JP4437372B2 - 船外機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の機関本体の下方に配置されたフライホイールを収納するフライホイール室が、オイルポンプのポンプボディにより形成される船外機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関のクランク軸により駆動されるフライホイールが、機関本体の下方であってマウントケースとの間に配置された船外機が知られている。例えば、特開平10−231734号公報に開示された船外機では、上下方向を指向するクランク軸を有する内燃機関の機関本体を構成するシリンダブロックおよびクランクケースが、その下端部に形成された結合部にてマウントケースに形成された支持部に結合される。機関本体の下方には、クランク軸の下端部に設けられたフライホイールが配置され、その下方にオイルポンプが配置される。そして、フライホイールは、機関本体の下端部に結合されたオイルポンプのポンプボディにより形成されるフライホイール室に収納され、機関本体の結合部およびマウントケースの支持部は、該ポンプボディの外周を包囲するようにして相互に結合される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術では、ポンプボディと、機関本体の結合部およびマウントケースの支持部との間には、径方向の間隙が全周に渡って形成されるため、結合部および支持部の外径が大きくなると共に重量が増加し、さらには内燃機関およびマウントケースを覆うカバーが大きくなって、船外機が大型化し、またその重量が増加する難点があった。
【0004】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、請求項1ないし請求項3記載の発明は、オイルポンプのポンプボディを介して結合される機関本体とマウントケースとの連結部分の小型軽量化により、船外機の小型軽量化を図ることを目的とする。さらに、請求項3記載の発明は、機関本体の支持強度を向上させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、上下方向を指向するクランク軸、機関本体の下方で前記クランク軸に設けられたフライホイール、前記クランク軸の動力により駆動されるオイルポンプ、および前記機関本体の結合部に結合された該オイルポンプのポンプボディにより形成されて前記フライホイールを収納するフライホイール室を有する内燃機関と、前記機関本体が結合される支持部を有するマウントケースとを備えた船外機において、前記機関本体は、前記結合部にて、該結合部と前記ポンプボディの外周部と前記支持部とが前記クランク軸の回転軸線方向で重なるように、該外周部を介して該支持部に結合される船外機である。
【0006】
この請求項1記載の発明によれば、機関本体の結合部とポンプボディの外周部とマウントケースの支持部とが、クランク軸の回転軸線方向で重なるように結合されるため、ポンプボディの外周を包囲して結合部および支持部を設ける必要がなく、結合部および支持部の外径を、フライホイール室を形成するポンプボディがフライホイールを収納することができる範囲で極力小さくすることができる。
【0007】
しかも、マウントケースはポンプボディの外周部が結合部および支持部と、回転軸線方向で重なるように配置されるため、結合部がポンプボディを介して支持部に結合されて支持されるにも拘わらず、結合部を通じてポンプボディの外周部に作用する内燃機関の重量は、外周部を介してマウントケースの支持部により受け止められるので、該重量に起因する曲げモーメントがポンプボディに作用することがない。
【0008】
その結果、次の効果が奏される。すなわち、機関本体は、フライホイール室を形成するポンプボディが結合される結合部にて、ポンプボディの外周部を介してマウントケースの支持部に結合されるので、機関本体とマウントケースと連結部分である結合部、外周部および支持部の外径を、ポンプボディがフライホイールを収納できる範囲で極力小さくできると共に軽量化できるので、船外機を小型軽量化できる。しかも、結合部を通じてポンプボディの外周部に作用する内燃機関の重量は、マウントケースの支持部により受け止められるので、該重量に起因する曲げモーメントにより、ポンプボディに変形が生じることが防止され、そのような変形を防止すべくポンプボディの剛性を大きくする必要がないため、この点でもポンプボディの軽量化、ひいては船外機の軽量化ができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の船外機において、前記船外機は、スイベル軸を有する取付装置により船体に取り付けられ、前記外周部は前記フライホイール室の周壁を構成し、該周壁は単一壁部分を有し、該周壁の左壁部および右壁部は該単一壁部分から構成され、前記結合部および前記支持部の左右方向の外径は、前記左壁部および前記右壁部で規定される前記周壁の左右方向での外径とほぼ等しいものである。
【0010】
この請求項2記載の発明によれば、ポンプボディの外周部により構成されるフライホイール室の周壁のうち、左壁部および右壁部は、単一壁、すなわちフライホイールの径方向に一重の壁により構成され、しかも結合部および支持部の左右方向の外径が、左壁部および右壁部により規定される周壁の左右方向での外径とほぼ等しいので、結合部、外周部および支持部の左右方向での外径を、フライホイール室の周壁を形成するのに必要な最小値に基づく小さな値に設定することができる。
【0011】
その結果、請求項1記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、結合部、外周部および支持部の左右方向での外径を、フライホイール室を形成するポンプボディがフライホイールを収納する範囲で極力小さくできるので、これら部分で構成される連結部分を覆うカバーの左右方向の寸法も小さくなり、スイベル軸を中心とした船外機の左右方向の回動時、連結部分の左右方向で、船外機が外部の部材と干渉することが抑制され、転舵の際に船外機の左右方向の回動範囲を大きくすることができて、操縦性が向上する。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の船外機において、前記周壁は二重壁部分を有し、該周壁の前壁部および後壁部は該二重壁部分から構成され、前記結合部および前記支持部の前後方向の外径は、前記前壁部および前記後壁部で規定される前記周壁の前後方向での外径とほぼ等しいものである。
【0013】
この請求項3記載の発明によれば、ポンプボディの外周部により構成される周壁の前壁部および後壁部が二重壁部分、すなわちフライホイールの径方向に間隔をおいた二重の壁により構成され、しかも結合部および支持部の前後方向の外径が前壁部および後壁部により規定される周壁の前後方向での外径とほぼ等しいことことにより、支持強度が向上し、さらに支持部により支持される機関本体の範囲が拡大する。
【0014】
その結果、請求項2記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、ポンプボディの外周部により構成される周壁の前壁部および後壁部が二重壁部分とされ、しかも結合部および支持部の前後方向の外径が周壁の前後方向での外径とほぼ等しいことことにより、支持部の左右方向の外径が小さいにも拘わらず支持強度が向上して、機関本体の支持強度を十分に確保でき、さらに支持部により支持される機関本体の範囲も拡大するので、機関本体をより安定した状態で支持できる。
【0015】
この明細書において、「前後左右」は、船外機が搭載される船体の「前後左右」を基準としたものを意味する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1ないし図11を参照して説明する。
本発明の実施例である船外機1の概略右側面図である図1を参照すると、船外機1は、上下方向を指向したクランク軸36(図2参照)を有する内燃機関2を備える。内燃機関2の機関本体3はマウントケース4に支持され、該マウントケース4の下端部には、オイルパン5と、該オイルパン5を含め機関本体3から下方に延びる部材を覆うエクステンションケース6とが結合される。エクステンションケース6の上端部にはアンダカバー7が結合され、アンダカバー7の上端部には機関本体3を覆うエンジンカバー8が結合されて、アンダカバー7およびエンジンカバー8により機関本体3が収納されるエンジンルームが形成される。そして、エクステンションケース6の下端部には、前後進切換装置10を収納するギヤケース9が結合される。
【0017】
クランク軸36に一体回転可能に結合された駆動軸11はエクステンションケース6内を下方へ延びてギヤケース9内に達し、駆動軸11の下端部はギヤケース9内の前後進切換装置10を介して、プロペラ13が取り付けられたプロペラ軸12に結合される。それゆえ、内燃機関2の動力は、クランク軸36、駆動軸11、前後進切換装置10およびプロペラ軸12を経てプロペラ13に伝達されて、プロペラ13が回転駆動される。
【0018】
図2および図3も併せて参照すると、船外機1は取付装置Fにより船体Tに取り付けられる。該取付装置Fは、スイベル軸14と、該スイベル軸14を回動自在に支持するスイベルケース15と、スイベルケース15を回動自在に支持するチルト軸16と、上端部において該チルト軸16が固定され、船体Tの後端に固定されるスターンブラケット17とを備える。そして、マウントフレーム18と一体成形されるスイベル軸14は、その上端部において、マウントフレーム18に固定される1対のスタッドボルトB1によりにマウントケース4にマウントラバーR1を介して固定され、またその下部においてスプライン結合されるハウジング19に固定される1対のスタッドボルト(図示されず)によりエクステンションケース6にマウントラバーR2を介して固定される。
【0019】
この取付装置Fにより、船外機1は、スイベル軸14の中心軸線L2を回動軸線として左右方向に揺動され、チルト軸16の中心軸線L3を回動軸線として上下方向に揺動される。なお、船体Tの前進・後進を切り換えるシフト操作部の操作は、図2および図3に示されるように、相互に噛合する一対のセグメントギヤ21a,21bを介して連動する一対のシフト軸20a,20bを通じて、筒状のスイベル軸14の内部を挿通するシフトロッド22を回動させ、該シフトロッド22の回動に基づいて前後進切換装置10による前進・後進の切換がなされる。
【0020】
図2ないし図4を参照して、内燃機関2についてさらに説明する。内燃機関2は、V型6気筒水冷式のSOHC型の4サイクル内燃機関であり、その機関本体3は、機関本体3の前部を構成するクランクケース30と、シリンダブロック31と、各バンクのシリンダヘッド32およびヘッドカバー33と、アッパシールカバー34およびロアシールカバー35とから構成される。そして、クランクケース30、シリンダブロック31、シリンダヘッド32およびヘッドカバー33は、この順で船体Tの前方から後方に向かって組み付けられている。
【0021】
シリンダブロック31の1対のバンクは、平面視で、後方に向かって開いたV字を形成し(図4参照)、各バンクは上下方向にクランク軸36に沿って配列された3つのシリンダ31cから構成される。さらに、シリンダブロック31は、その左右の側壁部がクランク軸36の回転軸線L1を超えて前方に延びるスカート部を構成し、クランクケース30の合わせ面S1と密接する合わせ面S2が回転軸線L1よりも前方に位置する、いわゆるディープスカート型のシリンダブロック31である。そのため、シリンダブロック31の上壁31bおよび下壁31aには、シリンダブロック31前部、スカート部およびクランクケース30と共にクランク室37を形成すべく、クランク軸36が液密状態で貫通する孔を有するアッパシールカバー34およびロアシールカバー35が、シリンダブロック31とクランクケース30とにボルトにより結合され、両シールカバー34,35のクランクケース30との合わせ面は、合わせ面S2と同一平面上にある。そして、クランク室37の底壁は、ロアシールカバー35とクランクケース30の底壁とにより構成される。
【0022】
また、各バンクのシリンダヘッド32には、各シリンダ31cに摺動自在に嵌合されたピストン38との間に形成される燃焼室39に開口する1対の吸気口を開閉する1対の吸気弁40と、燃焼室39に開口する1対の排気口を開閉する1対の排気弁41とが設けられ、さらに点火栓42が燃焼室39の中央に臨んで装着される。ピストン38はコンロッド43を介してクランク軸36に連結され、クランク軸36が往復動するピストン38により回転駆動される。クランク軸36の4箇所のジャーナル部は、それぞれシリンダブロック31と該シリンダブロック31に取り付けられるベアリングキャップ44とにより、プレーンベアリングを介して支持され、これによってクランク軸36がシリンダブロック31に対して回転自在とされる。
【0023】
アッパシールカバー34から上方に突出するクランク軸36の上端部には、第1駆動プーリ45およびその上方に第2駆動プーリ46が結合される。第1駆動プーリ45と、各バンクのシリンダヘッド32に回転自在に支持されて上下方向を指向するカム軸49の上端部に結合された第1被動プーリ47とに渡ってタイミングベルトが巻き掛けられ、両バンクのカム軸49がクランク軸36の1/2の回転数で回転駆動される。そして、カム軸49、該カム軸49に設けられた吸気カムおよび排気カム、それらカムにそれぞれ当接して揺動されて吸気弁40および排気弁41をそれぞれ開閉する吸気ロッカアームおよび排気ロッカアーム等により構成される動弁機構Vが、シリンダヘッド32とヘッドカバー33とで形成される動弁室50内に収納される。一方、第2駆動プーリ46と交流発電機Gの回転軸の上端部に結合された第2被動プーリ48とに渡って駆動ベルトが巻き掛けられ、回転軸がクランク軸36により回転駆動される。
【0024】
また、一端に1対の吸気口が設けられた各吸気ポートの他端には、燃料噴射弁が設けられた吸気マニホルド52(図4参照)の下流端部が接続され、燃焼用の空気が、エンジンカバー8の空気取入口8aに接続されるスロットル弁を有する吸気ダクト51および吸気マニホルド52からなる吸気装置および吸気ポートを経て、各燃焼室39に前記燃料噴射弁から噴射された燃料と共に供給される。一方、一端に1対の排気口が設けられた各排気ポートの他端には、排気マニホルド53の上流端が接続され、各燃焼室39からの燃焼ガスが、排気ポート、そして排気マニホルド53および排気管54(図8参照)からなる排気装置、さらにエクステンションケース6およびギヤケース9を経て、排出口から水中に排出される。
【0025】
一方、機関本体3の下端部付近の拡大図である図3によく示されるように、ロアシールカバー35から下方に突出するクランク軸36の下端部には、外周にリングギヤ55が設けられたフライホイール56がボルトにより結合され、該フライホイール56の下面に、円筒状のスプラインピース57がボルトにより結合され、さらにスプラインピース57にその内孔57a内で駆動軸11の上端部がスプライン結合され、駆動軸11がクランク軸36と一体回転する。そして、フライホイール56の下方に位置して、クランク軸36の動力により回転駆動されるトロコイド型のオイルポンプ58が設けられる。
【0026】
図5ないし図7を併せて参照すると、機関本体3の下方に配置されているフライホイール56は、シリンダブロック31およびクランクケース30にポンプボディ65がボルト(図示されず)により結合されることで形成されるフライホイール室59に収納される。フライホイール室59は、回転軸線方向(クランク軸36の回転軸線L1が延びる方向を意味し、以下、単に「回転軸線方向」という)で対向する底壁59aおよび上壁59bと、フライホイール56の径方向で外方に位置する周壁60とを有する。上壁59bは、シリンダブロック31の下壁31aとロアシールカバー35とクランクケース30の底壁30aから構成され、下壁59aは、ポンプボディ65から構成され、周壁60は、クランクケース30の底壁30aの下面から下方に突出する突出壁からなる結合壁61と、ロアシールカバー35の径方向で外方を囲んでシリンダブロック31の下壁31aの下面から下方に向かって突出する突出壁からなる結合壁62と、ポンプボディ65の外周壁63により構成される。
【0027】
図4に代表して示されるように、周壁60は、回転軸線L1を含みチルト軸16の中心軸線L3と直交する基準平面P0(この基準平面P0は、回転軸線L1およびスイベル軸14の中心軸線L2を含む平面でもある)と平行な平面であって、フライホイール56にその左側で接する第1平面P1と、右側で接する第2平面P2を境にして、第1平面P1よりも左方にほぼ位置する左壁部60aと、第2平面よりも右方にほぼ位置する右壁部60bと、第1,第2平面P1,P2の間にあって、前方に位置する前壁部60cおよび後方に位置する後壁部60dとから構成される。
【0028】
そして、図4、図5、図7に示されるように、左壁部60aおよび右壁部60bは、フライホイール56の径方向において一重の壁から構成されることから、周壁60の単一壁部分であり、前壁部60cおよび後壁部60dは、フライホイール56の径方向に間隔をおいて位置する内壁60c1,60d1および外壁60c2,60d2の二重の壁から構成されることから、周壁60の二重壁部分である。そして、左壁部60a、右壁部60b、前壁部内壁60c1および後壁部内壁60d1により、平面視で、フライホイール室59の、回転軸線L1を中心とするほぼ円形の内周壁面60eを形成する内周壁が構成される。
【0029】
オイルポンプ58は、図5ないし図7に示されるように、駆動軸11が液密状態で貫通する孔65aを有するポンプボディ65と、その下面にネジ止めされる外周壁63よりも小径で、やはり駆動軸11が液密状態で貫通する孔66aを有するポンプカバー66とを備える。さらに、オイルポンプ58は、クランク軸36がポンプ駆動軸となるように、スプラインピース57に一体回転可能に結合されたインナロータ58aと、該インナロータ58aと摺接して回転するアウタロータ58bとを備え、両ロータ58a,58bは、ポンプボディ65とポンプカバー66とで形成されるロータ収納室に配置されて、両ロータ58a,58b間に容積可変空間からなる複数のポンプ室58cを形成する。
【0030】
さらに、図6に示されるように、ポンプボディ65には吸入ポート58dおよび吐出ポート58eが形成され、吸入ポート58dの流入口58d1に、フライホイール56の下方に配置されているオイルパン5内で下方に延びるオイル吸入管23の上端が接続され、吐出ポート58eの流出口58e1は、外周壁63の合わせ面S5に開口し、クランクケース30の後述する合わせ面S3に開口するケース油路85の流入口85a(図4参照)に接続される。
【0031】
ところで、機関本体3は、ポンプボディ65を介してマウントケース4に複数のボルトB2(図3にはそのうちの1本が示されている)により結合されて支持される。具体的には、機関本体3は、マウントケース4に結合される部分であって結合部としての結合壁61,62にて、ポンプボディ65の外周部としての外周壁63を介して、マウントケース4の支持部としての環状の支持壁64に多数のボルトB2により結合される。以下、図3ないし図8を参照して、機関本体3の支持構造を構成するこれら結合壁61,62、外周壁63および支持壁64、さらにこれら部分に形成される通路について説明する。
【0032】
図4および図5を参照すると、シリンダブロック31およびクランクケース30の結合壁61,62の下端面は、同一平面上にあると共に、両下端面の協働により、ポンプボディ65の外周壁63の上端面で構成される平面からなる合わせ面S5と整合する形状を有する合わせ面S3,S4を構成する。
【0033】
クランクケース30の結合壁61について説明すると、図4に示されるように、結合壁61は、周壁60の左壁部60a、右壁部60bおよび前壁部60cをそれぞれ構成する左側結合壁61a、右側結合壁61bおよび前側結合壁61cとから構成される。前側結合壁61cは、周壁60の前壁部内壁60c1を構成する内側結合壁61c1と、内側結合壁61c1の径方向外方で前方に間隔をおいて位置して前壁部外壁60c2を構成する外側結合壁61c2とからなる。そして、内側結合壁61c1および外側結合壁61c2の間に底壁30aを上壁として形成される凹部からなる空間61sには第1戻り油路71が形成される。第1戻り油路71は、クランクケース30の底壁30aに形成される貫通孔からなる第1流入口71aおよび第2流入口71bを有する。さらに、底壁30aには、該空間61sに連通して基準平面P0上に中心軸線L2を有するシフト軸20aが挿通する挿通孔30bが設けられる(図3も併せて参照)。そして、第1流入口71aは、挿通孔30bの右方に位置して、その全体がケース油路85の流入口85aよりも基準平面P0に近い位置に開口しており、第2流入口71bは、挿通孔30bの左方に位置して、その一部が流入口85aよりも基準平面P0に近い位置に開口している。
【0034】
一方、シリンダブロック31の結合壁62は、周壁60の左壁部60a、右壁部60bおよび後壁部60dをそれぞれ構成する左側結合壁62a、右側結合壁62bおよび後側結合壁62dとから構成される。このうち、左側結合壁62aには、リングギヤ55に噛合するピニオン67aを有するスタータモータ67が収納される収納部62a1を形成するために、径方向外方に膨出する膨出部が形成される。そして、左壁部60aを構成する後述する左側外周壁63a、そして後述する左側支持壁64aには、収納部62a1に対応する形状の膨出部63a1,64a1が形成される。
【0035】
また、後側結合壁62dは、周壁60の後壁部内壁60d1を構成する内側結合壁62d1と、内側結合壁62d1の径方向外方で後方に間隔をおいて位置して後壁部外壁60d2を構成する外側結合壁62d2とからなる。そして、内側結合壁62d1および外側結合壁62d2の間に下壁31aを上壁として形成される凹部からなる空間62sには、基準平面P0と交差する位置であって左右の両端部に合わせ面S4を構成する面を有する1対の仕切壁62eを有する凹所からなる第1排水路76が形成され、第1排水路76の右端部に隣接して貫通孔からなる第2戻り油路72が形成される。第2戻り油路72は、シリンダブロック31の下壁31aに設けられて動弁室50に開口する戻り通路(図示されず)に連通する。また、シリンダブロック31の下壁31aには、第1排水路76をシリンダブロック31の冷却水ジャケットに連通させる1対の流入孔77が設けられる。なお、K1は補強用のリブである。
【0036】
また、結合壁61,62には、合わせ面S3,S4にそれぞれ開口して、支持壁64に挿通される複数のボルトB2がそれぞれ螺合する複数のねじ孔H1が設けられ、さらに両内側結合壁61c1,62d1には、機関本体3がマウントケース4に結合される前に、オイルポンプ58を結合壁61,62に部分的に固定するための4本のボルトがそれぞれ螺合する4つのねじ孔H2が設けられる。
【0037】
図5を参照すると、ポンプボディ65の外周壁63は、結合壁61,62の左側結合壁61a,62a、右側結合壁61b,62b、前側結合壁61cの内側結合壁61c1と外側結合壁61c2、および後側結合壁62dの内側結合壁62d1と外側結合壁62d2にそれぞれ対応する左側外周壁63a、右側外周壁63b、前側外周壁63cの内側周壁63c1と外側周壁63c2、および後側外周壁63dの内側周壁63d1と外側周壁63d2を有する。ここで、左側外周壁63a、右側外周壁63b、前側外周壁63cの内側周壁63c1と外側周壁63c2、および後側外周壁63dの内側周壁63d1と外側周壁63d2が、それぞれ周壁60の左壁部60a、右壁部60b、前壁部60cの前壁部内壁60c1と前壁部外壁60c2、および後壁部60dの後壁部内壁60d1と後壁部外壁60d2をそれぞれ構成する。なお、K2は補強用のリブである。
【0038】
そして、前側外周壁63の内側周壁63c1および外側周壁63c2の間に貫通孔により形成される空間63csには、第1戻り油路71に対応する形状の貫通孔からなる第3戻り油路73が形成され、後側外周壁63dの内側周壁63d1および外側周壁63d2の間に形成される空間63dsには、第1排水路76および第2戻り油路72にそれぞれ対応する形状を有し、共に貫通孔からなる第2排水路78および第4戻り油路74が形成される。
【0039】
図7を参照すると、ポンプボディ65の合わせ面S5が前述のように合わせ面S3,S4と整合する一方で、ポンプボディ65の下端面であって、マウントケース4の支持壁64の上端面である合わせ面S7と整合する形状を有する合わせ面S6は、左側外周壁63a、右側外周壁63b、前側外周壁63cの外側周壁63c2、および後側外周壁63dの外側周壁63d2の下端面と、第2排水路78を形成する内側周壁63d2の一部および左右の仕切壁63eの下端面とにより形成される。
【0040】
また、左側外周壁63a、右側外周壁63b、前側外周壁63cの外側周壁c2および後側外周壁63dの外側周壁63d2には、両合わせ面S5,S6に開口して、支持壁64に挿通されて結合壁61,62のねじ孔H1に螺合される複数のボルトB2がそれぞれ挿通される複数の貫通孔H3が設けられ、両内側周壁63c1,63d1には、オイルポンプ58を部分的に固定する前記4本の前記ボルトがそれぞれ挿通される4個の貫通孔H4が設けられる。
【0041】
次に、図8を参照すると、マウントケース4には、結合壁61,62との間でポンプボディ65の外周壁63を挟持した状態で、結合壁61,62が複数のボルトB2により外周壁63と共に結合される支持壁64が上方に突出して設けられ、これらボルトB2が結合されることで、両合わせ面S3,S4と合わせ面S5との間、および合わせ面S6と合わせ面S7との間が液密状態とされる。それゆえ、各合わせ面S3〜S7はシール面を構成する。支持壁64は、外周壁63の左側外周壁63a、右側外周壁63b、前側外周壁63cの外側周壁63c2および後側外周壁63dの外側周壁63d2にそれぞれ対応する左側支持壁64a、右側支持壁64b、前側支持壁64cおよび後側支持壁64dの外側壁64d2からなる環状の外側支持壁と、第2排水路78を形成する内側周壁63d1の一部および仕切壁63eにそれぞれ対応する後側支持壁64dの内側壁64d1および仕切壁64eを有する。そして、前記外側支持壁および内側壁64d1には、支持壁64に挿通される複数のボルトB2がそれぞれ挿通される複数の貫通孔H5が設けられる。
【0042】
したがって、このような支持壁64を有するマウントケース4により、機関本体3が結合壁61,62にて支持されるため、ポンプボディ65は、その外周壁63が結合壁61,62と支持壁64とで挟持された状態で、支持壁64および外周壁63に設けられた貫通孔H5,H3を挿通し、結合壁61,62に設けられたネジ孔H1に螺合する複数のボルトB2により、しかも結合壁61,62の左側結合壁61a,62a、右側結合壁61b,62bおよび両外側結合壁61c2,62d2、外周壁63の左側外周壁63a、右側外周壁63bおよび両外側周壁63c2,63d2、そして支持壁64の前記外側支持壁が、回転軸線方向でほぼ全体が重なるようにして、機関本体3と共に一体的にマウントケース4に結合される。そして、マウントケース4の支持壁64、ポンプボディ65の外周壁63および結合壁61,62は、機関本体3をポンプボディ65を介してマウントケース4に結合するための連結部分を構成し、支持壁64の外径は、左右方向での外径を含めてその全周において、フライホイール室59の周壁60を構成する結合壁61,62および外周壁63の外径にほぼ等しい。したがって、周壁60の左右方向の外径は、左側結合壁61a,62aおよび左側外周壁63aと、右側結合壁61b,62bおよび右側外周壁63bとにより規定され、周壁60の前後方向の外径は、前側結合壁61cの外側結合壁61c2および前側外周壁63cの外側周壁63c2と、後側結合壁62dの外側結合壁62d2および後側外周壁63dの外側周壁63d2とにより規定される。
【0043】
また、マウントケース4には、第2排水路78に対応する形状を有する凹所からなる第3排水路79の左右の両端部には、マウントケース4の下面に接続される排水管(図示されず)に連通する1対の排水孔80が設けられる。そして、第3排水路79の前方には、スイベル軸14とマウントケース4を結合するスタッドボルトB1が挿通されるマウントラバーR1を収納する収納室81が設けられ、該収納室81と第3排水路79との間には、貫通孔からなり潤滑油をオイルパン5内に落下させる第5戻り油路75が設けられる。なお、第5戻り油路75の、基準平面P0と交差する部分には、オイル吸入管23(図2参照)が挿通される。さらに、支持壁64とポンプボディ65とが結合されることにより、ポンプボディ65およびポンプカバー66を上壁とし、マウントケース4を下壁として形成される戻り油の集合室82において、支持壁64に囲まれ、かつ駆動軸11およびシフト軸が液密状態でそれぞれ貫通する孔84a,84bを有するマウントケース4の上面は、第1,第3戻り油路71,73から落下した潤滑油を受け止め、第5戻り油路75に案内する案内面83を形成する。また、第2,第4戻り油路72,74から落下した潤滑油の大部分は、第5戻り油路75の右端部からオイルパン5内に落下する。
【0044】
さらに、支持壁64の後方には、シリンダブロック31の両バンクの排気マニホルド53にそれぞれ接続される1対の排気管54が設けられ、図示されないウォータポンプから圧送された冷却水が通る冷却水供給管24(図2参照)からの冷却水がオイルパン5の上部に設けられた冷却水通路から排気管54の周囲の通路を通ってジョイント85からシリンダブロック31およびシリンダヘッド32の冷却水ジャケットに供給される。
【0045】
このように、マウントケース4の支持壁64は、フライホイール室59を形成するポンプボディ65の外周壁63が結合される結合壁61,62と外周壁63を挟んでボルトB2により結合されて、機関本体3を支持するため、結合壁61,62、外周壁63および支持壁64は、第1平面P1および第2平面P2に沿って、シリンダブロック31およびクランクケース30の左側結合壁61a,62aおよび右側結合壁61b,62b、ポンプボディ65の外周壁63の左側外周壁63aおよび右側外周壁63b、支持壁64の左側支持壁64aおよび右側支持壁64bが、いずれも左右方向でほぼ同一外径の単一壁を形成する。それゆえ、結合壁61,62、外周壁63および支持壁64の左右方向での外径を、周壁60がフライホイール56を収納する範囲で極力小さくすることができる。そして、この単一壁の左右方向での外径に対応して、その径方向外方を覆うアンダカバー7および該アンダカバー7に結合されるエンジンカバー8の左右方向での寸法を小さくすることができる。
【0046】
次に、図2、図9ないし図11を参照して、潤滑系統について説明する。オイルポンプ58の吐出ポート58eから吐出された潤滑油が流入するケース油路85は、図9に示されるように、クランクケース30の右端寄りに設けられて上下方向に延び、その上端部に位置する流出口85bは、アッパシールカバー34に設けられたカバー油路(図示されず)に連通する。そして、ケース油路85の途中には、機関本体3の前部を構成するクランクケース30の前面に取り付けられたオイルフィルタ86(図2参照)が設けられ、流入口85aからの潤滑油は、オイルフィルタ86で潤滑油中に混入している異物が取り除かれた後、流出口85bに向かって流れる。
【0047】
前記カバー油路は、シリンダブロック31のV字の谷部を形成する部分に設けられたメインギャラリを構成するブロック油路(図示されず)に連通し、さらに該ブロック油路はシリンダヘッド32に設けられたヘッド油路(図示されず)に連通する。そして、前記ブロック油路の潤滑油は、クランク軸36の4箇所のジャーナル部に供給されると共に、ジャーナル部に供給された潤滑油の一部が、クランク軸36の内部に設けられた油孔を経てクランクピンとコンロッド43の大端部との連結部に供給されるなどして、クランク室37内においてクランク軸36の摺動部やその他のクランク室37内に存する部材の摺動部を潤滑する一方、前記ヘッド油路を経て動弁室50内の動弁機構Vの摺動部に供給されて、該摺動部を潤滑する。
【0048】
それゆえ、ケース油路85、前記カバー油路、前記ブロック油路および前記ヘッド油路は、オイルポンプ58から吐出された潤滑油を、前述の摺動部等の機関本体3の潤滑箇所に供給する供給油路を構成し、このうち、機関本体3の前部を構成するクランクケース30に形成されるケース油路85は前側供給油路を構成する。
【0049】
そして、クランク室37内の摺動部を潤滑し終えた潤滑油は、ロアシールカバー35の上面およびクランクケース30の底壁30aの上面に落下する。また、動弁室50内の摺動部等を潤滑し終えた潤滑油の一部は、シリンダブロック31に設けられた前記戻り通路および複数のブリーザ通路(図示されず)を経てクランク室37内に流入して、ロアシールカバー35の上面に落下する。そして、ロアシールカバー35の上面およびクランクケース30の底壁30aの上面に流下または落下した潤滑油は、図10および図11に示されるように、底壁30aに開口する第1、第2流入口71a,71bを有する第1戻り油路71および外周壁63の第3戻り油路73からなる前側戻り油路を経てマウントケース4の案内面83に落下し、その後マウントケース4の第5油路75を通ってオイルパン5内に落下する。
【0050】
ここで、第1、第2流入口71a,71bは、図11によく示されるように、平面視で、クランクケース30の底壁30aの上面30a1と前壁30cの内壁面30c1とで形成される前方へ突出する突出空間87の最前部87aにおいて、底壁60aの上面30a1から立ち上がる内壁面30c1を有する前壁30cの立上がり開始部30c2の近傍の底壁30aに設けられる。ここで、立上がり開始部30c2近傍とは、立上がり開始部30c2が第1,第2流入口71a,71bの開口の一部となっている場合、および立上がり開始部30c2は流入口71a,71bの開口の一部となっていないが、第1,第2流入口71a,71bと立上がり開始部30c2との間に潤滑油の滞留が殆ど生じない程度の距離が存するような第1,第2流入口71a,71bの位置を意味する。
【0051】
このように、第1、第2流入口71a,71bは、突出空間87の最前部87aでしかも立上がり開始部30c2近傍に位置するため、船が浅瀬を航走するときなど、船外機1がチルトアップされる状態での運転時に、機関本体3が前方に傾斜し、クランクケース30の底壁30aが前下方に傾斜したとき、底壁30a上を流れる潤滑油のほぼ全部が、底壁30a上に滞留することなく第1、第2流入口71a,71bに流入し、第1戻り油路71から外周壁63の第3戻り油路73を経て案内面83に落下し、さらに第5戻り油路75を通ってオイルパン5内に落下する。
【0052】
一方、動弁室50からの潤滑油は、第2戻り油路72と第4戻り油路74とから構成される後側戻り油路そして第5戻り油路75を通ってオイルパン5内に落下する。さらに、動弁室50内の摺動部等を潤滑し終えた潤滑油のうち、クランク室37内に流出した一部以外の残りの潤滑油は、ヘッドカバー33に取り付けられた戻り管25(図2参照)を通ってオイルパン5内に落下する。
それゆえ、第1〜第5戻り油路71〜75、前記戻り通路および戻り管25は、前記潤滑箇所に供給された潤滑油をオイルパン5に帰還させる戻り油路を構成する。
【0053】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
結合壁61,62の左側結合壁61a,62a、右側結合壁61b,62bおよび外側結合壁61c2,62d2、外周壁63の左側外周壁63a、右側外周壁63b、外側周壁63c2および外側周壁63d2、および支持壁64の前記外側支持壁は、回転軸線方向でほぼ全体が重なるようにして結合されるため、ポンプボディ65の外周を包囲して結合壁および支持壁を設ける必要がなく、機関本体3とマウントケース4との連結部分である結合壁61,62、外周壁63および支持壁64の外径を、フライホイール室59の周壁60を構成するポンプボディ65がフライホイール56を収納する範囲で極力小さくすることができるので、船外機1を小型軽量化できる。
【0054】
しかも、前述のようにポンプボディ65の外周壁63が結合壁61,62および支持壁64と、回転軸線方向で重なるように配置されるため、結合壁61,62がポンプボディ65を介して支持壁64に結合されて支持されるにも拘わらず、結合壁61,62を通じて外周壁63に作用する内燃機関2の重量は、外周壁63を介してマウントケース4の支持壁64により受け止められるので、該重量に起因する曲げモーメントがポンプボディ65に作用することがない。そのため、該重量に起因する曲げモーメントにより、ポンプボディ65が変形することが防止され、そのような変形を防止すべくポンプボディ65の剛性を大きくする必要がないので、この点でもポンプボディ65の軽量化、ひいては船外機1の軽量化ができる。
【0055】
外周壁63および結合壁61,62により構成されるフライホイール室59の周壁60のうち、左壁部60aおよび右壁部60bは、単一壁、すなわちフライホイール56の径方向に一重の壁により構成され、しかも周壁60を構成する結合壁61,62はもちろん、支持壁64の左右方向の外径が、左壁部60aおよび右壁部60bにより規定される周壁60の左右方向での外径とほぼ等しいので、結合壁51,62、外周壁63および支持壁64の左右方向での外径を、フライホイール室59を形成するポンプボディ65がフライホイール56を収納する範囲で極力小さくすることができ、前記連結部分を覆うアンダカバー7およびエンジンカバー8の左右方向の寸法も小さくなり、スイベル軸14を中心とした船外機1の左右方向の回動時、前記連結部分の左右方向で、アンダカバー7等が外部部材と干渉することが抑制され、転舵角を大きく取ることができて、操縦性が向上する。さらに、船外機を並列に船体に固定する、いわゆる2機掛けの場合にも、この近傍部分におけるそれら船外機相互の干渉を抑制して、各船外機の転舵角を大きく取ることができる。
【0056】
外周壁63および結合壁61,62により構成されるフライホイール室59の周壁60周壁の前壁部60cおよび後壁部60dが二重壁部分、すなわちフライホイール56の径方向に間隔をおいた二重の壁により構成され、しかも周壁60を構成する結合壁61,62はもちろん、支持壁64の前後方向の外径が前壁部60cおよび後壁部60dにより規定される周壁60の前後方向での外径とほぼ等しいので、支持壁64の左右方向の外径が小さいにも拘わらず支持強度が向上して、機関本体3の支持強度を十分に確保でき、さらに支持壁64により支持される機関本体3の範囲も拡大するので、機関本体3をより安定した状態で支持できる。
【0057】
内燃機関2の前記潤滑箇所を潤滑し終えてクランク室37内に存する潤滑油は、クランクケース30の底壁30a上およびロアシールカバー35の上面に流下または落下して、フライホイール室59の上壁59bを構成する底壁30aの上面30a1に沿って流れ、またはロアシールカバー35の上面に沿って流れて底壁30a上をさらに流れて、第1,第2流入口71a,71bから第1戻り油路71に流入することでクランク室37内から流出して、第3,第5戻り油路73,75を経て最終的にオイルパン5に帰還する。そして、浅瀬での航走時等に、船外機1がチルトアップされた状態で運転されているとき、前下方に傾斜する底壁30a上を流れる潤滑油は、フライホイール室59の内周壁面60eよりも前方に位置する第1,第2流入口71a,71bを有する第1戻り油路71に流入するので、チルトアップでの運転時に、底壁30e上に滞留する潤滑油が殆どないか、または極力少なくなるようにすることができる。そのため、前記従来技術とは異なり、クランク室37に滞留する潤滑油量を考慮して、オイルパン5に貯留する潤滑油量を多くしたり、そのためにオイルパン5の容量を大きくする必要もなく、オイルパン5が小型軽量化され、ひいては船外機1が小型軽量化される。また、クランク軸36がクランク室37内に滞留する潤滑油を撹拌することが殆どないので、潤滑油の攪拌による出力損失の発生を防止できる。さらに、クランク室37内に滞留する潤滑油が殆どないか、または極めて少なくなるため、チルトアップを解除した直後に、滞留していた潤滑油を含めて、クランク室37内から潤滑油を円滑に流出させるために第1,第2流入口71a,71bを含め第1戻り油路71および第3戻り油路73の径を大きくする必要はないので、第1,第2流入口71a,71bを含めて第1,第3戻り油路71,73の径を従来技術よりも小さくすることができて、船外機1の小型軽量化ができる。
【0058】
フライホイール室59の周壁60のうち、左壁部60aおよび右壁部60bは、単一壁部分、すなわちフライホイール56の径方向に一重の壁により構成されるので、フライホイール室59の左右方向での外径が小さくなり、ひいては船外機1の左右方向での幅が小さくなって、船外機1が小型化されて、船体Tへの配置の自由度が大きくなる。また、フライホイール室59の周壁60の前壁部内壁60c1と前壁部外壁60c2との間の空間61s,63csを利用して、第1,第3戻し油路71,73が形成されるので、第1,第3戻し油路71,73を形成するために、クランクケース30の底壁30aが前後方向に必要以上に大きくなることがないので、船外機1の小型軽量化ができる。
【0059】
シリンダブロック31の前方に設けられて機関本体3の前方を構成するクランクケース30の底壁30aに形成される第1,第2流入口71a,71bは、突出空間87の最前部87aの立上がり開始部30c2近傍に開口するので、船外機1がチルトアップ状態で運転されているとき、前下方に傾斜する底壁30a上を流れる潤滑油は、最も下方に位置する部分である最前部87aに向かって流れ、前壁30cの立上がり開始部30c2の近傍に設けられた第1,第2流入口71a,71bに流入するため、クランク室37内に滞留する潤滑油が殆どないか、または極めて少なくなり、船外機1の小型軽量化および出力損失の点での効果がさらに高められる。
【0060】
クランクケース30の底壁30aにおいて、第1,第2流入口71a,71bは、クランクケース30の底壁30aに設けられるケース油路85によりその配置が制約を受けることなく、クランクケース30の左右方向での中心面である基準平面P0に近い位置に設けられる。そのため、第1,第2流入口71a,71bは、クランクケース30の底壁30aで、該基準平面P0から離れた位置である周辺からの潤滑油が集合し易い位置である基準平面P0に近い位置に配置されて、第1,第2流入口71a,71bを最適な位置に形成することができる。
【0061】
マウントケース4の支持壁64、ポンプボディ65の外周壁63およびクランクケース30およびシリンダブロック31の結合壁61,62に至る前記連結部分の外径が、フライホイール室59の周壁60の外径にほぼ等しいので、機関本体3がポンプボディ65を介してマウントケース4に結合される船外機1において、該連結部分の外径は、周壁60がフライホイール56を収納する範囲で極力小さくすることができて、船外機1の一層の小型軽量化ができる。
【0062】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
フライホイール室59の上壁59bは、クランク室の底壁を構成する部材のみから構成することもでき、さらにスカート部を有していないシリンダブロックおよびクランクケースから、フライホイール室の上壁を構成することもできる。
【0063】
前記実施例では、結合部は、シリンダブロックおよびクランクケースの突出壁からなる結合壁61,62から構成されたが、結合部は突出していなくてもよい。
前記実施例では、内燃機関2はV型気筒機関であったが、直列配列の多気筒内燃機関であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である船外機の概略右側面図である。
【図2】図1の船外機の、概ねクランク軸の回転軸線と左側バンクのシリンダの中心軸線とを含む鉛直平面での要部断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】図1の船外機の内燃機関のクランクケースおよびシリンダブロックの下面図である。
【図5】オイルポンプのポンプボディの上面図である。
【図6】図7のVI−VI線断面図である。
【図7】オイルポンプのポンプボディの下面図である。
【図8】マウントケースの上面図である。
【図9】クランクケースをシリンダヘッドとの合わせ面側から見た図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【符号の説明】
1…船外機、2…内燃機関、3…機関本体、4…マウントケース、5…オイルパン、6…エクステンションケース、7…アンダカバー、8…エンジンカバー、9…ギヤケース、10…前後進切換装置、11…駆動軸、12…プロペラ軸、13…プロペラ、14…スイベル軸、15…スイベルケース、16…チルト軸、17…スターンブラケット、18…マウントフレーム、19…ハウジング、20a,20b…シフト軸、21a,21b…セグメントギヤ、22…シフトロッド、23…オイル吸入管、24…冷却水供給管、25…戻り管、
30…クランクケース、30a…底壁、30c2…立上がり開始部、31…シリンダブロック、32…シリンダヘッド、33…ヘッドカバー、34,35…シールカバー、36…クランク軸、37…クランク室、38…ピストン、39…燃焼室、40…吸気弁、41…排気弁、42…点火栓、43…コンロッド、44…ベアリングキャップ、45〜48…プーリ、49…カム軸、50…動弁室、51…吸気ダクト、52…吸気マニホルド、53…排気マニホルド、54…排気管、55…リングギヤ、56…フライホイール、57…スプラインピース、58…オイルポンプ、59…フライホイール室、60…周壁、60a…左壁部、60b…右壁部、60c…前壁部、60e…内周壁面、61,62…結合壁、61s,62s…空間、63…外周壁、63cs,63ds…空間、64…支持壁、65…ポンプボディ、66…ポンプカバー、67…スタータモータ、
71〜75…戻り油路、76…排水路、77…流入孔、78,79…排水路、80…排水孔、81…収納室、82…集合室、83…案内面、84a,84b…孔、85…ケース油路、86…オイルフィルタ、87…突出空間、87a…最前部、
F…取付装置、T…船体、B1,B2…ボルト、R1,R2…マウントラバー、G…交流発電機、L1〜L3…軸線、S1〜S7…合わせ面、V…動弁機構、P0〜P2…平面、H1,H2…ねじ孔、H3〜H5…貫通孔、K1〜K3…リブ。
Claims (3)
- 上下方向を指向するクランク軸、機関本体の下方で前記クランク軸に設けられたフライホイール、前記クランク軸の動力により駆動されるオイルポンプ、および前記機関本体の結合部に結合された該オイルポンプのポンプボディにより形成されて前記フライホイールを収納するフライホイール室を有する内燃機関と、前記機関本体が結合される支持部を有するマウントケースとを備えた船外機において、
前記機関本体は、前記結合部にて、該結合部と前記ポンプボディの外周部と前記支持部とが前記クランク軸の回転軸線方向で重なるように、該外周部を介して該支持部に結合されることを特徴とする船外機。 - 前記船外機は、スイベル軸を有する取付装置により船体に取り付けられ、前記外周部は前記フライホイール室の周壁を構成し、該周壁は単一壁部分を有し、該周壁の左壁部および右壁部は該単一壁部分から構成され、前記結合部および前記支持部の左右方向の外径は、前記左壁部および前記右壁部で規定される前記周壁の左右方向での外径とほぼ等しいことを特徴とする請求項1記載の船外機。
- 前記周壁は二重壁部分を有し、該周壁の前壁部および後壁部は該二重壁部分から構成され、前記結合部および前記支持部の前後方向の外径は、前記前壁部および前記後壁部で規定される前記周壁の前後方向での外径とほぼ等しいことを特徴とする請求項2記載の船外機。
Priority Applications (5)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
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