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JP4437637B2 - フタロシアニン類の製造方法 - Google Patents
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JP4437637B2 - フタロシアニン類の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なフタロシアニン類の製造方法に関し、さらに詳細には、穏和な条件で収率良く短時間の反応で安価にフタロシアニン類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フタロシアニン類は、一般的な顔料としての用途のほか光記録媒体、光カード、レーザープリンター用トナー、近赤外線吸収フィルター、太陽光を遮蔽する農業用フィルム、自動車又は建物用等に使用される遮光材料の着色剤、保護眼鏡に用いられるなど多様な応用が期待されている。
【0003】
従来、フタロシアニン類を製造する方法としては無水フタル酸やフタルイミドを尿素の存在下に200〜300℃で加熱する方法、フタロニトリルをアンモニアや触媒と共に150〜250℃で加熱する方法、1,3−ジイミノイソインドリンを150〜200℃で12時間程度加熱する方法等があった。そして、これら方法を改良した方法としてJ.Org.Chem.1990、55、2155−2159に開示された方法や特開平6−228449号公報に開示された方法等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の尿素、アンモニアなどを用いるフタロシアニン類の製造方法は、高温もしくは長時間の反応を必要とし収率も低いこと、また高温での反応のため分解が起こり純度が下がることなどからコスト増大の一因となっていた。そして、反応生成物の単離も困難であった。
【0005】
そこで本発明では、従来の製造方法よりも優れたフタロシアニン類の製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する目的で本発明者らは鋭意研究を行った結果、尿素等に代えて所定のシラザン誘導体を用いることで反応条件を緩和することができることを見出し、以下の発明を行った。すなわち、本発明のフタロシアニン類の製造方法は、一般式(A)にて表されるフタロシアニンを製造する方法であって、
【0007】
【化5】
Figure 0004437637
【0008】
般式(I):
【0009】
【化6】
Figure 0004437637
【0010】
(一般式(I)中、Z1 4H;1及びY2 はO;はNH)
で表される化合物を含む第1成分と、
一般式(II):HN(SiR1232 …(II)
(一般式(II)中、R1、R2及びR3はそれぞれC1〜C4のアルキル基又はフェニル基;なおR1、R2及びR3は同じ記号であってもそれぞれ独立している。)
で表されるシラザン誘導体から選択される1種以上の化合物を含む第2成分と、
プロトン酸と、を反応させることを特徴とする。
更に上記課題を解決する他のフタロシアニン類の製造方法は、上記一般式(I)で表される化合物を含む第1成分と、
上記一般式(II)で表されるシラザン誘導体から選択される1種以上の化合物を含む第2成分と、
プロトン酸と、
一般式(III):M m n …(III)
(一般式(III)中、M=Cu、Zn、Ru、Al、Co、Ti、Fe、Si、Ge、Ga、Li、Na、Mg、Pb、Ni又はSn;X=F、Cl、Br、I、CN、SO 4 、OH、OCOCH 3 、NO 2 、CO、CO 3 又はOSO 2 R(R=−C 6 5 、CH 3 −C 6 4 、X’−C 6 4 (X’はハロゲン)又はCF 3 );m=1又は2;n=0〜4)で表される化合物から選択される金属成分と、を反応させ、
下記一般式(B)で表されるフタロシアニン類を製造することを特徴とする。
【化7】
Figure 0004437637
ここで、必須成分であるプロトン酸は、シラザン誘導体に作用することでシラザン誘導体の求核性を向上させて反応性を向上したり、プロトン酸から遊離するプロトンが第1成分に作用することにより第1成分自身の反応性を向上することができる。その結果、フタロシアニン類の製造における全体としての反応性を向上させるものと考えられる。
また、一般式(II)で表されるシラザン誘導体を用いてフタロシアニン類を合成することで必要に応じて反応温度を従来の製造方法の条件よりも低温(150℃以下とすることも可能)とすることができる。また、必要に応じて反応時間を大幅に短縮(3時間程度)することもできる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法について詳細に説明する。第1成分は前述した一般式(I)で表される化合物を含む。
【0016】
本発明の製造方法にて製造されるフタロシアニン類は前述の一般式(A)又は(B)にて表されるフタロシアニン及びその誘導体である。
一般式(I)中において、Y1及びY2はそれぞれOであり、AはNHである。なお、AがNHである場合に水酸化カリウム等と反応させたN−金属塩としてもよい。
【0017】
そして、一般式(I)中、Z1、Z2、Z3及びZ4 はHである
【0020】
第2成分としては上述の一般式(II)で表されるシラザン誘導体から選択される。一般式(II)中、R 1、R2及びR3はそれぞれC1〜C4のアルキル基又はフェニル基である。なおR1、R2及びR3は同じ記号であってもそれぞれ独立している。つまり、異なるケイ素原子に結合している置換基は、同じ記号で表されていても必ずしも同一の置換基であることは必要でない(同一であってもよい。)。具体的にR1、R2及びR3としてはそれぞれメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニルであるが、反応性の観点からはメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、フェニルであることが好ましく、すべてメチルであることがさらに好ましい。そして、第2成分は単一の化合物であってもよいし、複数の化合物の混合物であってもよい。また、混合物である場合の混合割合については特に限定しない。
【0021】
第2成分として好ましい化合物を挙げると、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンである。
【0022】
第2成分は本発明の製造方法において製造されるフタロシアニン類の化学構造の一部となったり、本反応の触媒として働いたりするものと考えられる。第2成分を混合する割合としては特に限定しないが、第1成分1モル当たり0.1〜8.0モル程度と好ましくは0.5〜5.0モル程度とすることができる。第2成分は第1成分1モルに対してイミド誘導体の場合は4モル、酸無水物誘導体の場合は5モルで1当量である。
【0023】
プロトン酸は反応雰囲気中にプロトンを供給できる化合物で有れば特に限定しない。プロトン酸としては、例えば、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸、シアン酸、塩酸、酢酸、トリフルオロ酢酸が挙げられる。この中でも、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸等の強酸が好ましい。プロトン酸の添加量としては特に限定しないが、一般式(I)で表される化合物に対して、0.01〜0.2当量程度が好ましい。プロトン酸は第1成分1モルに対して1モルで1当量である。
【0024】
金属及びその化合物から選択される金属成分としてはフタロシアニン類に常用されている金属元素を含むものであり、これらの金属成分中の金属元素は生成したフタロシアニン類内でフタロシアニン類の骨格部分と錯体を形成している成分である。具体的には一般式(III):Mmn(III)で表される化合物である。一般式(III)中、MはCu、Zn、Ru、Al、Co、Ti、Fe、Si、Ge、Ga、Li、Na、Mg、Pb、Ni又はSnであり、XはF、Cl、Br、I、CN、SO4、OH、OCOCH3、NO2、CO、CO3又はOSO2R(R=−C 6 5 、CH3−C64、X’−C64(X’はハロゲン)又はCF3)である。そしてmは1又は2程度、nは0〜4程度であり、Xの種類及びMの酸化状態に応じた値である。金属(M)としては目的とするフタロシアニン類に含有されているものを選択する。Xとしては選択された金属に応じて反応性や一般式(III)で表される化合物の入手の容易性等の諸条件が適正となるように選択することが好ましい。金属成分の添加は任意であるが、金属成分は第1成分1モル当り0.1〜4モル、特に0.2〜1.0モルとなるように用いるのが好ましい。金属成分は第1成分1モルに対して、0.25モルで1当量である。
【0025】
前述した第1成分、第2成分及び金属成分の他に一般的な溶媒を用いることができる。このような溶媒としてはジメチルホルムアミド、ピリジン、アルキルピリジン等の含窒素化合物;ジメチルスルホキシド、スルフォラン等の含硫黄化合物;ジオキサン、モノグリム、ジグリム等のエーテル類;アルキルベンゼン(キシレン、トルエン等)、ハロベンゼン、アルキルナフタレン、ハロナフタリン、テトラリン、ジメチルアセトアミド等の芳香族炭化水素等が例示できる。特にジメチルホルムアミドが好ましい。
【0026】
本発明の製造方法に従うフタロシアニン類の合成反応を行う好ましい反応温度としては、下限値としては50℃以上、好ましくは100℃以上であり、上限値として250℃以下、好ましくは200℃以下である。これらの上限値と下限値とは任意に組み合わせた範囲として選択可能である。そして、本反応の反応時間としては1〜24時間、好ましくは2〜16時間行えばよい。本反応は200℃以下(未満)の比較的低温であっても充分満足できる収率、反応速度で合成反応が遂行できる。本反応は圧力容器で行うことも好ましい。
【0027】
反応終了後は冷却した後、いくつかの方法によってフタロシアニン類を得ることができる。そのうちの3方法を例示する。第1方法:硫酸等に生成物を溶解させた後、多量の水中に滴下すること等によって生成物を容易に回収できる。その生成物をろ過した後に、アルカリ水溶液、水などで洗浄することで高純度のフタロシアニン類が容易に回収できる。第2方法:反応溶液から溶媒を除去して得られる固体を洗浄して、フタロシアニン類を得ることができる。洗浄には水、メタノールやエタノール等のアルコール類、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル等の飽和炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒等が使用できる。ソックスレー抽出器等の装置を使用すればさらに収率良く不純物を除去できる。第3方法:水で洗浄後シリカゲル又はアルミナを用いたカラムクロマトグラフィーにて精製する。
【0028】
得られたフタロシアニン類は吸収スペクトル、1H−NMR、13C−NMRスペクトル、質量分析、元素分析等から確認できる。
【0029】
そして、本発明の製造方法により合成されたフタロシアニン類に対してさらに種々の反応を行うことにより目的の化学構造を有するフタロシアニン類を得ることもできる。
【0030】
【実施例】
(実施例1)
第1成分としてのフタルイミド100mg(0.68mmol)と、プロトン酸としてのパラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、金属成分としての塩化銅22.9mg(0.25当量)と、第2成分としての1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と称する)0.84mL(6.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで12時間反応させた。メタノールで洗浄した反応固形物を1mLの濃硫酸に溶解させた。この溶液を多量の水中に滴下して再沈殿を行った。得られた反応生成物をろ過後、メタノールで不純物を抽出した。不純物の抽出はソックスレー抽出器で行った。得られた反応生成物(銅フタロシアニン)は66.1mgであり、収率は67%であった。
【0031】
(実施例2)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、塩化銅22.9mg(0.25当量)と、HMDS0.84mL(6.0当量)とを混合して100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、100℃のオイルバスで48時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(銅フタロシアニン)は30.4mgであり、収率は31%であった。
【0032】
(実施例3)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、塩化銅22.9mg(0.25当量)と、HMDS0.84mL(6.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで1時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(銅フタロシアニン)は34.1mgであり、収率は35%であった。
【0033】
(実施例4)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、塩化銅22.9mg(0.25当量)と、HMDS0.84mL(6.0当量)と、ジメチルホルムアミド0.05mLとを混合した。その後、100℃のオイルバス中で1時間加熱した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、130℃のオイルバスで48時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(銅フタロシアニン)は64.0mgであり、収率は65%であった。
【0034】
(実施例5)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、塩化銅22.9mg(0.25当量)と、HMDS0.84mL(6.0当量)とを混合した。その後、実施例1と同様の方法で反応・精製を行った。得られた反応生成物(銅フタロシアニン)は60.2mgであり、収率は61%であった。
【0035】
(実施例6)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、塩化銅15.3mg(0.17当量)と、HMDS0.84mL(6.0当量)とを混合した。その後、実施例1と同様の方法で反応・精製を行った。得られた反応生成物(無金属フタロシアニン及び銅フタロシアニンの混合物)は62.9mgであり、収率は64%であった。
【0036】
(実施例7)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、塩化銅22.9mg(0.25当量)と、HMDS0.42mL(3.0当量)とを混合した。その後、実施例1と同様の方法で反応・精製を行った。得られた反応生成物(銅フタロシアニン)は36.8mgであり、収率は38%であった。
【0037】
(実施例8)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、塩化銅22.9mg(0.25当量)と、HMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、実施例1と同様の方法で反応・精製を行った。得られた反応生成物(銅フタロシアニン)は61.7mgであり、収率は63%であった。
【0038】
(実施例9)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、塩化ニッケル22.0mg(0.25当量)と、HMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで4時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(ニッケルフタロシアニン)は52.0mgであり、収率は53%であった。
【0039】
(実施例10)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、臭化ニッケル37.2mg(0.25当量)と、HMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで4時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(ニッケルフタロシアニン)は53.1mgであり、収率は54%であった。
【0040】
(実施例11)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、無水塩化コバルト(II)22.1mg(0.25当量)と、HMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで4時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(コバルトフタロシアニン)は49.5mgであり、収率は51%であった。
【0041】
(実施例12)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、臭化銅(II)38.0mg(0.25当量)と、HMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで4時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(銅フタロシアニン)は48.9mgであり、収率は50%であった。
【0042】
(実施例13)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、臭化銅(I)24.4mg(0.25当量)と、HMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで4時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(銅フタロシアニン)は47.1mgであり、収率は48%であった。
【0043】
(実施例14)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、塩化亜鉛23.2mg(0.25当量)と、HMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(亜鉛フタロシアニン)は31.5mgであり、収率は32%であった。
【0044】
(実施例15)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、臭化鉄(II)36.7mg(0.25当量)と、HMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで4時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(鉄フタロシアニン)は26.6mgであり、収率は28%であった。
【0045】
(実施例16)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、臭化亜鉛86.7mg(0.25当量)と、HMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで12時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(亜鉛フタロシアニン)は40.4mgであり、収率は41%であった。
【0046】
(実施例17)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)と、塩化マグネシウム16.19mg(0.25当量)と、HMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで12時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(無金属フタロシアニン)は56.6mgであり、収率は65%であった。
【0047】
(実施例18)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、パラトルエンスルホン酸一水和物12.9mg(0.1当量)とHMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで12時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(無金属フタロシアニン)は40.1mgであり、収率は47%であった。
【0048】
(比較例1)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、塩化銅22.9mg(0.25当量)と、HMDS0.84mL(6.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで12時間反応させた。フタロシアニンは得られなかった。
【0049】
(比較例2)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、塩化亜鉛23.2mg(0.25当量)と、HMDS0.84mL(6.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで12時間反応させた。フタロシアニンは得られなかった。
【0050】
(比較例3)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、塩化ニッケル22.0mg(0.25当量)と、HMDS0.84mL(6.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで12時間反応させた。フタロシアニンは得られなかった。
【0051】
【表1】
Figure 0004437637
【0052】
実施例1及び比較例1の結果から明らかなように、プロトン酸としてのパラトルエンスルホン酸一水和物を含有させることで、銅フタロシアニンを合成する反応が進行した。つまり、パラトルエンスルホン酸一水和物が、フタロシアニンの合成反応を促進することが明らかとなった。これはパラトルエンスルホン酸一水和物を添加した実施例2において、比較例1の反応温度である150℃よりも50℃低い反応温度100℃においても反応の進行が認められたことからも裏付けられる。また、フタロシアニン類の収率が0%であった比較例2及び3とそれぞれに対応する金属成分をもち、プロトン酸を含有した以外は同一の系で反応を行った実施例14及び9がフタロシアニン類の収率がそれぞれ32%及び53%であったことも添加されたプロトン酸の効果を裏付けている。つまり、プロトン酸添加によるフタロシアニン類の収率向上が金属成分の種類によらずに認められたことから、プロトン酸添加の効果はフタロシアニン類の製造において普遍的であると合理的に推測できる。
【0053】
実施例2及び4の結果から、反応温度としては少なくとも130℃以上であれば反応は充分に進行すると考えられる。つまり、実施例4では、反応温度を100℃とした実施例2の倍程度の高い収率が得られた。実施例4における収率は反応温度が150℃の実施例1と同程度の値である。
【0054】
実施例3及び5の結果から、反応温度150℃における反応時間としては少なくとも2時間以上とすれば反応は充分に進行するものと考えられる。つまり、実施例5では、実施例3の倍程度の高い収率が得られた。実施例5における収率は反応時間が12時間の実施例1と同程度の値である。
【0055】
実施例7及び8の結果から、反応温度150℃におけるHMDSの添加量としては少なくとも4当量以上とすれば反応は充分に進行するものと考えられる。つまり、実施例8では、実施例7の倍程度の高い収率が得られた。実施例8における収率はHMDSの添加量が6当量である実施例1と同程度の値である。
【0056】
実施例6の結果から、金属成分の添加量はフタロシアニン合成反応の収率に大きな影響を与えないものと考えられる。つまり、金属成分の添加量を減少してもフタロシアニン合成反応は進行し、銅フタロシアニンと無金属フタロシアニンとの混合物が生成した。
【0057】
以下、塩化ニッケル(実施例9)、臭化ニッケル(実施例10)、塩化コバルト(実施例11)、臭化銅(II)(実施例12)、臭化銅(I)(実施例13)、塩化亜鉛(実施例14)、臭化鉄(II)(実施例15)、臭化亜鉛(実施例16)、塩化マグネシウム(実施例17)及び金属成分無添加(実施例18)においても、プロトン酸としてのパラトルエンスルホン酸一水和物の添加により、フタロシアニンの合成反応が進行した。
【0058】
なお、実施例9及び10の結果から、ニッケルについては結合したハロゲンは塩素であっても臭素であっても大きな差は認められなかった。金属として銅を採用する場合には結合したハロゲンは実施例1〜8、12及び13の結果から、塩素であることが好ましいことが明らかとなった。
【0059】
また、このプロトン酸を用いたフタロシアニンの製造方法は、無金属フタロシアニンを製造する場合でも特徴的である。従来の無金属フタロシアニンの製造方法は、実施例17に示すように、まず、Mg金属塩存在下で反応を行い、Mg−フタロシアニンを製造した後に硫酸で処理し、無金属フタロシアニンを得る方法であったが、この製造方法を用いると、実施例18に示すように、製造時に金属成分を添加しない条件においても反応が進行し、高い収率でフタロシアニンが得られた。この場合、得られたフタロシアニンは無金属フタロシアニンである。
【0060】
〔その他の酸について〕
(実施例19)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、硫酸6.7mg(0.1当量)と塩化銅22.9mg(0.25当量)とHMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで4時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(銅フタロシアニン)は58.7mgであり、収率は60%であった。
【0061】
(実施例20)
フタルイミド100mg(0.68mmol)と、トリフルオロメタンスルホン酸銅61.5mg(0.25当量)とHMDS0.56mL(4.0当量)とを混合した。その後、100℃のオイルバスで1時間撹拌した。その後、ジメチルホルムアミド0.05mLを加え封管した後、150℃のオイルバスで4時間反応させた。その後、実施例1と同様の方法で精製を行った。得られた反応生成物(銅フタロシアニン)は69.3mgであり、収率は71%であった。
【0062】
実施例19及び20の結果から明らかなように、パラトルエンスルホン酸一水和物以外のプロトン酸を用いてもフタロシアニン類の高い収率が認められた。
【0063】
【発明の効果】
本発明の製造方法では従来用いられていた尿素やアンモニアに代えて一般式(II)で表されるシラザン誘導体及びプロトン酸を用いて合成反応を遂行させることで、反応を速やかに進行させることができた。具体的には反応条件の緩和(反応温度の低下、反応時間の短縮)を図ることができた。その結果、コスト低減に寄与することができる。

Claims (4)

  1. 一般式(I):
    Figure 0004437637
    (一般式(I)中、Z1 4H;1及びY2 はO;はNH)
    で表される化合物を含む第1成分と、
    一般式(II): HN(SiR1232 …(II)
    (一般式(II)中、R1、R2及びR3はそれぞれC1〜C4のアルキル基又はフェニル基;なおR1、R2及びR3は同じ記号であってもそれぞれ独立している。)
    で表されるシラザン誘導体から選択される1種以上の化合物を含む第2成分と、
    プロトン酸と、を反応させ、
    下記一般式(A)で表されるフタロシアニン類を製造することを特徴とするフタロシアニン類の製造方法。
    Figure 0004437637
  2. 一般式(I):
    Figure 0004437637
    (一般式(I)中、Z 1 〜Z 4 =H;Y 1 及びY 2 はO;AはNH)
    で表される化合物を含む第1成分と、
    一般式(II): HN(SiR 1 2 3 2 …(II)
    (一般式(II)中、R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれC 1 〜C 4 のアルキル基又はフェニル基;なおR 1 、R 2 及びR 3 は同じ記号であってもそれぞれ独立している。)
    で表されるシラザン誘導体から選択される1種以上の化合物を含む第2成分と、
    プロトン酸と、
    一般式(III):M m n …(III)
    (一般式(III)中、M=Cu、Zn、Ru、Al、Co、Ti、Fe、Si、Ge、Ga、Li、Na、Mg、Pb、Ni又はSn;X=F、Cl、Br、I、CN、SO 4 、OH、OCOCH 3 、NO 2 、CO、CO 3 又はOSO 2 R(R=−C 6 5 、CH 3 −C 6 4 、X’−C 6 4 (X’はハロゲン)又はCF 3 );m=1又は2;n=0〜4)で表される化合物から選択される金属成分と、を反応させ、
    下記一般式(B)で表されるフタロシアニン類を製造することを特徴とするフタロシアニン類の製造方法。
    Figure 0004437637
  3. 前記第2成分は1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンである請求項1又は2に記載のフタロシアニン類の製造方法。
  4. 前記反応は50〜250℃で行われる請求項1〜3のいずれかに記載のフタロシアニン類の製造方法。
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