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JP4419966B2 - 電子管楽器及びそのプログラム - Google Patents
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JP4419966B2 - 電子管楽器及びそのプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、自然管楽器の吹奏音を電子的に再現する電子管楽器に関する。
周知のように、電子管楽器は、自然管楽器を模したリッププレートと演奏用キーの両操作子を備え、リッププレートの唄口から呼気が吹入されると、演奏用キーの押下の組み合わせである運指に応じてピッチを特定し、そのピッチで唄口の呼気圧に応じた音量の吹奏音を合成して放音するようになっている。
ここで、自然管楽器に特有の奏法の1つにオクターブ切り替えがある。オクターブ切り替えは、オクターブを切り替えるための固有の演奏用キーを備えないフルートのような楽器において、「アンブッシャ」と呼ばれる呼気を吹入する下唇の動きを微妙に変えることによって、運指を固定したまま吹奏音のオクターブをコントロールする奏法を意味し、「オーバーブロー」や「リップスラー」などともいう。
特許文献1には、オクターブ切り替えを精緻に検出し得る電子管楽器の開示がある。この文献に開示された電子管楽器は、唄口内に離散的に設置した複数の呼気圧検出センサを通じて呼気の吹入の向きを検出する。そして、検出した向きに応じて現在のオクターブを特定した後、そのオクターブに従ったピッチの楽音信号の出力を音源へ指示するようになっている。
特開平07−199919号公報
ところで、主にジャズなどの楽曲を吹奏する自然管楽器の吹奏者は、管を自身の方に向けて僅かに回転させることでピッチを微調整する「ピッチベンド」と呼ばれる奏法を用いる場合があり、上述したオクターブ切り替えに加えてこのピッチベンドの演奏操作性をも忠実に再現した電子管楽器の実現が望まれるようになってきている。
発明者らは、そのような電子管楽器を実現すべく自然管楽器が吹奏される様子を注意深く観察したところ、オクターブ切り替えが行われる際は吹奏者の下唇によるリッププレートへの接触圧が強くなり、また、ピッチベンドが行われる際は吹奏者の唇とリッププレートの唄口の間の距離が小さくなるとの因果関係を得た。その結果を基に発明者らは、唇との距離を検出する距離センサとその接触圧を検出する圧力センサとを電子管楽器に搭載させ、両センサの検出内容を音源から出力させる音のピッチ変更に連動させてみてはどうかとの着想に至った。つまり、距離センサが検出した距離が閾値よりも近くなると音源から出力させている音をピッチベンドダウンさせ、圧力センサが検出した接触圧が閾値よりも大きくなると今度はその音のピッチをオクターブアップさせるのである。
しかしながら、吹奏者は、ピッチを微調整すべく管を自身の側に僅かに回転させたつもりであっても無意識のうちに下唇をリッププレートに強く押し当ててしまっていることも少なくない。その場合、距離センサと圧力センサとを用いてオクターブ切り替えとビッチベンドの両奏法を単に検出するに過ぎない構成では、距離センサの検出値だけでなく圧力センサの検出値までもが閾値を超えてしまい、吹奏者の本来の意図とは異なるオクターブアップされたピッチの音が音源から出力されてしまうおそれがあった。
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、自然管楽器のオクターブアップとピッチベンドの両奏法を精緻に検出し、その演奏操作性をリアルに再現できるような電子管楽器を提供することを目的とする。
本発明の好適な態様である電子管楽器は、吹奏者の下唇と接触させる部材と唄口とを有するリッププレートと、複数のキーを有する演奏操作子と、下唇の前記部材に対する接触圧を検出し、検出した接触圧を示す圧力値を順次生成する第1の検出手段と、前記唄口から吹奏者の唇までの距離を検出し、検出した距離を示す距離値を順次生成する第2の検出手段と、圧力値が第1の閾値を上回るときと下回るときに音源から夫々出力されるべき音のピッチの各対を、キーの押下の各組み合わせと対応付けて記憶したメモリと、吹奏者の手指により押下された前記演奏操作子のキーの組み合わせと対応付けて前記メモリに記憶された対を成す両ピッチのうち、前記第1の検出手段が生成する圧力値と第1の閾値とを比較した結果を基に特定される一方のピッチの音を音源から出力させる出力制御手段と、前記第2の検出手段により生成される距離値が第2の閾値よりも小さくなっておらず且つ前記第1の検出手段が生成する圧力値が第1の閾値を跨いで遷移した時、前記音源から出力させている音のピッチを前記対を成す両ピッチのうち他方のピッチへと変化させるピッチ変化制御手段とを備える。
この態様において、前記出力制御手段は、前記一方のピッチの音の出力の開始を指示するメッセージを音源へ供給し、前記ピッチ変化制御手段は、音源から出力されている音の出力の停止を指示するメッセージと前記他方のピッチの音の出力の開始を指示するメッセージとを音源へ供給するようにしてもよい。
また、前記メモリに記憶されたピッチの各対の各々は、1オクターブのピッチ差を有するピッチの対であってもよい。
前記ピッチ変化制御手段は、前記生成される距離値が第2の閾値よりも小さくなった時、その距離値に応じたベンド量のピッチベンドダウンを指示するメッセージを音源へ供給するようにしてもよい。
また、前記第1の検出手段は、各々の表面に電極を有する上側電極シートと下側電極シートの表面同士を感圧導電体を挟んで重ね合わせ、下側電極シートの裏面を前記リッププレートの表面と接着させたメンブレンスイッチであって、前記下唇と接触させる部材は、前記メンブレンスイッチの上側電極シートを下側電極シートに向かって押し下げ得る位置にて自らの一端を前記リッププレートに対して上下方向に揺動自在に連結させたアクチエータであってもよい。
本発明の別の好適な態様であるプログラムは、吹奏者の下唇と接触させる部材と唄口とを有するリッププレートと、複数のキーを有する演奏操作子と、下唇の前記部材に対する接触圧を検出し、検出した接触圧を示す圧力値を順次生成する第1の検出手段と、前記唄口から吹奏者の唇までの距離を検出し、検出した距離を示す距離値を順次生成する第2の検出手段と、前記第1の検出手段が生成する圧力値が第1の閾値を上回るときと下回るときに音源から夫々出力されるべき音のピッチの各対を、キーの押下の各組み合わせと対応付けて記憶したメモリとを備えた電子管楽器に、吹奏者の手指により押下された前記演奏操作子のキーの組み合わせと対応付けて前記メモリに記憶された対を成す両ピッチのうち、前記第1の検出手段が生成する圧力値と第1の閾値とを比較した結果を基に特定される一方のピッチの音を音源から出力させる出力制御処理と、前記第2の検出処理にて生成する距離値が第2の閾値よりも小さくなっておらず且つ前記第1の検出処理にて生成する圧力値が第1の閾値を跨いで遷移したとき、前記音源から出力させている音のピッチを前記対を成す両ピッチのうち他方のピッチへと変化させるピッチ変化制御処理とを実行させる。
本発明によると、自然管楽器のオクターブアップとピッチベンドの両奏法を精緻に検出し、その演奏操作性をリアルに再現できるような電子管楽器を提供することができる。
(発明の実施の形態)
本願発明の実施形態について説明する。
本実施形態にかかる電子フルートは、以下の2つの特徴を有する。
1つ目の特徴は、吹奏者の運指に応じて音源から出力させる楽音のピッチのオクターブ切り替えを吹奏者の下唇のリッププレートへの接触圧に応じて制御するオクターブ切替機能と、出力している楽音のピッチベンドダウンを演奏者の唇と唄口の間の距離に応じて制御するピッチベンドダウン機能とを搭載させた点である。
2つ目の特徴は、ピッチベンドダウン機能が働いている間はオクターブ切替機能をロックし、楽音のピッチのオクターブアップが行われないようにした点である。
図1は、本実施形態にかかる電子フルート1の外観を示す図である。図に示すように、この電子フルート1の筐体は、頭管部10、主管部20、及び足管部30から成る。そして、主管部20と足管部30には吹奏者の手指による操作を受け付ける操作子である演奏用キー40が、頭管部10には口唇による操作を受け付ける操作子であるリッププレート50がそれぞれ設けられている。更に、リッププレート50には、唄口51、接触圧検出部70、及び距離検出部80が設けられている。
図2はリッププレート50の構成の詳細を示す断面図である。図に示すように、唄口51の手前側のベース部には断面が略L字状の窪部が形成されおり、アクチエータ71、発泡ゴム72、及びメンブレンスイッチ73からなる接触圧検出部70が収容されている。
メンブレンスイッチ73は、図3に示すように、各々の表面に電極を有する上側電極シート73aと下側電極シート73bを、互いの表面同士がメンブレンスペーサ73cと感圧導電性ゴム73dを挟み込むように重ね合わせてなる。そして、下側電極シート73bの裏面は窪部の長手面に接着されている。
図2において、アクチエータ71は、上面から下面にかけて先細るテーパ形状を成す部材であり、その上面の後端は窪部の短手面の上端に対して上下方向に揺動自在に連結されている。また、このアクチエータ71の上面の前端は上側にやや切り立って略一直線状の突起部74を形成しており、下面には略直方体状の発泡ゴム72が貼り付けられている。このアクチエータ71は、吹奏者の下唇から受けた接触力を自身の揺動を通じてメンブレンスイッチ73に伝達する。後述するように、音源から出力させる楽音のピッチのオクターブ切り替えはこの接触圧検出部70の検出内容に応じて制御される。
一方、リッププレート50の唄口51の奥には距離検出部80が立設されている。この距離検出部80は、距離センサ81を支持柱82を介して唄口51の奥側上部に固定してなる。距離センサ81は、唄口51の方向へ赤外線ビームを照射する赤外線発光素子、その照射方向の遮光物に反射されたビームを受光する受光素子、受光素子が受光したビームの光量に比例して電気抵抗が小さくなる可変抵抗などを備えた赤外線リフレクタ構成を成している。後述するように、音源から出力させる楽音のピッチベンドダウンはこの距離検出部80の検出内容に応じて制御される。
図4(a)乃至(c)を参照し、接触圧検出部70及び距離検出部80の駆動原理について説明する。
図4(a)に示すように、電子フルート1を吹奏する吹奏者は、自らの下唇をアクチエータ71の突起部74に接触させて唄口51へ息を吹入する。周知のように、感圧導電性ゴム73dは、圧縮すればするほどその圧縮方向の電気抵抗が小さくなるという性質を有している。アクチエータ71とリッププレート50の連結部位は弱い力で上方向に付勢されているので、アクチエータ71の突起部74に吹奏者の下唇が接触していなかったり或いは比較的弱い力で接触している状態では、感圧導電性ゴム73dの電気抵抗が無限大となって上側電極シート73aと下側電極シート73bの両接点間の電圧が最大になる。そして、吹奏者がピッチをオクターブアップさせるオクターブ切り替えを行う際は、図4(b)に示すように自らの下唇でアクチエータ71を強く押し下げるため、感圧導電性ゴム73dの電気抵抗が徐々に低くなって両接点間の電圧が低下する。よって、感圧導電性ゴム73dの両接点間に印加される電圧に応じて割り出される接触圧の閾値を好適に設定しておき、接触圧が閾値を跨いで遷移したか否かを参照すれば、オクターブ切り替えのタイミングを精緻に特定することができる。
また、吹奏者がピッチベンドダウンを行っていない間は吹奏者の唇と唄口51の間に十分な距離が確保され、距離センサ81の可変抵抗の電気抵抗が無限大となって抵抗に印加される電圧は最大となる。そして、吹奏者がピッチベンドダウンさせるべく管を回転させると、図4(c)に示すようにその唇が唄口51に近づいていくため、距離センサ81の可変抵抗の電気抵抗が徐々に低下していく。よって、距離センサ81の可変抵抗に印加される電圧に応じて割り出される距離の閾値を好適に設定しておき、距離が閾値を跨いで遷移したか否かを参照すれば、ピッチベンドダウンのタイミングを精緻に特定することができる。更に、唇と距離センサ81の距離が閾値を越えてより近づいたときは、その近づいた距離の大きさに応じてピッチベンドダウンのベンド量を大きくしていくとよい。
図5は、電子フルート1の電気的構成を示す図である。なお、図において、筐体上に備え付けられた要素は図1等を参照して既に説明したところであるから同一の符号を付して再度の説明を割愛する。この電子フルート1は、メンブレンスイッチ73と距離センサ81の他に、ブレスセンサ91、キーセンサ92、アナログ/デジタル(以下、「A/D」と呼ぶ)変換部93、距離/ベンド変換部94、CPU95、RAM96、ROM97、音源98、及びサウンドシステム99を備える。
図に示す各部の機能を概説すると、まず、ブレスセンサ91は、頭管部10のリッププレート50に設けられた唄口51に吹き入れられる呼気の圧力値を検出し、検出した圧力値を示す信号をA/D変換部93へ供給する。
キーセンサ92は、主管部20から足管部30にかけて設けられた各演奏用キー40の押下の有無を個別に検出し、各キーの押下状態を示す信号をA/D変換部93へ供給する。
A/D変換部93は、ブレスセンサ91から供給される信号をA/D変換し、呼気圧データとしてCPU95に供給すると共に、キーセンサ92から供給される信号をA/D変換し、押下キーデータとしてCPU95に供給する。また、このA/D変換部93は、メンブレンスイッチ73の上側電極シート73aと下側電極シート73bの両電極間に印加されている電圧値をA/D変換し、接触圧データとしてCPU95に供給すると共に、距離センサ81の可変抵抗に印加されている電圧値をA/D変換し、距離データとして距離/ベンド変換部94へ供給する。
距離/ベンド変換部94は、A/D変換部93から供給される距離データをベンドデータに変換し、その変換により得たベンドデータをCPU95へ供給する。ベンドデータは、ベンドダウンさせるピッチ量を予め設定されたピッチ幅(以下、このピッチ幅を「ベンドレンジ」と呼ぶ)内における相対値として表したデータである。本実施形態においては、半音1つ分の幅がベンドレンジとして設定されており、ベンドデータはそのベンドレンジ内においてピッチベンドダウンさせるピッチ量を100段階の分解能で表すものとする。従って、ピッチベンドデータは「0〜−100」の値をとり、下限値である「−100」によって半音1つ分(100セント)だけピッチを下げるべきことが表現されることになる。
ここで、距離データからベンドデータへの変換手順について説明しておく。A/D変換部93から距離データの供給を受けた距離/ベンド変換部94は、その距離データが示す距離が予め設定された距離閾値よりも大きいか否か判断する。そして、距離閾値よりも大きいと判断したときは、その大きさの如何にかかわらず「0」のベンドデータをCPU95へ供給する。一方、距離データが示す距離が距離閾値よりも小さいと判断したときは、その距離データが示す距離と距離閾値との差分を求める。そして、距離の最小値である0から距離閾値までの間のスケールにその差分を照らし合わせた相対値を線形補間により求め、求めた値をベンドデータとしてCPU95へ供給するのである。この結果、距離データが示す距離が距離閾値を越えてより小さくなると、距離閾値を超えた差分に比例してベンドデータの値も小さくなってゆき、距離センサ81と吹奏者の唇の間の距離が最小値である「0」になったときにベンドデータは下限値である「−100」に達する。
ROM97は、運指テーブル97aと音源制御プログラム97bを記憶する。
図6は、運指テーブル97aのデータ構造図である。図に示すように、このテーブルは、「運指」、「第1オクターブ」、及び「第2オクターブ」の3つのフィールドを有する。
「運指」のフィールドには、押下されるキーの組み合わせを示す押下キーデータを記憶する。「第1オクターブ」のフィールドには、標準的なアンブッシャでの吹奏時に出力する楽音のピッチを示すピッチデータが記憶される。「第2オクターブ」のフィールドには、「第1オクターブ」のフィールドに記憶されているものよりも1オクターブ高いピッチを示すピッチデータが記憶される。
図5において、音源制御プログラム97bは、本実施形態に特徴的な機能をCPU95に付与するプログラムである。このプログラムを実行するCPU95は、呼気圧データを記憶する領域(以下、「呼気圧データ記憶領域」と呼ぶ)、押下キーデータを記憶する領域(以下、「押下キーデータ記憶領域」と呼ぶ)、接触圧データを記憶する領域(以下、「接触圧データ記憶領域」と呼ぶ)、及びベンドデータを記憶する領域(以下、「ベンドデータ記憶領域」と呼ぶ)をRAM96に確保し、それらの領域のデータをA/D変換部93と距離/ベンド変換部94から供給される各種データで順次書き換えながら本実施形態に特徴的な処理を行う。処理の内容については後に詳述する。
音源98は、周知のMIDI(Musical Instruments Digital Interface)音源98であり、CPU95から自らに供給される各種MIDIメッセージに従って合成した楽音信号をサウンドシステム99へ出力し、及びその出力を停止する。サウンドシステム99は楽音信号に応じた音を放音する。
図7は、本実施形態の処理を示すフローチャートである。
図に示す一連の処理は、図示しないシステムクロックにより発生されるクロック信号と同期して順次実行されるものであり、CPU95は、あるクロックタイミングで接触圧データ記憶領域に書き込まれた接触圧データをバッファリングしておくための固有の領域(以下、「バッファリング領域」と呼ぶ)がRAM96に確保した上で処理を開始する。
図において、CPU95は、呼気圧データ記憶領域に記憶されている呼気圧データが予め設定された呼気圧閾値を上回ったか否か判断する(S100)
ステップ100にて、呼気圧データが呼気圧閾値を上回ったと判断したCPU95は、接触圧データ記憶領域に記憶されている接触圧データをバッファリング領域に記憶する(S110)。つまり、このステップでは、直前のクロックタイミングで接触圧データ記憶領域に記憶された接触圧データがバッファリング領域に書き込まれることになる。当然ながら、接触圧データ記憶領域自体の記憶内容は、その後にA/D変換部93から供給されてくる接触圧データにより順次書き換えられる。
CPU95は、押下キーデータ記憶領域に記憶された押下キーデータとバッファリング領域にバッファリングされた接触圧データの組み合わせに応じて特定されるピッチデータを運指テーブル97aから読み出す(S120)。具体的には、以下の手順でピッチデータを読み出す。まず、押下キーデータ記憶領域に記憶されているものと同じ押下キーデータを「運指」のフィールドに記憶したレコードを運指テーブル97aから特定する。続いて、バッファリング領域にバッファリングしておいた接触圧データが予め設定された接触圧閾値を下回っているかそれとも上回っているかを判断する。そして、接触圧データが接触圧閾値を下回っていれば特定したレコードの「第1オクターブ」のフィールドからピッチデータを読み出す一方、上回っていれば「第2オクターブ」のフィールドからピッチデータを読み出す。
続いて、CPU95は、ステップ120で読み出したピッチデータが表すピッチでの発音を指示するノートオンメッセージを音源98に供給する(S130)。具体的には、ノートオンメッセージであることを記したステータスバイトと、ステップ120で読み出したピッチデータと対応するキーコードを記したデータバイトとを含むMIDIメッセージを音源98へ供給する。メッセージの供給を受けた音源98は、そのメッセージに応じて合成した楽音信号のサウンドシステム99への出力を開始する。これにより、ノートオンメッセージが指定するピッチの楽音がサウンドシステム99から放音される。
続いて、CPU95は、呼気圧データ記憶領域に記憶されている呼気圧データが呼気圧閾値を下回ったか否か判断する(S140)。
ステップ140にて呼気圧データが呼気圧閾値を下回ったと判断したとき、CPU95は、消音を指示するノートオフメッセージを音源98に供給する(S150)。具体的には、ノートオフメッセージであることを記したステータスバイトを含むMIDIメッセージを音源98へ供給する。メッセージの供給を受けた音源98は、サウンドシステム99への楽音信号の出力を停止する。これにより、サウンドシステム99による放音が停止されてステップ100に戻り、呼気圧データが表す圧力値が呼気圧閾値を再び上回ると、以降の処理が繰り返される。
ステップ140にて呼気圧データが呼気圧閾値を下回っていないと判断したとき、CPU95は、ノートオフメッセージの供給を行わず楽音信号を出力させたまま次のステップへ進む。
続いて、CPU95は、ベンドデータ記憶領域に記憶されているベンドデータが0よりも小さいか否かを判断する(S160)。
ステップ160にてベンドデータが0よりも小さいと判断したとき、CPU95は、そのベンドデータが示すベンド量のピッチベンドダウンを指示するピッチベンドメッセージを音源98に供給してからステップ140に戻る(S170)。具体的には、ピッチベンドメッセージであることを記したステータスバイトと、ベンドデータをベンド量のパラメータとして記したデータバイトとを含むMIDIメッセージを音源98へ供給する。メッセージの供給を受けた音源98は、サウンドシステム99へ出力している楽音信号のピッチをそのメッセージに応じて低くする。例えば、メッセージのデータバイトに記されたベンドデータが「−10」である場合は、それまで出力していた楽音信号のピッチを10セント低いピッチへと変化させる。
ステップ160にて距離が0よりも小さくないと判断したとき、CPU95は、接触圧データ記憶領域に記憶されている接触圧データをバッファリング領域に記憶する(S180)。つまり、このステップでは、それまでバッファリング領域にあった接触圧データが直前のクロックタイミングで接触圧データ記憶領域に記憶された新たな接触圧データと置き換えられることになる。一方、ステップ160にてベンドデータが0よりも小さいと判断されたときはこのステップ180はスキップされるため、バッファリング領域の記憶内容は更新されず、ステップ110で記憶された接触圧データがそのまま維持されて次のステップへ進む。
続いて、CPU95は、押下キーデータ記憶領域の記憶内容がA/D変換部93から新たに供給された押下キーデータにより書き換えられているか否か判断する(S190)。吹奏者が自身の運指を変更すればこのステップの判断結果は「Yes」となり、変更しなければこのステップの判断結果は「No」ということになる。
ステップ190にて押下キーデータ記憶領域の記憶内容が書き換えられていると判断したときは、ステップ120に戻って変更後の運指と対応する別のピッチデータを読み出し、続くステップ130でそのピッチデータが示すピッチでの発音を指示するノートオンメッセージを音源98へ供給する。一方、押下キーデータ記憶領域の記憶領域が書き換えられていると判断したときは、ステップ120に戻ることなく、次のステップへ進む。
CPU95は、バッファリング領域の接触圧データが接触圧閾値を跨いで変化したか否か判断する(S200)。吹奏者が運指を固定したままオクターブ切り替えを行っていれば、ステップ110で接触圧閾値を上回っていた接触圧データがステップ170で閾値を下回り、或いはステップ110で接触圧閾値を下回っていた接触圧データがステップ170で閾値を上回ることになるのでこのステップ200の判断結果は「Yes」となり、そうでなければ判断結果は「No」ということになる。
ステップ200にて接触圧データが接触圧閾値を跨いで変化したと判断しときは、ステップ120に戻って1オクターブのピッチ差を有する別のピッチデータを読み出し、続くステップ130でそのピッチデータが示すピッチでの発音を指示するノートオンメッセージを音源98へ供給す。一方、接触圧閾値を跨いで変化していなければステップ140へ戻る。
以上説明した実施形態にかかる電子フルート1は、押下される演奏用キー40の各組み合わせ毎にオクターブ差を有するピッチデータの各対をテーブル化しておくと共に、吹奏者の下唇のリッププレート50への接触圧と閾値を比較した結果を基に特定される一方のピッチデータが示すピッチの楽音信号を音源98から出力させるようになっている。そして、リッププレート50への接触圧を示す接触圧データは、RAM96に設けたバッファリング領域にてバッファリングされ、その領域の記憶内容はリッププレート50の唄口51と吹奏者の唇の距離が閾値より小さくなっていない間だけ更新されるようになっており、吹奏者がピッチベンドダウンの動作に入って唄口51と唇の距離が近くなるとオクターブの切替が行われないようになっている。このため、吹奏者がピッチベンドダウンを行う意図で管を自身の側に回転させた際に下唇をリッププレート50に強く押し当ててしまった場合でも、楽音のピッチがオクターブアップされてしまうということがなくなり、アコースティックなフルートにより近い演奏操作性を実現することができる。
(他の実施形態)
本実施形態は、種々の変形実施が可能である。
上記実施形態は、木管楽器のひとつであるフルートの演奏操作性を電子管楽器により実現するものであったが、運指を固定したままアンブッシャによりオクターブ変更を行う他の管楽器に本願発明を適用してもよい。
上記実施形態において、距離/ベンド変換部94に設定されるベンドレンジは100セントであったが、これよりも広いベンドレンジを設定してもよいし狭いベンドレンジを設定してもよい。
上記実施形態では、ピッチベンドメッセージによって音源98から出力させている楽音信号のピッチを変化させていたが、コントロールチェンジなどの他のメッセージによりピッチを変化させてもよい。
上記実施形態において、リッププレート50上で吹奏者の下唇の接触を受ける部材であるアクチエータ71は、上面の前端に略直線状の突起部74を有する形状を成していたが、アクチエータ71を他の形状により構成していもよい。また、アクチエータ71は、リッププレート50のL字型窪部の短手面の上端に対して自らの後端を上下方向に揺動自在に連結させていたが、別の位置関係で両者を連結させてもよい。要するに、メンブレンスイッチ73の上側電極シート73aを下側電極シート73bに向かって押し下げ得る位置にてアクチエータ71の一端が連結されていれば、アクチエータ71とメンブレンスイッチ73の位置関係や両者の連結手法は問わない。
上記実施形態では、電子フルート1自らが音源98とサウンドシステム99を内蔵していたが、電子フルート1に外部の音源98と接続するインターフェースを設け、このインターフェースを介して音源98制御信号を出力することにより外部の音源98を制御するようにしてもよい。
本実施形態にかかる電子フルートの外観図である。 リッププレートの断面図である。 メンブレンスイッチの構成図である。 接触圧検出部と距離検出部の駆動原理図である。 電子フルートの電気的構成図である。 運指テーブルのデータ構造図である。 実施形態の処理を示すフローチャートである。
符号の説明
10…頭管部、20…主管部、30…足管部、40…演奏用キー、50…リッププレート、51…唄口、70…接触圧検出部、71…アクチエータ、72…発泡ゴム、73…メンブレンスイッチ、80…距離検出部、81…距離センサ、82…支持柱、91…ブレスセンサ、92…キーセンサ、93…A/D変換部、94…距離/ベンド変換部、95…CPU、96…RAM、97…ROM、98…音源、99…サウンドシステム

Claims (6)

  1. 吹奏者の下唇と接触させる部材と唄口とを有するリッププレートと、
    複数のキーを有する演奏操作子と、
    下唇の前記部材に対する接触圧を検出し、検出した接触圧を示す圧力値を順次生成する第1の検出手段と、
    前記唄口から吹奏者の唇までの距離を検出し、検出した距離を示す距離値を順次生成する第2の検出手段と、
    圧力値が第1の閾値を上回るときと下回るときに音源から夫々出力されるべき音のピッチの各対を、キーの押下の各組み合わせと対応付けて記憶したメモリと、
    吹奏者の手指により押下された前記演奏操作子のキーの組み合わせと対応付けて前記メモリに記憶された対を成す両ピッチのうち、前記第1の検出手段が生成する圧力値と第1の閾値とを比較した結果を基に特定される一方のピッチの音を音源から出力させる出力制御手段と、
    前記第2の検出手段により生成される距離値が第2の閾値よりも小さくなっておらず且つ前記第1の検出手段が生成する圧力値が第1の閾値を跨いで遷移した時、前記音源から出力させている音のピッチを前記対を成す両ピッチのうち他方のピッチへと変化させるピッチ変化制御手段と
    を備えた電子管楽器。
  2. 請求項1に記載の電子管楽器において、
    前記出力制御手段は、
    前記一方のピッチの音の出力の開始を指示するメッセージを音源へ供給し、
    前記ピッチ変化制御手段は、
    音源から出力されている音の出力の停止を指示するメッセージと前記他方のピッチの音の出力の開始を指示するメッセージとを音源へ供給する
    電子管楽器。
  3. 請求項1又は2に記載の電子管楽器において、
    前記メモリに記憶されたピッチの各対の各々は、
    1オクターブのピッチ差を有するピッチの対である
    電子管楽器。
  4. 請求項1乃至3に記載の電子管楽器において、
    前記ピッチ変化制御手段は、
    前記生成される距離値が第2の閾値よりも小さくなった時、その距離値に応じたベンド量のピッチベンドダウンを指示するメッセージを音源へ供給する
    電子管楽器。
  5. 請求項1乃至4に記載の電子管楽器において、
    前記第1の検出手段は、
    各々の表面に電極を有する上側電極シートと下側電極シートの表面同士を感圧導電体を挟んで重ね合わせ、下側電極シートの裏面を前記リッププレートの表面と接着させたメンブレンスイッチであって、
    前記下唇と接触させる部材は、
    前記メンブレンスイッチの上側電極シートを下側電極シートに向かって押し下げ得る位置にて自らの一端を前記リッププレートに対して上下方向に揺動自在に連結させたアクチエータである
    電子管楽器。
  6. 吹奏者の下唇と接触させる部材と唄口とを有するリッププレートと、複数のキーを有する演奏操作子と、下唇の前記部材に対する接触圧を検出し、検出した接触圧を示す圧力値を順次生成する第1の検出手段と、前記唄口から吹奏者の唇までの距離を検出し、検出した距離を示す距離値を順次生成する第2の検出手段と、前記第1の検出手段が生成する圧力値が第1の閾値を上回るときと下回るときに音源から夫々出力されるべき音のピッチの各対を、キーの押下の各組み合わせと対応付けて記憶したメモリとを備えた電子管楽器に、
    吹奏者の手指により押下された前記演奏操作子のキーの組み合わせと対応付けて前記メモリに記憶された対を成す両ピッチのうち、前記第1の検出手段が生成する距離値と第1の閾値とを比較した結果を基に特定される一方のピッチの音を音源から出力させる出力制御処理と、
    前記第2の検出処理にて生成した距離値が第2の閾値よりも小さくなっておらず且つ前記第1の検出処理にて生成する圧力値が第1の閾値を跨いで遷移した時、前記音源から出力させている音のピッチを前記対を成す両ピッチのうち他方のピッチへと変化させるピッチ変化制御処理と
    を実行させるプログラム。
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