JP4419966B2 - 電子管楽器及びそのプログラム - Google Patents
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Description
ここで、自然管楽器に特有の奏法の1つにオクターブ切り替えがある。オクターブ切り替えは、オクターブを切り替えるための固有の演奏用キーを備えないフルートのような楽器において、「アンブッシャ」と呼ばれる呼気を吹入する下唇の動きを微妙に変えることによって、運指を固定したまま吹奏音のオクターブをコントロールする奏法を意味し、「オーバーブロー」や「リップスラー」などともいう。
特許文献1には、オクターブ切り替えを精緻に検出し得る電子管楽器の開示がある。この文献に開示された電子管楽器は、唄口内に離散的に設置した複数の呼気圧検出センサを通じて呼気の吹入の向きを検出する。そして、検出した向きに応じて現在のオクターブを特定した後、そのオクターブに従ったピッチの楽音信号の出力を音源へ指示するようになっている。
発明者らは、そのような電子管楽器を実現すべく自然管楽器が吹奏される様子を注意深く観察したところ、オクターブ切り替えが行われる際は吹奏者の下唇によるリッププレートへの接触圧が強くなり、また、ピッチベンドが行われる際は吹奏者の唇とリッププレートの唄口の間の距離が小さくなるとの因果関係を得た。その結果を基に発明者らは、唇との距離を検出する距離センサとその接触圧を検出する圧力センサとを電子管楽器に搭載させ、両センサの検出内容を音源から出力させる音のピッチ変更に連動させてみてはどうかとの着想に至った。つまり、距離センサが検出した距離が閾値よりも近くなると音源から出力させている音をピッチベンドダウンさせ、圧力センサが検出した接触圧が閾値よりも大きくなると今度はその音のピッチをオクターブアップさせるのである。
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、自然管楽器のオクターブアップとピッチベンドの両奏法を精緻に検出し、その演奏操作性をリアルに再現できるような電子管楽器を提供することを目的とする。
本願発明の実施形態について説明する。
本実施形態にかかる電子フルートは、以下の2つの特徴を有する。
1つ目の特徴は、吹奏者の運指に応じて音源から出力させる楽音のピッチのオクターブ切り替えを吹奏者の下唇のリッププレートへの接触圧に応じて制御するオクターブ切替機能と、出力している楽音のピッチベンドダウンを演奏者の唇と唄口の間の距離に応じて制御するピッチベンドダウン機能とを搭載させた点である。
2つ目の特徴は、ピッチベンドダウン機能が働いている間はオクターブ切替機能をロックし、楽音のピッチのオクターブアップが行われないようにした点である。
メンブレンスイッチ73は、図3に示すように、各々の表面に電極を有する上側電極シート73aと下側電極シート73bを、互いの表面同士がメンブレンスペーサ73cと感圧導電性ゴム73dを挟み込むように重ね合わせてなる。そして、下側電極シート73bの裏面は窪部の長手面に接着されている。
図4(a)に示すように、電子フルート1を吹奏する吹奏者は、自らの下唇をアクチエータ71の突起部74に接触させて唄口51へ息を吹入する。周知のように、感圧導電性ゴム73dは、圧縮すればするほどその圧縮方向の電気抵抗が小さくなるという性質を有している。アクチエータ71とリッププレート50の連結部位は弱い力で上方向に付勢されているので、アクチエータ71の突起部74に吹奏者の下唇が接触していなかったり或いは比較的弱い力で接触している状態では、感圧導電性ゴム73dの電気抵抗が無限大となって上側電極シート73aと下側電極シート73bの両接点間の電圧が最大になる。そして、吹奏者がピッチをオクターブアップさせるオクターブ切り替えを行う際は、図4(b)に示すように自らの下唇でアクチエータ71を強く押し下げるため、感圧導電性ゴム73dの電気抵抗が徐々に低くなって両接点間の電圧が低下する。よって、感圧導電性ゴム73dの両接点間に印加される電圧に応じて割り出される接触圧の閾値を好適に設定しておき、接触圧が閾値を跨いで遷移したか否かを参照すれば、オクターブ切り替えのタイミングを精緻に特定することができる。
キーセンサ92は、主管部20から足管部30にかけて設けられた各演奏用キー40の押下の有無を個別に検出し、各キーの押下状態を示す信号をA/D変換部93へ供給する。
図6は、運指テーブル97aのデータ構造図である。図に示すように、このテーブルは、「運指」、「第1オクターブ」、及び「第2オクターブ」の3つのフィールドを有する。
「運指」のフィールドには、押下されるキーの組み合わせを示す押下キーデータを記憶する。「第1オクターブ」のフィールドには、標準的なアンブッシャでの吹奏時に出力する楽音のピッチを示すピッチデータが記憶される。「第2オクターブ」のフィールドには、「第1オクターブ」のフィールドに記憶されているものよりも1オクターブ高いピッチを示すピッチデータが記憶される。
図に示す一連の処理は、図示しないシステムクロックにより発生されるクロック信号と同期して順次実行されるものであり、CPU95は、あるクロックタイミングで接触圧データ記憶領域に書き込まれた接触圧データをバッファリングしておくための固有の領域(以下、「バッファリング領域」と呼ぶ)がRAM96に確保した上で処理を開始する。
図において、CPU95は、呼気圧データ記憶領域に記憶されている呼気圧データが予め設定された呼気圧閾値を上回ったか否か判断する(S100)
ステップ140にて呼気圧データが呼気圧閾値を下回ったと判断したとき、CPU95は、消音を指示するノートオフメッセージを音源98に供給する(S150)。具体的には、ノートオフメッセージであることを記したステータスバイトを含むMIDIメッセージを音源98へ供給する。メッセージの供給を受けた音源98は、サウンドシステム99への楽音信号の出力を停止する。これにより、サウンドシステム99による放音が停止されてステップ100に戻り、呼気圧データが表す圧力値が呼気圧閾値を再び上回ると、以降の処理が繰り返される。
続いて、CPU95は、ベンドデータ記憶領域に記憶されているベンドデータが0よりも小さいか否かを判断する(S160)。
CPU95は、バッファリング領域の接触圧データが接触圧閾値を跨いで変化したか否か判断する(S200)。吹奏者が運指を固定したままオクターブ切り替えを行っていれば、ステップ110で接触圧閾値を上回っていた接触圧データがステップ170で閾値を下回り、或いはステップ110で接触圧閾値を下回っていた接触圧データがステップ170で閾値を上回ることになるのでこのステップ200の判断結果は「Yes」となり、そうでなければ判断結果は「No」ということになる。
ステップ200にて接触圧データが接触圧閾値を跨いで変化したと判断しときは、ステップ120に戻って1オクターブのピッチ差を有する別のピッチデータを読み出し、続くステップ130でそのピッチデータが示すピッチでの発音を指示するノートオンメッセージを音源98へ供給す。一方、接触圧閾値を跨いで変化していなければステップ140へ戻る。
本実施形態は、種々の変形実施が可能である。
上記実施形態は、木管楽器のひとつであるフルートの演奏操作性を電子管楽器により実現するものであったが、運指を固定したままアンブッシャによりオクターブ変更を行う他の管楽器に本願発明を適用してもよい。
上記実施形態において、距離/ベンド変換部94に設定されるベンドレンジは100セントであったが、これよりも広いベンドレンジを設定してもよいし狭いベンドレンジを設定してもよい。
上記実施形態では、ピッチベンドメッセージによって音源98から出力させている楽音信号のピッチを変化させていたが、コントロールチェンジなどの他のメッセージによりピッチを変化させてもよい。
Claims (6)
- 吹奏者の下唇と接触させる部材と唄口とを有するリッププレートと、
複数のキーを有する演奏操作子と、
下唇の前記部材に対する接触圧を検出し、検出した接触圧を示す圧力値を順次生成する第1の検出手段と、
前記唄口から吹奏者の唇までの距離を検出し、検出した距離を示す距離値を順次生成する第2の検出手段と、
圧力値が第1の閾値を上回るときと下回るときに音源から夫々出力されるべき音のピッチの各対を、キーの押下の各組み合わせと対応付けて記憶したメモリと、
吹奏者の手指により押下された前記演奏操作子のキーの組み合わせと対応付けて前記メモリに記憶された対を成す両ピッチのうち、前記第1の検出手段が生成する圧力値と第1の閾値とを比較した結果を基に特定される一方のピッチの音を音源から出力させる出力制御手段と、
前記第2の検出手段により生成される距離値が第2の閾値よりも小さくなっておらず且つ前記第1の検出手段が生成する圧力値が第1の閾値を跨いで遷移した時、前記音源から出力させている音のピッチを前記対を成す両ピッチのうち他方のピッチへと変化させるピッチ変化制御手段と
を備えた電子管楽器。 - 請求項1に記載の電子管楽器において、
前記出力制御手段は、
前記一方のピッチの音の出力の開始を指示するメッセージを音源へ供給し、
前記ピッチ変化制御手段は、
音源から出力されている音の出力の停止を指示するメッセージと前記他方のピッチの音の出力の開始を指示するメッセージとを音源へ供給する
電子管楽器。 - 請求項1又は2に記載の電子管楽器において、
前記メモリに記憶されたピッチの各対の各々は、
1オクターブのピッチ差を有するピッチの対である
電子管楽器。 - 請求項1乃至3に記載の電子管楽器において、
前記ピッチ変化制御手段は、
前記生成される距離値が第2の閾値よりも小さくなった時、その距離値に応じたベンド量のピッチベンドダウンを指示するメッセージを音源へ供給する
電子管楽器。 - 請求項1乃至4に記載の電子管楽器において、
前記第1の検出手段は、
各々の表面に電極を有する上側電極シートと下側電極シートの表面同士を感圧導電体を挟んで重ね合わせ、下側電極シートの裏面を前記リッププレートの表面と接着させたメンブレンスイッチであって、
前記下唇と接触させる部材は、
前記メンブレンスイッチの上側電極シートを下側電極シートに向かって押し下げ得る位置にて自らの一端を前記リッププレートに対して上下方向に揺動自在に連結させたアクチエータである
電子管楽器。 - 吹奏者の下唇と接触させる部材と唄口とを有するリッププレートと、複数のキーを有する演奏操作子と、下唇の前記部材に対する接触圧を検出し、検出した接触圧を示す圧力値を順次生成する第1の検出手段と、前記唄口から吹奏者の唇までの距離を検出し、検出した距離を示す距離値を順次生成する第2の検出手段と、前記第1の検出手段が生成する圧力値が第1の閾値を上回るときと下回るときに音源から夫々出力されるべき音のピッチの各対を、キーの押下の各組み合わせと対応付けて記憶したメモリとを備えた電子管楽器に、
吹奏者の手指により押下された前記演奏操作子のキーの組み合わせと対応付けて前記メモリに記憶された対を成す両ピッチのうち、前記第1の検出手段が生成する距離値と第1の閾値とを比較した結果を基に特定される一方のピッチの音を音源から出力させる出力制御処理と、
前記第2の検出処理にて生成した距離値が第2の閾値よりも小さくなっておらず且つ前記第1の検出処理にて生成する圧力値が第1の閾値を跨いで遷移した時、前記音源から出力させている音のピッチを前記対を成す両ピッチのうち他方のピッチへと変化させるピッチ変化制御処理と
を実行させるプログラム。
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