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JP4423864B2 - 薄膜トランジスタ素子及びその製造方法 - Google Patents
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JP4423864B2 - 薄膜トランジスタ素子及びその製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタ素子及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜トランジスタ素子及びその製造方法に関し、更に詳しくは有機薄膜トランジスタ素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。またさらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
【0003】
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。
【0004】
ここでTFT素子は、通常、ガラス基板上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)などの半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲート電極などの金属薄膜を基板上に順次形成していくことで製造される。このTFTを用いるフラットパネルディスプレイの製造には通常、CVD、スパッタリングなどの真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソグラフ工程が必要とされ、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きい。さらに、近年のディスプレイの大画面化のニーズに伴い、それらのコストは非常に膨大なものとなっている。
【0005】
近年、従来のTFT素子のデメリットを補う技術として、有機半導体材料を用いた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められている(特許文献1、非特許文献1等参照)。この有機TFT素子は低温プロセスで製造可能であるため、軽く、割れにくい樹脂基板を用いることができ、さらに、樹脂フィルムを支持体として用いたフレキシブルなディスプレイが実現できると言われている(非特許文献2参照)。また、大気圧下で、印刷や塗布などのウェットプロセスで製造できる有機半導体材料を用いることで、生産性に優れ、非常に低コストのディスプレイが実現できる。
【0006】
一方、電極形成にインクジェットを用いた有機TFTの技術として開示(例えば、特許文献2参照。)されており、真空系を用いないプロセスが可能と成るが、ソース、ドレイン電極の間のチャネル領域に、依然フォトリソグラフで形成したポリイミド皮膜を用いている。
【0007】
これらは、フォトリソグラフを用いるため、チャネル領域形成の精度が高くなり、したがってチャネル長の小さいTFTを作製することができるが、煩雑な工程が必要になり製造コストも高くなる。また、特許文献2はインクジェットの液滴を、基板上に直接吐出しているため、液滴が広がりパターニング精度が落ちたり、乾燥までの間に、ソース、ドレイン電極がショートする問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−190001号公報
【0009】
【非特許文献1】
Advanced Material誌 2002年 第2号 99頁(レビュー)
【0010】
【非特許文献2】
SID‘02 Digest p57
【0011】
【特許文献2】
国際公開第01/47043号パンフレット
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高真空系やフォトリソグラフを用いることなく、精度の高い薄膜トランジスタ素子を、簡易かつ効率的に提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0014】
1.支持体上にゲート電極、該ゲート電極上にゲート絶縁層、該ゲート絶縁層上に半導体層、該半導体層に接する微粒子及び水溶性バインダーを含有する空隙型のインク受容層をそれぞれ設け、該インク受容層に、第1のインクを導入することにより、チャネル領域を規定する絶縁性領域を形成した後、該絶縁性領域の両端のインク受容層に第2のインクを導入し乾燥することにより、ソース電極およびドレイン電極の形成を行うことを特徴とする薄膜トランジスタ素子の製造方法。
【0015】
2.支持体上に微粒子及び水溶性バインダーを含有する空隙型の第1のインク受容層を設け、該第1のインク受容層に、第1のインクを該第1のインク受容層の下部まで導入することにより、チャネル領域を規定する絶縁性領域を形成した後、該絶縁性領域の両端のインク受容層に第2のインクを導入し乾燥することにより、ソース電極およびドレイン電極形成し、続いて該ソース電極および該ドレイン電極に接する半導体層、該半導体層に接するゲート絶縁層、該ゲート絶縁層上に微粒子及び水溶性バインダーを含有する空隙型の第2のインク受容層をそれぞれ設け、該第2のインク受容層に、前記第2のインクを導入し乾燥することによりゲート電極の形成を行うことを特徴とする薄膜トランジスタ素子の製造方法。
【0016】
3.前記半導体層が有機半導体であることを特徴とする前記1又は2記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
【0017】
4.前記インク受容層への前記第1のインク及び前記第2のインクの導入にインクジェット記録方法を用いることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
【0018】
5.前記インク受容層の塗工液の溶媒または分散媒が、水を50%以上含むことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
【0019】
6.前記チャネル領域を規定する前記第1のインクの溶媒または分散媒が、水を50%以上含むことを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
【0020】
7.前記ソース電極及び前記ドレイン電極の形成に用いる前記第2のインクの溶媒または分散媒が、水を50%以上含むことを特徴とする前記1、3〜6のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
【0021】
8.前記ゲート電極の形成に用いる前記第2のインクの溶媒または分散媒が、水を50%以上含むことを特徴とする前記2、3〜6のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
【0022】
9.前記1〜8のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法により製造されたことを特徴とする薄膜トランジスタ素子。
【0023】
10.前記薄膜トランジスタ素子が有機薄膜トランジスタ素子であることを特徴とする前記9記載の薄膜トランジスタ素子。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明の実施形態について述べる。
【0025】
本発明の薄膜トランジスタ素子は、支持体上に半導体層に接したソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、支持体上にまずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体層で連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別され、具体的な素子の層構成例は図1、図2に示す如くなる。本発明の薄膜トランジスタ素子は、有機(半導体)薄膜トランジスタ素子が好ましい。
【0026】
図1はボトムゲート型の層構成例を示し支持体1上にゲート電極8、ゲート絶縁層7を介して半導体層3を有している。さらに半導体層3に接してインク受容層2を有しており、半導体層3に接する絶縁性領域6、ソース電極4及びドレイン電極5を有している。
【0027】
図2はトップゲート型の層構成例を示し、支持体1上にインク受容層2を有し、インク受容層2に接して半導体層3を有している。インク受容層2中には半導体層3に接する絶縁性領域6、ソース電極4及びドレイン電極5を有し、その上にゲート絶縁層7を介してゲート電極8を有する。
【0028】
本発明において、少なくとも絶縁性領域6は、光透過率が10%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1%以下である。これにより、有機半導体層の光による特性の劣化を抑えることができる。
【0029】
本明細書でいう光透過率とは有機半導体層に光発生キャリアを発生させることのできる波長域における平均透過率を示す。一般的に350〜750nmの光に対して遮光する性能を有していることが好ましい。
【0030】
また、この技術は有機半導体層の光による劣化を抑えるために有機半導体層に到達する光を抑えようとするものであることから、絶縁性領域6で光透過率を低減させるだけでなく、他の層(多層の場合はすべての層)で光透過率が10%以下となるようにしてもよく、1%以下とすることがさらに好ましい。
【0031】
絶縁性領域6又は他の層の光透過率を下げるためには、絶縁性領域6又は他の層中に顔料や染料等の色材や紫外線吸収剤を含有させるといった手法を用いることができる。
【0032】
本発明の薄膜トランジスタ素子は、ソース電極及びドレイン電極並びにこれら2つの電極を絶縁する絶縁層を、インクで形成することを特徴とする。特にこれらの形成をインクジェット記録方法で行うことが好ましい。その結果、生産効率が向上し精度も高く、製造工程の短い薄膜トランジスタ素子の製造方法が得られた。
【0033】
本発明の有機薄膜トランジスタ素子は、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層及びポリマーを含む下引き層の少なくとも一方を有することが好ましい。
【0034】
下引き層に含有される無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。また無機窒化物としては窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
【0035】
それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、窒化ケイ素である。
【0036】
本発明において、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層は上述した大気圧プラズマ法で形成されるのが好ましい。
【0037】
ポリマーを含む下引き層に用いるポリマーとしては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノキシ樹脂、ノルボルネン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体、ポリアミド樹脂、エチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
【0038】
本発明の薄膜トランジスタ素子に用いる半導体層は有機半導体層が好ましい。有機半導体層の材料としては、π共役系材料が用いられ、例えばポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)などのポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリイソチアナフテンなどのポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレンなどのポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−置換アニリン)などのポリアニリン類、ポリアセチレンなどのポリアセチレン類、ポリジアセチレンなどのポリジアセチレン類、ポリアズレンなどのポリアズレン類、ポリピレンなどのポリピレン類、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)などのポリカルバゾール類、ポリセレノフェンなどのポリセレノフェン類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)などのポリ(p−フェニレン)類、ポリインドールなどのポリインドール類、ポリピリダジンなどのポリピリダジン類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど)、ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーや特開平11−195790に記載された多環縮合体などを用いることができる。
【0039】
また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有するたとえばチオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体などのオリゴマーも好適に用いることができる。
【0040】
さらに銅フタロシアニンや特開平11−251601号に記載のフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N′−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N′−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N′−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。
【0041】
これらのπ共役系材料のうちでも、チオフェン、ビニレン、チェニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体またはこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数nが4〜10であるオリゴマーもしくは該繰返し単位の数nが20以上であるポリマー、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0042】
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマーや特開2000−260999に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
【0043】
本発明においては、有機半導体層に、たとえば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基などの官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、たとえばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
【0044】
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って,ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては公知のものを採用することができる。
【0045】
これら有機半導体層の作製法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法およびLB法等が挙げられ、材料に応じて使用できる。ただし、この中で生産性の点で、有機半導体の溶液を用いて簡単かつ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等が好まれる。
【0046】
なおAdvanced Material誌 1999年 第6号、p480〜483に記載の様に、ペンタセン等前駆体が溶媒に可溶であるものは、塗布により形成した前駆体の膜を熱処理して目的とする有機材料の薄膜を形成しても良い。
【0047】
これら有機半導体からなる薄膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体からなる活性層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
【0048】
本発明の薄膜トランジスタ素子のソース電極、ドレイン電極は、導電性材料を含む、溶液或いはペースト状のインクを用いて作製した電極である。導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を50%以上、好ましくは90%以上含有する溶媒または分散媒体であることが好ましい。
【0049】
金属微粒子を含有する分散物としては、たとえば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1〜50nm、好ましくは1〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。
【0050】
金属微粒子の材料としては白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
【0051】
これらの金属からなる微粒子を、主に有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した分散物を用いて電極を形成する。
【0052】
このような金属微粒子の分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号、同11−80647号、同11−319538号、特開2000−239853号等に示されたコロイド法、特開2001−254185号、同2001−53028号、同2001−35255号、同2000−124157号、同2000−123634号などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。これらの金属微粒子分散物を用いて電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成するものである。
【0053】
さらに、ソース電極、ドレイン電極としては、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることも好ましく、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。これによりソース電極とドレイン電極とのショットキー障壁を低減することができる。
【0054】
本発明の絶縁層に用いる材料として、好ましくは、親水性ポリマーを含有する材料であり、さらに好ましくは、親水性ポリマーの水溶液又は水分散液である。親水性ポリマーは、水、または酸性水溶液、アルカリ性水溶液、アルコール水溶液、各種の界面活性剤の水溶液に対して、溶解性または分散性を有するポリマーである。たとえばポリビニルアルコールや、HEMA、アクリル酸、アクリルアミドなどの成分からなるホモポリマー、コポリマーを好適に用いることができる。またその他の材料として、無機酸化物、無機窒化物を含有する材料も、有機半導体への影響を与えず、その他塗布工程での影響を与えないので好ましい。さらに後述するゲート絶縁層の材料も用いることができる。
【0055】
絶縁層及び電極の形成方法としては、目的の素材を含有する溶液あるいは分散液等を直接インクジェット法によりインク受容層にパターニングして形成する。
【0056】
本発明のインク受容層は空隙型であって、微粒子及び水溶性バインダーを混合して塗布したものである。
【0057】
インク受容層に用いることのできる微粒子としては、無機微粒子や有機微粒子を挙げることができるが、特には、微粒子が容易に得やすいことから無機微粒子が好ましい。そのような無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。上記無機微粒子は、1次粒子のまま用いても、また、2次凝集粒子を形成した状態で使用することもできる。
【0058】
本発明においては、無機微粒子として、アルミナ、擬ベーマイト、コロイダルシリカもしくは気相法により合成された微粒子シリカが好ましく、気相法で合成された微粒子シリカが、特に好ましい。この気相法で合成されたシリカは、表面がAlで修飾されたものであっても良い。表面がAlで修飾された気相法シリカのAl含有率は、シリカに対して質量比で0.05〜5%のものが好ましい。
【0059】
上記無機微粒子の粒径は、いかなる粒径のものも用いることができるが、平均粒径が1μm以下であることが好ましい。特には、0.2μm以下が好ましく、0.1μm以下が最も好ましい。粒径の下限は特に限定されないが、無機微粒子の製造上の観点から、概ね0.003μm以上、特に0.005μm以上が好ましい。
【0060】
上記無機微粒子の平均粒径は、多孔質層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の粒子の粒径を求めて、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0061】
上記微粒子は、1次粒子のままで、あるいは2次粒子もしくはそれ以上の高次凝集粒子で多孔質皮膜中に存在していても良いが、上記の平均粒径は、電子顕微鏡で観察したときに多孔質層中で独立の粒子を形成しているものの粒径を言う。
【0062】
上記微粒子の水溶性塗布液における含有量は、5〜40質量%であり、特に7〜30質量%が好ましい。
【0063】
空隙型の受容層に含有される親水性バインダーとしては、特に制限はなく、従来公知の親水性バインダーを用いることができ、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等を用いることができるが、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
【0064】
ポリビニルアルコールは、無機微粒子との相互作用を有しており、無機微粒子に対する保持力が特に高く、更に、吸湿性の湿度依存性が比較的小さなポリマーである。本発明で好ましく用いられるポリビリルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0065】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が300以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000〜5000のものが好ましく用いられる。ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0066】
カチオン変成ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0067】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0068】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0069】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号、および同63−307979号公報に記載されているビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7−285265号公報に記載されている水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0070】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0071】
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなどの2種類以上を併用することもできる。特に、重合度が2000以上のポリビニルアルコールを使用する場合には、予め、無機微粒子分散液に重合度が1000以下のポリビニルアルコールを無機微粒子に対して0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%添加してから、重合度が2000以上のポリビニルアルコールを添加すると、著しい増粘が無く好ましい。
【0072】
空隙型の受容層の親水性バインダーに対する微粒子の比率は、質量比で2〜20倍であることが好ましい。質量比が2倍未満である場合には、多孔質層の空隙率が低下し、充分な空隙容量が得にくくなるだけでなく、過剰の親水性バインダーがインクジェット記録時に膨潤して空隙を塞ぎ、導電性ポリマーの吸収速度を低下させる要因となる。一方、この比率が20倍を越える場合には、多孔質層を厚膜で塗布した際に、ひび割れが生じやすくなり好ましくない。特に好ましい親水性バインダーに対する微粒子の比率は、2.5〜12倍、最も好ましくは3〜10倍である。
【0073】
本発明の薄膜トランジスタ素子のゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
【0074】
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
【0075】
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
【0076】
これらのうち好ましいのは、上述した大気圧プラズマ法である。
ゲート絶縁層が陽極酸化膜又は該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
【0077】
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
【0078】
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
【0079】
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
【0080】
ゲート絶縁層と有機半導体層の間に、任意の配向処理を施してもよい。シランカップリング剤、たとえばオクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸などの自己組織化配向膜が好適に用いられる。
【0081】
本発明において支持体は樹脂からなるものが好ましい。例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
【0082】
また本発明の薄膜トランジスタ素子上には素子保護層を設けることも可能である。保護層としては前述した無機酸化物又は無機窒化物等が挙げられ、上述した大気圧プラズマ法で形成するのが好ましい。これにより、薄膜トランジスタ素子の耐久性が向上する。
【0083】
次に本発明の薄膜トランジスタ素子の製造方法について図を用いて説明する。
図3はボトムゲート型薄膜トランジスタ素子の製造工程の一例を示す図である。図3(a)は、支持体1の上に定法によりゲート電極8とゲート絶縁層7及び半導体層3を形成した材料を示す。図3(b)において、インク受容層2を設ける。絶縁層用の液滴6′(例えばPVA水溶液)をインクジェットで吐出し(図3(c))、乾燥させることで、チャネル領域の絶縁性領域6(図3(d))をインク受容層内に形成する。ここで、ソース電極4とドレイン電極5のショートを防止するために、ソース電極4とドレイン電極5の材料を含有する溶液または分散液に、溶解しないか、あるいは分散しない、あるいは反発するような第2の絶縁材料を、絶縁性領域6の上から供給してもよい。例えば、フェノール樹脂やエポキシ樹脂などの親油性の材料を使用してもよいし、シリコーンゴムやシランカップリング剤などの撥水性材料を用いる。この方法により、インクジェット法で形成されるソース電極4とドレイン電極5用のそれぞれの吐出液が、混合する可能性が、非常に低くなり、ショートを防止できる。ついで、両端にソース電極4とドレイン電極5の材料を含有する溶液または分散液を吐出(図3(e))、乾燥させることで、ソース電極4とドレイン電極5を作製(図3(f))する。
【0084】
以上の方法により、薄膜トランジスタ素子のチャネル長を、形成した皮膜の幅、すなわち、インクジェットの液滴の容量や吐出量(描き込み密度)で一意に制御でき、インク受容層に液滴が吸収され、保持された後に乾燥するため、極めて簡単な方法で、精度の高い薄膜トランジスタ素子を作製することができる。
【0085】
また、従来のディスプレイ用の薄膜トランジスタ素子として一般的で利用価値の高い、ボトムゲート型構成にて、国際公開第01/47043号のようなフォトリソグラフ法を用いた技術で薄膜トランジスタ素子を作製した場合、フォトレジスト材料の塗設工程や、フォトレジスト層の現像工程において、工程で使用される塗布溶媒や現像液成分などの影響により、有機半導体層が劣化してしまうことが判った。
【0086】
さらに、受容層を水系塗布により作製し、チャネル領域の絶縁性領域6の形成に水系インキを使用することで、この劣化を防ぐことができることが判った。
【0087】
また、図4に示すように広がり防止皮膜9を形成しておけば、ソース電極用の液滴4′とドレイン電極用の液滴5′が必要以上に広がることを防止できる。広がり防止皮膜9は、絶縁性領域6の形成に用いたインクと同じものを用いてもよい。
【0088】
図5に図3(e)の工程を上部からの模式図を示す。
図6はトップゲート型薄膜トランジスタ素子の製造工程の一例を示す図である。図6(a)で支持体1の上にインク受容層2を設ける。絶縁層用の液滴6′(例えばPVA水溶液)をインクジェットで吐出(図6(b))し、乾燥させることで、チャネル領域の絶縁性領域6をインク受容層内に形成(図6(c))する。ボトムゲート型薄膜トランジスタ素子の製造工程と同様に、ソース電極4とドレイン電極5のショートを防止することが好ましい。ついで、両端にソース電極4とドレイン電極5の材料を含有する溶液または分散液を吐出(図6(d))し、乾燥させることで、ソース電極4とドレイン電極5を作製(図3(e))する。この上に定法により半導体層3を設け(図6(f))、ゲート絶縁層7を形成(図6(g))し、その上に再びインク受容層2を(図6(h))設ける。ゲート電極用液滴8′を吐出(図6(i))し、乾燥させることで、ゲート電極8を作製(図6(j))し、トップゲート型薄膜トランジスタ素子の作製を完了する。
【0089】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0090】
実施例1
厚さ200μmのPESフィルムの表面に50W/m2/minの条件でコロナ放電処理を施し、下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
【0091】
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設けた。
【0092】
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm2
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
【0093】
さらにその上に、スパッタ法により、厚さ300nmのアルミニウム皮膜を成膜し、ゲート電極とした。
【0094】
〈陽極酸化皮膜形成工程〉
以上のフィルム基板をよく洗浄した後、30質量%ホウ酸アンモニウム水溶液中で、2分間、60Vの定電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるように陽極酸化皮膜を作製した。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施した。
【0095】
〈ゲート絶縁層形成工程〉
さらにフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法により、厚さ30nmの酸化ケイ素層を設けた。
【0096】
次に、その上に、下記化合物Cのクロロホルム溶液を、ピエゾ方式のインクジェット法を用いて、チャネルを形成すべき領域に吐出し、窒素ガス中で、50℃で3分乾燥し、200℃で10分の熱処理を行ったところ、厚さ50nmのペンタセン薄膜である有機半導体層を形成した。
【0097】
【化1】
Figure 0004423864
【0098】
(インク受容層の塗工液の調製)
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製:1次粒子径10〜20nm、20%水分散液)3kg中に、気相法シリカである日本アエロジル社製AEROSIL300(1次粒子径7nm)0.6kgを吸引分散した後、純水を加え7Lの分散液を調製した。さらにホウ酸27gとホウ砂23gを含有する水溶液0.7Lを添加し、消泡剤(SN381:サンノプコ社製)を1g添加した。高圧ホモジナイザーで2.45×107Paの圧力で2回分散し、シリカ混合水分散液を調製した。このシリカ混合水分散液1Lに、40℃で撹拌しながら、ポリビニルアルコールの5%水溶液1Lを混合し、インク受容層の塗工液を調製した。
【0099】
有機半導体層の表面に、これを塗布し、窒素ガス中で100℃にて乾燥し、厚さ2μmのインク受容層を形成した。
【0100】
PVAの水溶液をインクジェットで吐出しながらパターニングし、乾燥させると、幅5μm、長さ約2mmのPVAで満たされた絶縁性領域が形成された。このPVAの皮膜の両端に、図5に示すように、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の錯体の水分散液(バイエル社製 Baytron P)をピエゾ方式のインクジェットを用いて吐出し、乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、100℃で乾燥させると、ソース、ドレイン電極が形成された。
【0101】
以上の工程により、チャネル幅W=約1.5mm、チャネル長L=約5μmの有機薄膜トランジスタ素子を作製した。
【0102】
この有機薄膜トランジスタ素子は、pチャネルエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。飽和領域におけるキャリア移動度は0.5cm2/V・sであった。
【0103】
実施例2
PVAの水溶液をインクジェットで吐出する際、この水溶液に、水分散性のカーボンブラックを添加し、よく攪拌して、吐出液とした。実施例1同様に素子を作製・評価したところ、良好に動作し、キャリア移動度は0.5cm2/V・sであった。
【0104】
また、この素子の絶縁性領域部分の光透過率は0.2%であり、2000lxの蛍光灯下でも動作に影響はなかった。
【0105】
比較例1
実施例1にて、インク受容層を形成せず、チャネル領域の皮膜形成に市販のフォトレジストに変更した。市販のポジ型フォトレジストをスピンコートした後、マスクを介して露光し、アルカリ現像し、水洗することで、幅5μm、長さ約2mm、厚さ0.5μmのレジスト皮膜をパターニングした。同様に評価したが有機薄膜トランジスタ素子は動作しなかった。
【0106】
実施例3
実施例1と同様、下引き層、酸化ケイ素層が順次設けられたPESフィルムの表面に、実施例1と同様にインク受容層を形成した。
【0107】
PVAの水溶液をインクジェットで吐出しながらパターニングし、100℃5分で乾燥させると、幅5μm、長さ約2mmの絶縁性領域を形成した。
【0108】
PVAの皮膜の両端に、図6(d)のように、ポリスチレンスルホン酸とポリ(エチレンジオキシチオフェン)の錯体の水分散液(バイエル製 Baytron P)をピエゾ方式のインクジェットを用いて吐出し、乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、100℃で乾燥させると、ソース、ドレイン電極が形成された。
【0109】
ZnおよびNiの含有量が10ppm以下になるよう良く精製した、ポリ(3−オクチルチオフェン)のregioregular体(アルドリッチ社製)のクロロホルム溶液を調製した。この溶液を、ピエゾ型のインクジェットを用いて、図のように吐出しパターニングし、室温で乾燥させた後、N2ガス置換雰囲気中で、50℃、30分間の熱処理を施した。このとき、インク受容層中にもポリ(3−ヘキシルチオフェン)が染み込み、その表面から浮き出した部分の膜厚は20nmであった。
【0110】
さらにフィルム温度210℃にて、上述した大気圧プラズマ法により、厚さ200nmの酸化ケイ素層を設けた後、同様なインク受容層を形成し、Baytron Pを、インクジェットを用いて吐出し、乾燥した後、窒素ガス雰囲気中、100℃で乾燥させると、ゲート電極が形成された。
【0111】
以上の工程により、チャネル幅W=約1.5mm、チャネル長L=約5μmの有機薄膜トランジスタ素子を作製した。
【0112】
この有機薄膜トランジスタ素子は、pチャネルエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。飽和領域におけるキャリア移動度は0.02cm2/V・sであった。
【0113】
比較例2
実施例3にて、インク受容層を形成せず、感光性ポリイミドをフォトリソグラフによりパターニングしてチャネル領域の絶縁性領域を形成した以外、同様に作製・評価した。飽和領域におけるキャリア移動度は0.01cm2/V・sであった。
【0114】
【発明の効果】
本発明により、高真空系やフォトリソグラフを用いることなく、精度の高い薄膜トランジスタ素子を、簡易かつ効率的にを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜トランジスタ素子の層構成例(ボトムゲート型)を示す図である。
【図2】本発明の薄膜トランジスタ素子の層構成例(トップゲート型)を示す図である。
【図3】本発明のボトムゲート型薄膜トランジスタ素子の製造工程の一例を示す図である。
【図4】本発明の広がり防止皮膜を作製した薄膜トランジスタ素子の製造方法を説明するための図である。
【図5】本発明のソース電極用の液滴とドレイン電極用の液滴を吐出した工程の上部からの模式図である。
【図6】本発明のトップゲート型薄膜トランジスタ素子の製造工程の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 支持体
2 インク受容層
3 半導体層
4 ソース電極
4′ ソース電極用の液滴
5 ドレイン電極
5′ ドレイン電極用の液滴
6 絶縁性領域
7 ゲート絶縁層
8 ゲート電極
8′ ゲート電極用液滴
9 広がり防止皮膜

Claims (10)

  1. 支持体上にゲート電極、該ゲート電極上にゲート絶縁層、該ゲート絶縁層上に半導体層、該半導体層に接する微粒子及び水溶性バインダーを含有する空隙型のインク受容層をそれぞれ設け、該インク受容層に、第1のインクを導入することにより、チャネル領域を規定する絶縁性領域を形成した後、該絶縁性領域の両端のインク受容層に第2のインクを導入し乾燥することにより、ソース電極およびドレイン電極の形成を行うことを特徴とする薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  2. 支持体上に微粒子及び水溶性バインダーを含有する空隙型の第1のインク受容層を設け、該第1のインク受容層に、第1のインクを該第1のインク受容層の下部まで導入することにより、チャネル領域を規定する絶縁性領域を形成した後、該絶縁性領域の両端のインク受容層に第2のインクを導入し乾燥することにより、ソース電極およびドレイン電極形成し、続いて該ソース電極および該ドレイン電極に接する半導体層、該半導体層に接するゲート絶縁層、該ゲート絶縁層上に微粒子及び水溶性バインダーを含有する空隙型の第2のインク受容層をそれぞれ設け、該第2のインク受容層に、前記第2のインクを導入し乾燥することによりゲート電極の形成を行うことを特徴とする薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  3. 前記半導体層が有機半導体であることを特徴とする請求項1又は2記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  4. 前記インク受容層への前記第1のインク及び前記第2のインクの導入にインクジェット記録方法を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  5. 前記インク受容層の塗工液の溶媒または分散媒が、水を50%以上含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  6. 前記チャネル領域を規定する前記第1のインクの溶媒または分散媒が、水を50%以上含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  7. 前記ソース電極及び前記ドレイン電極の形成に用いる前記第2のインクの溶媒または分散媒が、水を50%以上含むことを特徴とする請求項1、3〜6のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  8. 前記ゲート電極の形成に用いる前記第2のインクの溶媒または分散媒が、水を50%以上含むことを特徴とする請求項2、3〜6のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法により製造されたことを特徴とする薄膜トランジスタ素子。
  10. 前記薄膜トランジスタ素子が有機薄膜トランジスタ素子であることを特徴とする請求項9記載の薄膜トランジスタ素子。
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