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JP4428647B2 - 包あん機を使用して製造するパン用油脂組成物 - Google Patents
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本発明は、包あん機でパン生地に餡を包む処理を伴うパン製造において、パン生地に機械耐性を付与することのできる包あん機を使用して製造するパン用油脂組成物に関する。
従来より製パンメーカーでは小型あんパン、中華まん、あんドーナッツ等の包あん製品を製造する際に包あん機を用いて生産の効率化、合理化を図っている。しかしながら、包あん機を使用して製造したパンは、パン生地の骨格であるグルテンネットワークが機械的に壊されてしまい、ボリューム感がなく、硬くパサついた食感のパンとなるという問題があった。
従来、パン生地の機械耐性を向上させることでグルテンネットワークの破壊を抑え、ボリューム感のあるソフトなパンを得ることを目的として、パン生地に粉末の活性グルテン製剤を添加する方法等も行われている。しかしながら活性グルテン製剤のパン生地中の分散性は不十分であり、グルテンがダマになる等して充分な効果が得られないという問題があった。このような問題を解決するために、油脂に活性グルテンを均一に分散させたものを添加する方法(特許文献1)ジグリセリン脂肪酸エステルと、L−アスコルビン酸とを添加する方法(特許文献2)等が提案されている。また包あん機を用いて製造するパンの場合、機械耐性を大きくさせるために、通常パン生地の含水量を大幅に減少させているが、その機械耐性を損なわずに生地の吸水量を多くしてパンのソフト化を図る方法として、油脂、化工デンプン、乳化剤を含む水中油型乳化物を生地に添加することも提案されている(特許文献3)。
特開平3−22940号公報 特開平11−187808号公報 特開平5−161446号公報
しかしながら特許文献1に記載されているような油脂に活性グルテンを分散させただけのものを用いると、グルテン同士のつながりが強くなり過ぎて、パン生地の伸展性が乏しくなるため、パンのボリューム感向上を充分に達成できないという問題があった。また特許文献2、3に記載されている方法は、特許文献1に記載されているようなグルテンを生地に添加する方法に比べてグルテンネットワークの破壊抑止効果は不十分であり、パンのソフトさ、ボリューム感向上効果は十分とは言えなかった。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特許文献3に記載されているようにパンのソフト化効果は認められるものの、生地の軟化やべたつきが生じて作業性を低下させたり、風味を低下させるという問題を有するアミラーゼを、活性グルテン、グリセリン脂肪酸エステル、レシチンとともに油脂中に添加して用いることにより、生地の機械耐性を大幅に向上でき、ボリューム感があり、ソフトでしとりとした食感のパンを得ることができるとともに、アミラーゼを用いた場合の欠点であった作業性の低下、パンの風味の低下という問題も解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、食用油脂中に活性グルテン、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、α−アミラーゼを含む油脂組成物であって、融点50℃以上の硬化油を1〜20重量%含有する食用油脂88〜35重量%、活性グルテン10〜50重量%、グリセリン脂肪酸エステルと酵素分解レシチンを50〜9重量%含有するレシチンとを重量比3:1〜6:1の割合で合計2〜15重量%(これらの合計は100重量%)含有し、かつ中温域活性型α−アミラーゼを20〜100酵素単位含有することを特徴とする包あん機を使用して製造するパン用油脂組成物を要旨とする。
本発明の包あん機を使用して製造するパン用油脂組成物を添加したパン生地は機械耐性が高く、包あん機で生地に餡を包む処理工程を伴うパン製造を行った場合でも、グルテンネットワークの破壊を効果的に抑えることができ、ソフトでしとりとした食感を有するとともに、ボリューム感、風味に優れたパンを得ることができる。
本発明において食用油脂としては、例えば大豆油、ナタネ油、綿実油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、ピーナッツ油、オリーブ油、米糠油等の植物油脂、魚油、牛脂、豚脂等の動物油脂、植物油脂や動物油脂のエステル交換油、上記動植物油脂、エステル交換油に水素添加した硬化油等が挙げられる。上記食用油脂は1種又は2種以上を混合して用いることができるが、融点50℃以上の硬化油を1〜20重量%含有するものを用いる。融点50℃以上の硬化油を含有していると、パンを焼成する際の熱膨張時(オーブンスプリング時)におけるパンクラム中のガス保持性が良く、パンのボリューム感向上、特にパンの高さをより向上させる効果があるため好ましい。食用油脂中における融点50℃以上の硬化油の含有量は5〜10重量%がより好ましい。融点50℃以上の硬化油のなかでも、特に極度水素添加した融点59℃以上の極度硬化油が好ましい。
活性グルテンは小麦から得られる蛋白質の混合物で、小麦粉に水や希リン酸ナトリウム、食塩水を加えてデンプンをグルテンから分離する洗浄法、希酢酸、酢酸−エタノール混合液などを加えてグルテンを溶解し、デンプンを不溶物として分別する抽出法等によって得られる。活性グルテンに含まれる、蛋白質、脂質、灰分、炭水化物等の割合は、小麦の種類、調整法等の違いによって異なるが、本発明ではいずれのものも使用可能である。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、脂肪酸モノグリセリドや、ポリグリセリン脂肪酸エステルが用いられ、例えばジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、ポリグリセリンポリリシノレート等が挙げられるが、脂肪酸モノグリセリドが好ましく、特にジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリドが好ましい。レシチンとしては、植物レシチン、卵黄レシチン、分別レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン等が挙げられ、これらのいずれも使用できるが、酵素分解レシチンを50〜9重量%含むものが用いられる。酵素分解レシチンと共に用いる他のレシチンとしては通常、大豆レシチンを用いる。レシチン中の酵素分解レシチンの割合は、33〜14%がより好ましい。グリセリン脂肪酸エステルは主としてパン生地のべたつき抑制や焼成後のパンのデンプン老化を抑制し、ソフトさを維持させる効果があり、レシチンはパン生地の伸展性改善効果や焼成後のパンの口溶け感向上の効果がある。グリセリン脂肪酸エステルとレシチンは、重量比でグリセリン脂肪酸エステル:レシチン=1:1〜10:1の割合で使用することが好ましく、3:1〜6:1の割合で使用することがより好ましい。
α−アミラーゼとしては、活性温度領域が60〜80℃の中温域活性型α−アミラーゼが用いられ、加熱溶融(60〜80℃)させた油脂への分散が可能で、且つ、パン生地へ練り込んだ時に、パン生地中のでんぷんの糊化温度帯で最も活性が高く、でんぷん中のアミロースと乳化剤の複合体を多く生成することができ好ましい
これらの中温域活性型α−アミラーゼとしては、主として細菌由来のものがあり、市販のものを用いることができる。
市販の中温域活性型α−アミラーゼとしては、天野エンザイム株式会社製アミラーゼAD「アマノ」1、大和化成株式会社製クライスターゼ、ナガセケムテックス株式会社スピターゼ、ノボザイムズジャパン株式会社製BAN等が挙げられる。
本発明の油脂組成物中における、上記食用油脂、活性グルテン、グリセリン脂肪酸エステル、レシチンの割合は、食用油脂88〜35重量%、活性グルテン10〜50重量%、グリセリン脂肪酸エステル及びレシチン合計で2〜15重量%(これらの合計は100重量%)であり、食用油脂80〜50重量%、活性グルテン15〜30重量%、グリセリン脂肪酸エステル及びレシチン合計で4〜10重量%であることが好ましい。またα−アミラーゼ本発明の油脂組成物中の含有量は20〜100酵素単位であるが、35〜65酵素単位含有していることが好ましい。
1酵素単位は、1%のでんぷん糊液10mlのBlue valueを40℃で1分間に1%低下させる酵素量とした。
本発明の油脂組成物は、食用油脂、グリセリン脂肪酸エステル、レシチンを60〜70℃に加熱溶融して保持し、これに活性グルテン、α−アミラーゼを添加混合した後、コンビネーター等で20〜30℃程度に急冷混和したり、加熱溶融した食用油脂、グリセリン脂肪酸エステル、レシチンの混合物をコンビネーター等で急冷混和した後、プレッシャーミキサー等で活性グルテン、α−アミラーゼを混合する等の方法により得ることができる。本発明の油脂組成物中には、必要に応じてショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリソルベート等の乳化剤やセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、トランスグルタミナーゼ、グルコースオキシターゼ等の酵素を配合することができる。
実施例1〜4、比較例1〜4
表1に示す配合(重量部)により、60コート縦型ミキサーを用い、下記条件で中種ミキシング、本捏ミキシングを行ってパン生地を調製した。実施例1〜4及び比較例1〜4において用いた油脂組成物の配合を表2に示す。表2に示す各成分のうちα−アミラーゼ以外の成分の配合量は重量部を示し、α−アミラーゼは酵素単位を示す。
中種ミキシング
低速3分、中低速2分
捏上温度:28℃
発酵:27℃、湿度75%、2時間15分
終点温度:31℃
本捏ミキシング
低速3分、中低速2分、中高速3分の後、油脂を投入し、低速3分、中低速2分、中高速4分
捏上温度:28℃
発酵:27℃、湿度75%、1時間
パンチ:60秒
上記パン生地23gに包あん機(レオン自動機株式会社製包あん機:CN401)にて餡23gを包み込んで成形し、37℃、湿度60%のホイロ中で50分間静置した。次いで、200℃のオーブン内で12分焼成してあんパンを得た。得られたあんパンの形状(高さ及び比容積)、食感(ソフトさ、しとりさ、口溶け感)の評価結果を表3に示す。
Figure 0004428647
※1:オリエンタル酵母工業株式会社製、イーストフード(Cマキシ−F)
※2:松谷化学株式会社製、活性グルテン(パイングルM)
※3:パン用油脂組成物の内訳を表2に示す。
Figure 0004428647
※4:理研ビタミン株式会社製(エマルジーMS−A)
※5:理研ビタミン株式会社製(ポエムB−10)
※6:理研ビタミン株式会社製(ポエムW−10)
※7:昭和産業株式会社製(レシチンA)
※8:辻製油株式会社製(SLPペーストリゾ)
※9:松谷化学株式会社製(パイングルM)
※10:天野エンザイム株式会社製(アミラーゼAD「アマノ」1、活性温度60〜70℃)
Figure 0004428647
※12:パンの高さは、焼成したあんパン断面において底面から一番高い部分までの高さを測定して求めた。
※13:パンの比容積は、焼成したあんパンの体積を菜種置換法にて測定し、あんパンの体積を重量で割って求めた。
表3における「形状の評価」は、パンの高さ、比容積の測定値と視覚的な形状を基に、
5:パンの高さ46mm以上で、比容積も大きい。
4:パンの高さ45mm以上で、比容積も大きい。
3:パンの高さ44mm以上で、比容積は大きい。
2:パンの高さ44mm未満だが、比容積は大きい。
1:パンの高さ44mm未満で、比容積も小さい。
として評価した。「形状の評価」が5、4のものは、パンの形状に対する効果が認められると判断されるものである。
表3における食感のソフトさ、しとりさ、口溶け感については官能試験を行って、以下の基準で評価した。評価4、5が効果が認められると判断した。
1:劣る
2:やや劣る
3:良否が付けがたい
4:良好
5:かなり良好
とし、食感の評価は、ソフトさ、しとりさ、口溶け感の評点の平均評点(少数点以下切り捨て)とした。
総合評価は、パンの形状評価と食感の評価とから、総合的に判断し、パンの形状評価と食感の評価との合計の評点の平均評点(少数点以下切り捨て)を総合評価の評価とし、評価4、5が効果が認められると判断した。

Claims (1)

  1. 食用油脂中に活性グルテン、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、α−アミラーゼを含む油脂組成物であって、融点50℃以上の硬化油を1〜20重量%含有する食用油脂88〜35重量%、活性グルテン10〜50重量%、グリセリン脂肪酸エステルと酵素分解レシチンを50〜9重量%含有するレシチンとを重量比3:1〜6:1の割合で合計2〜15重量%(これらの合計は100重量%)含有し、かつ中温域活性型α−アミラーゼを20〜100酵素単位含有することを特徴とする包あん機を使用して製造するパン用油脂組成物。
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