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JP4429644B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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JP4429644B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は動力伝達装置に関し、詳しくは、一方の回転部材からの回転入力を、例えば遊星歯車機構により所定の減速比でもって他方の回転部材へ出力する動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の動力伝達装置の一例として、遊星歯車機構を用いた減速装置がある(例えば特許文献1参照)。このような減速装置は、例えば電気自動車において、車両の推進力を出力する電動発電機の下流側に設置されて必要な駆動力を得るようにしている。
【0003】
この種の減速装置は、ハウジングに固定された内歯車と、その内側に内歯車と軸心を一致させて配置された太陽歯車と、その太陽歯車と内歯車の間に形成された空間に配置された複数個の遊星歯車と、それら遊星歯車を円周方向に等間隔かつ回転自在に保持するキャリアとを備えている。太陽歯車には、ハウジングに対して回転自在に支持された入力回転軸が同軸的に設けられ、キャリアには、ハウジングに対して回転自在に支持された出力回転軸が設けられている。太陽歯車と内歯車との間に位置する複数個の遊星歯車は、太陽歯車と内歯車にそれぞれ噛合した状態で配設されている。
【0004】
この減速装置では、入力回転軸からの回転入力に基づいて、その入力回転軸に設けられた太陽歯車が回転し、キャリアに対して回転自在に支持された遊星歯車が自転しつつ太陽歯車の回りを公転することにより、入力回転軸の回転が所定の減速比でもって出力回転軸に伝達される。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−153242号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したように遊星歯車機構を用いた従来の減速装置では、入力回転軸の回転が1/X倍に減速されて出力回転軸に伝達されるが、仮に、何等かの原因により出力回転軸からの回転逆入力があった場合には、その出力回転軸の回転がX倍に増速されて入力回転軸に伝達されることになる。その結果、入力回転軸の駆動源における許容回転数が低い場合に、出力回転軸から入力回転軸への逆入力により、その駆動源の許容回転数を超えることがあり、駆動源に悪影響を与える等の問題が生じる可能性があった。
【0007】
この問題を解消するため、本出願人は、出力回転軸から入力回転軸への逆入力があっても、入力回転軸の駆動源における許容回転数を超えないようにした減速装置とし得る動力伝達装置を先に提案している(特願2002−23803)。
【0008】
この動力伝達装置は、図11および図12に示すように駆動源(図示せず)により回転駆動される入力系回転部材1と、その入力系回転部材1から伝達された回転トルクを外部へ取り出すための出力系回転部材2と、入力系回転部材1からの回転を減速する遊星機構3と出力系回転部材2との間に設けられ、その遊星機構3から出力系回転部材2への回転入力をトルク伝達部材の係合により伝達し、出力系回転部材2から遊星機構3への回転逆入力をトルク伝達部材の離脱により遮断する第一のワンウェイクラッチ4と、入力系回転部材1と出力系回転部材2との間に設けられ、入力系回転部材1から出力系回転部材2への回転入力をトルク伝達部材の離脱により遮断し、出力系回転部材2から入力系回転部材1への回転逆入力をトルク伝達部材の係合により伝達する第二のワンウェイクラッチ5とを主要部として構成されている。
【0009】
なお、遊星機構3としては、例えば、静止系部材7に設けられた内歯車8と、その内側に入力系回転部材1と同軸上に配設された太陽歯車6と、この太陽歯車6と内歯車8との間にそれら両者と噛合するように介装された複数の遊星歯車9と、これら遊星歯車9を円周方向等間隔に支持軸10により回転自在に保持するキャリア11とで構成された遊星歯車機構がある。
【0010】
この動力伝達装置では、第一のワンウェイクラッチ4のトルク伝達部材の係合方向と第二のワンウェイクラッチ5のトルク伝達部材の係合方向とを逆向きとしている。その結果、入力系回転部材1からの回転入力は、第一のワンウェイクラッチ4のトルク伝達部材の係合により伝達し得るため、遊星機構3により所定の減速比でもって減速した上で第一のワンウェイクラッチ4を介して出力系回転部材2に伝達される(図11の破線矢印参照)。
【0011】
このとき、第二のワンウェイクラッチ5は、そのトルク伝達部材の係合方向が第一のワンウェイクラッチ4と逆向きであるために空転可能な状態にあり、入力系回転部材1と出力系回転部材2との間は、第二のワンウェイクラッチ5を介して離脱した状態にあるため、入力系回転部材1からの回転が第二のワンウェイクラッチ5を介して出力系回転部材2へ伝達されることはない。
【0012】
一方、出力系回転部材2からの回転逆入力は、第二のワンウェイクラッチ5のトルク伝達部材の係合により伝達し得るため、その第二のワンウェイクラッチ5を介して入力系回転部材1に伝達される(図12の破線矢印参照)。
【0013】
このとき、第一のワンウェイクラッチ4は、そのトルク伝達部材の係合方向が第二のワンウェイクラッチ5と逆向きであるために空転可能な状態にあり、入力系回転部材1と出力系回転部材2との間は、第一のワンウェイクラッチ4を介して離脱した状態にあることから、出力系回転部材2からの回転逆入力は、遊星機構3を介さないので入力系回転部材1の回転は増速されることなく、第二のワンウェイクラッチ5を介して1:1で入力系回転部材1に伝達される。
【0014】
ところで、この動力伝達装置では、出力系回転部材2から入力系回転部材1への回転逆入力時、その出力系回転部材2から第一のワンウェイクラッチ4を介して遊星機構3に回転が入力されることはないが、入力系回転部材1に遊星機構3が連設されているため、入力系回転部材1の回転と共に遊星機構3も連動して回転することになる。従って、出力系回転部材2から入力系回転部材1への回転逆入力が高速となる場合、遊星機構3の連動回転が困難となって動力伝達装置としての実用可能範囲を逸脱する可能性がある。
【0015】
そこで、本発明は前述した点を改善するために提案されたもので、その目的とするところは、出力系回転部材からの回転逆入力が高速であっても、実用可能範囲を逸脱することがない実用性に富んだ動力伝達装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための技術的手段として、本発明に係る動力伝達装置は、駆動源により回転駆動される入力系回転部材と、その入力系回転部材から伝達された回転トルクを外部へ取り出すための出力系回転部材と、前記入力系回転部材からの回転を減速する遊星機構と出力系回転部材との間に設けられ、遊星機構から出力系回転部材への回転入力をトルク伝達部材の係合により伝達し、出力系回転部材から遊星機構への回転逆入力を前記トルク伝達部材の前記係合状態からの離脱でもって遮断することにより空転可能な状態になる第一のワンウェイクラッチと、前記入力系回転部材と出力系回転部材との間に設けられ、入力系回転部材から出力系回転部材への回転入力をトルク伝達部材の前記係合状態からの離脱でもって遮断することにより空転可能な状態になり、出力系回転部材から入力系回転部材への回転逆入力を前記トルク伝達部材の係合により伝達する第二のワンウェイクラッチと、前記入力系回転部材と遊星機構との間に設けられ、入力系回転部材から遊星機構への回転入力をトルク伝達部材の係合により伝達し、出力系回転部材から入力系回転部材への回転逆入力時、その入力系回転部材から遊星機構への回転入力を前記トルク伝達部材の前記係合状態からの離脱でもって遮断することにより空転可能な状態になる第三のワンウェイクラッチとを具備し、前記遊星機構は、静止系部材に設けられた内歯車(固定輪)と、その内側に前記入力系回転部材と同軸上に配設された太陽歯車(太陽ローラ)と、この太陽歯車(太陽ローラ)と前記内歯車(固定輪)との間にそれら両者と噛合(圧接)するように介装された複数の遊星歯車(遊星ローラ)と、これら遊星歯車(遊星ローラ)を円周方向等間隔に回転自在に保持するキャリアとで構成され、前記キャリアを第一のワンウェイクラッチで前記出力系回転部材に連結していることを特徴とする。なお、この動力伝達装置は、電気自動車用電動発電機の下流側に設置する用途が好適である。
【0017】
本発明の動力伝達装置では、第一のワンウェイクラッチのトルク伝達部材の係合方向と第二のワンウェイクラッチのトルク伝達部材の係合方向とを逆向きとしている。その結果、入力系回転部材からの回転入力は、第一のワンウェイクラッチのトルク伝達部材の係合により伝達し得るため、遊星機構により所定の減速比でもって減速した上で第一のワンウェイクラッチを介して出力系回転部材に伝達される。このとき、第二のワンウェイクラッチは、そのトルク伝達部材の係合方向が第一のワンウェイクラッチと逆向きであるために空転可能な状態にあり、入力系回転部材と出力系回転部材との間は、第二のワンウェイクラッチを介して離脱した状態にある。
【0018】
一方、出力系回転部材からの回転逆入力は、第二のワンウェイクラッチのトルク伝達部材の係合により伝達し得るため、その第二のワンウェイクラッチを介して入力系回転部材に伝達される。このとき、第一のワンウェイクラッチは、そのトルク伝達部材の係合方向が第二のワンウェイクラッチと逆向きであるために空転可能な状態にあり、入力系回転部材と出力系回転部材との間は、第一のワンウェイクラッチを介して離脱した状態にあることから、出力系回転部材からの回転逆入力は、遊星機構を介さないので入力系回転部材の回転は増速されることなく、第二のワンウェイクラッチを介して1:1で入力系回転部材に伝達される。
【0019】
この出力系回転部材からの回転逆入力時、第三のワンウェイクラッチのトルク伝達部材の係合方向が空転可能な状態にあり、入力系回転部材と遊星機構との間が第三のワンウェイクラッチを介して離脱した状態にあることから、入力系回転部材から遊星機構への回転入力は遮断されるので、入力系回転部材からの回転が第三のワンウェイクラッチを介して遊星機構へ伝達されることはなく、遊星機構が連動回転することはない。
【0020】
出力系回転部材からの回転逆入力時、第三のワンウェイクラッチのトルク伝達部材の係合方向を空転可能な状態にするため、本発明における第三のワンウェイクラッチは、入力系回転部材と遊星機構間に配設されたトルク伝達部材を保持し、前記トルク伝達部材の係合・離脱を切り替える保持器を備え、前記入力系回転部材から前記遊星機構への回転入力により前記保持器でもってトルク伝達部材を係合させて前記入力系回転部材から前記遊星機構への回転入力を伝達し、出力系回転部材から入力系回転部材への回転逆入力時、入力系回転部材に対して保持器を先行して回転させ、その入力系回転部材に先行する保持器の回転でもってトルク伝達部材が前記係合状態から離脱して空転状態となる構造とする。
【0021】
また、本発明における第一のワンウェイクラッチと第三のワンウェイクラッチは、出力系回転部材から入力系回転部材への回転逆入力時、その回転遠心力によりトルク伝達部材が、前記遊星機構に形成されたカム面に非接触可能な構造とすることが望ましい。このようにすれば、出力系回転部材からの回転逆入力が高速であっても、トルク伝達部材と遊星機構のカム面との摺接による発熱で早期に焼き付け等が生じることを未然に防止できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1乃至図10は本発明に係る動力伝達装置の実施形態を示す。なお、図11および図12と同一部分には同一参照符号を付す。
【0025】
図1および図2は遊星歯車機構を利用した減速装置の概略構成を示す。この減速装置は、図3に示すように例えば電気自動車において、車両の推進力を出力する電動発電機の下流側に設置されて必要な駆動力を得るものとして適用され、バッテリ等の電源供給貯蓄源からの電力供給により電動発電機を駆動し、その電動発電機の回転力を減速装置で減速して駆動部材を動作させる。
【0026】
この実施形態の減速装置は、図1および図2に示すように電動発電機により回転駆動される入力系回転部材1と、その入力系回転部材1から伝達された回転トルクを外部へ取り出すための出力系回転部材2と、入力系回転部材1からの回転を減速する遊星歯車機構3と出力系回転部材2との間に設けられ、遊星歯車機構3から出力系回転部材2への回転入力をトルク伝達部材(図示せず)の係合により伝達し、出力系回転部材2から遊星歯車機構3への回転逆入力をトルク伝達部材の離脱により遮断する第一のワンウェイクラッチ4と、入力系回転部材1と出力系回転部材2との間に設けられ、入力系回転部材1から出力系回転部材2への回転入力をトルク伝達部材(図示せず)の離脱により遮断し、出力系回転部材2から入力系回転部材1への回転逆入力をトルク伝達部材の係合により伝達する第二のワンウェイクラッチ5と、入力系回転部材1と遊星歯車機構3との間に設けられ、入力系回転部材1から遊星歯車機構3への回転入力をトルク伝達部材(図示せず)の係合により伝達し、出力系回転部材2から入力系回転部材1への回転逆入力時、その入力系回転部材1から遊星歯車機構3への回転入力をトルク伝達部材の離脱により遮断する第三のワンウェイクラッチ12とを主要部として構成されている。
【0027】
入力系回転部材1は、その中心軸部1aから拡径して軸方向に延在させた外輪部1bを有する。その入力系回転部材1の外輪部1bと、遊星歯車機構3の太陽歯車6の内径を軸方向に延在させた筒状の内輪部13とを第三のワンウェイクラッチ12で連結している。この第三のワンウェイクラッチ12は、入力系回転部材1と遊星歯車機構3間に配設されたトルク伝達部材を保持し、入力系回転部材1に対する相対回転を通じてトルク伝達部材の係合・離脱を切り替える保持器14を有する。この保持器14は、入力系回転部材1に回転伝達部材15を介して固定された基部を拡径して軸方向に延在させ、入力系回転部材1の外輪部1bと太陽歯車6の内輪部13との間に挿入配置された形状を有する。
【0028】
また、入力系回転部材1と同軸上に配置された出力系回転部材2は、その中心軸部2aから拡径して軸方向に延在させた第一の外輪部2bと、その第一の外輪部2bから拡径して軸方向に延在させた第二の外輪部2cを有する。第一の外輪部2bと入力系回転部材1の中心軸部1aとを第二のワンウェイクラッチ5で連結し、第二の外輪部2cと遊星歯車機構3のキャリア11とを第一のワンウェイクラッチ4で連結している。
【0029】
図1の減速装置において、入力系回転部材1と出力系回転部材2との間に設けられた遊星歯車機構3は、静止系部材であるハウジング7に固定された内歯車8と、その内側に入力系回転部材1と同軸上に配設された太陽歯車6と、この太陽歯車6と内歯車8との間にそれら両者と噛合するように介装された複数の遊星歯車9と、これら遊星歯車9を円周方向等間隔に支持軸10により回転自在に保持するキャリア11とで構成されている(図4参照)。
【0030】
なお、この実施形態では、遊星歯車機構3を利用した場合について説明するが、遊星機構の他例として、図5に示す遊星ローラ機構3’でも可能である。この遊星ローラ機構3’は、ハウジング7に設けられた固定輪8’と、その内側に入力系回転部材1と同軸上に配設された太陽ローラ6’と、この太陽ローラ6’と固定輪8’との間にそれら両者と圧接する状態で介装された複数の遊星ローラ9’と、これら遊星ローラ9’を円周方向等間隔に支持軸10により回転自在に保持するキャリア11とで構成されている。
【0031】
次に、図1および図2に示す実施形態の減速装置の動作例を同図を参照しながら以下に詳述する。
【0032】
まず、入力系回転部材1からの回転を、第三のワンウェイクラッチ12、遊星歯車機構3および第一のワンウェイクラッチ4を介して出力系回転部材2に伝達する。入力系回転部材1からの回転は、第三のワンウェイクラッチ12のトルク伝達部材の係合により伝達し得るため、入力系回転部材1の外輪部1bおよび遊星歯車機構3の内輪部13を介して太陽歯車6に伝達される。遊星歯車機構3では、第三のワンウェイクラッチ12を介して伝達される入力系回転部材1からの回転入力に基づいて太陽歯車6が回転し、キャリア11に対して回転自在に支持された遊星歯車9が自転しつつ太陽歯車6の回りを公転することにより、入力系回転部材1の回転が所定の減速比でもってキャリア11に伝達される。
【0033】
さらに、遊星歯車機構3のキャリア11を介して、入力系回転部材1からの回転は、第一のワンウェイクラッチ4のトルク伝達部材の係合により伝達し得るため、遊星歯車機構3により所定の減速比でもって減速した上で第一のワンウェイクラッチ4により出力系回転部材2の第二の外輪部2cおよび第一の外輪部2bを介して中心軸部2aに伝達される(図1の破線矢印参照)。
【0034】
このとき、第二のワンウェイクラッチ5は、そのトルク伝達部材の係合方向が第一のワンウェイクラッチ4と逆向きであるために空転可能な状態にあり、入力系回転部材1と出力系回転部材2との間は、第二のワンウェイクラッチ5を介して離脱した状態にあるため、入力系回転部材1からの回転が第二のワンウェイクラッチ5を介して出力系回転部材2へ伝達されることはない。
【0035】
一方、出力系回転部材2からの回転逆入力があった場合には、その出力系回転部材2からの回転は、第二のワンウェイクラッチ5のトルク伝達部材の係合により伝達し得るため、出力系回転部材2の第一の外輪部2bから第二のワンウェイクラッチ5を介して入力系回転部材1に伝達される(図2の破線矢印参照)。
【0036】
このとき、第一のワンウェイクラッチ4は、そのトルク伝達部材の係合方向が第二のワンウェイクラッチ5と逆向きであるために空転可能な状態にあり、入力系回転部材1と出力系回転部材2との間は、第一のワンウェイクラッチ4を介して離脱した状態にあることから、出力系回転部材2からの回転逆入力は、第一のワンウェイクラッチ4を介して入力系回転部材1へ伝達されることはない。つまり、出力系回転部材2の回転は、遊星歯車機構3を介さないので増速されることなく、第二のワンウェイクラッチ5を介して1:1で入力系回転部材1に伝達される。
【0037】
この出力系回転部材2からの回転逆入力時、第三のワンウェイクラッチ12のトルク伝達部材の係合方向が空転可能な状態にあり、入力系回転部材1と遊星歯車機構3との間が第三のワンウェイクラッチ12を介して離脱した状態にあることから、入力系回転部材1から遊星歯車機構3への回転入力は遮断されるので、入力系回転部材1からの回転が第三のワンウェイクラッチ12を介して遊星歯車機構3へ伝達されることはなく、遊星歯車機構3が連動回転することはない。このように出力系回転部材2からの回転逆入力時に遊星歯車機構3が連動して回転しないので、その回転逆入力が高速であっても、動力伝達装置としての実用可能範囲を逸脱することはない。
【0038】
出力系回転部材2からの回転逆入力時、第三のワンウェイクラッチ12では、入力系回転部材1の外輪部1bと太陽歯車6の内輪部13の間に配置された保持器14の作用により、トルク伝達部材の係合方向を空転可能な状態にしている。この保持器14の動作を図6乃至図8に示す減速装置の具体的構成に基づいて説明する。
【0039】
図6の減速装置は、図1および図2の概略構成で説明したように入力系回転部材1、遊星歯車機構3、出力系回転部材2、第一のワンウェイクラッチ4、第二のワンウェイクラッチ5および第三のワンウェイクラッチ12で主要部が構成されている。
【0040】
入力系回転部材1は、電動発電機により回転駆動される第一の中心軸部1aと、その第一の中心軸部1aに同軸的に回転伝達部材15を介して装着された外輪部1bと、その外輪部1bに同軸的に回転伝達部材16を介して装着された第二の中心軸部1a’とからなる。なお、外輪部1bは、入力系回転部材1の中心軸部1aに回転伝達部材15を介して固定された基部を拡径して軸方向に延在させた形状を有する。
【0041】
第一の中心軸部1aと外輪部1bは、回転伝達部材15により円周方向にガタがない状態で固定されている(図7および図8参照)。一方、第二の中心軸部1a’と外輪部1bは、回転伝達部材16により円周方向にガタがある状態で嵌合されている。つまり、外輪部1bに固着された回転伝達部材16に対して、その回転伝達部材16が円周方向に微小量移動可能なクリアランスを有する凹部17を第二の中心軸部1a’の内径面に形成している(図7および図8参照)。
【0042】
遊星歯車機構3は、ハウジング7に固定された内歯車8と、その内側に入力系回転部材1の第一と第二の中心軸部1a,1a’と同軸上に配設された太陽歯車6と、この太陽歯車6と内歯車8との間にそれら両者と噛合するように介装された複数の遊星歯車9と、これら遊星歯車9を円周方向等間隔に支持軸10により回転自在に保持するキャリア11とで構成されている。なお、太陽歯車6の内径には、軸方向に延在した筒状の内輪部13が一体的に形成されている。
【0043】
出力系回転部材2は、遊星歯車機構3のキャリア11に転がり軸受18を介して回転自在に支承された第二の外輪部2cの内径を第一のワンウェイクラッチ4を介して遊星歯車機構3のキャリア11と連結し、第二の外輪部2cの内側に配置された第一の外輪部2bの内径を第二のワンウェイクラッチ5を介して入力系回転部材1の第二の中心軸部1a’と連結する。また、第二の外輪部2cの一端は、ハウジング7に転がり軸受19を介して回転自在に支承されている。この転がり軸受19は、第二の外輪部2cに軸受押え20をボルト21にて取り付けた構造であるが、その他の構造としては、図9に示すように転がり軸受19の外径面と第二の外輪部2cの内径面に溝22,23を設けて止め輪24を嵌合させるようにしてもよい。
【0044】
入力系回転部材1と遊星歯車機構3との間に設けられた第三のワンウェイクラッチ12は、入力系回転部材1の第一の中心軸部1aに回転伝達部材15を介して装着された外輪部1bと、遊星歯車機構3の太陽歯車6に一体的に形成された内輪部13との間に配設された保持器14を有する。この保持器14は、第二の中心軸部1a’に凹凸嵌合部32(図7および図8参照)を介して固定された基部を拡径して軸方向に延在させ、入力系回転部材1の外輪部1bと太陽歯車6の内輪部13との間に挿入配置された形状を有する。また、外輪部1bと内輪部13間で保持器14のポケット25内に収容されたトルク伝達部材であるローラ26と、外輪部1bと保持器14との間に設けられた弾性部材であるばね27とを有する。なお、外輪部1bは、ハウジング7に対して転がり軸受28により回転自在に支承され、内輪部13は、第二の中心軸部1a’に対して転がり軸受29により相対的に回転自在に支承されている。
【0045】
保持器14は、円周方向等間隔に複数のポケット25が形成され、各ポケット25にローラ26が回転自在に収容されている。この保持器14のポケット25は、その円周方向に所定のクリアランスを有する。また、外輪部1bと保持器14間のばね27はC字形状を有し、その端部27a,27bに軸方向に延在させ、一方の端部27aを外輪部1bに固定し、他方の端部27bを保持器14の一部に固定することにより、外輪部1bに対して保持器14に円周方向の弾性力を作用させる。外輪部1bの内周面には、ローラ26が配置された楔形凹所30が形成されている。
【0046】
前記構成を具備した第三のワンウェイクラッチ12では、図7に示すように入力系回転部材1からの回転入力時には、前記ばね27の弾性力により外輪部1bに対して保持器14でローラ26を円周方向(図中左側方向)に押圧し、そのローラ26を楔形凹所30の狭まる方向へ移動させて係合させる。これにより、入力系回転部材1からの回転は、第三のワンウェイクラッチ12のローラ26の係合により伝達し得るため、その第三のワンウェイクラッチ12を介して遊星歯車機構3に伝達される。
【0047】
一方、出力系回転部材2からの回転逆入力時には、その出力系回転部材2の第一の外輪部2bからの回転が第二のワンウェイクラッチ5を介して入力系回転部材1の第二の中心軸部1a’に伝達される。この第二の中心軸部1a’に対して保持器14は凹凸嵌合部32(図7および図8参照)により円周方向にガタつきなしに固定され、外輪部1bは回転伝達部材16および凹部17(図7および図8参照)により円周方向にがたつきありで固定されている。このことから、図8に示すようにばね27の弾性力に抗して、外輪部1bに先行する保持器14の回転でもってローラ26を円周方向(図中右側方向)に押圧し、そのローラ26を楔形凹所30の広まる方向へ移動させて離脱させる。これにより、外輪部1bから内輪部13への回転入力は遮断されるので、入力系回転部材1からの回転が第三のワンウェイクラッチ12を介して遊星歯車機構3へ伝達されることはなく、遊星歯車機構3が連動回転することはない。
【0048】
前述した第三のワンウェイクラッチ12は、ローラ26をトルク伝達部材とした構造のものであるが、第一のワンウェイクラッチ4および第二のワンウェイクラッチ5も、ローラをトルク伝達部材とした構造のものが可能である。そのクラッチ構造は、出力系回転部材2の内周面に楔形凹所30を設け、遊星歯車機構3のキャリア11または入力系回転部材1と出力系回転部材2との間に配置した保持器14のポケット25にローラ26を収容し、ばね27の弾性力によりローラ26を楔形凹所30の狭まる方向へ付勢するものである。
【0049】
このワンウェイクラッチでは、通常の状態でローラ26は、ばね27によりポケット25の楔形空所30の狭い方向に付勢され、その付勢方向に出力系回転部材2と遊星歯車機構3のキャリア11または入力系回転部材1との間でローラ26が係合することにより回転が伝達される。逆方向の回転入力があると、ローラ26がばね27を圧縮しながら楔形空所30の広い方に移動するため、遊星歯車機構3のキャリア11または入力系回転部材1と出力系回転部材2との間でローラ26が離脱して空転状態となって回転が伝達されない。なお、第一のワンウェイクラッチ4のローラの係合方向は、第二のワンウェイクラッチ5と逆向きに設定されている。
【0050】
また、第一のワンウェイクラッチ4、第二のワンウェイクラッチ5および第三のワンウェイクラッチ12は、ローラ26以外にスプラグをトルク伝達部材とした構造のものであってもよい。このクラッチ構造は、出力系回転部材2と遊星歯車機構3のキャリア11または入力系回転部材1との間に、内側保持器と外側保持器とによってスプラグを保持し、その内外側保持器の間に配置されたばねの弾性力によりスプラグを出力系回転部材2と遊星歯車機構3のキャリア11または入力系回転部材1との間で係合・離脱可能とした構造である。
【0051】
このワンウェイクラッチでは、出力系回転部材2と遊星歯車機構3のキャリア11または入力系回転部材1とが係合方向に相対回転し、内側保持器と外側保持器が相対回転すると、各スプラグが傾いて出力系回転部材2と遊星歯車機構3のキャリア11または入力系回転部材1との間で係合することにより回転が伝達される。また、出力系回転部材2と遊星歯車機構3のキャリア11または入力系回転部材1とが前述とは逆方向に回転すると、内外側保持器の相対回転によってスプラグが係合状態から外れて出力系回転部材2と遊星歯車機構3のキャリア11または入力系回転部材1との間で離脱して空転状態となって回転が伝達されない。この場合も、第一のワンウェイクラッチ4のスプラグの係合方向と第二のワンウェイクラッチ5のスプラグの係合方向とは逆向きに設定されている。
【0052】
特に、第一のワンウェイクラッチ4と第三のワンウェイクラッチ12は、出力系回転部材2から入力系回転部材1への回転逆入力時、その回転遠心力によりトルク伝達部材が遊星歯車機構3(第一のワンウェイクラッチ4ではキャリア11であり、第三のワンウェイクラッチ12では太陽歯車6の内輪部13である)と非接触状態となるディスエンゲージ構造とする。このディスエンゲージ構造では、トルク伝達部材がスプラグの場合、図10に示すようにスプラグ31の重心Gが外輪1bとの接点Aよりも左側にあると、回転により遠心力が作用した時にスプラグ31は外輪部1bとの接点Aを中心として時計方向に傾動する。そのため、スプラグ31の高さが低くなり、スプラグ31の内輪側カム面31aが内輪部13のカム面13aが離隔する。
【0053】
図示しないが、トルク伝達部材がローラの場合、カム面を外輪側に形成しており、ローラはばねの弾性力により保持器で外輪に形成された楔形凹所に押し込まれるが、外輪の回転数が所定値に達すると、ローラに作用した遠心力分力が大きくなり、ばねの弾性力に抗してカム面に沿ってローラが内輪から離隔する。
【0054】
このようにすれば、出力系回転部材2からの回転逆入力が高速であっても、トルク伝達部材と内輪13との摺接による発熱で早期に焼き付け等が生じることを未然に防止できる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、出力系回転部材からの回転逆入力があっても、入力系回転部材の回転が増速してしまうことはないので、入力系回転部材の駆動源における許容回転数を超えることを未然に防止でき、安全性が大幅に向上し、しかも、出力系回転部材からの回転逆入力時、入力系回転部材と遊星機構との間が第三のワンウェイクラッチを介して離脱した状態にあることから、入力系回転部材から遊星機構への回転入力は遮断されるので、入力系回転部材からの回転が第三のワンウェイクラッチを介して遊星機構へ伝達されることはなく、遊星機構が連動回転することはないので、出力系回転部材からの回転逆入力が高速であっても、実用可能範囲を逸脱することがない実用性に富んだ動力伝達装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る動力伝達装置の実施形態で、遊星歯車機構を利用した減速装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の減速装置において、出力系回転部材から入力系回転部材への回転逆入力状態を示す概略構成図である。
【図3】図1の減速装置を電気自動車用電動発電機の下流側に設置した構成を示すブロック図である。
【図4】図1の減速装置に組み込まれた遊星歯車機構を示す構成図である。
【図5】図1の減速装置に組み込まれた遊星ローラ機構を示す構成図である。
【図6】図1の概略構成で示した減速装置の具体的構成例を示す断面図である。
【図7】図6の第三のワンウェイクラッチで、トルク伝達部材が係合した状態を示す側断面図である。
【図8】図6の第三のワンウェイクラッチで、トルク伝達部材が離脱した状態を示す側断面図である。
【図9】図6の出力系回転部材とハウジング間に介設された転がり軸受の固定構造の他例を示す断面図である。
【図10】スプラグのディスエンゲージ構造を示す要部拡大断面図である。
【図11】本発明の前提となる動力伝達装置で、遊星歯車機構を利用した減速装置の概略構成を示す断面図である。
【図12】図11の減速装置において、出力系回転部材から入力系回転部材への回転逆入力状態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 入力系回転部材
2 出力系回転部材
3 遊星機構(遊星歯車機構)
4 第一のワンウェイクラッチ
5 第二のワンウェイクラッチ
6 太陽歯車
7 静止部材(ハウジング)
8 内歯車
9 遊星歯車
11 キャリア
12 第三のワンウェイクラッチ
14 保持器

Claims (5)

  1. 駆動源により回転駆動される入力系回転部材と、
    その入力系回転部材から伝達された回転トルクを外部へ取り出すための出力系回転部材と、
    前記入力系回転部材からの回転を減速する遊星機構と出力系回転部材との間に設けられ、遊星機構から出力系回転部材への回転入力をトルク伝達部材の係合により伝達し、出力系回転部材から遊星機構への回転逆入力を前記トルク伝達部材の前記係合状態からの離脱でもって遮断することにより空転可能な状態になる第一のワンウェイクラッチと、
    前記入力系回転部材と出力系回転部材との間に設けられ、入力系回転部材から出力系回転部材への回転入力をトルク伝達部材の前記係合状態からの離脱でもって遮断することにより空転可能な状態になり、出力系回転部材から入力系回転部材への回転逆入力を前記トルク伝達部材の係合により伝達する第二のワンウェイクラッチと、
    前記入力系回転部材と遊星機構との間に設けられ、入力系回転部材から遊星機構への回転入力をトルク伝達部材の係合により伝達し、出力系回転部材から入力系回転部材への回転逆入力時、その入力系回転部材から遊星機構への回転入力を前記トルク伝達部材の前記係合状態からの離脱でもって遮断することにより空転可能な状態になる第三のワンウェイクラッチとを具備し、
    前記遊星機構は、静止系部材に設けられた内歯車と、その内側に前記入力系回転部材と同軸上に配設された太陽歯車と、この太陽歯車と前記内歯車との間にそれら両者と噛合するように介装された複数の遊星歯車と、これら遊星歯車を円周方向等間隔に回転自在に保持するキャリアとで構成され、前記キャリアを第一のワンウェイクラッチで前記出力系回転部材に連結していることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 駆動源により回転駆動される入力系回転部材と、
    その入力系回転部材から伝達された回転トルクを外部へ取り出すための出力系回転部材と、
    前記入力系回転部材からの回転を減速する遊星機構と出力系回転部材との間に設けられ、遊星機構から出力系回転部材への回転入力をトルク伝達部材の係合により伝達し、出力系回転部材から遊星機構への回転逆入力を前記トルク伝達部材の前記係合状態からの離脱でもって遮断することにより空転可能な状態になる第一のワンウェイクラッチと、
    前記入力系回転部材と出力系回転部材との間に設けられ、入力系回転部材から出力系回転部材への回転入力をトルク伝達部材の前記係合状態からの離脱でもって遮断することにより空転可能な状態になり、出力系回転部材から入力系回転部材への回転逆入力を前記トルク伝達部材の係合により伝達する第二のワンウェイクラッチと、
    前記入力系回転部材と遊星機構との間に設けられ、入力系回転部材から遊星機構への回転入力をトルク伝達部材の係合により伝達し、出力系回転部材から入力系回転部材への回転逆入力時、その入力系回転部材から遊星機構への回転入力を前記トルク伝達部材の前記係合状態からの離脱でもって遮断することにより空転可能な状態になる第三のワンウェイクラッチとを具備し、
    前記遊星機構は、静止系部材に設けられた固定輪と、その内側に前記入力系回転部材と同軸上に配設された太陽ローラと、この太陽ローラと前記固定輪との間にそれら両者と圧接する状態で介装された複数の遊星ローラと、これら遊星ローラを円周方向等間隔に回転自在に保持するキャリアとで構成され、前記キャリアを第一のワンウェイクラッチで前記出力系回転部材に連結していることを特徴とする動力伝達装置。
  3. 前記第三のワンウェイクラッチは、入力系回転部材と遊星機構間に配設されたトルク伝達部材を保持し、前記トルク伝達部材の係合・離脱を切り替える保持器を備え、
    前記入力系回転部材から前記遊星機構への回転入力により前記保持器でもってトルク伝達部材を係合させて前記入力系回転部材から前記遊星機構への回転入力を伝達し、出力系回転部材から入力系回転部材への回転逆入力時、入力系回転部材に対して保持器を先行して回転させ、その入力系回転部材に先行する保持器の回転でもってトルク伝達部材が前記係合状態から離脱して空転状態となることを特徴とする請求項1又は2に記載の動力伝達装置。
  4. 前記第一のワンウェイクラッチと第三のワンウェイクラッチは、出力系回転部材から入力系回転部材への回転逆入力時、その回転遠心力によりトルク伝達部材が、前記遊星機構に形成されたカム面に非接触可能としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
  5. 電気自動車用電動発電機の下流側に設置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
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