以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1実施形態にかかる熱処理装置)
まず,本発明の第1実施形態におけるヒータ素線寿命予測を適用可能な縦型熱処理装置(以下,単に「熱処理装置」ともいう)100について図面を参照しながら説明する。図1は,熱処理装置100の概略構成を示す縦断面図であり,図2は,熱処理装置100が備える電力系の概略構成を示すブロック図である。
熱処理装置100は,例えば図1に示すように,ウエハWに対して熱処理を行うための処理室122を備える。処理室122は反応管110とマニホールド112により構成される。反応管110は,石英で作られた内管110aと外管110bからなる二重管構造により構成され,反応管110の下側には金属性の筒状のマニホールド112が設けられている。内管110aは,上端に開口部を有しており,マニホールド112に支持されている。外管110bは,有天井に形成されており,下端がマニホールド112の上端に気密に接合されている。
反応管110内には,多数枚例えば150枚の被処理基板としてのウエハWが水平な状態で,上下に所定の間隔をおいてウエハ保持具(基板保持具)であるウエハボート114に棚状に配置されている。このウエハボート114は蓋体116の上に保温筒(断熱体)118を介して保持されている。
蓋体116は,ウエハボート114を反応管110内に搬入,搬出するためのボートエレベータ120の上に搭載されており,上限位置にあるときには反応管110とマニホールド112とで構成される処理室122の基板搬出入口としての下端開口部123を閉塞する役割を果たしている。
なお,処理室122の下端開口部123の近傍には,熱処理後のウエハボート114が処理室122から搬出された際に下端開口部123を遮蔽するシャッタ(図示せず)が設けられている。
反応管110の周囲には,ヒータ130が設けられている。ヒータ130は,図1と図2に示すように,例えば5段に配置されたヒータ素線132A〜132Eから構成されている。すなわち,ヒータ130による加熱領域が反応管110の縦方向(垂直方向)に沿って複数(ここでは5つ)の加熱ゾーンに分けられており,各加熱ゾーンに各ヒータ素線132A〜132Eがそれぞれ配置されている。
各ヒータ素線132A〜132Eは,例えば鉄−タンタル−カーボン合金などの抵抗発熱体からなり,反応管110の外周にコイル形に巻き付けられている。なお,各ヒータ素線132A〜132Eを反応管110の外周に沿って波形に巻き付けるようにしてヒータ130を構成するようにしてもよい。
各ヒータ素線132A〜132Eには電源134A〜134Eが接続されており,制御部200からの制御信号に従って,各電源134A〜134Eから各ヒータ素線132A〜132Eに対して独立して電力が供給される。各ヒータ素線132A〜132Eは,供給された電力の大きさに応じて発熱する。
反応管110の外壁には,垂直方向(縦方向)の加熱ゾーンごとに各ヒータ素線132A〜132Eの温度を検出するための外部温度センサ136(136A〜136E)が配置されている。内管110aの内壁には,垂直方向(縦方向)の加熱ゾーンごとに各ヒータ素線132A〜132Eが加熱する反応管110内の雰囲気の温度を検出する内部温度センサ138が配置されている。外部温度センサ136と内部温度センサ138は例えば熱電対で構成される。制御部200は,各温度センサ136,138により検出された温度検出値を,加熱ゾーンごとに温度データ(温度情報)として取得し,これらの検出温度データと予め設定された設定温度データとに基づいて各ヒータ素線132A〜132Eに供給する電力値を制御して発熱量を制御するように構成される。
このように,本実施形態にかかるヒータ130によれば,処理室122内を5個の加熱ゾーンに分けて加熱することができるので,熱処理中の処理室122内の温度を均一に保つことができ,すべてのウエハWに対して温度のばらつきなく熱処理を施すことができる。
マニホールド112には,例えばジクロルシラン,アンモニア,窒素ガスなどの処理ガスを各処理ガス源(図示せず)から処理室122内に供給するための複数のガス供給管が接続されている。図1では,理解を容易にするため,3本のガス供給管140A〜140Cを示している。各ガス供給管140A〜140Cには,ガス流量を調整するためのマスフローコントローラ(MFC)などの流量調整部142A〜142Cが備えられている。
さらに,マニホールド112には,排気管150を介して排気手段152が接続されている。この排気手段152によって,内管110aと外管110bとの隙間から反応管110内の雰囲気を排気して,反応管110内の圧力を調整することができる。この排気手段152は,例えば,コンビネーションバルブ,バタフライバルブなどの各種バルブと真空ポンプから構成される。また,排気管150には,処理室122内の圧力を検出して,排気手段152をフィードバック制御するための圧力センサを備えるようにしてもよい。圧力センサとしては,外気圧の変化の影響を受けにくい絶対圧型を用いることが好ましいが,差圧型を用いてもよい。
また,熱処理装置100は,反応管110内の処理雰囲気の温度,ガス流量,圧力といった処理パラメータを制御するための制御部200を備えている。例えば制御部200は,外部温度センサ136と内部温度センサ138からの温度のデータに基づいて各電源134A〜134Eを制御して各ヒータ素線132A〜132Eに供給する電力を調整する。このようにして制御部200は,処理室122内の温度を熱処理温度まで上昇させて,ウエハWに対してその熱処理温度で熱処理を施すことができる。
また,制御部200は,各ヒータ素線132A〜132Eに供給された電力値を測定することができる。例えば制御部200は,後述する所定の期間における各電源134A〜134Eにより各ヒータ素線132A〜132Eに供給される電力のデータを収集し,それらに基づいて各ヒータ素線132A〜132Eの寿命を予測する。
(制御部の構成例)
次に,上記制御部200の具体的な構成例について図面を参照しながら説明する。図3は,制御部200の具体的な構成例を示すブロック図である。図3に示すように,制御部200は,制御部本体を構成するCPU(Central Processing Unit)210,CPU210が各部を制御するためのプログラム(例えばウエハWの処理プログラム)や後述する電力データの演算プログラム等を格納したROM(Read Only Memory)220,CPU210が行う各種データ処理のために使用されるメモリエリア等を設けたRAM(Random Access Memory)230,時間を計時するカウンタなどで構成される計時手段240,操作画面や選択画面などを表示する液晶ディスプレイなどで構成される表示手段250,オペレータによるプロセスレシピの入力や編集など種々のデータの入力及び所定の記憶媒体へのプロセスレシピやプロセスログの出力など各種データの出力などを行うことができる入出力手段260,警報器(例えばブザー)などで構成される報知手段270,CPU210が各部を制御するためのプログラム(例えばウエハWの熱処理プログラム)や後述するヒータ素線寿命予測の演算プログラム等やデータを記憶するハードディスク(HDD)やメモリなどの記憶手段280を備える。
また,制御部200は,上記の他にも,図示はしないが,例えばセンサ信号の入力や制御信号の出力を行う入出力ポート(I/Oポート)を備える。入出力ポートには,例えば上述した外部温度センサ136(136A〜136E)及び内部温度センサ138が接続される。制御部200は必要に応じて各温度センサ136(136A〜136E),138からの信号を入出力ポートを介して入力する。また,入出力ポートには,各ヒータ素線132A〜132Eの電源134A〜134Eが接続されており,制御部200は必要に応じて電源134A〜134Eに制御信号を入出力ポートを介して出力する。
これらCPU210,ROM220,RAM230,計時手段240,表示手段250,入出力手段260,報知手段270,記憶手段280,入出力ポート等は,制御バス,システムバス,データバスなどのバスライン202を介して電気的に接続されている。
上記記憶手段280には,例えば電力データ282,温度データ284,演算結果データ286などが記憶される。温度データ284には,例えば外部温度センサ136と内部温度センサ138から得られた検出温度データ,予め各加熱ゾーンごとに設定された設定温度データが含まれる。電力データ282には,各電源134A〜134Eにより各ヒータ素線132A〜132Eに供給する電力のデータが含まれる。この供給電力としては,例えば各電源134A〜134Eに電力計を取り付けて検出した実際の供給電力(電力波形)である。演算結果データ286には,例えばCPU210が上記電力データ282や温度データ284を用いて所定の演算を行った結果得られるデータが含まれる。具体的には,後述する本実施形態にかかるヒータ素線寿命予測処理で用いられる電力データ282の最大値,残差平方和,及び温度データ284の最大値などが挙げられる。このような演算結果データ286の詳細については後述する。
(熱処理装置の動作の具体例)
ここで本実施形態にかかる熱処理装置100の動作の具体例について図面を参照しながら説明する。この熱処理装置100では,制御部200の制御により,1回の運用で多数枚のウエハWに対して一度に熱処理を行うための一連の工程を繰返し行うようになっている。図4は,熱処理装置100によって1回の運用で行われる各工程における処理室122内の設定温度データを示す特性図である。
図4に示すように,先ず時刻t0から時刻t1までのウエハ搬入期間(基板搬入期間)において,処理室122内に複数枚のウエハWを搬入する工程(ローディング工程)を行う。具体的には,制御部200は,処理室122の下端開口部123を遮蔽している図示しないシャッタを開き,ボートエレベータ120によって蓋体116を上昇させて,例えば150枚のウエハWが保持されているウエハボート114と保温筒118を処理室122内に搬入し,処理室122の下端開口部123を蓋体116で閉塞する。この搬入期間においては,処理室122内の設定温度を例えば650℃とする。
そして,排気手段152により処理室122内を排気することによって処理室122内を所定の圧力に調整する。このとき調整された処理室122内の圧力が維持されるか否かの圧力チェック処理を行い,圧力異常がないと判断した場合には,流量調整部142A〜142Cを制御して処理室122内に不活性ガス例えば窒素ガスを導入して処理室122内をパージする。
次に,時刻t1〜t2までの昇温期間において処理室122内を昇温させる昇温工程を行い,時刻t2〜t3までの熱処理期間において所定の熱処理工程を行う。具体的には時刻t1から制御部200は制御信号により電源134A〜134Eを制御して各ヒータ素線132A〜132Eに対して所定の電力を供給して処理室122内を加熱する。その後,時刻t2にて処理室122内が熱処理温度例えば900℃に達したところで,制御部200は,流量調整部142A〜142Cを制御して処理室122内に所定の処理ガスを供給して,時刻t3までウエハWに対する熱処理例えば減圧CVD法による成膜処理を行う。なお,この昇温期間t1〜t2の時間は例えば25分に設定される。この場合,昇温期間における処理室122内の温度上昇率(昇温レート)は例えば毎分10℃となる。
次いで,各ウエハWに所定の膜を形成する熱処理が終了すると,時刻t3〜t4までの降温期間において処理室122内を降温させる降温工程を行う。具体的には時刻t3にて処理室122内へ処理ガスに代えて不活性ガスを導入して,処理室122内をパージする。また,各電源134A〜134Eから各ヒータ素線132A〜132Eへの電力供給を停止させる。これによって,処理室122内の温度は徐々に下降していく。
次に,時刻t4〜t5のウエハ搬出期間(基板搬出期間)においてウエハボート114を反応管110から搬出する搬出工程(アンローディング工程)を行う。具体的には,処理室122内が例えば650℃まで低下したところで,時刻t4にて処理室122内の圧力を調整して大気圧に復帰させ,蓋体116を降下させてウエハボート114に配置されている複数のウエハWを処理室122から搬出し,図示しないシャッタを閉じて処理室122の下端開口部123を遮蔽する。
こうして,処理室122内からの複数のウエハWの搬出が終了する時刻t5の時点で熱処理装置100による一連の工程(1回の運用)が完了することになる。熱処理装置100は,時刻t0から時刻t5までの一連の工程を行った後,次の一連の工程からなる運用(ウエハWの搬入,熱処理,ウエハWの搬出)を行う。以後,同様に一連の工程からなる運用を繰り返し行う。
ところで,熱処理装置100によって上記のような一連の工程からなる運用を繰り返し行うと,処理室122内は,ウエハWを搬入・搬出するための比較的低温(例えば650℃)とウエハWに対して熱処理を施すための高温(例えば900℃)とに交互に調整される。そのため,各ヒータ素線132A〜132Eは,高温と低温の状態を繰り返すことになり,熱処理条件によっては短い期間で突然断線してしまうこともある。
いずれかのヒータ素線132A〜132Eが熱処理中に断線してしまうと,そのバッチに含まれるウエハWに対する熱処理が不十分となり,そのウエハWがすべて不良品となってしまうため,損失コストが大きくなり,また熱処理にかかった時間が無駄になる。
このため,本実施形態にかかる熱処理装置100では,熱処理中に各ヒータ素線132A〜132Eが突然断線するような事態に陥らないように,各ヒータ素線132A〜132Eの寿命を予測する処理を行うようになっている。
本実施形態におけるヒータ素線寿命予測処理では,温度安定時よりもヒータ素線132A〜132Eの断線の兆候が現れ易い期間(例えば昇温期間など)のデータを用いる。これは,各ヒータ素線132A〜132Eが未だ断線していない場合には,これらに電力を供給したときに所定の温度に達した後の温度安定時よりも,例えば所定の温度に達する前に温度が上昇して変化している昇温期間の方が,各ヒータ素線132A〜132Eの断線の兆候が現れ易く,断線前に各ヒータ素線132A〜132Eが劣化している場合と劣化していない場合の違いが見分け易いからである。
このような温度安定時よりもヒータ素線の断線の兆候が現れ易い期間のデータを利用して,各ヒータ素線132A〜132Eの寿命を予測することにより,従来以上に的確に寿命を予測することができる。しかも,温度安定時よりも昇温期間の方が,早い時期に断線の兆候が現れ易いので,従来よりも早い時期に寿命を予測することができる。これにより,例えば余裕を持って各ヒータ素線132A〜132Eの交換部品を用意し,交換のための熱処理装置100のメンテナンススケジュールを立てることができる。
(第1実施形態におけるヒータ素線の寿命予測)
次に,第1実施形態におけるヒータ素線寿命予測について説明する。ここでは,熱処理装置100における各ヒータ素線132A〜132Eの寿命を,処理室122内が熱処理温度になるまで昇温させるときの昇温期間に各ヒータ素線132A〜132Eに供給される電力データを用いて予測する場合を例に挙げる。具体的には例えば各電源134A〜134Eにより各ヒータ素線132A〜132Eに供給される電力(以下,単に「供給電力」ともいう)のデータを収集して,この収集した電力データを解析することによって各ヒータ素線132A〜132Eの寿命を予測する。
図5は,第1実施形態にかかるヒータ素線寿命予測処理(以下,単に「寿命予測処理」ともいう)の具体例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートによるヒータ素線寿命予測処理は,熱処理装置100において1回の運用(バッチ処理)が行われるごとに,制御部200によって所定のプログラムに基づいて実行される。
まず,ステップS110にて,各電源134A〜134Eにより各ヒータ素線132A〜132Eに供給される電力のデータを収集する。ここでは,熱処理装置100の1回の運用における昇温期間t1〜t2の電力のデータを収集し,これらを電力データ282として記憶手段280に記憶する。
ここで,上述した昇温期間の電力データについて図面を参照しながら,ヒータ素線の劣化が進んだ場合と未だ劣化していない正常な場合とを比較して説明する。なお,昇温期間の電力データに基づいて寿命予測を行う場合には,各ヒータ素線132A〜132Eの寿命についてすべて同様に予測することができるので,以降では,最も上側に配置されるヒータ素線132Aの寿命を予測する場合を例に挙げて説明する。
図6Aと図6Bは,処理室122内を所定の熱処理温度に調整するために昇温期間において電源134Aによりヒータ素線132Aに供給された電力の波形を示すグラフである。このうち図6Aは劣化して寿命が近いヒータ素線132Aに供給された電力の波形を示しており,図6Bは未だ劣化していない正常なヒータ素線132Aに供給された電力の波形を示している。図6Aと図6Bにおいて,縦軸はヒータ素線132Aに供給された電力値を示しており,横軸はヒータ素線132Aに電力が供給されている時間を示している。また,図6Aと図6Bでは,電源134Aがヒータ素線132Aに供給することができる最大電力(以下,「定格電力」という)を100%,0Wを0%として各電力波形を示している。
図6Aと図6Bを比較すれば,ヒータ素線132Aの劣化が進むと,電力の最大値及び振幅が大きくなることがわかる。これは,ヒータ素線132Aが劣化すると,電源134Aからより大きい電力を供給しなければ,所定の時間内に処理室122内を所定の熱処理温度に調整することができなくなるために生じる傾向である。図6Aに示す例では,昇温期間として設定されている時間で処理室122が所定の熱処理温度に調整されるように,電源134Aが瞬間的に定格電力をヒータ素線132Aに供給している。
また,ヒータ素線132Aが劣化するに連れて,供給電力から交流成分が消滅し電力波形が安定するまでの時間が長くなる。これは,ヒータ素線132Aが劣化すると,電源134Aからより大きい電力をより長く供給しなければ,昇温期間として設定されている時間で処理室122内を所定の熱処理温度に調整することができなくなるために生じる傾向である。
本実施形態にかかる寿命予測処理では,このような電力波形の特徴に着目して,この特徴を数値化してヒータ素線132Aの寿命予測に利用する。この場合,上記のようなヒータ素線132Aの劣化を示す電力波形の特徴,例えば供給電力の最大値や振幅の大きさなどは,昇温期間の電力波形に顕著に現れる。これに対して温度安定時である熱処理期間t2〜t3では,すでに供給電力の波形から交流成分が消滅しているため,供給電力の最大値や振幅の大きさを正確には検出し難い。
このため,本実施形態にかかる制御部200は,昇温期間においてヒータ素線132Aに供給された電力のデータをステップS110にて収集した後,上記のような電力波形の特徴を数値化するために,収集した電力データを用いて例えばヒータ素線132Aへの供給電力の最大値や振幅の大きさなどを求める各種演算処理を実行する。
なお,ここでいう「供給電力の振幅の大きさ」とは,瞬間的な供給電力の振幅の大きさではなく,昇温期間における供給電力の振幅和の大きさをいう。このため,昇温期間における供給電力の交流成分を構成する波一つ一つの振幅が大きく,かつ,交流成分の消滅時期が遅れ,供給電力が安定するまでの時間が長いほど供給電力の振幅が大きくなる。
このような各種演算処理として,図5に示す寿命予測処理では,ステップS120にて,収集した電力データに基づいて,昇温期間における供給電力の最大値と振幅の大きさを求める。このうち,供給電力の最大値については,図6Aに示す例では,電源134Aの定格電力が最大値として算出され,図6Bに示す例では,定格電力の80%が最大値として算出される。このように算出された供給電力の最大値は,演算結果データ286として記憶手段280に記憶される。
なお,熱処理装置100が1回の運用(バッチ処理)を実行するごとにステップS120が実行されて供給電力の最大値が算出されるので,昇温期間における供給電力の最大値について,運用(バッチ処理)ごとの推移を把握することができる。
ここで,昇温期間における供給電力の最大値についての運用回数ごとの推移を図7に示す。図7に示すように,熱処理装置100の運用回数が進み,ある回数に達すると供給電力の最大値が急激に増加する。これをヒータ素線132Aの断線の予兆として捉えることができる。実際,図7に示す例では,供給電力の最大値が急激に増加した後,8回目の運用中にヒータ素線132Aが断線している。
本実施形態では,供給電力の最大値の急激な増加を判断するために,供給電力の最大値に閾値を設定している。供給電力の最大値は,熱処理条件に応じて変化する蓋然性が高いため,上記閾値についても熱処理条件に応じて設定することが好ましい。例えば,25分間の昇温期間にて処理室122内の温度を650℃から900℃に上昇させる熱処理条件においては,閾値は例えば”94%”に設定される。
上記ステップS120においては,上記の供給電力の最大値と共にその振幅の大きさを示す指標も求める。ここでは振幅の大きさを示す指標として,例えば供給電力の極小値と極大値の残差平方和を計算して,この残差平方和に基づいて供給電力の振幅の大きさを判断する。
このような供給電力の極小値と極大値の残差平均和の算出方法の具体例について,図面を参照しながら説明する。図8は,昇温期間における供給電力の波形の一部を拡大して示している。まず,制御部200は,この波形の極値(極大値と極小値)301,302,・・・,307,・・・に対して,例えば最小二乗法を用いて回帰直線300を求める。
次に,回帰直線300と昇温期間における各極値301,302,・・・,307,・・・との差(残差)εi(i=1,2,・・・,7,・・・)を求め,さらに各残差の二乗の総和すなわち残差平方和を算出する。このように求めた残差平方和は,供給電力の振幅が大きいほど大きな値を示す。このように残差平方和は,供給電力の振幅の大きさに応じた値を示すものであるため,残差平方和に基づいて供給電力の振幅の大きさを判断することができる。そして上記のように,ヒータ素線132Aが劣化すると昇温期間における供給電力の振幅が大きくなることから,ヒータ素線132Aの劣化状況を的確に判断するための指標として残差平方和の値を用いることができる。このように算出された供給電力の残差平方和は,演算結果データ286として記憶手段280に記憶される。
制御部200は,熱処理装置100が運用(バッチ処理)を行うごとにステップS120を実行し供給電力の振幅の大きさを,すなわち残差平方和を算出する。これによって,昇温期間における供給電力の残差平方和について,運用ごとの推移を把握することができる。
なお,本実施形態において,供給電力は,図6Aと図6Bに示すように,定格電力を100%とした場合の百分率で表されており,残差及び残差平方和についても,この百分率で表された供給電力の数値を用いて算出している。ただし,残差平方和の値は,供給電力の振幅の大きさを反映するものであればよいため,残差及び残差平方和を算出するにあたり,例えばW(ワット)表示された供給電力の値をそのまま用いるようにしてもよい。
ここで,昇温期間における供給電力の残差平方和についての運用回数ごとの推移を図9に示す。図9に示すように,熱処理装置100の運用回数が進み,ある回数に達すると供給電力の残差平方和が急激に増加する。これをヒータ素線132Aの断線の予兆として捉えることができる。実際,図9に示す例では,供給電力の残差平方和が急激に増加した後,5回目の運用中にヒータ素線132Aが断線している。
本実施形態では,供給電力の残差平方和の急激な増加を認識するために,供給電力の残差平方和に閾値を設定している。供給電力の残差平方和も,上記の供給電力の最大値と同様に,熱処理条件に応じて変化する蓋然性が高いため,その閾値についても熱処理条件に応じて設定することが好ましい。例えば,25分間の昇温期間にて処理室122内の温度を650℃から900℃に上昇させる熱処理条件においては,閾値は例えば”700000a.u.(arbitrary unit)”に設定される。
そして,ステップS130にて,供給電力の最大値と残差平方和がそれぞれの閾値を上回っているか否かを判定する。ここで供給電力の最大値と残差平方和のうち少なくともどちらか一方が閾値を上回っていなければ,ヒータ素線132Aは断線の兆候がなく正常であると判断して,この運用(バッチ処理)における寿命予測処理を終了する。
これに対して,ステップS130にて供給電力の最大値が閾値を上回り,かつ,供給電力の残差平方和が閾値を上回っている場合には,ヒータ素線132Aに断線の兆候があり寿命が近いと判断し,ステップS140にてヒータ素線の寿命が近いことを知らせる寿命警報の処理を行う。具体的にはヒータ素線の寿命警報処理として,例えばブザーなどの報知手段270を駆動したり,ディスプレイなどの表示手段250にヒータ素線132Aの寿命が近い旨の表示を行ったりする。その後,この運用(バッチ処理)におけるヒータ素線の寿命予測処理を終了する。
熱処理装置100のオペレータは,この寿命警報により,例えばヒータ素線132A又はこのヒータ素線132Aを含むヒータ130全体の交換部品の手配を行うとともに,この交換のための熱処理装置100のメンテナンススケジュールを立てることができる。第1実施形態は,早期にヒータ素線132Aの寿命を予測できるものであり,寿命警報の直後にヒータ素線132Aが断線してしまうわけではなく,さらに例えば5〜8回の熱処理が実行されて初めてヒータ素線132Aが断線する。したがって,交換部品の手配やメンテナンスの段取りを時間的に余裕をもって行うことができるので,オペレータは熱処理装置100のメンテナンス作業を円滑に行うことができる。
以上のように,第1実施形態によれば,昇温期間における供給電力の最大値と残差平方和を計算して,これらの計算結果に基づいてヒータ素線132Aの寿命を予測する。昇温期間における供給電力は,熱処理期間(温度安定期間)における供給電力に比べて,その変動が大きくなるため,昇温期間における供給電力の最大値と残差平方和には,ヒータ素線132Aの断線の兆候が顕著に現れる。しかも,第1実施形態では,熱処理条件に応じて供給電力の最大値と残差平方和それぞれの閾値を設定する。したがって,第1実施形態にかかる寿命予測処理によれば,より早い時期に,ヒータ素線132Aの寿命を従来以上に的確に予測することができる。
さらに,第1実施形態では,供給電力の最大値と残差平方和という2つの指標に基づいてヒータ素線132Aの寿命を多角的に予測する。したがって,信頼性の高い予測結果を得ることができる。
ところで第1実施形態では,供給電力の最大値が閾値を超え,かつ,供給電力の残差平方和が閾値を超えた場合に,ヒータ素線132Aに断線の兆候があると判断している。このような判断基準に代えて,例えば,最大値と残差平方和の少なくともいずれか一方がそれぞれの閾値を超えた場合にヒータ素線132Aに断線の兆候があると判断するようにしてもよい。後者の判断基準を採用すれば,ヒータ素線132Aの劣化がより早くに判断されることになり,このため熱処理中にヒータ素線132Aが不意に断線してしまうという事態をより確実に回避することができる。
第1実施形態では,図5に示すように,ステップS120にて供給電力の最大値と残差平方和を先に計算して,その後ステップS130にてそれぞれと閾値との比較判定を行っている。本発明はこの処理の順番に限定されない。例えば,供給電力の最大値を計算してこの計算結果と閾値の比較判定を行い,その後供給電力の残差平方和を計算してこの計算結果と閾値の比較判定を行うようにしてもよい。逆に供給電力の残差平方和を計算してこの計算結果と閾値の比較判定を行い,その後供給電力の最大値を計算してこの計算結果と閾値の比較判定を行うようにしてもよい。
また上述のように第1実施形態では,供給電力の最大値と残差平方和という二つの指標に基づいてヒータ素線132Aの寿命を予測する。ただし,例えば熱処理条件によっては,上記二つの指標のうち一方のみに基づいてヒータ素線132Aの寿命を予測するようにしてもよい。例えば,目標温度が高く昇温期間として短い時間が設定されているような熱処理条件下では,ヒータ素線132Aが劣化していなくても昇温期間において供給電力の最大値が100%になってしまい,そのときの供給電力の最大値を求めても,ヒータ素線132Aの劣化を判定することが難しくなる。したがって,このような熱処理条件下では,昇温期間における供給電力の振幅の大きさのみに基づいてヒータ素線132Aの寿命を予測することが好ましい。
また上述のように第1実施形態にかかる熱処理装置100には,複数のヒータ素線132A〜132Eが備えられており,ここまで,その中のヒータ素線132Aの寿命を予測する場合について説明した。その他のヒータ素線132B〜132Eについても,ヒータ素線132Aと同様にして個別に寿命を予測することができる。
具体的には,制御部200は,ヒータ素線132A〜132Eごとに,昇温期間における供給電力のデータを収集して,供給電力の最大値と残差平方和を求める。そして,制御部200は,ヒータ素線132A〜132Eごとに供給電力の最大値及び残差平方和を判定して,各ヒータ素線132A〜132Eの寿命を予測する。
このように,複数のヒータ素線132A〜132Eそれぞれについて,供給電力の最大値及び残差平方和を判定する際には,ヒータ素線132A〜132Eごとに設定された閾値を用いることが好ましい。
例えば,処理室122内の温度を短時間に高い温度に調整するために通常から定格電力に近い電力が供給されるヒータ素線については,供給電力の最大値を判定するための閾値として定格電力に近い値を設定することが好ましい。同様に,通常から振幅の大きい電力が供給されるヒータ素線については,供給電力の残差平方和を判定するための閾値として大きめの値を設定することが好ましい。
そして,制御部200がヒータ素線132A〜132Eのうちの少なくとも一つの寿命が近いと予測した場合,そのヒータ素線のみ,あるいはヒータ130全体を交換する。
以上のように,複数のヒータ素線132A〜132Eを有する熱処理装置100において,ヒータ素線132A〜132Eごとに,熱処理条件に応じた閾値を設定することによって,いずれのヒータ素線132A〜132Eについても,より早い時期により高い精度でそれぞれの寿命を予測することができる。
なお,上記第1実施形態にかかるヒータ素線の寿命予測処理では,供給電力の最大値に基づいてヒータ素線132A〜132Eの寿命を予測し,また供給電力の振幅の大きさに基づいてヒータ素線132A〜132Eの寿命を予測する,いわゆる単変量解析の手法を用いたデータ解析によって予測する場合について説明したが,必ずしもこれに限定されるものではない。例えば,ヒータ素線132A〜132Eそれぞれの供給電力の最大値と残差平方和を変量として,これらの変量をすべてまとめて解析して,この多変量解析の結果からヒータ130全体の寿命を予測するようにしてもよい。
(第2実施形態におけるヒータ素線寿命予測)
次に,本発明の第2実施形態におけるヒータ素線寿命予測について説明する。ここでは,多変量解析によりヒータ素線の寿命予測を行う場合を例に挙げる。具体的には,例えば5本のヒータ素線132A〜132Eからなるヒータ130の寿命を予測するのに,ある熱処理における昇温期間中に各ヒータ素線132A〜132Eに供給された電力を測定して得られる電力データに含まれるデータ,例えば電力の最大値と残差平方和(10個の変量)を多変量解析して,この解析結果に基づいてヒータ素線132A〜132Eの少なくとも一つに断線の兆候があるか否かを判別する。この判別分析には,例えばマハラノビスの距離(MD)の手法を用いる。
ここでいうマハラノビスの距離とは,例えば未だ劣化していない正常時(定常時)のヒータ素線についての複数変量の分布の中心と判別対象の変量との分離の度合いを表すものである。これによれば,判別対象の変量のマハラノビスの距離を求め,これが所定の閾値を超える場合に,ヒータ素線132A〜132Eのいずれかに劣化があると判断することができる。
上述したようなマハラノビスの距離の値(以下,「MD値」ともいう)を求めるためのMDモデル(モデル式)は,熱処理装置100において複数のウエハWに対する熱処理の運用(バッチ処理)を行う前に制御部200により予め求められる。具体的には制御部200は,予め正常なヒータ素線132A〜132Eに電力を供給する各電源134A〜134Eから電力データを収集し,各電力データに基づいて最大値と残差平方和を算出し,この算出結果を用いてマハラノビスの距離を算出するためのMDモデルを作成し,これを記憶手段280に記憶しておく。そして,実際の熱処理装置100の運用では,このMDモデルを用いてMD値を求めて,このMD値に基づいてヒータ素線の寿命予測を行う。なお,MDモデルを作成するために用いられる正常なヒータ素線としては,例えば交換直後のヒータ素線が好ましいが,ヒータ断線の兆候が現れる前の所定の使用頻度以下のヒータ素線であってもよい。
(ヒータ素線の寿命予測処理の具体例)
以下,第2実施形態にかかるヒータ素線の寿命予測処理の具体例について図面を参照しながら説明する。ここでのヒータ素線の寿命予測処理では,上述したように予め作成されたMDモデルを用いてMD値を求め,これに基づいてヒータ素線の寿命予測を行う場合の例を挙げる。図10は,第2実施形態にかかる寿命予測処理の具体例を示すフローチャートである。第2実施形態にかかる寿命予測処理は,熱処理装置100において複数のウエハWに対する熱処理の運用(バッチ処理)が行われるごとに,所定のプログラムに基づいて制御部200により実行される。
まず,ステップS210にて各電源134A〜134Eにより各ヒータ素線132A〜132Eに供給される電力データを収集する。その際,制御部200は,熱処理装置100の1回の運用の全期間のうち少なくとも,昇温期間t1〜t2において電源134A〜134Eが各ヒータ素線132A〜132Eに供給する電力を示す電力データを収集する。この収集された電力データ282は記憶手段280に記憶される。
次にステップS220にて収集した電力データに基づいて,昇温期間における供給電力の最大値と残差平方和をヒータ素線132A〜132Eごとに求める。この最大値と残差平方和の算出方法については,第1実施形態におけるステップS120と同様である。そして,算出された供給電力の最大値と残差平方和は,例えば演算結果データ286として記憶手段280に記憶される。
続いてステップS230にて記憶手段280に演算結果データ286として記憶されている各ヒータ素線132A〜132Eの供給電力の最大値と残差平方和を読み出して,これら10個の変量を解析してマハラノビスの距離の値(MD値)を求める。
この場合,例えば図11に示すように,制御部200は,予め作成した上記MDモデル310に,上記10個の変量すなわちステップS220にて算出した各ヒータ素線132A〜132Eの供給電力の最大値312A〜312Eと残差平方和314A〜314Eを入力する。これによって,判別対象の10個の変量すなわちヒータ素線132A〜132Eの供給電力の最大値と残差平方和のMD値316が得られる。
ここで,昇温期間におけるヒータ素線132A〜132Eの供給電力の最大値及び残差平方和のMD値316についての運用回数ごとの推移を図12に示す。図12に示すように,熱処理装置100の運用回数が進み,ある回数に達するとMD値316が急激に増加する。これをヒータ素線132A〜132Eのいずれかの断線の予兆として捉えることができる。実際,図12に示す例では,MD値316が急激に増加した後,8回目の運用中にヒータ素線132A〜132Eのいずれかが断線している。
本実施形態では,MD値が急激に増加したことを判断するために,その判断基準としてMD値に閾値を設定している。MD値も,第1実施形態における供給電力の最大値や残差平方和と同様に,熱処理条件に応じて変化する蓋然性が高いため,その閾値についても熱処理条件に応じて設定することが好ましい。例えば,25分間の昇温期間にて処理室122内の温度を650℃から900℃に上昇させる熱処理条件においては,閾値は例えば”5”に設定される。
そして,ステップS240にてMD値が閾値を上回っているか否かを判定する。ここでMD値が閾値を上回っていなければ,ヒータ素線132A〜132Eはすべて断線の兆候がなく正常であると判断して,この運用におけるヒータ素線の寿命予測処理を終了する。
これに対して,上記MD値が閾値を上回っている場合には,ヒータ素線132A〜132Eのいずれかに断線の兆候があり寿命が近いと判断して,ステップS250にてヒータ素線の寿命が近いことを知らせる寿命警報の処理を行う。具体的にはヒータ素線の寿命警報処理として,例えばブザーなどの報知手段270を駆動したり,ディスプレイなどの表示手段250にヒータ素線132Aの寿命が近い旨の表示を行ったりする。その後,制御部200はこの運用(バッチ処理)におけるヒータ素線の寿命予測処理を終了する。
熱処理装置100のオペレータは,この寿命警報により,例えばヒータ130全体の交換部品の手配を行うとともに,この交換のための熱処理装置100のメンテナンススケジュールを立てることができる。第2実施形態は,早期にヒータ130の寿命を予測できるものであり,寿命警報の直後にヒータ素線132A〜132Eのいずれかが断線してしまうわけではなく,さらに例えば5〜8回の熱処理が実行されて初めてヒータ素線132A〜132Eのいずれかが断線する。したがって,交換部品の手配やメンテナンスの段取りを時間的に余裕をもって行うことができるので,オペレータは熱処理装置100のメンテナンス作業を円滑に行うことができる。
以上のように,第2実施形態によれば,ヒータ素線132A〜132Eの断線の兆候が現れ易い昇温期間のデータを利用することにより,より早い時期に,ヒータ130全体の寿命を従来以上に的確に予測することができる。また,第2実施形態によれば,一旦MDモデル310を作成すれば,その後はこのMDモデル310に昇温期間における各ヒータ素線132A〜132Eの供給電力の最大値312A〜312Eと,残差平方和314A〜314Eを入力するだけで,ヒータ130の寿命を予測するための指標(例えばMD値)を簡単に得ることができる。そして,この指標に基づいてヒータ130の寿命を的確に予測することができる。
また,ヒータ130では複数のヒータ素線132A〜132Eが隣接して配置されているため,いずれかのヒータ素線の劣化が進むと,これに隣接するヒータ素線の供給電力にある程度の影響が及ぶ。例えば,ヒータ素線132Bに劣化が生じると,このヒータ素線132Bに対応する加熱ゾーンの温度を適切に調整できなくなる。この場合,隣接するヒータ素線132Aとヒータ素線132Cが劣化したヒータ素線132Bの機能低下分を補おうとする。このため,ヒータ素線132Aとヒータ素線132Cの供給電力の最大値と残差平方和は,ヒータ素線132Aとヒータ素線132Cが劣化していなくても正常時(定常時)よりも大きくなる可能性がある。
従って,複数のヒータ素線132A〜132Eが隣接して配置されている場合には,第1実施形態のように複数のヒータ素線132A〜132Eを別個に単変量解析して寿命予測処理に比して,各ヒータ素線132A〜132Eの供給電力の最大値と残差平方和を変量として複数のヒータ素線132A〜132Eをまとめて一度に多変量解析する第2実施形態の寿命予測処理の方が,ヒータ130の寿命予測をより的確に行うことができる。
なお,第2実施形態では,5本のヒータ素線132A〜132Eすべての供給電力の最大値と残差平方和を10個の変量として,これらの変量を多変量解析した結果からヒータ130全体の寿命を予測する場合について説明したが,必ずしもこれに限定されるものではない。
例えば,ヒータ素線132A〜132EごとにMDモデル310を作成して,昇温期間における各ヒータ素線132A〜132Eの供給電力の最大値と残差平方和の2個の変量を解析して,ヒータ素線132A〜132EごとにMD値を得るようにしてもよい。この場合には,ヒータ素線132A〜132Eごとにその寿命を予測することができる。ヒータ130において,各ヒータ素線132A〜132Eを個別に交換できるような場合には,このようにヒータ素線132A〜132Eそれぞれの寿命を予測することが好ましい。
また,上記第1,第2実施形態では,本発明におけるヒータ素線寿命予測を図1に示す複数のウエハWに対してバッチ処理を行う縦型熱処理装置100に適用した場合について説明したが,必ずしもこれに限定されるものではなく,様々な熱処理装置に適用できる。
(熱処理装置の他の構成例)
ここで,本発明の実施形態にかかるヒータ素線寿命予測を適用可能な熱処理装置の他の構成例について図面を参照しながら説明する。図13〜図15に,本発明の適用が可能な枚葉型の熱処理装置の概略構成を示す。
まず,ウエハWの平面方向に割り当てられた複数の加熱ゾーンを有する枚葉型の熱処理装置400について図面を参照しながら説明する。図13は,この熱処理装置400の概略構成を示す縦断面図である。図14は,図13の熱処理装置400が備えるヒータ440の形状を示す平面図である。このような複数の加熱ゾーンを有する熱処理装置400によれば,ウエハWの面内温度についてより高い均一性を得ることができる。例えば,大口径のウエハWに対する熱処理にこのタイプが用いられる。
図13に示すように,熱処理装置400は,例えば石英製の矩形状になされた処理容器402を有している。この処理容器402の一側には,ウエハWを導入するための開口部404が形成されており,この開口部404の周辺部にはフランジ部406が形成されている。
処理容器402内の底部には,石英製の突起部408が円周状に複数個立設されている。ウエハWを保持した搬送アームのピックが開口部404から処理容器402内に進入し,下降することによって,ウエハWの裏面周辺部がこれら突起部408の先端に当接し,これによってウエハWが支持される。
また,処理容器402は,開口部404の反対側に,処理容器402中へ所定の処理ガスを供給するガス供給源410がガス供給管412を介して接続され,処理容器402内の雰囲気を例えば真空排気するための排気手段414が排気管416を介して接続されている。
上記開口部404の端面には,フランジ部406と接するようにして冷却プレート420が設けられている。この冷却プレート420内には,冷却水を流す冷却水路422が設けられており,冷却プレート420とフランジ部406との間に介在するOリングなどのシール部材424を冷却するようになっている。また,冷却プレート420は,処理容器402の外側を囲む例えばアルミニウム製のケーシング430にボルト432などによって締め付け固定されており,これによってケーシング430の端部にフランジ部406も固定される。そして,開口部404は,ウエハWの搬出入時に気密に開閉されるゲートバルブ434が設けられている。
処理容器402の外壁には搬入されたウエハWを加熱するためのヒータ440が設けられている。このヒータ440は,処理容器402の外壁の周囲に巻き付けるように配線した抵抗発熱体からなるヒータ素線442A〜442Cを有している。
図14に示すように,各ヒータ素線442A〜442Cには電源444A〜444Cが接続されており,熱処理装置400全体の動作を制御する制御部450からの制御信号に従って,各電源444A〜444Cから各ヒータ素線442A〜442Cに対して独立して電力が供給され,各ヒータ素線442A〜442Cが供給電力に応じて発熱する。
図13に示すように,処理容器402の外壁には,加熱ゾーンごとに温度センサ446A〜446Cが配置されている。温度センサ446A〜446Cは例えば熱電対で構成される。さらに処理容器402の内壁にも加熱ゾーンごとに温度センサを備えるようにしてもよい。制御部450は,各温度センサ446A〜446Cを用いて加熱ゾーンごとの温度情報を取得することができる。
このヒータ440によれば,処理容器402内を3個のゾーンに分けて加熱することができる。これによって,熱処理中の処理容器402内の温度を均一に保つことができ,ウエハWに対して面内の温度のばらつきなく熱処理を施すことができる。
制御部450は,各電源444A〜444Cにより各ヒータ素線442A〜442Cに供給される電力のデータを収集して,上記第1,2実施形態と同様にこの収集した電力データに基づいて各ヒータ素線442A〜442Cの寿命を予測することができる。
次に,ウエハWに対して単一のヒータ素線によって熱処理を施す枚葉型の熱処理装置としてのプラズマCVD装置500について図面を参照しながら説明する。図15は,このプラズマCVD装置500の概略構成を示す縦断面図である。
図15に示すように,プラズマCVD装置500は,気密に構成された略円筒状の処理室510を備えており,この処理室510にウエハWを収容し,このウエハWに対して例えばTiN(窒化チタン)膜を形成するプラズマCVD法による成膜処理が実施可能なように構成されている。
処理室510の中にはウエハWを水平に支持するためのウエハ載置台520が配置されている。ウエハ載置台520は,ウエハWが載置される載置台本体522,この載置台本体522を支持する円筒状の支柱524,及び載置台本体522と支柱524を覆うカバー部材526から構成されている。これらの載置台本体522,支柱524,及びカバー部材526は,有機酸に腐食され難く,耐熱性も高い材料,例えば石英によって構成されている。
なお,ウエハ載置台520は,搬送機構(図示せず)からウエハWを受け取り,また搬送機構にウエハWを受け渡すために,ウエハWを支持して昇降させることができるウエハ支持機構(図示せず)を備えている。このウエハ支持機構は,例えば3本のウエハ支持ピン(リフターピン)を有しており,各ウエハ支持ピンは,載置台本体522に形成された貫通孔を通って,その表面に対して突没するように動作する。
処理室510の天壁512には,絶縁部材518を介してシャワーヘッド540が設けられている。このシャワーヘッド540は,上段ブロック体542,中段ブロック体544,及び下段ブロック体546から構成されている。
下段ブロック体546には,第1の処理ガスを吐出する第1のガス吐出孔550と,第2の処理ガスを吐出する第2のガス吐出孔552が交互に形成されている。上段ブロック体542の上面には,第1の処理ガスを導入する第1のガス導入口554と,第2の処理ガスを導入する第2のガス導入口556が形成されている。
上段ブロック体542の内部には,第1のガス導入口554から分岐して水平方向及び垂直方向に延びる多数の第1の上段ガス流路558と,第2のガス導入口556から分岐して水平方向及び垂直方向に延びる多数の第2の上段ガス流路560が形成されている。また,中段ブロック体544の内部には,各第1の上段ガス流路558に連通し水平方向及び垂直方向に延びる多数の第1の中段ガス流路562と,各第2の上段ガス流路560に連通し垂直方向及び水平方向に延びる多数の第2の中段ガス流路564が形成されている。そして,各第1の中段ガス流路562は,第1のガス吐出孔550に連通しており,各第2の中段ガス流路564は,第2のガス吐出孔552に連通している。
また,プラズマCVD装置500は,ガス供給手段570を備えている。このガス供給手段570は,第1のガス供給源572と第2のガス供給源574を備えている。第1のガス供給源572は,例えば,ClF3ガスを供給するClF3ガス供給源,TiCl4ガスを供給するTiCl4ガス供給源,N2ガスを供給するN2ガス供給源などを含んでいる。また第2のガス供給源574は,例えば,もう一つのN2ガス供給源,NH3ガスを供給するNH3ガス供給源などを含んでいる。
第1のガス供給源572は,第1のガス供給ライン576を介して,シャワーヘッド540の上段ブロック体542に形成されている第1のガス導入口554に接続されており,第2のガス供給源574は,第2のガス供給ライン578を介して,シャワーヘッド540の上段ブロック体542に形成されている第2のガス導入口556に接続されている。第1のガス供給ライン576と第2のガス供給ライン578はそれぞれ,例えば図示しないバルブやマスフローコントローラが設けられており,ガス流量の調整が可能となっている。
このような構成によって,第1のガス供給源572から例えばClF3ガスが送出されると,このClF3ガスは,第1のガス供給ライン576とシャワーヘッド540の第1のガス導入口554を経由してシャワーヘッド540内に導入され,さらに第1の上段ガス流路558と第1の中段ガス流路562を経由して第1のガス吐出孔550に至り,ここから処理室510内へ吐出される。同様に,第2のガス供給源574から例えばN2ガスが送出されると,このN2ガスは,第2のガス供給ライン578とシャワーヘッド540の第2のガス導入口556を経由してシャワーヘッド540内に導入され,さらに第2の上段ガス流路560と第2の中段ガス流路564を経由して第2のガス吐出孔552に至り,ここから処理室510内へ吐出される。
なお本実施形態にかかるシャワーヘッド540は,第1のガス供給源572からのガスと第2のガス供給源574からのガスが独立して処理室510内に供給されるポストミックスタイプである。このため,処理中に処理室510内に2種類のガスを同時に供給することはもちろんのこと,交互に供給することも可能であり,また一方のみを供給することも可能である。なお,シャワーヘッド540に代えてプリミックスタイプのシャワーヘッドを採用してもよい。
シャワーヘッド540には,整合器580を介して高周波電源582が接続されている。この高周波電源582からシャワーヘッド540に高周波電力が供給されることによって,シャワーヘッド540を介して処理室510内に供給された処理ガスをプラズマ化して,所定の膜をウエハW上に成膜することができる。
処理室510の底壁514の中央部には円形の開口部514aが形成されており,底壁514にはこの開口部514aを覆うように下方に向けて突出した排気室590が連結されている。排気室590の側壁には排気管592を介して排気手段594が接続されている。この排気手段594を作動させることによって処理室510内を所定の真空度に減圧することができる。
処理室510の側壁516には,処理室510内に対するウエハWの搬出入を行うための搬出入口516aと,この搬出入口516aを開閉するゲートバルブ534が設けられている。
そして上記ウエハ載置台520を構成する載置台本体522には抵抗発熱体からなるヒータ素線528が埋め込まれている。このヒータ素線528には電源530が接続されており,プラズマCVD装置500全体の動作を制御する制御部536からの制御信号に従って,電源530からヒータ素線528に対して電力が供給され,ヒータ素線528が供給電力に応じて発熱する。
また,載置台本体522には温度センサ538が埋め込まれている。この温度センサ538は例えば熱電対で構成される。制御部536は,温度センサ538を用いて載置台本体522の温度情報,ひいてはウエハWの温度情報を取得することができる。
制御部536は,電源530によりヒータ素線528に供給される電力のデータを収集して,上記第1,2実施形態と同様にこの収集した電力データに基づいてヒータ素線528の寿命を予測することができる。こうして,本発明によれば,縦型熱処理装置だけでなく枚葉型の熱処理装置であっても,その熱処理に用いられるヒータ素線の寿命を的確に予測することができる。
以上のように,第1〜第2実施形態では,ヒータ素線が未だ断線していない場合には,ウエハ搬入後に所定の熱処理温度まで昇温させるための昇温期間(例えば図4に示す時刻t1〜t2)の電気データの方が,温度安定時よりもヒータ素線の断線の兆候が現れ易いことに着目し,その昇温期間の電気データを用いてヒータ素線の寿命を予測する場合を例に挙げて説明したが,必ずしもこれに限定されるものではなく,温度安定時よりもヒータ素線の断線の兆候が現れ易い,他の期間のデータを用いるようにしてもよい。
例えばウエハWを処理室内に搬入する搬入期間(例えば図4に示す時刻t0〜t1)のデータについても,温度安定時よりもヒータ素線の断線兆候が現れ易い。従って,このウエハWの搬入期間に基づいてヒータ素線の寿命を予測するようにしてもよい。なお,このようなウエハWの搬入期間のデータを用いたヒータ素線寿命予測については以下の第3実施形態において具体例を挙げて詳述する。
(第3実施形態におけるヒータ素線寿命予測)
以下,本発明の第3実施形態におけるヒータ素線寿命予測について説明する。ここでは,例えば図1に示すような縦型の熱処理装置100を例に挙げて,温度安定時よりもヒータ素線の断線の兆候が現れ易い期間として,ウエハWの搬入期間,すなわち多数のウエハWを保持するウエハボート114を処理室122内に搬入する期間(ローディング時)のヒータ素線の温度データを用いて予測する場合について説明する。
例えば図4に示すようなウエハWの搬入期間t0〜t1では,処理室122の下端開口部123を遮蔽している図示しないシャッタをいったん開いて,ウエハボート114が搬入されると蓋体116により再び閉じるため,この搬入期間には処理室122内の下端開口部123近傍の温度は大きく変化する。このため,処理室122内の温度を一定に保つために,ヒータ素線に供給される電力も大きくなるので,ヒータ素線の断線の兆候が現れ易い。この場合,上述のように下端開口部123付近の処理室122内の温度変化が大きくなることから,その付近に配置される最も下側のヒータ素線132Eに供給される電力も最も大きくなるので,そのヒータ素線132Eの温度変化も大きくなるため,断線の兆候を検出し易い。
ここで,上述した最も下側に配置されるヒータ素線132Eの温度と,そのヒータ素線132Eによって加熱される処理室122内の雰囲気の温度について,図4に示すウエハWの搬入期間を含む一連の工程(運用)における推移を図面を参照しながら説明する。図16Aは図4に示す各工程において処理室122内の雰囲気の温度の推移を示す図であり,具体的には処理室122の最も下側に配置された内部温度センサ138Eにより検出された温度の推移をグラフにしたものである。図16Bは,図4に示す各工程において最も下側に配置されるヒータ素線132Eの温度の推移を示す図であり,処理室122の最も下側に配置された外部温度センサ136Eにより検出された温度の推移をグラフにしたものである。
なお,図16A,図16Bでは,図4に示す各工程を行う期間のうち,ウエハ搬入期間t0〜t1,昇温期間t1〜t2,熱処理期間t2〜t3,降温期間t3以降までをグラフに示し,ウエハ搬出期間については省略している。図16A,図16Bにおける細線のグラフは,交換されたばかりで未だ劣化していない正常なヒータ素線132Eについての温度データの特性を示しており,太線のグラフは,劣化が進んだヒータ素線132Eの温度データの特性を示している。
図16A,図16Bに示すように,先ずウエハ搬入期間t0〜t1では,時刻t0から処理室122の下端開口部123を遮蔽している図示しないシャッタが開かれ,ウエハボート114が上昇して処理室122内に搬入されていく。このとき,処理室122の内部の空間と下端開口部123近傍の処理室122の外部の空間とは連通するので,図16Aに示すように,相対的に温度の低い外部空間の雰囲気の影響を受けて処理室122内の温度は急激に低下していく。
このため,処理室122内の温度を設定温度(例えば650℃)に保つために,図16Bに示すように例えばヒータ素線132Eには電源134Eから供給される電力が調整され,ヒータ素線132Eの温度が急激に上昇する。このとき,他のヒータ素線132A〜132Dに供給される電力も調整されるものの,最も温度低下が著しい処理室122の下端開口部123に最も近いヒータ素線132Eに供給される電力は例えば定格電力(最大電力)になり,他のヒータ素線132A〜132Dに比べると非常に大きくなる。
このように,例えばヒータ素線132Eに供給される電力が大きくなるように調整されているので,ウエハボート114が処理室122に完全に入り込んで,蓋体116により下端開口部123が閉塞されると,処理室122内の温度は急激に戻り始める。
そして,図16Aに示すように処理室122内の温度が例えば650℃に戻ると,昇温期間t1〜t2により熱処理温度(例えば900℃)まで昇温する。その後,処理室122内の温度は,熱処理期間t2〜t3により熱処理温度に維持されつつウエハWに対する熱処理が行われる。ウエハWの熱処理が終了すると,処理室122内の温度は降温期間t3以降により再び例えば650℃まで低下する。以降,ウエハ搬出期間においてウエハWの搬出工程が行われて一連の工程(運用)が終了する。
ここで,図16A,図16Bにおける各温度変化のうち,ウエハ搬入期間t0〜t1における正常なヒータ素線132Eの温度変化(細線グラフ)と,劣化が進んだヒータ素線132Eの温度変化(太線グラフ)を比較してみると,図16Aに示す処理室122内の温度変化(内部温度センサ138Eによる温度検出値の変化)については,温度の低下幅と上昇に転じるタイミングなど多少の違いは見られるものの,ほとんど変わらない。これは,ヒータ素線132Eが劣化すると,正常なときに比べて応答性が悪くなるため,最も温度が低下するタイミングも正常なときと比べて遅くなるものの,その他のヒータ素線132A〜132Dによってその劣化分が補われることから,処理室122内の温度変化にはその劣化の影響が顕著に現れないためと考えられる。
これに対して,図16Bに示すウエハ搬入期間t0〜t1におけるヒータ素線132Eの温度変化(外部温度センサ136Eによる温度検出値の変化)については,劣化が進んだヒータ素線132Eの温度変化(太線グラフ)では,正常なヒータ素線132Eの温度変化(細線グラフ)に比して所定の温度(図16Bでは略50℃)以上シフトする傾向にあることがわかる。これは,外部温度センサ136Eによる温度検出値の変化は,ヒータ素線132Eの発熱状態が直接的に反映されるので,その劣化具合が顕著に現れるためと考えられる。従って,ウエハWの搬入期間におけるヒータ素線132Eの温度データのシフト傾向を検出することによって劣化を判定することができる。
また,上述したようにウエハWの搬入期間t0〜t1では,ヒータ素線132Eには,一時的に大きな電力例えば定格電力(最大電力)が供給され,これがウエハWの搬入期間毎に繰り返される。このため,ヒータ素線132Eは,その他のヒータ素線132A〜132Dよりも早い時期に劣化する蓋然性が高い。従って,ウエハWの搬入期間において最も劣化し易いヒータ素線132Eの温度データを用いることによって,より早く的確に寿命予測を行うことができる。
そこで,第3実施形態では,昇温期間と同様に断線の兆候が現れ易い,ウエハWの搬入期間におけるヒータ素線132Eの温度データ(外部温度センサ136Eによって検出される温度データ)を用いてヒータ素線寿命予測を行うものである。具体的には例えば,各運用におけるウエハWの搬入期間(t0〜t1)において外部温度センサ136Eによって検出される温度データの最大値(図16Bに示す矢印の値)の推移を監視し,この最大値のシフト傾向を検出することによって,ウエハWの搬入期間におけるヒータ素線132Eの温度データの全体のシフト傾向を検出し,これにより,ヒータ素線132Eの断線の兆候があるか否かを判断することができる。
(ヒータ素線の寿命予測の具体例)
ここで,上述したようなヒータ素線132Eの温度データ(外部温度センサ136Eによって検出される温度データ)を用いた第3実施形態にかかるヒータ素線寿命予測の具体例について図面を参照しながら説明する。図17は,第3実施形態にかかるヒータ素線寿命予測処理の具体例を示すフローチャートである。第3実施形態にかかる寿命予測処理は,熱処理装置100において複数のウエハWに対する熱処理の運用(バッチ処理)が行われるごとに,所定のプログラムに基づいて制御部200により実行される。
まず,ステップS310にてヒータ素線132Eの温度データを外部温度センサ136Eから収集する。その際,熱処理装置100の1回の運用の全期間のうち少なくとも,搬入期間t0〜t1において外部温度センサ136Eから温度データを収集する。この収集された温度データ284は記憶手段280に記憶される。
続くステップS320にて収集した温度データのうち,ウエハWの搬入期間において外部温度センサ136Eによって検出された温度データの最大値(以下,単に「温度データの最大値」とも言う)を求める。例えば図16Bに示す例では,ヒータ素線132Eが劣化していない場合(細線グラフ),温度データの最大値は約830℃である。これに対して,ヒータ素線132Eが劣化している場合(太線グラフ),温度データの最大値は約910℃である。この温度データの最大値は,演算結果データ286として記憶手段280に記憶される。
こうして,制御部200は,熱処理装置100の運用(バッチ処理)により,複数のウエハWの処理室122への搬入が行われるごとに,ステップS320を実行して搬入期間における温度データの最大値を算出する。これによって搬入期間における温度データの最大値について,運用ごとの推移を把握することができる。
ここで,搬入期間における温度データの最大値と熱処理装置100についての運用回数ごとの推移を図18に示す。図18に示すように,熱処理装置100の運用回数が進み,ある回数に達すると温度データの最大値が一段高い値にシフトする。これをヒータ素線132Eの断線の兆候と捉えることができる。実際,図18に示す例では,温度データの最大値が高い値にシフトした後,161回目の運用中にヒータ素線132Eが断線している。
そこで,次のステップS330にて温度データの最大値がシフトしているか否かを判断する。具体的には温度データの最大値の閾値を設定し,この閾値に基づいて温度データの最大値がシフトしたか否かを判断する。温度データの最大値は,ヒータ素線132Eに劣化がなく,かつ搬入期間における処理室122内の温度の設定値(例えば650℃)に変更がなければ,毎回の運用においてほぼ一定の値になる。図18に示す例では,ヒータ素線132Eに劣化がない場合の温度データの最大値は,850℃を基準値としてその±10℃程度の範囲に入っている。したがって,温度データの最大値の閾値は,±10℃程度のばらつきを考慮して,基準値より例えば30℃高い値に設定される。例えば基準値が850℃の場合,閾値は880℃とする。この基準値としては,例えばヒータ素線132Eが交換直後で正常な状態のときに,温度データの最大値をいくつかサンプリングして,その平均値を用いてもよい。
なお,上記の他,基準値を固定せずに,基準値を毎回の運用において検出された温度データの最大値で更新するようにしてもよい。この場合は,ある回の運用において検出された温度データの最大値が,その前の回の運用において検出された温度データの最大値からどの程度上昇したかを検出し,その上昇幅が所定の閾値を上回っているか否かに基づいて温度データの最大値のシフト現象の有無を判定することになる。
また,第3実施形態では,ある回の運用において検出された温度データの最大値が閾値を上回れば,温度データの最大値はシフトしたと判断し,その判断結果を記憶手段280に記憶しておく。そして,その後の運用においては,検出された温度データの最大値が閾値に達していなくてもステップS330では温度データの最大値がシフトしていると判断する。
この場合,例えば記憶手段280にシフト済み判定データ(例えばフラグなどの「0」又は「1」からなるデータ)を記憶し,このシフト済み判定データの値で判断するようにしてもよい。具体的にはシフト済み判定データの値を温度データの最大値がシフトしていないと判断した場合には「0」とし,温度データの最大値がシフトしたと判断した場合には「1」を保持し,ヒータ130の交換があった場合に「0」に戻すようにする。この場合には,ステップS330にて既にシフト済み判定データの値が「1」であれば,検出された温度データの最大値が閾値に達していなくても温度データの最大値がシフトしていると判断する。
このようにステップS330にて温度データの最大値がシフトしているか否かを判断し,シフトしていないと判断すると,ヒータ素線132Eに断線の兆候がなく正常であると判断して,寿命予測処理を終了する。
これに対して,ステップS330にて温度データの最大値がシフトしていると判断した場合にはヒータ素線132Eの断線の兆候があると判断して,ステップS400にてヒータ素線の寿命が近いことを知らせる寿命警報の処理を行う。具体的にはヒータ素線の寿命警報処理として,例えばブザーなどの報知手段270を駆動したり,ディスプレイなどの表示手段250にヒータ素線の寿命が近い旨の表示を行ったりする。その後,この運用(バッチ処理)におけるヒータ素線の寿命予測処理を終了する。
このように,図18に示す寿命予測処理では,温度安定時よりも断線の兆候が現れ易い,ウエハWの搬入期間のデータを利用して,この搬入期間に最も温度変化が大きいヒータ素線132Eの寿命を予測することにより,従来以上に的確に寿命を予測することができる。しかも,温度安定時よりもかなり早い時期に断線の兆候が現れ易いので,従来よりも一層早い時期に寿命を予測することができる。これにより,例えば余裕を持って各ヒータ素線132A〜132Eの交換部品を用意し,交換のための熱処理装置100のメンテナンススケジュールを立てることができる。
ところで,図18に示す温度変化の傾向を示すヒータ素線132Eのように,ウエハWの搬入期間における温度データの最大値がシフトしてから実際に断線するまでに,相当回数の運用(ここでは160回程度)が可能であるため,ウエハWの搬入期間における温度データの最大値がシフトしたことのみを寿命予測の判断基準としたのでは,寿命予測警報を行うには時期的に早過ぎる場合もある。
このため,発明者らは,図18に示すような温度変化において他にも判断基準にできる傾向を検討したところ,温度データの最大値がシフトする前は,ほぼ一定に推移する傾向があるのに対して,温度データの最大値がシフトした後は,ヒータ素線132Eが寿命により近づくに連れて低下する傾向があることに気づいた。このような温度データの最大値の低下傾向を検出できれば,ヒータ素線132Eの寿命時期を的確に予測することができる。実際,図18に示す例では,温度データの最大値が低下傾向を示した後,80回目の運用中にヒータ素線132Eが断線している。
そこで,このようなヒータ素線132Eの寿命を予測する場合には,ウエハWの搬入期間における温度データの最大値がシフトしたことのみならず,その後に温度データの最大値が低下傾向にあるか否かについても判断基準とすることが好ましい。従って,温度データの最大値が閾値を超えた後,さらに毎回の運用において検出される温度データの最大値の変動傾向を監視し,その監視結果に基づいてヒータ素線132Eの寿命を予測する。
具体的には図19に示すように,ステップS330にて温度データの最大値がシフトしていると判断した場合にはヒータ素線132Eの断線の兆候があると判断するものの,ステップS400にてヒータ素線寿命警報処理をする前に,ステップS340にてヒータ素線寿命告知処理を行う。具体的には,例えばディスプレイなどの表示手段250にヒータ素線132Eの寿命の前段階として断線の兆候がある旨の表示(ワーニング:Warning)を行う。このように早くにヒータ素線132Eの断線の兆候を察知し,その内容を表示手段250に表示できれば,交換部品の手配やメンテナンススケジュールの策定に時間的な余裕が与えられることになり,効率よくヒータ素線を交換することができる。
その後,ステップS350にて温度データの最大値が低下傾向にあるか否かを判断する。例えば毎回の運用において検出される温度データの最大値の移動平均を計算し,各移動平均をプロットして得られる移動平均線が下降していれば,温度データの最大値が低下傾向にあると判断する。具体的には毎回の運用において温度データの最大値が検出されると,その最大値と,例えば直前2回または3回の運用において検出された各温度データの最大値とを用いて移動平均値を求める。そして,この移動平均値が所定回数以上連続して低下した場合,温度データの最大値が低下傾向にあると判断する。このように移動平均を求めることによって,一時的に温度データの最大値が上昇または下降するような場合であっても,温度データの最大値の全体的な低下傾向を把握することができる。
なお,これに限られるものではなく,例えば各運用において検出された温度データの最大値がその直前の運用において検出された温度データの最大値よりも小さくなり,これが所定の運用回数(例えば8回以上)連続する場合,温度データの最大値が低下傾向にあると判断してもよい。
こうしてステップS350にて温度データの最大値が低下傾向にあるか否かを判定し,温度データの最大値が低下傾向になければ,ヒータ素線132Eの断線の兆候はあるものの,近々断線する可能性は少ないので,この運用におけるヒータ素線の寿命予測処理を終了する。
これに対して,温度データの最大値が低下傾向にあると判断した場合には,ヒータ素線132Eの断線の兆候があるとともに近々断線する可能性も高いので,ステップS400にてヒータ素線寿命警報処理を行う。具体的には図18に示すステップS400の場合と同様に例えばブザーなどの報知手段270を駆動したり,ディスプレイなどの表示手段250にヒータ素線の寿命が近い旨の表示を行ったりする。その後,この運用(バッチ処理)におけるヒータ素線の寿命予測処理を終了する。
以上のように,第3実施形態によれば,温度安定時よりも断線の兆候が現れ易い,ウエハWの搬入期間において外部温度センサ136Eによって検出される温度データの最大値(図16B中の矢印の値)を検出し,この検出値に基づいてヒータ素線132Eの寿命を予測する。この搬入期間において検出される温度データは,熱処理期間において検出される温度データに比べて,その変動が大きくなるため,搬入期間において検出される温度データには,ヒータ素線132Eの断線の兆候が顕著に現れる。したがって,第3実施形態にかかる寿命予測処理によれば,より早い時期に,ヒータ素線132Eの寿命を従来以上に的確に予測することができる。
さらに,第3実施形態では,温度データの最大値が高い値にシフトしたか否かという判断基準に加えて,その後温度データの最大値が低下傾向になったか否かという判断基準を用いてヒータ素線132Eの寿命を予測する。したがって,より的確にヒータ素線132Eの寿命時期を予測することができる。なお,例えば温度データの最大値がシフトしてから断線までの期間が短いような温度変化を示す場合には,図17に示すように温度データの最大値の低下傾向を監視せずに上記のヒータ素線132Eの寿命予測処理を行うようしてもよい。
また,温度データの最大値がシフトのみを判断基準とする図17に示すような寿命予測処理と,温度データの最大値がシフトに加えてその後温度データの最大値が低下傾向になったか否かも判断基準とする図19に示すような寿命予測処理とのどちらを実行するかを選択できるようにしてもよい。この場合,例えば熱処理装置の各種の設定項目に寿命予測処理を選択する項目を設け,オペレータによる入出力手段260からの入力操作により選択できるようにしてもよい。
(第4実施形態にかかるヒータ素線寿命予測システム)
次に,本発明の第4実施形態にかかるヒータ素線の寿命予測処理システムについて図面を参照しながら説明する。図20は,本実施形態にかかる寿命予測処理システムとして適用可能な処理システムの概略構成を示すブロック図である。図20に示すように,処理システムは,熱処理装置100と,データ処理装置600と,これらを電気的に接続する例えばLAN(Local Area Network)などのネットワーク700とから構成されている。
データ処理装置600は,例えば図20に示すように,CPU610,CPU610が処理を行うために必要なデータを記憶するROM620,CPU610が行う各種データ処理のために使用されるメモリエリア等を設けたRAM630,時間を計時するカウンタなどで構成される計時手段640,操作画面や選択画面などを表示する液晶ディスプレイなどで構成される表示手段650,オペレータによる種々のデータの入力及び所定の記憶媒体への出力など各種データの出力などを行うことができる入出力手段660を備える。
また,データ処理装置600は,熱処理装置100等とネットワーク700を介してのデータのやり取りを行うための通信手段670,CPU610が実行するプログラム(例えば圧力データの演算プログラム)の各種プログラムやデータ等を記憶するハードディスク(HDD)などの記憶手段680を備える。このようなデータ処理装置600は,例えばコンピュータにより構成される。
これらCPU610,ROM620,RAM630,計時手段640,表示手段650,入出力手段660,通信手段670,記憶手段680は,制御バス,システムバス,データバス等のバスライン602により電気的に接続されている。
また,データ処理装置600にてヒータ素線の寿命予測処理を行う場合,上記記憶手段680には,例えば,熱処理装置100に備えられている各電源134A〜134Eにより各ヒータ素線132A〜132Eに供給された電力についての電力データ682,外部温度センサ136と内部温度センサ138から得られた温度データ684,及びCPU610が上記電力データ682や温度データ684を用いて所定の演算を行った結果得られる演算結果データ686が記憶される。演算結果データ686は,例えば,電力データ682の最大値,残差平方和,及び温度データ684の最大値を含む。なお,データ処理装置600にてヒータ素線の寿命予測処理を行う場合には,熱処理装置100の制御部200に演算結果データ286を記憶する必要がなくなる。
また,熱処理装置100の制御部200は,バスライン202に接続された図示しない通信手段により,ネットワーク700を介して上記データ処理装置600等とのデータのやり取りを行う。このようなネットワーク700によるデータ通信は,例えばTCP/IPなどの通信プロトコルに基づいて行われる。
なお,ネットワーク700には,これに接続された熱処理装置100を含む複数の真空処理装置を集中管理するためのホストコンピュータを別途接続してもよい。
このような構成を有する第4実施形態にかかるヒータ素線の寿命予測処理システムにおいては,データ処理装置600と熱処理装置100における制御部200とが連携して,上述の第1〜3実施形態と同様のヒータ素線の寿命予測処理を実行する。
具体的には例えば,熱処理装置100の制御部200は,電力データ収集処理(ステップS110,S210)や温度データ収集処理(ステップS310)を実行し,収集した電力データや温度データを,ネットワーク700を介してデータ処理装置600に送信する。データ処理装置600は,受信した電力データと温度データを記憶手段680に記憶する。そして,データ処理装置600は,記憶した電力データと温度データを用いて,第1〜3実施形態において熱処理装置100の制御部200が行うヒータ素線の寿命予測処理(図5に示すステップS120〜S140,又は図10に示すステップS220〜S250,又は図17に示すステップS320〜S330及びS400,又は図19に示すS320〜S350及びステップS400)と同様の処理を実行し,ヒータ素線132A〜132Eの寿命を予測する。
この場合,ヒータ素線の寿命警報処理(例えばステップS140,S250,S400)では,データ処理装置600でヒータ素線の寿命が近いことを知らせるようにしてもよく,また熱処理装置100を通じてヒータ素線の寿命が近いことを知らせるようにしてもよい。上記と同様に,ヒータ素線の寿命告知処理(例えばステップS340)では,データ処理装置600でヒータ素線の断線兆候があることを知らせるようにしてもよく,また熱処理装置100を通じてヒータ素線の断線兆候があることを知らせるようにしてもよい。
例えばデータ処理装置600側においてヒータ素線の寿命が近いことや,断線兆候があることを知らせる場合には,データ処理装置600の表示手段650に表示したり,図示しないブザーなどの報知手段を駆動したりする。また,熱処理装置100側においてヒータ素線の寿命が近いことや,断線兆候があることを知らせる場合には,データ処理装置600はヒータ素線の予測結果(例えばステップS130,S240,S330,S350の判断結果)を,ネットワーク700を介して熱処理装置100に送信して,熱処理装置100に表示手段250への表示をさせたり,ブザーなどの報知手段270を駆動させたりする。これにより,オペレータは熱処理装置100のヒータ素線132A〜132Eの寿命を知ることができる。
このように,本実施形態によれば,熱処理装置100の制御部200は,電力データと温度データを収集するだけで,ヒータ素線の寿命予測処理は実質的にデータ処理装置600によって行われる。したがって,熱処理装置100の制御部200の負担が軽減される。
なお,上記ネットワーク700には,熱処理装置100のみを接続してもよく,他の熱処理装置を複数接続してもよい。また,プラズマエッチング装置,スパッタリング装置など他の種類の装置を接続するようにしてもよい。さらに,真空圧雰囲気で処理を行う処理装置のみならず,例えば膜厚測定器などのように大気圧雰囲気で処理を行う処理装置を接続してもよい。
また,データ処理装置600を例えばアドバンスド・グループ・コントローラ(以下,「AGC」と称する)として構成し,このAGCによって各熱処理装置に備えられたヒータ素線の寿命予測を行うようにしてもよい。なお,AGCは,上述したヒータ素線の寿命予測機能の他,熱処理装置100及び他の処理装置のレシピ(プロセス条件値)の集中管理やこのレシピに基づく各処理装置のプロセスコントロールを行い,また各処理装置から得られるプロセスデータを対象に,その解析処理,統計処理,プロセスデータやその解析/統計結果の集中モニタリング処理,更には解析/統計結果をレシピに反映させる処理等を行うようにしてもよい。AGCは,1台のコンピュータで構成してもよく,複数台のコンピュータで構成してもよい。また,サーバとクライアントに分けて機能を分散させるように構成してもよい。
このように,複数の熱処理装置についてのヒータ素線の寿命予測をデータ処理装置600で集中して行うことにより,寿命が近づいているヒータ素線を容易に特定でき,そのメンテナンスを効率よく行うことができる。この結果,短時間で各熱処理装置の稼動を再開することができる。
上記第1〜4実施形態により詳述した本発明については,上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを記憶した記憶媒体等の媒体をシステムあるいは装置に供給し,そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体等の媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することによっても達成され得る。
この場合,記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり,そのプログラムを記憶した記憶媒体等の媒体は本発明を構成することになる。プログラムを供給するための記憶媒体等の媒体としては,例えば,フロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−RW,DVD+RW,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどが挙げられる。また,媒体に対してプログラムを,ネットワークを介してダウンロードして提供することも可能である。
なお,コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより,上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく,そのプログラムの指示に基づき,コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部又は全部を行い,その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も,本発明に含まれる。
さらに,記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムが,コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後,そのプログラムの指示に基づき,その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い,その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も,本発明に含まれる。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば上述した第1〜第4実施形態ではウエハに対して熱処理を行う熱処理装置に本発明を適用した場合について説明したが,必ずしもこれに限定されるものではなく,処理室内が真空状態に調整される装置,例えばウエハに対してエッチング処理を行うプラズマ処理装置,ウエハに対して成膜処理を行う例えばプラズマCVD装置,スパッタリング装置などに本発明を適用してもよい。さらに本発明は,ウエハ以外の例えばFPD(フラットパネルディスプレイ),フォトマスク用のマスクレチクルなどの基板を処理する他の基板処理装置やMEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)製造装置にも適用することができる。