbとしたとき、(La−Lb)÷La≦0.40の関係が成立するものであるため、切断刃を溶接する際に発生する刃歪量を低減することによって、切断刃の研磨加工等による調整作業の労力を軽減し、調整後の切断刃のガラス繊維切断能を向上させることを可能とするものである。
(3)さらに、本発明の繊維切断刃は、刃部の材質が超硬合金製であるため、長時間に亘り安定した切断機能を有するものとなり、ガラス繊維切断刃の耐用時間が実用に供することができる程度に長時間となっているものである。
(4)さらに、本発明の繊維切断刃は、刃部が炭素工具鋼の基体部に固着されてなるものであるため、刃部に過度な衝撃力が加わる状態となることがなく、刃部の破損や欠損が生じにくい構成であるため、刃の寿命が不当に短くなりすぎる等の問題を低減することが可能となるものである。
(5)本発明のガラス繊維切断装置は、上述したような構成を有するものであるため、ガラスチョップドストランドを高い効率で生産することが可能となるものであって、切断装置を使用中に発生する切断刃の不調によるトラブルを抑制することができるものである。
以下に本発明の繊維切断刃とその繊維切断刃を使用するガラス繊維切断装置について、実施例に基づいて説明する。
図1に本発明のガラスチョップドストランドを製造する際に使用される繊維切断刃の刃先の部分断面図を示す。図1の(A)は繊維切断刃の部分平面図、(B)は(A)の部分断面図を表す。
本発明のガラスチョップドストランド切断に供される繊維切断刃は、ビッカース硬度がHv.2200である超硬合金により形成された刃部10(肉厚0.3〜40mm、幅2〜15mm)と、ビッカース硬度がHv.800である炭素工具鋼により形成された基体部20(肉厚0.3〜10mm、幅5〜50mm)とを備えている。刃部10と基体部20とは接合合金層を介して接合されている。この合金層の断面方向の長さは0.2〜10mmである。刃部10の表面上には、接合材料による薄膜層が形成され、その表面下には接合材料による拡散層が形成されている。刃部10について、刃先Pから刃軸方向に刃軸に対してそれぞれ傾斜角度αが16.5゜、傾斜角度βが15.5゜で傾斜した形状であって、いわゆる両刃形状を呈するものである。また切刃のテーパー部形状は湾曲しておらず、ストレイトグラインドとなっている。ちなみに、α、βはいずれも頂点Pから切断刃の刃幅に垂直な断面について、底部寸法を2等分する点と連結した線分、すなわち刃軸線で頂角γを分割したものである。
そして、この両刃をなす一方側の傾斜部11aと他方側の傾斜部11bの刃軸に平行な切刃長さ(切刃寸法)は、一方側の刃軸方向の切刃長さ寸法Laが4.9mm、他方側の刃軸に平行な切刃長さ寸法Lbが4.2mmである。
よって、刃先先端角度について、本発明の繊維切断刃としての要件を満たすか確認すると、|α−β|÷γ=(16.5−15.5)÷(16.5+15.5)=0.03125であって、該両刃をなす一方側の刃先断面傾斜角度と他方側の刃先断面傾斜角度について、一方側と他方側の両方の刃先先端角度差の絶対値を一方側と他方側の両傾斜角度の和で除した数値が0.10以下であり、要件を満足するものとなっている。
また、刃先先端から傾斜部の刃軸に平行な長さ(切刃長さ)については、本発明の繊維切断刃としての要件を満たすか確認すると、(La−Lb)÷La=(4.9−4.2)÷4.9≒0.1429であって、刃先傾斜部に相当する刃先先端からの刃軸方向の切刃寸法の大きい一方側と一方側より刃軸方向の切刃寸法の小さい他方側の寸法差に対する一方側の刃軸方向の切刃寸法についての比率が0.40以下であり、本発明の要件を満足するものとなっている。
上記の繊維切断刃は、以下に示すような手順で作製した。
まず、平均粒径が0.05〜1.2μmで91質量%のタングステンカーバイド(WC)粉末と、9質量%のコバルト(Co)粉末とを配合し、焼成した後、HIP処理を行うことによって、板状の超硬合金からなる刃部10の材料を作製する。
また、0.8質量%の炭素(C)を含有し、焼入れ焼戻しを施した炭素工具鋼を刃部10の形状に合わせて加工することによって、基体部を形成する。
次に刃部10の端面と基体部20の端面との間に、厚さ0.05〜0.9mmの接合材料箔を配して突き合わせ、基体部の先端近傍にレーザ照射を行う。このレーザ照射によって、基体部20が加熱されて高温に達すると、基体部20からの熱伝導によって基体部20の端面に接触している接合材料箔が加熱され溶融される。また溶融された接合材料箔から熱伝導を受けて刃部材が加熱され、刃部材と接合材料箔とが一体的に接合され、接合材料部15が形成される。この時、接合材料箔の接合材料は、基体部を形成する炭素工具鋼に含まれる鉄と反応して、基体部の表層に局部的に接合材料合金層を形成する。また接合材料箔の接合材料は、超硬合金にも溶け込み、接合材料の拡散層と結合する。この接合材料の合金層の熱膨張係数は、30〜300℃の温度域において40〜47×10-7/Kであり、刃部の材料である超硬合金の熱膨張係数(25〜200℃の温度域において45×10-7/K)に近似しているため、刃部材と基体部との接合部に残留する熱応力が小さく、接合部に変形を生じることなく刃部材と基体部が強固に接合される。そして刃部材の先端に刃付け加工等を施すことによって刃部を形成し、切断刃が得られる。
次いで、本発明のガラスチョップドストランドを製造する際に使用される繊維切断刃のバリエーションについて図2に示す。
図3から判るように、(A)は図1と同じテーパー部11a、11bが直線形状のストレイトグラインドを表し、(B)はテーパー部11a1、11b1が刃軸Kに対して外側に凸形状に湾曲したコンベックスグラインドを表す。また、(C)は、テーパー部11a2、11b2が、刃軸Kに対して外側に凹形状に湾曲したホローグラインドを表す。また(D)には、それぞれテーパー部が2つの曲率を有する曲線で構成されており、その変曲点がt1、t2で表されている。
そして、いずれの形態についても、刃軸に対するテーパー部の対称性は、充分高い状態となっている。この(A)から(D)のいずれの刃先部についても、タングステンカーバイトを含有する超硬合金であって、そのビッカース硬度は、2000以上の値を有するものであって、基体部(図示省略)の1倍から5.5倍の範囲内にあるビッカース硬度を示すものとなっている。
そして実施例1の切断刃をカッター刃として採用してカッターローラ30に配設した構成について、図4に概念図を示す。
切断刃10の複数枚を、図4に示すようにカッターローラ30の周囲に等間隔で放射状に取付け、繊維用切断装置とした。この繊維用切断装置を用いて、カッターローラ30を周速度500m/分で回転させ、ガラスストランドGを3mmの長さに切断したところ、約100時間が経過しても刃部10に切断性能の低下は見られず、問題なく使用することができ、安定した生産を実現することができた。
本発明の繊維切断刃の部分断面図、(A)は平面図、(B)は(A)のX−Y方向についての断面図を表す。 本発明の繊維切断刃に関する傾斜角の説明図。 本発明の繊維切断刃の刃先形状に関するそのバリエーションを示す説明図。 本発明の繊維切断装置。
符号の説明
10 繊維切断刃の刃部
15 接合材料部
20 基体部
11a、11a1、11a2、11a3 一方側刃先傾斜部
11b、11b1、11b2、11b3 他方側刃先傾斜部
25 繊維切断刃の底部
30 カッターロール
40 ゴムロール
La 一方側刃先傾斜部の刃軸方向長さ寸法
Lb 他方側刃先傾斜部の刃軸方向長さ寸法
t1 一方側テーパー部の曲率半径の変曲点
t2 他方側テーパー部の曲率半径の変曲点
K 刃軸線
α 一方側傾斜部の刃軸線に対する傾斜角度
β 他方側傾斜部が刃軸線に対する傾斜角度
γ 切断刃先端角
P 刃先
G ガラス繊維
T チョップドストランド

Claims (5)

  1. ガラス繊維を切断する刃部と基体部の固着された繊維切断刃であって、
    前記基体部が炭素工具鋼からなり、
    前記刃部の刃先が両刃形状であり、該両刃の頂角をγとし、刃幅に垂直な断面における該両刃の刃先頂点と刃底部辺長さの等分割点とを連結する直線である刃軸線によって該頂角γが分割される2つの刃先断面傾斜角度の一方をα、他方をβとしたとき、
    |α−β|÷γ≦0.10
    の関係が成立することを特徴とする繊維切断刃。
  2. 両刃の一方の刃先傾斜部の刃軸線に平行な寸法をLa、他方の刃先傾斜部の刃軸線に平行な寸法であってLaと同等あるいは小なる寸法をLbとしたとき、
    (La−Lb)÷La≦0.40
    の関係が成立することを特徴とする請求項1に記載の繊維切断刃。
  3. 刃部の材質が超硬合金製であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の繊維切断刃。
  4. 刃部の端面と基体部の端面との間に、厚さ0.05〜0.9mmの接合材料箔を配して接合され、刃部のビッカース硬度が基体部のビッカース硬度の1.0から5.5倍の値とすることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の繊維切断刃。
  5. カッターロールに圧接するゴムロールと、複数の切断刃を配設したカッターロールを備え、その切断刃が順次ガラスストランドの所定箇所に圧接することで2つのロール間に連続的に供給されるガラスストランドを切断して所望の寸法を有するガラスチョップドストランドを得、切断刃を有する切断機構の下部、あるいは側部に、切断された後のチョップドストランドを捕集する構造のガラス繊維切断装置であって、
    前記カッターロールが、請求項1から4の何れかに記載の繊維切断刃を具備したことを特徴とするガラス繊維切断装置。
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