JP4438255B2 - モータ制御装置、モータ制御方法及びプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ制御装置、モータ制御方法及びプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、電動車両においては、回転自在に配設され、磁極対を備えたロータ、及び該ロータより径方向外方に配設され、U相、V相及びW相のステータコイルを備えたステータから成るモータが使用される。そして、モータ制御装置によってU相、V相及びW相の電流を前記ステータコイルに供給し、かつ、所定の電圧を印加することにより、前記モータを駆動し、モータのトルク、すなわち、モータトルクを発生させ、該モータトルクを駆動輪に伝達して電動車両を走行させるようになっている。
【0003】
そのために、前記モータ制御装置において、前記ステータコイルに供給される電流を電流センサによって検出電流として検出するとともに、前記ロータの磁極の位置、すなわち、磁極位置をレゾルバによって検出磁極位置として検出し、検出電流及び検出磁極位置をモータ制御部に送るようになっている。そして、該モータ制御部は前記検出電流、検出磁極位置、及び車両制御回路から送られたモータトルクの目標値を表すモータ目標トルク(トルク指令値)に基づいてインバータを駆動する。
【0004】
そのために、前記モータ制御部においては、ロータの磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の方向にq軸をそれぞれ採ったd−q軸モデル上でベクトル制御演算によるフィードバック制御が行われ、前記モータ目標トルクに基づいてd軸電流指令値及びq軸電流指令値が発生させられ、該d軸電流指令値及びq軸電流指令値に基づいて、d軸電圧指令値及びq軸電圧指令値が発生させられる。
【0005】
ところが、前記レゾルバを使用すると、磁極位置の検出精度、及びモータの制御性を向上させることはできるが、モータ制御装置のコストが高くなってしまう。そこで、前記レゾルバ等のセンサを使用することなく、磁極位置を算出するようにした磁極位置算出方法が提供されている。
【0006】
該磁極位置算出方法においては、まず、所定の磁極位置を初期値として推定し、推定された磁極位置に基づいて推定d−q座標を想定し、該推定d−q座標においてd軸電流指令値及びq軸電流指令値を発生させる。続いて、d軸電流指令値及びq軸電流指令値のうちの少なくとも一方に高周波電流を注入することによって、前記d軸電圧指令値及びq軸電圧指令値に高周波電圧を発生させる。この場合、該高周波電圧が発生させられたd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値には、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差による推定された磁極位置と実際の磁極位置との誤差情報が含まれる。該誤差情報を小さくするように制御を行うと、推定された磁極位置と実際の磁極位置との差がなくなり、磁極位置が電気角で算出される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のモータ制御装置においては、d軸電流指令値及びq軸電流指令値のうちの少なくとも一方に高周波電流が注入されるので、実際にコイルに流れる各相の電流にも高周波電流が発生することになり、それに伴って、数百〔Hz〕の騒音が発生してしまい、モータの制御を開始する際及び終了する際に運転者に違和感を与えてしまう。
【0008】
そこで、高周波電流の周波数を高くし、騒音が発生するのを抑制することが考えられるが、d軸電圧指令値及びq軸電圧指令値を発生させたり、各相のパルス幅変調信号を発生させたりするのに必要な電圧が高くなり、消費電力が大きくなってしまう。
【0009】
本発明は、前記従来のモータ制御装置の問題点を解決して、モータの制御を開始する際及び終了する際に運転者に違和感を与えるのを防止することができ、消費電力が大きくなるのを防止することができるモータ制御装置、モータ制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明のモータ制御装置においては、モータトルクの目標値を表すモータ目標トルクに基づいて電流指令値を発生させる電流指令値発生手段と、高周波電流を発生させる高周波電流発生部と、加算器によって構成され、前記電流指令値に高周波電流を注入する高周波電流注入部と、高周波電流が注入された電流指令値、及びモータのコイルを流れる電流に基づいて電圧指令値を発生させる電圧指令値発生部と、該電圧指令値発生部によって発生させられた電圧指令値に基づいて前記モータを駆動するモータ駆動処理手段と、前記電圧指令値発生部とモータとの間において発生させられた電圧変量を読み込み、該電圧変量に基づいて磁極位置を算出する磁極位置算出部とを有する。
【0011】
そして、前記高周波電流発生部は前記高周波電流の振幅を滑らかに変化させる振幅なまし処理手段を備える。
【0014】
本発明のモータ制御方法においては、モータトルクの目標値を表すモータ目標トルクに基づいて電流指令値を発生させ、高周波電流を発生させ、加算器によって前記電流指令値に高周波電流を注入し、高周波電流が注入された電流指令値、及びモータのコイルを流れる電流に基づいて電圧指令値を発生させ、発生させられた電圧指令値に基づいて前記モータを駆動し、電圧指令値発生部とモータとの間において発生させられた電圧変量を読み込み、該電圧変量に基づいて磁極位置を算出する。そして、前記高周波電流の振幅は滑らかに変化させられる。
【0015】
本発明のプログラムにおいては、コンピュータを、モータトルクの目標値を表すモータ目標トルクに基づいて電流指令値を発生させる電流指令値発生手段、高周波電流を発生させる高周波電流発生手段、加算器によって構成され、前記電流指令値に高周波電流を注入する高周波電流注入手段、高周波電流が注入された電流指令値、及びモータのコイルを流れる電流に基づいて電圧指令値を発生させる電圧指令値発生手段、該電圧指令値発生手段によって発生させられた電圧指令値に基づいて前記モータを駆動するモータ駆動処理手段、並びに前記電圧指令値発生手段とモータとの間において発生させられた電圧変量を読み込み、該電圧変量に基づいて磁極位置を算出する磁極位置算出手段として機能させる。そして、前記高周波電流発生手段は前記高周波電流の振幅を滑らかに変化させる振幅なまし処理手段を備える。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態におけるモータ制御装置の機能ブロック図である。
【0018】
図において、47はモータトルクの目標値を表すモータ目標トルクに基づいて電流指令値を発生させる電流指令値発生手段としてのトルク指令・電流指令変換部、48は高周波電流を発生させる高周波電流発生部、91は前記電流指令値に高周波電流を注入する高周波電流注入部、92は高周波電流が注入された電流指令値、及び図示されないモータのコイルを流れる電流に基づいて電圧指令値を発生させる電圧指令値発生部、93は該電圧指令値発生部92によって発生させられた電圧指令値に基づいて前記モータを駆動するモータ駆動処理手段、46は前記電圧指令値発生部92とモータとの間において発生させられた電圧変量を読み込み、該電圧変量に基づいて磁極位置を算出する磁極位置算出部である。そして、前記高周波電流発生部48は前記高周波電流の振幅を滑らかに変化させる振幅なまし処理手段94を備える。
【0019】
図2は本発明の実施の形態におけるモータ制御装置の概略図、図3は本発明の実施の形態におけるモータ制御部のブロック図、図4は本発明の実施の形態における高周波電流発生部の動作を示すフローチャート、図5は本発明の実施の形態におけるモータの制御を開始する際の高周波電流指令の波形図、図6は本発明の実施の形態におけるモータの制御を終了する際の高周波電流指令の波形図である。
【0020】
図において、10はモータ制御装置、31はモータであり、該モータ31としてDCブラシレスモータが使用される。前記モータ31は、回転自在に配設された図示されないロータ、及び該ロータより径方向外方に配設されたステータを備える。前記ロータは、図示されないシャフトに図示されないハブを介して取り付けられたロータコア、及び該ロータコアの円周方向における複数箇所に配設された永久磁石を備え、該永久磁石のS極及びN極によって磁極対が構成される。また、前記ステータは、円周方向における複数箇所に、径方向内方に向けて突出させてステータポールが形成された図示されないステータコア、並びに前記ステータポールに巻装されたU相、V相及びW相のコイルとしてのステータコイル11〜13を備える。
【0021】
そして、前記モータ31を駆動して電動車両を走行させるために、バッテリ14からの直流の電流がインバータ40によって相電流、すなわち、U相、V相及びW相の電流Iu、Iv、Iwに変換され、各相の電流Iu、Iv、Iwはそれぞれ各ステータコイル11〜13に供給される。
【0022】
そのために、前記インバータ40は、6個のスイッチング素子としてのトランジスタTr1〜Tr6を備え、各トランジスタTr1〜Tr6を選択的にオン・オフさせることによって、前記各相の電流Iu、Iv、Iwを発生させることができるようになっている。
【0023】
ところで、前記ステータコイル11〜13はスター結線されているので、各相のうちの二つの相の電流の値が決まると、残りの一つの相の電流の値も決まる。したがって、各相の電流Iu、Iv、Iwを制御するために、例えば、ステータコイル11、12のリード線にU相及びV相の電流Iu、Ivを検出する電流検出手段としての電流センサ33、34が配設され、該電流センサ33、34は、検出電流iu、ivをモータ制御部45に送る。
【0024】
該モータ制御部45には、コンピュータとして機能する図示されないCPUのほかに、データを記録したり、各種のプログラムを記録したりするためのRAM、ROM等の図示されない記録装置が配設される。
【0025】
そして、前記モータ制御部45の記録媒体としてのRAMには、各種のプログラム、データ等が記録されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部の記録媒体に記録することもできる。この場合、例えば、前記モータ制御部45にフラッシュメモリを配設し、前記外部の記録媒体から前記プログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリに記録することもできる。したがって、外部の記録媒体を交換することによって、前記プログラム、データ等を更新することもできる。
【0026】
そして、前記モータ制御部45に図示されないモータ回転速度算出処理手段が配設され、該モータ回転速度算出処理手段は、磁極位置算出部46によって算出される磁極位置θに基づいてモータの回転速度、すなわち、モータ回転速度NMを算出する。また、前記モータ制御部45に図示されない車速検出処理手段が配設され、該車速検出処理手段は、前記モータ回転速度NMに対応する車速Vを検出し、検出された車速Vを、電動車両の全体の制御を行う図示されない車両制御回路に送る。
【0027】
そして、該車両制御回路の指令値発生部は、前記車速V、及び図示されないアクセルセンサによって検出されたアクセル開度αに基づいて車両要求トルクTO* を算出し、該車両要求トルクTO* に対応させて、モータトルクTMの目標値を表すモータ目標トルク(トルク指令値)TM* を発生させ、該モータ目標トルクTM* を前記モータ制御部45に送る。
【0028】
該モータ制御部45は図示されないメモリを備え、該メモリはd軸用及びq軸用の電流指令値マップを備える。そして、前記モータ制御部45の電流指令値発生手段としてのトルク指令・電流指令変換部47は、トルク指令・電流指令変換処理を行い、バッテリ電圧検出センサ15によって検出されたバッテリ14の電圧、すなわち、バッテリ電圧VBを読み込むとともに、モータ回転速度NMを読み込み、前記各電流指令値マップを参照して、前記モータ目標トルクTM* に対応するd軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* を電流指令値として算出し、前記d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* を加算器52、53に送る。
【0029】
続いて、該d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* に、前記磁極位置θを算出するために、高周波電流Ih* が注入される。そのために、モータ制御部45に高周波電流発生手段としての高周波電流発生部48が配設され、該高周波電流発生部48にモータ制御信号SG1が送られる。該モータ制御信号SG1は、モータ制御部45の図示されないモータ制御信号発生処理手段によって発生させられ、モータ31の制御、すなわち、モータ制御を開始する際にオンにされ、モータ制御を終了する際にオフにされる。
【0030】
そして、前記モータ制御信号SG1がオンになると、高周波電流発生部48は高周波電流Ih* を発生させ、加算器52、53に送り、該加算器52、53において、前記d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* に高周波電流Ih* が注入される。その結果、d軸電流指令値idh* 及びq軸電流指令値iqh* が発生させられる。なお、前記加算器52、53によって、モータ制御部45の高周波電流注入手段としての高周波電流注入部91(図1)が構成される。
【0031】
ところで、前記モータ制御部45においては、ロータにおける磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の方向にq軸をそれぞれ採ったd−q軸モデル上でベクトル制御演算によるフィードバック制御が行われるようになっている。
【0032】
そのために、前記モータ制御部45は、電流センサ33、34から検出電流iu、ivを読み込む。そして、モータ制御部45のUV−dq変換器61は、前記検出電流iu、iv及び前記磁極位置θに基づいて三相/二相変換を行い、検出電流iu、ivをそれぞれd軸電流id及びq軸電流iqに変換する。
【0033】
そして、d軸電流idは減算器62に送られ、該減算器62においてd軸電流idと前記d軸電流指令値idh* とのd軸電流偏差Δidが算出され、該d軸電流偏差Δidがd軸電圧指令値発生部64に送られる。一方、q軸電流iqは減算器63に送られ、該減算器63においてq軸電流iqと前記q軸電流指令値iqh* とのq軸電流偏差Δiqが算出され、該q軸電流偏差Δiqがq軸電圧指令値発生部65に送られる。
【0034】
そして、前記d軸電圧指令値発生部64及びq軸電圧指令値発生部65は、前記d軸電流偏差Δid及びq軸電流偏差Δiqが零(0)になるように、2軸上のインバータ出力としてのd軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* をそれぞれ発生させ、該d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* をそれぞれdq−UV変換器67に送る。なお、前記d軸電圧指令値発生部64及びq軸電圧指令値発生部65によって電圧指令値発生処理手段としての電圧指令値発生部92が構成され、d軸電圧指令値発生部64及びq軸電圧指令値発生部65は、前記電流Iu、Iv、Iwに基づいて、前記d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* を電圧指令値として発生させる。
【0035】
続いて、前記dq−UV変換器67は、前記d軸電圧指令値Vd* 、q軸電圧指令値Vq* 及び磁極位置θに基づいて二相/三相変換を行い、d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* をU相、V相及びW相の電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* に変換し、該電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* をPWM発生器68に送る。該PWM発生器68は、前記各相の電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* 及び前記バッテリ電圧VBに基づいて、前記d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* に対応するパルス幅を有する各相のパルス幅変調信号Mu、Mv、Mwを発生させ、ドライブ回路51に送る。
【0036】
該ドライブ回路51は、前記各相のパルス幅変調信号Mu、Mv、Mwを受けて、トランジスタTr1〜Tr6を駆動するための6個の駆動信号をそれぞれ発生させ、該駆動信号をインバータ40に送る。該インバータ40は、前記駆動信号がオンの間だけトランジスタTr1〜Tr6をオンにして各相の電流Iu、Iv、Iwを発生させ、該各相の電流Iu、Iv、Iwを前記各ステータコイル11〜13に供給する。このように、モータ31を駆動することによって電動車両を走行させることができる。なお、17はインバータ40とバッテリ14との間に配設された平滑用のコンデンサである。また、前記PWM発生器68、ドライブ回路51、インバータ40等によって、モータ31を駆動するモータ駆動処理手段93が構成される。
【0037】
ところで、本実施の形態においては、レゾルバ等のセンサを使用することなく、磁極位置算出手段としての磁極位置算出部46によって磁極位置θが算出されるようになっている。そのために、前記d軸電圧指令値発生部64によって発生させられたd軸電圧指令値Vd* 、及びq軸電圧指令値発生部65によって発生させられたq軸電圧指令値Vq* が電圧変量として磁極位置算出部46に送られるようになっている。
【0038】
そして、前記トルク指令・電流指令変換部47は、まず、所定の磁極位置θsを初期値として推定し、推定された磁極位置θsに基づいて推定d−q座標を想定し、該推定d−q座標において前記d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* を発生させ、加算器52、53に送る。続いて、加算器52、53において前記d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* に高周波電流Ih* が注入されるので、前記d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* に高周波電圧が発生させられる。
【0039】
該高周波電圧が発生させられたd軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* には、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスとの差による推定された磁極位置と実際の磁極位置との誤差情報が含まれるので、前記磁極位置算出部46は、d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* を読み込み、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ等を通して前記誤差情報を取得し、該誤差情報が小さくなるように制御を行う。その結果、推定された磁極位置θsと実際の磁極位置θとの差が小さくなり、収束して磁極位置θが電気角で算出される。
【0040】
本実施の形態においては、d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* に高周波電流Ih* が注入されるようになっているが、d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* のうちのいずれか一方だけに高周波電流を注入し、磁極位置θを算出することもできる。
【0041】
また、本実施の形態においては、電圧変量としてd軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* が使用されるが、電圧変量として、d軸電圧指令値発生部64及びq軸電圧指令値発生部65とモータ31との間において発生する電圧に係る変量、例えば、dq−UV変換器67によって発生させられた各相の電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* を使用したり、インバータ40を駆動することによってステータコイル11〜13に印加される電圧Vu、Vv、Vw等を使用したりすることができる。
【0042】
ところで、前記d軸電流指令値id* 及びq軸電流指令値iq* に高周波電流Ih* が注入されるので、実際にコイル11〜13に流れる各相の電流Iu、Iv、Iwにも高周波電流が発生することになり、それに伴って、数百〔Hz〕の騒音が発生してしまい、モータ31の制御を開始する際及び終了する際に運転者に違和感を与えてしまう。
【0043】
そこで、前記高周波電流発生部48は、モータ31のセンサレス制御を開始する際に、モータ制御信号SG1がオンにされると、図5に示されるように、高周波電流Ih* の振幅Ihを徐々に大きくし、前記センサレス制御を終了する際に、モータ制御信号SG1がオフにされると、図6に示されるように、前記振幅Ihを徐々に小さくする。なお、センサレス制御を開始する際及び終了する際に振幅Ihを変化させる時間は、前記推定された磁極位置θsと実際の磁極位置θとの差が収束するのに必要な時間、例えば、約50〔ms〕にされる。
【0044】
そのために、前記高周波電流発生部48は、振幅なまし処理手段94を備え、モータ制御信号SG1がオンにされると、前記振幅Ihを閾(しきい)値Ihsになるまで値ΔIhずつ大きくし、モータ制御信号SG1がオフにされると、前記振幅Ihを零になるまで値ΔIhずつ小さくして、振幅Ihを滑らかに変化させる。そして、高周波電流Ih* の位相をθhとすると、高周波電流Ih* は、
Ih* =Ih・sin(θh)
で表される。
【0045】
このように、モータ31のセンサレス制御を開始する際に、高周波電流Ih* の振幅Ihが徐々に、かつ、滑らかに大きくされ、センサレス制御を終了する際に、高周波電流Ih* の振幅Ihが徐々に、かつ、滑らかに小さくされるので、センサレス制御に伴って発生する騒音によって運転者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0046】
また、高周波電流Ih* の周波数を高くする必要がないので、各相のパルス幅変調信号Mu、Mv、Mwを発生させるのに必要な電圧が高くならず、消費電力が大きくなるのを防止することができる。
【0047】
なお、本実施の形態において、振幅なまし処理手段94は、センサレス制御を開始する際及び終了する際に高周波電流Ih* の振幅Ihを滑らかに変化させるようにしているが、センサレス制御を開始する際及び終了する際のうちの一方において高周波電流Ih* の振幅Ihを滑らかに変化させることもできる。
【0048】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 モータ制御信号SG1がオンであるかどうかを判断する。モータ制御信号SG1がオンである場合はステップS2に、オンでない場合はステップS3に進む。
ステップS2 振幅Ihに値(Ih+ΔIh)をセットする。
ステップS3 振幅Ihに値(Ih−ΔIh)をセットする。
ステップS4 振幅Ihが閾値Ihsより大きいかどうかを判断する。振幅Ihが閾値Ihsより大きい場合はステップS5に、振幅Ihが閾値Ihs以下である場合はステップS8に進む。
ステップS5 振幅Ihに閾値Ihsをセットする。
ステップS6 振幅Ihが零より小さいかどうかを判断する。振幅Ihが0より小さい場合はステップS7に、振幅Ihが0以上である場合はステップS8に進む。
ステップS7 振幅Ihに零をセットする。
ステップS8 高周波電流Ih* に値(Ih・sin(θh))をセットし、リターンする。
【0049】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0050】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、モータ制御装置においては、モータトルクの目標値を表すモータ目標トルクに基づいて電流指令値を発生させる電流指令値発生手段と、高周波電流を発生させる高周波電流発生部と、加算器によって構成され、前記電流指令値に高周波電流を注入する高周波電流注入部と、高周波電流が注入された電流指令値、及びモータのコイルを流れる電流に基づいて電圧指令値を発生させる電圧指令値発生部と、該電圧指令値発生部によって発生させられた電圧指令値に基づいて前記モータを駆動するモータ駆動処理手段と、前記電圧指令値発生部とモータとの間において発生させられた電圧変量を読み込み、該電圧変量に基づいて磁極位置を算出する磁極位置算出部とを有する。
【0051】
そして、前記高周波電流発生部は前記高周波電流の振幅を滑らかに変化させる振幅なまし処理手段を備える。
【0052】
この場合、モータのセンサレス制御に伴って高周波電流の振幅が滑らかに変化させられるので、モータの制御を開始する際及び終了する際に、発生する騒音によって運転者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0053】
また、高周波電流の周波数を高くする必要がないので、各相のパルス幅変調信号を発生させるのに必要な電圧が高くならず、消費電力が大きくなるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるモータ制御装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるモータ制御装置の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるモータ制御部のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における高周波電流発生部の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態におけるモータの制御を開始する際の高周波電流指令の波形図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるモータの制御を終了する際の高周波電流指令の波形図である。
【符号の説明】
11〜13 ステータコイル
31 モータ
45 モータ制御部
46 磁極位置算出部
47 トルク指令・電流指令変換部
48 高周波電流発生部
91 高周波電流注入部
92 電圧指令値発生部
93 モータ駆動処理手段
94 振幅なまし処理手段
Claims (5)
- モータトルクの目標値を表すモータ目標トルクに基づいて電流指令値を発生させる電流指令値発生手段と、高周波電流を発生させる高周波電流発生部と、加算器によって構成され、前記電流指令値に高周波電流を注入する高周波電流注入部と、高周波電流が注入された電流指令値、及びモータのコイルを流れる電流に基づいて電圧指令値を発生させる電圧指令値発生部と、該電圧指令値発生部によって発生させられた電圧指令値に基づいて前記モータを駆動するモータ駆動処理手段と、前記電圧指令値発生部とモータとの間において発生させられた電圧変量を読み込み、該電圧変量に基づいて磁極位置を算出する磁極位置算出部とを有するとともに、前記高周波電流発生部は前記高周波電流の振幅を滑らかに変化させる振幅なまし処理手段を備えることを特徴とするモータ制御装置。
- 前記電圧変量は前記電圧指令値である請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記振幅なまし処理手段は、モータ制御を開始する際及び終了する際のうちの少なくとも一方において高周波電流の振幅を滑らかに変化させる請求項1に記載のモータ制御装置。
- モータトルクの目標値を表すモータ目標トルクに基づいて電流指令値を発生させ、高周波電流を発生させ、加算器によって前記電流指令値に高周波電流を注入し、高周波電流が注入された電流指令値、及びモータのコイルを流れる電流に基づいて電圧指令値を発生させ、発生させられた電圧指令値に基づいて前記モータを駆動し、電圧指令値発生部とモータとの間において発生させられた電圧変量を読み込み、該電圧変量に基づいて磁極位置を算出するとともに、前記高周波電流の振幅は滑らかに変化させられることを特徴とするモータ制御方法。
- コンピュータを、モータトルクの目標値を表すモータ目標トルクに基づいて電流指令値を発生させる電流指令値発生手段、高周波電流を発生させる高周波電流発生手段、加算器によって構成され、前記電流指令値に高周波電流を注入する高周波電流注入手段、高周波電流が注入された電流指令値、及びモータのコイルを流れる電流に基づいて電圧指令値を発生させる電圧指令値発生手段、該電圧指令値発生手段によって発生させられた電圧指令値に基づいて前記モータを駆動するモータ駆動処理手段、並びに前記電圧指令値発生手段とモータとの間において発生させられた電圧変量を読み込み、該電圧変量に基づいて磁極位置を算出する磁極位置算出手段として機能させるとともに、前記高周波電流発生手段は前記高周波電流の振幅を滑らかに変化させる振幅なまし処理手段を備えることを特徴とするプログラム。
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