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JP4437992B2 - 角形鋼管柱、溝形鋼柱及び建築構造物 - Google Patents
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角形鋼管柱、溝形鋼柱及び建築構造物 Download PDF

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Description

本発明は、パネル構造及び/又は軸組造の建築構造物の隅柱又は側柱として使用される角形鋼管柱、側柱として使用される溝形鋼柱、並びにこの角形鋼管柱及び/又は溝形鋼柱を使用した建築構造物に関する。
スチールハウスは、板厚が0.4mm以上、2.3mm未満の薄板軽量形鋼からなる枠材と構造用面材とを組み合わせて構成された鉄鋼系パネルを、ドリルねじ又は補強金物により緊結して躯体を構築する建築構造物である。このスチールハウスは、軸組造の建築構造物に比べて、「断熱性・気密性が高い」、「間取りの自由度が高い」、「耐震性・耐久性が優れている」、「遮音性が高い」、「部材が軽量である」、「施工期間が短い」等の特徴があり、近時、コンビニエンス・ストア等の低層建物及び一般住宅等に適用され始めている。
しかしながら、その一方で、スチールハウスには、ホールダウン金物及び補強金物等の複数種の接合用金物が必要であり、施工時に手間がかかるという欠点がある。また、スチールハウスを店舗等のように大スパンの建築構造物へ適用するには、耐力が不足する場合があるといった欠点もある。
そこで、本願出願人は、図8に示すように、床104の四隅に隅柱101を設けると共に各隅柱101間に床104の4辺に沿って側柱102を設け、更に、これらの柱の間に壁パネル103を配置した構成の建築構造物に関する先願を出願している(例えば、特許文献1参照。)。このように、スチールハウスと鉄骨軸組造とのハイブリッド構造物にすることにより、スチールハウスにおける施工性を向上させることができると共に、大スパンの建築構造物における強度を向上させることができる。
図9は図8に示す建築構造物において壁パネル103を側柱102に固定する方法を示す断面図である。図9に示すように、この先願で提案した建築構造物においては、例えば角形閉断面形状の側柱102に桁壁となる壁パネルを固定する場合は、先ず、枠材111に外壁用面材112のみが取り付けられた2枚の壁パネル103a,103bを、側柱102を挟むようにして側柱102の側面に当接させる。そして、その状態で枠材111の内側から側柱102に向けてドリルねじ又はワンサイドボルト等のファスナー113を打設することにより、側柱102に壁パネル103a,103bを固定し、その後、枠材111に内壁面材(図示せず)を取り付けている。また、側柱102に界壁となる壁パネルを固定する場合は、側柱102の側面に枠材111を当接させ、枠材111の内側から側柱102に向けてファスナー113を打設することにより側柱102に側柱111を固定した後、枠材111に2枚の内壁面材(図示せず)を取り付けている。
更に、従来、閉断面形状の角形鋼管柱に他の部材を固定する方法としては、例えば、予め柱に所定の間隔をあけて複数のねじ孔を形成しておき、ボルトにより他の部材を固定する方法(例えば、特許文献2参照。)、柱の内側に配置されたボルトを柱の側面に設けられた貫通孔から引き出し、このボルト及びナットにより他の部材を固定する方法(例えば、特許文献3及び4参照。)等が提案されている。
特願2004−340460号 特開平10−2008号公報 特開平9−144720号公報 特開2003−82759号公報
しかしながら、上述した特許文献1及び2に記載の方法では、柱及びパネル枠材の両方に予めねじ孔を形成しておかなければならないという問題点がある。また、これらの方法には、壁パネル側からねじ止めする場合、ねじ止め後に施工現場で内壁用面材を取り付けなければならず、施工時の工程数が増加するという問題点がある。更に、通常、内壁用面材には強度が低い石膏ボードが使用されるため、壁パネルの高強度化が実現しにくいという問題点もある。
一方、特許文献3及び4に記載の方法には、ボルトを引き出す作業に手間がかかり、作業効率が低下するという問題点がある。また、この方法は、柱の内部にボルトを仕込んでおくための部材が必要であり、またボルトを引き出すための工具も必要となるため、コストが増加するという問題点もある。
このような問題点は、スチールハウスと鉄骨軸組造とのハイブリッド構造物に限らず、柱に壁パネルを固定する構造であれば、パネル構造の建築構造物全般及び軸組造の建築構造物全般において生じる。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、耐力が高く且つ容易に壁パネルを接合することができる角形鋼管柱、溝形鋼柱及び建築構造物を提供することにある。
本願第1発明に係る角形鋼管柱は、薄板軽量形鋼からなる枠材と構造用面材とを組み合わせて構成された壁パネルが固定される面に、その高さ方向に配列するように形成され、前記壁パネルを固定する際にドリルねじがねじ込まれる複数個の第1貫通孔と、前記壁パネルが固定される面と相対する面の前記各第1貫通孔と対応する位置に形成され、前記第1貫通孔よりも直径が大きく、前記壁パネルを固定する際に柱内部に前記ドリルねじを挿入するための第2貫通孔とを有し、一の面に形成された各第1貫通孔と、前記一の面と隣り合う他の面に形成された各第1貫通孔とは、高さ方向においてその中心点の位置が夫々異なっており、パネル構造及び/又は軸組造の建築構造物の柱として使用されることを特徴とする。
本発明の角形鋼管柱においては、ねじ止め用の第1貫通孔が形成された面と相対する面に、ドリルねじ挿入用の第2貫通孔を形成しているため、柱側から壁パネルを固定することができる。また、この角形鋼管柱は、隣り合う2つの面に形成された第1貫通孔同士の中心点の位置が高さ方向において相互に異なっているため、柱の高さ方向に対して垂直な方向の断面欠損を低減することができる。
本願第2発明に係る角形鋼管柱は、薄板軽量形鋼からなる枠材と構造用面材とを組み合わせて構成された壁パネルが固定される面に、その高さ方向に配列するように形成され、前記壁パネルを固定する際にドリルねじがねじ込まれる複数個の第1貫通孔と、前記壁パネルが固定されない面の前記各第1貫通孔と対応する位置に形成され、前記第1貫通孔よりも直径が大きく、前記壁パネルを固定する際に柱内部に前記ドリルねじを挿入するための第2貫通孔とを有し、一の面に形成された各第1貫通孔と、前記一の面と隣り合う他の面に形成された各第1貫通孔とは、高さ方向においてその中心点の位置が夫々異なっており、パネル構造及び/又は軸組造の建築構造物の側柱として使用されることを特徴とする。
本願第3発明に係る溝形鋼柱は、開口部が形成された溝形鋼柱であって、薄板軽量形鋼からなる枠材と構造用面材とを組み合わせて構成された壁パネルが固定される1以上の面に、その高さ方向に配列するように形成され、前記壁パネルを固定する際に前記開口部から挿入されたドリルねじがねじ込まれる複数個の貫通孔を有し、一の面に形成された各貫通孔と、他の面に形成された各貫通孔とは、高さ方向においてその中心点の位置が夫々異なっており、パネル構造及び/又は軸組造の建築構造物の側柱として使用されることを特徴とする。
本発明の溝形鋼柱においては、一の面に形成された貫通孔の中心点の位置と他の面に形成された貫通孔の中心点の位置が高さ方向において異なっているため、断面欠損が最小限に抑制される。また、溝形鋼柱には開口部があるため、この開口部から柱内部にドリルねじを挿入して、柱側から壁パネルをねじ止めすることが可能である。
本願第4発明に係る建築構造物は、スチールハウス及び/又は鉄骨軸組造の建築構造物において前述の本願第1発明の角形鋼管柱が使用されていることを特徴とする。
この建築構造物には、前述の本願第2発明の角形鋼管柱及び/又は本願第3発明の溝形鋼柱を側柱として使用することができる。
本願第1発明及び第2発明の角形鋼管柱は、壁パネルが取り付けられる面にドリルねじをねじ込むための第1貫通孔が形成され、この壁パネルが取り付けられる面と相対する面に柱内部にドリルねじを挿入するための第2貫通孔が形成されているため、壁パネルを柱側からねじ止めすることができ、作業性及び建築強度を向上させることができる。また、隣り合う面に形成された各第1貫通孔の中心点が、高さ方向において相互に異なっているため、柱の高さ方向に対して垂直方向の断面欠損が少なく、高い耐力が得られる。更に、本願第3発明の溝形鋼柱は、一の面に形成された各貫通孔と他の面に形成された各貫通孔とでは、その中心点の位置が高さ方向において夫々異なっているため、柱の高さ方向に対して垂直方向の断面欠損を少なくすることができ、耐力を向上させることができる。更にまた、本願第4発明の建築構造物は、本願第1発明の角形鋼管柱を隅柱又は側柱として使用すると共に、本願第2発明の角形鋼管柱及び/又は本願第3発明の溝形鋼柱を側柱として使用したスチールハウス及び/又は鉄骨軸組造の建築構造物であるため、スパンが大きい場合又は開口部を大きくとった場合でも十分な強度が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態として、スチールハウスと鉄骨軸組造とのハイブリッド建築構造物を例にして、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は本発明の実施形態に係る建築構造物を模式的に示す斜視図であり、図1(b)はその分解斜視図である。図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態の建築構造物は、コンクリートで形成された独立基礎(図示せず)上に、閉鎖断面形状の角形鋼管からなる4本の隅柱1と、高さ方向に垂直な方向の断面が略C字状のリップ溝形鋼からなる複数本の側柱2とが立設されている。そして、隅柱1と側柱2との間及び隣り合う2本の側柱2の間には、薄板軽量形鋼からなる枠材と構造用面材とを組み合わせて構成された鉄鋼系パネルからなる壁パネル3a,3bが配置され、各柱に取り付けられている。
また、桁壁となる壁パネル3aの上端部には、隣接する柱間にH形鋼等の鋼材からなる周辺梁4が架設されており、界壁となる壁パネル3bの上端部には、隣接する柱間にH形鋼等の鋼材からなる大梁5が架設されている。更に、周辺梁4と大梁5とにより囲まれた部分には、床パネル6が設けられている。この床パネル6は、例えば、周辺梁4と大梁5との間に架設された薄板軽量溝形鋼等の鋼材からなる床根太(側根太及び端根太)に、床板を貼り付けることにより構成されている。
以下、本実施形態の建築構造物における隅柱1及び側柱2について詳細に説明する。図2(a)は図1に示す建築構造物における隅柱1と壁パネル3aとの接合部を示す断面図であり、図2(b)は隅柱1を図2(a)に示すA方向から見た側面図であり、図2(c)はB方向から見た側面図である。また、図3(a)は図1に示す建築構造物における側柱2と壁パネル3a,3bとの接合部を示す断面図であり、図3(b)は側柱2を図3(a)に示すC方向から見た側面図であり、図3(c)はD方向から見た側面図である。更に、図4(a)は隅柱1に壁パネル3aを固定する方法を示す模式図であり、図4(b)は側柱2に壁パネル3a,3bを固定する方法を示す模式図である。
図2(a)〜(c)に示すように、隅柱1には、桁壁となる壁パネル3aが固定される。この壁パネル3aは、板厚が0.4mm以上、2.3mm未満の薄鋼板を曲げ加工してウエブとその両端にフランジを一体に連設させた溝形鋼からなる縦枠材及び横枠材を、矩形状に組み立ててドリルねじ等によって相互に接合した枠材7に、外壁用面材8及び内壁用面材9を取り付けたものである。一方、隅柱1は、壁パネル3aが取り付けられる2つの面に、夫々壁パネル3aを固定する際にドリルねじ(図示せず)をねじ込むための複数の貫通孔11a又は貫通孔11bが、隅柱1の高さ方向に所定の間隔をあけて形成されている。また、隅柱1における貫通孔11aが形成されている面と対向する面には、各貫通孔11aと対応する位置に、貫通孔11aよりも直径が大きい貫通孔12aが形成されており、貫通孔11aとこの貫通孔11aと対応する位置に形成された貫通孔12aとは、その中心点の位置が隅柱1の高さ方向において略一致している。
更に、隅柱1の貫通孔11bが形成されている面と対向する面には、各貫通孔11bと対応する位置に、通孔11bよりも直径が大きい貫通孔12bが形成されており、貫通孔11bとこの貫通孔11bと対応する位置に形成された貫通孔12bとは、その中心点の位置が隅柱1の高さ方向において略一致している。これら貫通孔12a,12bは、前述のドリルねじ及びドリルねじをねじ込むための工具の一部を、柱の内部に挿入するためのものである。
そして、隅柱1における貫通孔11aの中心点の位置と貫通孔11bの中心点の位置とは、隅柱1の高さ方向において相互に異なっており、従って、貫通孔12aの中心点の位置と貫通孔12bの中心点の位置も、隅柱1の高さ方向において相互に異なっている。即ち、隅柱1は、隣り合う面に形成されている貫通孔の中心点の位置が、高さ方向において相互に異なっている。これにより、隅柱1の高さ方向における断面損失を少なくすることができるため、貫通孔又はねじ孔が高さ方向において等しい位置に形成されている従来の隅柱に比べて、耐力を向上させることができる。
また、図4(a)に示すように、この隅柱1に壁パネル3aを固定する際は、先ず、隅柱1の貫通孔11aが形成されている面に壁パネル3aを当接させた状態で、貫通孔12aから隅柱1の内部に電動ドライバー等の工具14の一部を挿入する。このとき、磁力等により工具14の先端にドリルねじ13を吸着させておいてもよい。次に、工具14によってドリルねじ13を貫通孔11aにねじ込み、更に、壁パネル3aの枠材7にねじ込む。これにより、隅柱1の一面に壁パネル3aが固定される。同様に、隅柱1の貫通孔11bが形成されている面に壁パネル3aを固定する場合は、隅柱1の面に壁パネル3aを当接させた状態で、先端にドリルねじ13が保持された工具14を、貫通孔12bから隅柱1の内部に挿入し、貫通孔11bを介して壁パネル3aの枠材7にねじ込む。
一方、図3(a)〜(c)に示すように、側柱2には、桁壁となる壁パネル3aと界壁となる壁パネル3bとが固定される。この界壁となる壁パネル3bも、桁壁となる壁パネル3aと同様に、板厚が0.4mm以上、2.3mm未満の薄鋼板を曲げ加工してウエブとその両端にフランジを一体に連設させた溝形鋼からなる縦枠材及び横枠材を、矩形状に組み立ててドリルねじ等によって相互に接合した枠材7に、外壁用面材8及び内壁用面材9を取り付けたものである。また、側柱2には開口部2aが形成されており、この開口部2aと対向する面に、壁パネル3bを固定する際にドリルねじ(図示せず)をねじ込むための複数の貫通孔15cが、その高さ方向に所定の間隔をあけて形成されている。更に、側柱2における貫通孔15cが形成された面と隣り合う2つの面には、夫々壁パネル3aを固定する際にドリルねじ(図示せず)をねじ込むための複数の貫通孔15a又は貫通孔15bが、その高さ方向に所定の間隔をあけて形成されている。
そして、側柱2に形成された貫通孔15aの中心点の位置、貫通孔15bの中心点の位置及び貫通孔15cの中心点の位置は、側柱2の高さ方向において夫々異なっている。これにより、側柱2の高さ方向の断面損失を低減することができるため、貫通孔又はねじ孔が高さ方向において等しい位置に形成されている従来の側柱に比べて、耐力を向上させることができる。
また、この側柱2に壁パネル3bを固定する際は、例えば、側柱2の貫通孔15cが形成されている面に壁パネル3bを当接させ、その状態で開口部2aから側柱2の内部に電動ドライバー等の工具の一部を挿入する。このとき、磁力等により工具の先端にドリルねじ13を吸着させておいてもよい。次に、工具によってドリルねじ13を貫通孔15cにねじ込み、更に、壁パネル3bの枠材7にねじ込む。一方、側柱2に壁パネル3aを固定する際は、図4(b)に示すように、側柱2の貫通孔15aが形成されている面に壁パネル3aを当接させた状態で、開口部2aから側柱2の内部にドリルねじ13及び工具16の一部を挿入する。その後、工具16によってドリルねじ13を貫通孔15aねじ込み、更に、壁パネル3aの枠材7にねじ込む。なお、側柱2の貫通孔15bが形成されている面に壁パネル3aを固定する場合も、同様の方法で行うことができる。
次に、隅柱1の隣り合う2つの面に設けられた貫通孔の高さ方向におけるずれ量の好ましい範囲について説明する。図5(a)及び(b)は隅柱1における貫通孔12a,12bが形成された面を示す展開図であり、図5(a)は貫通孔12a,12bの高さ方向における位置が等しい場合を示し、図5(b)は貫通孔12a,12bの高さ方向における位置が相互に異なっている場合を示す。図5(a)に示すように、貫通孔12a,12bの半径をr(mm)、中心間の距離をD(mm)、縁間距離をd(mm)とすると、これらの貫通孔12a,12bの高さ方向における位置が等しい場合は、d=D−2×rとなる。一方、図5(b)に示すように、貫通孔12a,12bの高さ方向における位置が相互にH(mm)だけずれている場合の縁間距離d(mm)は、下記数式(1)により表される。
Figure 0004437992
同じサイズの角形鋼管で比較した場合、この縁間距離dが大きい程、高さ方向に対して垂直な方向の断面欠損が少なくなり、貫通孔を設けることによる耐力の低下を抑制することができる。従って、貫通孔12a,12bを形成する場合は、高さ方向における位置が相互に異なるようにすることにより、高さ方向における位置を等しくした場合に比べて、貫通孔の半径rの分だけ断面欠損を少なくすることができる。
このとき、貫通孔12a,12bの中心点の位置の高さ方向におけるずれ量H(mm)は、下記数式(2)に示す範囲とすることが望ましい。これにより、断面欠損が低減され、貫通孔を形成することによる隅柱の耐力低下を最小限に抑えることができる。
Figure 0004437992
例えば、隅柱1の場合、貫通孔12a,12bの半径rが8mm、中心間距離Dが90mmであるときには、上記数式(2)により求められるずれ量Hは約40mm以上となる。即ち、隅柱1において、工具挿入用の貫通孔12a,12bの半径rを8mm、中心間距離Dを90mmとする場合は、貫通孔12aと貫通孔12bとのずれ量Hを40mm以上とすることが望ましい。
また、図3(a)〜(c)に示す側柱2についても、前述の隅柱1の場合と同様の方法で、隣り合う2つの面に設けられた貫通孔の高さ方向におけるずれ量の好ましい範囲を求めることができる。その際、溝形鋼からなる側柱2は、工具挿入用の貫通孔が不要であり、ドリルねじ挿入用の貫通孔15a〜15cしか設けないため、貫通孔の半径r及び中心間距離Dについては、これら貫通孔15a〜15cの値を使用する。例えば、貫通孔15a〜15cの半径rが2.5mm、中心間距離Dが90mmであるときには、上記数式(2)により求められるずれ量Hは約22mm以上となる。即ち、側柱2において、ドリルねじ用の貫通孔15a〜15cの半径rを2.5mm、中心間距離Dを90mmとする場合は、貫通孔15a,15bと貫通孔15cとのずれ量Hを22mm以上とすることが望ましい。
なお、本実施形態の建築構造物における隅柱1及び側柱2の厚さは、2.3mm以上であることが好ましい。これらの厚さが2.3mm未満の場合、十分な強度が得られないことがある。また、壁パネル3a,3bの枠材7は、亜鉛めっき鋼板により構成することができ、その板厚は例えば0.4mm以上、2.3mm未満である。枠材7の厚さが2.3mm以上の場合、穿孔せずに直接ドリルねじをねじ込むことが困難になると共に、切断及び穴あけ加工を施した箇所に耐食性を向上させるための補修が必要となる。なお、ねじ止め時の加工性を考慮すると、枠材の厚さは1.6mm未満とすることが好ましい。
更に、隅柱1及び側柱2の各貫通孔の直径は、ドリルねじ13のサイズに応じて適宜設定することができるが、ドリルねじ13の先端が挿入される貫通孔11a,11b,15a〜15cは、ドリルねじ13のねじ部の直径(ねじ径)よりも若干小さい程度とすることが望ましく、例えばドリルねじ13のねじ径が4.8mmである場合は、これらの貫通孔の直径は3.5〜4.0mm程度とすることができる。一方、隅柱1における工具挿入用の貫通孔12a,12bの直径は、ドリルねじ13の頭部が挿入でき且つ耐性を低下させない程度、具体的には、ドリルねじ13の頭部の直径(頭径)の2倍以下で、且つ隅柱1の幅の1/5以下程度であることが望ましい。
上述したように、本実施形態の建築構造物においては、隅柱1として、形鋼に比べて耐性が高い閉断面形状の角形鋼管を使用しているため、従来のスチールハウスで構築された建築構造物に比べて、高強度化することができる。
また、隅柱1には工具挿入用の貫通孔12a,12bが設けられており、側柱2には開口部2aがあるため、隅柱1及び側柱2共に柱側から壁パネル3a,3bをねじ止めすることができる。これにより、壁パネル3a,3bを完成した状態で固定することが可能となり、前述の特許文献1及び2に記載の方法のように施工現場で内壁用面材を取り付ける必要はない。その結果、前述した従来の施工方法に比べて、壁パネルの強度を向上させることができると共に、隅柱1及び側柱2に容易に壁パネル3a,3bを接合することができるため、作業効率が向上する。
更に、隅柱1の隣り合う2つの面に形成された貫通孔11a及び貫通孔11bは、その中心点の位置が高さ方向において相互に異なっているため、貫通孔を設けることによる断面欠損を最小限に抑制することができる。更にまた、側柱2に形成された各貫通孔15a〜15cは、その中心点の位置が高さ方向において相互に異なっているため、溝形鋼に貫通孔又はねじ孔を形成した従来の側柱に比べて、断面欠損を低減することができる。その結果、隅柱1及び側柱2の耐力が向上し、建築構造物をより高強度化することができる。
更にまた、壁パネル3a,3bの枠材には予め穿孔を設けていないため、がたつきのない接合部を得ることができる。
なお、本実施形態の建築構造物においては、側柱2としてリップ溝形鋼を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、高さ方向に垂直な断面がコ字状の溝形鋼を使用しても同様の効果が得られる。また、本実施形態の建築構造物においては、隅柱1及び側柱2の側面に、複数の貫通孔が高さ方向に1列に配列されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つの面に2以上の貫通孔が形成されていれば、各貫通孔の幅方向における位置が相互に異なっていてもよい。
更に、本実施形態の建築構造物においては、側柱として溝形鋼を利用しているが、柱径が大きく且つ使用する工具が小さい場合は、側柱として角形鋼管を利用することもできる。図6(a)は側柱に角形鋼管を利用した建築構造物における側柱22と壁パネル3a,3bとの接合部を示す断面図であり、(b)は側柱22を(a)に示すE方向から見た側面図であり、(c)はF方向から見た側面図である。図6(a)〜(c)に示すように、角形鋼管からなる側柱22は、壁パネル3a,3bが固定される面に、夫々ドリルねじ(図示せず)をねじ込むための複数の貫通孔25a,25b,25cが、側柱22の高さ方向に所定の間隔をあけて形成されている。そして、壁パネルが固定されない面には、各貫通孔25a〜25cと対応する位置に、貫通孔25a〜25cよりも直径が大きい工具挿入用の貫通孔24が形成されており、各貫通孔25a〜25cと各貫通孔24とは、その中心点の位置が側柱22の高さ方向において略一致している。なお、図6(c)には貫通孔24が3つの円を重なり合うように並べた形状である場合を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、この貫通孔24は、図7(a)に示すような1つの長孔、又は図7(b)に示すような楕円形状等にしてもよい。
このような角形鋼管を側柱22として利用した建築構造物においても、前述した溝形鋼を利用した建築構造物と同様の効果が得られる。しかしながら、この建築構造物の場合、壁パネルが固定されない面に工具挿入用の大径の貫通孔24を、各貫通孔25a〜25cに対応する数だけ、高さ方向に連続して形成しなければならず、加工のための工程数が増加する。従って、ドリルねじ挿入用の貫通孔25a,25b,25cの数が多い場合には、側柱には溝形鋼を利用することが望ましい。
更にまた、隣りあう2面にしか壁パネルが配置されないような場合には、図2(a)〜(c)に示す構造の角型鋼管柱を側柱及びその他の柱として使用することもできる。
更にまた、本発明の角型鋼管柱及び溝形鋼柱の用途は、スチールハウスと鉄骨軸組造とのハイブリッド構造物に限定されるものではなく、壁パネルが固定される建築構造物であれば、スチールハウス等のパネル構造の建築構造物及び鉄骨軸組造等の軸組造の建築構造物に適用することができ、これらの建築構造物に適用した場合でもスチールハウスと鉄骨軸組造とのハイブリッド構造物の場合と同様の効果が得られる。
(a)は本発明の実施形態の建築構造物を模式的に示す斜視図であり、(b)はその分解斜視図である。 (a)は図1に示す建築構造物における隅柱1と壁パネル3aとの接合部を示す断面図であり、(b)は隅柱1を(a)に示すA方向から見た側面図であり、(c)はB方向から見た側面図である。 (a)は図1に示す建築構造物における側柱2と壁パネル3a,3bとの接合部を示す断面図であり、(b)は側柱2を(a)に示すC方向から見た側面図であり、(c)はD方向から見た側面図である。 (a)は隅柱1に壁パネル3aを固定する方法を示す模式図であり、(b)は側柱2に壁パネル3a,3bを固定する方法を示す模式図である。 (a)及び(b)は隅柱1における貫通孔12a,12bが形成された側面を示す展開図であり、(a)は貫通孔12a,12bの高さ方向における位置が等しい場合を示し、(b)は貫通孔12a,12bの高さ方向における位置が相互に異なっている場合を示す。 (a)は側柱に角形鋼管を使用した建築構造物における側柱22と壁パネル3a,3bとの接合部を示す断面図であり、(b)は側柱22を(a)に示すE方向から見た側面図であり、(c)はF方向から見た側面図である。 (a)及び(b)は図6(c)に示す貫通孔24の他の形状を示す側面図である。 特許文献1に記載の建築構造物を示す分解斜視図である。 図8に示す建築構造物において側柱102に壁パネル103を固定する方法を示す断面図である。
符号の説明
1、101 隅柱
2、22、102 側柱
2a;開口部
3a、3b、103、103a、113b 壁パネル
4 周辺梁
5 大梁
6 床パネル
7、111 枠材
8、112 外壁用面材
9 内壁用面材
11a、11b、12a、12b、15a〜15c、24、25a〜25c 貫通孔
13 ドリルねじ
14 工具
104 床
111 枠材
113 ファスナー

Claims (5)

  1. 薄板軽量形鋼からなる枠材と構造用面材とを組み合わせて構成された壁パネルが固定される面に、その高さ方向に配列するように形成され、前記壁パネルを固定する際にドリルねじがねじ込まれる複数個の第1貫通孔と、
    前記壁パネルが固定される面と相対する面の前記各第1貫通孔と対応する位置に形成され、前記第1貫通孔よりも直径が大きく、前記壁パネルを固定する際に柱内部に前記ドリルねじを挿入するための第2貫通孔とを有し、
    一の面に形成された各第1貫通孔と、前記一の面と隣り合う他の面に形成された各第1貫通孔とは、高さ方向においてその中心点の位置が夫々異なっており、
    パネル構造及び/又は軸組造の建築構造物の柱として使用されることを特徴とする角形鋼管柱。
  2. 薄板軽量形鋼からなる枠材と構造用面材とを組み合わせて構成された壁パネルが固定される面に、その高さ方向に配列するように形成され、前記壁パネルを固定する際にドリルねじがねじ込まれる複数個の第1貫通孔と、
    前記壁パネルが固定されない面の前記各第1貫通孔と対応する位置に形成され、前記第1貫通孔よりも直径が大きく、前記壁パネルを固定する際に柱内部に前記ドリルねじを挿入するための第2貫通孔とを有し、
    一の面に形成された各第1貫通孔と、前記一の面と隣り合う他の面に形成された各第1貫通孔とは、高さ方向においてその中心点の位置が夫々異なっており、
    パネル構造及び/又は軸組造の建築構造物の側柱として使用されることを特徴とする角形鋼管柱。
  3. 開口部が形成された溝形鋼柱であって、
    薄板軽量形鋼からなる枠材と構造用面材とを組み合わせて構成された壁パネルが固定される1以上の面に、その高さ方向に配列するように形成され、前記壁パネルを固定する際に前記開口部から挿入されたドリルねじがねじ込まれる複数個の貫通孔を有し、
    一の面に形成された各貫通孔と、他の面に形成された各貫通孔とは、高さ方向においてその中心点の位置が夫々異なっており、
    パネル構造及び/又は軸組造の建築構造物の側柱として使用されることを特徴とする溝形鋼柱。
  4. スチールハウス及び/又は鉄骨軸組造の建築構造物において、請求項1に記載の角形鋼管柱が使用されていることを特徴とする建築構造物。
  5. 請求項2に記載の角形鋼管柱及び/又は請求項3に記載の溝形鋼柱が側柱として使用されていることを特徴とする請求項4に記載の建築構造物。
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