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JP4419491B2 - 車両用の変速制御装置 - Google Patents
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JP4419491B2 - 車両用の変速制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両に搭載される変速機の変速比を制御する車両用の変速制御装置に関するものである。
従来、車両に搭載されている変速機を制御する制御装置として、車速制御要求などの条件に基づいて、変速機の入力部材と出力部材との間における変速比を、アクチュエータで制御することの可能な変速機の制御装置が知られている。このような変速機の制御装置の一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された車両においては、エンジンの駆動力が動力伝達率可変機構を介して、変速機に入力されるようになっている。この変速機は、変速比が無段階に変化する無段変速機であり、無段変速機の変速比を制御する制御回路が設けられている。そして、特許文献1には、アイドルスイッチとブレーキスイッチとから運転者が減速しようとしていることを判断するとともに、運転者の操作したブレーキによる減速度を演算して、このときの車速と減速度に最適なエンジンブレーキが作用するような目標変速比を設定し、実際の変速比を制御することが記載されている。このため、車両の減速度に応じたエンジンブレーキ力を作用させることができ、より安全で効果的な減速をおこなうことができるとされている。
特許第2723146号公報
ところで、上記の特許文献1の公報に記載されている変速機の制御装置においては、減速度に最適なエンジンブレーキ力を作用する目標変速比を設定することに止まり、エンジンブレーキ力以外の課題については認識されておらず、その点で改善の余地があった。
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、変速機の変速比を制御する場合に、エンジンブレーキ力以外の課題をも、変速比の制御に反映させることの可能な車両用の変速制御装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、エンジンから車輪に至る動力伝達経路に変速機が設けられており、この変速機の変速比を制御する車両用の変速制御装置において、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなう判断が成立したときに、仮の目標変速比に基づいて前記変速機の変速比を大きくする制御をおこないエンジンブレーキ力が強められると、前記車輪がロックするか否かを判断するロック判断手段と、このロック判断手段により前記車輪がロックすると判断された場合は、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなってエンジンブレーキ力が強められても前記車輪がロックしない目標変速比を、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなう際の目標変速比として選択する第1の変速比制御手段とを有していることを特徴とするものである。
また、請求項2に係る発明は、エンジンから車輪に至る動力伝達経路に変速機が設けられており、車両における減速要求に基づいて、前記変速機の変速比を制御する車両用の変速制御装置において、前記減速要求が所定値を越えたか否かを判断する減速要求判断手段と、前記減速要求が所定値を越えたと判断された場合は、仮の目標変速比に基づいて前記変速機の変速比を大きくする制御をおこないエンジンブレーキ力が強められると、前記車輪がロックするか否かを判断するロック判断手段と、このロック判断手段により前記車輪がロックすると判断された場合は、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなってエンジンブレーキ力が強められても前記車輪がロックしない目標変速比を、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなう際の目標変速比として選択する第2の変速比制御手段とを有していることを特徴とするものである。
さらに、請求項3に係る発明は、請求項2の構成に加えて、前記減速要求判断手段により前記減速要求が所定値以下であると判断された場合は、前記減速要求が所定値以下であると判断される以前における変速機の変速比を維持する第3の変速比制御手段を、更に有していることを特徴とするものである。
さらにまた、請求項4に係る発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記第1の変速比制御手段または前記第2の変速比制御手段により選択された目標変速比に基づき前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなってエンジン回転数が上昇すると、エンジンノイズが生じるか否かを判断するノイズ判断手段と、このノイズ判断手段の判断結果に基づき、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなってエンジン回転数が上昇したときエンジンノイズが生じない目標変速比を、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなう際の目標変速比として選択する第4の変速比制御手段とを有していることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、変速機の変速比を大きくする制御をおこなう判断が成立したとき、仮の目標変速比に基づき変速機の変速比を大きくする制御をおこなうとエンジンブレーキ力が強められて車輪がロックするかしないかを判断するとともに、車輪がロックすると判断された場合は、変速機の変速比を大きくする制御をおこないエンジンブレーキ力が強められても車輪がロックしない目標変速比を選択し、変速機の変速比を制御することができる。したがって、車速制御要求に応じて変速比を制御する場合に、変速比の変化にともなう車輪のロックを抑制できる。
請求項2の発明によれば、車両における減速要求に基づいて、変速機の変速比を制御するにあたり、減速要求が所定値を越える場合は、仮の目標変速比に基づき変速機の変速比を大きくする制御をおこなうとエンジンブレーキ力が強められて車輪がロックするか否かを判断するとともに、車輪がロックすると判断された場合は、変速機の変速比を大きくする制御をおこないエンジンブレーキ力が強められても車輪がロックしない目標変速比を選択し、変速機の変速比を制御することができる。したがって、減速要求に応じて変速比を制御する場合に、変速比の変化にともなう車輪のロックを抑制できる。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得ることができる他に、減速要求が所定値以下である場合は、減速要求が所定値以下となる以前における変速機の変速比を維持することができる。したがって、減速要求に代わって加速要求が生じた場合における車両の加速性能を確保することができる。
請求項4の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、第1の変速比制御手段または第2の変速比制御手段により選択された目標変速比に基づき変速機の変速比を大きくする制御をおこなってエンジン回転数が上昇すると、エンジンノイズが生じるか否かを判断する。この判断結果に基づき、変速機の変速比を大きくする制御をおこなってエンジン回転数が上昇したときエンジンノイズが生じない目標変速比を、変速機の変速比を大きくする制御をおこなう際の目標変速比として選択し、変速機の変速比を制御することができる。したがって、エンジン回転数の上昇に起因する騒音を抑制できる。
つぎに、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、この発明を適用できる車両のパワートレーン、およびその車両の制御系統の一例を、図2に示す。図2に示す車両Veにおいては、エンジン1と車輪2との間の動力伝達経路に、流体伝動装置3、ロックアップクラッチ4、前後進切り換え機構5、ベルト式無段変速機6などが設けられている。エンジン1としては、内燃機関、例えば、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、LPGエンジンなどを用いることができる。
また、流体伝動装置3およびロックアップクラッチ4は、エンジン1と前後進切り換え機構5との間の動力伝達経路に設けられており、流体伝動装置3とロックアップクラッチ4とは相互に並列に配置されている。流体伝動装置3は、流体の運動エネルギにより動力を伝達する装置であり、ロックアップクラッチ4は、摩擦力により動力を伝達する装置である。前後進切り換え機構5は、遊星歯車機構(図示せず)および油圧制御式の摩擦係合装置(図示せず)、例えば、ブレーキおよびクラッチを有している。
そして、摩擦係合装置の係合・解放を切り換えることにより、入力部材に対する出力部材の回転方向を、選択的に切り換えることが可能である。また、摩擦係合装置の係合・解放を制御することにより、前後進切り換え機構5を、エンジン1と車輪2との間における動力伝達を可能な状態と不可能な状態とに切り換えることが可能である。
ベルト式無段変速機6は、前後進切り換え機構5と車輪2との間の動力伝達経路に設けられている。ベルト式無段変速機6は、相互に平行に配置されたプライマリシャフト7およびセカンダリシャフト8を有している。このプライマリシャフト7にはプライマリプーリ9が設けられており、セカンダリシャフト8にはセカンダリプーリ10が設けられている。プライマリプーリ9は、プライマリシャフト7に固定された固定シーブ11と、プライマリシャフト7の軸線方向に移動できるように構成された可動シーブ12とを有している。そして、固定シーブ11と可動シーブ12との間に溝M1が形成されている。
また、この可動シーブ12をプライマリシャフト7の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ12と固定シーブ11とを接近・離隔させる油圧サーボ機構13が設けられている。この油圧サーボ機構13は、油圧室19と、油圧室19の油圧に応じてプライマリシャフト7の軸線方向に動作し、かつ、可動シーブ12に接続されたピストン(図示せず)とを備えている。
一方、セカンダリプーリ10は、セカンダリシャフト8に固定された固定シーブ14と、セカンダリシャフト8の軸線方向に移動できるように構成された可動シーブ15とを有している。そして、固定シーブ14と可動シーブ15との間にはV字形状の溝M2が形成されている。
また、この可動シーブ15をセカンダリシャフト8の軸線方向に動作させることにより、可動シーブ15と固定シーブ14とを接近・離隔させる油圧サーボ機構16が設けられている。この油圧サーボ機構16は、油圧室100と、油圧室100の油圧によりセカンダリシャフト8の軸線方向に動作し、かつ、可動シーブ15に接続されたピストン(図示せず)とを備えている。上記構成のプライマリプーリ9およびセカンダリプーリ10に、無端状のベルト17が巻き掛けられている。
一方、ベルト式無段変速機6の油圧サーボ機構13,16およびロックアップクラッチ4、および前後進切り換え機構5を制御する機能を有する油圧制御装置18が設けられている。さらに、エンジン1、ロックアップクラッチ4、前後進切り換え機構5、ベルト式無段変速機6、油圧制御装置18を制御するコントローラとしての電子制御装置52が設けられており、この電子制御装置52は、演算処理装置(CPUまたはMPU)および記憶装置(RAMおよびROM)ならびに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
この電子制御装置52に対しては、シフトポジション選択装置50の操作状態、エンジン回転数、加速要求(例えばアクセルペダルの操作状態)、減速要求(例えば、ブレーキペダルの操作状態)、スロットルバルブの開度、プライマリシャフト7の回転数、セカンダリシャフト8の回転数などの検知信号が入力される。このシフトポジション選択装置50を、車両の乗員が操作することにより、パーキング(P)ポジション、リバース(R)ポジション、ニュートラル(N)ポジション、ドライブ(D)ポジションなどのシフトポジションを選択的に切換可能である。パーキングポジションおよびニュートラルポジションは、エンジン1と車輪2との間における動力伝達経路の状態を、動力伝達不可能とする場合に選択される非駆動ポジションである。これに対して、リバースポジションおよびドライブポジションは、エンジン1と車輪2との間における動力伝達経路の状態を、動力伝達可能とする場合に選択される駆動ポジションである。
図1に示す車両Veの機能を説明する。電子制御装置52には各種のデータが記憶されており、電子制御装置52に入力される信号、および記憶されているデータに基づいて、電子制御装置52から、エンジン1を制御する信号、ベルト式無段変速機6を制御する信号、前後進切り換え機構5を制御する信号、ロックアップクラッチ4を制御する信号、油圧制御装置18を制御する信号、表示器54を制御する信号などが出力される。
前記シフトポジション選択装置50の信号に基づいて、前後進切り換え機構5が制御される例を説明する。例えば、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションが選択された場合は、前後進切り換え機構5が動力伝達不可能な状態となる。
これに対して、ドライブポジションまたはリバースポジションが選択された場合は、前後進切り換え機構5は動力伝達可能な状態となる。すると、エンジン1の動力は、流体伝動装置3またはロックアップクラッチ4、および前後進切り換え機構5を経由して、ベルト式無段変速機6のプライマリシャフト7に伝達される。プライマリシャフト7のトルクは、プライマリプーリ9、ベルト17、セカンダリプーリ10を介してセカンダリシャフト8に伝達される。そして、セカンダリシャフト8のトルクが車輪2に伝達されて駆動力が発生する。
つぎに、ベルト式無段変速機6の変速制御について説明する。まず、油圧サーボ機構13の油圧室19におけるオイル量が制御されるとともに、油圧室19におけるオイル量に基づいて、プライマリプーリ9の可動シーブ12を軸線方向に動作させる推力が調整される。また、油圧サーボ機構16の油圧室100の油圧により、セカンダリプーリ10の可動シーブ15を軸線方向に動作させる推力(挟圧力)が調整される。そして、可動シーブ12の軸線方向の動作に応じて溝M1の幅が変化し、可動シーブ15の軸線方向の動作に応じて溝M2の幅が変化する。
上記のようにして、溝M1の幅が調整されると、プライマリプーリ9におけるベルト17の巻き掛け半径と、セカンダリプーリ10におけるベルト17の巻き掛け半径との比が変化する。その結果、プライマリシャフト7およびプライマリプーリ9と、セカンダリシャフト8およびセカンダリプーリ10との間の回転速度の比、すなわち変速比が変化する。具体的には、油圧室19のオイル量が増加して溝M1の幅が狭められると、プライマリプーリ9におけるベルト17の巻き掛け半径が大きくなり、ベルト式無段変速機6の変速比が小さくなるように変速する。変速比が小さくなるような変速をアップシフトと呼ぶ。これに対して、油圧室19のオイル量が減少して溝M1の幅が広げられると、プライマリプーリ9におけるベルト17の巻き掛け半径が小さくなり、ベルト式無段変速機6の変速比が大きくなるように変速する。変速比が大きくなるような変速をダウンシフトと呼ぶ。ダウンシフトまたはアップシフトのいずれにおいても、ベルト式無段変速機6の変速比を、連続的に、言い換えれば、無段階に制御することが可能である。
一方、セカンダリプーリ10において、溝M2の幅が調整されると、ベルト17に加えられる挟圧力およびベルト17の張力が変化し、かつ、プライマリシャフト7とセカンダリシャフト8との間で伝達されるトルクの容量が制御される。具体的には、油圧サーボ機構16の油圧室100の油圧が高められて、ベルト17に加えられる挟圧力が増加すると、ベルト17のトルク容量が増加する。これに対して、油圧サーボ機構16の油圧室100の油圧が低下されてベルト17に加えられる挟圧力が減少すると、ベルト17のトルク容量が低下する。
上記のようなベルト式無段変速機6の制御と、電子制御装置52に入力される信号などとの対応関係を説明する。まず、ドライブポジションが選択され、車速、車速制御要求を示す信号(アクセルペダルの操作状態、スロットル開度、ブレーキペダルの操作状態)、および電子制御装置52に記憶されている変速マップに基づいて、ベルト式無段変速機6の目標変速比が算出され、ベルト式無段変速機6の実際の変速比を、目標変速比に近づける制御が実行される。なお、車速は、セカンダリシャフト8の回転数に基づいて算出される。
つぎに、ベルト式無段変速機6の変速制御の具体例を、図1のフローチャートに基づいて説明する。図1に示すように、減速ダウンシフト制御の実行中における変速比を設定する制御においては、まず、減速ダウンシフト制御が既に実行されているか否かが判断される(ステップS1)。ここで、「減速ダウンシフト制御」とは、「車両Veにおける減速要求が所定値を越えている場合に、ベルト式無段変速機6の変速比を大きくする制御」を意味する。また、車両Veにおける減速要求の程度は、アクセルペダルおよびブレーキペダルの操作状態などから判断される。例えば、アクセルペダルが踏まれていない状態で、ブレーキペダルの踏み込み量が所定量を越えた場合、または、ブレーキペダルの踏み込み速度が所定速度を越えた場合に、「車両における減速要求が所定値を越えた」と判断される。
また、減速ダウンシフト制御と、車両における減速要求が所定値以下である場合に実行される変速制御(以下、通常の変速制御と記す)では、その制御内容が異なる。具体的には、減速ダウンシフト制御により算出される目標変速比は、通常の変速制御の場合に算出される目標変速比とは異なる。より具体的には、車速が同じであっても、減速ダウンシフト制御により算出される減速ダウンシフト制御により算出される目標変速比の方が、通常の変速制御で算出される目標変速比よりも大きくなる。
上記のステップS1で否定的に判断された場合は、減速ダウンシフト制御の実行条件が不成立から成立に切り替わったか否かが判断される(ステップS2)。例えば、アクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替え操作がおこなわれた時点で、減速ダウンシフト制御の実行条件が成立する。このステップS2で否定的に判断された場合は、ステップS1,S2以前における変速比を維持し、図1に示すルーチンを終了する。
一方、前記ステップS1で肯定的に判断された場合は、ブレーキオン、つまりブレーキペダルが踏まれているか否かが判断される(ステップS3)。このステップS3で肯定的に判断された場合は、ステップS4に進む。また、前記ステップS2で肯定的に判断された場合も、ステップS4に進む。
このステップS4では、減速度または減速度の変化率のうち、少なくとも一方に基づいて、ベルト式無段変速機6の目標変速比(TRT(I))が算出される。減速度および減速度の変化率は、車速の経時変化に基づいて算出可能である。このステップS4についで、今回のルーチン実行により算出された目標変速比(TRT(I))が、前回のルーチン実行により算出された目標変速比(TRT(I−1))を越えているか否かが判断される(ステップS5)。このステップS5で否定的に判断された場合、つまり、減速要求が現状維持または低下している場合は、前回のルーチン実行により算出された目標変速比(TRT(I−1))を、目標変速比(TRT(I))として選択し(ステップS6)、ステップS7に進む。
これに対して、前記ステップS5で肯定的に判断された場合は、ステップS6を迂回してステップS7に進む。すなわち、減速要求が増加している場合は、今回のルーチン実行により算出された目標変速比(TRT(I))が、目標変速比として保持される。
ステップS7においては、このステップS7以前の処理で算出された目標変速比(TRT(I))が、変速比のガード値TRTgd(SPD)未満であるか否かが判断される。この変速比のガード値TRTgd(SPD)は、図1に示すルーチンの処理時における車速および実際の変速比から判断して、その実際の変速比からダウンシフトされて、エンジンブレーキ力が急激に強められた場合でも、車輪2がロックする可能性の少ない変速比に相当する。このステップS7で否定的に判断されるということは、ステップS7以前の処理で算出された目標変速比を用いて、減速ダウンシフトを実行すると、エンジンブレーキ力が急激に強められて、車輪2がロックする可能性がある。そこで、ステップS7で否定的に判断された場合は、目標変速比(TRT(I))として、変速比のガード値TRTgd(SPD)が選択され(ステップS8)、ステップS9に進む。これに対して、ステップS7で肯定的に判断された場合は、目標変速比(TRT(I))として、ステップS7以前の処理で算出された目標変速比を選択し、ステップS8を迂回してステップS9に進む。
ステップS9においては、このステップS9以前の処理で算出された目標変速比(TRT(I))が、変速比のガード値TRTgd(NE)未満であるか否かが判断される。変速比のガード値TRTgd(NE)は、図1に示すルーチンの処理時における車速および実際の変速比から判断して、その実際の変速比よりも大きい変速比にダウンシフトされてエンジン回転数が上昇した場合でも、エンジンノイズが生じる可能性の少ない変速比を意味する。このステップS9で否定的に判断されるということは、ステップS9以前の処理で算出された目標変速比を用いて、減速ダウンシフトを実行すると、エンジン回転数の上昇によるエンジンノイズが生じる可能性がある。
そこで、ステップS9で否定的に判断された場合は、目標変速比(TRT(I))として、変速比のガード値TRTgd(NE)が選択され(ステップS10)、図1の制御ルーチンを終了する。これに対して、ステップS9で肯定的に判断された場合は、目標変速比(TRT(I))として、ステップS9以前の処理で算出された目標変速比が選択され、図1の制御ルーチンを終了する。なお、前記ステップS3で否定的に判断された場合は、前回のルーチンの処理で選択された目標変速比(TRT(I−1))を、目標変速比(TRT(I))として選択し(ステップS11)、図1の制御ルーチンを終了する。なお、ステップS4、ステップS6、ステップS8で選択される目標変速比は、いずれも仮の目標変速比であり、ステップS9で肯定的に判断された場合、または、ステップS9およびステップS10の処理がおこなわれた場合において、いずれかのステップで算出された仮の目標変速比を、正式な目標変速比として確定する。
以上のように、ステップS3ないしステップS6において、減速度、減速度変化率に基づいて運転者の減速意図を判断し、その判断結果に基づいた目標変速比を算出することが可能である。そして、ベルト式無段変速機6の実際の変速比を目標変速比に近づけるような減速ダウンシフトを実行することで、減速要求に対応したエンジンブレーキ力を得ることができる。また、ステップS6、ステップS11においては、前回のルーチン実行により算出された目標変速比が維持されるため、車両Veの加速要求が生じた場合、つまり、アクセルペダルが踏まれた場合に、車両Veの加速性能を確保することが可能である。
また、車両が高車速で走行中に、減速ダウンシフトにより大変速比にダウンシフトすると、急激にエンジンブレーキ力が強められて、車輪2がロックする可能性がある。これに対して、ステップS7、ステップS8の処理により算出した目標変速比となるように、減速ダウンシフトを実行すれば、車輪2のロックを抑制可能である。さらに、目標変速比として、エンジン回転数が所定回転数以上となる大変速比を選択すると、減速ダウンシフトによりエンジンノイズが生じる可能性がある。このような状態は、減速ダウンシフトが終了されるまで継続されるため、運転者が違和感を持つ。これに対して、ステップS9、ステップS10の処理で選択した目標変速比を用いることにより、減速ダウンシフトによるエンジンノイズの発生を抑制可能である。
なお、図2においては、無段変速機としてベルト式無段変速機6が示されているが、他の無段変速機、例えば、トロイダル式無段変速機を有する車両にこの発明を適用することも可能である。このトロイダル式無段変速機は、トロイダル面を有する入力ディスクおよび出力ディスクと、各ディスクに対して接触するパワーローラとを有する変速機である。入力ディスクは入力回転部材に連結され、出力ディスクは出力回転部材に連結される。各ディスクとパワーローラとの接触面には潤滑油が存在する。そして、パワーローラを、各ディスクの軸線に直交する平面内で直線状に移動させて、パワーローラと各ディスクとの接触半径を調整することにより、入力回転部材と出力回転部材との間の変速比が制御される。また、各ディスクとパワーローラとの接触面圧を調整することにより、入力回転部材と出力回転部材との間で伝達されるトルクの容量が制御される。また、入力回転部材と出力回転部材との間における変速比を、段階的もしくは不連続に制御可能な変速機(有段変速機)を有する車両を、請求項に記載された発明により制御することも可能である。さらに、変速機の変速比を制御するアクチュエータは、油圧式のアクチュエータ、空気圧式のアクチュエータ、電磁式のアクチュエータなどのうち、いずれが用いられている構成でも、請求項に係る発明を実施可能である。
ここで、この実施例の構成と、発明の構成との対応関係を説明すれば、無段変速機、例えば、ベルト式無段変速機およびトロイダル式無段変速機が、この発明の変速機に相当し、ステップS1,S2が、この発明の減速要求判断手段に相当し、ステップS7が、この発明のロック判断手段に相当し、ステップS7からステップS8に進むルーチン、およびステップS7で肯定的に判断されるルーチンが、この発明の第1の変速比制御手段に相当する。また、ステップS9が、この発明のノイズ判断手段に相当し、ステップS1からステップS2に進み、そのステップS2で否定的に判断されて図1に示すルーチンを終了することが、この発明の第3の変速比制御手段に相当する。さらに、ステップS9からステップS10に進むルーチン、およびステップS9で肯定的に判断されるルーチンが、この発明の第4の変速比制御手段に相当する。
さらに、特許請求の範囲の各請求項に記載されている「変速比制御手段」を、「変速比制御器」または「変速比制御用コントローラ」と読み替えることも可能である。この場合、電子制御装置52が、変速比制御器または変速比制御用コントローラに相当する。さらにまた、特許請求の範囲の各請求項に記載されている「変速比制御手段」を、「変速比制御ステップ」と読み替え、「車両用の変速制御装置」を、「車両用変速機の制御方法」と読み替えることも可能である。
この発明の制御例を示すフローチャートである。 この発明の制御装置を適用可能な車両のパワートレーンおよび制御系統を示す概念図である。
符号の説明
1…エンジン、 2…車輪、 6…ベルト式無段変速機、 52…電子制御装置。

Claims (4)

  1. エンジンから車輪に至る動力伝達経路に変速機が設けられており、この変速機の変速比を制御する車両用の変速制御装置において、
    前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなう判断が成立したときに、仮の目標変速比に基づいて前記変速機の変速比を大きくする制御をおこないエンジンブレーキ力が強められると、前記車輪がロックするか否かを判断するロック判断手段と、
    このロック判断手段により前記車輪がロックすると判断された場合は、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなってエンジンブレーキ力が強められても前記車輪がロックしない目標変速比を、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなう際の目標変速比として選択する第1の変速比制御手段と
    を有していることを特徴とする車両用の変速制御装置。
  2. エンジンから車輪に至る動力伝達経路に変速機が設けられており、車両における減速要求に基づいて、前記変速機の変速比を制御する車両用の変速制御装置において、
    前記減速要求が所定値を越えたか否かを判断する減速要求判断手段と、
    前記減速要求が所定値を越えたと判断された場合は、仮の目標変速比に基づいて前記変速機の変速比を大きくする制御をおこないエンジンブレーキ力が強められると、前記車輪がロックするか否かを判断するロック判断手段と、
    このロック判断手段により前記車輪がロックすると判断された場合は、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなってエンジンブレーキ力が強められても前記車輪がロックしない目標変速比を、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなう際の目標変速比として選択する第2の変速比制御手段と
    を有していることを特徴とする車両用の変速制御装置。
  3. 前記減速要求判断手段により前記減速要求が所定値以下であると判断された場合は、前記減速要求が所定値以下であると判断される以前における変速機の変速比を維持する第3の変速比制御手段を、更に有していることを特徴とする請求項2に記載の車両用の変速制御装置。
  4. 前記第1の変速比制御手段または前記第2の変速比制御手段により選択された目標変速比に基づき前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなってエンジン回転数が上昇すると、エンジンノイズが生じるか否かを判断するノイズ判断手段と、
    このノイズ判断手段の判断結果に基づき、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなってエンジン回転数が上昇したときエンジンノイズが生じない目標変速比を、前記変速機の変速比を大きくする制御をおこなう際の目標変速比として選択する第4の変速比制御手段と
    を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用の変速制御装置。
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