JP4437575B2 - 低沸点液用ポンプの間欠運転設備とその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低沸点液用ポンプを間欠運転する間欠運転設備とその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LNG,LPG等(以下、低沸点液と呼ぶ)を扱う貯蔵設備や化学プラントでは、配管の保冷等のために、低沸点液を常時少量流す場合がある。この場合、図4(A)に例示するような気密容器(ドラム)を設け、このドラム1に保冷等に用いた低沸点液を低沸点液ライン2から常時流入させて一時的に貯め、ドラム内の液面が所定の高い液位H(レベルH)に達した時点で低沸点液用ポンプ3を起動し、所定の低い液位L(レベルL)まで下がった時点でポンプを停止する間欠運転を行う場合がある。なお、この場合、レベルH、Lは例えば液位センサ4を用いて検出する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した低沸点液用ポンプの間欠運転では、ポンプ停止から再起動までの時間が長いと、その間の入熱により低沸点液全体が飽和状態に近い状態になっているため、ポンプ起動時にキャビテーションが発生してポンプトリップが発生しやすい問題点があった。
【0004】
すなわち、インペラの回転によりインペラの周囲に低圧部分(例えばまわりより100mmAq程度低い部分)が必ず生じるため、ポンプの確実な起動のためには、この低圧部分で低沸点液が気化しないように、その部分の気化圧力(飽和圧力)より大きい静圧が作用している必要がある。この静圧に相当する液圧又は液深をNPSH(Net Positive Suction Head)と呼ぶ。
【0005】
しかし、LNG,LPG等の低沸点液をドラム内で長時間保持すると、図4(B)に示すように、深い位置にある低沸点液であってもその位置の液圧(図で実線)に相当する飽和圧力(図で破線)に近い状態になっているため、低沸点液全体が飽和状態に近い状態にあり、インペラが回転してインペラの周囲に低圧部分が生じると、その部分が必ずその部分の飽和圧力より低くなってしまい、キャビテーションが発生してしまう。
【0006】
そのため、従来の低沸点液用ポンプの間欠運転では、ポンプ停止から再起動までの時間が長いほど、ポンプトリップが発生しやすく、ある程度の頻度でトリップが発生した。
【0007】
従って、ポンプトリップを本質的に回避するためには、ライン2から常時流入する低沸点液の流量にバランスする吐出量のポンプを選定し、これを連続運転する必要があった。しかし、この場合には、連続運転コストがかかるばかりでなく、流入する低沸点液の流量が少量すぎる場合にはポンプの容量に応じた低沸点液の供給をあえて行う必要があった。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、低沸点液を常時流入させて一時的に貯め、これをポンプトリップを引き起こすことなく確実にポンプを間欠運転させて排出することができる低沸点液用ポンプの間欠運転設備とその方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、所定の低沸点液ライン(2)から常時流入する低沸点液を一時的に貯めるための気密容器(1)と、該気密容器内の低沸点液を排出するための低沸点液用ポンプ(3)と、気密容器内の高低の液位を検出して排出するための液位センサー(4)とを備え、液位が所定の高液位Hに達した時点で低沸点液用ポンプを起動し、所定の低液位Lまで下がった時点でポンプを停止する低沸点液用ポンプの間欠運転設備において、
開閉弁(11)を有し気密容器(1)に低沸点液を供給する補給ライン(12)と、前記高液位Hよりも低い中間液位Mを検出する中間液位センサー(14)と、開閉弁(11)を制御する制御装置(16)とを備え、該制御装置により、中間液位Mを検出しかつ低沸点液用ポンプの停止中に、前記補給ラインより低沸点液を短時間に供給し、液位が高液位Hに達した時点で供給を停止し、
前記中間液位Mは、高液位Hとの液圧差がインペラの回転により生じる負圧よりも大きく設定されている、ことを特徴とする低沸点液用ポンプの間欠運転設備が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、所定の低沸点液ライン(2)から常時流入する低沸点液を一時的に貯めるための気密容器(1)と、該気密容器内の低沸点液を排出するための低沸点液用ポンプ(3)と、気密容器内の高低の液位を検出して排出するための液位センサー(4)とを備え、液位が所定の高液位Hに達した時点で低沸点液用ポンプを起動し、所定の低液位Lまで下がった時点でポンプを停止する低沸点液用ポンプの間欠運転方法において、
開閉弁(11)を有し気密容器(1)に低沸点液を供給する補給ライン(12)と、前記高液位Hよりも低い中間液位Mを検出する中間液位センサー(14)とを備え、中間液位Mを検出しかつ低沸点液用ポンプの停止中に、前記補給ラインより低沸点液を短時間に供給し、液位が高液位Hに達した時点で供給を停止し、
前記中間液位Mは、高液位Hとの液圧差がインペラの回転により生じる負圧よりも大きく設定されている、ことを特徴とする低沸点液用ポンプの間欠運転方法が提供される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記補給ライン(12)の流量は、低沸点液ライン(2)の流量より十分に大きく設定されている。
【0012】
上記本発明の装置及び方法によれば、気密容器(1)内の液位が所定の高い液位Hに達する前に、中間液位センサー(14)で高液位Hよりも低い中間液位Mを検出して、制御装置(16)により開閉弁(11)を開き補給ライン(12)から低沸点液を短時間に高液位Hまで供給(補給)することができる。この補給により、気密容器(1)内の液位が高液位Hと中間液位Mとの差の分上昇するので、補給前にあった低沸点液の圧力がその分上昇し、補給前に低沸点液全体が飽和状態に近い状態にある場合でも全体が上昇液位分高くなり、過冷却状態となる。従って、インペラが回転してインペラの周囲に低圧部分が生じても、その部分を飽和圧力より高く維持でき、キャビテーションの発生を防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明による低沸点液用ポンプの間欠運転設備の全体構成図である。この図に示すように、本発明の間欠運転設備10は、気密容器1(ドラム)、低沸点液用ポンプ3及び液位センサー4を備える。気密容器1は、十分に保冷された容器であり、低沸点液ライン2から常時流入する低沸点液を一時的に貯めるようになっている。この低沸点液は、例えば、LNG,LPG等であり、配管の保冷等のために常時少量流したその残量(未気化分)である。従って、気密容器1に流入した時点で、低沸点液の一部は既に気化し、図示しないガスラインからBOG処理設備に供給されるようになっている。
【0015】
また、低沸点液用ポンプ3は、低沸点液ライン2から常時流入する低沸点液の流量よりも十分に大きい吐出量を有し、気密容器1内の低沸点液を所定の高液位Hから低液位Lまで短時間に排出できるようになっている。
【0016】
更に、液位センサー4は、気密容器1内の高低H,Lの液位を検出するセンサーである。この液位センサー4は、例えばフロート式、静電容量式、差圧式等であり、高液位H及び低液位Lで制御信号を出力できるようになっている。この構成により、後述する制御装置又は別の独立した制御装置により、気密容器1内の液位が所定の高液位Hに達した時点で低沸点液用ポンプ3を起動し、所定の低液位Lまで下がった時点でポンプ3を停止する。
【0017】
本発明の低沸点液用ポンプの間欠運転設備10は、更に、補給ライン12、中間液位センサー14及び制御装置16を備える。補給ライン12は、図示しない低沸点液ラインから低沸点液を独立に供給するようになっている。このラインから供給される低沸点液は、十分に冷却され飽和温度より低い過冷却状態になっているのが好ましい。
また補給ライン12には遠隔操作が可能な開閉弁11(例えば、電磁弁)が設けられている。更に、この開閉弁11を開いた場合に、補給ライン12の流量が低沸点液ライン2の流量より十分に大きくなるように設定されている。この補給ライン12の流量は、後述する補給により中間液位Mから高液位Hに達する間に、その前に気密容器1内あった低沸点液が再び飽和状態にならないような流量に設定する。
【0018】
中間液位センサー14は、前述した低液位Lよりは高く、高液位Hよりは低く中間液位Mを検出するようになっている。この中間液位Mは、高液位Hとの液圧差ΔPがインペラの回転により生じる負圧よりも十分大きく(例えば、300mmAq以上に)設定されている。なお、この中間液位センサー14は、液位センサー4と同様に、例えばフロート式、静電容量式、差圧式等であり、中間液位Hで制御信号を出力できるようになっている。
【0019】
制御装置16は、少なくとも中間液位センサー14の制御信号を受け、開閉弁11を開閉制御するようになっている。すなわち、この制御装置16により、低沸点液用ポンプ3の停止中に、中間液位センサー14により中間液位Mを検出すると、その制御信号を受けて開閉弁11を全開し補給ライン12より低沸点液を供給し、短時間に液位が高液位Hに達した時点で開閉弁11を全閉して供給を停止する。なお、低沸点液用ポンプ3の運転中には、中間液位センサー14により中間液位Mを検出しても、この制御を行わず、開閉弁11を全閉に保持したままにするように、インターロックが設けられている。
また、この例では、制御装置16により、上述した液位センサー4の制御信号を受け、低沸点液用ポンプ3の起動・停止も制御する。
【0020】
図2は、本発明の間欠運転方法のフロー図である。この図に示すように、本発明の低沸点液用ポンプの間欠運転方法は、(1)中間液位Mを検出しかつ低沸点液用ポンプ3の停止中に、補給ライン12より低沸点液を短時間に供給し、液位が高液位Hに達した時点で供給を停止する補給ステップS1と、(2)液位が所定の高液位Hに達した時点で低沸点液用ポンプ3を起動し、所定の低液位Lまで下がった時点でポンプ3を停止する排出ステップS2とからなる。
通常の作動状態では、所定の低沸点液ライン2から気密容器1内に低沸点液が常時少量流入する「待機状態」が長く続いた後、補給ステップS1が始まり、次いで排出ステップS2が行われる。その後、最初の待機状態に戻り、これが繰り返して行われる。
【0021】
図3は、本発明の間欠運転方法における低沸点液の液圧変化を示す説明図である。LNG,LPG等の低沸点液をドラム内で長時間保持すると、図3に示すように、深い位置にある低沸点液であってもその位置の液圧(図で実線Aで示す)に相当する飽和圧力(図で破線で示す)に近い状態になっているため、低沸点液全体が飽和状態に近い状態にある。従って、この状態でインペラが回転しインペラの周囲に低圧部分が生じると、その部分が必ずその部分の飽和圧力より低くなってしまい、キャビテーションが発生してしまう。
【0022】
上述した本発明の装置及び方法によれば、この状態で低沸点液が徐々に増加し、気密容器1内の液位が高液位Hよりも低い中間液位Mに達すると、制御装置16により開閉弁11を開き補給ライン12から低沸点液が短時間に高液位Hまで供給(補給)される。この補給により、気密容器1内の液位が高液位Hと中間液位Mとの差ΔPの分上昇するので、図に実線Bで示すように、補給前にあった低沸点液の圧力がその分上昇し、過冷却状態となる。従って、インペラが回転してインペラの周囲に低圧部分が生じても、その部分を飽和圧力より高く維持でき、キャビテーションの発生を防止することができる。
【0023】
なお本発明は以上述べた実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0024】
【発明の効果】
上述したように、本発明により、間欠運転ポンプの安定起動が得られ、かつ連続運転よりも運転コストの低減が図れる。すなわち、本発明の低沸点液用ポンプの間欠運転設備とその方法は、低沸点液を常時流入させて一時的に貯め、これをポンプトリップを引き起こすことなく確実にポンプを間欠運転させて排出することができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による低沸点液用ポンプの間欠運転設備の全体構成図である。
【図2】本発明の間欠運転方法のフロー図である。
【図3】本発明における低沸点液の液圧変化を示す説明図である。
【図4】従来の間欠運転手段の説明図である。
【符号の説明】
1 気密容器(ドラム)
2 低沸点液ライン
3 低沸点液用ポンプ
4 液位センサ
10 間欠運転設備
11 開閉弁
12 補給ライン
14 中間液位センサー
16 制御装置
Claims (3)
- 所定の低沸点液ライン(2)から常時流入する低沸点液を一時的に貯めるための気密容器(1)と、該気密容器内の低沸点液を排出するための低沸点液用ポンプ(3)と、気密容器内の高低の液位を検出して排出するための液位センサー(4)とを備え、液位が所定の高液位Hに達した時点で低沸点液用ポンプを起動し、所定の低液位Lまで下がった時点でポンプを停止する低沸点液用ポンプの間欠運転設備において、
開閉弁(11)を有し気密容器(1)に低沸点液を供給する補給ライン(12)と、前記高液位Hよりも低い中間液位Mを検出する中間液位センサー(14)と、開閉弁(11)を制御する制御装置(16)とを備え、該制御装置により、中間液位Mを検出しかつ低沸点液用ポンプの停止中に、前記補給ラインより低沸点液を短時間に供給し、液位が高液位Hに達した時点で供給を停止し、
前記中間液位Mは、高液位Hとの液圧差がインペラの回転により生じる負圧よりも大きく設定されている、ことを特徴とする低沸点液用ポンプの間欠運転設備。 - 前記補給ライン(12)の流量は、低沸点液ライン(2)の流量より十分に大きく設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の低沸点液用ポンプの間欠運転設備。
- 所定の低沸点液ライン(2)から常時流入する低沸点液を一時的に貯めるための気密容器(1)と、該気密容器内の低沸点液を排出するための低沸点液用ポンプ(3)と、気密容器内の高低の液位を検出して排出するための液位センサー(4)とを備え、液位が所定の高液位Hに達した時点で低沸点液用ポンプを起動し、所定の低液位Lまで下がった時点でポンプを停止する低沸点液用ポンプの間欠運転方法において、
開閉弁(11)を有し気密容器(1)に低沸点液を供給する補給ライン(12)と、前記高液位Hよりも低い中間液位Mを検出する中間液位センサー(14)とを備え、中間液位Mを検出しかつ低沸点液用ポンプの停止中に、前記補給ラインより低沸点液を短時間に供給し、液位が高液位Hに達した時点で供給を停止し、
前記中間液位Mは、高液位Hとの液圧差がインペラの回転により生じる負圧よりも大きく設定されている、ことを特徴とする低沸点液用ポンプの間欠運転方法。
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