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JP4428082B2 - 半導体熱電材料の製造方法 - Google Patents
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JP4428082B2 - 半導体熱電材料の製造方法 - Google Patents

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本発明は、半導体熱電材料の製造方法に関するものであり、詳しくは、六方晶構造を有する固体もしくは粉末状の半導体熱電材料の原材料を加熱溶融後凝固して半導体熱電材料を得る半導体熱電材料の製造方法に関するものである。
従来の半導体熱電材料の製造方法としては、図7に示すような真空又は不活性ガス、水素ガス等のガス流れの雰囲気中に設置された成長ボート51内に形成された原料室52で熱電変換材料の原料53を溶融し、次いで、溶融した原料53の予め決められた所定量を原料室52で保持又は原料室52から成長室54へ注入し、溶融した原料53を原料室52又は成長室54において徐冷又は急冷して凝固させ、結晶方位が高性能を有する方向に配向した熱電変換材料を得る方法であって、予め決められた所定の形状に加工成形された成長室54を備えた鋳型を配置し、溶融した原料53を凝固させる際に、鋳型の成長室54に溶融した原料53を鋳込んで凝固させる方法が知られている。このような半導体熱電材料の製造方法にあっては、熱電変換材料の溶融した原料53を原料室52から必要な量だけスライダ55に設けた成長室54に直接注いで、スライダ55に設けた成長室54の大きさ又は形状に従った熱電変換材料が製造でき、各成長室54の大きさ又は形状を調節することによって、所望の大きさに近い大きさ又は形状の熱電変換材料が作製することが可能となる。従って、成長した熱電変換材料に対して、複雑な加工工程を必要とせず、製造コストの大幅な低減を計ることができる。(特許文献1)。
しかし、このような工程を経て得られた半導体熱電材料は結晶粒の微細化が完全でなく、熱電特性や機械的強度にばらつきが生じ、また、急冷により導入される格子欠陥の濃度が増えるため、その傾向は一層顕著になるという問題があった。
特開2002−223010号公報
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、均一な微細組織を得るとともに、原子空孔等の欠陥を少なくすることにより、熱電特性や機械的強度のばらつきの少ない半導体熱電材料の製造方法を提供することである。
上記した課題を解決するために、本発明の請求項1に係る半導体熱電材料の製造方法は、六方晶構造を有する半導体熱電材料の原材料を加熱溶融する加熱工程と、加熱溶融した前記半導体熱電材料を所定の形状に形成した鋳型に吹込んで凝固させて、結晶のc面を配向させる吹込み工程と、凝固した前記半導体熱電材料を所定の加熱条件で熱処理して、結晶の欠陥を回復させる回復工程とを有し、さらに前記各工程を経て得た半導体熱電材料において前記吹込み工程のときに前記鋳型と接触した面の所定の厚さを除去する除去工程を有することを特徴とする半導体熱電材料の製造方法。
本発明の請求項2に係る半導体熱電材料の製造方法は、前記凝固工程にて凝固した半導体熱電材料に塑性加工を施して、結晶方位が、高い熱電性能を有する特定の軸方向もしくは特定の面方向に延伸させる延伸工程を有することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る半導体熱電材料の製造方法は、前記吹込み工程における半導体熱電材料の吹込みは、溶融した前記半導体熱電材料をノズルにて射出するものであることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る半導体熱電材料の製造方法は、前記半導体熱電材料は、ビスマス、テルル、セレン、アンチモンのいずれか2種以上からなる合金であることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る半導体熱電材料の製造方法は、前記加熱工程は、前記半導体熱電材料を853〜1073Kまで溶融加熱するものであることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る半導体熱電材料の製造方法は、前記吹込み工程における吹込み前の前記鋳型の温度は、273〜373Kであることを特徴とする。
本発明の請求項1に係る半導体熱電材料の製造方法によると、加熱溶融された六方晶構造を有する半導体熱電材料を所定の形状に形成した鋳型に吹込んで凝固させて、結晶の面を配向させる吹込み工程により、鋳型に吹込まれた半導体熱電材料は所定の形状に鋳造されるとともに、微細な結晶構造を得ることができて機械的な強度が向上し、その際、粉砕工程を一切経ていないので極めて酸素濃度が低く、熱電性能の優れた半導体熱電材料を得ることができる。その上、凝固した前記半導体熱電材料を所定の加熱条件で熱処理して、結晶の欠陥を回復させる回復工程を有するので、吹込みの過程で半導体熱電材料の内部に生じた原子空孔等の欠陥が除去され、得られた半導体熱電材料の熱電性能のばらつきを小さくすることができる。さらに、前記各工程を経て得た半導体熱電材料において前記吹込み工程のときに前記鋳型と接触した面の所定の厚さを除去する除去工程を有することにより、前記半導体熱電材料における結晶の配向が乱れた部分が除去されて結晶の欠陥が回復するので、熱電性能をより一層向上させることができる。
本発明の請求項2に係る半導体熱電材料の製造方法によると、上述した請求項1の効果に加えて、前記凝固工程にて凝固した半導体熱電材料に塑性加工を施して、結晶方位が、高い熱電性能を有する特定の軸方向もしくは特定の面方向に延伸させる延伸工程を有するので、c面の配向が一層顕著になり、c面と平行な方向から通電する場合の熱電性能がさらに向上する。
本発明の請求項3に係る半導体熱電材料の製造方法によると、上述した請求項1の効果に加えて、前記吹込み工程における半導体熱電材料の吹込みは、溶融した前記半導体熱電材料をノズルにて射出するものであり、半導体熱電材料が微細な状態で、鋳型に対して均一な吹込みができるので、部位による熱電性能のばらつきの少ない半導体熱電材料を得ることができる。
本発明の請求項4に係る半導体熱電材料の製造方法によると、上述した請求項1の効果に加えて、前記半導体熱電材料は、ビスマス、テルル、セレン及びアンチモンのいずれか2種以上からなる金属間化合物であるので、常温から523K(250℃)位までの範囲で、最も良好な熱電性能を得ることができる。
本発明の請求項5に係る半導体熱電材料の製造方法によると、上述した請求項4の効果に加えて、前記加熱工程は、ビスマス、テルル、セレン及びアンチモンのいずれか2種以上からなる前記半導体熱電材料を853〜1073Kまで溶融加熱するものであるので、853K以下であると、完全に半導体熱電材料が溶融せず、また粘性も高いため、ノズル5からのスムーズな吐出ができず、1073K以上であると、特定の元素が蒸発してしまい、熱電性能が劣化するといった吹込み時の不具合を防止することができる。
本発明の請求項6に係る半導体熱電材料の製造方法によると、上述した請求項5の効果に加えて、前記吹込み工程における吹込み前の前記鋳型の温度は、273〜373Kであるので、溶融した半導体熱電材料は急速に凝固し、鋳型と接する面から垂直に針状の結晶を形成する。そのため、針状の結晶の長手方向に電圧を印可した場合には、電流が流れる径路の結晶粒界が減少するため電気抵抗が減少し、その結果熱電性能が向上する。
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図3基づいて説明する。図1乃至図3において、1は半導体熱電材料、1aは半導体熱電材料の原材料、2は鋳型、3は溝部、5はノズル、5aは吐出部、6は高周波コイル、10はチャンバー、11は真空排気手段、11aは真空排気管、11bは真空排気弁、11cは真空ポンプ、12は排気手段、12aは排気管、12bは排気弁、13aは導入管、13bは導入弁、14aは分岐管、14bは開閉弁、15は不活性ガスボンベである。
図1は、本実施形態における半導体熱電材料の製造装置の概略を示す断面図であり、図2は、本実施形態における半導体熱電材料の製造装置を構成する鋳型の概略を示す分解斜視図である。図1及び図2に示すように、鉄製のチャンバー10内の底部に、開口した溝部3を有する縦断面U字型の鋳型2が設置され、溝部3の鉛直上方に、所定間隔をおいてノズル5が設置されている。鋳型2の溝部3は、一端が開口する平板状の空間を形成するものであり、この溝部3の開口に対向する位置に、石英からなるノズル5の吐出部5aが配され、ノズル5から吐出された被吐出物が溝部3に注入されるようになっている。
吐出部5aの形状は、ノズル5からの吹付けを効率よく行なうために、溝部3の横断面形状に相似するものが好ましく、本実施形態においては長方形状に形成されている。
鋳型2は、熱伝導率の大きい銅もしくは銅合金からなり、図2に示すように、縦方向に2分割される割型構造となっており、2つの割型2a、2bが型合わせされた状態では、鋳型2には、上面が開口し、ノズル5からの吐出方向を長手方向とした平板状の空間を有する溝部3が形成されている。この溝部3の表面に、硬質クロムめっきを施してもよい。この場合には、鋳型2の耐磨耗性が向上するとともに、吹付けられる半導体熱電材料に不純物が混入することによる熱電性能の低下を防止することができる。
ノズル5の内部には、外部から被吐出物が投入可能であって、被吐出物を貯蔵するための空間が形成されており、ノズル5の吐出部5a側の先端近傍には高周波コイル6が巻装されて、ノズル5や貯蔵される被吐出物を加熱することができるよう構成されている。また、ノズル5は、長手方向に一定の範囲で伸縮可能に形成されており、必要に応じて、鋳型2までの距離を一定の範囲で変えることができる。そのため、高さの異なる複数の鋳型に対応することが可能となる。
本実施形態に示すような被吐出物の吹込み手段としてノズル5を用いることにより、半導体熱電材料1が微細な状態で射出されて、かつ鋳型2に対して均一な吹込みができるので、部位による熱電性能のばらつきの少ない半導体熱電材料1を得ることができる。本実施形態においては、被吐出物の吹込みを行なう手段としてノズル5を用いたが、他の公知の吹込み手段を用いることができる。
図1に示すように、チャンバー10の外部には窒素やアルゴン等の不活性ガスが充填された不活性ガスボンベ15を有し、この不活性ガスボンベ15とノズル5は導入管13aを介して連通しており、導入弁13bにて通気が開閉される。導入弁13bの開閉は電気的に制御可能に構成されている。この導入管13aはチャンバー10の外部で分岐して、不活性ガスボンベ15とチャンバー10内部を連通する分岐管14aが形成され、開閉弁14bにて開閉可能に形成されている。導入弁13b及び開閉弁14bは、それぞれ開栓の程度を調整して不活性ガスの通気量を調整することができる。
チャンバー10は、真空排気手段11及び排気手段12を備えている。真空排気手段11は、チャンバー10の内部と真空ポンプ11cとを連通する真空排気管11aと、真空排気管11aの通気を開閉する真空排気弁11bと、真空ポンプ11cとを有し、真空排気弁11bの開閉と真空ポンプ11cの駆動は電気的に制御可能となっている。また、排気手段12は、チャンバー10に内部と外部とを連通する排気管12aと、排気管12aの通気を開閉する排気弁12bとを有し、排気弁12bは電気的に開閉制御可能に形成されている。
以上のような半導体熱電材料の製造装置を用いた本実施形態における半導体熱電材料の製造方法を以下に詳述する。図3は本実施形態における半導体熱電材料の製造工程の概略を示す断面図であり、(a)は半導体熱電材料の原材料1aを加熱溶融する加熱工程を、(b)は加熱溶融した半導体熱電材料1を所定の形状に形成した鋳型2に吹込んで凝固させる吹込み工程を、(c)はノズル5による吹込みを停止した状態を、(d)は鋳型2からの取出し工程の概略を示すものである。
本実施形態においては、半導体熱電材料の原材料1aとして、常温から523K(250℃)位までの範囲で、最も良好な熱電性能を得ることができる、ビスマス、テルル、セレン、アンチモンのいずれか2種以上からなる金属間化合物を用いる。本実施形態における半導体熱電材料の原材料1aは、p型として(Bi2Te30.25(Sb2Te30.75にTeを添加したものを、n型として(Bi2Te30.95(Bi2Se30.05に微量のSbI3を添加したものを用いる。これらの半導体熱電材料の原材料1aは、固体状であってもよく、また粉末状であってもよい。本実施形態において使用する半導体熱電材料の原材料1aは、p型及びn型で、それぞれ所定の分量だけ秤量して混合し、るつぼ内で溶融・攪拌を行なった後、凝固させることにより得られたものである。
図3(a)に示すように、まず、ノズル5の内部にある貯蔵部に固体状もしくは粉末状の半導体熱電材料1を投入した後、高周波コイル6によりノズル5を誘導加熱することにより、半導体熱電材料1を溶融させる。半導体熱電材料1はビスマス、テルル、セレン及びアンチモンのいずれか2種以上からなる金属間化合物からなるものであるので、このときの溶融温度は、853〜1073K(580〜800℃)にすることが好ましい。このような温度範囲が好適であるのは、853K以下であると、完全に半導体熱電材料の原材料1aが溶融せず、また粘性も高いため、ノズル5からのスムーズな吐出ができないからであり、1073K以上であると、ドーパントのような特定の元素が蒸発してしまい、熱電性能が劣化するためである。
なお、粉末状の半導体熱電材料1に変えて、半導体熱電材料1を構成する元素を所定の分量づつ混ぜ合わせたものを投入してもよいし、半導体熱電材料1を構成する元素単体の粉末を夫々所定量投入して、ノズル5の貯蔵部で合金化させてもよい。
そして、チャンバー10内が密閉された状態で真空排気弁11bを開状態にし、真空ポンプ11cにてチャンバー内を減圧する(図1参照)。このとき鋳型2は、公知の温度制御手段によって273〜373K(0〜100℃)、好ましくは293〜313Kに保たれている。
次に、導入弁13bを開状態にすると、チャンバー10内は減圧されているため、不活性ガスは、導入管13aを経てノズル5内に流入されるので、図3(b)に示すように、ノズル5内に貯蔵された半導体熱電材料1は、吐出部5aから鋳型2の溝部3に向かって吹込まれる(射出される)。鋳型2に吹込まれた溶融した半導体熱電材料1は、鋳型2が上記温度範囲に保たれているため急速に凝固し、鋳型2と接する面から垂直に針状の結晶を形成する。このとき、溝部3の内面積の大部分は長手方向を形成する側周面であるため、吹込まれた半導体熱電材料1の大部分は側周面に付着して、側周面から垂直に針状の結晶が形成される。このようにして得られた半導体熱電材料1では、針状の結晶の長手方向に電圧を印可すると、電流が流れる径路の結晶粒界が減少するため電気抵抗が減少し、その結果熱電性能が向上する。
このような射出を一定時間行なって、溶融した半導体熱電材料1が溝部3に所定量充填された後は、導入弁13bを閉状態にし、図3(c)に示すように、ノズル5からの溶融した半導体熱電材料1の射出を停止する。吹込まれた半導体熱電材料1は凝固して板状に鋳造される。このとき、結晶のc面の大部分は、平板状の厚み方向と平行な向きに配向している。そのため、得られた半導体熱電材料材料を、平板の厚み方向、すなわち、c面と平行な方向に通電すると、電気抵抗が低下して熱電性能が向上する。
その後、図3(d)に示すように、割型構造の鋳型2を分割して、鋳造された板状の半導体熱電材料1を鋳型2から取り出した後、アルゴン雰囲気中にて673〜773K(400〜500℃)の温度で1〜5時間加熱して、吹込み工程において発生した空孔等の結晶の欠陥を回復させる。
以上のようにして得られた半導体熱電材料1は、所定の形状に鋳造されるとともに、微細な結晶構造を得ることができて機械的な強度が向上し、その際、粉砕工程を一切経ていないので極めて酸素濃度が低く、熱電性能の優れた半導体熱電材料1を得ることができる。また、上述のような熱処理を行なうことにより、吹込みの過程で半導体熱電材料1の内部に残留した内部応力が除去されて組成偏析が除去されるので、熱電性能のばらつきが小さくなる。さらに、六方晶系の熱電材料は、一般にc面と平行方向、すなわちa軸方向に抵抗が低いため、このような方法で得られた半導体熱電材料1を電気抵抗が小さくなる適切な方向に選択して使用することにより、熱電性能が向上する。
また、上述のようにして得られた半導体熱電材料1のうち、鋳型2と接触した面の近傍は、鋳型2表面の凹凸のため、内部に比べて結晶の配向が乱れやすくなっており、これが原因となって熱電性能が劣化する場合が生じ得る。そのため、吹込み時に鋳型2と接触した面を、機械的な研削や化学的なエッチング等により、所定の厚さ(通常1〜100μm程度)だけ除去することが好ましい。このようにすることによって、結晶の配向が乱れた部分が除去されて結晶の欠陥が回復するので、熱電性能が一層向上する。

図4は、鋳型への吹込みによって得られた半導体熱電材料1を、結晶方位が、高い熱電性能を有する特定の軸方向もしくは特定の面方向に延伸させる延伸工程の概略を示す断面図である。同図に示すように、プレス機25の上型26及び下型27により形成されるキャビティ内に、吹込みにより得られた半導体熱電材料1を長手方向の両端が上型26及び下型27に接触するようにセッティングし、半導体熱電材料1を再結晶温度以下の573〜773Kに加熱する。その後、上型26を下方に駆動させて、半導体熱電材料1の長手方向に圧縮力を加える。このようにすることで、加圧方向の厚みが減少し、半導体熱電材料1は加圧方向と垂直な方向に延伸される。このとき、材料内部の塑性流動によってせん断応力が発生し、このとき、結晶のすべり面であるc面が加圧方向に対して垂直になる方向に配向する。上述のように、鋳型2に吹込んで得られた板状の半導体熱電材料1は、結晶の大部分が冷却方向と平行にc面が配向しており、圧縮加工により延伸させることで、結晶方位が、高い熱電性能を有する面方向に延伸させることとなってc面の配向が一層顕著になり、c面と平行な方向から通電する場合の熱電性能がさらに向上する。
なお、本実施形態においては、c面の配向性を向上させるために、半導体熱電材料1にプレス加工による圧縮力を加えるものであったが、これに限定されるものではなく、圧延による塑性加工を施した場合にも同様の効果が得られる。
また、c面を軸方向に延伸させてc面の配向性を向上させる他の方法として、押出し加工を行なってもよい。押出し加工を行なうことによって、押出しの出口に向かって塑性流動し、その際、すべり面であるc面は流動方向と平行な向きに配向する。そのため、長手方向(押出し方向)に通電する場合の熱電性能が一層良好となる。
さらに、本実施形態においては、半導体熱電材料1としてビスマス、テルル、セレン及びアンチモンのいずれか2種以上からなる金属間化合物を用いたが、これに限定されるものではなく、その他の六方晶を有する半導体熱電材料も好適に用いることができる。
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態を、図5に基づいて説明する。図5において、5はノズル、5aは吐出部、6は高周波コイル、20はシャッター、21はシャッター駆動部である。なお、本実施形態における発明は、ノズル5の吐出部5aの液漏れを防止する機構を有することに特徴を有し、それ以外の構成に関しては第1の実施形態と同様であるので、共通する部分については同一の付番を付するとともにその説明を省略する。
ノズル5は、吐出部5aを大きくすることにより単位時間あたりの吐出量が大きくなり、鋳型2の壁面(特に側面)を確実に冷却できるので、安定した形状の半導体熱電材料が得られると共に、所定の方向に確実に結晶を配向させることができるが、吐出部5aの開口径を大きくすると、ノズル5に貯蔵された半導体熱電材料1が完全に溶融する前に、吐出部5aから液漏れが生じる場合がある。このような液漏れを防止する機構を備えたノズル5の構成を図5に示す。
図5は、シャッター20の駆動による液漏れを防止する機構を備えた半導体熱電材料の製造装置の概略を示す側面図である。同図に示すように、板状のシャッター20は、一部がノズル5の吐出部5aの全面と接触して閉塞するものであって、シャッター駆動部21に連結されている。シャッター駆動部21は、ノズル5の吐出方向に対して直角な面上をスライドもしくは回転可能に駆動制御することができるものであり、このシャッター駆動部21がスライドもしくは回転することにより、ノズル5の閉塞状態と開放状態を切り換えることができる。すなわち、半導体熱電材料1が完全に溶融するまでは、シャッター20によりノズル5を閉塞状態とし、完全に溶融した後は、シャッター駆動部21によりシャッター20をスライドもしくは回転させて開放状態とする。
このような液漏れを防止する機構を備えることで、吐出部5aを大口径にすることが可能となり、単位時間あたりの吐出量を大きくすることができる。そのため、液漏れを防止した状態で、鋳型2の壁面(特に側面)を確実に冷却できるので、安定した形状の半導体熱電材料が得られると共に、所定の方向に確実に結晶を配向させることができる。
(実施形態3)
ノズルの液漏れを防止する機構を備えた別の構成を、本発明の第3の実施形態として、図6に基づいて説明する。図6において、5はノズル、5aは吐出部、22はシャッター、23は保持具である。本実施形態においても、第1の実施形態と共通する部分については同一の付番を付するとともにその説明を省略する。
図6(a)、(b)は、ノズル5の駆動による液漏れ防止機構の駆動の概略を示す側面図である。同図に示すように、板ばね材からなるシャッター22は、一部がノズル5の吐出部5aの下方にあって、吐出部5aの全面と接触して閉塞するものであって、チャンバー内に固定された保治具23に連結している。
本実施形態におけるノズル5は、電気的に駆動制御されて鋳型に対して接離自在に移動できるよう構成されている。同図(a)に示すように、ノズル5に貯蔵された半導体熱電材料が完全に溶融するまでは、シャッター22によりノズル5を閉塞状態とする。
その後、同図(b)に示すように、半導体熱電材料が完全に溶融した後は、ノズル5を下方に駆動させ、シャッター22を撓ませる。シャッター22が撓むと、ノズル5の閉塞状態が解消され、ノズル5から溶融した半導体熱電材料が吐出される。
鋳型に対して、所定量の半導体熱電材料を吹付けた後は、再び同図(a)に示す元の位置に戻るよう駆動制御され、それに伴なって、吐出部5aは再びシャッター21により閉塞される。
このような液漏れを防止する機構を備えることで、より簡単な構成で、吐出部5aを大口径にすることが可能となり、単位時間あたりの吐出量を大きくすることができる。そのため、液漏れを防止した状態で、鋳型の壁面(特に側面)を確実に冷却できるので、安定した形状の半導体熱電材料が得られると共に、所定の方向に確実に結晶を配向させることができる。
以下、実施例にて本発明をさらに詳細に説明する。
p型の半導体熱電材料として、(Bi2Te30.25(Sb2Te30.75に微量(1〜5wt%)のTeを添加したもの、n型の半導体熱電材料として(Bi2Te30.95(Bi2Se30.05に微量(0.05〜0.1wt%)のSbI3を添加したものを用いた。
(比較例)
半導体熱電材料のインゴットを平均粒径50μm程度まで窒素雰囲気中で粉砕し、水素雰囲気中にて温度773K(500℃)、加圧力0.05MPaで2時間ホットプレスを行なうことにより作製した。
(実施例1)
半導体熱電材料をチャンバー内の石英ノズルに投入し、アルゴン雰囲気にて、高周波誘導加熱により溶融させて、溶湯温度が973K(700℃)に達した時点で0.05MPaの圧力で射出し、303K(30℃)に保持された鋳型に吹込み、その後、Ar雰囲気中にて723K(450℃)で10時間保持することにより作製した。
(実施例2)
半導体熱電材料をチャンバー内の石英ノズルに投入し、アルゴン雰囲気にて、高周波誘導加熱により溶融させて、溶湯温度が973K(700℃)に達した時点で0.05MPaの圧力で射出し、303K(30℃)に保持された鋳型に吹込んだ後、Ar雰囲気中にて723K(450℃)で10時間保持し、その後、723K(450℃)、加圧力20Mpaの一軸加圧による圧縮加工を行なうことにより作製した。
このようにして得られた各材料のうち、p型半導体熱電材料の熱電特性および熱電特性のパラメータを測定した結果を以下の表1に示す。
Figure 0004428082
上記表1に示すように、p型の半導体熱電材料においては、鋳型に吹込んだ後に熱処理を施した場合(実施例1)、ホットプレスを行なった比較例に比べ、性能指数が0.1×10-3/K増加し、このような製造方法により熱電特性が向上することが確認された。これは、ゼーベック係数が低下したものの、比較例に比べて結晶のc面がより配向して比抵抗が減少したためであると考えられる。
また、実施例1に更に塑性加工を行なった実施例2では、性能指数がさらに0.18×10-3/K増加した。これは実施例1に比べて結晶のc面が更に配向し、比抵抗が更に低下したためであると考えられる。
次に、n型半導体熱電材料の熱電特性および熱電特性のパラメータを測定した結果を以下の表2に示す。
Figure 0004428082
上記表2に示すように、n型の半導体熱電材料においては、鋳型に吹込んだ後に熱処理を施した場合(実施例1)、ホットプレスを行なった比較例に比べ、性能指数が0.62×10-3/Kと大幅に増加し、このような製造方法による特に顕著な効果が確認された。これは、比較例に比べて結晶のc面がより配向して比抵抗が大幅に減少したためであると考えられる。
また、実施例1に更に塑性加工を行なった実施例2では、性能指数がさらに0.18×10-3/K増加した。これは実施例1に比べて結晶のc面が更に配向し、比抵抗が更に低下したためであると考えられる。
第1の実施形態における半導体熱電材料の製造装置の概略を示す断面図である。 第1の実施形態における半導体熱電材料の製造装置を構成する鋳型の概略を示す分解斜視図である。 第1の実施形態における半導体熱電材料の製造工程の概略を示す断面図である。 鋳型への吹込みによって得られた半導体熱電材料をc面方向に延伸させる延伸工程の概略を示す断面図である。 第2の実施形態におけるシャッターの駆動による液漏れを防止する機構を備えた半導体熱電材料の製造装置の概略を示す側面図である。 第3の実施形態におけるノズルの駆動による液漏れ防止機構の駆動の概略を示す側面図である。 従来例を示す断面図である。
符号の説明
1 半導体熱電材料
2 鋳型

Claims (6)

  1. 六方晶構造を有する半導体熱電材料の原材料を加熱溶融する加熱工程と、加熱溶融した前記半導体熱電材料を所定の形状に形成した鋳型に吹込んで凝固させて、結晶のc面を配向させる吹込み工程と、凝固した前記半導体熱電材料を所定の加熱条件で熱処理して、結晶の欠陥を回復させる回復工程とを有し、さらに前記各工程を経て得た半導体熱電材料において前記吹込み工程のときに前記鋳型と接触した面の所定の厚さを除去する除去工程を有することを特徴とする半導体熱電材料の製造方法。
  2. 前記凝固工程にて凝固した半導体熱電材料に塑性加工を施して、結晶方位が、高い熱電性能を有する特定の軸方向もしくは特定の面方向に延伸させる延伸工程を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体熱電材料の製造方法。
  3. 前記吹込み工程における半導体熱電材料の吹込みは、溶融した前記半導体熱電材料をノズルにて射出するものであることを特徴とする請求項1もしくは請求項2のいずれかに記載の半導体熱電材料の製造方法。
  4. 前記半導体熱電材料は、ビスマス、テルル、セレン、アンチモンのいずれか2種以上からなる合金であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体熱電材料の製造方法。
  5. 前記加熱工程は、前記半導体熱電材料を853〜1073Kまで溶融加熱するものであることを特徴とする請求項4に記載の半導体熱電材料の製造方法。
  6. 前記吹込み工程における吹込み前の前記鋳型の温度は、273〜373Kであることを特徴とする請求項5に記載の半導体熱電材料の製造方法。
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