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JP4421082B2 - 下部ノズル及びその加工方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉に使用される核燃料集合体に組み込まれる下部ノズル及びその加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば軽水炉の原子炉に使用される核燃料集合体は、上部ノズルと下部ノズルの間に複数の支持格子が所定間隔で配設され、計装用管及び複数の制御棒案内管が各支持格子と上部ノズル及び下部ノズルにそれぞれ固定され、更に各支持格子の格子空間に多数の燃料棒が挿入されて保持されている。
下部ノズルは略四角形板状の下部プレートとその四隅から垂下する4本の脚部とからなり、下部プレートには冷却水等の冷却材を流すための多数の水抜き孔が燃料棒の保持領域全面に穿孔され、また制御棒案内管や計装用管を取り付ける穴が形成されている。水抜き孔は燃料棒の装着位置から外れて形成されている。更に下部プレートの脚部側の面である裏面には冷却水を各水抜き孔に行き渡らせるための空間が略四角形の内空部として形成され、内空部の四隅は各脚部をえぐって形成されている。
更に4本の脚部の内の対角方向の2本には下部炉心板に突設された位置決めピンに係合して燃料集合体を位置決めするための位置決め穴が底面から下部プレート側に延びて設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような下部ノズルは、通常下部プレートと脚部をそれぞれ別個の部品として形成した後で下部プレートの四隅に脚部を溶接して製作されていたが、溶接部は熱影響部の腐食に対する鋭敏化や溶接欠陥に対処することが必要であり、そのために溶接条件等を厳密に管理することが要求され、更には溶接後にX線透過検査を行って溶接状態を確認することが要求されている。そのため溶接作業は熟練を要するという問題があった。
そこで、下部ノズルを溶接で製作することなく、機械加工と放電加工を組み合わせて一体成型する技術が例えば特許第3008070号公報によって提案されている。この技術では四角形のステンレス製のブロック体を切削工具で下部プレート及び4本の脚部を成形加工し、更に脚部内側の内空部に相当する奥まったところを放電加工によって成形し、その後に水抜き孔や制御棒案内管及び計装用管の固定穴の穴開けや面取り等の細部加工を行うとしている。
しかしながら放電加工は切削工具等による機械加工と比較して加工速度が遅く製造コストが高いという欠点がある。
【0004】
本発明は、このような実情に鑑みて、溶接や放電加工を用いることなく低廉で高品質に製造できるようにした燃料集合体の下部ノズル及びその加工方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による燃料集合体の下部ノズルは、上部ノズルと下部ノズルの間に複数の支持格子が所定間隔で配設され、計装用管及び制御棒案内管が上部ノズル及び下部ノズルにそれぞれ固定され、各支持格子に多数の燃料棒が保持されてなる燃料集合体の下部ノズルにおいて、下部ノズルは複数の孔部を穿孔した下部プレートと該下部プレートの各角部に設けた複数の脚部と孔部に連通する内空部とを有し、各脚部には内空部に連通する位置決め穴がそれぞれ設けられ、各脚部を内側から切削加工して形成した第一内奧部と位置決め穴を通して第一内奧部の外側を更に切削加工して形成した第二内奧部とが設けられ、下部ノズルは機械加工によって一体形成されたことを特徴とする。
本発明によれば、下部ノズルを製造するに際して放電加工を用いることなく機械加工によって一体切削加工で製造することで加工速度が速く製造コストを従来の放電加工を用いた製法と比較して低廉に製造でき、しかも溶接箇所がなく一体成形であるから溶接欠陥や腐食等が発生せずその品質も高い。
【0006】
本発明による下部ノズルの加工方法は、上部ノズルと下部ノズルの間に複数の支持格子が所定間隔で配設され、計装用管及び制御棒案内管が上部ノズル及び下部ノズルにそれぞれ固定され、各支持格子に多数の燃料棒が保持されてなる燃料集合体の下部ノズルの加工方法において、下部ノズルは複数の孔部を穿孔した下部プレートと該下部プレートの各角部に設けた複数の脚部と孔部に連通する内空部とを有し、各脚部には内空部に連通する位置決め穴がそれぞれ設けられ、各脚部について、下部プレートの対角線上に回転軸をとって内側から脚部を転削工具で切削加工して第一内奥部を形成し、次に位置決め穴を通して転削工具を第一内奧部に挿入して脚部を更に切削加工して第二内奧部を形成することによって、下部ノズルは機械加工によって一体形成されたことを特徴とする
機械加工に際して、下部プレートと複数の脚部からなる下部ノズルを概略切削加工し、内空部の角部の切削に際しては各脚部の内側から転削工具で脚部を切削した後で脚部に穿孔した位置決め穴から転削工具を挿入する等して脚部の奥まったところを更に外側に向けて切削加工する。これによって下部プレートの各角部に平面視で重なる位置決め穴の更に外側に孔部を設けても内空部に連通させることができて、角部であっても一層外側に冷却流体を行き渡らせて、配列された多数の燃料棒に対してより均一に冷却作用を発揮させることができる。
その点、従来技術では脚部に内空部を形成するために、切削工具で脚部の内側から外側に向けて脚部の奥まったところを切削加工しようとすると脚部が切削工具を保持する工作機械進入の邪魔になるために機械加工ができず、そのために放電加工や溶接等で行わざるを得なかった。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図6により説明する。図1は発明の実施の形態による下部ノズルの1/4を示す平面図、図2は下部ノズルの側面図、図3は下部ノズルの下面図、図4は下部ノズルの脚部における内空部の内空角部の加工に用いるTスロットカッタの要部側面図、図5は下部ノズルの切削加工工程を示すフローシート、図6(a),(b),(c)は脚部の内空部加工工程を示す図である。
本発明の実施の形態による下部ノズル1は図1及び図2に示す形状を有しており、略四角形(好ましくは正方形)板状の下部プレート3の裏面の四つの角部にそれぞれ脚部5…が垂下して一体形成されている。下部プレート3の脚部5側の裏面には冷却水等の冷却流体を通すための内空部7が形成され、この内空部7は脚部5のない略十字型の主内空部7aと共に4本の脚部5…の各内側を外側に向けてえぐった四隅の内空角部7b…とで形成されており、内空角部7bは下部プレート3の各角部の外周稜線に沿って脚部5の外側面5aを薄肉状に残して略々直角にえぐられて形成されている。
尚、図1では下部プレート3の1つの角部を含む1/4を示している。
【0008】
そして下部プレート3には冷却水を流すための多数の孔部として水抜き穴9…が穿孔され、内空部7は下部プレート3の多数の水抜き孔9…の領域に連通することで、下方から上方に向かう冷却水を確実に内空部7から全ての水抜き孔9…を通して上方に流すことができる。
また4本の脚部5…は断面四角形をなす略角柱状をなすとともにその内側角部を面取り部5bによって大きく面取りして外形が形成されている。4本の脚部5には肉厚の下部5Aを底面5cから内空部7の内空角部7bに貫通する位置決め孔13がそれぞれ穿孔されており、例えば一方の対角方向の2本の脚部5、5に設けた位置決め孔13、13は、図示しない下部炉心板に突設された位置決めピンに係合して燃料集合体を位置決めするための係止穴とされている。
【0009】
本実施の形態による下部ノズル1は上述の構成を備えており、次にこの下部ノズル1の加工方法について図5及び図6に基づいて説明する。
図5において、先ずステンレス等の適宜材質からなる正方形板状または直方体形状の素材をエンドミル等の転削工具、切削工具で切削加工することで略正方形板状の下部プレート3とその裏面四隅から垂下する4本の脚部5…とを一体成形加工する(ステップ101)。この状態で下部プレート3裏面の脚部5…を除く略十字型部分が主内空部7aとなる。
次に各脚部5の内空角部7bを切削加工するが、これについて図6(a)、(b)、(c)に沿って説明する。図6は図2に示す脚部5のA−A線断面図を示すものであって、切削工具として図4に示すような転削工具、例えばTスロットカッタ14を用いるものとする。このTスロットカッタ14は先端面と外周面に突出する切刃(図示せず)を有する拡径刃部15とシャンク部16とからなり、シャンク部16を図示しない工作機械で把持して中心軸O回りに回転させつつ移動させて切削加工することになる。
【0010】
先ず図6(a)において、各脚部5の外側面5a、5aから等距離にある脚部から外れた点Pを下部プレート3の対角線上にとって回転軸としてTスロットカッタ14を自転させつつ対角線方向に移動させ且つ中心軸O方向に移動させて脚部5の下部5Aを残して下部5Aと下部プレート3との間の領域を削り取り平面視で1/4円弧状の壁面17aを有する第一内奥部17を形成する(ステップ102)。
次にドリル等を用いて脚部5を下面5cの中心から第一内奥部17に連通するように穿孔して図6(b)に示すように位置決め孔13を形成する(ステップ103)。そしてこの位置決め孔13を通してその内径より小径のTスロットカッタ14Sを第一内奥部17内に挿入してその壁面17aを更に切削加工する(図2参照)。そのために、図6(c)において、例えば位置決め孔13の内径より小径の仮想の同心円R1上にTスロットカッタ14Sの回転軸を適宜設定して水平に旋回させ、同心円R1に沿ってTスロットカッタ14Sの回転軸をQ2−Q1−Q3間で移動しつつ切削加工して脚部5内の壁面17aを脚部5の外側角部に向けてそれぞれ切削工し、脚部5の壁面17aを外側面5a、5aに向けてそれぞれ切削加工する。このようにして平面視円弧状の第二内奥部19を形成する(ステップ104)。
【0011】
これによって第一内奥部17及び第二内奥部19からなる内空角部7bがそれぞれ盗み加工されて主内空部7aと連なる4隅の内空部7…が形成され、第二内奥部19によって図6(c)に示す脚部5の肉厚は外周面5a、5aの薄肉部と角部において平面視円弧状の壁面19aを有する僅かな厚みの残部21とが残されることになる。
そして下部プレート3に水抜き孔9…や制御棒案内管及び計装用管等の固定穴11等を穿孔加工する等の細部の切削加工を行う。
このようにして各脚部5内の外側角部近くまで内空部7が延在して下部プレート3に穿孔した各位置決め孔13の外側に位置する水抜き孔9(これに便宜的に符号9aを付す)…に連通させることができる。
【0012】
従ってこのような下部ノズル1を備えた燃料集合体を原子炉内に装着して、稼働時に冷却水を燃料集合体の下方から上方に流す際に下部ノズル1の内空部7から下部プレート3の各水抜き孔9a…、9…を全て通過させることができ、角部付近の、位置決め孔13外側の水抜き孔9a…であっても確実に冷却水を通過させて燃料集合体の冷却効率を高めて平均化させることができる。
【0013】
上述のように本実施の形態によれば、下部ノズル1の製作に際して切削工具による機械加工で製造できるので、放電加工を用いないから加工速度が迅速であると共に溶接部における熱影響部の腐食等に対処する必要がなく低コストで品質のよい下部ノズル1を製作できる。
特に脚部5内の内空角部7bを成形加工するための第一及び第二内奥部17、19の加工に際しては、脚部5の内側から外側に向けて第一内奥部17を切除加工した後で位置決め孔13を利用して更に第二内奥部19を切除加工するようにしたから、下部プレート3の各位置決め孔13外側に内空部7に連通する水抜き孔9a…を形成することができ、燃料集合体の冷却効率を高めてより一層均一に制御できる。
【0014】
尚、上述の実施の形態では、脚部5の内空角部7bの成形に際して、第一内奥部17の成形加工後に脚部5に位置決め孔13を穿孔することにしたが、これに代えて位置決め孔13の穿孔後に第一内奥部17を成形加工してもよく、要するに第二内奥部19の成形加工前に位置決め孔13を穿孔しておけばよい。
また4本の脚部5にそれぞれ設けた位置決め孔13のうち対角方向の2つの孔13,13を位置決め用のピンを係合させる係止穴として用い他の2つの位置決め孔13,13は位置決め用に使用しなくてもよい。
また上述の実施の形態に代えて4本の脚部5にそれぞれ位置決め穴13を形成すると共に、図7に示すように平面視で下部プレート3の各角部において位置決め穴13に重なる位置にそれぞれ水抜き孔9(9a)を穿孔しても良い。この場合にも下部プレート3の脚部5に重なる位置に水抜き孔9を形成していない従来の下部ノズルよりもより広い範囲で冷却流体を通過させることができて冷却効率を向上できる。
尚、その際、内空部7の内空角部7bの加工面形状は図1に示す形状と異なっていてもよい。図7に示す内空角部7bの形状は下部プレート3の角部に薄肉部21のみが残る平面視小円弧状の加工面形状とされている。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る下部ノズル及びその加工方法は、複数の孔部を穿孔した下部プレートと複数の脚部と孔部に連通する内空部とを有し、各脚部には内空部に連通する位置決め穴がそれぞれ設けられ、放電加工を用いることなく機械加工によって一体成形加工で製造することができて加工速度が速く製造コストを従来の放電加工を用いた製法と比較して低廉に製造でき、しかも溶接箇所がなく一体成形であるから溶接欠陥や腐食等に対処する必要がない。
【0016】
また下部ノズル及びその加工方法は、位置決め穴を利用して脚部内の第一及び第二内奧部を切削加工で成形したから、下部プレートの各角部付近、即ち位置決め穴の外側の孔部に内空部を連通させることができて冷却流体を行き渡らせて多数の燃料棒に対して均一に冷却させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態による下部ノズルの1/4を示す平面図である。
【図2】 下部ノズルの側面図である。
【図3】 下部ノズルの下面図である。
【図4】 下部ノズルの脚部における内空角部の加工に用いるTスロットカッタの要部側面図である。
【図5】 下部ノズルの切削加工工程を示すフローシートである。
【図6】 (a),(b),(c)は図2のA−A線断面図であって脚部の内空部加工工程を示す図である。
【図7】 他の実施の形態による下部ノズルの1/4を示す平面図である。
【符号の説明】
1 下部ノズル
3 下部プレート
5 脚部
7 内空部
7b 内空角部
9,9a 水抜き孔
13 位置決め孔
14,14S Tスロットカッタ

Claims (2)

  1. 上部ノズルと下部ノズルの間に複数の支持格子が所定間隔で配設され、計装用管及び制御棒案内管が上部ノズル及び下部ノズルにそれぞれ固定され、各支持格子に多数の燃料棒が保持されてなる燃料集合体の下部ノズルにおいて、
    前記下部ノズルは複数の孔部を穿孔した下部プレートと該下部プレートの各角部に設けた複数の脚部と前記孔部に連通する内空部とを有し、前記各脚部には内空部に連通する位置決め穴がそれぞれ設けられ、前記各脚部を内側から切削加工して形成した第一内奧部と前記位置決め穴を通して第一内奧部の外側を更に切削加工して形成した第二内奧部とが設けられ、
    前記下部ノズルは機械加工によって一体形成されたことを特徴とする下部ノズル。
  2. 上部ノズルと下部ノズルの間に複数の支持格子が所定間隔で配設され、計装用管及び制御棒案内管が上部ノズル及び下部ノズルにそれぞれ固定され、各支持格子に多数の燃料棒が保持されてなる燃料集合体の下部ノズルの加工方法において、
    前記下部ノズルは複数の孔部を穿孔した下部プレートと該下部プレートの各角部に設けた複数の脚部と前記孔部に連通する内空部とを有し、前記各脚部には内空部に連通する位置決め穴がそれぞれ設けられ、
    前記各脚部について、前記下部プレートの対角線上に回転軸をとって内側から脚部を転削工具で切削加工して第一内奥部を形成し、前記位置決め穴を通して転削工具を前記第一内奧部に挿入して脚部を更に切削加工して第二内奧部を形成することによって、前記下部ノズルは機械加工によって一体形成されたことを特徴とする下部ノズルの加工方法
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